運命と新宿駅【彼氏の顔が覚えられません 第44話】
いつかの夢の中に、ユイがでてきた。
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「黙って学校辞めてゴメン。なんか親にバレちゃってさ。大学行ってんのに勉強もしないで男遊びしてるって。そんなことのために行かせたんじゃない、もう授業料は出さん! さっさと就職しろ! ってね」
そうだったの、と納得した。事実はどうか知らない。それだったらよかったな、と思っていただけかもしれない。
「なんでLINEブロックしたの」
「深い意味は無いよ。
もう会うこともないのかなぁって思ったら、ね…ネットだけで人間関係保ち続けたいと思わないし。それに余計なこと言いそうじゃん。大学通えてうらやましいなぁとか。イズミ、気をつかっちゃうでしょ」
「そうかも」
そう、笑って返す。笑い方なんて現実には知らないクセに。
「あ、それより聞きたいことがあってさ」
前に、途中で切れた話をする。恋愛初心者だからって、ユイが私に教えようとしてくれていたこと。
「あぁ、あれ。
よく覚えてたね。忘れていいよ」
「えっ」
「だから、あの話の続きなんて、ないんだってば。恋がどっちに転ぶかなんて、人に決められるような問題じゃない。自分で解決しかないから」