コミックエッセイ 夫婦・子育ていまむかし
恋も戦略的? スケールが違う「クレオパトラ」の女王の美学とは【夫婦・子育ていまむかし Vol.31】
恋も権力も! その手で操る策士の女王
カエサルが死去し後ろ盾を失って再び窮地にあったクレオパトラ。カエサルの部下だったアントニウスが、彼女を尋問しようと呼び出すのですが…。
クレオパトラはそこに巨大で贅を凝らした船団を組み、香を炊き美しい帆と豪華な装飾品、花を散りばめた船の上で優雅に寝そべって登場するのです!それはもう女神アフロディーテが現れたかのようだったそうで…。
その旅団を見た者たちが驚いて、噂としてアントニウスにも届くような超インパクト大な出会いを演出したのです。女王としてのプライドを保つだけでなく、財を最大限に使って美しさを印象づけ、落ち目だった立場を逆転させるどころか見事に相手を恋に落としたクレオパトラ。実力者過ぎるんです…!
とはいえクレオパトラのその戦略も、相手によって成果は違ったようです。
年齢差もあったでしょうが、カエサルは根っからの実利主義であり政治上手でどこか冷静。彼女をローマに同伴し子まで成した仲だったのに、遺言にクレオパトラの子について言及することはなく、カエサルの死去によってクレオパトラは梯子を外された状態になってしまいます。
カエサルは、クレオパトラを属国の愛人としてしか見ていなかったのかもしれませんね…。
一方のアントニウスは、血気盛んで豪傑、政治はそんなに得意ではない軍人です。この人はカエサルとは逆にクレオパトラにゾッコンだったようで、元々エジプトの土地だった領土を返還したり、クレオパトラとの生活に耽溺してエジプトに長期滞在したり…彼女の望むことはなんでも叶えてあげたい!という感じです。
死を前にしても崩さぬ 女王の美学がハンパない!
そしてこのふたりは、ちょっとイラッとする名前の結社(サークルみたいなもの)まで作っていたようで…。
その名も『真似のできない生活者たち』
圧倒的な富を象徴するサークルで、贅沢な宴や芸術的なイベントで知識人たちとの交流などを楽しんでいたようです。ローマへの挑発的な意味合いもあったのかもですが、確かにイラっとさせるでしょ〜?
そして、この後アントニウスと対立したローマのオクタヴィアヌスとの『アクティオンの海戦』に敗れたふたりは、死を覚悟した時にも新しい結社を作ります。
その名も『死を共にする仲間』
オクタウィアヌスの軍が迫ってくるまでの間、またひたっっすら贅沢三昧だったようです。
ですが、これは単なる享楽ではなく、敵への屈服を否定するクレオパトラの美学だったのかもしれません。死を前にしても自分が女王だというプライドを見せつける歴史的なパフォーマンス!さすが!