夜尿症とは?おねしょとは違うの?子どもの夜尿症(おねしょ)は「5歳以上で、おねしょが1ヶ月に1回以上の頻度であり、それが3ヶ月以上続いている」ことが診断の定義となります。7歳児の約10%程度に夜尿症があると言われています。その後、自然と治ってくることが多いですが、0.5~数%の人は成人しても夜尿症の症状が続くことがあります。夜尿症は睡眠中に膀胱がいっぱいになっても尿意で目を覚ますことができない「覚醒障害」に加え、膀胱の容量が小さい、尿がたまると勝手に膀胱が収縮してしまうなどの「膀胱の働きの未熟さ」、夜間の尿量が多い「夜間多尿」の重なりなどが原因と言われており、保護者の育て方や子どもの性格などとは関係ありません。このコラムでは、・夜尿症の病院受診の目安、受診する科・夜尿症の治療法・おねしょをした子どもへの声掛け・宿泊学習対策・布団の後始末方法・発達障害と夜尿症の関連性など、夜尿症やおねしょにまつわるギモンから、対応方法まで専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【医師回答】夜尿症の受診基準は?何科に行った方がいい?子どもへの声掛け方法や発達障害との関係など夜尿症専門医が回答!ここからは夜尿症専門医の大友義之先生に夜尿症の原因や、家庭や学校での対応のコツについてお答えいただきます。(質問)小3の子どもがいますが、週に1回くらいおねしょをします。どのくらいの頻度でおねしょがあると病院を受診した方がよいのでしょうか。また、何科を受診すればよいのでしょうか。(回答)小3で週に1回の夜尿が続いているお子さんは10%ほどおられます。毎晩夜尿があるお子さんよりも自然治癒できる可能性が高いと思いますが、小児科のかかりつけ医にまずは相談してみましょう。ただし、昼間のちびりもあるようでしたら、急いで治療を考えた方が良いと思います。Upload By 発達障害のキホン(質問)夜尿症にはどのような治療法があるのでしょうか。薬などが処方されるのでしょうか?(回答)まずは、就寝2時間前には飲水量を200ml以内に抑えて、就寝前に必ずトイレでの排尿を励行することが必要です。夜間の尿量が多い7割の患者さんには抗利尿ホルモン薬(薬物治療)が有効です。それ以外の患者さんにはアラーム治療が有効です。Upload By 発達障害のキホン(質問)小学生になってもおねしょを頻繁にするので、よくないと思いつつもつい叱ってしまいます。どのような声をかければよいのでしょうか。(回答)夜尿を来すことはお子さんのせいではないので、叱るのは逆効果です。夜間の飲水制限が守れたこと、就寝前にちゃんと排尿していること、また、治療が行えていることを褒めるほうが効果的です。Upload By 発達障害のキホン(質問)おねしょの多い小4の息子がいます。もうすぐ学校で宿泊学習があるので心配です。家庭でできる対策が知りたいです。(回答)宿泊行事まで数ヶ月の余裕があるのであれば、抗利尿ホルモン薬の効果が期待されます。おそらくクラスに2~3名は夜尿が続いていると思いますし、担任は慣れているので、あらかじめ相談しておき、夜中に一旦起こしてもらう、もし失敗したときに周りに気づかれないようにサポートしてもらいましょう。また予備の下着や、可能であれば、尿吸収パットがついた下着を用意すると宜しいでしょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)仕方ないと思っていても、夜中や忙しい朝におねしょの後始末をするのがストレスになってしまいます。良い対策方法などあれば知りたいです。(回答)紙パンツを装用し、さらに布団の上におねしょシーツを掛けて眠ってもらうのが良いでしょう。夜尿の頻度が減るまでは、「濡れて気づかせる」というやり方は逆効果です。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもに発達障害があります。小学生になってもおねしょが続いているのですが、発達障害のある子どもは夜尿症になりやすいのでしょうか?(回答)夜尿は、尿意や漏れてしまった場合の濡れた感覚で覚醒できないことが最大の問題です。従来は「眠りが深い」からと考えられてきましたが、昨今は、夜尿のある子どもはむしろ質の悪い睡眠がダラダラ続いていることが問題視されています。発達障害、特にADHDのある子どもは、そうでない子どもに比べて4~5倍夜尿の頻度が高いと言われています。理由としては、中枢神経系の問題で、通常尿意の認識能力の低さや未成熟さ、睡眠障害の併存などがある場合が多く見られることが挙げられます。またADHDがあると水分制限や就寝前の排尿、処方薬の内服の継続などが苦手だったり、睡眠障害などが原因でアラームの治療の効果が悪いこともしばしばあり、その場合ADHD自体の治療を積極的に行うことにより夜尿が速やかに改善する場合もあります。※夜尿があるからと言って必ずしも発達障害があるというわけではありません。Upload By 発達障害のキホン夜尿症、おねしょ、トイトレにまつわるコラム(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月09日不登校新聞×TikTokで「不登校生 動画選手権」開催へ一審査委員長として中川翔子さんも参加Upload By 発達ナビニュース1998年に不登校に関する新聞として創刊し、不登校に関わる問題や子どもの権利、また、親子が安心し未来に希望を持てるような情報を発信する『不登校新聞』と、若年層を含む幅広い世代に利用者がひろがり、世界中の動画を無料で楽しめるアプリ『TikTok』が連携し、「不登校生 動画選手権」を2023年7月1日(土)~7月31日(月)まで開催中です。「不登校生 動画選手権」は、不登校当事者のための全国大会です。参加資格は20歳未満で不登校を1日でも経験した個人またはグループ。本大会の運営が定義する不登校は「学校がつらい、行きたくないと思って学校を1度でも休んだ経験」です。動画のテーマは「学校へ行きたくない私から学校に行きたくない君へ」です。思いを述べる、絵を描く、風景を撮るなど表現方法はさまざま。応募は「#不登校生動画選手権」をつけて、TikTokに動画(1分以内)を投稿する方法を採用。その背景には、「この大会を通して、当事者同士で夏休み明けの不安な時期にエールを贈りあってもらいたい」という狙いがあるのだとか。表彰式は、2023年8月18日(金)に東京都現代美術館にて開催。最優秀賞、優秀賞などの賞状授与、受賞者へのインタビューを行う予定です。大会審査委員には、中川翔子さん、内田也哉子さんらが名を連ねています。ぜひこの機会に、動画を通じてご自身の思いや創造性をぶつけてみてはいかがでしょうか。応募について参加資格:20歳未満で不登校(※)を1日でも経験した個人、またはグループ※不登校の定義は「学校がつらい、行きたくないと思って学校を1度でも休んだ経験」(大会用定義)応募方法:「#不登校生動画選手権」をつけて、TikTokに動画(1分以内)を投稿※13歳未満の方は保護者が撮影し、保護者のアカウントにて投稿ください応募期間:2023年7月1日(土)~2023年7月31日(月)表彰式日時:2023年8月18日(金)14:00開始(開場13:30)会場:東京都現代美術館内容:最優秀賞、優秀賞などの賞状授与、受賞者へのインタビュー※クリックすると、発達ナビのサイトから「不登校生 動画選手権」のページに遷移します。一般公開WEBイベント「発達障害の”障害”は、社会のどこにあるのか?」2023年7月23日(日)開催ーーオールマイノリティ・プロジェクト共催の注目イベントUpload By 発達ナビニュース一般公開WEBイベント「発達障害の”障害”は、社会のどこにあるのか?」が、筑波大学ダボットプロジェクトとオールマイノリティ・プロジェクトの共催により2023年7月23日(日)に開催されます。このイベントでは、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会に向けて、本当の意味での「障害の社会モデル」に立ち返り話し合いが行われます。発達障害の”障害”を、社会構造上生じる社会的障壁ととらえると、その障壁は社会のどこにあるのでしょうか。今回のイベントでは、とくに青年期・成人期にフォーカスし、発達障害と社会的障害の壁について、ディスカッションが行われます。また、マイノリティである発達障害のある人の社会的孤立・孤独を防ぐために、私たちが取り組めることについても考えていきます。当日は、オールマイノリティ・プロジェクト代表で千葉大学子どものこころの発達教育研究センターの大島郁葉教授による基調講演「発達障害のある人の社会的孤立・孤独とマイクロアグレッション」に続き、「ここがヘンだよ、大学や社会」として、大学をテーマに発達障害のある当事者と支援者の模擬対話セッションを行います。その模擬対話セッションや事前アンケート、参加者からの当日のチャットなどを踏まえた上で、4名のパネリストによるディスカッションを進めていきます。当事者やご家族はもちろん、青年期・成人期の発達障害者支援に関心のある皆さんにおすすめのイベントです。開催日時:<リアルタイム:当日参加>2023年7月23日(日)13:00~16:30※12:50開場予定。前後することがあります<見逃し配信>2023年7月23日以降設定完了次第~2023年8月23日(水)23:55開催方法:ウェビナー形式(Web会議システムZoom)参加費:無料対象者:青年期・成人期の発達障害者支援に関心のある方ならどなたでもアクセシビリティ対応:情報保障などのアクセシビリティ対応が必要な参加者の方は、2023年7月9日(日)までにお申し込みください共催:筑波大学ダボットプロジェクトオールマイノリティ・プロジェクト協力:筑波大学ヒューマンエンパワーメント推進局京都大学高等教育アクセシビリティプラットフォーム※クリックすると、発達ナビのサイトからpeatixの「発達障害の”障害”は、社会のどこにあるのか?」チケット申し込みページに遷移します。多様な人が使いやすいノート作りのノウハウに教員のアイデアを詰め込んで――帝塚山小学校オリジナルノートを共同開発Upload By 発達ナビニュース昭和5年創業、年間2千万冊以上のノートを製造する大栗紙工株式会社は、奈良県にある帝塚山小学校と共同で、自学自習用の「帝塚山ノート」を開発しました。同校では、子どもの学力向上のためには自ら興味関心を持って取り組むことが大切という思いから、進んで書きたくなる自学自習用のノートを作ることを起案。そんな折、大栗紙工株式会社の「mahora(まほら)ノート」を新聞紙面で知ったことが共同開発のきっかけでした。まほらノートは、発達障害当事者およそ100名の声を集めて開発された同社のオリジナルブランドです。「光の反射を抑えた中紙」「識別しやすい罫線」「シンプルなデザイン」が特徴です。白いノートが当たり前だと思われがちですが、「白色の紙がまぶしい」「罫線がわかりにくい」などが原因で書くことが苦手な人がいます。まほらノート開発には、少数派であってもそれぞれに抱える困りごとを解消したいという想いが込められています。まほらノートのノウハウを生かしつつ、同校教員のアイデアを詰め込んで、約1年間試行錯誤して完成したのが帝塚山小学校オリジナルの「帝塚山ノート」です。年齢に合わせて考えた自由につづりやすい罫線や、目にやさしい紙の色などに工夫が加えられており、自ら調べて発表する探求学習に意欲的に取り組む児童が増加傾向にあるそうです。まほらノートはオンラインストアで全国より購入可能です。発達障害がある子どもも含めて、誰にとっても使いやすいノートとなっています。夏休みの絵日記や日々の学習に、目に優しいノートを取り入れてみてはいかがでしょうか。帝塚山小学校の取り組みはこちら※クリックすると、発達ナビのサイトから「大栗紙工株式会社 まほらノート」の公式サイトに遷移します。限られた色の世界に広がる、限りのない表現――「モノクローム描くこと」東京都渋谷公園通りギャラリーにて2023年7月22日(土)~9月24日(日)まで開催Upload By 発達ナビニュースアートを通して、一人ひとりの多様な創造性や新たな価値観に人々が触れる機会を創出する東京都渋谷公園通りギャラリーでは、2023年7月22日(土)~9月24日(日)の期間にて「モノクローム描くこと」展が開催されます。「モノクローム描くこと」展では、モノクロームの限られた色の中で描かれる独自の世界観に注目し、描くことの本質を探ることをテーマに、7名の作家による絵画や立体など67点の作品が紹介されています。本展の見どころは、白黒のモノクロームが描き出す豊かな創造の世界です。国内外で多くの発表歴をもつ作家から、独自に創作を続けてきた近年の作家まで、7名の作り手によるモノクロームの独創的な表現による多数の作品を鑑賞できます。作品の色を白黒のモノクロームに限ることで、作家一人ひとりが描き出す独自の世界観がより際立って見えてくるのではないでしょうか。また、オーソドックスな描画材である木炭、ペン、墨汁のほか、紙の版で刷られる版画や針金の立体など、さまざまな画材や素材を用いて表現された作品の数々も見どころです。モノクロームという条件を絞ることで強いコントラストをもって見えてくる作品の新たな魅力、そして、「限られた色の世界に広がる、限りのない表現の世界」を、展覧会に足を運びご自身で体感してみてはいかがでしょうか。<詳細>会期:2023年7月22日(土)~9月24日(日)会場:東京都渋谷公園通りギャラリー 展示室 1、2開館時間:11:00~19:00休館日:月曜日(9月18日を除く)、9月19日(火)入場料:無料出展作家:岡元俊雄、高橋和彦、たぬきだ shin、西岡弘治、平瀬敏裕、堀口好輝、吉川敏明※クリックすると、発達ナビのサイトから「モノクローム描くこと」展の公式サイトに遷移します。日本No.1の子ども動画クリエイターを決めるコンテスト「全国小中学生動画コンテスト FULMA Creator Awards 2023」作品募集中!Upload By 発達ナビニュース子ども向け動画制作スクールを運営するFULMA株式会社では、次世代を担う小学生・中学生から才能溢れるクリエイターを発掘、育成し、子どもと社会をつなぐ、小中学生向け動画制作コンテスト「FULMA Creator Awards(フルマクリエイターアワード)」を開催。2023年6月1日(木)~9月2日(土)まで動画作品を募集しています。参加資格は、応募者または応募チームメンバー全員が、小学生または中学生であること。対象は3分以内の動画作品で、作品はアニメ・イラスト、ゲーム実況、コメディ寸劇、CG、商品紹介、ショートフィルムやミュージックビデオなど、ジャンルを問わず自由な発想で制作可能です。審査は「考える力」「伝える力」「つくる力」の3つの項目からなり、特に優秀な10作品は11月11日(土)に日本科学未来館(東京都江東区)で開催される最終審査会にて表彰されます。今回で第2回目となる同コンテスト。2023年のキャッチコピーは「ここは、君のための舞台だ」です。このキャッチコピーには「今の君だからこそ、心から感じる『思い』や『好き』、『やりたい!』といった感情を動画で表現してほしい」という想いが込められているそうです。今年の夏休みは、小中学生の今だからこそ表現できる動画制作にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。参加資格:応募者または応募チームメンバー全員が、小学生または中学生であること※ただし動画出演者はこの限りではありません。募集作品:企画・撮影・編集等、小中学生で制作した動画作品(3分以内)審査手順:1.中間審査(9月中)※非公開2.最終審査会11月11日(土)※一般観覧可能、オンライン配信予定募集期間:2023年6月1日(木)~2023年9月2日(土)表彰式日時:2023年11月11日(土)14:00~17:30 (予定)会場:日本科学未来館7階未来館ホール(住所:東京都江東区青海2-3-6)※クリックすると、発達ナビのサイトから「全国小中学生動画コンテスト FULMA Creator Awards 2023」の公式サイトに遷移します。LITALICO発達ナビ無料会員は発達障害コラムが読み放題!
2023年07月08日クラスメイトとのトラブルで加害者扱い、追い詰められていった息子わが家には男女の双子がおり、息子は9歳のときにADHDと自閉スペクトラム症のグレーゾーンと診断されました。娘は自閉スペクトラム症・ADHDともにグレーゾーンです。二人は同じクラスではなく、別のクラスです。息子は明るい性格で、自然と周りに人が集まってくる人気者タイプですが、多動と不注意の特性が強く、言葉で説明するのが苦手なところも。そんな性格もあってか、息子があるクラスメイトをいじめていると言われたことがきっかけで、学校への行き渋りが出るようになってしまいました。息子が小4になった1学期から、ある特定のクラスメイト・Aくんとトラブルになりました。Aくんは、ほんの少しぶつかっただけで「痛い!骨が折れた!」と言い、それに反論すると「あー、イジメだー、強い言葉で言われたー。先生!息子くんに叩かれた!イジメられた!」と大げさに報告されてしまいます。ほかにも息子の私物が勝手に使われてしまうこともあり、息子も困っていたようです。Upload By ユーザー体験談Aくんは、誰に対しても息子にしたのと同じように「イジメられた」と担任の先生にだけでなく、家庭でも話していたようです。Aくんのお母さまは「Aはいじめられている!」と学校へクレーム…。通っていた小学校では、遅刻するときは保護者が教室まで付き添わなくてはいけないというルールがありました。Aくんは遅刻しがちだったため、お母さまが教室まで付き添って一緒に登校することが多く、そうしたときにも先生へ詰め寄っていたそうです。Aくんから「イジメた」と名指しされた子どもは、授業中先生から廊下や別室呼び出されて、説教をされるという状態がほぼ毎日続きました。いろいろなクラスメートが呼び出されていましたが、回数は息子が一番多かったと聞いています。担任の先生は、Aくんとお母さまの言葉だけを聞いて、息子を責めました。「Aくんが〇〇と言ってるよ。息子くん、なんでそんなこと言ったの?」息子が言っていないことでも、息子の言い分は聞いてもらえず、叱られることが続きました。息子は説明がうまくできず、悔しく、歯がゆい思いをしたようで、基本的には明るく振る舞っていましたが、ふとしたときに弱音をはくようになってきました。1学期の個人面談では、「被害者がいじめられていると言えば、息子くんは加害者になるんです」「加害者(息子のこと)の意見は聞き入れられません。そう法律で決まっています」とも言われ、私はAくんとAくんのお母さま、そして担任の先生にも不信感を募らせていきました。「なぜ僕は学校に行かなきゃいけないの?」登校渋りが始まり、私は教育委員会へ2学期になると、周りがAくんに対して距離を取るようになりました。呼び出される子は限られ、あいかわらず息子が一番多く呼び出されるようになったそうです。そしてついに息子は「学校に行きたくない」と言うようになりました。「学校へ行っても、授業中に先生に呼び出されて授業も受けられない。やってもいないことで怒られるし、こっちの言い分は無視される…。何故僕はこんなつらい思いをしてまで学校に行かなきゃいけないの?」Upload By ユーザー体験談息子のつらい気持ちもわかるので、一日だけという約束で学校を休ませました。別のクラスの娘もAくんのトラブルは知っていたので「休みたくなるのも仕方ないよね」と同情してくれました。しかし、いざ休んだ息子は、一日中動画やゲーム三昧。私としては、勉強さえすれば学校に行かなくても…と考えていたのですが、自宅学習を全くやらないという状況にも困ります。でも明るい息子が「学校へ行きたくない」とまで追い詰められているのですから、休ませたほうがいいのかもしれないと迷いました。ただ私は連日休むことは許可しなかったので、翌日息子はなんとか登校してくれました。私は担任の先生に、AくんやAくんのお母さまだけでなく、息子や子どもたち当事者にも話を聞いてほしいとお願いしていました。しかし状況は改善どころか悪化する一方だったので、ついに教育委員会へ相談、そこから副校長先生へと話がつながりました。驚くことに副校長先生はこの件を知らず、担任の先生から、クラスがこのような状況にあることを報告していなかったことが明らかになりました。秋、副校長から謝罪があり、その後はAくんの件でなにかあれば、副校長が同席してくれるようになりました。お母さまから週3~5日くる電話も副校長が対応し、そのときAくんの言い分だけではなく客観的に見た状況についても伝えたそうですが、受け入れてはもらえなかったという報告を受けました。一方、別のクラスの娘は、校内や校外でAくんのお母さまから「Aを守ってね、味方になってね」、「あなたのお兄さんから無視されたのよ」など直接言われることがありました。妹は「違うクラスだから知らないです!」とかわしていましたが、娘にそのような言葉をかけてくるお母さまの行動に、不安になりました。息子の帰りが遅い…。まさかの待ち伏せで息子の心に傷が…3学期のことです。夕方用事があったため、息子と娘には寄り道せず帰るように伝えていました。しかし先に帰ってきたのは娘一人。息子は?と聞くと、「途中で抜かして来た」と言います。それならばすぐ帰ってくるだろうと待っていたのですが、なかなか帰ってきません。20分ほどしてやっと帰ってきたと思ったら、息子の表情は真っ青!そしておびえながら今あったことを教えてくれました。娘に抜かされた後、友達と少し遊んで帰路についた息子。もうすぐ家に着くという場所で、Aくんのお母さまが家の近くで立っているのに気がつきました。すっと通り過ぎようとしたところ、お母さまに制止され、「Aをいじめてるでしょ?いじめないで!」と詰め寄られたのだそうです。びっくりした息子が防犯ブザーを鳴らそうとすると、それも制止されてしまい、何度も何度も同じ言葉をかけられたそうです。やっと手を離してくれた瞬間、息子は走って逃げ帰りました。Upload By ユーザー体験談息子はこの一件のあと、よくうなされて夜中に起きることが増えました。本当に怖かったのだと思います。それからは、私が迎えに行くことを条件に登校はしてくれましたが、Aくんのお母さまはよく学校内にいて、息子だけでなくいろいろな子に「いじめないで!」「Aを守ってあげて!」と声をかける姿があったそうで、それを見かけるたびにわが子たちは不安な気持ちになったといいます。クラス替えで別のクラスに。大人をもう一度信頼してもらうために5年生になると学校の配慮でAくんとは別のクラスになりました。Aくんとの接点がなくなり、息子もどうにか登校しています。新しい担任の先生は、友人間でトラブルがあっても双方の意見を聞いてくれ、どちらかを一方的に悪者にすることはしません。ですが、息子の傷は深く、「先生」という存在への不信感を持ったままで、ほんのちょっとした注意を受けただけでも、「やっぱり僕の言うことは誰も聞いてくれない。僕だけが悪者」と悲観的にとらえ心を閉ざしてしまいます。そういうときは、私も担任の先生から話を聞いて、息子が納得できるまで話をしています。Upload By ユーザー体験談今後もできる限りフォローをしていき、先生や大人の中にもたくさんの味方がいるということを信じてもらいたいと思います。息子には人の痛みがわかる優しさと、自分と自分が大切に思う人、自分を大切に思ってくれる人を守れる強さを持って、一歩ずつ成長していって欲しいと思います。イラスト/星河ばよエピソード参考/みゆねこ(監修:新美先生)学校での子ども同士のトラブルについては、どちらにも自分視点の言い分があり、客観的なジャッジというものがしにくいことがあります。学校の対応として大切にしていかないといけないことは、どちらも守られるべき子どもであるという視点であり、どちらか一方を悪者にして厳しく指導して解決することはありえないということです。トラブル時はどちらの子どもも守られるべきです。このためには、トラブルが繰り返される場合は、担任の先生ひとりで抱え込まず、複数の先生に関わってもらい、子ども双方をそれぞれに守って育める体制を作ってもらう必要があります。筆者さんが書いていただいたように、担任だけでなく、学校の校長・副校長・教頭先生などの管理職にも早めに相談し、学校全体で対応してもらうのがよいと思います。保護者としては、自分の子どもの言い分をまずはしっかり聞きましょう。聞き取りは、強く聞いたり誘導したりすると本音が言えなくなってしまうことも多いです。「何があったの?」「どう思ったの?」と聞いても答えにくい場合、選択肢をあげたり、図に書いて整理したりということで、答えやすくなることもあります。聞き取りした内容は学校に伝えてまずは学校に対応をゆだねましょう。直接相手のお子さんや保護者とやり取りすると、かえってトラブルが大きくなることも少なくありません。状況によっては、こちらは悪くないのに理不尽だと感じたとしても子どもを守ることを優先して、一時的に避難することも必要になるかもしれません。嫌な記憶の塗り替えがしづらいお子さんもいるので、早めの対処が肝要です。一時的につらい目に遭ったとしても、適切に守ってもらえたと実感できれば、心の傷も徐々には癒されて、人への信頼もとりもどしていけると思います。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2023年07月07日発達に遅れがあるとは思ってもいなかった0~3歳までの長男Upload By プクティ長男は生後1ヶ月で首が座ったり、5ヶ月でハイハイを始めたりと、体重も大きめ成長も早めな健康児でした。言葉も1歳になってから単語が次々と出てきて、気づけば2語文を話すようになり、2歳になると3語文をすらすらとしゃべっていたので、このときは特に発達に遅れがあるとは夫も私も全く思いませんでした。それに1歳半健診や3歳児健診のときも、何か発達について指摘されることもありませんでした。Upload By プクティ3歳で幼稚園入園、初めての集団生活。ところが…生まれてからずっと自宅保育で育てていた長男も3歳になり、いよいよ幼稚園へ通うことになりました。このままスムーズに幼稚園生活が送れる、そう思っていたのですが…。Upload By プクティ入園当初は登園を渋ったり、制服を嫌がったりしていた長男でしたが、徐々に慣れてくれて問題なく登園できるようになりました。幼稚園ではどのように生活しているのか気になっていましたが、入園から1ヶ月たったころに保育参観があり、幼稚園での長男の様子を見られることになりました。当日はとても楽しみに園へ向かったのですが、そこには目を疑う光景がありました。入園して最初の保育参観で目にした光景は…Upload By プクティそこには椅子に座らず、上履きも履かず、床に寝そべる長男の姿がありました。ほかの子どもはきちんと先生の言うことを聞いて歌ったり踊ったり、製作したり。長男はどれにも参加することはなく、ときには教室を出て行ってしまう場面もありました。その姿を見てショックではありましたが、このときはまだ入園してすぐでしたし、保育園へ行っていない長男には初めての集団行動、さらには早生まれということもあるので、これから徐々に慣れていってくれるだろうとあまり重く考えてはいませんでした。保護者面談で告げられた、予想外の言葉そして、1年目の園生活も後半にさしかかったころ、保護者面談の機会がありました。長男がどのくらい園で成長しているのか先生に聞くのを楽しみにしていたのですが、先生から伝えられたのは思いもよらない言葉でした。それは…入園当初から長男の様子は変わっていないということ、そして発達支援センターに連絡をして療育に通ってほしいということでした。Upload By プクティこのとき初めて長男に発達の遅れがある可能性を知り、その後発達支援センターや療育医療センターへ通った結果、長男に知的発達症があることが発覚したのでした。知的発達症と分かってからもいろんな問題や出来事がありましたが、徐々に成長もしている長男。そんなわが家のエピソードをお届けできたらと思います!執筆/プクティ(監修:室伏先生より)知的発達症と診断されるまでの長男さんのご様子とプクティさんのお気持ちを共有してくださり、ありがとうございました。予想していない検査結果、診断で、受け止められるまでの葛藤やご不安があったことと思います。お母さま、お父さまというのはさすがで、お子さんの伝えたいこと、想いを汲み取るのがお上手ですし、お子さんも言葉で伝えられないことをジェスチャーなども駆使して上手に伝えてくれることもあるので、ご家族との間ではコミュニケーションに困っていないことも多く、ご家庭で気がつくことは難しい場合もあるかと思います。言語の発達については、1歳~1歳半ごろまでに単語の発語がみられ、2歳ごろには2語文が出てきます。このころまでに、簡単な指示に従う、「〇〇どれ?」の問いに指差しで答える、身体のパーツの名称を理解する、などができるようになります。3歳では、3語文が出てくる、自分の名前が言える、大小や長短などの形容詞や色の理解ができる、などが可能となってきます。4歳では、同じ年代のお子さんと言葉でのやりとりができるようになってきたり、数概念(3こちょうだい、などの指示に応じられる)の理解も進んできます。5歳になると、じゃんけんなどの簡単なルールが理解できるようになったり、左右の理解、ひらがなの読みなどが進んできます。個人差もありますし、年齢が進むにつれて遅れが目立ってくることもあり、健診では指摘されないこともあります。ご不安や違和感を感じられたら、まずは園の先生にお話を聞いてみるでもよいでしょうし、発達相談の窓口へも気負わずにご相談いただけるとよいかと思います。今後もプクティさんからのエピソード、楽しみにしております。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年07月06日わが家は三人姉弟。広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある中1長女と弟の関係は…広汎性発達障害(自閉スペクトラム症)のある娘は、中学1年生。2人の弟(長男・小学1年生、次男・1歳9ヶ月)がいます。人に子どもの年を言うと…Upload By SAKURA「一番上が中学生なら楽だね!」「下の子の面倒見てもらえるね!」と、よく言われます。一般的には、中学生となると、もう1歳児を任せてもいいような年齢でしょう。私が住んでいる沖縄では、子だくさんの家庭が多く、一番上と一番下の年齢が離れているのは珍しいことではありません。Upload By SAKURAそのため、一番上の子が下の子を抱っこして買い物していたり、遊び相手になったり、率先して面倒を見ている場面をよく見かけます。しかし、わが家で一番上の子にあたる娘は、小さい子どもの相手、世話がとても苦手です。小さな子どもが嫌いなわけではありません。弟たちが産まれたとき、とても喜んでいましたし、次男が産まれたばかりのころは、ミルクをあげたい!と言ってくれたり、ゲップをさせてくれたり、眠る次男を「かわいい!」と言いながら、長い時間見つめていたほどです。弟たちのことが大好きですし、よそのお家の赤ちゃんを見かけると、「かわいい~!」と寄っていくほどなのですが…小さい子どもにどう接していいか分からないのです。Upload By SAKURA娘はコミュニケーションが苦手という特性があります。・話すことが苦手自分の気持ちを言葉にして、相手にスムーズに伝えることができないため、時間をかけて聞かなければ、娘の気持ちを全部聞くことはできません。・察することが苦手周りを見ることが苦手なため、人に合わせることも難しいです。人を見て、気持ちを想像することが苦手なので、相手がどんな気持ちか、言葉にして代弁するフォローが必要です。そんな苦手を持つ娘にとって、まだしゃべることができない次男は、苦手要素の塊。くわえてコロコロと気分が変わる、イヤイヤ期の次男。そんな2人は…Upload By SAKURA状況から察して、今邪魔したら嫌がるのでは?という相手の気持ちの想像がつかなかったり…Upload By SAKURAうまくしゃべることができないながらも、何かを伝えようとする次男を見て、そのときの周りの状況から、次男が言いたいことを推理することができなかったり…。ちょっと関わるだけでも、うまくいきません。娘に次男を見ているように頼むと…Upload By SAKURA見ててと言えば、本当に見るだけ。まだ寝返りもしない赤ちゃんだったころは、「見る」だけでもよかったのですが、自我が芽生え、イヤイヤ期のいたずらっ子である1歳児の次男は、見るだけでは足りません。中学生ともなると「見ててね~」と言うだけで、ある程度は伝わりそうなものですが、娘の場合、「見る」という言葉に含まれた意味と、具体的な内容を言葉にして伝えなければいけません。Upload By SAKURA短時間でも次男を娘に任せるときは、何をどうしてほしいかなど具体的な話をする必要があります。娘に、次男の着替えを頼むと…Upload By SAKURA1歳児は自分から動いてくれないという想像がつかず、いつまで待っても着替えが終わりません。次男と遊んであげてと頼むと…Upload By SAKURA遊び方が分からず、何も始まりません。次男のそばにくっついて回るだけなので、次男は嫌がって逃げてしまいます。娘に遊び相手を頼むときは「絵本読んであげて」や「ブロック出して、何か作ってあげて」など、具体的な内容を言う必要があります。なかなか次男の気持ちが分からない娘…私は娘の特性を分かっているので「仕方ない」と思う部分もあるのですが、周りの人からはどう見られているのか気になるところもあり…。「周りの人に娘のことをどう説明したらいい?」と、ちょっとモヤモヤしたエピソードはまた別のコラムで書いていければと思います。(監修:初川先生)きょうだい関係の中で、あーさんの特性がどう表れているかのエピソードをありがとうございます。あーさんは「察する」ことが難しいぶん、SAKURAさんや周りの大人が具体的な指示を出さないと、「多くの場合、こうするよね?」という察してほしい行動に至らないのですね。こういうときには、こうしてね。そうしたパターンも、下のきょうだいのお世話となると、きょうだいも日々成長していくため、この間はそれでよかったけれど、今はもうその段階じゃないということの連続、結果として臨機応変状況の連続となり、なかなかASD特性がある方にはつらいかもしれないですね。私はこのエピソードを読んでいて、「周りにどう思われるか」よりも、あーさん本人はどう思っているのかのほうに関心を持ちました。きょうだいが生まれ、かわいいと思っていても、なかなかうまくお世話ができない、成長してきてもまだお互いいい感じで仲良くできない。そのあたり、「小さな子どもは苦手だ」になっていないといいなぁと感じました。SAKURAさんが書かれていたように「小さい子どもにどう接していいか分からない」、そこを大事にしたいなと感じました。あーさんは分からないときに聞けるか、分からなそうなら周りの人はあーさんに分かるように教えられるか。あーさんの特性を尊重したうえでそうしたコミュニケーションが多く生じるといいなぁと感じます。地域のほかのお子さんらのように、自ら察して、自分から小さな子のお世話ができるといいのはその通りなのですが、しかし、それをあーさんに求めすぎると特性とのはざまでつらくなってしまわないだろうか、とも感じました。あーさんにはあーさんのペースや得意とするやり方、そして、初めてのことや曖昧なことに対しては具体的な行動を示されると取り組みやすいという特性がありますね。何よりあーさんもまだまだ成長の途中です。ほかのお子さんと比較するよりも、あーさんの成長や歩みを見ていくことこそ、あーさんにとっても、安心して大好きななーさんとの関わりが充実していくように感じます。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2023年07月05日長期のお休みは「大変だけどありがたい」もの!?Upload By 丸山さとこ息子のコウが小学生になったときから中学生の今まで、私は在宅で仕事をしています。そのため、コウは夏休みなど長期休暇の間は学童などを利用せず概ね家で過ごしています。「ねーお母さん」「あのさー、この間さー」「〇〇食べていい?」が延々と続くため、仕事がはかどるとは言い難い状況になりますが、私はコウが長期休暇に入ると「楽だな~!」と感じます。理由は簡単で、夏休み中は『明日の支度』と『毎日提出する宿題』がなくなるからです。ASDとADHDがある息子のコウはコンディション次第で宿題にかかる時間がかなり変わります。早いときは5~10分で終わるプリントが、長いときには2~4時間かかったりします。長くかかるときは、気が散ってずっとおしゃべりをしていたり音楽を聞いたりしているときもあれば、ただボンヤリと固まっているときもあります。プリントに一本線を引いては机に突っ伏し、消しゴムを握っては溜息をつき…なんてこともあります。そんな彼が『毎日の宿題』を安定してこなすのはなかなか大変で、たった1枚のプリントを相手に親子で燃え尽きる日もたくさんあります。Upload By 丸山さとこそんな風に日々宿題に振り回されがちなコウと私ですが、夏休み中はコンディションのよいときにだけ宿題を進めればよいので、「それだけでも助かるな~!」と感じます。コンディションがよいからといって自分から夏休みの宿題をサクサク進めるということはほとんどありませんが、親が近くで様子を見たり手を貸したりすれば進むだけでかなり助かります。Upload By 丸山さとこまた、夏休み中は学校から宿題の一覧表が配布されるため、『宿題のためのノートやプリントを持ち帰り忘れた』場合もすぐに気づけるのもありがたいです。コウは連絡帳の書き忘れや持ち帰り忘れが多いため、普段は宿題が出ているのかどうかすら分からない状況になりがちです。宿題の一覧表があると『宿題の範囲・提出期限』がハッキリ分かるため、親からの確認やフォローも行いやすくなります。生活リズムや宿題の大まかな計画は決めつつ、ゆるゆると…このように、私とコウにとって夏休みなど長期休暇のいいところは『時間の融通がきくところ』なのですが、それはともすれば時間管理のルーズさという困った要素にもなりかねません。ですので、食事時間や就寝時間などの基本的な生活リズムや『いつまでにどのくらい宿題を進めるか』などの大まかな計画は決めることを大切にして、可能な範囲でゆるゆると夏休みを過ごしていこうと思っています。Upload By 丸山さとこ執筆/丸山さとこ(監修:井上先生より)在宅ワークの親にとって長い夏休みは子どもといる時間が増えるため、互いにストレスがたまることもあるでしょう。一方、子どもさんにとっての長期休暇は日ごろの学校ルーティンから解放される意義ある時間です。ただ予定がないと不安になったり、優先順位がつけられなくなってしまうので、時間的余裕が生まれるメリットを活用しつつ生活時間の中で子どもの体調に合わせたスケジュールを工夫したり、日ごろはできないお手伝いや調理などを学ぶ機会にするのはとてもよいことだと思います。また親御さんのストレスを軽減し自立できるようにするためには、子どもさんが1人で取り組めるような活動や空間を用意することも重要でしょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年07月04日3歳児の発達の目安は?わが子の多動の原因は?ADHDの可能性がある?3歳ごろの子どもは、基本的な運動動作が一通りできるようになり、生活習慣の自立も進みます。ことばによるやり取りもできるようになり、社会性も育ってきて、徐々にお友達と関わりながら遊ぶことも増えてきます。3歳になって、幼稚園に入園するなど初めての集団生活を経験することになり、わが子とほかの子どもの様子を比べて「わが子は多動かもしれない…」「もしかして、ADHDの可能性がある?」と気になる方もいらっしゃるかもしれません。このコラムでは、・3歳児の多動の原因・多動と発達障害の関連性・困ったときの相談先などをご紹介し、多動にまつわる保護者のお悩みや困りごとなど専門家の先生にアドバイスいただきます。【小児科医に聞く】3歳児の「多動」に関する悩みーー落ち着きがない、集団行動が苦手、発達障害との関係は?医師が回答(質問)3歳の子どもがじっとしていられず、外でもすぐ走り出してしまいます。落ち着きがなく、幼稚園に入れるのか不安です。多動は、もう少ししたら落ち着くのでしょうか?(回答)3歳だと、自宅など家族がいる場面では落ち着きがないように見えても、幼稚園や保育園などでは落ち着いて過ごせているお子さんもいます。しかし、家でも外でも落ち着きがない場合には、心配かと思います。多動が落ち着く時期は、お子さんによってもさまざまです。多動の原因は、さまざまな要因が組み合わさっていることがあります。注意欠如・多動症(ADHD)などの脳の発達・機能の異常が関与していることがあります。ADHDに自閉スペクトラム症や知的障害が併存していることによる場合もあります。また、家庭環境の不安定さ、過度のストレスがかかったなどの環境要因が関連することもあります。言葉の遅れがあり、落ち着きがない場合には、言葉の発達に伴って落ち着いてくることもあります。言葉が遅れていないが、落ち着きがない場合には、いろいろな物事に興味が移り変わりやすく、多動が長く続くこともありますが、小学校の中学年以降には多動は落ち着いてくると言われています。幼稚園や保育園での集団生活で、お集まりのときにじっとしていられないなどがある場合には、発達支援センターやかかりつけ医に相談することをおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)幼稚園の年少(3歳児)の子どもが、落ち着きがなく、指示も通らず、集団行動ができません。どのくらいの程度の多動の場合、発達障害の可能性が考えられるのでしょうか?医師に診てもらったほうがいいのでしょうか。(回答)まだ3歳ですとADHDなどの発達障害の可能性があるかどうかは、判断がつけられません。じっとしていられない、静かにすべきところで静かにすることができない、気持ちのコントロールがつきにくく癇癪が激しい、物の扱いが乱暴、動きが多く目が離すことができないなどの様子から、ADHDの疑いがあるということで、専門機関に相談されることがあります。入学前でも、家や園でも落ち着きがなく、日常生活や園生活に支障がある場合には、専門機関に相談することをおすすめしています。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもがじっとしていないので、買い物や外食にも行けません。子どもの発達のことを相談できる人もおらず、不安です。(回答)じっとしていないと、買い物も外食にも行きにくいですね。多動が激しい場合、外出先で注意ばかりで疲れてしまうというお声を聞くこともよくあります。外出先でお子さんがじっとして待つのが難しく、負担がかかる場合には、お子さんが園などに行っている時間内に用事を済ませるのも良いでしょう。一緒に行かざるをえない時には、○分買い物をします、など見通しを立ててから出かけ、少しでも待てたら、待てたねと、できていることに注目して声をかけましょう。しかし、まだ3歳ですと、待つのも難しいときも多々あるかと思います。買い物や外食が、親子一緒に必ず行かなければならないものなのか、お子さん・親御さんに負担がかかるものではないかを振り返ってみましょう。声かけなど工夫しても、お子さんが落ち着かず、対応について困る場合には、幼稚園・保育園の先生、保健センター、かかりつけ医、地域の発達支援センターなどに相談すると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホン多動にまつわるコラムコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年07月03日努力をするのが発達障害当事者だけというのは、アンフェアでは?そこからスタートしたオールマイノリティ・プロジェクトUpload By 発達ナビ編集部All Minorities Project(オールマイノリティ・プロジェクト)は、発達障害の当事者が社会的孤立・孤独に陥らないフェアな社会の実現を目指すプロジェクトです。本プロジェクトの代表である千葉大学の子どものこころの発達教育研究センター大島郁葉先生にお話を伺いました。LITALICO発達ナビ編集部(以下――)オールマイノリティ・プロジェクトとはどういうものか教えていただけますか?大島郁葉先生(以下大島先生):オールマイノリティ・プロジェクトは、「社会的孤立、孤独の予防」をテーマにした五ヶ年計画のプロジェクトです。マイノリティの中でも、発達障害のある方に着目しています。私の専門は自閉スペクトラム症(ASD)で、支援者の1人として発達障害のある方と関わることが多いのですが、努力をするのが当事者だけというのはアンフェアではないかとずっと考えていました。なぜなら、 発達障害のある方たちが感じるつらさの一部は、マイノリティの人たちへの無配慮であったりとか、偏見、差別といった非常に心理社会的な問題であったりします。ですが、マジョリティ※1はそれに気づかず、ただ当事者の方たちが一生懸命適応しようと頑張っている状況だからです。例えば、通常学級に在籍している場合、当事者は通常学級に合わせようとかなり過剰適応していたりします。その上、かなりのコストをかけて、心理療法やさまざまなトレーニングを積ませるのは、アンフェアです。ですので、このプロジェクトを機に、当事者の方たちを努力させるのではなく、周りのマジョリティがマイノリティとの非対称性を認知し、悪意なくおこなってしまう差別的な言動に気づく仕組みづくりをしたいと考えています。われわれが生きる社会は、片方に権力が偏ることなく、それぞれみんな等しい人権を持つべきです。みんながマイノリティであるという社会にしていった方がいいという想いを込めて、「オールマイノリティ」という言葉を使いました。※1 マジョリティとは、「多数者」や「多数派」を意味する言葉ですが、単純な人数の多さだけではなく、「強い発信力がある」、「優位な立場にある」といった、より多くのパワー(権力)持つグループを指す場合もあります。オールマイノリティ・プロジェクトでは、後者の「強い発信力がある」、「優位な立場にある」という意味でマジョリティという言葉を使用しています。――仕組みづくりとは具体的にどのようなものになるのでしょうか?大島先生:マジョリティ、例えば支援者たちがマイクロアグレッション、つまり見えない差別に陥らないような、心理教育のためのツールを作りたいと思っています。具体的に言うと、何回か研修会を実施した上で、自分のマジョリティ性や、マイクロアグレッションの癖みたいなものを確認できたり、あのときの発言はどうだったとか自分で振り返れるようなセルフモニタリングできるアプリです。われわれ支援者は、支援するスキルはある程度持っていますが、実は当事者に対する偏見とか見えない差別に対しては、全くといっていいほど教育を受けていません。ある意味本人次第で対応しているところがあると思います。そんな中、このアプリを使うことで、自分で気づいて発言や行動をコントロールできるようになれば、当事者の方たちが不当な扱いを受けることを減らすことができます。また、支援者だけでなく保護者の方やそのほか多くの方にご利用いただき、自分の行動がマイクロアグレッションになっていないかご確認いただきたいです。これを本プロジェクトの5年後のゴールとしています。Upload By 発達ナビ編集部――とても興味深いアプリですね。このアプリはマジョリティ向けとのことですが、発達障害当事者の方も使えますか?大島先生:そうですね。当事者の方も使うことはできるとは思います。「私はやっぱり嫌なことを言われていたんだ」と気づけることがあるかもしれません。そこで「仕方ないって思わなくてもいいんだ」と知って、役立てていただきたいです。「なんでできないの?」「普通に見えるね」。当事者が日常的に受けているマイクロアグレッションに多くの人は気づいていない――先生が実際に見たマイクロアグレッションには、どのようなものがありましたか?大島先生:まず多いのは、「なんでできないの?」でしょうか。私は成人や思春期以降の方にお会いすることが多いんですけれども、みなさん口を揃えておっしゃるのが「みんなと一緒にできない」ということです。ほかの人ができないことができてしまう場合もありますが、自閉スペクトラム症のある方で、みんなが当然のようにできることができなかったりすると、「なんでできないの」と悪気がなくても言われることが多いです。そう言われた当事者は「自分は劣った人間なんだ」と、自分の中で結論づけてしまいます。また、変に解釈されてしまうこともありますよね。みんなと一律にできないことを、先生が「わがまま」と決めつけたりすることなどです。以前、大人の当事者の方が話してくださったのですが、小学校のとき(過敏などの特性があって)給食をほとんど食べられなかったら、先生から「そんなんじゃ小さいまま成長が止まって、大人に一生なれないよ」と言われたそうなんです。他にも「親のしつけが悪い」と親のせいにされたりとか…。人を傷つける、許してはいけない言葉です。大人の場合は、「あなたは自閉スペクトラム症の中でも優秀な方だよね」とか、 「発達障害でもきっと幸せになれるよ」といったことを言われる場面もあります。これらには『発達障害は幸せじゃない』というメッセージが隠れています。ほかにも「普通に見えるね」、「全然バレないから大丈夫」、「第一印象いいから大丈夫だよ」。こうした言葉も、一見褒めているように思われがちですが、『発達障害があると嫌われるけど、バレてないから平気だよ』というメッセージがその背後にあります。言われた本人は非常に気持ち良くないですし、傷つく言葉です。ほかにも、実際に言われた言葉だけではなく、例えば本のタイトルなどでよくある「発達障害を克服する」とかは、克服しなければいけないものだと考えているということですし、カサンドラという言葉は「人に迷惑かけるんだ」というメッセージになります。あと、ドラマなどで、”発達障害のある方の役柄が天才”ということもよく目にするのではないでしょうか。そうした、ステレオタイプのキャラクターが実は多いですよね。それをみて「自分は天才じゃないから意味はない」と思わされるということもよくありますね。こういったマイクロアグレッションはあらゆるところに転がっていて、それを毎日毎日当事者たちは受けているのが現状です。Upload By 発達ナビ編集部――発言した当人も、相手を傷つけてしまうことに気づいていないものもありそうです。もし、このようなマイクロアグレッションを受けた場合、当事者はどのように反応するべきなんでしょうか。大島先生:とても健康的で自信がある人ならば「それは違うんじゃない」、「それはこういう意味に捉えられて嫌なんですけど」と言い返せればいいのですが、そういうことができる人はほんの一部だと思います。あとは、「違うよね」とディスカッションできる理解者、仲間が近くにいると、認知的変容ができるかもしれません。ですが、いない場合は難しいでしょう。セクハラやパワハラと一緒で、マイクロアグレッションを受けた側はメンタルヘルスが阻害されて、落ち込んだり傷ついてしまいます。また、権力を持っている学校の先生や支援者といったマジョリティの方を、発達障害の人は上に見てしまいます。そうすると、パワーがある人たちが言っていることは正しいし逆らえないと思ってしまい、彼らから言われた言葉を「私はそうなんだ」と信じてしまいます。ですので、やはりマイクロアグレッションがないことが1番ですね。――オールマイノリティ・プロジェクトのホームページにある”COMIC”というコンテンツの中にマイクロアグレッションをテーマにしたマンガがありますよね。この中で、発達障害があることを告白した方が、悪意のないマイクロアグレッションを受けていますが、先生だったら、発達障害だと告白された場合、どのように答えるのが適切だと思われますか。大島先生:そうですね。「そうだったんだ、知らなかった」とか「言ってくれて ありがとうね。なにか気をつけることあったら教えてね」という感じがいいでしょうか。相手との関係性によってかける言葉も違いますので、あまり親しくない人か言われたらちょっと慌ててしまう人が多いと思います。 どう答えるかは難しいですね。このマンガにあるように、悪気のない行動でも、マイクロアグレッションとして成立してしまいます。このように起こりうるものだと自覚すること、悪気はなくても当事者にはすごくダメージがあることを知識として社会が意識していけるようにしたいですね。――ありがとうございます。障害は当事者ではなく、周りの方にあるというお話につながっていくと思いました。相手に合わせる「社会的カモフラージュ」で、発達障害のある方たちは疲弊している――2023年4月23日(日)に開催された本プロジェクトのシンポジウム「マイノリティに対して、社会の認知や行動は変容するか?」では、発達障害のある方たちが取る社会的カモフラージュに触れていらっしゃいました。こちらについても教えていただけますか?Upload By 発達ナビ編集部大島先生:社会的カモフラージュとは、自閉スペクトラム症の方たちが定型の社会に馴染むために取るような、 普通の人のような振る舞いのことを指します。例えば 、大して興味はない流行りのものをみんながいいねと言っていたら「そうだね」と合わせる、といったことです。仲間づくりをしたいとか、嫌われたくない、印象良くしたいという思いは誰でもあります。普通でないもの、つまり異質なものは世間から排除されてしまいがちですので、その異質さを消すように印象を管理し、周りに合わせて振る舞う。自分に対する批判や攻撃を避けるための行動ですね。――定型発達と言われる人も、そのような行動をとることはもちろんあると思います。ですが、やはり発達障害のある方たちの場合は、心身への負担感が違うのでしょうか。大島先生:そうですね。調査の結果、発達障害のある方の社会的カモフラージュは定型発達の方より非常に多く、長時間行っていることが分かっています。また、特性的にも、やりたくないことをやることに苦痛に感じる方たちです。このカモフラージュ行動自体非常にストレスです。よくも悪くも柔軟な定型発達の人であったら、まあいいやと本心では違うと思っていても、周りに合わせたりできますが、自閉スペクトラム症のある人が無理をしてそのような行動をとると、嫌だったという感じがずっと残ったり、過剰な負荷によってメンタルヘルスに非常に悪影響を与えてしまいます。つくり笑い一つとっても、意識して顔の筋肉を動かし、一生懸命笑顔をつくることはとても疲れると教えてもらったこともあります。マイクロアグレッションの概念が出てきたのは、10年ぐらい前です。社会的カモフラージュはここ5、6年ですね。海外のコンテンツですとマイクロアグレッションの動画や解説は結構ありますが、日本にはほとんどありません。日本では当事者の人権をどう守るかという視点が遅れていますので、このプロジェクトで多くの人にこれらのことを知っていただきたいと思っています。――日本もこういう知識をきちんと得て、マイノリティを含むすべての人々が生きやすい社会をつくっていくっていくことがとても大切だと思います。最後に、LITALICO発達ナビの読者へ、メッセージをお願いします。大島先生:現在の日本の一般的な公教育は、定型発達、マジョリティの人にとっても画一的で非常に厳しい面があると思います。私は、発達障害のある方たちがこの公教育に適応しなければいけないとは到底思いません。たとえ頑張って適応できたとしても、ストレスが溜まってしまい、幸せで楽しく、自発的に好きなことに取り込むという日々から遠ざかってしまうからです。お子さんが学校生活に適応しづらいと思い詰めている方がいらっしゃったら、どうか思い詰めずにお過ごしいただきたいです。また、診断があるお子さん、ないお子さんともに、個性的な面が多分におありになると思います。「もっとこうできれば」と思うとそこに目がいきがちですし、親御さんはさまざまなことが気にかかりでしょうし心配してしまいますよね。それがお子さんの長所だとしてもです。私の専門は自閉スペクトラム症ですが、自閉スペクトラム症のあるお子さんから大人まで一貫して言えるのが、みなさん本当に素直で誠実で、裏表なく、人間として素晴らしい素質がいっぱいあるということです。そういったところを見てあげるといいと感じています。――ありがとうございました。※クリックすると発達ナビのサイトから『オールマイノリティ・プロジェクト』のページに遷移します。Upload By 発達ナビ編集部開催日時<リアルタイム:当日参加>2023年7月23日(日)13:00〜16:30※12:50開場予定。前後することがあります<見逃し配信>2023年7月23日以降設定完了次第~8月23日(水)23:55開催方法ウェビナー形式(Web会議システムZoom)参加費無料内容第1部:基調講演「発達障害のある人の社会的孤立・孤独とマイクロアグレッション」大島 郁葉 さん(千葉大学子どものこころの発達教育研究センター 教授)第2部:パネルディスカッション「青年期・成人期において、発達障害の"障害"は社会のどこにあるのか?」<パネリスト4名>堀口 里奈 さん(筑波大学大学院生)村田 淳 さん(京都大学学生総合支援機構 准教授)大島 郁葉 さん(千葉大学子どものこころの発達教育研究センター 教授)佐々木 銀河 さん(筑波大学人間系 准教授)※モデレーター※クリックすると発達ナビのサイトから『一般公開WEBイベント「発達障害の"障害"は、社会のどこにあるのか?」』の申し込みページに遷移します。
2023年07月02日中学生になったウッシーヤは問題続出いまからおよそ13年前の、次男ウッシーヤが中学生のときのエピソードです。わが家は家系的に第二次成長期がゆっくりおとずれるようで、だいたい高校以降です。現在は大柄なウッシーヤも、中学1年生のころは小柄なほうでした。中学生になったウッシーヤは、まだ指しゃぶりもあり、学力は小学3年生レベルのまま足ぶみが続いており、周囲との差が開いていく一方でした。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤは中学1年生の秋に、学校を揺るがす大事件を起こしてしまいました。私は、子育てが悪いのでは、もっと厳しくしつけるべきだったのでは、と思い悩み自分を責めていました。担任と校長先生を交えて相談した結果、専門家の力を借りるのがいいだろうということに決まりました。学校から紹介された教育センターの専門家と面談したところ、「アスペルガー症候群(※今でいう自閉スペクトラム症)かもしれない」と告げられました。驚きつつも、いただいた資料を読むと心あたりのある症状が90パーセント以上ありました。さらに資料を取り寄せて読みこむと、ウッシーヤにはほかにも発達凸凹の特性があることが分かってきました。さらに、わが家のほかの子どもたちにも発達凸凹の特性があることに気がつきました。ずいぶん気づくのが遅れましたが、当時は情報や支援が現在ほど充実していませんでした。特に夫ラクマはかなりショックを受け、発達障害の可能性があると知ってから3日間、一睡もせず資料を読んでいました。しかも、その間中泣いているのです。資料にある内容があまりにもわが家の子どもたちに当てはまる上に、子どもたちを追い込んで学校や職場でトラブルが絶えないのは父親である自分の責任だと強く感じていたのでした。周囲の友人たちからは「ラクマ家で誰か不幸があったのか?」と心配されたほどでした。でも私はこれまでの問題の原因がはっきりと分かり、しかもこれが子育てが悪いためではないと知ってホッとしました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ専門家からの告知で子育ての方向転換教育センターでの面談から3ヶ月ほど待って、ようやく発達外来を受診することができました。なにごとにもマメな性格のラクマは、これまでのいきさつをパソコンでまとめて病院に提出しました。すると担当医から「ウッシーヤ君は本当に発達障害なのかは分からない」と言われ、ものすごく驚きました。しかし、担当医は続けて「診断は出せると思うが、(検査などで)時間はかかる。(診断が出れば)お子さんの状況によっては薬の処方も可能になる」と説明しました。いま思えば、当時の担当医もまだ発達障害に関する知識が乏しかったのだと思います。のちに調べてみると、たしかに発達障害はその原因やメカニズムが医学的にまだ不明な部分も多いこと、診断が難しいこと、さまざまな要因があり、必ずしも遺伝するものではないことなどが分かってきました。病院での診察を終え、自宅に戻って夫婦でこれからのことを話し合いました。結果として医療のみではなく、何か別の方法も探してみようということになりました。というのは、ほぼ同じころ、仕事上の悩みを抱えていた長女ニャーイを心療内科に連れていったところ、「うつ病」と診断されました。薬を処方され、その後半年間、休職して自宅療養しましたが、処方された薬が合わなかったのか、何度か命の危険すら感じることもありました。すでに成人したニャーイにこれほど薬が合わないなら、まだ中学生のウッシーヤはどうなるのかという不安があったのです。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤには資料で見つけた工夫を重ねました。その中で一番うまくいっていまも使っているのが、わが家で「ボード」と呼んでいる工夫です。マグネット式のボードとカードを用意して、やるべきことを書いて並べて、やり終えるとひっくり返します。すると「できた!」という文字が現れます。勉強で使うファイルは教科ごとに色分けしたり、学習机は引き出しにプレートを貼ったりして、中身がすぐに分かるように工夫しました。また書店をまわってグレーゾーン向けの参考書を購入して、ウッシーヤに使わせてみました。すると、少しずつ理解が進むようになりました。グレーゾーン向けの参考書は例えば、一番つまずいていた繰り上がりの計算の考え方が視覚的に分かりやすく説明されていたりしました。また、私の同僚のアメリカ人教師から「文章を読むときはモノサシを当てて読むといい」と教わりました。実際やってみると、とてもうまくいきました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイそのうち家庭内での工夫だけではなく、専門家からの支援が必要だと感じるようになりました。同じ市内に発達障害のある人の支援に関して実績のある療育施設を見つけ、ウッシーヤの発達相談で通っていたのですが、そのうちに夫婦でペアレント・トレーニング(ペアトレ)を受講することになりました。そのころ、子育ての一番の悩みは、ウッシーヤの動きが極端に遅いことでした。お風呂やトイレに入ると何時間でも出てこないし、アニメを見たり、生き物の観察をやり始めると何時間もやめませんでした。ペアトレでは、アニメ視聴をやめさせて次の動きを促すことをテーマにしてトレーニングを行いました。具体的な声かけの仕方から、注目の集め方、相手との距離、そのくり返し方など、かんたんな台本を作って、実際にやってみるのです。とくに重要なのが「まるで外国人になったみたいに、なるべくオーバーにほめましょう」ということでした。わが家の子どもたちはみな中学生以上で、すでに成人している子どもや大人なみの体格になっている子どもがほとんどなのに、オーバーにほめるなんて恥ずかしいと思いました。でもトレーナーさんは「お子さんをほめるんじゃないですよ。行動をほめるんですよ」とアドバイスしてくれました。私はそれならできるかもと思い、自宅にもどってやってみました。すると末っ子のウッシーヤは効果がすぐ現れました。すでに成人したほかの子どもたちにもやってみましたが、やはり効果があり、とても驚きました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイこの工夫は、一番動きのにぶい次男に向けて行うことが多かったので、問題のあまりないほかの子どもたちが怒りだしました。「できない子をほめるのはおかしい。子育てが間違っている。弟をダメにしたのは親の教育が悪いせいだ」という主張です。そこで私と夫はペアトレの資料を引っ張り出してきて、なるべく丁寧に説明しました。ペアトレは結果が出るのに時間はかかるかもしれないが国際的に実績のあるトレーニングであることを伝えていきました。発達凸凹の子育ては、当事者に対する工夫だけでなく、周囲の人々の理解を得るための説明も同じくらい大切なのだと実感しました。ペアトレが少しずつ結果を出してきたので、続いてストレス・マネジメント講座を受講しました。これで発達凸凹の子育てと家庭生活と仕事のバランスをうまくとる工夫ができました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ家庭内で工夫を重ねるうちに、学校でも同じ工夫を行えば効果はもっとあがるだろうということに気がつきました。ちょうどそのとき、子どもたちの通うインターナショナル系のフリースクールで教師を募集したので応募し、採用されました。学校の職員研修でペアトレを提案すると採用されたので、わが家が受けたトレーニングを全スタッフで受講することができました。そのため家庭内で行なっている工夫を学校に紹介しやすくなりました。家庭と学校で連動して行なった工夫のくわしい内容は、別の話題のときにご紹介します。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ小学校高学年から親子で行っていたボランティア活動などの社会体験を、もっと就労を意識したものに変えていきました。ウッシーヤが野菜を育てたいと言うと、知人の農家に頼んで、収穫体験をさせてもらいました。将来は動物園で働きたいと聞くと豆記者として動物園を取材しました。本人がアルバイトをしたがると、知人に頼んで草刈りや洗車のアルバイトを一緒にしました。これらの社会体験は主に夫が同行してくれました。その後、私の母のすすめで母が勤務する保育園で、夏休みに次女リスミーとウッシーヤの2人がボランティア体験をしました。初回は次女リスミーとウッシーヤの2人で参加しました。ところが、ウッシーヤはよほど楽しかったようで、残りの休み期間の間中、ボランティアに通いつめました。しかも、ウッシーヤは通うほどにますます保育園での活動にはまりました。その後は長期休暇のたびに10年間も同じ保育園に通いつめるようになりました。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:井上先生より)発達障害に気づかれたあと、ご夫婦でそのことについて学ばれ、子どもさんと一緒にさまざまな工夫や活動をされてきたことは、親御さんにとっても子どもさんにとってもとても得難い体験となっているのではないでしょうか。特に、ボランティア体験をお父さんと一緒に何種類も行われたことはすごいことだと思います。将来の就労に向かって実際に体験したことはお子さんにとって大きな財産になると思います。またきょうだいに対して納得できるような丁寧な説明も、大切だと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年07月01日漢方薬の「抑肝散」とは?神経発達症(発達障害)のある子どもにも処方される?自閉スペクトラム症には、イライラや過敏、癇癪など、その特性から生じる症状があります。これらを抑えるためには、環境を調整することが大切ですが、それでも難しい場合には、薬が用いられることがあります。抑肝散の「肝」は「怒り」を意味します。このことからも想像できるように、抑肝散は神経の高ぶりを抑える効果があるといわれている漢方薬です。神経の高ぶりを抑えることで、不眠の改善にも効果があります。もともと子どもの夜泣きに使われていたことで知られていますが、現在では大人の精神的な症状に対しても使われています。抑肝散は、神経が高ぶりやイライラを伴う不眠症、子どもの夜泣き、神経過敏などの精神症状に対して処方されます。筋肉の緊張を緩める働きもあるため、けいれんや手足の震え、ひきつけなどへの適応もあります。また、抑肝散によく似た名前の漢方薬に、「抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)」があります。これは、抑肝散にチンピ(陳皮)とハンゲ(半夏)という成分を加えたもので、胃腸にやさしく、長期服用しやすいのが特徴です。抑肝散の特徴、効能、効果抑肝散は、複数の漢方の生薬を配合した漢方薬です。ブクリョウ、ビャクジュツ(またはソウジュツ)、センキュウ、チョウトウコウ、トウキ、サイコ、カンゾウが配合されています。「抑肝散加陳皮半夏」は、これにハンゲを加えたものです。抑肝散には神経の高ぶりなどを抑えて、筋肉の「つっぱり」「こわばり」などを緩める効果があります。それにより心と体の状態を良いものにしていきます。・イライラ感・不眠などの精神神経症状・手足のふるえ、けいれん・子どもの夜なき、ひきつけ「疳」が強いと言われる子どもに用いられることが多く、腹直筋が緊張していることも使用の目安となります。抑肝散は乳幼児や子ども向けの漢方薬となりますが、神経症、不眠症、さらには認知症や統合失調症、躁うつ病、てんかん、パーキンソン病など、さまざまな精神・神経疾患の補助薬として処方されています。抑肝散を服用すると、脳内の神経伝達物質であるグルタミン酸の働きが抑えられるため、神経を落ち着かせてくれます。セロトニン受容体への作用もあり、攻撃行動や不安を改善して心身を穏やかな状態にします。また、サイコには熱や炎症をさまし、腹直筋など筋肉の緊張をゆるめる作用が、カンゾウには筋肉の緊張を緩める作用があります。このように、本来は神経痛や不眠症、子どもの夜泣きなどの改善に用いられていました。しかし、現在では怒りっぽい、興奮しやすいといった認知症の周辺症状への改善効果があることが認められており、認知症に対しても処方されています。抑肝散の用法、容量は?病院で処方してもらえるの?抑肝散は、市販薬として販売されているので薬局で購入できますが、病院でも処方されます。通常、成人ですと1日分の7.5gを2~3回に分けて経口服用します。年齢や体重、症状により適宜増減が必要です。薬の形状は、錠剤、顆粒、内服液があります。飲むタイミングは、食前と食間が基本です。抑肝散に限らず、漢方薬は、食前か食間に服用します。食事の約30分前や空腹時に飲むようにしましょう。しかし、空腹時に胃もたれなどの症状が起こるようでしたら、飲むタイミングを医師や薬剤師に相談し、タイミングを変えるとよいでしょう。一般的に漢方薬の服用量は、成人と比較して、・7歳以上15歳未満:3分の2・4歳以上7歳未満は2分の1・2歳以上4歳未満は3分の1・2歳未満で4分の1以下と規定されています。年齢のほか、体重から量を換算する場合があります。また、病院で処方される場合は、症状や経過を見て量を調整することもあります。自分で増減せず、医師に相談しましょう。また、漢方薬独特の匂いや苦みがありますので、感覚過敏のある自閉スペクトラム症の子どもの場合、長期服用が困難なことがあります。感覚過敏でなくても、子どもにとっては飲みにくい匂いや臭みがあるので、飲み方に工夫が必要です。次のような方法をためすとよいでしょう。・細かくつぶしてココアや溶かしたチョコレートにまぜる・1歳以上ならはちみつに混ぜる(1歳未満の子どもは、「乳児はちみつボツリヌス症」)を発症する恐れがあるため、摂取することはできません)・薬を飲むためのゼリーオブラートに包んで飲む・水に溶かして製氷機で凍らせてから口にふくむ・アイスに混ぜ込んで食べる抑肝散に副作用はあるの?副作用としては、発疹などの過敏症や、食欲不振・胃部不快感・吐き気といった消化器の症状、倦怠感などがあらわれることもあります。重い副作用はまれにしかないと言われていますが、配合されているカンゾウ(甘草)を大量に服用すると、むくみや血圧上昇などの副反応が起きる(偽アルドステロン症)場合があります。カンゾウはほかの漢方薬にも配合されていますので、複数の漢方薬を服用している場合も、注意が必要です。重大な副作用としては、「偽アルドステロン症」のほか、次の4つが挙げられます。・心不全(息苦しさ、動悸、疲れやすいなど)・横紋筋融解症(手足のしびれ、痙攣、力が入らないなど)・間質性肺炎(から咳、息苦しさなど)・肝臓の重い症状(怠さ、食欲不振、吐き気、発熱など)これらの重い副作用は、頻度は高くありませんが、万が一、体の不調を感じたり、このような副作用の恐れがあると感じたりしたときは、服用をすぐに中止して医師や薬剤師に相談しましょう。抑肝散はどのくらいで効果が表れる?即効性が期待できる漢方薬ではありませんので、ある程度の効果が実感できるまでには時間を要します。そのため、2~3ヶ月は継続的に服用するのがよいとされています。しかし、1ヶ月ほど服用しても症状がよくならないときは、医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。抑肝散は自閉症スペクトラム症をはじめとした神経発達症の症状の改善に処方されますここでは、子どもの癇癪やイライラ、過敏などの症状にも効果がある漢方薬、抑肝散についてご紹介してきました。自閉スペクトラム症を根本的に治療する薬はありませんが、その特性からあらわれる癇癪やイライラなど、情緒面や行動面の症状をやわらげることはできます。漢方薬である抑肝散の服用もその1つです。抑肝散の歴史は古く、今から500年以上も前の中国の古典には「母子同服」といって、母子が同時に抑肝散を服用することで母子ともに気の高まりを鎮める効果があると記載されています。また、自閉スペクトラム症をはじめとする神経発達症の症状の改善には、環境の調整や、声かけの仕方・関わり方を変えるなどの取り組みもとても大切です。薬の服用と併せてほかの取り組みも行うことが大切だと言えるでしょう。漢方薬は、年齢や体重、症状によって服用する量を調整したり、服用する期間を決めたりします。効果がある薬には、副作用もつきものです。医師や薬剤師に相談し、一人ひとりに合わせて用いるようにしましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月30日産院ではスヤスヤとよく寝ていた息子、退院したら豹変!?想像以上に大変だった新生児期。予定日より5日ほど早く産まれてきた息子。入院中、病室では全く泣くことなく良く眠る赤ちゃんでした。寝息も聞こえないくらい静かだったので、息をしてるか何度も確認していたのをよく覚えています。そして完全母子別室の産院だったので、授乳時以外は助産師さんがほとんどお世話してくれて、夜もぐっすり眠ることができました。ベッドに寝ているだけで、高級レストランのような食事が運ばれ、赤ちゃんはスヤスヤとよく眠り、母親としてやることは授乳だけ…。まるで天国のような入院生活でした(笑)。そんな入院中、唯一の不安は授乳でした。今思えば息子の吸啜(きゅうてつ)力も少し弱かったのと、私も初めての育児だったこともあり、30分以上かけて授乳しても体重を計り比べてみると1グラムも増えていないことがほとんどでした。しかしここでも、母乳が足りない分はミルクを足してくれる産院だったので、入院中に息子のお世話に大変さを感じることはあまりありませんでした(フラグ)。Upload By 海乃けだまいざ退院してくると、息子は入院中とは別人のように豹変しました(早すぎるフラグ回収)。産院では授乳の終わりと共に、抱っこだけでスヤスヤと寝ていたのに(むしろ授乳中に寝ていた。笑)、退院した途端に抱っこで歩きながらでないと寝なくなりました。しかも背中スイッチも装備され、産後ボロボロの身体でなんとか抱っこして寝かしつけても、布団に下ろすと目を開ける…(恐怖)。あの手この手でやっと布団に寝かせても、膝がパキッとなるだけで簡単に目を開ける敏感過ぎる息子。この終わりのないループを幾度となく繰り返し…気づくと次の授乳時間が迫っていました(白目)。Upload By 海乃けだま息子が寝ない間、気晴らしに見ていたのがスマホでした。当時の私の脳内は息子のお世話で育児一色だったので、自然と育児関連の記事を見るようになりました。少しでも気になることがあれば、スマホですぐに検索するようになっていました。そしてその習慣がいつしか産後のホルモンバランスと睡眠不足も相まって、思考をだんだんとネガティブにしていき…スマホの息抜き時間はいつの間にか“検索魔”となっていったのでした。真夜中の薄暗い部屋で調べれば調べるほどだんだんと怖くなり、さらに眠れなくなる…という悪循環でした(検索魔、本当良くないですよね。汗)。運動面の発達がゆっくりなのは少し気になっていたけれど、特性に気づかずに見逃していた日々…。1ヶ月健診を終え、保健センターの親子イベントにも参加するようになりました。そこで出会った息子と同学年の親子と仲良くなり、よく遊ぶようになりました。とはいいつつも、まだまだ家の中での生活が長かったので、あいかわらず膝が「パキッ」となるだけで起きる敏感な息子を起こさないよう忍びのような生活を続けていました。3~4ヶ月になるころにはだんだんと起きている時間も増えてきて、“検索魔”になる時間もとれなくなっていました。母子手帳の3~4ヶ月ごろの記録ページに「あやすと良く笑いますか?」という項目があるのに、息子が“あまり笑わない赤ちゃん”ということが少し気になってはいましたが、全く笑わないということはなかったため「こんなもんかな…」とスルーしていました(いや今検索してー)。そしてこれは下の子が産まれてから気づいたのですが、息子は赤ちゃんのころから物音に敏感なところがある反面、音のする方を気にして見ようとしたり、追視することがほとんどありませんでした。ママ友とは定期的に会っていて、子どもたちの成長・そのときの困りごとなど話し合っていました。離乳食が進まないことや、スプーンの持たせ方など話していましたが、息子はスプーン以前に手がベタベタするのを極度に嫌がり、手づかみ食べすらしていませんでした。このころから少しずつママ友との悩みがズレ始めていたように思います。8~9ヶ月あたりを過ぎたころ、少しずつ周りの子どもたちよりも息子の運動面の発達が遅れていることが目立つようになってきました。ハイハイやつかまり立ちする子どもが出てくる中、息子はお座りの一点張りでした。正確には、お座りの姿勢から動けない…の表現が正しいかもしれません。息子はそれまで寝返りをすることが一度もなく、自分でお座りの姿勢までもっていくことができなかったのです。私がお座りの状態にさせて、後ろに倒れてしまったときは起き上がれないので(寝返りをしないので)、泣いて私を呼ぶという状態でした。運動面の遅れを感じながらも、個人差だろうと安易に考え息子のペースでハイハイしてくれるのを待っていました。Upload By 海乃けだま集団健診で声をかけられるものの、様子見にしてしまった私…ちょうど息子が1歳になろうとするころは、バタバタしていてママ友と遊ぶ機会も減っていました。そんなとき、集団健診の時期がやってきました。相変わらずハイハイはできないものの、このころには息子も寝返りを習得していたため、お座りの姿勢まで自分で持っていくことができるようになっていました。健診の時間がちょうどお昼寝時間とかぶっていたこともあり、健診にきていたほかの子どもたちも泣いていたり、歩き回っていたりと、割といろんなお母さんたちが大変そうにしていました。そんな中、まだ歩けない息子は私が抱っこすると大人しく抱っこされていたため、特段大変とは思いませんでした(このときそう思ってしまったことが後々に響くとは知らずに…)。ほかの子どもたちが健診を終えて帰って行き、息子が呼ばれたのは最後の方でした。案の定お昼寝できずに不機嫌な息子は、発達検査のテストはほぼできませんでした。健診のころには今思えば分かりやすく特性が出ていた息子。手先の感覚が過敏で手づかみ食べをせず、一粒でもご飯粒が手につこうものなら、全力で手をブンブン振って払おうとするので、食後はそこらじゅうに米粒が飛び散っていました。また、机に置かれた「おしぼり」もすごく嫌がり、一切触ろうとしませんでした(“おしぼりの防波堤”を作っておけば、それ以上手を出してくることもなかったので、外食の際には重宝していました。笑)。そしてあまり笑わない・目が合いにくい、名前を呼んでも振り向かない・運動面もゆっくりでハイハイをしようとしない…指差しもしない。とにかく反応が少なかった息子なので、保健師さんも言葉を濁しつつ「育てにくいと思ったことはないですか?」と聞いてきましたが、私は初めての息子の育児で「こんなもんやろ」と思い込んでしまっていたのと、呼ばれるまでの間に私よりもっと大変そうな親御さんがたくさんいると感じていたので、こんな私が大変だなんて言えないと気持ちに蓋をしてしまったのです。そして…保健師さんの様子観察の提案に対する私の言葉は「大丈夫です」でした(あぁーーー…←心の叫び)。Upload By 海乃けだま今まで可愛いと思っていた行動が特性だった⁉︎メンタルはどん底に…1歳1ヶ月を過ぎたころ、息子はついにハイハイを習得し徐々に表情も豊かになっていました。このころに気に入っていた遊びは、表裏柄の違う薄っぺらい布や、葉っぱなどを目のすぐ横でヒラヒラとさせることでした。ある程度勉強した今ならすぐに、「同じ行動を繰り返す」という、ASDの特性の一つ「常同行動」では?とピンときますが、当時はただただ「ニコニコしながら布などを振る」その謎の行動が可愛くて仕方ありませんでした(親バカ炸裂)。Upload By 海乃けだまようやく新居への引っ越しも落ち着いたころ、ママ友と久々に会うことになりました。たった2~3ヶ月会わないだけでママ友の子どもは喃語から単語を少し話すようになっており、母親のお話に対して“はい/いいえ”の意思をしっかり示していました。このころの息子はと言うと、名前を呼んでも10回に1回振り向くかどうか、単語はおろか母親である私でも解読不可能な喃語パラダイスでした。未だに指差しもなく、欲しいものがあるときは「あー!!」とぐずるスタイルでした。それでも産まれてから片時も離れず、1日中一緒に過ごしていたので、指差しや発語がなくてもだいたいの息子の要求は汲み取れていました。…が、さすがに無知な私もこのころから「…あれ…なんか息子、ちょっと様子が違うかも…?」と思うようになりました。そう感じてからは児童館へ行っても、スーパーへ行っても、公園に行っても、同じ月齢の子どもを無意識に見ては、息子との差を比べてしまっていました。ただただ「息子と同じくらいの発達の子どもはいないか」と、自分を安心させたい気持ちだけでした。しかし…どこへ行っても息子ほど反応が少ない子どもはいませんでした。私の疑問の気持ちは確信に変わっていきました。それでも息子の時間は過ぎてゆく…1歳半健診を待てずに発達相談したあの日。次のステップへ進むために。真っ暗闇の出口の見えないトンネルに息子と2人きりでとり残されている心境でした。「妊娠中の食べ物がよくなかった?」「産むときに何かあったんじゃ…」「私の育て方が下手なせいで…」答えなんてないのに、自問自答を繰り返していました。発達障害は母体の環境や親の育て方は関係ないと言われていますが、自分を責めずにはいられませんでした。食事も喉を通らなくなり、1週間で3キロ痩せました。少しでも暇があれば発達障害について調べるようになり、“特性があったけど発達障害ではなかった”という記事を見つけては、ほんのひととき安堵するも、また目の前の息子を見ているとやっぱり発達障害があるんじゃないか…と育児が楽しめなくなっていた自分がいました。モヤモヤした気持ちのまま息子と過ごしていましたが、発達障害のことを調べていくうちに“早期療育”の文字が目に入りました。息子の貴重な幼少期、「少しでも早く環境を整えてあげたい!!」と1週間後に迫っていた1歳半健診を待てず、気づくと発達相談の予約窓口へ連絡をしていました。発達相談の日、保健センターの発達相談員さんに新版K式発達検査を実施してもらった結果、息子の発達年齢は「10ヶ月程度」と言われました。息子はそのとき1歳10ヶ月でした。頭によぎるのは、夜寝なかった乳児時代の息子、ヒラヒラと布を揺らして喜んでいた1歳のころ…あのときから行動に移していれば、息子にもっと早く療育を受けさせてあげられたのに…後悔ばかりが募っていました。Upload By 海乃けだま後ろばかり見ていた私でしたが、「とにかく息子のために今できることをできる限りやるしかない!」と夫と共に病院へ行き、療育先を探しに行きました。正直なところ今でも「息子にASDがなかったら、どんな子どもになったんだろう」と思わない日はありません。でもそんなとき、超楽天家な夫は「息子は息子やん!おもろいやん!」と私のネガティブな気持ちを軽く吹き飛ばしてくれます(吹き飛ばない日も多々あります(笑))。Upload By 海乃けだま私自身、息子が発達障害かもしれないと落ち込んでいたとき、藁にもすがる思いで見ていた発達障害に関する記事に背中を押してもらいました。この私の体験談が、誰かのお役に立てれば幸いです。執筆/海乃けだま(監修:室伏先生より)けだまさん、発達障害かもと思われたきっかけや、療育へ繋がるまでのエピソードを具体的に共有していただき、ありがとうございました。もっと早く療育を受けさせてあげられれば、と後悔があると書いてくださっていますが、1歳半健診よりも前に発達相談窓口にご連絡されたとのことで、とても早い段階で発達相談や療育につながれたのではないかと思います。もちろんお子様、ご家族が直面しているお困りの内容にもよりますが、3歳児健診で指摘されたり、就学前の段階で園の先生からご相談があったり、ということを契機に医療や療育につながる方が多いように思います。就学後や、成人になってから診断を受けられる方も少なくありません。自閉スペクトラム症の場合、1歳のお誕生日を迎える前の段階では、夜泣きや癇癪が強い、逆にとてもおとなしい、人見知りをしない、あまり笑わない・目が合いにくい、名前を呼んでも振り向かないなどの徴候が見られることもありますが、受診をしていただいてもその時点での診断は難しく、コミュニケーションの発達(言語発達だけでなく非言語的なコミュニケーションも含みます)、遊び方の発達、情緒の発達、感覚の偏りなどを見て、総合的に判断していくことが多いです。発達障害であるかどうかについて判断がつきにくい時期であっても、発達に関して不安な点があれば、ぜひ発達相談や受診を考えてみていただきたいと思います。けだまさんは、発達相談につながるまで、ママ友とも悩みごとを共有できないままに、お一人で悩まれたり、自分を責めてしまったりと、おつらかったですね。時間のかかる寝かしつけや、手の感覚過敏などもあり、育児も本当に大変だったことと思います。発達に関して相談することは、勇気のいることかもしれませんが、早期に療育機関につながりやすくなったり、関わり方のアドバイスをお伝えできたり、睡眠の困難さに対しては必要に応じて薬物治療を検討できたり(成人で使用される睡眠薬とは異なり、眠るためのホルモンを調整するようなお薬があります)と、いろいろメリットがあると思います。自閉スペクトラム症は関わり方が原因で発症するものでは決してありませんが、家庭でできる療育的な関わりにより、言語や社会性の発達を促すことも期待できます。1歳半健診では、言葉が出ているか、アイコンタクトや模倣、表情などの非言語的なコミュニケーションが育っているか、などを確認していますが、短時間の診察になりますし、個人差もあるため、多少のおくれがあっても指摘されないこともあります(3歳児健診も同様です)。健診で指摘がなくても、不安や違和感を感じた時点で相談を検討していただければと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月30日睡眠障害とは?服薬で治るの?不眠症・過眠症・睡眠時随伴症など睡眠にかかわる病気を総じて睡眠障害といいます。なかでも多いのが不眠症です。夜寝つきが悪い、夜中に目覚めてしまう、熟睡できないなど症状はさまざまで、日中の活動に影響が出ることがあります。不眠の原因はストレスなどの心理的原因や、病気による身体的原因など多岐にわたりますが、睡眠環境や生活習慣を見直すことで改善される場合も多くあります。よい睡眠環境は、明るさ、音、温度がポイントです。寝るときの部屋の明かりは、なるべく暗くしましょう。明るいままだと、心身をリラックスさせるのに必要なメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。真っ暗な環境が苦手なときは、豆電球や間接照明をつけるのもおすすめです。また、朝日が原因で早く目覚めてしまうときは、遮光カーテンを利用するといいでしょう。睡眠中でも音は脳に届くので、快眠のためには静かな環境づくりを心がけましょう。テレビの音や人の話し声が聞こえると、眠りが浅くなることも。静かな環境づくりがむずかしいときは、耳栓をするのも一つの方法です。暑すぎたり寒すぎたりするのも、快眠の妨げになります。寝具を調整したり、エアコンのタイマー機能を活用したりして工夫しましょう。寝床でスマートフォンを使うと脳が興奮状態になり、寝つきが悪くなると言われています。また、睡眠の質を下げないためには、食事は寝る2時間前には終えましょう。コーヒーや日本茶、チョコレートなど、カフェインを多く含むものは、夕方以降は摂らないことも大切です。環境や生活習慣を見直しても、なかなか改善されない場合、薬による治療を行うことがあります。睡眠障害で処方される薬は、大きく3種類に分けられます。1つ目は「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」。これは、脳の興奮を抑える物質の働きをうながして脳を休ませます。非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の「ルネスタ」、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の「ハルシオン」「レンドルミン」などがあり、短時間で効果を実感しやすいのが特徴です。一方、依存性が出やすかったり、服用を続けると薬が効きにくくなったりすることもあります。以下のような薬が発売されたこともあり最近はあまり用いられなくなりました。2つ目は「メラトニン受容体作動薬」。1日の睡眠・覚醒サイクルを司っている視交叉上核に存在するメラトニン受容体(MT1/MT2)を刺激し、睡眠と覚醒のリズムを整え、自然な眠りをうながします。依存性は低いですが、即効性もありません。神経発達症に伴う入眠困難がある子どもに処方される「メラトベル」、大人に処方される「ロゼレム」や「ラメルテオン(ジェネリック)」があります。なお、メラトベルは体内で作られるメラトニンそのものです。メラトニンは視交叉上核のMT1及びMT2受容体を活性化することで視交叉上核にある体内時計の神経活動を調節し、睡眠の誘導作用を示すと考えられています。3つ目は「オレキシン受容体拮抗薬」。起きている状態を保つ脳内物質であるオレキシンの働きを抑えることで、寝つきを良くし、夜間の眠りをサポートします。即効性があるのに依存性は従来のものよりも低いのがメリットですが、頭痛や眠気が残ったり、悪夢を見たりすることがあります。3種類のなかでは、新しいタイプの薬です。「ベルソムラ」「デエビゴ」があります。今回は、このなかの「デエビゴ」について紹介します。睡眠薬「デエビゴ」とは?デエビゴは不眠症を改善するための薬です。入眠困難、中途覚醒、睡眠維持困難などの症状があるときに処方されます。不眠症の薬として処方される「ベンゾジアゼピン受容体作動薬」と比較すると、デエビゴは長期間服用しても効果が持続し、依存性も低いとされています。デエビゴは保険適用されていますが、小児には処方されません。睡眠と覚醒には、オレキシンという脳内の神経物質が深く関係しています。日中はオレキシンが増加するので起きている状態を保つことができ、夜間は減少するのでスーッと眠りにつけるのです。寝つきが悪い、中途覚醒してしまうというときは、なんらかの原因で、夜でもオレキシンの働きが活発になっていると考えられます。デエビゴは、有効成分であるレンボレキサントがオレキシンの働きを邪魔し、自然と眠れるように作用します。デエビゴには、2.5mg、5mg、10mg錠の3種類があります。飲み始めるときは5mgを1日1回、就寝前に服用します。併用する薬によっては効果が強まることがあるため、医師と必ず相談してください。また、肝臓に影響が出やすいので、肝機能障害がある人も医師と相談してください。デエビゴは即効性があるので、服用後30分後ぐらいから眠気が出てきます。そのため、就寝の準備が整ってから服用しましょう。デエビゴの副作用って?デエビゴの代表的な副作用として、眠気があります。効き方に個人差があるので、人によっては効果が出すぎてしまい、翌日に眠気や倦怠感が残ってしまうことがあります。薬の影響で眠気が出ているときは、注意力や集中力が低下することもあります。自動車の運転など、危険が伴う機械の操作は避けましょう。副作用が出たときは、医師と相談して薬の量を調整したり、服用時間を早めるなどの対応が必要となるでしょう。デエビゴは比較的依存性の低い薬ですが、定期的に医師の診察を受け、睡眠障害の症状が改善したときは薬の量を調整することも大切です。小児科医に聞く「デエビゴ」「子どもの睡眠」Q&Aここでは、小児科医の鈴木直光先生に、睡眠障害の薬「デエビゴ 」の話を中心に、子どもの睡眠についての質問にお答えいただきます。(質問)寝つきが悪くて困っており、デエビゴを処方されました。効き目が強すぎて、朝起きられないのではないかと心配しています。(回答)数十年前まで睡眠薬の主流であったベンゾジアゼピン系の薬のなかには、眠気を誘う作用が強いものがあったので、翌朝起きられなかったり、翌日も強い眠気を感じたりすることもありました。デエビゴは、それらとは効き方が異なります。なお、デエビゴは成人の不眠症治療薬なので、成人以上の不眠症状(寝つきが悪い、眠りが浅い、何度も目が覚める)がある人に処方されることが多く、子どもには処方されません。Upload By 発達障害のキホン(質問)デエビゴを処方されましたが、効き目はどのぐらい続くのでしょうか。大切な会議や打ち合わせのときに眠くなったりしないか心配です。(回答)デエビゴは服用してから8時間程度で効果は薄れるので、日中の活動にはあまり影響が出ないとされています。しかし、薬の効き目には個人差があるので、翌日に眠気が残ったり、ふらつきが出たりする人もいるでしょう。服用してみて、翌日も眠気が強いと感じたら、医師に相談して量を調整したり、薬の種類を変えたりするといいでしょう。日中ボーっとする原因の一つに睡眠時無呼吸症候群という疾患もあります。肥満の方で入眠中の無呼吸が頻回にあると日中眠気が襲ってきます。肥満の方は単に薬の副作用だけを考えずにこういった疾患も考慮して耳鼻科医にも相談してみましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)ADHDがあり、毎日薬を飲んでいます。最近、中途覚醒することが多く、疲れがとれないので睡眠薬を処方してもらおうかと考えています。飲み合わせで注意することがあれば教えてください。(回答)ADHD治療薬の一つであるインチュニブは眠気が強くなる副作用があります。そのためデエビゴと併用すると、必要以上に眠気が強くなってしまうことがあります。インチュニブに限らず、薬は併用すると、ほかの薬の効果を強めたり、弱めたりすることがあります。また飲み合わせによって副作用が出ることもあります。ほかに薬を飲んでいるときは、必ず医師に相談してください。Upload By 発達障害のキホン(質問)神経発達症がある子ども(10歳)がいます。寝つけないことが多いうえ、夜中に目を覚ましてしまうこともしばしばあります。デエビゴを飲んでも大丈夫でしょうか?(回答)デエビゴは成人用の不眠症治療薬のため、お子さんには処方されません。神経発達症があるお子さまの不眠症には、メラトベルが処方されることが多いと思います。メラトベルは、睡眠ホルモンともいわれるメラトニンと同じものを薬にしたものです。睡眠と覚醒のリズムを整え、自然な睡眠を促す働きがあります。神経発達症があるお子さまには、保険適用で処方されます。SSRIとの併用は禁忌です。お子さまの不眠を改善するには、日中にたくさん活動することが有効です。脳も体も疲れれば、ぐっすり眠ることができます。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どもがなかなか寝ずに困っています。夜眠れず、昼間眠くなってしまうようで、本人も困っていますが、なるべく薬に頼りたくありません。どうすればいいでしょうか。(回答)睡眠環境を整えましょう。寝るときは部屋の明かりを暗くし、大きな音がしない静かな環境で、暑すぎない、寒すぎない温度に調整してください。決して寝床でゲームやスマートフォンを使わないこと。目から入る光が脳を刺激してしまい、快適に眠ることができません。寝つくまでに何かを読むなら、紙の本での読書がおすすめです。Upload By 発達障害のキホンデエビゴなどの睡眠障害の薬治療は医師とよく相談を寝つきが悪い、夜中に目覚めてしまう、熟睡できないなどの症状があるときは、まず睡眠環境を見直しましょう。暗く静かな寝室で、快適な温度にすることで、心地よく眠ることができます。寝床でスマートフォンやゲームをするのは、寝つきが悪くなるのでやめましょう。それでも快眠できないときは、薬で治療する方法もあります。最近は、眠くなりすぎない薬もあります。医師とよく相談して治療しましょう。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月29日3歳児の言葉の発達の目安は?言葉の遅れの原因は?3歳ごろの子どもは、理解できる言葉の数も増え、あいさつや2語文以上の会話ができるようになってきます。また、周囲の大人へ「なぜ」「どうして」と質問を繰り返し、言葉のやり取りを通じてさらに表現力が豊かになってくる時期です。このコラムでは、子どもが3歳になって言葉の遅れが気になる保護者の方に、3歳児の言葉の発達の目安や、発語の遅れの原因、言葉やコミュニケーションを育むかかわり方など専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【小児科医に聞く】「3歳でしゃべらない」「言葉でなくクレーンで要求する」「知的障害や自閉スペクトラム症の可能性はあるの?」3歳児の言葉の発達について、医師が回答(質問)3歳になってもしゃべりません。3歳ごろになると、どのくらい言葉が出るものですか?また、しゃべらない原因について、どのようなことが考えられるのでしょうか。(回答)3歳になると、三語文が出て、自分の名前や年齢や色などが言え、簡単な会話ができるようになります。言葉の遅れの原因はさまざまですが、聴覚障害(難聴)や発達障害(自閉スペクトラム症や注意欠陥多動性障害)、知的障害、環境要因などがあります。大きい音でも反応が鈍い、テレビの音を大きくしたがるなど耳の聞こえが気になる場合には、聞こえの検査を受ける必要があります。3歳で全く発語がない場合には、言葉の理解もできていないのかを知るために、新版K式発達検査、遠城寺式発達検査などを受けます。Upload By 発達障害のキホン(質問)3歳になる子どもがまだ話しません。取って欲しいものがあると、親の手をもってクレーンで要求します。どんなふうにしたら言葉や、コミュ二ケーションの方法を増やしてあげられるでしょうか。家庭ではどのように対応をしてあげたらいいのかアドバイスが欲しいです。(回答)クレーンもお子さんにとっては物を取って欲しいという意志を表示するための、コミュニケーション手段です。親御さんの手を取って、欲しい物の場所まで連れていく様子があったときに、「〇〇が欲しいんだね」とお子さんが伝えたいであろう意志を言葉にして代わりに表現すると良いでしょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)3歳になってもいくつか単語を言うだけです。時々テレビで見たフレーズを繰り返すことはあります。知的障害や自閉症などの可能性はありますか?発達検査を受けたほうがいいのでしょうか。(回答)自閉スペクトラム症や、知的障害の場合には、言葉の遅れを認めることがあります。3歳児健診で相談してみるのも一つの方法です。かかりつけの小児科、地域の子育て支援センター、地域の療育センターで相談してみると良いでしょう。発達検査は、お子さんの発達の強みや課題を明らかにするために活用されます。検査はさまざまありますが、3歳で言葉の遅れが疑われている場合、新版K式発達検査、遠城寺式発達検査を行うことが多いです。言葉の発語だけでなく、言葉を理解しているかという認知面、物を手先で操作できるかなど微細運動、粗大運動、社会性などについて、評価します。検査を受けることで、お子さんの発達の現状を把握し、苦手さの確認と、必要な支援の内容が分かります。Upload By 発達障害のキホン(質問)3歳の子どもが、まだ単語を数語話すだけです。療育に通ったほうがいいでしょうか?通いたい場合はどのようにすればいいのか知りたいです。(回答)療育に通うメリットは、お子さんへの直接的言葉かけの働きかけの場面が増えること、お子さんへの関わり方を親御さんが知ることができることでしょう。しかし、療育を複数箇所通って、お子さんも親御さんも自宅に帰ったときには疲れ過ぎてしまう方も見受けられます。お子さんも親御さんも負担ない範囲で、継続的に通われることをおすすめしています。通いたい場合には、かかりつけ医師や、地域の療育センターに相談してみましょう。児童発達支援施設に通う場合には、受給者証が必要になるので、主治医に意見書を発行してもらうと良いでしょう。Upload By 発達障害のキホン発語にまつわるコラムコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月29日東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報【ミオテゾーロ】とは、イタリア語で「私の大切な人」です。それはご利用されるお子さんや保護者の方をはじめとする、子育てに関わるすべての方々です。こちらの施設では、モンテッソーリ教育に基づいた、個別指導を中心に、お子さんの興味や発達段階を正しく理解し、観察から敏感期を捉え、教具を含め適切な環境を整えています。環境とお子さんを結びつけることにより、一人ひとりの自発的な活動を促しています。スタッフには、子どもの発達を学んだ経験豊かなモンテッソーリ教師が配置されているので、お子さんの個性を育み成長を促す支援を提供しています。東京都の児童発達支援をもっとみる神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報ウィズユー相模原富士見は、ロボットプログラミング講師によるロボット・LEGO®を使用してのプログラミングや、リトミックなどを行う施設です。発達障害支援アドバイザー、発達障害児リトミック講師、ロボットプログラミング講師など発達障害やIT教育に詳しいスタッフがそろっています。さらに、プログラミングやリトミックだけはでなく、箸の持ち方や鉛筆の持ち方など、生活の上で必要な細かい動作の支援も行っています。また、室内だけはでなく、屋外施設での支援や遠方への遠足も実施しています。LEGO, the LEGO logo and the Minifigure are trademarks of the LEGO Group.Upload By 発達ナビ施設情報2023年6月1日にオープンした、児童発達支援・放課後等デイサービスぐっと、あっと鶴見。同施設では、ブランコやバランスボールなどを用いた感覚統合によるアプローチや、モンテッソーリの教具を使用し、日常生活の練習や感覚・文字・数字への興味関心を引き出していくような支援をしています。スタッフには、モンテッソーリ講師や作業療法士などの専門家が在籍。ほかにも多種多様な資格を保有する職員が多く、経験や知識も豊富です。その職員たちが一人ひとりの良さを持ち寄り、それぞれの役割と向き合いながら、全員で同じゴールを目指し日々の支援を行っています。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ウィズユー相模原富士見は、有資格者によるリトミックや作業療法士によるレッスン、英語遊びなどを行っている施設です。発達障害支援アドバイザー、発達障害児リトミック講師、ロボットプログラミング講師など多くの有資格者が在籍しています。天気のいい日は屋外でダンスをしたり、周辺の屋外施設への外出もしています。また週2日ほど、英語遊びの時間があり、楽しくネイティブの英語に触れられる機会もあります。子どもたちはもちろん、保護者の気持ちに寄りそう支援を目標に、日々の支援を提供しています。Upload By 発達ナビ施設情報ぐっと、あっと鶴見は、「保育のプロ」と「発達支援の専門家」が、お子さんの良いところを伸ばす支援を行います。ブランコ・トランポリン・足裏の刺激・よじ登り・回転など、さまざまな感覚を刺激することで、自然に身体の使い方を学びます。モンテッソーリ教育は、自己選択・自己決定し「できた!」の積み重ねで自信をつけ、その経験から自己肯定感や自尊心を高めることを目的にしています。個別支援計画に沿って、その日の支援の内容を決定し、支援の前後には、職員間でのミーティングを実施し、お子さんごとの情報共有を行っています。神奈川県の児童発達支援をもっとみる愛知県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報いー・すまいる めろでぃは音楽を通じてお子さんの表現力・感受性の向上と心と体の発達を目指している施設です。音楽療法では言語発達を促し、集団で活動することで社会性も身につくよう支援しています。ほかにもソーシャルスキルトレーニング(SST)、個別活動も行っています。子どもたちが音楽を楽しみ、人との関わりやコミュニケーションの喜びを体験し、社会性を身につけることを目指しています。JR春日井駅から車で7分の場所に位置し、片道20分程度の範囲までの送迎サポートもあります。オープンしたての真新しい同施設では、見学も大歓迎とのことです。愛知県の児童発達支援をもっとみる鹿児島県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報心の樹では、感覚統合や応用行動療法(ABA)、ソーシャルスキルトレーニング(SST)などの専門性の高い発達支援を提供しています。季節の行事やイベントを通して五感を育み、身体の使い方や適切なコミュニケーション方法、また学習支援を経験豊富なスタッフがサポート。個別・小集団の中で生活力や主体性を育み、一人ひとりのお子さんに合わせたバランスの良い支援を行っています。お子さんの発達状況や課題に応じて、楽しみながら学びを深める時間を提供し、不安な毎日から希望あふれる毎日になるようサポートをしています。鹿児島県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、WEBからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2023年06月29日小学校からの呼び出し太郎は4歳のころに自閉スペクトラム症の診断を受けている。太郎は学校への行き渋りをまったくみせない。学校でのストレスについて話をしない。ストレスを分かっていない、だから話せないと表現したほうが近いのかもしれない。なので学校からの呼び出しには毎回驚いた。Upload By まゆん呼び出し場所は、毎回学校の保健室。学校の保健室の場所を保護者の中で私が1番把握しているのではと思うくらいだった。電話があれば仕事も早退し太郎のもとへ駆けつけた。太郎が小学生のころの職場も今の職場も、太郎について理解があり子育て世代も多かったため急な早退も快く許可してくださっていた。それでもやはりチームワークが求められる職業であるため、誰かにしわ寄せがあること対して申し訳ない気持ちが毎回あった。しかし太郎を心配する気持ちの方がはるかに大きく、職場に迷惑をかけているという気持ちをいつも振り切っていた。今回はいったい何があったのだろう、身体的な不調か、それとも精神的な不調か…そんなことを考えながら迎えに行っていた。保健室に着くと、保健室の先生が気づいて太郎に声をかけた。「太郎ちゃん、お母さんだよ」。そして太郎の表情を見て、「あ、お母さんが来たらちょっと表情が良くなったねえ、うれしいね」そんな声かけにうれしさと切なさをおぼえた。Upload By まゆん私は太郎に話しかけた。「太郎どうしたの?今も吐きそう?大丈夫?」。太郎は元気のない声で「分からない」、続けて「暑かった」そう答えた。Upload By まゆん毎回同じ。自分の体調不良の表現が難しいのか「分からない」と答える。あとはひどく苦手な暑さについてだけ答えが返ってくる。小児科を受診暑さと、何らかのストレスが重なったときに太郎は嘔吐をすることが多いと私は気づいた。例えば音楽会の前、運動会の前、とにかく団体行動の行事の前にこの体調不良がおきた。保育園時代から何回もあった。そうはいっても身体的に本当に病が潜んでいる可能性もあるため、それを否定する意味でも小児科を受診した。かかりつけの先生は太郎の特性を理解してくださっていた。私から見た太郎の様子や学校行事のことを説明すると「ふむふむ」とうなずきながら聴診器やペンライトを使用しての触診を始めた。先生は太郎に「うんうん、大丈夫、悪いところはないからね、太郎ちゃんちょっと疲れてるのかな」とあたたかく声をかけてくださっていた。身体的な所見に異常がないと分かると私も安心するし、病院を受診することで太郎もなんとなく気持ちのリセットができているように見えた。それからも、太郎は学校を休もうとはしなかった。もちろん私からは休むことの選択肢もあることを伝えていた。家では食事もおいしそうに食べていて吐き気や嘔吐もないため、太郎の「学校に行く」という意志と体調面を担任の先生に伝え、通学させていた。Upload By まゆんこの症状は保育園の年中から始まり、中学2年生になった今でも続いている。ただ、回数は小学6年生のころから減ってきていて、年に1回ほどになっている。こういう出来事を何回も繰り返し、乗り越えて、また繰り返しの太郎。太郎の真面目さ、前向きさにはいつも感心している。太郎は小学校中学年からかかりつけの先生が変わりました(先生が引退されたため)。かかりつけ医が変更になったときはそれはとても不安でしたし、特性を理解してもらえるように私からポイントを先生に伝えていました。紹介状も持っていってたのでそちらでも伝わっていたとは思います。太郎も主治医が代わったことや病院が変わったこと、環境の変化に敏感になっており「ここどこ?」「なにするの?」などきょろきょろと挙動不審になったり先生の前でも固まったりと緊張をしていましたが、今では笑顔も出るくらいになっています。私の説明や太郎の特性を受け入れて、「ふむふむ」と話を聞いてくださった先生にはありがたい気持ちでいっぱいです。保護者がわが子の特性や傾向を理解すること、それを周りに伝えられることが、先生にとっても私たちにとっても重要になってくると今までの経験から感じています。チームをつくるという感じでしょうか…。執筆/まゆん(監修:鈴木先生より)嘔吐の症状が続いている場合、自閉スペクトラム症だけが原因とはまず考えられないため、私のクリニックでは一度検査をされることをおすすめしています。一般的には、発熱せずに周期的に嘔吐する場合は周期性嘔吐症、いわゆる自家中毒と考えられています。ほかの病気を否定するために、脳波・CT・採血などさまざまな検査を行うこともあります。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月28日3歳のときに精神運動発達遅滞の診断を受けた息子。義父母とは、子育てについて言い争いも…わが家の長男は、3歳のときに精神運動発達遅滞の診断を受けました。真面目で切り替えが苦手な長男は、見通し不安があると泣いてパニックになってしまいます。「これは泣くかもしれないな」と思う場面については、事前に本人に説明するようにしていますが、私の話した内容が理解できなかったり、話していた以上のことがあると、パニックになって泣き出してしまいます。私は、泣いて本人の気がおさまるならいいと思ってはいるのですが、かなりの大声で泣くので、「家や車の中ならいいけれど、学校ではなるべく我慢したほうがいいよ。嫌なときはその場から逃げるようにしよう」と伝えています。Upload By ユーザー体験談わが家と義実家は同じ県内にあり、長男が小学校に入る前はGW、連休、お盆休み、年末年始と、毎月とまではいきませんが頻繁に帰省していました。義父母は周りから「優しい義両親でいいね」と言われるような評判のいいタイプですが、私からみた義父母は悪い人ではありませんが、良い人でもありません。二人とも人当たりはいいのですが、こちらが話したことを理解してくれているのか怪しく、知った風を装うことが多々あります。義父母とは、長男の子育てについて言い争いをしたこともありました。このような義父母ですので、いつかトラブルが起こるだろうと感じていました。そしてそれは、現実になってしまいました。祖父の「泣くならもう来るな!」で長男はさらにパニックに!長男が8歳の夏、義実家へ帰省しました。ちょうど数年前に亡くなった夫の友人の命日が近かったため、夫はお墓参りに行きたいとのこと。お墓周辺はやぶ蚊がとても多いため、夫と私のみでお墓参りをし、子どもたち(長男と4歳下の長女)は義父母に預かってもらうことにしました。しょっちゅう帰省しているので、問題ないだろうと思ったのが間違いでした。午前中でお墓参りも終わり、ファストフード店でお昼ごはんでも買って帰ろうと夫の実家に電話をしました。長男が電話口に出てくれた際、「●●で、▲▲セットを買っていくね」と伝えました。長男は「ん?」と言ったので、うまく伝わらなかったのかなと思い、数回同じことを伝えました。長男には聴覚過敏があり、電話に耳を当てて聞いたり、話したりするのが苦手です。ですので、大きな声で何度も言うとパニックになってしまうかもしれないと考え、数回繰り返したのち、電話を切りました。私は、義父母が横で電話を聞いている様子だったので、フォローしてくれるだろうと思って電話を切りました。しかし、しばらくして帰宅した私たちが見たのは、大声で泣きわめき大パニックを起こした長男の姿だったのです。Upload By ユーザー体験談義父母は、息子が電話の内容を理解できず不安になっていたところに、「お昼ごはんを買ってくるって」と伝えただけだったそうです。これに対し長男は、『●●のお店って言っていたけど…』『いろいろ聞き取れなくて分からないところがある…』とパニックになって泣いてしまったようなのです。長男がここまで泣いているのを見るのは赤ちゃん時代以来であろう義父母。あまりにもうるさくてびっくりしたとは思いますが、ここで火に油を注いでしまいました。義父「男の子なのに泣くな!」「泣くならもう来るな!」義母は義父を止めるわけでもなく、義父の言葉でさらにパニックになった長男に対してもなにもフォローしなかったそうです…。長男からすると、義父には怒られ、義母は見ているだけで助けてくれなかったという構図となり、余計に困り果て、大声で泣き続けてしまったのです。私は、子どもたちも連れて墓参りに行くべきだったと猛省しました。Upload By ユーザー体験談「行ってはいけないから」と帰省できなくなった長男。義父からは謝罪の手紙が届き…その後、長男はもう帰省はしないと言い出しました。「ママは、自宅や車の中では泣いてもいいって言ってくれた。でもジジはダメって言ったから、僕は行かない」「泣いちゃうから、行ってはいけないから」そう言う長男がかわいそうで、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。Upload By ユーザー体験談それからは、夫と下の子だけが帰省し、行っても1時間~3時間程度しか滞在せずにすぐ帰ってくるようになりました。そしてある日、義父から長男宛てに手紙が届きました。それは謝罪の手紙でした。『ゴメンネ。また遊びに来てね』これを読んでからさらに数ヶ月後、やっと長男も帰省できるようになりました。この帰省トラブルは防げるものだったと、私自身反省しています。今は、帰省中に子どもたちを置いて出掛けないよう徹底しています。長男も一緒にいてと懇願してきますので、大丈夫だよと伝えています。この件で長男は傷ついてしまいましたが、長男には自分自身を好きでいてほしいと心から願っています。自分を認めてくれる人もいることを知ってほしいです。長男が知っている世界は、今はまだ家や学校、義実家だけ。でも、これからもっと視野を広げ、一歩踏み出せたら、新しい世界があることを知ってほしいです。そうすれば、長男ももう少し生きやすくなるのかなと思っています。イラスト/taekoエピソード参考/セバスチャン・ベッテル(監修:鈴木先生より)聴覚過敏のある方などは、子どもの泣き声を嫌がることも多いでしょう。それがたとえ孫であろうとも。子どもは泣くのが仕事の一つですから泣くのは仕方ないことです。義父はあとになって反省して長男に謝罪の手紙を書いたことは大変素晴らしいことです。直接言いづらいことを手紙にしたためて伝えることで長男に義父の気持ちが伝わったのだと思います。今やメールの時代ですが、メールの形式的な字体よりも本人が直接書いた字の方が温かみはあります。謝罪だけでなく感謝の言葉も手紙にしたためて送ってあげると良いと思います。メールは消されますが、手紙は形として残っていますから。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月28日場面緘黙の診断が出た後、学校では…次女は2年生のときに場面緘黙の診断を受けています。4年生までの担任の先生方は、みなさん場面緘黙について知らなかったので、その都度私の方からお伝えしていました。Upload By まりまり学年が変わるたびに一からの対応で、先生にどこまでお願いしていいのか、私が考え過ぎているだけなのか、でも次女は困っているし…と、いろいろ気をつかうことが多かったです。支援センターでのことを担任の先生に言ってみた次女が4年生になったとき、学校で変わらず話せない次女を心配して、初めて地域の支援センターに相談に行きました。そのときに、支援センターの相談員の方からも、友達とコミュニケーションが取れない次女に対して、「自分から話しかけることが大事」というようなアドバイスがありました。しかし、話したくても話せないことに対する葛藤などを、学校の担任の先生にお話してみました。このとき先生は、できない次女を責めたり、鼓舞したりするのではなく、日ごろの次女のクラスでの様子を見て「どうしてもできない」ということを理解してくれていたように思います。Upload By まりまり私の方から提案してみた先生は、次女の大変さを理解してくれていたけど、先生の方でもどう支援していったら良いかというのは悩んでいました。私としても、学校での次女の困りごとに対して、どうして良いか分からないことが多かったです。そこで、特別支援学級の先生であれば、場面緘黙の支援に関する知識があるのではないか?と思い、特別支援学級に転籍するのはどうか、担任の先生に提案してみました。先生の返答は…現状では、次女は話せないけどクラス内でできることはやれているからということで、「特別支援学級…という感じではないかもしれません」ということでした。Upload By まりまりまた、特別支援学級は少人数制ではあるけれど、交流学級などで児童の入れ替わりもあり、わりと騒がしい環境になってしまうため、次女にはあまり向かないのではないかということでした。次女のような子どもが、学校で支援を受けるのはなかなか難しいのか…と残念に思っていたところ…。ことばの教室そこで私が急に思い出したのが「ことばの教室」でした。次女の学校にあるかどうかも分からなかったけど、場面緘黙に関する本を読んだときに、場面緘黙のある子どもが通える場所のひとつとして紹介されていたのを見たことがあったからです。Upload By まりまり先生に聞いたところ、なんと次女の通う学校でも1、2年前から通級指導教室として「ことばの教室」が始まっているとのことでした!場面緘黙の子どもも「ことばの教室」に通う対象になることを先生にお伝えしたところ、「ことばの教室」は個別での指導のため、次女にはそちらの方が向いているかもしれないとのお話。私自身もそう思ったので、「ことばの教室」の利用を申し込む流れとなりました。なかなか学校での支援に繋がらなかった次女のように静かに困っている子どもに対しては、支援の手がなかなか伸びにくい現状があると思います。そんな中、折に触れて見えにくい次女の困り感を先生に相談していたこと、先生がクラス内での次女の様子をよく見て理解してくれていたことで、「ことばの教室」への申し込みに至ったのかなと思いました。Upload By まりまり執筆/まりまり(監修:初川先生より)場面緘黙のお子さんの困っている状況や気持ちはなかなか見えづらいですね。多くの場合、本人たちも話せるものなら話したいと思っているけれど、どうしても声(言葉)が出ない、話そうとすると硬直してしまう等の状況に見舞われる場合があります。また、気合いでなんとかなるものと思われ、鼓舞されたり、逆に、一人が好きな子どもと思われてそっとされすぎてしまったり、いろいろと本人らの思いとは違う方向にいくこともあります。まりまりさんの次女さんはことばの教室に通級することになったのですね。ことばの教室に通うお子さんは主には言語障害をお持ちの方となるため、地域によっては場面緘黙だけの理由で入ることは難しいかもしれません。特別支援学級も当初検討されたとのことですが、おそらく知的障害の特別支援学級のことであったのかなと推測します。その場合、知的な遅れがあることが前提となるため、次女さんには合わない(担任の先生の見取りで今の教室でできることがたくさんあると)と判断されたのでしょうか。特別支援学級にはもう1つ種類があり、「自閉症・情緒障害」の特別支援学級ですと場面緘黙はあてはまります(この場合、情緒障害というのは、主に場面緘黙のことを指します)。ただ、通級にしても、特別支援学級に移るにしても、お子さんの希望も大切です。場面緘黙のお子さんだと、教室では話さないけれど、一緒に遊ぶのはできるし、そこが学校生活の支えになっているお子さんもいます。お子さんにとってどこで学ぶのがよさそうか、本人や保護者の希望など、多角的に検討することが大切です。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月27日特別支援学校か、地域の小学校か…悩みに悩んだダウン症息子の就学先以前、きいちゃんが小学校の入学式直前に逃亡し、肝心の式では大泣きをして、私は「就学先を間違えてしまったのではないか…」と、悩んでしまったというコラムを書きました。地域の小学校の特別支援教室に入学し、手厚いサポート体制にうれしい驚き!きいちゃんは、就学相談では特別支援学校判定でした。そのため、「無事に特別支援学級に馴染んでくれるのだろうか…」「もし、馴染めなくて先生にご迷惑をかけたり、不登校になったりしたらどうしよう…」場合によっては、次年度は特別支援学校に転校しなければいけないかもと、実際に通い始める前は不安でいっぱいでした。入学した特別支援学級は当時、2クラスあり全員で8人。きいちゃんはダウン症という障害ですが、いろいろな障害がある子どもたちが在籍していました。中には、「どうして君がいるの?」という、私からは定型発達にしか見えないクラスメートもいました。入学して驚いたのは、きいちゃんが通う特別支援学級は生徒8人に対して担任の先生が2人なのですが、「SA(スタディアシスタント)」という担任以外にも生徒を補助する先生もいらしたことです。そのSAの先生が3人、担任が2人と合計5人の先生で8人の生徒をみていくスタイルでした。これはうれしい驚きでした。特別支援学校の手厚さ(生徒2人に対し先生が1人つく)は知っていましたが、その体制とそんなに変わらないのではないかと思いました。(注:ここら辺はもしかしたら、通う学校や地域によって変わるのかもしれません。)そして、きいちゃんの学校生活は案外早く知ることができました。入学して2週間後に早速、授業参観があったのです。きいちゃんは落ち着いて席についているかな…と心配しながら教室に入ると、なんとSAの先生に抱っこされて椅子に座っているきいちゃんが…!!!Upload By 星きのこ授業中に隣の席の子と大合唱&脱走!きいちゃんが落ち着いて椅子に座れないからどうやらその体制で授業をして下さっているみたいでした。(先生申し訳ありません…!)そして授業が進んでいくと…隣の席の女の子が、いきなり大声をあげました。なかなか落ち着く様子はありません。それはいいのですが、それに呼応するようにきいちゃんも大きな声を出し、2人で大合唱!!Upload By 星きのこそして、その女の子がいきなり教室を脱走しました。すると何を思ったか、きいちゃんも一緒に脱走…!!Upload By 星きのこ幸いすぐに先生方が連れ戻してくださいましたが、早速やらかしているきいちゃんに、私はドキドキでした。その後は授業の工作も無事に進み、上手にできた桜のちぎり絵を「ほらっ」と誇らしげに私に見せてくれました。Upload By 星きのこダウン症がある息子にとって安心して過ごせる場所にきいちゃんの問題行動はいろいろありましたが(汗)、その都度、先生方がカバーしてくださり、きいちゃん自身はのびのびと授業を楽しんでいました。きいちゃんだけではなく、ほかのお子さんも同じように、先生方が一生懸命に子どもたちをサポートしてくださっている様子が分かり、とてもありがたかったです。そして、小学校に入学して一番意外だったのは、保育園時代は教室の中に入りたがらなかったり、ポツンと孤立してしまい寂しそうな姿を見せることが多かったきいちゃんが、とても楽しく学校に通ってくれるようになったことです。きいちゃんの通う特別支援学級のクラスでは、年は違いながらもみんな仲がよく、とても団結しています。とくに上級生の男の子が、きいちゃんともう一人の新入生を可愛がってくれてとてもありがたかったです。先生方も、子どもたちの小さな成長を見逃さず、共に喜び、励まし、応援してくださっています。本当にありがたい限りです。きいちゃん自身も「ここは僕がいていい場所なんだ」と、とても安心して過ごせる場所になっているように見えます。全て先生方の献身の上になりたっていますが…(汗)さて、そんなきいちゃんが2年生ではどうなったかというと…?その話は、またの機会に書ければと思います。執筆/星きのこ(監修:鈴木先生より)私の外来でも、診察の為に子どもの患者さんを抱っこすることはよくあります。今回のエピソードについては、クラスの雰囲気もよいということですし、抱っこまでしなくても近くで寄り添ってあげることで一人で座っていられた可能性もありそうですね。学校やクラス内の環境がいいとみんなでサポートし合うようになりますので、先生だけではなく、年上のお兄さんやお姉さんが面倒を見てくれるという場面も増えてくるのではないでしょうか。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月27日わが家の3人の子どもたちをご紹介!Upload By 安田ふくこはじめまして。3人の男子&夫と暮らしてます、安田ふくこです。これまで、ブログやSNSで子どもたちの発達のことや日々の様子を記録していましたが、これから発達ナビでも、過去や現在のことをコラムで書けたらと思っています。まずは、わが家の子どもたちをご紹介します!・長男ハル(高校1年生、ASD・ADHDの診断)・次男ツトム(小学6年生、ADHD・ASDの診断)・三男ケイ(小学3年生、診断なし)長男ハルが診断を受けたのは、小学4年生のときです。赤ちゃんのころは、よく笑って泣いて、とても表情豊かな子どもでした!幼少期はとにかく多動!!私はハルを連れては日用品の買い物もまともにできず、早々に宅配サービスの利用に切り替えました…。言葉は2歳半くらいから発達してきましたが、しゃべる内容が分かりづらく、おっとりマイペースでコチラの話もあまり伝わらない…意思の疎通にとっても苦労した記憶があります。でも、基本は人との争いが非常にニガテな、とても優しい男の子でした。中学時代はバスケ部に所属しました(原則運動部に所属しなければならない中学でした)。でも、その「人と競い合うことがニガテ」なところは変わらず…。たくさんのことに葛藤していましたが、引退まで頑張り抜きました。今でも日課としていた4kmのジョギングや筋トレを、毎日欠かさずやっております。高校1年生の現在は、とにかく自分のルーティンがハッキリしていてそれを崩されるのがイヤみたいです!前述したジョギングや筋トレの時間をはじめ、自分で決めた勉強の時間、通学ルートなど…。環境が変わったり、予定外なことに遭遇したり、変更を要求されるとプチパニックに…(汗)。よく言えば自分が決めたことを貫くってことですが、『ときと場合』や『周囲との折り合い』についても、もうそろそろ考えられるようになると良いなと思います!一方、小学6年生の次男ツトムは、年長さんのころに診断を受けました。小さなころから現在に至るまでとにかく興味のあることが多く、ハマるとそれしか見えなくなる!呼びかけの声もほとんど聞こえなくなってしまいます。小学生になったころからずっと今も、ツトムがハマっているのは自然(虫、植物など)に関することや、宇宙、地理、国名、鉱石、菌など、種類もさまざま!親の私も分からないことだらけで…質問に答えられないこともしばしばです。それから兄ハルを上回るほどに、ゲームも大好きなので、ゲームやりたさに急いで走って帰ってきてコケてしまったり、ゲームの世界が始まれば、周囲の声かけが聞こえなくなったり…。時間を守れずに、パパに叱られることもよくあります。高学年となり、今はずいぶん切り替えられるようにもなってきましたが、どうしても頭の中は好きなことが占めるので、それ以外をするのが苦痛でたまりません。なので『集団行動』が基本の学校という場所で、よくツラくなってるなと思うことが多くありました…。Upload By 安田ふくこ発達障害のある長男と次男。診断名は同じでも、特性の現れ方は全く違っていて・・・長男ハルと次男ツトムは2人とも、「自閉スペクトラム症(ASD)とADHD」と診断名こそ同じですが、母の私からみていても、おもてに現れる特性が大分違います!それについて私自身も、興味を持ってみております。医学的なことは素人なのでよく分からないのですが、母親の私の視点からみていると、長男はどちらかといえば「ASD」、次男は「ADHD」っ気が強いんじゃないかな?と思っています。(以前、子どもたちの主治医に、ASDとADHDの特性の違いについてたずねたことがあるのですが、あまり詳しい説明を聞くことはできず。わが家の子どもたちに見られる特性が、ASDとADHDのどちらに由来するものなのかは、よく分からないままとなっています…。)Upload By 安田ふくこ今後のコラムで、ハルやツトムの幼少期に現れていた発達の特性、私が日々子どもたちに接している中で感じること、また反抗期ならではの困りごとなども書いていけたらと思います。大きくなっても騒がし…いやにぎやかな毎日ですが…みなさんどうぞよろしくお願いいたします!執筆/安田ふくこ(監修:新美先生より)安田さんはじめまして。個性豊かなごきょうだいのご紹介を読ませていただき、これからのコラムが楽しみになりました。息子さんたちは、それぞれに「自閉スペクトラム症とADHD」という同じ2つの診断名がでているけれど、それぞれおもてに出ている特性が異なっているのですね。これはとてもよくあることで、そもそも「自閉スペクトラム症」という1つの同じ診断名でさえ、特性の現れ方はさまざまです。また自閉スペクトラム症とADHDが合併していることも多いのですが、こだわりが強いと言われる自閉スペクトラム症とこだわらない・引きずらないことが1つの特徴でもあるADHDという一見真逆にも思われる特性が1人の中に共存しているのですから、特性の現れ方は人それぞれ多彩です。また年齢によって前面に目立ってくる特性が変化していくこともよくあります。安田さんの今回の記事からは、確かに長男さんの「自分の決めたことを貫く」というのはどちらかというと自閉的、次男さんの「興味が多彩」というところはADHD的に見えるところかもしれません。自閉特性なのかADHD特性なのかということは、考えているとけっこう面白くて話のネタにもなりますが、いろんな要素が影響することで一概には言いにくいところもあり、いずれにしてもご本人を理解する考え方の切り口の一つにしていくとよいかとは思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月26日姿勢維持のサポートグッズを試すもうまくいかず…ゆきみ(以下、ーー):小学2年生、自閉スペクトラム症のある長男けんとは、姿勢維持が苦手。食事のときは、まっすぐな姿勢で食べていられることが多いのですが、それ以外のときは椅子に座ると姿勢が悪くなってしまいます。特別支援学級での授業を見学させていただくと、机に伏せてしまったり、座面に膝をのせてエビぞりのような姿勢をとったり、あぐらをかいたり…と、まっすぐに座れている時間がとても少なかったのです。通っている学校の交流級での授業は、姿勢維持を大事にされているようで、サポートをしてくださる先生が、2~3分間に1回くらいの頻度で姿勢を正していました。Upload By ゆきみ学校から「姿勢の維持が難しいです」と何度も指摘があり、インターネットや本で調べて、いくつかのサポートグッズや対策方法を試してみました。骨盤サポートクッションを購入したり、椅子の足に「踏む感覚」を得られるゴムひものようなものを張ってみたり、小さなツブツブのついたバランスクッションを敷いてみたりしました。今もそれらを愛用していますが、それでも姿勢を維持するのが難しい現状です。さらに何かやれることはあると思いますか?何をどうしたらいいのか、もう分かりません。Upload By ゆきみ100%ではなくても…まずは環境調整をしてみましょう野田先生:すでにいろいろ試されたようなので、一周まわっている前提でお答えさせていただきます。姿勢が崩れやすい理由や背景はさまざまです。例えば、・人間には筋肉の緊張をとらえるセンサーがあり、ある程度、適切な筋肉の張りを自動的に保てるようになっているのですが、張りを保つのに努力が必要で、疲れやすい人がいる。・感覚的に姿勢が崩れていることに気づきにくい人がいる。・椅子と机の高さがあっていないなど、適切な大きさや形の道具を使えていない場合がある。・学習レベルが合っていない場合がある。難しくて分からない、つまらない、だと姿勢を保ちにくい。・多動性や衝動性が高く、じっとしているのが難しかったり、ちょっとした刺激で動いてしまったりする。など。姿勢が崩れることにはお子さまなりの理由があることを理解し、対応方法を考えることが大切です。アプローチの方法としては…・椅子や机の高さが身体に合っているか、確認する。・環境調整という意味でいうと、椅子に滑り止めシートを敷くと、頑張らなくても腰が椅子の前の方に滑りにくくなり、姿勢維持が楽になることがある。(クッションを使用する場合、クッションが滑るようならクッションの下に敷き、身体が滑るようならクッションの上に敷く)・感覚を求める傾向がある場合、足元に人工芝などの感覚刺激を入れられるものを置いてみると、感覚が入り落ち着く子どももいる。・合理的に立ってもいい時間をつくる。例えば授業中、答案用紙を教室の後ろや廊下に貼り、答え合わせをしに席を立つ時間をあえてつくることで、立つことへの感覚を満たすことができるのです。ほかにも、机上の勉強の前にトランポリンなどで5分ほど身体を動かすと、椅子に座れる時間が長くなるお子さんもいらっしゃいます。Upload By ゆきみ環境調整によって、無理のない形で座れる状況をつくり、適応的な形で身体を動かせる機会や環境をつくることが大切です。100%ではなくても、うまく場面を選んで姿勢を変えられればいいですね。すぐにできるように、というより…ーー:低緊張などで姿勢を維持するのが苦手な方は、今後もずっとこのままなのですか?野田先生:もともと筋肉の張りが緩めという可能性もありますが、「思春期に入り身体が大きくなって筋肉がついた」、「スポーツを始めた」など、身体の発達、経験でも変わってきますので必ずしも現状から変わらないわけではありません。Upload By ゆきみーー:身体を動かすことが大切なんですね?野田先生:手押し相撲、つなひき、手押し車、座りながらキャッチボール、マットを登るなどの遊びの中で体幹を使う場面を増やしてあげると、支えがしっかりしてくる可能性もあります。ただし、姿勢を保つための身体の変化には時間がかかります。「すぐにできるように」というよりも、特性を理解したうえで、「将来的には身体の成長やスポーツの経験などで少しずつ身体が変化することで、もしかしたら今よりも楽に姿勢維持ができるようになるかもしれない」と頭に入れながら、今は環境調整や遊びなどできるところから取り組まれたらいいと思います。ーー:ごはんのときだけ姿勢が崩れにくいのは理由があるのでしょうか?野田先生:活動の種類に応じたモチベーションの違いが関連しているのかもしれませんね。また、人は自然とその人にとっての合理的な動作や姿勢をとることが多いです。けんとさんの場合、ごはんを食べるときの道具の使い方や口にもってくる動作が、姿勢を保つことにフィットしているのかもしれませんね。対談を終えて対談後、家では滑り止めシートを試してみました。様子を見ていると骨盤サポートクッションからお尻がずり落ちている印象だったので、上側に敷くことに。以前よりズリズリ前にいかなくなり、姿勢をまっすぐできる時間が長くなった気がします。ほかにも身体を動かしてから勉強をしてみたり、途中で身体を動かす時間をつくるようにしています。最近、自ら椅子の前にバランスボールを持ってきて、足をのせてビョンビョンさせているときがあります。もしかしたら好みの感覚なのかもしれません。Upload By ゆきみけんとは人の話を聞くことが苦手です。学校の授業では「聞く」ことが多く、モチベーションを保つことが難しいのかなと思います。最近はテストのときや、書写で字をキレイに書く場面では、自ら姿勢をキレイにしてやり始めることがあるそうなので、持久力はないけれど「やらないといけないときはやる」と思うようになってきたのかもしれません。身体の使い方を遊びの中で身につけていくことで、天気がいい日はアスレチックのある公園へ行くようにしています。先生からの教えを胸に、「すぐできるように」というより、「いつかできるように…」という気持ちでやっていこうと思います。執筆/ゆきみコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月26日小学校では、板書ができないのでノートは真っ白Upload By スガカズ発達障害のある次男は4月から通常学級の中学校に進学しました。私は次男が小学校のときから、次男の学習面に対する心配がありました。なぜなら書字に対してかなり苦手意識があり、学校ではノートをとらないからです。読字も本人が嫌がるため、学校の教科書以外で本を読む機会はほとんどありません。プリントやテストなどは本人の調子がよいときには取り組むことができますが、白紙の解答用紙を見続けると、やはり心配になります。文字(漢字)を見ながら正確に書き写すことはできるのですが、「目の往復運動が疲れる、書き間違いを直したくない、文字の読み書きをする必要性を本人が感じていない」などの理由から、家庭でも書字を含んだ学習は難しいです。1日の中で、机に向かうことができる時間は10分~20分。宿題という「きっかけ」があるから机に向かう訳ですが、想定以上の時間がかかると、途端に機嫌が悪くなり、続行は難しいです。そのため一度習った漢字は定着せず、ぼんやり理解している状態で授業がどんどん進んでいきます。そして、それは国語だけではなくほかの教科でも同じようなことが言えます。小6では、本人のレベルに合わせた宿題を、先生の了承をいただいた上で取り組ませていました。Upload By スガカズ中学校選び、特別支援教室に入室する準備、合理的配慮の準備Upload By スガカズ中学校では学習の難易度がグッと上がりますし、自立を求められるため、発達障害のある子どもが小学校のときと同様の配慮をしてもらうことは難しいとよく耳にします。そのため私は、「次男の中学校生活が、楽しいものでありますように」と願いながら、1年間進学の準備をしてきました。配慮を得るためにはまず「できるだけ本人の特性に合った学校を選んだほうがよいのではないか?」と考えました。近隣に、特別支援教室の拠点校(A校)がありました。そこは、1学年あたりの生徒数が100人以下の学校で、1学年あたり2〜3クラスで構成されています。そのため、環境がガラリと変わる中学校生活の中で、比較的落ち着いて過ごすことができるのではと思いました。また、特別支援教室の職員室があり、巡回していたとしても週2日は先生がいるようでした。何かトラブルがあった際に本人の居場所を確保しやすそうですし、私自身も特別支援教室に連絡をしやすそうだと思いました。中学校卒業後の進路についても、拠点校であれば発達障害のある子どもがどのような進路を選んだのか前例が聞きやすいのかもしれないと思いました。実は、次男本人はもともと、別の中学校(B校)に行きたいと言っていました。ですが、生徒数が多く、生徒への目が行き届いているのか首をかしげる噂も多いです。また、なぜその中学校がいいのか尋ねると、次男がその中学校に行きたい理由が「何人かの友達に誘われているから」といったものでした。私が頭を悩ませていると、同じ小学校に通う息子の親友(発達に凸凹がある男の子)のママも、私が希望するA校に子どもを通わせたがっていることを知りました。そこで、親友のママと話し合い、次男と親友が同じ中学校に通うように働きかけました。ただ、いくら環境が本人に合っていそうでも、本人自身が納得していないと、中学校で何か問題にぶちあたった際に親子の信頼関係にひびがはいってしまうかもしれません。「オレは違う中学校に行きたかったのに、お母さんに勝手に決められた」と言われたら私は何も言い返せなくなると思います。まず私は、A校とB校の特徴を次男に説明することにしました。また、私自身が中学校生活を送った際の経験も話しました。小6のころには次男自身、「自分は発達障害がある」ことを理解していたからなのか、意外にも私の話に耳を傾けてくれました。私の話を聞いてしばらくして、次男は「親友がA校に通うのならいいよ」と言いました。親友も同様に「次男もA校に通うならオレも通いたい」と言いました。こうして、無事に拠点校である中学校(A校)に決まりました。小学校で特別支援教室に入るときと同様に、準備をしました。説明会、体験、判定会議などを経て、無事に12月初旬に特別支援教室の入室許可を得ることができました。ただ、その時点でA校(通常学級)からは中学校の決定通知書が来ていなかったので、本当に通えるのか分からず、12月末に通知書が届くまでは心が落ち着きませんでした。療育センターの小児精神科医に相談しました。WISCのほかに読み書きスクリーニング検査、言語療育(読み書きトレーニング)も通いました。読み書きスクリーニング検査の結果と過去の経験をもとに支援の内容を簡易的な書面にしました(具体的すぎたり、長い文章だと通常学級の先生にとって負担になるのではないか。また、細かく指摘することで、私自身も思うようにいかなかったときに学校に不信感を抱いてしまうのではないかと思ったため、あえて簡易的にしました)。また、医師から学習障害の診断書もいただき、事前に学校に相談することにしました。中学校の先生と事前面談通常学級で過ごすために事前に次男の特性の共有と、可能ならば合理的配慮をお願いしたいと思い、入学式の前(4月頭)に面談をさせてもらうことになりました。事前面談で、小学校に就学してから今まで受けた検査の結果、診断書、特別支援教室の連絡シート、個人で書き起こした書面を持参し、過去の体験を交えて共有しました。・上下関係があると感じるような高圧的な関わり方は避けてほしいこと・自分のイヤな気持ちや、行動の理由を言葉に説明することが苦手で、クールダウンが必要なので、トラブルがあった際には、時間をおいて可能であればあとで聞き出してほしいこと・本人自身、怒ってしまう性格を中学校生活できちんと直したいと思っているので、それについては頭に留めて(仮に怒ってしまったとしても、本人が怒りたくて怒っているわけではない)いただきたいこと・小学校では、文字を書かないが耳で聞いて授業の内容を概ね理解できていたこと・板書をしていなくても注意しないでほしいこと・板書が難しい場合、黒板の内容を写真で撮りたいこと・課題は可能であれば取り組ませるが、現時点では難しそうなので、基本的には静観してほしいことUpload By スガカズ通常学級の先生(のちに、次男の担任の先生だと判明)と、特別支援教室の先生(主任と次男の担当の先生)と4人で面談ができ、情報共有や理解を円滑に行うことができました。また、配慮についても了承していただけました。わが家の場合はスムーズにいったけれど…Upload By スガカズ中学校との事前面談が終わってから、安堵の思いで「事前面談で理解してもらえた」ことを他者に共有したことがあります。その際に改めて感じたこととしては「地域や学校によって対応がまちまち」であること…。次男の中学校は拠点校なので話が進めやすかったのも理由の一つかもしれませんが、拠点校といっても、別の地域では理解してもらえなかったというお話も伺いました。私たちは子どもたちの環境を模索しますが、普段(子どもが学校に通っている間)は遠くから見守っている側です。教育現場では、「だれもが平等に教育をうける権利がある」としながらも、人手不足や自治体の予算など、さまざまな理由から実現が難しいというお話もうかがいます(合理的配慮を受けることが難しい環境があることも耳にします)。わが子を思って同様に行動したはずなのに、同じように支援が受けられないことはやはり同じ親としてはつらいものがあります。次男よりも若い子どもたちのうち、1人でも多くのお子さんの学校生活が、楽しいものでありますようにと願わずにはいられません。執筆/スガカズ(監修:新美先生より)中学校への進学に際しての準備について詳しく教えてくださりありがとうございます。思春期真っただ中の中学生は、自分のことは自分で決めるということを尊重していくことが大事です。とは言え小学校から中学校へは環境が大きく変わり、子どもにとっては中学校は未知の世界です。保護者として必要な情報収集をして、中学の環境の選択に際して本人に、進学先のメリットデメリットや、小学校との違いを本人がイメージしやすいように説明することで、本人が理解して納得して自己選択するというプロセスがとても大切になりますね。スガカズさんが記事でご紹介いただいたように、大人が良かれと思って勝手に進学先を決めずに、丁寧に説明して、ご本人が納得して中学を決められたのは良かったですね。理解のある担任に恵まれたことも事前の情報収集が功を奏した結果と思われました。記事の末尾のご意見のように、地域差や学校間差(人による違いも含めて)は残念ながらよく聞きます。それでも、こういう合理的配慮があると、このようにスムーズに生活できたという好事例を公表していただき、実績が積み重なることで、どこの学校でも、どこの地域でも、よいやり方を取り入れていこうという風潮がどんどん広まることにつながると信じています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月25日ダウン症の俳優吉田葵さん『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』は、中学2年生のときに起業家の父が突然死、高校1年生のときに母が心臓病で車いす生活、4歳下の弟はダウン症、そして祖母は認知症という、作家・岸田奈美さんの自伝的エッセーを原作にした連続ドラマです。このドラマに、オーディションを経てダウン症の弟・草太として出演中の吉田葵さんは、知的・身体障害者専門の芸能プロダクションに所属(撮影当時)する現役俳優です(現在はハッタオフィス所属)。ダウン症がある俳優が連続ドラマのメインキャストとして出演することは、日本では初めてに近いそうで、吉田葵さん自身もドラマ初挑戦。毎回、張り切って撮影に臨んでいます。Upload By 発達ナビニュース【吉田さんプロフィール】生年月日:2007年1月4日趣味:踊ること・バスケ・文字を書くこと・iPad特技:モダンバレエ現在16歳の葵さんは、特別支援学校高等部に通う2年生です。また、特技のモダンバレエでは、2022年6月に名取(名取名・駒葵)を襲名されています。「やってみたい」という思いを実現し、俳優の道へーー葵さんが俳優になりたいと思ったきっかけを教えてください。葵さん:ドラマや映画やミュージカルを見て、俳優さんたちの表情とセリフがかっこよかったから、僕もやってみたいと思いました。ーーNHKプレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』に選ばれたときは、どんな気持ちでしたか?葵さん:びっくりしました!! うれしかったです!(撮影現場で)オーディションで会った監督さんたちにまた会えて、とてもうれしかったです。ーー撮影のなかで大変だったことや楽しかったエピソードを教えてください葵さん:大変だったことは、早朝の撮影で早起きをしたことです。起きられるかドキドキしました。楽しかったことは、撮影全部です。あと、俳優のみなさんと、スタッフのみなさんと、いっぱいおしゃべりしたり、ごはんを食べたことです。Upload By 発達ナビニュース英語を学び、世界中のダウン症の人に会いに行きたいーードラマの放送後、ご家族や友人など周りの反応はいかがですか葵さん:家族や、学校や習いごとの先生たちや友達やお父さんお母さんたちがいっぱい見てくれて、とてもうれしいです。「ドラマ見たよ!」「感動したよ!」と言われました。ーー学業と仕事の両立はどのように工夫していますか?葵さん:早寝早起きして、健康でいるように頑張っています。学校も仕事も大好きです。ーー将来、目指す俳優像や、今後挑戦してみたいことはありますか?葵さん:俳優のプロになって、映画とドラマに出たいです。レポーターにも挑戦したいです。そのために、練習や勉強をしたいです。パソコンも上手になって、仕事で使いたいです。あと、英語の勉強をして、世界中のダウン症の人に会いたいです。そして、一人暮らしをして、みんなとパーティーをしたいです。犬と暮らしたいので、犬の(世話についての)勉強も頑張りたいです。――ありがとうございましたNHKプレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』Upload By 発達ナビニュース中学2年生のときに起業家の父が突然死、高校1年生のときに母が心臓病で車いす生活、4歳下の弟はダウン症、そして認知症の祖母。作家・岸田奈美さんの自伝的エッセーを原作にした連続ドラマ「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」がNHK BSプレミアムにて、5月14日(日)22時より全10話で現在放送中です。今回の連続ドラマでは、岸田さんが紡いだエッセーに、ご家族や関係者への取材によるエピソードや、独自の視点での脚色を加え、全10話で放送中。主人公「岸本七実」役は、映画界で数々の賞に輝く河合優実さん。母役に坂井真紀さん、父役に錦戸亮さん。ダウン症の弟役には新人の吉田葵さん、そして祖母役は美保純さんが個性的な家族を演じています。【放送】2023年5月14日(日)~<全10話>毎週日曜 夜10:00~10:50(BSプレミアム・BS4K)Upload By 発達ナビニュース※クリックすると、発達ナビのサイトから「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」の公式サイトに遷移します。
2023年06月24日Upload By べっこうあめアマミ学校見学って何?学校見学とは、名前の通り、子どもの就学先として検討している学校に見学に行くことです。親だけで行くこともありますし、学校側から許可をもらえば、子どもも一緒に行くこともできます。実際にその学校で生活を送っている子どもたちを見ることで、自分の子どもがその中に入って生活したときにどのような感じになるのか、学校生活をイメージしやすくなります。どうして学校見学に行くといいの?Upload By べっこうあめアマミ私には、知的障害を伴う自閉スペクトラム症がある息子がいます。息子の場合は最初から通常学級への就学は難しいと思っていたので、私は就学先を検討するために、息子が年中になった年の夏ごろから学校見学に行きました。自宅がある学区の内外問わず、通えそうな範囲の小学校や特別支援学校の見学に、行けるだけ行きました。子どもが年中の時期に学校見学というと、早すぎると思われるかもしれません。しかし私の周りの障害がある子どもを育てる保護者たちの間では、年中の年で学校見学に行くのは珍しいことではありませんでした。子どもがこれからの長い期間を過ごすことになる就学先選びです。ゴールとなる就学のタイミングは決まっているのですから、できるだけ早く動き、より深く検討する時間を増やしたいと思うのは、自然な気持ちではないでしょうか。発達に課題があったり、障害があったりするお子さんが就学先を選ぶ際には、学校見学とは別に、就学相談を受けることになると思います。しかし、就学相談はあくまで相談。もちろん、関わる方たちは専門家ですが、用意した書類と親からの聞き取り、その場での発達検査や行動観察、といった、切り取られた場面での判断です。そのため、就学相談と並行して学校見学にも行き、自分の子どもが生活していく上で適した学校を、保護者自身が見定めていくことには、大きな意味があるのです。学校見学ってどうやって申し込むの?Upload By べっこうあめアマミ学校見学の形態は、地域によって異なります。「学校公開」という形で設定された日に、特に事前の申し込みなく自由に出入りできる場合もありますし、事前に学校に相談し、個別で見学日を設定してもらう必要がある場合もあります。私が地域の小学校の学校公開に行ったときは、ちょうどその学校の授業参観日で偶然居合わせた特別支援学級のお子さんの保護者の方に、学校の様子などいろいろとお話を聞くこともできました。逆に、学校見学として個別に予約して訪問した場合は、担当の先生に案内してもらいながら、いろいろと詳しくお話を聞くことができるかもしれません。私が特別支援学校を見学した際はこのパターンで、校内を丁寧に案内してもらいながら、たくさん質問させていただきました。学校公開だとしても、休み時間のタイミングに先生に声をかけることはできますし、せっかく学校に出向いたのなら、ぜひ不明点や気になったことなど、聞いてみると良いと思います。見学に行くならぜひ夫婦一緒に!子どもの発達や将来に対して共通認識を持とうUpload By べっこうあめアマミ私は、息子の就学先を検討するにあたって、特に大事にしていたことがあります。それは、自分1人で抱え込まず、夫を積極的に巻き込んでいくことです。子どもの人生を左右するかもしれない大事な選択ですから、私だけで決めるのは責任が重すぎます。そして、これからの息子の学校生活で難所に遭遇したときなども、夫婦で一緒に考えていけるように、私も夫もどちらも心から納得した形で就学先を選びたかったのです。そのため、学校見学は、夫にも一緒に来てもらいました。スケジュール上一緒に行けなかった学校は別日になりましたが、有力候補として考えていた学校は、どちらも一度は見に行くようにしました。そして、見学後に双方が感じたことを話し合ったのです。私の視点では気がつかなかったことを、夫が指摘してくれたこともありましたし、その逆もありました。実際に学校を見てくることで、夫も「この教室に息子がいることにミスマッチ感はないか」という、シビアではありますが、具体的な想像ができたようです。夫婦で学校見学に行ったことは、子どもの現在の発達状況を客観的に見つめるだけではなく、就学、そして将来に向けての共通認識も持てた、良い機会だったと思っています。学校見学はいつでもできるわけではない!気になる人は日程チェックを学校見学の時期は地域によりさまざまです。しかし、だいたい夏休み前の6月、7月ころと、夏休み後の秋ごろに開催している学校が多いのではないかと思います。せっかくの貴重な機会を逃さないように、少しでも気になるのであれば、すぐに学校のホームページなどで日程のチェックをすることをおすすめします。学校を見学しただけで、その学校に行かなければならなくなるわけではありませんし、ぜひ気軽な気持ちで見に行ってみて下さい。執筆/べっこうあめアマミ(監修:新美先生より)就学前の学校見学のご経験について詳しく聞かせていただきありがとうございます。保育園・幼稚園と小学校とでは、環境ががらりと大きく変わります。十分に準備をして就学を迎えたいものです。べっこうあめアマミさんがおっしゃっているように、年中さんごろから就学に向けた検討を始められると余裕があり安心ですね。まだ1年以上先なら、成長・発達があるかもしれないからもう少し待ってみたいという考えもあるかもしれません。ですが、年少・年中時点で気になる特性は、同じ環境の園にいるうちに慣れて目立たなくなったとしても、大きな環境変化を伴う就学後に再び前面に現れてくることがあります。年中時点で気になることがある場合、お子さんにあった環境選びについて広く情報を集めて、適した環境が選べるように動き始めるのに早くはないと私も思っています。また、べっこうあめアマミさんがおっしゃるように、就学に関わるさまざまは、できる限り両親で共有していけるといいですね。視点が異なり、ときには意見が食い違うこともあるかもしれませんが、実際にお子さんがさまざまな環境で呈する姿をいっしょに見ていくことで、就学に向けての考えをすり合わせていきやすくなるといいですね。学校見学や就学相談の仕組みについては、自治体ごとに異なるところもあるかもしれません。一斉の見学日が決まっている学校もあれば、個別に見学する学校もあると思います。詳しくはお住まいの地域でお尋ねいただければと思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月23日大変すぎるショッピング。でも、家に置いていくわけにもいかず...うちの凸凹きょうだいのお兄ちゃんタケル(ASD・現在22歳)は、3歳ごろから非常に顕著に発達障害の特性が表れていました。興奮すると走り出してしまったり、ボリュームの調整が効かず大声を上げたり、また他人の声がうるさいと機嫌が悪くなったりします。そんなタケルを連れていくとなると、ショッピングモールやデパートはまさに「鬼門」。しかし、家に置いていくわけにもいかないのです...。発達障害3歳息子は、車から降りた瞬間に走り出す一般的な話でも、親子でショッピングに行ったときに子どもが手から離れたり、逃げ出したりすることはありますが、わが家の場合はその頻度が違います。Upload By 寺島ヒロ当時はよく「買い物してるときでも子どものことはちゃんと見てなさい!」とか、「手を放しちゃだめって厳しく言っておかないと!」などと言われていましたが、そんなレベルじゃーないのです。駐車場に停めた車から降りた瞬間に走り出すので、鍵をかけている親は初速で負けます。もちろん息子の後を追いかけはするのですが、そのまま迷子になってしまうことも少なくありませんでした。「走るな!」と言っても通じない!?困ったのは、タケルに「走るな!」と言っても全く通じないことです。タケルは普段は人の言うことをよく聞く、むしろ厳格にルールを守る性格なのですが、なぜかこの件についてだけは例外のようです。「走っちゃダメ!」と言うと一瞬は立ち止まるのですが、また何か見つけると走っていってしまいます。「〇〇するな!」と禁止するような言葉だと、次にどうするのがいいか判断がつかないこともあるという話を聞いて、「足音がしないように歩いて!」と指示を変えたこともありますが、これもダメでした。走ってはいけないところの「基準」を教えてみたら...そしてタケルが5歳になったころ、ふと、広いショッピングモールやデパートは公園みたいなものと思っているのかもしれないと思い、「まずどこかに到着したら上を見て!屋根のあるところでは走っちゃダメ!」と教えてみました。すると、ぱったりと...というわけにはいきませんでしたが、急に走りだすことがなくなり、1ヶ月が過ぎるころには全くお店で走らなくなりました!走ってはいけないところの「基準」がはっきりしたからなのか、たまたま丁度「お店で走ってはいけない」が理解できるようになった時期だったからなのかは分かりませんが...とにかく、買い物に来て汗だくで子どもを追いかけまわす日々からは卒業できました。自分のペースで動けないとストレスが溜まるほかにも、私が商品を見たくて立ち止まったりすると、頻繁に「もう帰りた~い!」とぐずったり、機嫌が悪くなったりすることがありました。私も子どもとの買い物はサッサと済ませたいので、それほど長い時間立ち止まっているわけではないのですが、立ち止まると目を三角にして服の裾を引っ張り始めます。当時のタケルは「買い物」もよく分からないし、私が「買うものを吟味してる」ってことも理解していないので、立ち止まる度に「予定変更!?」とイライラしていたようです。移動するなら同じペースで歩きたい、目的地まで一気に行きたいというこだわりもあったのかなと思います。Upload By 寺島ヒロ急に限界が来てしまうまた、さっきまではしゃいでいたのに、急に身体がぐんにゃりと倒れてしまうようなこともありました。感覚過敏のあるわが子は、お店の明るさや人ごみで疲れやすいのですが、自分がどれぐらい疲れているかは分かりにくいので、知らないうちに限界が来てしまうのです。売り場の中で動けなくなってしまったときは引っ張り出すのも、そこから家に帰るのも一苦労でした。発達障害のあるわが子とのショッピングは、特別なトラブルがなくても親は常に緊張を強いられます。最近は、車椅子(動けなくなった子どもを運ぶ!)を貸し出してくれるショッピングモールも増えてきましたが、クワイエットタイムや、センサリールームの設置などももっと広まると良いなあと思います。執筆/寺島ヒロ(監修:藤井先生)買い物先で落ち着かないので、外出ができないという相談をよく伺います。禁止するような言葉ではなく、適切な行動を具体的に伝える言葉かけで行動が変わることもありますが、寺島ヒロさんが書いているように、全てのお子さんに効果があるわけではありません。どの範囲で走り回ってはいけないのかというルールを、分かりやすく具体的に伝えたのがよかったようですね。クワイエットタイムとは、問題行動が起きた場所から少し離れて、座って静かにするように指示し、短時間の静かな時間を過ごして、元の活動に戻すようにします。そのようなやり方が一般的に広まると、家庭だけでなく、園や学校、買い物先でも、過ごしやすくなると思います。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月23日悪魔の3歳児?3歳児の癇癪がひどい理由は?2歳ごろのイヤイヤ期との違い癇癪(かんしゃく)とは、大きな声で泣いたり、激しく叫んだり奇声を発したりするなどの興奮を伴う混乱状態を指します。気持ちのコントロールがうまくできない幼少期に起こりやすいと言われており、コミュニケーションの手段として習慣化することもあります。乳幼児期(0~1歳)ごろはオムツが汚れている、お腹がすいている、眠いなどの生理的に不快な状況がきっかけで癇癪を起こすことが多いです。1歳を過ぎると自分のしたいことがだんだんと分かってきます。保護者のしたことが自分のしたいことと違う場合に癇癪を起こすことも増えてきます。2歳を過ぎると本格的な「イヤイヤ期」に入ってきます。「魔の2歳」なんて言葉も聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。発語も出てくるので、「いや!」と言葉で自分の主張をしてくることも増えるでしょう。3歳になるとより一層知識・思考力が高まり、自分の主張を言えるようになってきます。「魔の2歳」のときよりも言葉も増え、体力もついてきているので「悪魔の3歳児」と呼ばれているなんてことも。このコラムでは、・3歳児の発達の特徴・2歳のイヤイヤ期と3歳児の癇癪との違い・3歳児の癇癪の原因・ひどい癇癪は何歳まで?癇癪が落ち着く時期・定型発達の子どもの癇癪と発達障害のある子どもの癇癪の違い・癇癪がひどい場合の相談場所など、3歳児の癇癪にまつわるギモンから、子どもの癇癪にまつわる保護者のお悩みや困りごとなど専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。【小児科医に聞く】3歳児の癇癪で気になるギモンに小児科医が回答ここでは、小児科医の藤井明子先生に3歳児の癇癪の原因や、ギモン、家庭や園、外出先での対応のコツについてお答えいただきます。(質問)イヤイヤ期がそろそろ終わるかと思ったら、3歳になって癇癪がパワーアップした気がします。3歳児の癇癪の原因は何ですか?癇癪はいつごろ落ち着くのでしょうか?(回答)3歳になると、言葉がふえ、短い文章で意思を伝えるようになり、感情の表現が豊かになります。運動面では、歩く/走るといった大きい運動(粗大運動)が向上するだけでなく、手先を使った細かい動き(微細運動)、たとえば積み木を積んだりといったことができるようになります。社会性も発達し、他者とのコミュニケーションが進み、自分の気持ち、人との関係性を意識するようになります。3歳の癇癪の原因は、2歳児よりもできることが増え、自分でやりたいという自己主張が増えたり、感情表現がはっきりすることで、癇癪となることがあります。3歳児は2歳児に比べて、言葉が発達し、感情コントロールも向上しているので、癇癪がへる傾向が見られます。しかし、3歳になって入園したり、習い事など集団生活に参加したりと環境の変化の機会もあり、それに伴いこれまでなかった癇癪が起こることもあります。癇癪は、気持ちの言語化ができるようになり、感情のコントロールが向上すると落ち着いてきます。3歳後半から4歳ごろになると落ち着いてくるお子さんが多いです。しかし、子どもの成長や発達は個人差があるため、癇癪が落ち着かない場合には、かかりつけ医に相談することをおすすめします。Upload By 発達障害のキホン(質問)無茶苦茶な要求をしては通らないと暴れます。親のしつけが悪いのでしょうか?(回答)癇癪が強いのは、お子さんの感情コントロールの発達の段階がまだ、成長過程だからです。親御さんのしつけのせいではありません。きょうだいを同じように育てても、癇癪が強い場合もあれば癇癪がほどんどない場合もあり、お子さんの個性はさまざまです。無茶苦茶な要求をされても、「〇〇ちゃんは、これをしたかったんだね」とお子さんの気持ちの言語化を代わりにしましょう。気持ちを受け止めつつ、「でも、今はできないよ」とできないことを伝えましょう。暴れてつらいと思われるかもしれませんが、癇癪を起こしたら、要求が通るという流れにならないように、できないことは、できないと冷静な態度を取るのが良いでしょう。そして、気持ちが落ち着いたら、それまでやっていた活動に戻り、穏やかな時間を共に持ちましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)わが子の癇癪がひどくてしんどいです。よい対応方法、やってはいけない対応方法はありますか?(回答)「〇〇ちゃんは、これをしたかったんだね」とお子さんの気持ちの言語化を代わりにしましょう。気持ちを受け止めつつ、「でも、今はできないよ」とできないことを伝え、気持ちが落ち着くのを待ちます。外だと癇癪はないのに、家庭内で癇癪が目立つというお子さんもいます。理由として、園などの集団生活では気を張って頑張っている分、家ではリラックスして気持ちを発散していることなどが挙げられます。その場合、家ではリラックスしやすい環境を整えることが大切です。家の中で癇癪を起こした場合には、安全な場所に一定の距離をもち離れ、クールダウンする時間を設けるのも良いでしょう。園でも、落ち着く環境に行き、クールダウンできるよう工夫しましょう。教室から離れて、職員室へ先生と2人で行く、机の下に潜るなど、落ち着く場所はお子さんによってそれぞれです。園の先生と対応について、相談することをおすすめします。外出先では、癇癪が起きた場所から少し離れて、気持ちが落ち着くのを待ちます。短い静かな時間を過ごして、元の活動に戻ります。癇癪が激しいと、お子さんの要求をかなえてあげたくなることがあるかもしれません。しかし、お子さんの要求を叶えると、癇癪を起こすことが、自分の要求を表現する仕方になってしまうので、気持ちの言語化をサポートしながら、落ち着くのを待ちましょう。【発達ナビQ&A】子どもの癇癪にもう限界…周囲の目も気になってしまい発達ナビのQ&Aコーナーでは、子育てに関する疑問や知りたいことを質問するとほかの発達ナビ会員の方々が実体験などをもとに答えてくれます。癇癪に関する質問とその回答をご紹介します。いつもお世話になってます。診断はまだですが自閉症スペクトラムであろう3歳半の娘がいます。少しでも気に障ったり気に入らないことがあると「バイバイ!!」と言って原因のものを自分から遠ざけます。積み木をしていて、崩れたりすると自分の目の届かないところに持っていかせます。今朝保育園に傘を持っていって、お迎えのときに雨が降っていなかったので、うっかり忘れてしまいました。でも10メートルくらい歩いてすぐ気づいたので「傘忘れたね!取ってこようか」と声をかけたらパニックになってしまいました。傘を取ってきて「バイバイ!」と私に言ってきても、その辺に捨てるわけにもいかず、家まで持って帰ろうとしても大泣きで動いてくれませんでした。その間お友だちやママさんがたくさん通ってすごく辛かったです。まだ言葉の理解が弱く、すぐ癇癪を起こします。いつか落ち着く日はくるのでしょうか。こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。引用:(略)幼稚園での出来事についてはしかたないとして、傘とかは、じぶんできづけは、偉いねですが、普段はお母さんが確認してもって帰ってくることにしてはどうでしょうか?お帰りにもう一度戻る、きっと耐えがたい気分なのだと思います。人前で混乱させないには、イレギュラーな出来事に遭遇させないことだと思います。(略)引用:(略)やはり事前告知が一番安定します我が家の場合、長男が文字を読むのが好きだったので、折り紙などの裏にボールペンで予定を2通り書いて選ばせたりしていました例えば、遊びに行く場合だと、11:00が今、お昼は何時かな?(12時!と答えてくれる)、じゃあ12:00〜13:00までお昼だよね。13:00〜遊びだね。と時間軸を横に置いてスケジュールを見える化します。ママはこっちの方がいいと思うんだ!と言いながら、11:00(今)〜12:00をお昼、13:00〜ずーっと遊び。みたいにパッと見ても先にご飯食べた方が途中抜けしないで遊べるよ!とメリットを感覚で理解しやすいように伝えました。(略)参考:発達ナビQ&A(解説)発達障害のお子さんの癇癪は、定型発達のお子さんに比べて、癇癪が強い傾向にあります。それは、こだわりが強かったり、気持ちのコントロールが未熟だったり、見通しが立たないことに不安を感じやすいなどの、特性が関係していることがあります。気持ちの言語化を図り、落ち着かせようとしても、なかなか落ち着かないなどある場合には、発達障害か否かを悩むよりも、かかりつけ医や保健センター、発達相談センターなどに相談することをおすすめします。Upload By 発達障害のキホン癇癪についての関連コラムはこちらコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月22日「仕事しないで家にずっといればいい」そう言われても…。親なきあと、私はどうなるの?私は、幼いころから衝動性が強い子どもでした。ですが当時は発達障害についての社会の理解が低かったこと、また両親も私のそんな特性に気づかなかったこともあり、ADHDの診断を受けることはありませんでした。短大を卒業し就職しましたが、仕事自体はできても環境になじめずにすぐに辞めて…を繰り返すようになりました。「なんでうまくいかないんだろう」「私ってダメなのかな」と感じる場面は日に日に増えていき、そんな中私は「こんなにうまくいかないのには、何か理由があるのかもしれない」と感じるようになりました。そんな私に同居している両親は、「仕事なんてしないで家にずっといればいい。体調が悪ければ家で寝ていればいい」と言います。ですが、そんなことを言われても、親がいなくなったら私はどうなるの?という焦り、不安、心配に押しつぶされそうな毎日でした。私は、自立をするためには働かなければならないと決意しました。「病院で診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得、その後就労移行支援を受けて就業する」という目標を立て、行動を始めたのです。Upload By ユーザー体験談自分の人生を生きたい!でも、手帳取得、就労移行支援に大反対する両親私は精神科を受診し、ついにADHDの診断を受けました。そして、精神障害者保健福祉手帳を申請する段階となったときに、そのことを両親に伝えました。ところが、両親は手帳取得も就労移行支援事業所に通うことにも大反対!しかもADHDの診断も認めない!と言うのです。「おまえは障害者じゃない。精神科に通うのはやめてくれ」「手帳を取るのも自分たちがなくなってからにしてくれ。おまえくらい養うから」その言葉は、到底受け入れられるものではありませんでした。私は仕事をしたい!何より自分の人生を生きたい!人生で初めて、親に対して抵抗をしました。Upload By ユーザー体験談私に障害があると認めたくない両親に、私は手帳を取るために必死にプレゼンをしました。発達障害、特性、生きづらさについて、そしてこれらにどのような支援があるか、資料を広げて詳しく説明をしました。すると、資料を見ていた父が突然、父自身に自閉スペクトラム症の特性があるかもしれないと、つぶやいたのです。そして後日、私の精神科の受診に父も同行することになりました。話を聞いてくれた主治医は、「お父さんには自閉スペクトラム症の特性がありますね」と言いました。昔から父は、ほかの人に何か言われても全く気にしないタイプでした。私は、父にもやっぱり特性があるんだと、改めて感じました。私の手帳取得に反対するのも、この特性がかかわっているのかもしれないとも…。その後、双極性感情障害の診断も受け精神障害者保健福祉手帳を取得した私は、グループホームを検討したいと思うようになりました。そこで、主治医に意見書を書いてもらう機会があったのですが、そこには『父親に自閉スペクトラム症の特性あり。父親による決めつけなどの精神的負荷が大きく、早く別居してグループホームに入居した方がよい』と書かれていました。父はこの意見書を読み、さすがに思うところがあったようで、その後は私の障害ややることについて過度に干渉することはなくなりました。Upload By ユーザー体験談自分の人生を大切にしていきたい。いつかグループホームを検討しています昨年、家のルールについて父と対立し、「出ていけ!」と言われたためウィークリーマンションを借りて一時別居した時期がありました。その生活のなんて快適なこと!ストレスの原因は、過干渉な両親だったんだな…とつくづく感じる結果になりました。その後、高齢の両親が心配になり実家に戻ったのですが、同じ敷地内でも住む建物を別にしたので、両親との距離を取りながらなんとか暮らしています。私は、企業に勤めています。就労移行支援事業所に2年通い、就職することができました。リモートワークができる会社なので、在宅で仕事をしているのですが、その仕事時間中にも両親が私の部屋へ来ることがあり困っていました。「◎◎を買ってきて」など、業務中にできないお願いをしてくるので、やめて欲しいと何回も注意したら、最近ようやく来なくなりました。一度、ウィークリーマンションを借りて別居したことも、よいきっかけになったのかもしれません。今後は両親とよい距離感をたもちつつ、将来はグループホームを検討して、自分の人生を大切にして暮らしていきたいと思っています。Upload By ユーザー体験談イラスト/吉田いらこエピソード参考/はっちゃん(監修:鈴木先生)神経発達症(発達障がい)に対する社会の無理解やSNSによる情報が広まったことで「診断を受けないまま大人になってしまった神経発達症」の方の受診が増えています。障がいを認めたくない親御さんの元で育ったため、まだ診断のついていない方が藁をもつかむ心境で相談に来られています。たとえ母親と受診したとしても、特性の強い父親などは外来へは一緒に来ない場合も多いです。子どもの障がいを認めたくないのと、自分の特性についてとやかく言われたくないからだと思います。お子さんに対する投薬や部活などに関しても反対するケースが多くみられます。精神障害者保健福祉手帳は取得することで、さまざまな補助が得られます。私のクリニックでは、主にマル福(医療福祉費支給制度)(※)が過ぎた18歳以上の方に書いています。診断名はASD+ADHDで書くことが多いです。手帳は「障害」ですが、ご本人には「ASDは特性、ADHDは慢性疾患」だとお伝えしています。(※)茨城県において、小児・妊産婦・ひとり親家庭・重度心身障害者などの医療福祉受給対 象者の方が、医療保険で病院などにかかった場合の一部負担金相当額を公費で助成し、医療費の負担を軽減 する制度コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月22日イヤイヤ期とは?起こる理由、イヤイヤ期の期間とピーク、年齢別のよくある行動「イヤイヤ期」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?子どもが自分の意思を主張し、言葉や行動で反発する時期を指す言葉です。この期間は、子育ての中でも大変な時期とされていますが、実は子どもの成長にとって重要な時期でもあります。今回のコラムでは、イヤイヤ期の理由、時期や期間、よくある行動、対応方法について、専門家の先生のアドバイスを交えてご紹介します。イヤイヤ期が起こる理由は、子どもの脳の発達と関係しています。脳の前頭前野という部分が、「我慢」や「制御」を司っています。幼児は、この部分の発達が未熟なため、自分の意思を主張したり、感情を爆発させたりすることが多くなるのです。また、言葉の発達もまだ不十分であるため、自分の気持ちをうまく表現できず、イライラしてしまうこともあります。・イヤイヤ期が始まる年齢イヤイヤ期が始まる年齢は、一般的に1歳半から2歳ごろとされています。・イヤイヤ期のピークは何歳ごろ?イヤイヤ期の期間、終わりは何歳ごろ?イヤイヤ期のピークは2歳ごろで、3歳ごろには徐々に落ち着いていきます。ただし、子どもによって個人差があり、イヤイヤ期が始まる時期や期間は異なります。男女でイヤイヤ期の違いはほとんどありません。また、イヤイヤ期がほとんどみられない子どももいますが、これらの違いは性別ではなく子どもの生まれ持った性格などによります。・1歳児1歳児のイヤイヤ期では、自立心が芽生え始め、自分の意思を喃語や身振りなどで伝えようとします。自分の意思や欲求が通らないことに怒ったり、激しく泣いたりすることがあります。・2歳児2歳児のイヤイヤ期では、自分の意見を言葉で主張したがり、思い通りにならないと泣いたり怒ったりすることが増えます。また、自分でできることを大人に手伝ってもらうことを嫌がり、「自分で」、「いや」などと強く主張することも増えてきます。この時期の大変さを表す「魔の2歳児」という言葉も耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。・3歳児3歳児のイヤイヤ期では、運動能力や言葉も発達し、基本的な生活習慣が身につくことで、自分でできることが増えて「何でも自分で考えて行動したい」という欲求が高まるため、大人の手助けを拒否し、指示に従わないことも増えます。イヤイヤ期はいつまで続く?イヤイヤ期が終わる兆候や対応方法とは?激しすぎる場合、発達障害と関連がある?イヤイヤ期はいつまで続くのかや、わが子のイヤイヤ期は激しすぎるのではないかなど、悩んでいる保護者もいらっしゃるでしょう。ここでは、小児科医の藤井明子先生にイヤイヤ期の終わりの兆候、適切な対応法や、やってはいけない対応、発達障害との関係など、イヤイヤ期に関するギモンについてお答えいただきます。(質問)イヤイヤ期がしんどいです。イヤイヤ期はいつごろ終わりますか?目安が知りたいです。(回答)3歳ごろになると、言葉やコミュニケーションの能力が発達し、気持ちを言葉で表現することができることが増えてきます。イヤイヤ期の頻度や激しさが減ってくることが多いです。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どものイヤイヤ期にはどのように対応すればよいですか?控えたほうがいいダメな対応も知りたいです。(回答)子どもが感じていることを、代わりに言語化し、共感することが大事ですね。「〇〇だったね」など、肯定して受け止めます。そのあとに、ほかの選択肢を提示し、イヤイヤの気持ちを逸らしたり、軽減するのも良いでしょう。また、子どもの予想と違うことが起きた場合にイヤイヤになる場合もあるので、普段と違うことをする場合には、見通しを持った声かけをし、予測できるようにしてあげるのも良いでしょう。イヤイヤを激しくするため、お子さんの要求を叶えると、イヤイヤを起こすことが、自分の要求を表現する仕方になってしまうので、気持ちの言語化をサポートしながら、落ち着くのを待ちましょう。Upload By 発達障害のキホン(質問)子どものイヤイヤ・癇癪が激しく、2歳を過ぎても落ち着く様子がありません。激しすぎるのには理由があるのでしょうか。また、発達がゆっくりだと、イヤイヤ期も長引きますか?(回答)2歳過ぎてもイヤイヤが激しくなるのは、自分の意思を示したい、自分でできるのではないかという気持ちが芽生えきているためです。激しすぎる場合には、こだわりが強すぎる、気持ちの切り替えが難しい、見通しが立たないことが苦手という特性を持っているお子さんもいます。そのような特性がなくても、2歳から3歳は自己主張が激しくなる時期として、見守っても良いでしょう。発達がゆっくりだと、自己主張の時期もゆっくりになることがあります。お子さんの発達には個人差があるため、お子さんの様子に合わせた対応が必要な場合もあります。長引いたり、対応に苦慮される場合には、かかりつけ医に相談することをお勧めします。Upload By 発達障害のキホン【発達ナビQ&A】イヤイヤ期真っ最中、切り替えが難しい子どもにどう対応すればいい?発達ナビのQ&Aコーナーでは、子育てに関する疑問や知りたいことを質問するとほかの発達ナビ会員の方々が実体験などをもとに答えてくれます。イヤイヤ期に関する質問とその回答をご紹介します。息子は3歳ですが、2歳程度の成長だと言われました。現在はイヤイヤ期の真っ最中です。最近は特に「切り替えが難しいんだな」と言う場面を強く感じます。普段は、子供の要求を少しずつ叶えて共感して、その後お願いをする、と繰り返して、長時間戦ったりしています。でも時間ないときは、お菓子とかおもちゃで気を引くしかないのかなと思い始めました。そこで、発達障害児の切り替えについて調べてみると(略)ポイントは『切り替える』ことなので、切り替える時がきたら切り替えさせる,という経験が必要。テレビを見る時間が終わったらテレビを消してでも終わらせる。切り替えができない場合にダラダラと先延ばしにしていると、どんどん切り替えが難しいこどもになる。このように記載されておりました。確かに要求を聞いて先延ばしにしていたのでドキリとしました。(略)切り替える力を養うためには、癇癪が起きてしまうのは仕方ないことだと受け止めたほうがよろしいのでしょうか?こちらの質問には以下のような回答が寄せられました。切り替えと言っても、本人のスキルや場面に合わせた対応になると思います。例えば、テレビおしまい。とする場合は、見通しを立ててやめさせることは必要ですが、眠いとか、寝起き、空腹、疲れている時間帯に切り替えを…と言っても、難しいということにはりますから、そういう時間帯にはテレビはみせない方が本人は次の作業に切り替えやすくなるでしょう。どうしたら、スムーズに切り替えられるようになるか?という工夫が必要です。そもそも生活のリズムが一定でないと、切り替えを学びにくい子もいるので、まずはこういった環境調整が先になります。見通しを立たせるにしても、単に説明したり示すだけではなくて、理解しやすいように環境からかえていかないと効果は得られないです。このほか、そもそもまだ我慢がムリ。という場合は好き勝手にさせないよう、かつ、うまく切り替えられるようにしてあげないとダメです。(以下略)でABC分析というのがあります。子供の行動を3段階に分けて分析して対処する方法です。A「もっと観たいと駄々をこねる」親が拒否B要求が通らずに癇癪、パニックC結果延長が許された(おやつやおもちゃがもらえた)となると。。。困った行動を強化してしまうことになります。予告しておいても駄々をこねたら再度また遊べるのなら<駄々をこねた方が有利である>と誤学習してしまうのはあるあるだと思います。(予告が意味をなさない)個人的には時間で区切るよりも「あと1話でおしまい」の方が上手くいくと思います。まだ幼児期のお子さんなので、時間が来たからといってお話の良いところで強制終了されたらうまく切り替え出来ないと思うので、親が時間を見ながらあと1話なのか、2話見れるのかを調整してあげると良いと思いますよ。親と子供との真剣勝負になるので親はブレずに<駄目なものは駄目>を徹底した方が良いです。はじめはいつも以上に酷く癇癪を起こす可能性は高いですが、そこで親が根負けしたり、日によって対応が違うと問題行動の強化になりますので親にも覚悟が必要だと思います。そして暴れ終わった時には「切り替え出来たね」と褒めてあげるといいです。(以下略)参考:発達ナビQ&A(解説)発達障害のある子どものイヤイヤの背景には、こだわりが強かったり、気持ちのコントロールが未熟だったり、見通しが立たないことに不安を感じやすいなどの特性が関係していることがあります。家では、リラックスしやすい環境を整えることが大切です。家の中でイヤイヤを起こした場合には、安全な場所に一定の距離をもち離れ、クールダウンする時間を設けるのも良いでしょう。園でも、落ち着く環境に行き、クールダウンできるよう工夫しましょう。教室から離れて、職員室で先生と二人でいく、机の下に潜るなど、落ち着く場所はお子さんによってそれぞれです。園の先生と対応について、相談することをお勧めします。外出先では、イヤイヤが起きた場所から少し離れて、気持ちが落ち着くのを待ちます。短い静かな時間を過ごして、元の活動に戻ります。気持ちの言語化を図り、落ち着かせようとしても、なかなか落ち着かないなどある場合には、療育の先生や、かかりつけ医などに対応について相談するのも良いでしょう。Upload By 発達障害のキホンまとめイヤイヤ期は子どもの成長にとって重要な時期であり、子どもが自分自身を確立するための過程でもあります。親は子どもの気持ちを理解し、尊重しながらも、理性的に対応することが必要です。イヤイヤ期は大変な時期かもしれませんが、わが子にとって大切な成長の段階であるということを理解し、親子で乗り越えていきましょう。イヤイヤ期についての関連コラムはこちらコラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月21日2歳半で自閉スペクトラム症、ADHD、中度発達遅滞の診断を受けた娘現在小4の娘は2歳半で自閉スペクトラム症、ADHD、中度発達遅滞の診断を受けました。娘は普段はおっとりさんで、学校などで友達が泣いたりすると励ましたりそばにいる優しい性格です。ですが、聴覚、嗅覚、視覚過敏で神経質な面もあり、特に聴覚過敏については人の声で苦手なトーンがあるらしく、一時担任だった女の先生の声がつらく、声のボリュームを低くしてほしいとお願いしたが、「〇〇(娘)さんとは仲良しだから大丈夫です」と聞き入れてもらえず一時期不登校になったことも。また、不安になりやすく「もしお友達に意地悪されたらどうする?」「髪を引っ張られたらどうする?」などを毎日のように聞いてきたりもします。今回はそんな娘が5歳のとき、帰省の移動中に起きたトラブルのお話です。障害のある娘との帰省の道のりはいつも大変!心掛けていたこと家から20キロほど離れた義実家に帰省したときのことです。基本的に帰省は夫の車で移動します。娘は不安が強いので、電車移動にすると振動、音、周囲の人の臭い、声などに反応して落ち着きがなくなり、あと一駅我慢すれば着くのに…というところで我慢ができずに下車をして、義父もしくは義母に迎えにきてもらうこともしばしばありました。また、車で行ったとしても、途中で夫がいつもと違う道を走ると「どこに行くの?」とパニックになってしまうこともありました。なので、事前にどこに行くのかなどはしっかりと伝えるようにしているのですが、知っている場所に行くと分かれば分かったで、安心からか道中何度も「どこ行く?」と聞いてきます。基本的にはおやつを食べて一人でしゃべっているのですが、夫が運転中、渋滞にイライラして子どもに対し大声で叱責したりすると、パニックを起こしてしまいます。運転席を蹴る、窓に顔や頭をぶつけあざができる、おやつを投げる…パニック状態になった娘は手がつけられなくなってしまうのです。娘が安心して過ごせるように、出かけるときにはおやつ、飲み物を持参し、車内では好きな歌をかけて、娘にとって居心地のいい空間になるよう工夫が欠かせません。好きな絵本を持っていき休憩中に読む、タブレットで好きなキャラを見せる、童謡を一緒に歌い、手遊びをして笑顔は忘れず到着まで娘が崩れないようにと、母である私はできる限りのことはしてやろうと、頑張っていました。Upload By ユーザー体験談道の駅での休憩中、おばあさんからの暴言に娘は…そんな帰省の道中、休憩のために道の駅に入りました。娘は多動の特性もあり、道の駅で走り回ったり、(視力がよくないので)興味のあるものに対して近づいて見たり、少し大きな声で私に何度も質問をしてきました。娘の声が騒がしかったのでしょうか。高齢のおばあさん数名が娘に対して「なんだこの子は?」と話していました。その様子を見て私は娘に注意をし、そばから離れようとしていたのに「親のしつけがなってないから、こういう子どもが増えるんだ」と大きな声で私たちに聞こえるように話しはじめました。何度も繰り返し言われたので、私はその方たちに娘の特性の説明と、不快に感じられたことに対して謝罪しました。ですが、許してくれませんでした。すると私の憤りや悔しさ、怒りが伝わってしまったのか、娘が激しい癇癪を起こしてしまいました。私は焦りましたが、夫はそばにいたのに他人のふり…クールダウンさせたくても良い場所が見つからず、落ち着きを取り戻せない娘をなんとか引きずりながら、やっとのことでその場を立ち去りました。Upload By ユーザー体験談おばあさんからの暴言がトラウマに。放課後等デイサービスも拒否するようになり、私はうつに…娘はその一件で傷ついてしまい、高齢の方を見ると怖がるようになってしまいました。よく挨拶をする近所の高齢者の方にもかわいがってもらっていたのに、怖がって泣いてしまうように…。近くの公園にも、犬の散歩にも行けなくなってしまいました。当時利用していた放課後等デイサービスは、高齢者も一緒に過ごすタイプだったのですが、道の駅で会ったおばあさんに背格好が似ている人や、声の大きな方に会うと走って逃げだすことを繰り返し、放課後等デイサービスに行くことさえ拒絶するようになりました。当時の私は両親の介護と育児からくる過労で入院をした経験もあり、レスパイトもかねてデイの利用を主治医からすすめられ、ようやく紹介してもらって通えるようになった放課後等デイサービスでした。そこに行けなくなった結果、両親の介護と娘のサポートでいっぱいいっぱいとなってしまいました。娘に対しても真摯に向き合えなくなり、うつと診断されました。Upload By ユーザー体験談意を決して義母に説明。義母の言葉は…このようなことがあり、もう義実家に行くことはやめようと思いました。義実家自体に不満などはないので、夫にこの経緯を義両親に話して欲しいと言ったら即答で断られたので私が意を決して電話で伝えました。義母も「うちで何かあった?」と心配してくれていたので、こういった経緯で子どもに無理をさせたくないと伝えると納得してくれ、「自分の息子(夫)も似たようなエピソードがあったよ」と教えてくれ、「あなたは二人分(夫と子ども)、子育てしているようなもの、偉いよ」と励ましてくれました。また、義両親から「こちらに来てもらうのは大変だろうから、自分たちが遊びに行ってもいいか」と聞かれたので、そうしてもらえるとありがたいと伝えました。娘は義父母に懐いていたので、家に義父母が遊びに来てくれると大喜び!高齢者を見るとパニックを起こしていた娘ですが、義両親に対しては拒否感は全くなく、変わらず室内では楽しそうに遊んでいました。Upload By ユーザー体験談今でも忘れられない道の駅での出来事と小4になった娘の現在小4の現在は、娘も自分で選択ができるようになってきたので本人が「おばあちゃんの家に遊びに行きたい」と言ったらいつでも帰省したいと思っています。(ただ、夫の兄弟や義父の兄弟が帰省している時期ではなく人が極力少ない時期になってしまうとは思いますが…)道の駅で、私たちに注意をしたおばあさんにとっては、のんびり休憩したい気持ちがあったのだろうと思います。ですが、ほんの少しでも小さな子どもへの優しい気持ちを持ち続けていてほしかったです。謝罪しても謝罪しても新たに厳しい言葉を投げかけられたこと、いぶかしげな表情、娘をばかにするジェスチャー、娘だけでなく私にとっても、つらく忘れることができない出来事となってしまいました。娘には、人の心に寄り添える人、弱っている人に優しい気持ちでそばにいられる人に育ってほしいと考えています。やっとここ数年で笑顔がたくさん見られるまで回復してきたので、これからもいろいろなことはあるでしょうが、多くの支援者とも繋がってきていますし、娘自身も以前に比べ、スルースキルも身につけたので、しなやかに乗り越えていってほしいと願っています。イラスト/SAKURAエピソード参考/うさぎ(監修:鈴木先生)巷にはまだ診断されていないASD傾向の方が大勢いらっしゃいます。そして、ASDに関する知識がない方も大勢いらっしゃいます。今からでも学校教育の中でASDやADHDに関する知識を啓蒙する授業をやっていけば娘さんのようなお子さんにも優しく接することのできる人々が増えるのではないかと思います。母親が娘さんの行動に対して何度も謝っても許してくれなかった経緯をみると、恐らく、道の駅にいたおばあさんたちも実は聴覚過敏があったのではないかと推測されます。嫌な思い出があるとその対象すべてが嫌になってしまう傾向がASDの方にはあります。吠える犬がいて怖がるとすべての犬が苦手になるのと同じです。母親の負担が増えて母親がうつ病になることも珍しくありません。優しい義母の理解があることで少しは助かっているものと思われます。夫が実家への電話を即答で断り、協力を拒んでいることから、お父様にもASDの傾向があるのではないかと推測されます。ASDのある父親は末っ子の弟と思ってください、と私は外来でいつも話しています。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月21日小学生になった次男は、できないことが山盛りわが家は母である私・ワッシーナを筆頭に、家族全員が個性いろいろな発達凸凹タイプです。それぞれの特性をキャラクター化しており、動物の顔をしています。たとえば、末っ子の次男ウッシーヤは、牛のキャラクターです。これは彼がなにをしても動作がゆったりしているところを表現しています。 いまは社会人5年目になる、おっとりキャラの次男ウッシーヤの小学生のころをふりかえります。勉強も運動も、学業全般で問題続出Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ小学生になって集団行動が増えると、ウッシーヤには困ったことが次々と起こりました。まず、朝は寝起きが悪いのです。何度起こしても目を離すとまた寝てしまいます。しかたなく半分寝ているような状態で服を着替えさせて、抱きかかえるように食卓に連れていきます。席についても目を離すと寝てしまいます。そばにいてこまめに声をかけながら肩などをゆさぶりながら食事をさせます。学校でも学習態度をたびたび注意されました。授業中も寝ているのです。しかも通学バックを枕にして床に寝ているというのです。当然、先生に強く注意されます。でもウッシーヤは「枕、しているから(しっかり寝れているので)だいじょうぶです」と、トンチンカンな受け答えです。ウッシーヤは先生から叱られているということが分からず、逆に安眠できているか気にかけてもらえたと勘違いしていたのです。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ小学3年生になるころには、勉強にもついていけなくなりました。本読みはたどたどしくつかえて、文章を飛ばしたり、勝手に文章をつくったりしていました。あせった私は、家庭学習をしっかりやらなければいけないと強く感じました。ですので、夜はつきっきりで勉強を教えるのですが、なかなか理解が進みません。宿題が深夜まで終わらないことがしばしばありました。いろいろ工夫しても分からせてあげることができないので夫に代わって教えてもらいました。でも結果は同じです。夫婦ふたりで首をひねるばかりでした。たとえば算数では、数字の概念そのものがうまくのみこめません。そのため足し算、引き算も2桁以上になると、まるで理解できないのでした。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイノートをとったり作文を書いたりするのも苦手で、文字なのか絵なのか分からない状態です。ノートのマス目のなかに文字をおさめて書くこともうまくできず、すごくはみ出したり、上から書いたり、鏡文字になったりしていました。学力を身につけることがうまくいかず、中学3年生まで小学3年生レベルの学力のままでした。しかし、知能検査を受けても標準くらいはあるという結果でした。親が工夫して教えてもまるで理解が進まず、なまけているとかやる気がないと感じて、厳しく叱ったこともしばしばありました。虫などの小さな生き物が好きでアリの行列を何時間もじっと見ていました。でも犬やネコくらいのサイズになるとさわることができず、近寄ってこられると逃げました。でも好きなことは、まわりが驚くようなヒラメキを見せました。音楽やリズムに関してはとても反応がよくて、初めて手にした楽器で初めて聞いた曲をいきなり弾いたりしました。植物図鑑が大好きで、名前や特徴を暗記していました。また紙粘土などの工作物が好きで、想像上の生き物をカラフルにつくったりしていました。Upload By ラクマ/ワッシーナ/ニャーイウッシーヤには独特な感覚過敏があって、プールや海に一度も入れませんでした。顔をうまく洗えず、床屋にいくとバリカンやシャンプーから逃げていました。それなのに、お風呂やトイレに入ると何時間も出てきませんでした。幼児期から続いていた指しゃぶりは、あいかわらず続いていました。学校にも相談して、あれこれ工夫してみましたが一般的なやり方は効果がありませんでした。この指しゃぶりは、中学生になって転校し、環境が変わったことをきっかけになくなりました。その代わり、頻繁にくちびるにリップクリームを塗ることや爪かみといった行動が、社会人になった現在も続いています。いまにして思えば、これはウッシーヤのこだわりなので、むりやり直すべきものではなかったようです。練習しても自転車に乗れず、学校の体育の授業では跳び箱や鉄棒がほとんどできませんでした。ドッジボールでは、いきなり大声をだして学校の外へ逃げていったこともありました。そのときは、学校からの連絡で急いで車で探しにいきました。発達に凸凹があると、できることとできないことの差がすごく大きいので、どうしてもわがままや性格の問題というふうに捉えられてしまいがちです。ふりかえると、もっと早いタイミングで専門家に相談して、さまざまな工夫をおこなっていれば、親も子も苦しまなくてすんだかもしれません。もし、タイムマシンがあってウッシーヤの小学校時代に戻れるなら、彼の好きなダンスや歌を使って算数や国語を教えてあげれば、もっとスムーズに理解できたと思います。執筆/ラクマ/ワッシーナ/ニャーイ(監修:藤井先生より)社会人5年目のウッシーヤさんが小学3年生ごろのエピソードをありがとうございます。知能検査で標準の範囲でも、学年相応の読み書きや計算の習得が極端に困難な場合、学習障害である可能性もあります。最近では、少しずつではありますが、診断できる医療機関も増えてきています。学習障害のあるお子さんに対しては、困りごとへの具体的な学習支援が最も重要です。しかし共生社会を目指すインクルーシブ教育の中で、どのような指導や配慮がされているかは、それぞれの学校によってさまざまな状態です。また、学校教育における支援だけでなく、好きなものを大切に、それを軸に学びを深めていくことも可能です。学校の勉強は苦手だけれど、自分の好きな電車の漢字は難しくても読み書きできる、自分の好きな分野の専門書なら読める、というように、好きなことを軸に学びを深めていったお子さんもいます。コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月21日「怒っちゃダメ」より「どうしたらいいか」を…こんにちは。『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』ほか、著者・楽々かあさんこと、大場美鈴です。今回のコラムでは、おうちで今スグできる、子どものアンガーマネジメントをうちの実践例を交えてご紹介しますね。小学校時代、蒸し蒸しと暑くなってくると、うちの子たちからは「な〜んでガッコウなんて、行かなきゃいけないんだよ!」って、毎年不満が炸裂していました。まあ、私自身もあんまり学校が好きではなかったので、文句を言いたくなる気持ちも分かります。特に、進級・進学で新しい環境に適応しようと頑張ってきたり、天候不順や苦手な運動会の練習が続いたりしたあとの、うちの子の疲れや甘えたい気持ちが出やすい時期には、ほかのお子さんも疲れているのでトラブルも増えがちに……。下校中に上級生と口論になって、お怒りモードで帰ってくることも時々ありました。こんなとき、一見本人に原因があるように思えたとしても「あんたが悪い!そんなことで怒っちゃダメ!」とは、私は言わないようにしました。どのような経緯であれケンカは一人ではできませんし、心は自由なので、たとえネガティブな感情であっても、それ自体に善も悪もありません。また、「アタマ=理性」が考えている部分は説得の余地があるのですが、感情は「理屈じゃない」ので、子どもがプンプン怒っているときに親がどんなにお説教しても「時間の無駄」になりがちです。それに、子どものころからあまりにも、怒りや悲しみ、不安などのネガティブな感情を、ガマンして抑え込んでしまい過ぎると、大人になってからも「自分の気持ちが分からない」などと、メンタル面で不調や支障が出てしまう可能性もあります。ですからまずは、子どもが何を訴えてきても、感情の否定や善悪のジャッジはしないように意識するといいでしょう。でも、ケンカやトラブルが絶えなかったり、すぐにカッとなったり、もしも友達に手が出てしまったりしたら……と思うと、親だって心配事が尽きませんよね(分かります)。社会の中で人と関われば、誰だって腹が立つ出来事を避けられない場面は多々ありますが、”怒り”を、いつ、どこで、どんな風に表現するのかは選べます。子どもに「怒っちゃダメ!」と言うよりも、腹が立ったときに「どうしたらいいか」を教えていくほうが大事なのです。おうちでできる!子どものアンガーマネジメント実践法子どものエネルギーが親の手に余りそうなときや、親自身に子どもの気持ちを受け止める余裕がないときなどには、スクールカウンセラーや医療・支援機関などの手も早めに借りることをオススメしますが、ここではおうちでできる範囲の、楽々かあさん流!手軽な子どものアンガーマネジメント実践法を具体的にお伝えしますね。子どもがお怒りモードのとき、まずは「あれ?どうしたの?」とフラットな気持ちで声かけするのが第一歩(こういうときに「まーたケンカしたの!?」などと、先入観を持って話しかけると心のシャッターが閉じます)。そして、とにかく話を聴いてみますが、以前のコラムでお伝えしたように、・子どもの話を否定せずに、共感しながら丁寧に聴く・正論ではなく、子どもの味方になることを優先する…ことを意識しながら、最後まで丁寧に今の気持ちを受け止めてあげるといいでしょう。ただし、怒りの感情を相手にする場合、「共感的、味方になる」とは言え、親が「そーだ、そーだ」と子どもに同調して、先生や友達の悪口を一緒になって言わないほうが、基本的にはいいと思います。SNSの炎上と同じく、ネガティブな感情が煽られて余計に大きくなったり、相手のイヤな部分にだけ注目するようになったりすると、いい方向への解決が難しくなるからです。あくまで、「それぐらいイヤだったんだね」「そりゃあ、腹くらい立つよね」と、気持ちに注目した声かけやあいずちなどで共感しながら聴くといいでしょう。また、子どもが触れるのをイヤがならければ、背中や頭をなでなで・トントン・ヨシヨシしながら聴いてあげると、荒ぶる魂が早めに鎮まりやすくなると思います。Upload By 楽々かあさんこのとき、今の気持ちをスケール化して、数値などで客観的に表現できると、なおいいと思います。うちでは、私が自作した「きもちスケール」などを見せて、「どれぐらい、イヤだった?」と聞きました。ほかにも、家にある温度計や定規などを利用して「ここをフツーのとき、ここが人生最大の怒りとすると、今はどのあたり?」などと見せながら聞いたり、例えばゲームが好きな子どもには「今、HPがどれぐらいになるダメージ受けたの?」とか、歴史が好きな子どもには「合戦で言うと、なんの戦いのレベル?」など、その子の興味関心に合わせた声かけなどもイメージしやすいのではないでしょうか。自分の気持ちが数値で相手に正確に伝わると、それだけで気持ちを落ち着けやすくなり、相手に分かってもらえて、今の自分の状態を客観視できただけでも、怒りのレベルがひとつ下がってクールダウンできることもあります。これを繰り返していると、だんだんと「今の怒りは"超最悪"ってほどでもない」などと中間の気持ちの表現ができるようになったり、スケールがないときでも「今のHPは30くらい」などと、伝えられるようにもなるでしょう。こうして、子どもが自分の気持ちを客観視しながら、今の気持ちを"口からの言葉"で表現できるようになると、それだけでトラブル自体が減ってくると思います。また、親や先生に気持ちや状況を言葉で伝えるのがあまり上手ではない子どもは、友達トラブルの際に何かと不利になることもありますが、言葉で周りの人に正確に伝える力をつけていくと、いじめの予防や早期発見にもつながりやすいのではないでしょうか。そして、親の責任上、どうしても言いたいお説教がある場合も、一通り話を聴いた上で、子どもがやや落ち着いてから、「そういうときは、なんて言えば/どうしたら、よかったと思う?」などと、子ども自身に適切な言葉や行動を考えてもらうほうが、「次はできる」確率UPです。もし、その子が本当に適切な言葉や行動を知らなければ、「そういうときは、〇〇って言えばいいんだよ」「次からは、こうしてみようか」と、具体的にその都度インプットするようにコツコツ教えればOK(忘れないように何かに書いておくのもテ)。また、子どもが極端な考え方・受け取り方をしている気がしたら、「こう考えてみてはどうかな?」という提案や、「お母さん/お父さんだったらこうする」「〜って思う人もいれば、〜って思う人もいるかも」など、別の立場の人の考え方や受け取り方を伝えてみるのもいいでしょう。Upload By 楽々かあさんそれでも、親が話を十分聴いたあとでもイライラ・モヤモヤとした気持ちがくすぶっていたり、そもそも何も話してくれなかったり、感情の持って行き場がなくて、とにかく今スグ何かに八つ当たりしたいことだってあると思います。怒りの感情が高ぶっているときに、「人を叩いてはダメ」「モノを壊しちゃダメ」などと正論で言い聞かせようとしても、子どもの理性には届きませんから、うちでは現実的な対処法として「やっていいこと」を具体的に教えます。怒りのエネルギーは、スポーツなどの健全で健康的な方法に置き換えられるといいようですが、うちの実践経験では、最初からそこまで導くのは現実的に難しかったので、とりあえず、「殴ってもいいものを殴る」のが、家でできる手軽で安全な方法として、子どもにもシンプルで分かりやすかったようです。「これなら、叩いてOK」と渡すモノは、家にあるクッションや座布団などで十分ですが、うちでは市販の家庭用スタンド式パンチボール(子ども部屋に常設)や、ミットとグローブのボクシング・セットをいつでも手に取れる場所に置いてあるほか、サンドバッグも手作りしました。家にあった不要なベビー布団をまるめてゴムチューブで縛っただけの簡易的なものですが、この手作りサンドバッグには、「泣いていい、怒っていい。でも、人とモノと自分はキズつけない」と書いてあります。これらを使って、黙々と自分で怒りを発散する場合もあれば、親がスパーリングのお相手をする場合もありました。親が忙しくて気長につき合えない場合は、100円ゴムボールをネットに入れたものを吊るしておくのもオススメです。また、学校や外出先などの場合には、丸めた上着や体操袋などでも、サンドバッグの代用品になります(自分のものを使うこと!)。こうして、腹が立ったときに「やっていいこと」で一通りスッキリできれば、気持ちの切り替えも早くなります。そして、最初はこのような直接的な方法で怒りのエネルギーを解消していたうちの子たちも、次第にゲームセンターで太鼓を叩いたり、バッティングセンターで黙々と打ったり、カラオケで熱唱したり、クラフト系のゲームの中で建物を破壊しまくったり……と、もう少し穏便な方法にシフトしていき、中高生になった最近では、自作のイラストや小説などの創作活動でも、さまざまな感情を昇華できるようにもなってきました。(ちなみに私の場合は、怒りのエネルギーが溜まったら、日頃はなかなか捨てられない不要品の解体と処分などに有効活用しています)そして、話を聴いたり、怒りのエネルギーを発散したりして、ひとまず子どもが落ち着いたら……もう1つ、親がしておきたいアフターケアの声かけがあります。大人だって、つい大声で怒りの感情を人前であらわにしてしまったときなどには、自己嫌悪に陥ったり、あとから恥ずかしくなったりして、落ち込んでしまうこともあるのではないでしょうか(私もよくあります)。子どもだって、少し冷静になれたら、かえって凹んでしまうこともありますから、ここでは「できたこと」に注目した声かけで、少しでも自信回復できる手助けをしてあげるといいと思います。どんなルートであれ、最終的に子どもが落ち着けたのなら、「落ち着けたね」と一声かけてあげるといいでしょう(黙ってギュッと抱きしめたり、肩や頭をポンポンとするのもいいと思います)。このほかにも、怒りの感情を言葉で表現できたら「お口で言えたね」、学校でイヤなことがあっても家までは感情を爆発させずに帰れたのなら「よくガマンしたね」、友達とケンカしても謝れたなら「謝れたね」……などと、「できたこと」に注目して、それを言葉でフィードバックしてあげることで、次もできる確率がUPしたり、「こういうときには、こうすればいい」という経験値が増えて、自分自身を落ち着けやすくもなると思います。また、子どもが荒れ気味なときには、親のほうもわが子のほめるところが見当たらない気がしてしまいますが、こんなときほど、普段は見落としがちな「しなかった努力」に注目し、拾い上げてあげるといいでしょう。例えば、いつもは大きな声を出す場面で出さなかった、売られたケンカを買わなかった、余計な一言を付け足さなかった……など、"たまたま”でもいいので、トラブルのきっかけになるような言葉や行動をしなかったら、「頑張ったね」「スルーできたね」「助かるよ」などと、さらりと声かけしてあげると「これって、いいことなんだ」と気づいてくれるかもしれません。誰にでもイヤなことは、時々あるけれど…大人と同じく、子どもにだって、生きていればイヤなこと、思い通りにならないこと、理不尽な出来事などは沢山あるでしょう。そんなとき、「怒っちゃダメ!」と子どもの感情にフタをするのではなく、「どうしたらいいか」現実的な対処法を具体的に教えて続けていくと、だんだんと自分の感情との上手なつき合い方が身についてくると思います。特に、感情的・衝動的になりやすい子どもや、ガマン強くて言葉を溜め込んでしまう子どもほど、小さなころからできる範囲でいいので、時間をかけてアンガーマネジメントを実践していくと、取り扱いの難しい思春期になってからも、きっと役に立つと思いますよ。そして、子どもも大人も、生きていく上で怒りを感じること自体は決して悪いこと、あってはいけないことではありません(むしろ、それが当たり前です)。大事なのは、人やモノや自分自身を傷つける「以外」の方法で、それを適切に表現していくことだと思います。文と画像提供/大場美鈴(楽々かあさん)(監修:室伏先生)お子さんの怒りの爆発に、日々悩まれている読者の方も多いのではないでしょうか。楽々かあさんは、お子さんの怒りに共感し、受け止めた上で、その子に合った対処法や言語化する方法を一緒に模索されています。そのような関わりの中で、お子さんは怒りとの上手なつき合い方を身につけられたのですね。怒りの感情はネガティブなものとして捉えられがちですが、危険から身を守ったり、原動力となったりと、生きてく上で必要なものです。怒りの感情が否定されずに、信頼する大人に受け止めてもらうことができると、お子さんは安心感や自己肯定感を育むことができますね。大人も一人の人間なので、忙しく思い通りにいかない育児の中で、イライラや怒り、焦り、不安などのネガティブな感情をお子さんにぶつけてしまうことも、当たり前のようにあることと思います。しかし、その度に親御さん自身も傷ついたり、自己嫌悪に陥ってしまったり、ということが少なくないかと思います。自身のネガティブな感情を否定せず、うまく対処していくというのは、親御さんにとっても大事なことかもしれませんね。こういった関わり方や工夫を上手に取り入れることは、お子さんにとっても、親御さんにとっても、優しい方法なのだろうと思います。大場美鈴(著),『発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換』あさ出版, 2020.6.27コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2023年06月20日