「ためになる本」を読むことは、人を堕落させる道…!? 「知る」という幸福について
と言われたとき、私は、いまいちピンときませんでした。私には、「知の世界」は、怖ろしい世界だったのです。
今でも「本を読まなくちゃ、あれもこれも読まなくちゃ」と焦りつつ、まわりに本をたくさん積んでいますが、ぜんぜん思うようには読めません。読んでもアタマに入らなくて、ページの上を目が上滑りすることもよくあります。この状態は小学校の頃から今に至るまで、ほとんど変わっていない気もします。
これらはすべて、悪魔に言わせれば「堕落の道」なのです。
一方、私は純粋な楽しみのための勉強や散歩を知らないか、というと、実はそれを、私はよく知っています。純粋に、楽しみのためだけに読む本が、私にもあります。
無目的にどこまでも歩いて行く散歩を、私は何度も楽しんできたように思います。
ただ、自分でそれらを「大事なこと」だと思ったことはありませんでした。好きなものを読んでいると、なにか怠けているような気がします。本当に読むべきものを読まずにラクをしているようで、後ろめたい気がしてしまいます。ですが「悪魔」は、それこそが自分を「堕落から救う道」だと言うのです。
>>次回もお楽しみに~3. 「知る」という幸福・後編(7月26日更新)