運命と新宿駅【彼氏の顔が覚えられません 第44話】
「そんな、無責任な…」
「無責任よ。恋愛で、第三者は常にそう。その言葉に振り回されちゃいけないの。イズミはどうしたい? 答えは、もう出てるんでしょ」
ユイの言葉に、私はまだ首をかしげている。答えなんて、そんなのわかんない。わかんないけど、それでも出さなきゃいけない。
「…じゃ、行くね」
と、ユイは私の元を離れる。あ、待って…その言葉は、ユイには届かない。
どんどん離れ、光となって消える。
「ありがとう。元気で」
呟くように、そう言うしかない。私も無責任だ。ほんとにいま、ユイが元気なのかどうかわからない。ひょっとしたら、ユイはもう…。
ううん、そんな可能性は考えなくていい。いずれわかるときがきても、こなくても。
今はユイと巡り会い、お互い語り合った、ほんのちょっとの間の関係を大切に思えばいい。そこに意味はある。
きっとそれだけでも、私たちにとっては運命的なできごとだったんだ。
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