ツンデレとカレーレシピ【彼氏の顔が覚えられません 第22話】
初旬にカズヤと別れた数週間後、早くも別の男性とデートをしてしまった。どういう経緯でそんなことになったのか…。
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4月は恐ろしい。ただ月が変わり、学年が一つ上がっただけなのに、いろんなことが起きすぎている。3月はほぼ白紙だった日記も、あっという間に埋まってしまうだろう。
それは、履修届けの締め切り日だった。きょうび履修届けなんてネットで簡単にできる。が、簡単だからこそつい後回しにしてしまい、気づいたらもうその日がきてしまっていた。
家でやったら絶対集中できないから、学校のパソコンエリアを使おうと思って。そしたら私と同じこと考えている生徒は他にもたくさんいたらしく、なかなか席が空かず。
待ち始めたのが午後4時。席が空いたのが、約1時間後の5時。ようやく始めるも、いざ決定ボタン押す直前で、またあれこれ目移りしてしまって。一度チェックマークをぜんぶ外して、もう一度Webシラバスに目を通したりなんかし始めて、またかれこれ1時間。
「お、イズミちゃん」
と、突然声をかけてきた彼は…誰だ。髪の毛がほぼ丸坊主と言っていいくらい短い。
こんな野球部みたいな人、知り合いにいたっけ。
「あ…ひょっとして俺のことわからない? ちょっと髪切りすぎちゃったからかな…ホラ、○○だよ」
いや、名前を言われてもわかりませんけど。ただ声には聞き覚えが…。