ぴあがお届けする新着記事一覧 (989/1000)
今年で41回目を迎える『ぴあフィルムフェスティバル(PFF)』のラインナップ発表会見が8月1日、都内で行われ、数々の話題作で日本映画界に旋風を巻き起こす山下敦弘監督が『PFF アワード 2019』最終審査員を務めることが発表された。「以前PFFに応募しようと思ったら、ちょうど『どんてん生活』が特別上映されることになって(笑)、応募ができなかった。だから、感慨深いです。若手の人生がかかっていますし、良いところを探しながら、しっかり審査したい」と意気込みを語った。応募総数495本の中から、入選を果たした18本がグランプリ他各賞を競う『PFFアワード2019』。残る4名の最終審査員は、後日発表される予定だ。PFFディレクターを務める荒木啓子氏は「例年と同じく、撮らなくちゃという切実さがある作品が残っているので、傾向といったものはない」とコメント。一方、「18本中8本が、関東圏外からの応募というのは、今までにない多さ。また、長編が減っており、短編、中編が増えている。PFFは時間の制約がないが、海外を見据えるのであれば、時間に対し、より意識的になるべき」と指摘した。また、『PFF アワード 2019』に加えて、「より多彩な企画を展開する」といい、招待作品部門として『劇場版ガンダム Gのレコンギスタ I 行け!コア・ファイター』の特別先行上映を発表。総監督を務める富野由悠季氏を招いたトークイベントも行われる予定で、「若い作家たちに、“映画人”富野由悠季さんの言葉を聞いてほしい」と語った。さらに2本の日本初上映作品を含む7作品が顔をそろえる「凄すぎる人たち~カッコいい女編・諦めない男編」、文化を通してアフリカ系アメリカ人の歴史を紹介する「ブラック&ブラック~映画と音楽~」。“長編デビュー作”にスポットをあてる「巨匠たちのファーストステップ」が15年ぶりに復活し、バリー・ジェンキンス監督のデビュー作『メランコリーの妙薬』の日本初上映や、『息もできない』のヤン・イクチュン監督によるトークイベントが行われる。2015年から始まった『PFFスペシャル講座 映画のコツ』、今年のカンヌ映画祭批評家週間短編コンペティション部門で上映された9本を日本初上映する『カンヌ映画祭批評家週間って何?』の実施も決定した。そして今年6月に急逝した在仏の映画プロデューサー、吉武美知子さんを偲ぶ「追悼・吉武美知子プロデューサー~フランスと日本を繋ぎ続けた人~」も決定。吉武さんが製作に尽力した『TOKYO!』(監督:ミシェル・ゴンドリー、レオス・カラックス、ポン・ジュノ)、『ダゲレオタイプの女』(監督:黒沢清)、『ライオンは今夜死ぬ』(監督:諏訪敦彦)が上映される。会見には、吉武さんと長くタッグを組んでいた諏訪監督が駆けつけ、「現場が好きで、人と一緒に何かをするのが好きで、自然とプロデューサーになった人。日本とフランスの橋渡しをしたいと思っていて、まだ始まったばかりだった」と故人をしのんだ。取材・文・写真:内田 涼『第41回ぴあフィルムフェスティバル』●開催概要第41回PFF会期:9月7日(土)から21日(土)まで ※月曜休館会場:国立映画アーカイブ(旧東京国立近代美術館フィルムセンター)●PFFアワード各賞(*2018年実績)グランプリ(副賞100万円)準グランプリ(副賞20万円)審査員特別賞(副賞10万円/3作品)映画ファン賞(ぴあニスト賞)、エンタテインメント賞(ホリプロ賞)、ジェムストーン賞(日活賞)、観客賞特別設置:ひかりTV賞●チケット情報前売券は、チケットぴあにて8月10日(土)より発売(C)創通・サンライズ
2019年08月01日ジェームズ・ワンが、タイトル未定のホラー映画を製作、監督することになった。世界配給はワーナー・ブラザースが手がけるが、資本は別から集めてきたインディーズ映画。低予算インディーズホラー『ソウ』で大ブレイクした彼が、ルーツに戻る作品とも言える。撮影はこの秋、L.A.で行う予定。話の設定、キャストは明らかになっていない。ワンはこの冬大ヒットした『アクアマン』の続編の監督にも決まっている。また、『死霊館』シリーズ次回作のプロデューサーも務める。さらに、クリス・ロックのアイデアで新たにローンチされることになった「ソウ」のエグゼクティブ・プロデューサーにも名を連ねている。文=猿渡由紀
2019年08月01日『君の名は。』の新海誠監督の最新作『天気の子』が公開されている。本作は雨が降り続く東京の街で出会った家出少年の帆高と、祈ることでほんの少しの間だけ天気を晴れにすることのできる少女・陽菜の物語を描いているが、新海監督は「この映画では帆高たちに憂鬱や窮屈さを飛び越えてほしかった」という。本作で彼らはどんな困難に出会い、どうやってそれを飛び越えていくのだろうか?新海監督はほぼ独力で制作した短編『ほしのこえ』で2002年に監督デビューを果たし、そこから着実にファンを増やしてきた。2016年に公開された前作『君の名は。』で新海監督はそれまでとは比較にならないほどの数の観客に出会ったが、自分が創作を始めた頃と現在では「自分の考える観客像は少しずつ変わってきている」という。「SNSの存在は大きいです。『君の名は。』以前と現在では、世の中の成り立ちや透明度のようなものが違っていて、SNSによって世界が異様に透明なものに見えてきてしまっている。常に誰かが消費されている。それは政治家もそうだし、有名人もそうですし、一般の人も含めてそうですよね。僕自身もそういう対象になり得ることもあるだろうし。こんなにも息苦しい世界で現在の10代、20代の人は暮らしているのかと思うし、僕自身も苦しくなるような窮屈さを感じている。その時に、その窮屈さを飛び越えてしまうような少年少女を描きたいと思ったんです」家出してひとりで東京にやってきた帆高と、幼い弟とふたりで東京で暮らしている陽菜は居場所がなく、必死に生きているだけなのに少しずつ追いつめられていく。劇中では“天気”がモチーフになっているが、これも新海監督が感じたことを表現する上で重要な役割を果たしている。「子供の頃から温暖化が起きる、気候変動があるんだと繰り返し言われていて、僕は人間は何とかするんだろう、自分が大人になる頃には何とかなっているんだろうなと思っていたんです。でもここ数年で、はっきりと気候の変動期に入っている気がする。結局は止められなかったし、結局は変えられなかった、結局は何もしなかった。そして結局、本当に変わってしまった。その原因の一端には確実に自分たちの日常の生活があるんだけど、気候変動の話は大きすぎて、個人でできることは、ほとんど無に等しい。何かやりようはあるのかもしれないですけど、割と無力感の方が先に立つんですよね」しかし、本作の主人公たちは誰かが犠牲になってしまう現実や、物事を変えられない無力感に飲み込まれたり、大人の諦めや憂鬱に追随したりすることなく、全力で進んでいく。「これは無責任かもしれないですけど、この映画では帆高たちに憂鬱や窮屈さを飛び越えてほしかったんです。そこには僕たちの憂鬱を彼らに押し付けたくないという気持ちもあります。ただ同時に、自分と関係のないところで変わったのではなくて、自分がやったんだと感じる主人公でいてほしかった。その上で、大人の憂鬱と関係のないところで若い子には健やかに生きてほしい気持ちがある。だから、自分にはできないことを帆高たちには背負わせてしまっている感覚があるんですけど、そういう映画を世の中に出すことで、見えてくる風景があると思ったんです」『天気の子』の主人公たちは物語を通して何を引き受け、どんな風に憂鬱や窮屈さを飛び越えるのだろうか?そして彼らの跳躍を目にする観客に見えてくる景色は一体、どんなものだろうか?監督が「王道とは少し違うところで、見終わった後に意見が分かれる」と語る本作はこの夏、大きな話題を呼びそうだ。『天気の子』公開中
2019年08月01日男たちの友情と熱き闘いを描いた『HiGH&LOW』シリーズと、髙橋ヒロシによる不良マンガの金字塔『クローズ』『WORST』が奇跡のクロスオーバーしたことで話題の『HiGH&LOW THE WORST』。10月4日(金)の全国公開に先駆けて、待望の本予告映像とポスタービジュアルが到着した。本予告映像では、全日制に転入した花岡楓士雄(川村壱馬)、定時制の番長・村山良樹(山田裕貴)など鬼邪高校の面々と、上田佐智雄(志尊淳)率いる史上最強の鉄の結束軍団・鳳仙学園がのメンバーが仲間を守るべく、熱く激しくぶつかり合う姿が映し出されている。見どころは、斬新なカメラワークで収められた、迫力満点のバトルアクション。そして、今回初披露となったEXILE THE SECONDが歌う『Top Down』も物語を盛り上げる。加えて、本作が俳優デビューとなるGENERATIONS from EXILE TRIBEの中務裕太、小森隼の姿も必見。ダンスで鍛え上げられた肉体が、アクションシーンでも存分に発揮されている。また、冒頭には高橋ヒロシによる、描き下ろしイラストも登場し、『HiGH&LOW』×『クローズ』『WORST』の最強コラボにふさわしい雰囲気に。そしてラストには、「まさか今度は鈴蘭とやろうとかではないですよね?」と、『クローズ』で人気の鈴蘭高校を匂わせるセリフも飛び出し、原作ファンを喜ばせる。『HiGH&LOW THE WORST』10月4日(金)より全国公開※高橋ヒロシの「高」はハシゴダカが正式表記。
2019年08月01日ポルノグラフィティが本日7月31日、ニューシングル『VS』をリリースする。デビュー曲『アポロ』から20年。ドキッとするような名前のバンドは突然チャートに現れ、こ今ではJ-POPを代表するグループとなった。ボーカル・岡野昭仁とギター・新藤晴一の2人が生み出す楽曲は、ポップなものからエキゾティックものまで数多く、今なおヒット曲を生み出し続けている。アニバーサリーを目前に控えた彼らは、これまでの足跡についての展示会「ポルノ展 20 YEARS EXHIBITION」の開催や、コラボカフェ「喫茶ポルノ」のオープン、メジャー進出の記念日に合わせた東京ドーム2デイズ「20th Anniversary Special LIVE “NIPPONロマンスポルノ’19 ~神vs神~”」など勢力的な活動を展開中だ。今作は通算50枚目のシングル。タイトル曲には節目の年らしく「過去と現在との対比」という意味が込められている。そのテーマのとおり、さわやかさを感じさせるサウンドと今の自分が過去に問いかけるような歌詞が印象的な曲に仕上がった。さらに2人が下北沢の街を歩き回るユニークなミュージック・ビデオがYouTubeで公開中。なお、同曲はテレビアニメ『MIX』の7月期オープニングテーマに決定している。■リリース情報ポルノグラフィティ『VS』7月31日リリース収録曲:M1:『VS』 読売テレビ/日本テレビ系テレビアニメ『MIX』7月期オープニングテーマ作曲:新藤晴一/ 作詞:新藤晴一/ 編曲:近藤隆史、田中ユウスケ、Porno GraffittiM2:『プリズム』作曲:岡野昭仁/ 作詞:岡野昭仁/ 編曲:近藤隆史、田中ユウスケ、Porno GraffittiM3:『一雫』作曲:新藤晴一/ 作詞:新藤晴一/ 編曲:篤志、Porno Graffitti
2019年07月31日様々なエンタテインメントの世界で活躍するエッジなアーティストを、ぴあが独自の視点で紹介します!()()()()()()
2019年07月31日村上春樹の小説を舞台化した『神の子どもたちはみな踊る after the quake』が、本日7月31日から東京・よみうり大手町ホールで上演される。原作は同名の短編集(2000年刊行)で、6編それぞれ、阪神・淡路大震災の惨状をテレビで観た人が、喪失感を抱えながら人生と向き合い、生き直していく様子が描かれている。脚本は、2005年にアメリカで上演されたフランク・ギャラティ版で、6編から『かえるくん、東京を救う』と『蜂蜜パイ』の2編を取り上げて構成。同じく村上作品の舞台化として成功を収めた蜷川幸雄演出『海辺のカフカ』(2012年初演)もギャラティの脚本であり、実は本作も〈Ninagawa × Murakami〉の第2弾として企画されていた。蜷川の逝去で実現できなかったが、今回『わたしを離さないで』(2014年初演、カズオ・イシグロ原作)の脚本を手がけて蜷川を支えた倉持裕が演出にまわり、再始動した経緯がある。注目は“かえるくん”を演じる木場勝己だろう。「3日後に東京を襲う地震」を食い止めるため、しがない銀行員に協力を求める体長2メートルの大カエルという奇想天外な役を、どう料理するか。彼が『海辺のカフカ』で演じた“ナカタさん”も、猫語を話したり空からイワシを降らせたりと寓意性の強い人物だった。今回も味のある演技を見せてくれるに違いない。木場は語り手も担当する。対する銀行員・片桐役の川口覚。彼はさいたまネクスト・シアター『2012年・蒼白の少年少女たちによる「ハムレット」』(蜷川演出)で瑞々しいハムレットを演じ、また倉持作品にも出演経験がある。片桐の他に、新聞記者の高槻としても登場するが、こちらは『蜂蜜パイ』に出てくる人物だ。バイタリティ溢れる男・高槻と、小説を書く男・淳平(古川雄輝)、そして小夜子(松井玲奈)をめぐる、甘酸っぱい青春を引きずった奇妙な三角関係が展開する。淳平は小夜子の娘・沙羅(子役・Wキャスト)が“地震男”の夢を見て不安がると聞き、蜂蜜を取るのがうまい熊のお話をしてなだめようとする。災害で日常の生活が壊滅するのを目の当たりにすれば、直接の被害者でなくても心が痛む。大きな災害が続く昨今、本作は多くの人の胸に響くのではないだろうか。ふたつの短編がどのように交錯してひとつの物語を紡ぎだし、テーマが浮き彫りとなるのか、倉持の演出に期待したい。文:仲野マリ
2019年07月31日稲垣吾郎主演舞台『君の輝く夜に ~FREE TIME, SHOW TIME~』の開幕を前に、公演前トークイベントが開催され、稲垣と、劇中で彼を取り囲む女性たち、安寿ミラ、北村岳子、中島亜梨沙に、脚本・演出を担当する鈴木聡も加わり、終始リラックスムードのトークを繰り広げた。本作は2012、2014、2016年と上演された稲垣主演『恋と音楽』シリーズを発展させたもの。喜劇作家でオリジナルミュージカルも手がける鈴木と、ジャズピアニストで作曲家の佐山雅弘がタッグを組み、キャストへの“あて書き”によるストーリーで、大人のためのミュージカルコメディを生みだしてきた。本作も、1人の男と3人の女たちによる恋物語に、ショーシーンをたっぷりと盛り込んだ上質なステージ。中でも燕尾服とステッキで踊るダンスは、今ではすっかり珍しくなったオーセンティックな香りが漂い、昨年の京都公演でも注目を集めた。トークイベントでは、鈴木の“あて書き”が話題に。TVドラマの脚本家としても活躍する鈴木は、稲垣が20代の頃からの仲といい、「稲垣さんにはこういう弱い部分や、おトボケの部分もあるのでは?と思いながら書いています」と種明かし。稲垣も「毎回オーダーメイドのようなホンを書いてくださるので、演じていてすごく楽しい。やりがいがありますね」と笑顔を見せる。安寿も「私へのあて書きも、(実際と)当たっていてビックリ」と言い、「稲垣さんも安寿さんもミステリアスだから、本当のところは分からないけれど。普段の様子を見て、想像して(書いた)」と鈴木。劇作家ならではの鋭い観察眼に、キャスト陣は感心しきりだった。さらに、物静かなたたずまいの中島が「今までやったことのない部分を、鈴木さんに引き出していただいた」と話す一方、稲垣にちょっかいを出す役どころの北村は「今年も攻めますよ!」と明るく宣言。稲垣も思わず「北村さんは(劇中で)心もカラダも僕に一番近いところにいます」と応じるなど、個性豊かな面々が見せる抜群のチームワークに期待が高まった。今回の舞台は、昨年惜しまれつつ亡くなった佐山への追悼を込めた上演でもある。稲垣は「佐山さんとは作品を作っていくなかで、ジャズの提案をしてくださったり、僕でも表現しやすい曲を作ってくださったりして、まさに音のオートクチュールだったなと。その経験ができたことは、本当に大きかった」と話す。鈴木も「劇中の音楽は非常に高度な曲もあれば、昭和の歌謡曲のようなものもあって、非常に多彩。その積み重ねの上に出来たのが本作だけに、シリーズ最高傑作になったと思っています」と自信をのぞかせた。イベント後の囲み会見では、「舞台は唯一、ファンの方と同じ場所で、同じ空気を吸いながら時間を共に出来る場所。僕は大好きです」と話した稲垣。今回のショーの変更点については、「ボリュームが増えて、衣裳も変わる予定」と自ら明かすなど、意気込みも充分だ。また所属タレントたちの舞台出演を大切にしていたことで知られ、7月9日に亡くなったジャニー喜多川氏について問われると、「一番望まれていることは、こうやってエンタテインメントを通して、多くの方に感動を届けることだと思うので、その想いに応えることが出来たら。これからも見守っていてほしいと思います」と、しっかりとした表情で語った。公演は8月30日(金)から9月23日(月・祝)まで日本青年館ホールにて。文:佐藤さくら
2019年07月30日クエンティン・タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』が、北米で4,000万ドルのデビューを果たした。オープニング週末の成績として、これはタランティーノの個人記録の過去最高。これまでの彼の記録は、『イングロリアス・バスターズ』の3,800万ドルだった。1969年のハリウッドを描く作品とあって、売り上げトップはロサンゼルスだ。CinemaScore社の調査によると、観客の評価はB。2時間40分の尺もあり、この後どれくらい伸びるかが注目される。今週末のランキングで、今作は2位。首位を飾ったのは先週もトップだった『ライオン・キング』。3位は『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』、4位は『トイ・ストーリー4』、5位は『Crawl』だった。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』8月30日(金)公開文=猿渡由紀
2019年07月30日ディズニー・アニメーション史上No.1の全世界観客動員数を誇る、同名のアニメ映画を実写化した映画『ライオン・キング』が、8月9日(金)より全国公開される。この度、名曲『愛を感じて』が流れる、吹替版特別映像が公開された。本作は、雄大なアフリカの大地を舞台に、サバンナの“王”となる運命を背負った主人公 “シンバ”が、仲間の愛を支えに運命を切り拓く壮大な物語。監督を務めるのは、『アイアンマン』シリーズのジョン・ファヴローだ。そして日本語吹き替え版に出演するのは、主人公シンバ役の賀来賢人、王座を狙って暴君と化すスカー役の江口洋介、プンバァ役の佐藤二朗、プンバァの相棒・ティモン役の亜生(ミキ)、ナラ役の門山葉子など。『愛を感じて』は、エルトン・ジョンが作曲、ティム・ライスが作詞を務め、第67回アカデミー賞歌曲賞および第52回ゴールデングローブ主題歌賞をW受賞した、『ライオン・キング』の中でも代表的な楽曲。今回の実写版『ライオン・キング』では、シンバ役ドナルド・グローヴァーとナラ役ビヨンセによる『愛を感じて』のデュエットが話題となっている。そして今回公開された日本語吹替版の特別映像では、賀来賢人と門山葉子が息の合った歌声を披露している。『愛を感じて』が本編で流れるのは、王となる使命を見失い、悩みながら新たな道を探し求める王子シンバが、離れ離れになっていた美しく芯の強い幼馴染のナラとの再会を果たすという重要なシーン。特別映像では、父の死に対する自責の念に苦しみ、秘密を打ち明けられないシンバと、シンバこそが真の王だと信じるナラが、ぎこちないながらもお互いの愛を感じとり距離を縮めていく様子が、リアルな描写で描かれている。吹替に初挑戦した賀来賢人は「シンバとナラの愛の表現が本当に素敵でした。ただ綺麗に歌えばいいということでもなくて、その中にもドラマがあるので、迷いや心の葛藤を歌で表現するのはとても難しかった」とアフレコ時の様子を明かし、「日本語版の“愛を感じて”ができれば。(門山さんとのオリジナルの曲で)素敵になっていると思います」と、自らの想いを語った。『ライオン・キング』8月9日(金)全国公開
2019年07月30日「ぴあ」調査による2019年7月26日、27日公開のぴあ映画初日満足度ランキングは、平成最後のライダーが活躍するシリーズ20作目『劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer』と、同時上映の『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』が第1位になった。『劇場版仮面ライダージオウ』は、“最高最善の魔王”になると宣言し、仮面ライダージオウとして戦い続ける主人公ソウゴの冒険を描いた作品だ。出口調査では、親子でライダーが好きだと話す家族連れの姿もあり、映画を観終わったばかりの子供たちからは「オーマジオウが一番好き!戦っているところと変身してるところがカッコいい!」(6歳)、「ライダーのお目めがかわいいところが好き。強くてカッコよかった」(3歳)、「好きなライダーが出てきて楽しかった!」(4歳)など元気いっぱいの声があがった。『仮面ライダージオウ』は、2018年9月から今年の8月まで放送されるテレビシリーズで、9月1日からは『仮面ライダーゼロワン』がスタート。平成最後のライダーとなる。大人からは「ジオウの本当の最後が観られてよかった。特に最後の戦闘シーンは、平成ライダー20年の歴史ってこんなにも長かったんだなと感慨深かった」(26歳)、「サプライズが多くてまさか!とビックリした」(40歳)、「ライダー作品は演出やCGが豪華で迫力がある。いつまでも色あせない魅力や良さを改めて感じた」(29歳)などの声が寄せられており、「子供だけじゃなく、一緒に来た親たちも十分楽しめる内容だった」(31歳)と話す人もいた。(本ランキングは、7/26(金)、7/27(土)に公開された新作映画8本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2019年07月29日家入レオが本日7月27日、幕張メッセ国際展示場9.10ホールで全国ツアー「家入レオ 7th Live Tour 2019 ~DUO~」の最終公演を開催する。家入は2012年にシングル『サブリナ』でメジャーデビュー。2017年には目標としていた日本武道館でのワンマン、さらに女優としても活動するなどのキャリアを重ねながら、これまでに6枚のオリジナルアルバムをリリースしてきた。このツアー「家入レオ 7th Live Tour 2019 ~DUO~」は4月に発売されたアルバム『DUO』の発売に伴うもの。家入にとって1年と2カ月ぶりとなる作品を引っ提げ、5月から巡ってきた19都市20公演の最後が本日となる。サポートメンバーはピアノ・宗本康兵(元ちとせ、SURFACEなど)、ギター・設楽博臣(Negicco、aikoなど)、ギター・真壁陽平(奥田民生、石崎ひゅーい)、ドラムス・玉田豊夢(有安杏果、レキシ)、ベース・須藤優(Superfly、米津玄師)、マニピュレーター・前田雄吾(Wakanaなど)、アディショナルミュージシャン・河村吉宏(フジファブリックなど)。腕利きのバックバンドと全国をまわる家入。磨き上げたステージの集大成に期待したい。■公演情報「家入レオ 7th Live Tour 2019 ~DUO~」日時:7月27日開場 16:00 / 開演 17:00幕張メッセ国際展示場9.10ホール
2019年07月27日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『アルキメデスの大戦』『隣の影』『北の果ての小さな村で』『パラダイス・ネクスト』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/26(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は20本。うち全国300スクリーン規模で上映されるのは4本。大ヒット作の続編『ペット2』、東映の『劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer』『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!』、そして東宝の戦争映画大作『アルキメデスの大戦』。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アルキメデスの大戦』黒煙を上げて沈んでいく戦艦大和の映像と、海軍幹部を演じるこれまでにない役者の顔ぶれを予告編で観て、期待していました。が、直球の戦争映画大作ではなく、それ以上に面白いエンタテインメントです。1933年、これからの戦いは飛行機と空母が中心になると確信する山本五十六海軍少将は、軍中枢が進める巨大戦艦建造計画に反対し、それがいかに国家予算の無駄使いかを立証しようと考える。そこで抜擢されたのが菅田将暉演じる天才数学者。計画決定の会議までに、対抗勢力の妨害をくぐり、それを証明できるか、というタイムリミット付きのサスペンスです。山本五十六役は舘ひろし。おお、ついにこういう役をやるようになったか、という感じです。菅田の敵、戦艦大和設計の中心人物は田中泯扮する造船中将、戦艦派の頭目は橋爪功、反対派は國村隼、他に小林克也、笑福亭鶴瓶、小日向文世、主人公の部下役で柄本佑、なかなか新鮮な顔ぶれです。もちろんどう反対しようと歴史は歴史。戦艦大和は建造され、危惧したように大した活躍もせずに撃沈されます。これまでに観た中でもリアルで壮絶な最後です。『隣の影』このところ、北欧映画が静かなブーム。そのどれもが結構面白いのです。全体的に静かで、独特の空気感があります。別の時間が流れている感じ。それと着想がいい。これはアイスランドの作品。2017年のアイスランド・アカデミー賞で、作品賞を受賞しています。ロケ地は特定していませんが、たぶんレイキャビク。出てくる人々の暮らしぶり、インテリアなど、どことなくおしゃれです。大きな木を挟んだ左右対称のテラスハウスで、世代の違うお隣同士が諍いを起こしてしまいます。日光浴をするのに木で陰ができる、ペットの排泄物が気になる、そんな些細なことが始まりで、罵り合いからどんどんエスカレートしていきます。夜のない、白夜の国の悪夢です。誰にでも起こりうる狂気を巧みに描く大人向けのサスペンス、またはホラーか。真夏の映画館で、じわじわとアイスランドの冷気を感じて下さい。『北の果ての小さな村で』これも北欧。アイスランドより、さらに北に位置するグリーンランドが舞台の映画です。地球儀をみると、ドイツ、フランス、スペインを合わせたくらいの巨大な島。いろんな歴史的経緯があり、長くデンマークの支配下におかれています。例えば、教育はデンマーク語で。学校の先生はデンマーク政府が雇い、グリーンランドに派遣します。この映画の主人公もそういう教師のひとり。人口80人の寒村にある、小さな海辺の学校に赴任します。演じているのは、デンマーク人の青年ご本人。実は彼の経験をもとにした映画なんです。ドキュメンタリーとドラマを合わせたドキュラマというスタイルです。オーロラ、大雪原、北極クマ、犬そり…イヌイットの人たちと暮らすなかで、彼がどんな風に変わっていったか。こんな生き方もあるのだな、世界は広いなあ、と子どものような純な気持ちになること必至。グリーンランドの大自然も一見の価値あり、です。『パラダイス・ネクスト』がらっと変わって、ねっとりとしたアジアの空気感。日本映画なんですが、全編台湾ロケ。東南アジアだろうと、南米だろうと、どんな土地でも現地に溶け込んで、ふてぶてしく生きていけそうな面構えの豊川悦司、てんで情けなく誰かに頼らないと生きていけそうもない妻夫木聡、このヤクザな二人と旅の途中で出会った台湾女性ニッキー・シエの逃避行の映画です。ごった煮的な、いかにもアジアな町なかのシーン、深夜や早朝に繰り広げられるアクションなど、エキゾチックで、日本映画としては異色です。中国語の赤い大文字タイトルとか、映像も、どことなくウォン・カーウァイの若い頃の作品を彷彿とさせます。特集上映では。「名脚本家から名監督へ」(シネマヴェーラ渋谷)7/27〜8/30「名脚本家から名監督へ」(シネマヴェーラ渋谷)7/27〜8/30シネマヴェーラ渋谷で人気の外国映画1930〜50年代の旧作特集。今回は、名脚本家であり名監督とも評価された、プレストン・スタージェス、ビリー・ワイルダー、ジョセフ・L・マンキウィッツ、エルンスト・ルビッチなどの35作品を上映します。例えば、ビリー・ワイルダーでは、フランス時代の監督(共同)作『ろくでなし』、脚本家時代の『青髭八人目の妻』『ミッドナイト』『ニノチカ』『教授と美女』、ハリウッドでの監督作『熱砂の秘密』『深夜の告白』『失われた週末』『異国の出来事』『サンセット大通り』『地獄の英雄』『第十七捕虜収容所』と、これだけでもボリューム感のある特集。この機会に全踏破したくなるラインナップです。■関連作品・公演『アルキメデスの大戦』7/26日(金)〜TOHOシネマズ日比谷ほか公開『隣の影』7/27(土)〜ユーロスペースほか公開『北の果ての小さな村で』7/27(土)〜シネスイッチ銀座ほか公開『パラダイス・ネクスト』7/27(土)〜新宿武蔵野館ほか公開「名脚本家から名監督へ」7/27(土) 〜 8/30(金) シネマヴェーラ渋谷
2019年07月26日『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』の世界興収が10億ドルを突破した。これまでに作られてきた『スパイダーマン』映画で、この大台を超えたのはこれが初めてだ。内訳は、北米が3億3,333万ドル、北米外が6億7,200万ドル。海外での売り上げ順位は、中国、韓国、イギリス、メキシコ、日本の順だ。この世界興収はソニー・ピクチャーズの作品でも、『007/スカイフォール』に次ぐ史上2番目だが、北米ではまだ2位に君臨する堅調ぶりで、首位を獲得するのも時間の問題と思われる。主演はトム・ホランド、監督はジョン・ワッツだ。『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』全国公開中文=猿渡由紀
2019年07月26日宝塚歌劇団雪組の東京公演、幕末ロマン『壬生義士伝』と、ダイナミック・ショー『Music Revolution!』が、7月26日(金)に東京宝塚劇場で開幕する。『壬生義士伝』は、2002年に渡辺謙の主演でテレビドラマ化、2003年には中井貴一主演で映画化もされた、浅田次郎のベストセラー小説が原作で、宝塚版の脚本・演出は石田昌也が担当している。主人公は、南部藩の下級武士で、妻子を貧困から救うために脱藩し、新撰組隊士となった吉村貫一郎。“守銭奴”と言われながらも、お金のために人を斬る、このおよそ宝塚の主人公らしくない男の深く哀しい心を、雪組トップスターの望海風斗が巧みに表現し、いわゆる“新選組物”とはまた違う、妻子への愛、幼馴染みとの友情を描いた見応えある人間ドラマになっている。トップ娘役の真彩希帆が、故郷で吉村を待つ妻しづと、吉村が京都で出会う両替商の娘みよの二役を、彩風咲奈が吉村の竹馬の友で、後に出世を遂げ、再び吉村と関わることになる大野次郎右衛門役を演じて、望海を力強く支え、専科の凪七瑠海が軍医の松本良順役で出演。望海との同期共演が実現した。併演のショー『Music Revolution!』は、劇団屈指の歌唱力を誇るトップコンビ、望海と真彩の歌声をたっぷり堪能できる、“音楽”の起源から現在までをテーマにしたショーだ。作・演出の中村一徳は、以前から雪組公演を手がけることが多く、現トップコンビになってからも、プレお披露目のショー『“D”ramaticS!』や、大ヒットを記録した『ファントム』の演出を担当。今回も、雪組生一人ひとりの魅力を最大限に生かす演出で、楽しいショーが繰り広げられる。歌だけでなく、中村のショーでは定番となっている、ブライアント・ボールドウィン振付による迫力のあるダンス場面も必見だ。公演は9月1日(日)まで。文:原田順子
2019年07月26日かつてない斬新な切り口で描く歴史エンタテインメント作品、『アルキメデスの大戦』が本日より公開される。1930年代の日本を舞台に、アメリカとの開戦を視野に入れた大日本帝国海軍で繰り広げられる、“戦艦大和建造”を巡る知略、謀略、そして数学を駆使した頭脳戦が描かれる作品だ。原作は、『ドラゴン桜』『インベスターZ』などの三田紀房による同名漫画。監督は、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズ、『永遠の0』『DESTINY 鎌倉ものがたり』などで知られる山崎貴だ。戦艦大和の“壮絶な最期”を、圧巻のVFXでスクリーンによみがえらせる。物語の舞台は、1930年代の日本。アメリカとの開戦を視野に入れた大日本帝国海軍の司令部は、世界最大級の戦艦“大和”を建造し、日本の国威を世界に示すという計画を立てていた。その計画に反対を唱える海軍少将・山本五十六は、“大和”建造を阻止するため、帝国大学100年にひとりの逸材で、“アルキメデスの再来”と呼ばれる天才数学者・櫂直を引き入れる。櫂は、数学者ならではの視点で、巨額の国費を投じる“大和”建造費の見積もり額に矛盾を発見し、軍部の陰謀を暴こうとするのだが……。主人公の天才数学者・櫂を演じるのは、『帝一の國』『火花』などの菅田将暉。名実ともに、今後の日本映画界を支える俳優となった彼が、日本の命運を握る天才数学者に扮する。菅田本人は本作に対して、「夢と現実に生きる僕ら現代人に突き刺さる題材だと思います。今やらなければならない作品だと思いました。使命感をもって臨んでいきます」と述べている。その他の出演者としては、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶、小林克也、小日向文世、國村隼、橋爪功、田中泯、舘ひろしらといった、若手からベテランまで、日本を代表する錚々たるキャスト陣が本作には集っている。劇中では、最高機密として隠されている“戦艦大和の設計図”を、見たこともないはずの櫂が再現してみせるという重要なシーンがあり、主演の菅田はクランクイン前から“戦艦の製図”を練習したり、準備に余念がなかったようだ。それぞれの“日本の未来への想い”がぶつかり合う本作を、ぜひ夏の劇場で体験していただきたい。『アルキメデスの大戦』7月25日(金)公開
2019年07月26日7月22日、ぴあ株式会社より、映画『男はつらいよ』シリーズ50周年を記念したMOOK本『50周年! 男はつらいよ ぴあ』が発売された。これは主人公・車寅次郎(渥美清)が歩んだ全49作を、プレイバックできるものだ。2019年、第1作公開から50周年を迎える国民的映画シリーズの魅力とは何なのか?『渥美清と車寅次郎』『マドンナ』『寅さんの旅』『葛飾柴又』など、シリーズを構成するあらゆる要素を、ユニークな切り口で徹底解説する1冊となっている。また、山田洋次監督や、倍賞千恵子、前田吟、美保純、浅丘ルリ子ら、シリーズに関わるキーパーソンの最新独占インタビューも掲載。さらには、全作品のストーリーとデータをぎっしり詰め込んだ、特別別冊付録『男はつらいよ シリーズ全ガイド』付きで、“寅さん”愛に溢れたページが盛りだくさんの内容だ。読めばもっと寅さんが好きになることは間違いない。特別アンケートには、立川志らく、清水ミチコ、三田寛子、桂雀々、黒谷友香、中川敬(ソウルフラワーユニオン)、白鳥久美子(たんぽぽ)という著名人たちが、今なお色褪せない寅さんの魅力を綴っている。さらに、佐藤蛾次郎による『源ちゃん柴又に帰る 柴又お散歩ガイド』と題したほんわかロケ企画を8ページにわたって掲載。精神科医・名越康文による『寅さん生き方分析』、快楽亭ブラックの寄稿『俳優・渥美清の映画』、コミックエッセイ『寅さんの聖地訪問記』など、読み応え抜群だ。あらすじ、見どころのほか、公開日や上映時間、マドンナ、ゲスト、スタッフ、主な旅先、同時上映などの詳細なデータまでをも網羅。本誌から切り離せるので、この全ガイドを持って“寅さん”のように旅に出ることも可能だ。■出版概要タイトル:『50周年! 男はつらいよ ぴあ』発行:ぴあ株式会社発売:7月22日 定価:1,667円+税判型:A4判、本体96ページ、付録32ページ書店、BOOKぴあほかネット書店にて販売
2019年07月23日他の追随を許さぬエレガンスで世界のバレエシーンの最高峰であり続けるパリ・オペラ座バレエ団より、エトワール(最高位ダンサー)のドロテ・ジルベールやマチュー・ガニオら、トップダンサー5名が来日して日本初演の2作を披露した『ル・グラン・ガラ』から1年半。新たに3名のオペラ座ダンサーが加わるなど、さらにパワーアップした『ル・グラン・ガラ2019』が、7月23日(火)に文京シビックホール 大ホールで開幕する。まず上演されるAプロは、昨年にはなかったクラシック作品を中心としたガラ公演。ヌレエフ版の『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『ライモンダ』に加え、フォーサイスからローラン・プティ、マクミラン、バランシン、プレルジョカージュまでの名作が並ぶ、バレエ初心者でも楽しめること間違いなしのバラエティ豊かなラインナップだ。そしてBプロは、昨年の2作が好評を博した振付家、ジョルジオ・マンチーニが出演ダンサー8名とともに目下創作中の『マリア・カラスへのオマージュ』と、バランシンの『ジュエルズ』より“エメラルド”と“ダイヤモンド”。世界初演の新作と、すでに定評ある作品を続けて観ることができる、こちらも魅力的なプログラムとなっている。日本にいながらにして、世界最高峰のバレエ団の“今”を心ゆくまで堪能できる公演となりそうだ。文:町田麻子
2019年07月23日ウォルト・ディズニー・スタジオが最新VR技術を駆使し、実写もアニメーションも超える“超実写版”に挑んだ『ライオン・キング』のジャパンプレミアが7月22日、都内で行われ、ジョン・ファヴロー監督、プレミアム吹き替え版で声優を担当する賀来賢人(シンバ役)、江口洋介(スカー役)、門山葉子(ナラ役)が出席した。『アイアンマン』『ジャングル・ブック』の監督をはじめ、『アベンジャーズ/エンドゲーム』では製作総指揮、現在公開中の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』には俳優として出演するなど、現在のハリウッドを代表するヒットメーカーであるファヴロー監督。今回、約3年ぶりの来日を果たし「皆さんの温かい歓迎に感謝しています」と満面の笑みを浮かべた。『ライオン・キング』を21世紀に復活させた思いについては「世界がより“せまく”なっている時代、わたしたちが生命として、いかにつながり合えるのかというテーマは非常に現代的で普遍的。経験を重ねることで、“サークル・オブ・ライフ”というテーマから受け取るメッセージも変わってくる」と強調し、「伝説的な物語を、最先端のテクノロジーで新しい世代に向けて、アップデートする責任を感じた」と話していた。「もう映画が始まってから、とんでもない映像とスケールに圧倒される。見たことがないエンターテインメントになっている」(賀来)、「美しい世界が目の前いっぱいに広がっていて、圧巻、壮大という言葉がぴったり」(門山)と声優陣も本作のビジュアル世界に圧倒された様子。江口は「動物たちの社会に、人間の家族愛や友情、いざこざといったものが投影されているからこそ、メッセージが伝わるのがこの作品の強さ」とアピールした。一方、ファヴロー監督は「皆さんがキャラクターの精神を見事に表現している」と声優たちを絶賛した。雄大なサバンナを舞台に、ライオンの王子シンバの成長と冒険を描いた同名アニメーションを新たに映画化。動物たちの王であるムファサの息子として生まれたシンバは、自分も父と同じように偉大な王になることを夢見ながら成長するが、王位を狙う叔父・スカーの恐ろしい策略で王国を追放されてしまう……。ジャパンプレミアには、日本版オフィシャルソング『サークル・オブ・ライフ』を歌う、19歳の新人アーティスト・RIRIが駆けつけた。取材・文・写真:内田 涼『ライオン・キング』8月9日(金)より公開
2019年07月22日“ぴあ”調査による2019年7月19日、20日公開のぴあ映画初日満足度ランキングは、『君の名は。』の新海誠監督の新作『天気の子』が第1位になった。出口調査では「『君の名は。』を観てファンになったが、その期待を超えてくるような作品だった」と話す人も。20代を中心に、小学生から80代までの観客から支持を集める結果になった。『天気の子』は、家出して東京にやってきた少年・帆高と、祈るだけで雨空を青空に変える不思議な力をもった少女・陽菜の物語。天候の調和が狂っていく時代を舞台に、運命に翻弄されながらも自らの生き方を選択する姿が描かれる。劇場には夏休みを迎えた小・中学生も来場しており、上映後のアンケート調査では「ずっと感動して泣いてた」(10歳)、「帆高が助けに行くシーンはカッコよくて感動した」(11歳)、「泣けた。隠し要素があって見つけきれてないから何回も観て探したい」(12歳)、「ストーリーはすごく感動した。最後にもう1段階あったら……と感じたので、そう想像させるような新海監督の思惑がある映画なんだと思った」(12歳)などの感想が寄せられた。一方、大人からは「画も話もそう来たか!とビックリした。観たことのない画にワクワクした」(31歳)、「予想外の結末で最後まで目が離せなかった」(33歳)、「着眼点がおもしろくて、現実にないとは言えないところがいい。いろいろな方面から見ることで見え方も変わってくる作品」(52歳)、「観終わった後に“人との出会いは運命ではなく必然である”ということを強く感じた」(49歳)、「ふだん目にしている風景が映像になっているので、身近な出来事のように感じた」(40歳)などの声があがった。また、「登場人物は若いが、どこか今の自分にも繋がりのあるような内容に思えた」(49歳)、「アニメだから子供向けかと思いきや、大人でも楽しめる映画で、ふたりだけの世界ではなく、いろいろな人の想いが描かれていてよかった」(80代)と話す人もいた。(本ランキングは、7/19(金)、7/20(土)に公開された新作映画8本を対象に、ぴあ編集部による映画館前での出口調査によるもの)
2019年07月22日『東京喰種 トーキョーグール【S】』は「週刊ヤングジャンプ」で連載された石田スイによる人気マンガを原作に、2017年に実写映画化された『東京喰種トーキョーグール』の続編にあたる。小笠原海(超特急)は、前作に引き続き主人公・カネキの親友であるヒデを好演。「ヒデは、この作品の登場人物のなかでも、とくに明るいですし、『東京喰種』の世界観ってどうしてもモノトーンになりがちなんですけど、彼は一人だけ服装がやたらカラフルなんですよね。金髪ですし(笑)。緊張感のあるシーンが多いので、ヒデとカネキのシーンでは、観てる方々の緊張を緩める機会になればいいなと意識していました」自身も熱心な原作ファンであることを公言している彼は、自分の出演しないクライマックスのシーンも、作品愛のあまり見学にいったほどの熱量を持っていた。また、ファンゆえのアドリブセリフもあるという。「本当に贅沢なファンですよね(笑)。現場の雰囲気も全体的に明るくて、楽しく撮影させていただきました。特にヒデは結構自由にさせてもらっているので。ニシキ先輩と掛け合いになるシーンがあるんですが、基本は台本なんですけど、途中からアドリブを入れたら、監督が「いいね」とおっしゃってくださって、そのままOKになりました。ヒデは明るくて自由な人物なので、自然に演じた方がいい結果になるのかもしれませんね」そして、本作の敵である月山(松田翔太)を大絶賛。「今回の敵である月山は、原作でも人気キャラなので、ファンの方々も、誰が演じるのか気になっていたと思うんです。(松田)翔太さんの月山は、個人的にはイメージにピッタリだと思いました」最後に、原作ファン視点、そして出演者として本作の魅力を語ってくれた。「この作品は、R15+ではあるんですけど、すごい美しいんですよ、それが僕は見てて心地いいんです。月山というキャラクターの持っている雰囲気もあると思いますが、嫌悪感のないグロテスクというか。前作はPG12で、レーティングは上がっているんですけど、もしかしたら本作のほうが見やすいかもしれない。それに、この作品は、あえて『2』ではなく『【S】』というタイトルですし、前作を観ていなくても楽しめるようにできてるので、ぜひ、この作品から『東京喰種』の世界に入ってもらって、原作を読んだり、アニメを観たりと、広げてほしいですね」『東京喰種 トーキョーグール【S】』は全国公開中。撮影/杉映貴子、取材・文/藤谷千明
2019年07月22日主演のトム・クルーズを、一躍ハリウッドのスターダムの頂点へと押し上げた伝説の作品『トップガン』。その待望の最新作の邦題が『トップガン マーヴェリック』となり、2020年夏に日本公開されることが決定。この度、特報映像とティザーポスターが公開された。アメリカ海軍のエリート・パイロット養成学校“トップガン”に所属するエースパイロット候補生の挫折と栄光の日々を、戦闘機による迫力のスカイアクションと、みずみずしい青春と恋の群像を合わせて描いた『トップガン』。世界中、そして日本でも空前の大ヒットを記録した作品だ。その最新作である『トップガン マーヴェリック』の主人公マーヴェリックを演じるのは、もちろん前作に続きクルーズ。『ミッション:インポッシブル』シリーズのイーサン・ハント役に次ぐ、クルーズの代表的キャラクターとしてカムバックを果たした。その他のキャストには、『セッション』のマイルズ・テラーや、『ノア 約束の舟』などで知られるアカデミー賞女優ジェニファー・コネリー、『ザ・ロック』の名優エド・ハリスといった豪華キャストが集結。さらに前作でマーヴェリックのライバル“アイスマン”を演じたヴァル・キルマーの出演も決定している。監督には、『オブリビオン』でもクルーズとタッグを組み、独創的なSFアクションが好評を博したジョセフ・コシンスキーが抜擢され、プロデューサーは『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなどでハリウッドの頂点に君臨する敏腕プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが務める。『ミッション:インポッシブル』シリーズの監督で知られ、クルーズの盟友としても信頼の厚いアカデミー賞脚本賞受賞のクリストファー・マッカリーが脚本に加わるなど、ハリウッドきってのクリエイターが集い、映画史に残る名作の最新作を実現させる。この度、『トップガン』の聖地・サンディエゴで、現地時間7/18~21に開催された全米最大規模を誇るポップカルチャーの祭典“コミコン・インターナショナル2019”に、クルーズがサプライズ登壇し、本作初の映像素材となる特報が初お披露目された。公開された特報映像は、エド・ハリス演じる軍の高官から、30年以上にわたり輝かしい功績を残しながらも、未だ昇進することのないマーヴェリックが疑問を投げかけられるシーンで幕を開ける。そして、爆音を鳴らし高速飛行する戦闘機の姿が映し出され、フライトジャケット、サングラス、バイクで戦闘機を横目に疾走するシーンなど、『トップガン』を象徴するシーンが連続して映し出され、代表的な『トップガン』のメロディが流れると盛り上がりは最高潮に達する。山脈を連なって飛行する戦闘機や、コックピットでクルーズ自身が操縦し、超高速飛行する戦闘機のシーンは観る者の手に汗を握らせ、マーヴェリックがひとり佇むカットは、胸を熱くさせる。あわせて公開されたティザーポスターでは、クルーズ扮するマーヴェリックとおぼしき後ろ姿と、彼方の大空を飛行する戦闘機の姿が捉えられている。コミコンにサプライズ登壇を果たしたクルーズは、想い入れ深いタイトルを再び手がける喜びを隠さず「僕にとって、『トップガン』とは、競い合い。『トップガン』とは家族。自らを捧げること。英雄的な勇気。それから、空を飛ぶこと。僕は空を飛ぶことを愛してやまない。映画は、空を飛ぶことへのラブレターかもしれない」と自信を漲らせた。果たして、どのようなアクションとドラマがマーヴェリックを待ち受けているのか。続報に期待だ。『トップガン マーヴェリック』2020年夏、全国公開
2019年07月22日9mm Parabellum Bulletが本日7月22日、恵比寿LIQUIDROOMで「9mm Parabellum Bullet ~15th Anniversary~『6番勝負』」を開催する。このライブは彼らの結成15周年を記念した自主企画。avengers in sci-fiやthe telephones、アルカラ、凛として時雨、THE BAWDIESと毎回、豪華な同世代バンドを迎えたツーマンライブが繰り広げられる。企画第4弾となる本日の対バンに指名されたのは、おなじく15周年イヤーで充実した活動をみせるUNISON SQUARE GARDEN。両者は最近も『Thank you, ROCK BANDS! ~UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Album~』で関わるなど親交が深い。舞台は、さらにおなじく移転から15周年となるLIQUIDROOMだ。まさに“15の夜”な本公演だが、すでにソールドアウト。8枚目のアルバム『DEEP BLUE』の発売も迫る、9mm Parabellum Bulletのこれまでを振り返ると同時に、未来を期待させる公演になるだろう。■公演情報「9mm Parabellum Bullet ~15th Anniversary~『6番勝負』」7月22日(月)開場 18:00/開演 19:00会場:恵比寿LIQUIDROOM
2019年07月22日『君の名は。』の新海誠監督の最新アニメーション映画『天気の子』で2000人を超えるオーディション参加者の中から主人公の家出少年・帆高と天気を操るヒロイン・陽菜のボイスキャストに選ばれた醍醐虎汰朗と森七菜。興行収入250億円という途方もない数字を積み上げた『君の名は。』の次の作品とあって、周囲の期待は高まるが、10代のふたりはどのようにこの状況を受け止め、何を感じているのか?天候の調和が狂った東京で出会った、離島から家出してきた少年・帆高と、祈ることで空に晴れを呼ぶ不思議な能力を持つ・陽菜。その能力を使って、晴れを届ける仕事を始めたふたりだったが、文字通り世界を変えるほどの大きな運命に巻き込まれていくことになる。事前に試写会が行われず、詳しい物語は謎に包まれたまま。新海監督自身「賛否を呼ぶことになる」と予告する本作だが、醍醐は帆高を演じた身として「僕にとって、この物語はハッピーエンド。帆高や陽菜の目線を通して、いろんなことを感じると思うし、見終わってプラスの方向に感情が動く映画だと思います」と語る。森は「身構えなくても映画が勝手にいろんな感情に連れて行ってくれる作品」と評し、新海作品が持つ魅力をこう説明する。「風景描写とか登場人物の悩み、人間関係などがすごくリアルなんですが、そこに現代アニメの表情だったり、現実離れした大きなテーマが重なり合っていく。現実離れした出来事が自分の近くにあるように感じさせてくれる構成で、アニメであることの意味を感じさせてくれると思います。帆高と陽菜が抱える漠然としたモヤモヤは、誰もが理解できるし、彼らが出会うことでふたりも変わり、世界も変わっていく。ふたりを見て、自分も行動したら、何かが変わるんじゃないか?と思えるんです」『君の名は。』に続いてRADWIMPSが音楽を担当する。ふたりはアフレコ以前に音楽を耳にしており、役を演じる上で、確実に音楽に背中を押されたという。もともと、RADWIMPSのファンだったという醍醐は初めて本作の楽曲を聴いた時について「神だな……と思いました(笑)」と振り返る。「野田(洋次郎)さんの歌詞って『誰も端っこで泣かないようにと君は地球を丸くしたんだろう?』(『有心論』)とか常人じゃ思いつかないなと思うんです。映像との調和という点でも『君の名は。』で、新海監督の映像×RADWIMPSの音楽が気持ちよくて、僕自身、その快感にやられて何度も映画館に行きました。今回も『ここ!』という気持ちいいタイミングで歌が流れて、登場人物たちの気持ちを代弁してくれてる。『愛にできることはまだあるかい?』というフレーズはすごく強いですよね」森は、RADWIMPSの音楽に「いつも心の温度を高めてもらった」と明かす。「(アフレコが)始まる前に、いつもメロディや歌詞を思い出して挑んでいました。“怖くないわけない でも止まんない”(主題歌『グランドエスケープ』)というフレーズがすごく好きで、そのシーンは現実離れしてるんですが、歌詞が観ている方と陽菜と帆高の距離を近づけるハシゴになってくれている気がします」本作だけでなく、醍醐も森も話題作への出演が続くが、ふたりともプレッシャーに押しつぶされるどころか、まさに“怖くないわけない でも止まんない”というフレーズそのまま、期待やワクワクに満ちている。醍醐は「最初のうちはあれこれ考えた」と明かしつつ「プレッシャーと緊張感は違うんだって気づいて、自分が考える必要のないこと、考えてもしょうがないことは考えないという割り切りを覚えた」と語り、森も「次の作品になったらどうなるかわかんないけど……」と前置きしつつ「あれこれ自分から考えなくとも、周りの人から『次の新海作品のヒロインでしょ?大変そうだね』とか言われるので(苦笑)、最初のうちはいろいろ考えてたけど、次第に『自分が陽菜』だという自覚と決意が芽生えて、そういう言葉に『はい。大丈夫です』と言えるようになりました。新海さんが『陽菜は七菜ちゃん以外考えられないから』と言ってくださったのが自信になったと思います」彼らの思いを乗せた作品はどこにたどり着くのか?ほどよい緊張感と期待を抱えて、いよいよ幕が開ける。『天気の子』公開中取材・文・写真:黒豆直樹
2019年07月20日おとな向け週末映画ガイド今週のオススメは『アポロ11完全版』『天気の子』『工作』『存在のない子供たち』。ぴあ編集部 坂口英明19/7/19(金)イラストレーション:高松啓二今週公開の作品は17本。全国350スクリーン規模で上映の新海誠監督新作アニメ『天気の子』と、250スクリーンの『東京喰種 トーキョーグール【S】』、そしてこれらに続く135スクリーンの『チャイルド・プレイ』、以上3本がいわゆる拡大ロードショー。あとはミニシアターなど小規模での公開です。その中からおとなの映画ファンにオススメしたい作品をご紹介します。『アポロ11 完全版』いまから50年前の7月20日、人類が初めて月に降り立った、あのアポロ11号のミッションを収めたドキュメンタリーです。信じられないことですが、NASAによって70ミリの高精細フィルムで撮影された未公開映像や、管制センターと宇宙飛行士たちとの交信記録など11,000時間を越える音声データが残っていて、それが今回「発掘」されました。映像は4Kリマスター処理され、現代に蘇り、これが驚くほどにドラマチックなのです。打ち上げの日、ロケットに乗り込む宇宙飛行士たち、見守る管制センター内部の様子、打ち上げ見物で宇宙基地のあるフロリダのビーチに集まった100万人の観衆を歓声とともに高精細のカメラでとらえます。50年前のアメリカ人の姿、形です。センターにつめるスタッフの大半はワイシャツに細身のタイ、女性とアフリカ系の人の姿はほんのわずかです。そして、当たり前ですが、パソコンがない。ぼけたモニター画面と、膨大なスイッチ、ダイヤル式の電話など。いまみると恐ろしくローテクです。そして始まる9日間の旅の記録。探査船の月面着陸時、「鷲は舞い降りた」と交信し、アームストロング船長が「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な躍進だ」と月に足を踏み入れる。いちいちカッコいいんです。夢を信じた時代です。こういう映画こそ大きなスクリーンの映画館で是非!『天気の子』雨の多いこの7月にお似合いの映画です。公開初日、東京の朝は気持ち雨模様でしたが、9時からの上映が終わって外に出ると、青空さえ顔をのぞかせ、これは天気の子の神通力かと思いました。家出をして東京に出てきた16歳の少年が、天気を晴れにする超能力を持った少女と出会い、「世界を変える」というファンタジー。新海誠さんの作品は、背景や風景が実写の街よりもフォトジェニックで、詩情があり、ロマンティックにすら感じるのですが、それがこの映画のテーマにぴったりです。実景のなかに映り込む、商品名やビルボード、ネオンの実名も、アニメなら普通消しますが、逆にかなり精彩に描き込んでいて、とても効果的です。東京のあちこちが登場します。田端なんて聖地巡礼、流行りそうですね。平泉成さんや倍賞千恵子さんなど、安定感ある声の出演にも親しみを感じます。シニアの方まで充分楽しめる映画です。『工作 黒金星と呼ばれた男』韓国のポリティカルサスペンス映画は絶好調です。この作品も実話に基づく、ブラック・ヴィーナス(黒金星)というコード名でよばれたスパイの物語。舞台は1990年代初頭。主人公は、核開発の疑惑を探るため、なんと北朝鮮まで潜入し、当時の金正日総書記接見までやってのける「韓国のスパイ史上最も成功した対北工作員」です。黒金星がいかにして、北の信頼を勝ち取っていくか。その大胆不敵な行動も見ものですが、彼の所属する国家安全企画部についてもていねいに描かれます。かつてKCIAとよばれた、金大中拉致事件の実行犯とされる組織。金大中が大統領選の有力候補となり、もし政権交代にでもなったらその組織があぶない、そんな背景がスリリングです。ぴあの連載「池上彰の 映画で世界がわかる!」で、この映画をとりあげた池上さんは、例えば平壌の空港に降り立つシーンなど「過去に2回、北朝鮮を取材したことのある私から見ても、このあたりの描写はリアルです」と書かれています。そのリアルさに裏打ちされた、サスペンスの傑作です。『存在のない子供たち』現代のレバノン。12歳の少年が「どうしてこんな世の中に、僕を産んだのか」と両親を法廷で訴える、というショッキングな出だし。なぜ、彼はそういう行動に出たのか。貧民窟に生まれ、親が出生届をださなかったので、誕生日もわからないし、学校へも行っていない。まさに社会に「存在をしていない」子供なのです。演じているゼイン・アル=ラフィーアという子役の目に吸い寄せられます。目力があります。利発な少年で、生活力もある。こんな環境の中ですら、粗暴で、言葉もきたないのですが、弱い存在へのまなざし、彼らを必死で守ろうとするやさしさに胸をうたれます。フィクションなのですが、この少年の未来をみてみたい、そんな気持ちになりました。悪党かもしれないし、社会の役にたっているかもしれない、でも、ひとかどの人物になっていると思います。厳しい現実を突きつけられますが、一筋の希望の光を感じる、そんな映画です。特集上映では。「洒落たタッチと円熟の演出 職人監督降旗康男」(新文芸坐)7/22〜30「洒落たタッチと円熟の演出 職人監督降旗康男」(新文芸坐)7/22~30池袋の新文芸坐では、5月に他界した降旗康男監督の追悼回顧上映が行われます。東映出身、プログラム・ピクチャーで鍛えた「職人監督」です。高倉健出演の作品が多く、東映での代表作は健さん主演の『新網走番外地』シリーズ。フリーになってからも、『あなたへ』(2012年)まで、ふたりの共作は続きます。今回上映する14本も半分以上が高倉健主演作。『新網走番外地』は入っていませんが、最初にコンビを組んだ『地獄の掟に明日はない』(1966年)や、任侠ものというよりは文芸映画のテイスト『冬の華』(1978年)、『駅 STATION』(1981年)など6本や、監督デビュー作、緑魔子主演の『非行少女ヨーコ』(1966年)も上映されます。
2019年07月19日トロント映画祭のオープニング作品が発表された。音楽ドキュメンタリーで、タイトルは『Once We Were Brothers: Robbie Robertson and The Band』だ。本作は、カナダのミュージシャン、ロビー・ロバートソンが2016年に出版したメモワールからインスピレーションを得て制作されたもの。カナダのドキュメンタリーが、この映画祭のオープニング作品に選ばれるのは初めてのことだ。ロバートソンは『レイジング・ブル』をはじめ、マーティン・スコセッシ映画の音楽監督を務めてもいることから、スコセッシもこの映画のエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ねている。今作は、カナダではストリーミング配信される予定。昨年のオープニング作品『アウトロー・キング~スコットランドの英雄~』も、Netflixで配信される作品だった。今年のトロント映画祭は9月5日(木)から15日(日)まで。文=猿渡由紀
2019年07月19日本日より公開の『東京喰種 トーキョーグール【S】』。“週刊ヤングジャンプ”で連載された石田スイによる人気マンガを原作に、2017年に実写映画化された『東京喰種トーキョーグール』の続編にあたる。人間を喰らう種族・喰種(グール)が人間社会に紛れ込んでいる世界。前作で喰種と人間のハーフとなってしまった大学生のカネキ(窪田正孝)。迫りくるさまざまな試練を乗り越え、喰種の集う喫茶店・“あんていく”で、トーカ(山本舞香)たちと平穏な生活を送っていた。それもつかの間、そこに“美食家(グルメ)”と呼ばれる喰種・月山(松田翔太)が現れ、カネキに接近する。一見エレガントな青年に見える月山だが、彼にはおぞましい目的があった。カネキは熾烈な戦いに巻き込まれていくことになる。前作から引き続き、主人公・カネキを演じた窪田正孝によると、本作ではカネキの変化を丁寧に描いているという。「前作から、ひとつ壁を乗り越えたというか、一皮むけた感じはしますよね。色々辛いこともあったけど、少し強くなれた。ただ、今回の敵である月山は、とにかく強い。カネキはこれまでの経験を経て、少し自分に自信を持てるようになったけれど、圧倒的な力で崩されてしまう。そういう部分の描き方が丁寧な作品になっています」喰種と人間のはざまで揺れるカネキは、作中でも最も孤独な存在といえる。彼はそんなカネキを、どのように演じているのだろうか。「カネキの中に誰にも味わえない感覚があるんです。人間も喰種もどちらも救いたいけれど、今のままではそれを実現することはすごく難しい。でも、いつか彼が喰種も人間も共生する世界を作ってくれるんじゃないか。そういう希望のようなニュアンスが伝わればと思って演じています」また、本作から登板となった、山本舞香や松田翔太といった共演者を絶賛。「カネキと一番絡むトーカは、今回から(山本)舞香ちゃんになりました。すごく単純な言い方ですけど、本当にハマり役だと思いますね。本人もすごくフランクだけど、どこかクールでアウトローな部分もあって、トーカと重なるような部分も持っているんです」とくに、原作ともアニメとも違う“月山像”を作り上げた松田翔太にはリスペクトを隠さない。「月山はアニメのインパクトも大きくて、アニメを観たらイメージが固まってしまうじゃないですか。でも、それを実写映画で具現化する場合、現実世界で芝居をするときに、アニメのキャラクターをそのままやってしまうのは、違和感が出てきてしまうこともある。そのバランスを(松田)翔太さんは上手くバランスをとっていますよね」『東京喰種 トーキョーグール【S】』といえば、アクションやCGも見どころのひとつ。カネキのアクションにとって大事なことはなんだろうか?「やっぱ、“無様”ですよね。アクションって、受け手のリアクションが下手だと、強く見えないんです。リアクションでその人の強さが観てる人に伝わるから、受けのほうが大事になってくる。自分をかっこよく見せるのではなく、『とにかく月山が強い』ということを、アクションの中で見せなければいけない。カネキのアクションに関しては、リアクションに徹するという感じですね。ただ、彼の中で守りたいものがあるので、努力はしているんですけど、やっぱり皮が剥けてないというか。そのもどかしい感じが、僕は個人的に好きですけどね」『東京喰種 トーキョーグール【S】』公開中撮影/杉映貴子、取材・文/藤谷千明
2019年07月19日ディズニー/ピクサーの最新作『トイ・ストーリー4』が先週末から日本でも公開をスタートし、外国映画のアニメーション歴代1位のオープニング記録を叩き出すヒットを記録している。本作を紹介するいくつかの記事では、この物語がシリーズの“完結”や“終わり”を描いていると書いているが、本当にそうだろうか? 監督を務めたジョシュ・クーリーは語る。「これまでの『トイ・ストーリー』シリーズはどれも作品の最後で“新しいドア”が開いています。だから、今回の映画では新しい未来を感じてもらいたいと思って制作にあたりました」1995年に全米で公開された世界初の全編フルCGアニメーション長編映画『トイ・ストーリー』は、これまでに3作品が製作され、『トイ・ストーリー3』では“三部作”の幕を閉じる感動的な結末が描かれた。「私も3作目でシリーズは終わったと思っていました」とクーリー監督は振り返る。「だから、4作目を製作すると最初に聞いた時は、おそらく観客のみなさんと同じことを思いましたよ。え? なんで4作目? まだ続きがあるの? って。思わず口にしてしまったぐらいです(笑)」前作のラストでウッディやバズらオモチャたちは、持ち主だったアンディのもとを離れて、新しい持ち主のボニーの家にやってきた。しかし、アンディのお気に入りのオモチャだったウッディは近ごろは遊んでもらう機会がなく、ボニーは先割れスプーンで作った自作のオモチャ“フォーキー”を気に入っている。しかし、手作りで生まれたフォーキーは自分はオモチャではなく“ゴミ”だと思っており、ボニーの一家が旅行に出た先でまさかの脱走。ウッディはボニーの大好きなフォーキーを助けるために冒険に出かける。前作で感動的な大団円を迎えたシリーズに新しいドラマを追加する必要はあるのか? クーリー監督は「だからこそ製作の初期の段階から単なる“もうひとつの冒険”を描くものにはしたくなかった」という。「これまでの『トイ・ストーリー』シリーズはどれも作品の最後で“新しいドア”が開いています。例えば1作目のラストではウッディとバズが親友になって、新しい生活がスタートします。2作目、3作目のラストもそうです。だから、今回の映画でも新しい未来を感じてもらいたいと思って制作にあたりました」そこで監督が考えたのは、これまでのシリーズのルールに従って“続編”をつくるのではなく、ルールをほんの少しだけ曲げたり、客観的な視点を持ち込むことだったという。「シリーズの1作目と2作目の公開時には私はピクサーに入る前でしたから、純粋に観客として映画を楽しみました。だからこのシリーズのルールやトーンは自然に身についていますし、すでに存在しているものでした。オリジナル作品を生み出す苦労はその“ルール”をゼロから作り上げることにありますが、続編をつくる際にはルールをほんの少しだけ曲げてみたりする楽しさがあるんです。だから今回の映画でも、最初はオモチャではなかった手作りのフォーキーを登場させましたし、新キャラクターがこれまでのシリーズでは決してやらなかったことをします。それは作っていても楽しかったですし、観客のみなさんにも驚いてもらえる点ですね」さらに監督たちは長い時間をかけて物語を作り上げる中で、本シリーズの根幹にある“ルール”に手をつけることになった。それは“オモチャと持ち主である人間の関係”だ。本シリーズでオモチャは持ち主の子どもに遊んでもらうことを最上の幸せだと考えていて、持ち主のために奔走し、悩み、どんな危険もおかす。しかし、オモチャは自分たちが考え、自ら動けることを人間に知られてはならず、その想いや愛は時に叶わなかったり、一方通行の切なさを観る者に感じさせる。「そういう意味ではこの映画に登場するオモチャたちは“親”のようなところがあります。小さい子どもが育っていく中で、親はいつも子どものそばにいることが当たり前だと思っていますし、何が起ころうとも子どものそばにいようとします。でも、子どもはそのことを知らないわけです。それはこれまでの『トイ・ストーリー』シリーズすべてに貫かれているルールであり考えでした。ウッディはいつだって持ち主のアンディのために存在し、行動しています。ウッディが他のオモチャを救うのは、アンディがそのオモチャを大切にしているからです。逆に1作目でウッディがバズを窓から突き落としたのは、自分がアンディのそばにいるためにジャマになるものを消そうとしたからです。ウッディは持ち主のために存在している。それがすべてを貫くルールでした」だからこそ、『トイ・ストーリー4』では、この最重要ルールに初めて手をつけた。「持ち主がアンディからボニーに変わって、彼女がウッディのことを必要としなくなったとしたら、彼はどうするだろう? それが今回の映画のテーマになりました」。その結果、本作はシリーズ3作目の“続き”ではなく、これまでの三部作をある意味では客観的に考察したり、これまで当たり前だったルールに揺さぶりをかけたり、オモチャと人間の関係を離れて、人間同士の関係にまで考えが広がる作品になった。「そうだと思います。すでに4作目を観てくださった多くの方がこの映画を個人的なものに感じたと言ってくれます。それは、この映画がウッディがこれまで信じてきたこと、彼の信条に“挑戦状”を突き付けるものになっているからです。友人の意味とは何か? 家族とは何か? 目の前にいる人以外にもどこかで助けを必要としている人がいるのではないか?……そんなことを私たちは考えて映画をつくりました」完璧な結末をもつ三部作の後に『トイ・ストーリー4』が作られたのは、三部作が当たり前だと思ってきたルールそのものに光をあて、ルールをあえて解体し、新しいドラマを、“新しいドア”を開くためだ。「そう言っていただけるのはうれしいです。最初からこれまでと同じような映画は作りたくないと思っていましたし、他の映画では描かれないような感情、なかなか感じられない気持ちを味わってもらいたくて本作をつくりました」『トイ・ストーリー4』公開中
2019年07月19日ダンスカンパニー・Noismを経てフリーランスに転身後、近藤良平率いるコンドルズに参加し、白井晃らの演劇作品でステージングを手がけるなど、マルチに活躍しているダンサー・振付家の平原慎太郎。その彼が2013年、西村友美子(衣装)や熊地勇太(音楽)らとともに立ち上げた舞台制作団体・OrganWorksが、本日7月19日(金)より世田谷パブリックシアターにて『聖獣(リヴァイアサン)~live with a sun~』を上演する。〈リヴァイアサン〉と言えば、イギリスのトマス・ホッブズによる政治哲学書が知られるが、元々は旧作聖書に現れる怪物の名前。ホッブズは国民が集まってできた国家を「リヴァイアサンである」と形容し、またアメリカの作家ポール・オースターも、“国家”という概念を題材に同名の小説を著した。OrganWorksの『聖獣』もまた、“個と集団”を掘り下げることで、リヴァイアサンの姿を描き出す作品。ヒトとは全く異なる時間の流れを生きる存在として“虫”を登場させ、対比によってヒトの持つ様々な特性を浮かび上がらせていく。作品の初演は2017年。平原は、初演を「私平原慎太郎にとって、また、我々OrganWorksにとってターニングポイントになった作品」と、そして再演を「人間がダンスとどのように向かい合い、どのように社会に還元するかを示す機会」と位置づけた上で、「ダンスの本質・王道をおさえながら、ラディカルな視線を持つというダイナミックな公演になる」と、この再演に自信を覗かせる。OrganWorksの真骨頂が観られる舞台となりそうだ。文:町田麻子
2019年07月19日新海誠監督の最新作『天気の子』がいよいよ本日から公開になる。本作は国内興収250億円超えの大ヒットを記録した『君の名は。』に続く作品だが、新海監督はあえて同じような作品ではなく“攻め”の姿勢で新作に挑んだようで、監督によるとその結末は「王道とは少し違うところで、見終わった後に意見が分かれる」ものになるという。本作の主人公は、東京にやってきた家出少年の帆高と、祈るだけで空を少しの間だけ晴れにできる少女・陽菜。雨が続く東京の街で偶然に出会ったふたりは、想像もしなかった事件に巻き込まれ、それぞれが自身が進むべき道を選択していく。本作は新海監督とスタッフがクオリティ重視で作業を進めたため、映画の完成はギリギリになった。その結果、試写会などは開催されず、日本中の観客が本日一斉に完成した作品を鑑賞することになっている。新海監督はその作業のほぼすべてをたったひとりで手がけた『ほしのこえ』で熱狂的なファンを生み出し、次々に新作を発表する中で着実にファンを増やしていった映画作家だ。『君の名は。』はそれまでに培った技術や美学を引き継ぎながら、長編を見せきる構成にこだわって脚本が執筆され、腕ききのアニメーターたちを集めた画づくりを行うなど制作体制を強化。監督のこだわりと信念、そして大画面に映える画/音づくりが見事に融合して大ヒットを導きだした。しかし、新海監督は最新作では過去に囚われることなく“攻め”の姿勢で新たな物語を語ろうとしている。主人公のふたりの声はオーディションで新人の醍醐虎汰朗と森七菜を抜擢。前作に続いて田中将賀がキャラクターデザインを、RADWIMPSが音楽を担当しているが、スタジオジブリ出身の田村篤が新たに作画監督を手がけ、『言の葉の庭』ぶりに滝口比呂志が美術監督に就任。これまでの新海作品を手がけたメンバーと新たな才能が混ざり合う形で創作が進められたようだ。本作は一体、どんな内容なのか? 意見が分かれる結末とは? 事前に情報がほとんど公開されなかったが、逆にいえば新鮮な気持ちで作品に向き合える絶好のチャンスでもある。毎年、夏のこの時期は超大作・シリーズ作がひしめきあうが、その中で最も注目を集め、最も感想や意見が飛び交う作品になりそうだ。『天気の子』公開中
2019年07月19日