チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (101/342)
直木賞作家・皆川博子の小説『二人阿国』(新潮社刊)を原作に、華やかな和風ミュージカルに仕立てた舞台『ふたり阿国』の初日が、3月29日に明治座で幕を開けた。歌舞伎の元となる「かぶき踊り」を創った“出雲の阿国”(北翔海莉)と、彼女にあこがれ、その芸を乗り越えようと必死にもがく少女“お丹”(峯岸みなみ)の人生を、対比させながら綴る物語。ポップス、ロック、ゴスペル、ワルツなど多彩な楽曲はもちろん、明治座らしい大掛かりなセットや殺陣に加え、皆川原作ならではの人間の業や哀切さもしっかりと描かれた快作に仕上がっている。【チケット情報はこちら】黒地に金色の雲型がたなびいている舞台美術を背景に、中央には大きな太鼓橋のセット。物語は慶長5年の京都・四条河原で、その太鼓橋の頂上に立つ阿国(北翔)を、地面からお丹(峯岸)が見上げている場面から始まる。次いで民衆が舞台を埋め尽くすと、「浮世で傷ついた心と体を、この阿国が慰めてさしあげましょう!」と再び阿国が登場。華やかな笑顔と豊かな歌声で、一気に客席を惹きつける。北翔は、興行を実現するため勧進元には“色”も使うが、さっぱりときっぷのいい阿国を表現。大津城で戦いに巻き込まれた際には、一座の女衆やお丹を守りながら避難させるなど、孤高のカリスマというより、人間らしさを感じさせる阿国像を演じている。その印象は後半、男装して踊る「かぶき踊り」を始め、放たれる光がさらに強くなってからも同様だ。お丹と、その一座のこふめ(雅原慶)を引き取るも、芸道のために残忍ともいえる行動を起こす阿国。だが自分が起こした結末に動揺する姿から、阿国自身もまたひとりの女性として、芸道と人生の模索中なのだと分かる。終盤では亡き夫を想い、弱った表情を見せる阿国が切ない。宝塚を退団して3年、元トップスターとして華やかな役柄が多かった北翔にとっても、女性の陰影を演じ切った本作は新境地となったに違いない。対するお丹役の峯岸は、かたくななほどに芸道にこだわり、阿国を「阿国ねぇ」と慕う初々しい前半から、ある出来事をきっかけに、自分の身が汚れてものし上がろうとする後半への変化を鮮やかに演じる。売れっ子の芸人になってからは、ポップス風のメロディに乗せて、さすがのアイドル性を見せつけるシーンもあり。だがその後、再会した阿国に“天に声を届けようとしていた、あの頃のお前はいなくなった”と言われたお丹は……。阿国とお丹がそろったラストシーンは、宝塚時代から芸道へのひたむきさと圧倒的な歌唱力で知られる北翔と、近年、舞台活動に誠実に向かい合い、結果を出している峯岸自身の姿とも重なって印象的だ。そのほか、お丹の父である笠屋犬太夫役・モト冬樹の味わい深さ、河原の興行を仕切る三郎左・コング桑田の清濁併せのむ潔さ、流浪の芸人・とっぱを演じる坂元健児の安定感ある歌声が舞台を引き締める。東京・明治座にて、4月15日(月)まで。チケット発売中。取材・文:佐藤さくら
2019年04月01日京都最大の花街、祇園甲部の芸妓と舞妓が新作の舞を披露する「都をどり」。明治5年の創始以来、今年で147年目。京都の春を告げる風物詩だ。現在、祇園甲部歌舞練場が耐震対策による休館中のため、今年は67年ぶりに京都・南座で上演することに。『御代始歌舞伎彩(みよはじめかぶきのいろどり)』と題して、全8景仕立てで贈る。「南座新開場記念 都をどり」チケット情報今年は新天皇ご即位を寿ぎ、『御代始歌舞伎彩』という題名に。後白河院の御所に集う白拍子や遊女など女性芸能者たちの歌舞を描いた第3景『法住寺殿今様合(ほうじゅうじどのいまようあわせ)』、桂離宮を舞台に美しい秋の風情を表現した第6景『桂離宮紅葉狩(かつらりきゅうもみじがり)』、そして門跡寺院である桜を背景に、全員登場して華やかなフィナーレを繰り広げる第8景『大覚寺桜比(だいかくじさくらくらべ)』と、京都が天皇や皇室にゆかりの地であるということを改めて感じられる演目が揃う。また、出雲阿国と名古屋山三の斬新な舞を見せる第4景『四条河原阿国舞(しじょうがわらおくにのまい)』や、南座付近のお茶屋の座敷で繰り広げられるしっとりした舞を披露する第7景『祇園茶屋雪景色(ぎおんちゃやのゆきげしき)』など、南座や祇園を舞台にした演目も登場する。今年の総をどりの着物は、67年前に南座で開催された総をどり衣裳を現代版にアレンジした復刻版で、文様の雪輪のまわりにおめでたいことの兆しとして現れる瑞雲や松竹梅、桜や紅葉などの草花を配置。帯も毎年、異なる模様で、今年は新天皇ご即位に祝賀の意を込めて「小槌に分銅」とおめでたい絵柄に。総勢16名で魅せる総をどり。そろいの着物でずらりと舞台に並ぶ様は壮観だ。また、今年は来場者全員に芸妓・舞妓の写真が掲載された「写真帳」もプレゼント。「都をどり」は京都・南座にて4月1日(月)~27日(土)まで上演。チケット発売中。取材・文:岩本和子
2019年04月01日6月1日(土)・2日(日)に、静岡・吉田公園特設ステージで開催される音楽フェス「頂 -ITADAKI- 2019」の日割りが発表された。【チケット情報はこちら】先日全26組の出演アーティストが決定した同フェス。日割りの詳細は下記。チケットの一般発売は3月30日(土)午前10時より。また、今年から開催地である静岡県榛原郡吉田町のふるさと納税の返礼品に、頂の入場券が採用。そちらの受付もあわせてスタート!所得税や住民税の還付・控除を差し引くと、お得にフェスを楽しめるチャンス!詳しくは公式サイト、もしくはぴあのチケット情報ページでご確認を。■頂 -ITADAKI- 2019日時:6月1日(土)・2日(日)会場:静岡県吉田公園特設ステージ(静岡県)出演:【6月1日(土)】スチャダラパー / 韻シスト guest. iri / never young beach / King Gnu / 思い出野郎Aチーム / PUSHIM with HOME GROWN / MIGHTY CROWN / SPECIAL OTHERS / D.A.N. / GOMA & The Jungle Rhythm Section[CANDLE TIME]clammbon (with Quartet SET)[MOON STAGE -midnight landing-]Port of Notes / 長岡亮介【6月2日(日)】ORIGINAL LOVE / 石崎ひゅーい / スカート / Rickie-G feat.PJ / 唾奇 / サンボマスター / The Birthday / BRAHMAN / 渋さ知らズオーケストラ[SUNDAY MORNING SET -Still Dreaming-]高木正勝 [Marginalia][CANDLE TIME]EGO-WRAPPIN’ (Mellow Twilight SET)
2019年03月29日「舞台 刀剣乱舞 ~虚伝 燃ゆる本能寺~」で森蘭丸役など2.5次元舞台を中心とした活動してきた、丸目聖人率いるメンズアイドルプロデュースプロジェクト「VIRAL(バイラル)」が4月6日(土)、東京・SHIBUYA TAKE OFF 7にてデビューワンマンライブを開催する。VIRAL チケット情報グループコンセプトは“ギラギラ×ロック×ワイルド”。型にはまらず、ファンの気持ちを背負い、関わる方々の気持ちを背負い、自分の気持ちを背負いより上へ。メンバーは役者やアーティスト活動を続けてきた実力者ばかりが揃う。プロデュース兼パフォーマーを務めるリーダーの丸目聖人はこう語る。「役者としていただいた台詞や空間の中で演じることもすごく充実していた時間でありましたが、その中で自分自身が一から創る世界観の中でたくさんの方々の心を動かしたいと思うようになりました。僕が創りたいエンターテイメントの世界観は「表面的でなく“心”で人の心を繋ぐ」という事を大切にしていきたいと思っております」そんな、彼ら「VIRAL」のデビューライブは4月6日(土)東京・SHIBUYA TAKE OFF 7にて。チケットは好評発売中。彼らが築いていく歴史の証人になってほしい。VIRAL公式Twitter@VIRAL_official5ショールームアカウントVIRAL_20190406
2019年03月29日浅草軽演劇集団ウズイチ「シャフ~えびす屋と浅草六芸神~」が浅草九劇にて開幕した。浅草の町を舞台に、人力車を引く車夫(=シャフ)たちを主人公とした本作。シリーズ第4回となる今回は、脚本・演出に様々な人舞台を手掛ける川尻恵太、振付には梅棒より塩野拓矢を迎え、第3回公演からさらに3名が増えた劇団員12名が新たな物語を演じた。【チケット情報はこちら】舞台は浅草、観光人力車専門店“えびす屋”。シャフとして浅草の町をひた走るシンジ(鈴木康介)、キンイチ(白石惇也)、ユズル(赤城龍一)、ハカセ(近江征志郎)の4人。ある日、社長の一声でえびす屋のPRイベントとして演し物をすることになったシャフたち。さらに広島、関西からマサキ(荒木幹斗)、ヒデトシ(神坂優心)の2名も参加し、6名で歌、ダンス、演技、演奏、話芸、大道芸を披露することになり、それぞれ分担を決め練習に励むが、家族、恋愛、ひとりひとりが抱える秘密をきっかけにメンバー同士が衝突してしまう。そんなときに、シンジらが乗せた、神を自称する乗客たち。その神に導かれるように、また6人は集まるようになるが……。シャフたちが出会う神様、唄神(小原汰武)、踊神(稲垣政成)、演神(宗綱弟)、話神(樋口拓海)、奏神(石田泰誠)、戯神(仲井間稜)は、それぞれのパフォーマンスはもちろん、様々なシーンで活躍。全員でのオリジナル楽曲の歌唱、シリーズ初となる楽器の生演奏、ダンスなどの全力のパフォーマンスもAbemaSPECIALチャンネル『白雪とオオカミくんには騙されない』に出演中の鈴木康介をはじめとした、活躍の場を広げる役者たちの熱演をぜひ劇場で体感してほしい。浅草でも店舗を持つ人力車のえびす屋の協力もあり、役者たちは実際の車夫と同じものを着るなど、浅草ならではのこだわりが随所にちりばめられた本作。劇中にも出てくる浅草六芸神の像は劇場から徒歩3分ほど。観劇後はまた浅草の町が違ってみえる作品だ。公演は4月7日(日)まで、東京・浅草九劇にて。チケットは発売中。
2019年03月29日25歳のつかこうへいが当時最年少で岸田國士戯曲賞に輝いた、代表作『熱海殺人事件』。1973年の初演以降、幾度となく上演が繰り返される不朽の名作が平成最後の節目に『熱海殺人事件 LAST GENERATION 46』と銘打ち上演される。演出はつかこうへいの懐刀、岡村俊一。大阪城公園内に誕生した新劇場COOL JAPAN PARK OSAKATTホールで行われた最終舞台稽古の模様をレポートする。「熱海殺人事件 LAST GENERATION 46」チケット情報タキシードを着た東京の部長刑事が自分の美学を貫き、三流の殺人犯を“一流の犯人”に仕立てる破天荒な物語。大音量のチャイコフスキー「白鳥の湖」を合図に、のっけから部長刑事が電話口でがなりたてる。足元にはスモークがたかれ、真っ赤な背景にピンスポットを浴びた部長刑事のただならぬ存在感。そこへ、富山では名の知れた田舎刑事が赴任してくると、手渡す書類を寸前で床へ落とし「拾ってください」と上から目線。すかさず「テーマは愛!」と高らかに宣言するや、納得いく殺人の“シナリオ”を完成させるよう田舎刑事に迫るのだった。かくして賄賂に偽造、でっち上げもお手のもの。「我こそルール!」と無法地帯と化した警察所内で、真剣勝負のシナリオ合戦が始まる。愛人婦人警官、張本人の犯人も加わり、丁々発止のやり取りから浮かび上がるのは、各々の過去。どうしようもない生い立ちや貧乏、差別が彼らの人生に暗く影を落としているのが分かる。そこに愛が絡むと、人間はつい衝動的な言動に駆り立てられるのかもしれない。とはいえ、実人生がそうであるように、しみったれた感傷も長くは続かない。劇中には小ボケからコント仕立ての笑いまでが次々に差し込まれる。心を射抜く爆音のBGMにきらめく閃光、宙に舞う大量の花びら。愛も憎も盛り込んだ文字通り目まぐるしい展開、このトゥーマッチ感こそつか戯曲の真骨頂だ。木村伝兵衛部長刑事には、歴代最年少の24歳で同役に抜擢されて以降、3年連続で主演を務める味方良介。美しいビジュアルに堂々とした佇まい、何より膨大な台詞量にもスピード感を損なうことなく明瞭に言葉を届ける。荒唐無稽な戯曲を成立させる台詞回しが圧巻だ。愛人の水野朋子婦人警官には、元欅坂46の今泉佑唯。1st写真集が10万部超えのヒットも伊達じゃない初々しい存在感で本格女優デビューを飾っている。犯人の大山金太郎には新鋭ダンスボーカルユニット「lolエルオーエル」の佐藤友祐。殺しの再現で魅せる真に迫った演技は見もの。そして、田舎刑事・熊田留吉には、お笑いコンビNON STYLEの石田明。2016年『新・幕末純情伝』で坂本龍馬役を演じ、昨年は『熱海殺人事件』『火花』などに出演。味方にも劣らぬ台詞量で物語を牽引し、笑いのセンスも遺憾なく発揮している。公演は3月28日(木)から31日(日)までCOOL JAPAN PARK OSAKATTホール、4月5日(金)から21日(日)東京・紀伊國屋ホールにて上演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2019年03月29日2009年にインターネット上で結成され、今年10周年を迎えた電波少女。3月27日にはニューE.P.『Q』をリリースした。さらに、結成10周年を記念したイベント「電波少女 10th Anniversary“+”」が、6月9日(日)大阪・Creative Center OSAKAにて開催決定!このイベントには、電波少女の10年を振り返り欠かすことのできないアーティストが、電波少女を含めて計8組出演予定だ。この日にしか見られない、この時にしか味わえない空間が作られることは間違いない。電波少女チケット情報チケットは4月27日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、3月31日(日)20:00よりオフィシャルホームページ先行の受付が開始する。
2019年03月28日青木豪の書き下ろし新作を、河原雅彦が演出。ジョン・スタインベックの小説『エデンの東』をモチーフに、舞台を1990年代の長崎に置き、ある家族の姿を描き出す。そこで脚本の青木と、主人公の双子の兄弟、勇と光を演じる松下優也と平間壮一に話を聞いた。【チケット情報はこちら】2005年の舞台『エデンの東』でも脚本を務めた青木。だが今回の執筆にあたり、当時とはまた違った点に着目したという。「全4巻の小説ですが、多くの人が知っている映画版ではその4巻だけが描かれていて、3巻まではわりと父母の話がメインになっているんですよね。僕はそこが書く上で面白いところだなと。ある程度大人になった人間が、両親がどう生きてきたかを知っていく。今回はそこから物語を組み直していきました」松下と平間の共演は、『THE ALUCARD SHOW』(2013年、2014年再演)以来今回で2作目。お互いの印象について「当時、同世代の俳優さんのことはほとんど知らなかったんですが、こんなに踊れる人がいるんだってことに驚いて」と松下が切り出すと、平間は「僕は優也の歌を聴いた瞬間、この人の後ろで踊りたいって気持ちになりました」と明かし、それぞれ出会いが鮮烈だったことを振り返る。さらにその後もお互いの活躍は大いに刺激になっていたようで、久々の共演に「嬉しい!」と声をそろえる。また風間杜夫や高橋惠子ら大御所との共演にも、「壮ちゃんがいることでだいぶ不安が和らいでいる」との松下の言葉に、「僕も!優也がいるからわりと落ち着いているかも」と平間も続く。演出の河原とのタッグは、青木は『八犬伝』(2013年)で、松下と平間は『THE ALUCARD SHOW』で経験済み。青木は「河原さんの演出は、作品をすごく“エンタメ”にしてくれるという印象。自分が演出しない時は、“絶対そんなこと出来ないだろう”ってことを書くんですが(笑)、今回河原さんがこれをどう舞台化してくれるのか。すごく楽しみ」と期待を寄せる。「河原さんの演出は思いっきり乗っかれる感じがあって、今回も安心して挑めそうです」とは松下。また平間は「ちょっとピリついた稽古場も経験しているんですが(笑)、それはお芝居に対して河原さんが本気だから。こちらも全身でぶつかっていかないと通用しないという点で、大好きな演出家さんです」と絶大な信頼を寄せる。青木と河原の手により、俳優・松下優也、俳優・平間壮一がいかなる顔を見せてくれるのか。その開幕が待たれる。6月7日(金)よりシアターコクーンにて開幕する東京公演を皮切りに、兵庫、愛知、長崎、福岡と各地を巡る。東京公演は現在、チケットぴあにてプレイガイド最速抽選を実施中。取材・文:野上瑠美子
2019年03月27日神と司祭に仕える5人の使徒が“福音”の歌とダンスで愛を説き観客たちの“魂を救う”オフ・ブロードウェイ発のミュージカル『ALTAR BOYZ(アルターボーイズ)2019』が、4月7日(日)まで東京・新宿FACE にて上演中だ。<Team GOLD>のプレビュー公演に潜入した。【チケット情報はこちら】『ALTAR BOYZ』は2004年にニューヨークで初演され好評を得たミュージカルで、日本での公演も6回目という人気作品。日本初演から10周年となる今回は、前回公演(2017年)と同キャスト・大山真志、法月康平、松浦司、常川藍里、石川新太による<Team GOLD>と、新チーム<Team SPARK>という2チーム制で上演。<Team SPARK>は初演から出演する良知真次を中心に、金井成大、川原一馬、勧修寺玲旺、北乃颯希、反橋宗一郎、山本隼也、米原幸佑、和田泰右が日替わり編成で出演する。演出は玉野和紀。神と司祭に仕える美しき男子5人のダンスボーカルグループ“アルターボーイズ”が、“福音”の歌とダンスで愛を説き観客たちの魂を救うワールドツアーのファイナル公演を上演する本作。彼らは会場内の“迷える魂”の数を表示する「ソウルセンサーDX12」が“0”になることを目標に、心を込めて歌い、踊り、ステージを盛り上げていく。キリスト教の聖書がベースにある作品なので、それぞれのキャラクターや歌詞、演出は、聖書を読んだことがある人はより楽しめるが、もちろん知らなくても楽しめる作品となっている。劇場は、開演前からまさに“ツアーファイナル”の空気になっていた。期待感で満ちるなか、登場するアルターボーイズの5人。盛り上がる客席。彼らは全身全霊で歌い、踊り、ときにはMCをしたり、観客と交流したり、ハプニングに慌てたりしながらも、パフォーマンスを続けていく――。もちろんこれは台本があるミュージカルなのだが、そこには強烈なほど“今起きていることだ”と思わせる生々しさがあった。それは本作の魅力そのものではあるが、「これでツアーをまわってきました」感を感じられるパフォーマンスのクオリティや、歌い踊って息も絶え絶えになった瞬間でも一切役は崩れないこと、さらに<Team GOLD>ならではの積み重ねたチームワークも相まってのこと。いつの間にか「アルターボーイズのツアーファイナルに来た客」としてライブを堪能していた。今回、2チーム制、しかも<Team SPARK>はさまざまな組み合わせで上演されるが、このライブ感だからこそキャストによって全く違うステージになるはず。ぜひ劇場でこの生々しさを味わってほしい。「ALTAR BOYZ 2019」は4月7日(日)まで東京・新宿FACEにて上演中。取材・文:中川實穗
2019年03月27日演出家・劇作家・俳優の長塚圭史が4月1日よりKAAT神奈川芸術劇場の芸術参与に就任する。その記者懇談会が開かれ、同劇場の芸術監督・白井晃と共に取材に応じた。今回の就任について白井は「神奈川芸術文化財団には今まで“芸術参与”という役職はなかったのですが、この度、制度を整備していただきました」と説明し、その理由を「ひとつは、私の芸術監督の任期が2020年度までになっているので、それまで芸術面で私の仕事のサポートをしていただくことが目的です。もうひとつは、2021年度からの新監督就任を見据えての準備期間です」と話した。長塚は「(これから着手する)2021年度からのプログラムを一緒に作っていくという大きな狙いもあるのですが、それと同時に劇場にとってのインフラを整えていく力になれたらと考えています」と意気込む。それに向けてまずやるべきは「散歩かな」と笑い、「この街がどういう場所なのかよくよく見つめる時間が持てたらと改めて思っています。そしてこの場所にちなんだことを、長期的な展望の中でつくりたい」を語った。白井は長塚を「数少ないよく話す演劇人。私にとってよきパートナーでもありますし、相談相手でもあります」と話し、この抜擢の理由を「1番大きいのは、彼が僕より18歳も若いことです。私が経験してきた演劇的な経験と、長塚さん世代が経験されてきたことは違う。演劇観というものが徐々に変化していることを肌で感じており、そういう意味で長塚さんの若い視点が必要になると思いました。僕はこの劇場に“事件を起こしていきたい”と思ってやってきましたが、その事件を起こすためには馬力が必要です。今までが芸術監督ひとりでの1輪駆動だったとするならば、2輪駆動にして2年間走って、その状態で長塚さんに(芸術監督を)お渡ししたいという思いがあります」と述べた。自身が演劇で積んできた経験がこの新しい任務にどう活かされるかの問いに長塚は「僕は、習慣的になって慣れ親しんで忘れてしまうことに対していつも危機感を抱いていて、“このままじゃダメだ”と思ったら、それは時に乱暴なやり方でも、つくっては壊し、壊してはつくって、どうにかやってきました。そういう思い切りの良さを携えながら、まずは参与をまっとうし、その先に繋げていきたいと思います」と答えた。長塚はこれから2年間、芸術参与の任務を遂行する。また、同劇場で12月に上演される「常陸坊海尊」の演出を手掛ける。取材・文:中川 實穗
2019年03月27日4月2日(火)に開幕を控えた美輪明宏の『毛皮のマリー』。寺山修司が美輪のために書き、美輪自身が演出、美術、主演を務めてきた作品だ。美輪がこの舞台に込めるものは何なのか。そして、今なおこの舞台が求められるのはなぜなのか。熱い稽古のあと、美輪が語った。【チケット情報はこちら】稽古も大詰めを迎えたこの日、まさにクライマックスのシーンが繰り広げられていた。男娼として生きる毛皮のマリー(美輪)とその息子・欣也(藤堂日向)の奇妙で哀しい因果関係が、長い長い台詞で、マリーの口から語られる。「長台詞にはやはり、大変なエネルギーと技術が必要で、音程、速度、強弱、リズムといったものを、言葉で表現しなければならないんです」と自身でも語るように、表現者としての凄みを、このシーンだけでも改めて感じさせてくれる美輪。その力に魅了されたからこそ、寺山修司も自身の思いのすべてを、美輪に仮託したに違いない。寺山が『毛皮のマリー』で描いたのは、自身の母子関係にも重なる、母の“無償の愛”である。「『愛の讃歌』でも歌われているように、愛とは与えっぱなしで見返りなど要求しないものなんです。それを『毛皮のマリー』では、いろんな人間を出して、母子ばかりか、男同士でも、無償の愛は尊いものだということを描いているのだと思います」。“醜女のマリー”と呼ばれるマリーの下男(麿赤兒)、美少女・紋白(深沢敦)をはじめ、見世物小屋かのように様々な人間が登場するのも、「そこには、“見世物の復権”というテーマを掲げていた寺山のメッセージがあるんです」と美輪は言う。「どんな人間であっても、下手物扱いしたり蔑視したり差別したりするのは間違っているということです。さらに、人前で話してはいけないとされている性的なことも、本来は命のもとなんだから、下品でいやらしい言葉だとするのはおかしいということを寺山は言っていました。ですから、この作品の魅力は、反社会的で背徳的とされていることを美しく描くところにあると思うんです。そして、そんな芸術性あふれる作品が少なくなりつつある今こそ、寺山修司という天才が作り出した作品が必要だと思っています」。そんな美輪の思いを受け止めてか、欣也役の藤堂、マドロス役の三宅克幸といったオーディションに合格して初参加している面々も、真摯な演技が光る。「芸術は人の心のお薬のようなものです」と言う美輪。今という時代に危機感を抱きながら懸命に、愛と美しさを伝えてくれる。公演は、4月2日(火)から東京・新国立劇場 中劇場にて上演後、福岡、愛知、大阪を巡演予定。チケット好評発売中。取材・文:大内弓子
2019年03月27日“SF”にこだわり続け、唯一無二の作品世界で多くの演劇ファンを魅了している「イキウメ」。6年ぶりの上演となる『獣の柱』は、見る者に恐ろしいほどの幸福感をもたらす小さな隕石、そして空から降ってくる巨大な柱によって、世界が大きく変わっていくパニックSFだ。そこで今回の再演を前に、作・演出を手がける前川知大に話を聞いた。【チケット情報はこちら】代表作の『散歩する侵略者』をはじめ、イキウメには再演を重ねる作品が多い。荒唐無稽ともいえるアイデアからスタートした脚本を、ブラッシュアップし再演を繰り返すことで作品を研ぎ澄ませ、アーカイブしていきたい。そんな前川の思いがあるためだ。「この『獣の柱』に関しても、いつか書き直さなきゃと思っていたんです。すごく長いスパンのお話なだけに、個々の登場人物のバックボーンを普通に打ち出していくと、ものすごく上演時間が長いものになってしまう。あと、公演をすることで、作家の自分はこんなことを考えていたのかと、演出家の自分が気が付いていくところがあります。前回も、自分でも最後までわからなかった。今回まずやるべきはそのテーマをはっきりさせることであり、それが今ようやくつかめてきた感じです(笑)」もともと温めていたアイデアのパイロット版として2008年に短編『瞬きさせない宇宙の「幸福」』として上演。改めて長編に書き換え、『獣の柱』として2013年に初演。そこからさらに6年を経たことで、本作はどんな変化を見せていくのだろうか。「最初のアイデアとしては、“宇宙人侵略もの”みたいなイメージで考えていたんです。でも『獣の柱』になった時、この作品で起こる“大状況”みたいなものを、震災の2年後ということもあり、そこに当てはめて観る人が多くて。それに比べると自分自身、もっと落ち着いて、広い視野で書けている気はしますね。ある一個の出来事に対する解釈を巡る話として。ただ柱によって人々は住む場所を移動せざるを得なくなるわけで、そういった意味で言うと、やはりその後の話だとは思います」中心となる人物は、今回は、双子の兄妹とその友人の3人。彼らがこの世界で起きている不条理をどう受け止めていくのか。その解釈の物語になるという。「妹はキリスト教の『ヨハネの黙示録』に合わせて、その友人は科学的な知識によって、それぞれがこの“大状況”を解釈していこうとします。そんな登場人物たちの解釈に惑わされつつ、観ている側にもいろいろ考えてもらえたらなと。すごく壮大ですが、笑いもしっかりあり、間違いなく楽しい作品にはなると思います。またはっきりさせる部分ははっきりさせて、初演よりもわかりやすく伝えられたらいいですね」公演は5月14日(火)から6月9日(日)まで、東京・シアタートラム、6月15日(土)・16日(日)大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケット発売中。東京公演については3月28日(木)10:00より追加公演のチケットを発売開始。取材・文:野上瑠美子
2019年03月27日太鼓芸能集団「鼓童」の浅草特別公演『粋』が6月に東京・台東区立浅草公会堂で初演される。演出を手掛ける鼓童の代表・船橋裕一郎に話を聞いた。船橋が「浅草の皆さんともお話ししながらこれからつくりあげていきます。自分たちもドキドキするような公演にしていきたいです」と話す本作。今回は、『粋』というタイトルのもと、さまざまな試みに挑戦するのだという。2013年から毎年行っている浅草公会堂での公演も7回目となるが、なぜ今回こういった作品をつくろうとしたのかを尋ねると「僕たちは旅公演が多いので、ひとつの場所に長くとどまることが少なく、その土地の方と密接に繋がるという機会もあまりありませんでした。だからこうやって毎年同じ場所(浅草公会堂)で公演ができることがとても嬉しいし、浅草の皆さんは公演を重ねるごとにウエルカムな雰囲気で迎えてくださって。公演時期はびっくりするくらい街を鼓童一色にしてくれるんです。そんな浅草という土地に僕たちも恩返ししたいですし、そろそろここで1度“浅草に挑む”じゃないですけど、覚悟を決めて取り組みたいと思いました」と、今回の試みは長い時間をかけた交流の積み重ねから生まれたものなのだと語る。浅草との交流は船橋自身の変化も生んだそうで「改めて(鼓童の拠点である)佐渡という背景がしっかり見えるグループになりたいと思いました。お客様が僕らの公演を観て“この演奏が生まれた土地に行ってみたいな”と思ってくだされば、よりいいなって。今までこういうことを考えることはあっても声に出したことはなかったのですが、浅草という土地や人に触れ、改めて自分たちのことを振り返ることができたのだと思います」タイトル『粋』は浅草の人々をイメージしたもの。「僕たちの表現ってどちらかというと“野暮”に近いと思うんです。だけど、目の前のことにまっすぐ向かうことが“粋”に繋がっていくといいなと思うし、それが僕たちにできる“粋”かなとも思います。それを浅草の方に観ていただいて、そこからまた何か生まれて、次につながればいいなと思っています」船橋が「4日間5公演という短い期間ですし、公演ごとに変化があってもいいんじゃないかな」と語る、ここだけのものになりそうな公演は6月27日(木)から30日(日)まで東京・台東区立浅草公会堂にて。取材・文:中川 實穗
2019年03月26日2018年にデビュー30周年を迎えた遊佐未森。記念ライブが9月に大阪と東京で開催されたが、その模様をDVD+CDのセット盤というパッケージでリリースされることになった。3月27日(水)に発表されるメモリアル作品『PEACH LIFE』について、遊佐自身に語ってもらった。【チケット情報はこちら】ライブを支えたのは遊佐の30年のキャリアを支えたゆかりの凄腕ミュージシャンたち。「長い活動の中で自分としても近しく感じている方々と一緒に作りたいという想いがありました」。バンマスにWatusi(b)、シリーズ・ライブ「cafe mimo」でもお馴染みの楠均(ds)、西海孝(g)はもちろん、松田文(g)、渡辺シュンスケ(key)という豪華な布陣が集結。そしてなんといっても注目はケルト音楽の重要バンド、ナイトノイズのメンバーだったトゥリーナ・ニ・ゴーネルをゲストに迎えたこと。「最初は“来てくれたらいいな”という夢みたいな感じだったんですけど、“今やらないと”って、“可能性があるんだったらトライしたい”という想いになって。電話したらふたつ返事で“行く行く!”って言ってくれて現実になった。本当に夢が叶った。(彼女の曲が)日本の中で認知されてお客様が喜んで聴いてくれていることに彼女自身すごく感激して涙を流していたくらいなので、いろんな感情を共有できて贅沢な共演でした」懐かしいナンバーや最新のTVアニメの劇伴曲を演奏した大阪公演の模様をCDに、トゥリーナとの共演やデビュー曲『瞳水晶』を遊佐がドラムを叩きながら歌うなど貴重なシーン満載の東京公演の模様をDVDに収めたセット盤。「ライブを演るにあたってファンの皆様に応援してくれた感謝の気持ちを最大限伝えたいという想いがあって、トゥリーナにも来てもらってるので、30年の節目にアルバムとして残せたということが嬉しい限りです」そして4月からは「cafe mimo Vol.19~春爛漫茶会~」も東京、名古屋、大阪、そして仙台で開催される。さらに7月7日(日)にはヒューリックホール東京で「30 th Anniversary Concert~PEACHTREE~」と題したアンコール公演も実現する。この作品に収められたミュージシャンが再集結するというから、新たな感動を生で体験できるはず。見逃すな。取材・文:浅野保志(ぴあ)
2019年03月26日シンガーソングライターの折坂悠太がワンマンライブの追加公演を5月30日(木)に東京・東京キネマ倶楽部で開催することが決定した。【チケット情報はこちら】独特な歌唱スタイルでありながら、普遍性を伴った楽曲と先鋭的な音楽的試みを取り入れ、2018年に大きな飛躍をみせた折坂悠太。そのタイトルからして時代性をまとったアルバム『平成』は、多くの業界関係者が称賛を寄せ、2018年を代表するアルバムとして多くの音楽リスナーの記憶に刻み、見事CDショップ大賞を受賞した。昨年末の東名阪で行われたアルバムリリースツアーも全公演完売となり、5月の東京・大阪2会場でのワンマンライブも即日完売。追加公演の開催が決まった。追加公演のチケット一般発売に先駆けて、オフィシャル先行を実施中。受付は4月1日(月)午前11時まで。■“折坂悠太 Oneman Live 2019”東京追加公演5月30日(木)東京キネマ倶楽部(東京都)開場19:00/ 開演 20:00料金:3,500円(前売/1ドリンク別)
2019年03月26日日本が誇るガール・ロックバンド、少年ナイフが「7月12日」を”ナイフ(712)の日”と定め毎年夏に開催している恒例の<712 DAY PARTY ツアー>が、今年も開催決定。2000年からスタートし、今年で20回目を迎える同イベント。今年は6月から7月にかけて、東名阪で行われる。【チケット情報はこちら】少年ナイフは、スタジオ収録作品としては2016年以来3年ぶりとなる待望のニューアルバム『スウィート・キャンディ・パワー』を6月5日(水)にリリース。同作は欧米でもリリースされ、5月に東欧を含むヨーロッパで”ALIVE! in Europe 2019 Tour"を開催。さらにスペインや英・スコットランドでのイベントへ出演、秋には北米・オーストラリアでのツアーと、まさに世界を飛び回る活動で、日本でライブを観られるのは貴重な機会となっている。チケットの一般発売に先駆け、オフィシャル先行を実施中。受付は4月1日(月)午後11時59分まで。■Shonen Knife presents 『712 DAY PARTY 2019~20th Anniversary~』6月30日(日) アメリカ村CLAPPER(大阪府)7月6日(土) 新代田FEVER(東京都)7月7日(日) 池下CLUB UPSET(愛知県)
2019年03月26日バックストリート・ボーイズが10月12日(土)・13日(日)に埼玉・さいたまスーパーアリーナ、16日(水)に大阪・大阪城ホールで6年ぶりの来日公演を行うことが決定した。全世界で1億4,000万枚(日本のみで3作ミリオン含む700万枚)を超えるトータル・セールス、3度のドーム・ツアーを含む計6度の来日公演通算動員70万人以上という圧倒的実績と長きにわたって高い人気を誇る史上最高のスーパー・グループ、バックストリート・ボーイズ。2018年4月にオリジナル・メンバーのまま結成25周年を迎え、今年1月には5年ぶりにプロモーションで来日。同月にリリースした5年ぶり通算9作目のオリジナル・アルバム『DNA』は18年ぶりに全米アルバム・チャート<ビルボード 200>で初登場1位、同アルバム収録シングル『ドント・ゴー・ブレイキング・マイ・ハート』が17年ぶりにグラミー賞にノミネートされるなど話題を集めている。3月27日(水)12時からの先行開始をお見逃しなく。■BACKSTREET BOYS DNA WORLD TOUR10月12日(土)さいたまスーパーアリーナ(埼玉県)開場 16:30 / 開演 18:0010月13日(日)さいたまスーパーアリーナ(埼玉県)開場 15:30 / 開演 17:0010月16日(水)大阪城ホール(大阪府)開場 18:00 / 開演 19:00★以下のリンクより「BACKSTREET BOYS」をお気に入り登録して、情報をゲットしよう!
2019年03月26日村上春樹の傑作小説を原作に、蜷川幸雄が演出を手がけた舞台『海辺のカフカ』。世界に誇る最強タッグによって生まれた本作は、2012年に初演、2014年に再演を迎え、2015年には世界5都市を巡るツアーを敢行して大きな話題を呼んだ。今年実現した再々演は2月のパリ招聘公演からスタートし、現地の観客から熱い賞賛を獲得。この5月には東京で、“ラストステージ”と謳う凱旋公演が行われる。「僕にとっても、カンパニーの皆にとっても特別な作品」と語るのは、主人公の少年カフカの分身のような存在で、彼を見守り、助言を与える謎の少年カラス役の柿澤勇人だ。初演から同役を演じ続けてきた柿澤に、作品への思いを聞いた。【チケット情報はこちら】「再演と今回のパリ公演で、海外の5か国を回る経験ができました。蜷川さんがつねに“世界に目を向けろ”とおっしゃっていたことが、ある意味実現できたように思います」。初演時の取材で、蜷川が柿澤について「整然とした芝居をするから、尖ったガラスの上を転がしてやりたい」と楽しげに語っていたことを思い出した。その話を向けると「その通りですね」と苦笑いが返ってきた。「初演の稽古は地獄でしかなかったです。よく生きてたなってくらい叩きのめされて。でも僕に限らず、蜷川さんの舞台を経験した役者は、埼玉の稽古場のあの独特の匂いを嗅ぐと、ああ~嫌だな~って思い起こすことがあるんですよ(笑)。今回ご一緒している岡本健一さんも僕の比じゃないほどボコボコにされたそうです。辛くて辞めたいと思うのに、なぜか蜷川演出を経験した人たちは芝居を続けていますよね。演劇の魔力に惹きつけられるようにして…」“地獄”の余韻が拭えぬまま、再演時は「もし“柿澤、いつまで経ってもヘタクソだな”って言われたら降板するつもりで」稽古場に入ったという。ところが…。「褒めてもらうばかりで、逆に恥ずかしい気持ちになって(笑)。でも“成長したな”と言ってもらえて、ホッとしたのを覚えていますね。心も自由になり、試したいことにも挑めました」そして巨匠亡き後、再々演の機会が訪れた。岡本や寺島しのぶなど蜷川演出を十分に体感してきた新メンバーも加わり、まずはパリの地で上々の評価を得ることができた。「パリのお客さんは細かいところまでじっくりと見てくれている印象で、本当に芝居が好きなんだろうなと感じました。千秋楽では、この作品をこのカンパニーで、海外で公演できるのは最後だろうな…と思ったり、原作者の村上春樹さんもスタンディング・オベーションしている姿を見たら、胸に来るものがありましたね。でもまだ東京公演があるので、最後まできっちりとやり遂げたいと思います」少年カフカの成長物語は、俳優・柿澤勇人のステップアップにつねに寄り添ってきた物語でもある。「ターニングポイントになった作品。終わった時に何を思うのかな」。彼が表すカラスに込められたメタファー、その集大成を見届けたい。公演は5月21日(火)から6月9日(日)まで、東京・TBS赤坂ACTシアターにて。取材・文:上野紀子
2019年03月25日6月14日(金)に東京国際フォーラム ホールAで開催される「オリンピックコンサート2019」。同公演に出演する藤巻亮太(レミオロメン)の歌唱曲が発表された。【チケット情報はこちら】東京2020大会まで、あと1年あまりと迫った6月14日(金)に、“輝く夢に向かって”をテーマに開催する今年のオリンピックコンサート。ゲストアーティスト藤巻亮太(レミオロメン)のスペシャルステージでは、大ヒット曲『粉雪』、民放テレビ局の北京オリンピック中継テーマソングとしてリリースされた『もっと遠くへ』、そして卒業ソングとして長く愛され歌い継がれている名曲『3月9日』の3曲を、80名を超えるフルオーケストラとの共演で披露する。また、今年はクラシック音楽の名曲のみならず、世界中から愛され続ける珠玉の映画音楽をはじめ、幅広い世代の方々にお楽しみいただけるバラエティに富んだ曲がラインナップ。大スクリーンに鮮やかに蘇る迫力のオリンピック映像と、名曲を壮大な響きで奏でるオーケストラとのコラボレーションで、オリンピックの理想と真の姿を表現するとともに、来るべき東京2020大会の輝きを展望する。チケットは、現在先行発売中。一般発売は3月30日(土)午前10時より。■オリンピックコンサート2019日時:6月14日(金) 開場 17:30 / 開演 18:30会場:東京国際フォーラム ホールA(東京都)《演奏曲目》オリンピック東京大会ファンファーレ(今井光也)オリンピック・マーチ(古関裕而)歌劇「運命の力」序曲(ヴェルディ)映画「E.T.」から“地上の冒険”(ジョン・ウィリアムズ)幻想序曲「ロメオとジュリエット」から(チャイコフスキー)映画「ミッション」からメインテーマ(エンニオ・モリコーネ)オリンピック讃歌(スピロ・サマラ)ほかキービジュアル「写真:ロイター/アフロ」※ステージ写真は過去の公演
2019年03月25日演劇集団キャラメルボックス『スロウハイツの神様』が、3月22日、東京・サンシャイン劇場で開幕した。辻村深月の同名小説を原作に、アパート“スロウハイツ”のオーナーである脚本家・赤羽環(原田樹里)と、住人の小説家チヨダ・コーキ(大内厚雄)、環の友人たちの共同生活が描かれてゆく。2017年に上演され、演劇好きのみならず、原作ファンからも高い評価を得た作品だ。【チケット情報はこちら】劇団史上最短での再演というが、観るとその理由に納得がいく。まずは初演時、SNSを中心に好評価が広まっていただけに、「観たかった!」という人のニーズを叶えていること。特に初演時は東京公演のみだったものの、今回は大阪公演も。待ちわびていた人も多いのでは?また、原作はもともと群像劇の要素が強い。環とコーキだけでなく、画家志望のすみれ(小林春世)、漫画家の卵である壮太(玉置玲央)、映画監督を目指す正義(松村泰一郎)らクリエイターへの夢を持つスロウハイツの他の住人たちとの関係性が、作品の印象に大きく影響してくる。初演時とほぼ変わらないキャストでの再演が叶ったことから、俳優陣のコンビネーションも強固なものとなり、会話もより自然なものに。もしかしたら中盤までは、初演よりもさらに静かな印象を受けるかもしれない。ただ重要なのは、この作品は彼らの何気ない会話ひとつひとつが見事な伏線となっているということ。スロウハイツでの生活のリアリティが増していることで、後半にやってくる“怒涛の伏線回収”の効果が増している。今作は“人と人との物語”であるのは当然だが、上質のミステリーでもあるのだ。ひとつの大きな謎が解けた後にもっと大きな謎の秘密が明かされ、観客に畳み掛けられていく構造の見事さ。しかもパズルのピースひとつひとつは、登場人物たちの“想い”だ。だから初演を観た観客は、記憶が新しいうちにこの再演を観られるのはとても幸運なことなのではないだろうか? 1度観たときには気がつけなかった、別の感動が訪れるはず。かつ、演出の成井豊によればこの再演では新たなシーンが追加されているとのこと。初見の観客も、ある意味“決定版”を観られるというわけだ。どうしても長編原作を舞台化する際にはカットせざるをえないエピソードが出てしまうものだが、今回は平日公演の開幕前に原作内のエピソードが短編演劇として上演される試みも。原作ファンとしてはたまらないし、その後の本編がより深く楽しめるような仕掛けになっている。小説の舞台化では定評のあるキャラメルボックスだが、こんなにも“幸せな舞台化”は珍しいのではないだろうか? 待望の再演、ぜひその機会を逃さないで欲しい。公演は3月31日(日)まで東京・サンシャイン劇場、4月5日(金)から7日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。取材・文:川口有紀※「辻村深月」の「辻」は二点しんにょう
2019年03月25日ジョビジョバの新作ライブ『LET’S GO SIX MONKEYS』が、4月27日(土)より、東京・品川プリンスホテル クラブeXで上演される。そこで構成・演出も務めるリーダーのマギーに、ライブにかける想いを聞いた。【チケット情報はこちら】マギーと福田雄一によるコントユニット・U-1グランプリ『ジョビジョバ』(2014年)での再集結を機に、前作『Keep On Monkeys』(2017年)で再起動を果たしたジョビジョバ。15年もの活動停止期間を経て、再び6人でスタートを切るに至った、そのエネルギーの源とはいったい何だったのか。「この6人で、自分たちが面白いと思うことを発信するってスタイルが、やっぱりすごく楽しかったんですよね。それが1番前にきて、その後ろも特にないっていうか(笑)」メンバーの長谷川朝晴、坂田聡、六角慎司は活動停止後も俳優業を続けてきたが、木下明水と石倉力は引退。そんなメンバーの変化は、マギーの中で6人それぞれのポジションをより明確にしたようだ。「やっぱり俺がすごく頼りたいのは坂田と長谷川で、六角は“お前の出来ることだけでいいよ”と。で、明水と石倉は“お前ら素人なのに面白いなー”みたいな。あくまで“俺の好きな君でいてください”くらいのオーダー(笑)。そういう環境が、以前と違う楽しさや面白さに繋がってるのかもしれません」そんな6人がつくる、“今だからこそ出来る笑い”とは?「今の自分たちのおかしみや切なさ、大変さとか、いわゆる“この人が透けて見えるから面白い”みたいなこともやれるようになってきて。前回は、長谷川が大河ドラマで伊達政宗役をやっていたので、それを長谷川の親父がすごく自慢しているってネタをつくったんです。そういうドキュメント性のある笑いに、20代では出せなかった説得力が出てきたというか。今は“おじさんの哀愁”みたいなものが、ただぼんやり立っているだけで滲んでくるようになってきた。単に年を取っただけとも言えますが(笑)、それは今の俺らの強みに変えていけると思っています」前回公演のチケットは即完。今回も購入前から諦めの声がちらほら聞こえてくるが…。「いやいやいや! 今回は公演数も増やしましたし、逆に埋まるのか?って不安も…(笑)。新しいお客さんにも観てもらいたいですしね。他の作品を観た時の“ちょっと面白いおじさん”って感想を、“スゲー面白いおじさん!”に変える自信はあります。“ジョビジョバ営業中”の札を掲げてお待ちしていますので、ぜひ劇場に遊びに来てください!」取材・文:野上瑠美子
2019年03月25日仲道郁代が昨年から10年計画で進行中の壮大なプロジェクト「Road to 2027 ベートーヴェンと極めるピアノ道」。その第2回が5月26日(日)に東京・サントリーホールで開催される。【チケット情報はこちら】「ベートーヴェンが音楽で問うたものを、これから10年間の自分の進む道として、私自身にも問い直していきたい」。これまで幾度かベートーヴェンのソナタ全曲演奏に取り組んできた彼女。今回は各回ごとにテーマを定め、ベートーヴェンのソナタを軸に、他の作曲家との関連の中で、ベートーヴェンの音楽、そこに描かれた哲学を見つめ直す。「Road to 2027」を冠としたプロジェクトは、並行して毎秋に開く、ピアニズムを極めることを目的とするリサイタル・シリーズとの2本を柱としている。「2027年」はベートーヴェン没後200年であり、仲道の活動40周年でもある。5月はピアノ・ソナタ第8番《悲愴》を軸に、ブラームスの8つの小品Op.76とシューベルトのソナタ第19番を弾く。テーマは「悲哀の力」。「悲哀」だけなく、「力」と入れたのには理由がある。「悲哀は、作曲家から生み出される時、ただ“悲しい”では終わらないんです。彼らの作品が、私たちにとっては次なる生きる力になる。強い意志や、シューベルトのように悲哀の先にある透明な美しさを感じさせてくれる。それらを受け入れることで、悲哀が力に変わるのです」ベートーヴェンは彼女のライフワーク。きっかけは2002~2006年、彩の国芸術劇場で行なったソナタ全曲リサイタルだった。作曲家の故・諸井誠とのレクチャー・コンサートという形式の中で、彼女自身、諸井から計り知れないほど多くのことを学んだ。「音符を読むということの本当の意味、それをどう生きた音にしていくのかを教えていただきました。あの経験がなかったら、今頃、私というピアニストがいたかどうか」「ピアノ道を極める」といっても、ストイックな修行ではない。「ストイックというと、ピアノを弾くこと以外を振り払うようなイメージ。私の人生はそれと逆で、諸井先生に学び、ピリオド楽器に興味を持ち、演劇の表現芸術からも刺激を受けてきた。自分の音につながると思うあらゆることを好奇心旺盛に吸収してきました。それらの蓄積の上で、音楽家としてこれからはどうありたいのか。それを見据えながら演奏活動をしていきたいというのが、この10年です」7月14日(日)には、やはり昨年から始めた「仲道郁代ピアノ・フェスティヴァル」の第2弾も(東京芸術劇場)。仲道と、横山幸雄、菊池洋子、實川風、松田華音、藤田真央という日本のトップ・ピアニスト6人が勢揃い。超絶技巧編曲による名曲の数々を、前半は2台ピアノ、後半は5台ピアノ(!)で弾きまくる。「昨年の第1回は、出演したピアニスト全員、もう、戦いのようでしたよ。参戦、という感じです。かっこいいコンサートですよ。すごく楽しいと思います!」というピアノの夏祭り。こちらも見逃せない!取材・文:宮本明
2019年03月25日宝塚歌劇団月組のグランステージ『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』、レビュー・エキゾチカ『クルンテープ 天使の都』が3月15日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。宝塚歌劇月組 グランステージ『夢現無双 -吉川英治原作「宮本武蔵」より-』/レビュー・エキゾチカ『クルンテープ 天使の都』チケット情報『夢現無双』は吉川英治のベストセラー小説をもとに、天下無双を誇る剣豪・宮本武蔵の生き様を、彼を慕い続けるお通との恋を交えて描いた物語。関ヶ原の戦に勝利した徳川家による治世が始まった頃…。作州宮本村に生まれた新免武蔵は、“天下無双”の剣豪を目指す猛々しい若者であった。己の強さに奢り、殺める剣しか知らぬ武蔵の行く末を案じた僧侶の沢庵は、名を宮本武蔵と改め、心身を研鑽する旅に出るよう諭す。旅に出た武蔵が、さまざまな人と出会い、剣の腕はもちろん人間としても成長していく姿が描かれている。武蔵を演じるトップスター・珠城りょうの、どっしりとした存在感がぴったり。見た目も心も粗野で血気盛んな武蔵が徐々に洗練されていく様を、丁寧に作りこんでいる印象だ。美弥るりかが扮する佐々木小次郎も、匂い立つような美しさと繊細さがイメージ通り。キャラクターの対比が際立っているのも、珠城と美弥のふたりならでは。武蔵と小次郎が対峙するラストシーンも見ものだ。お通を演じる新トップ娘役・美園さくらも、武蔵を想い続ける一途で愛らしい女性を好演。互いに想い合いながらも近づけない様がもどかしい。さらに、月城かなとが演じる武蔵の幼なじみ・又八のダメっぷり、暁千星(あかつきちせい)が演じる武蔵と手合わせする吉岡道場の当主・吉岡清十郎の貫録ある佇まいなど、多彩なキャラクターを、月組生が個性を活かしながら演じている。第2幕の『クルンテープ』は、南の楽園・タイの首都バンコクを舞台にしたエキゾチックなレビュー。きらびやかで神秘的、オリエンタルなムードのシーンが次々と展開されていく。公演は4月15日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、東京公演は5月3日(金)から6月9日(日)まで東京宝塚劇場にて上演。東京公演のチケットは3月31日(日)発売開始。取材・文:黒石悦子
2019年03月22日人気落語家・柳家喬太郎の新作落語を初めて舞台化した『ハンバーグができるまで』が3月20日に開幕し、東京・博品館劇場にて上演中だ。舞台には渋川清彦、馬渕英里何にくわえ喬太郎本人も出演。脚本・演出は劇団「ペテカン」の本田誠人が手掛ける。【チケット情報はこちら】まず舞台上に用意されていたのは高座だった。開演時間になると出囃子が流れ、落語家・柳家喬太郎が登場する。そこで始まるのは、落語同様“まくら”だ(喬太郎のまくらは落語ファンに人気が高いもの。ぜひ注目を!)。そして喬太郎の話に夢中になってきた頃、突然その世界が舞台として動き始めるのは爽快だった。物語の中心にいるのは、渋川演じるマモル。舞台となる商店街には結婚前から住んでおり、馬渕演じる元妻サトミとは3年前に離婚している。今は再びひとりで暮らすマイペースな男だが、商店街を歩けばあちこちから「マモルちゃん!」と声をかけられ、その都度律儀に応えるような人物だ。そんな彼が暮らす“押付商店街”は、その名の通り“おせっかい”で個性豊かな人たちがいる場所。米屋や野菜屋、肉屋、スーパー、スナックとたくさんの人間が登場するが、ちょっとしたやり取りにひとりひとりの人生が映し出されていて、そこを知っていくうちにいつしか自分もこの商店街を知っているような気になるのが不思議だ。そんな商店街の人々のほとんどは「ペテカン」劇団員が演じており、劇団で培われたテンポのいいやり取りは落語の調子を彷彿させる。そこにヌルっと独自のペースで入っていくマモルは、渋川ならではの絶妙さだ。ちなみに商店街のメンバーには、今や「ペテカン」とは阿吽の関係の喬太郎もいるのだが、どんな役かはお楽しみに。意外なはまり役を抜群の演技力でみせる。落語にはない展開もさまざまに盛り込まれている本作だが、そのなかでもマモルとサトミの物語は原作から深く掘り下げられていた。そこには20代から30代を恋人そして夫婦として過ごし別れた男女の気持ちや状況の変化が生々しく描かれており、それを渋川と馬渕が繊細に豊かに演じる。そんなふたりの行く先の“落ち”のつけ方は落語だからこそともいえるもので、印象的だった。8人の登場人物による約25分の噺が、舞台では18人の登場人物による約2時間30分の物語に仕上げられている。それだけ広げていても後味は落語『ハンバーグができるまで』と同じものになっているのがおもしろい作品。原作ファンもぜひ楽しみにして劇場に足を運んでほしい。バンド「In the Soup」のボーカル&ギター・中尾諭介による主題歌もやさしい舞台『ハンバーグができるまで』は3月24日(日)まで東京・博品館劇場にて上演中。取材・文:中川實穗
2019年03月22日創立97周年を迎えたOSK日本歌劇団「レビュー春のおどり」が3月28日(木)から東京・新橋演舞場、4月13日(土)から大阪・大阪松竹座で上演される。今回、トップスターとしてお披露目される桐生麻耶(きりゅう・あさや)に、合同取材会で意気込みを語ってもらった。【チケット情報はこちら】本公演は、第1部が“祭り”を主題に日本のさまざまな和の踊りを見せる『春爛漫桐生祝祭(はるらんまん きりゅうのまつり)』。大阪の天神祭の天神囃子、沖縄全島エイサーまつり、青森のねぶた祭をミックスするなど、熱気あふれる和物のレビューだ。第2部が『STORM of APPLAUSE』と題した洋物のレビューで、桐生のオリジナルソロ曲から始まり、ベートーベンの「運命」をモチーフにした激しいダンスが見ものになっている。振付のKAORIaliveが初参加するなど、また新しいOSKレビューが見られそうだ。新トップスターの桐生は、1997年にOSKに入団。劇団解散の危機を乗り越えて、舞台に立ち続けてきた。「毎回ありがたいと思うが、それと同時にどこか怖いと感じる自分もいる。来年はどうなるのだろうか、今年が最後にならないようにしっかり頑張らないといけない」と気を引き締める桐生。2022年に劇団創立100周年を迎えるが、「今まで繋いできてくださった先輩方のことを思うと、何という時期に私たちは存在できたのだろうと。1日1日、自分たちの芸事に真摯に向き合って、結論として100周年を迎えることができたら一番いいと思っている」と語り、謙虚な姿勢を崩さなかった。楊琳(やん・りん)、虹架路万(にじかけ・ろまん)、愛瀬光(まなせ・ひかる)らを中心に後輩たちにも支えられているといい、桐生は「お父さんのような気持ち」と笑う。「みんな舞台が好きでOSKに入団したと思う。その気持ちを失わないように、いつでも原点に戻ることができるように、自戒も込めて、そうであってほしい」と期待を込めていた。本公演の見所について、桐生は「群舞の力を楽しみにしていただきたい。シックな場面よりもエネルギッシュな場面が得意な劇団だと思うので、そこは惜しみなく楽しんでほしい」と語り、「年に1度しかない『春のおどり』。劇団員一同、本当に心を込めてお届けしたいと思っているので、ひとりでも多くの方に見ていただけたら。精一杯頑張りますので、ぜひ見にいらしてください」と締めくくった。東京公演は3月28日(木)から31日(日)まで、東京・新橋演舞場にて。大阪公演は4月13日(土)から21日(日)まで大阪・大阪松竹座にて。チケットは現在発売中。文・五月女菜穂
2019年03月22日39年目を迎えるブロードウェイミュージカル『ピーターパン』が、今年も7、8月に上演される。2017年に弱冠13歳で10代目ピーターパンとして初舞台を踏み、今回で3度目のピーターパン(以下、ピーター)を務める吉柳咲良に話を聞いた。【チケット情報はこちら】「長く上演され続けている『ピーターパン』の良さを私で途切れさせちゃいけない」と真っ直ぐに語る吉柳。「1年目よりも2年目、2年目よりも3年目だと思っています。技術面ももちろんですが、これまで以上に役を深め、座長として周りを引っ張っていける存在、安心感のある存在でいたい。だから自分自身も大人にならなきゃいけない」と意気込む。13歳だった座長は上演を重ねるごとに自覚が芽生え、この2年で「精神的に強くなった」と語る。ピーターという役柄も「歌も台詞の言い方も“これだ”という自分の中の正解を導き出せるようになってきた」と3年目ならではの言葉。ピーターの印象も変わってきており、「初めて演じたときは“無邪気な子供”だと思っていたのですが、2年目で、子供だけれども“ただの子供”ではないなと思い始めて。3年目の今回、ピーターのことをもっと理解できたらいいなと思っています」。物語の捉え方も変化した。「最初は“ピーターパンがいて、ネバーランドがあって、ウェンディーにお母さんになってほしくて連れてきたんだけど帰っちゃう、悲しい”って純粋に受け止めていたのですが、もっと深いお話なんだと思うようになりました。子供のまま成長し続けるピーターパンと、大人に成長していくウェンディーと、大人なんだけど成長しきれてないフック船長。その3人の違いってなんだろうと思ったりします」演出を手掛けるのは、今年も藤田俊太郎。「藤田さんとは役についてよくお話しします。“ピーターパンって子は本当にこうだろうか?”という疑問に対して、答えではなくヒントをくれるので、本番までに正解をみつけたいって思います」と、二人三脚で役を深めている。舞台で演じていて感じるのは「熱気」。「フック船長と戦うシーンで“がんばれ!”って声が聞こえてくるとすごく嬉しいし、力になります。飛んでいるときに下から見上げてくれる子供たちの憧れの目線も嬉しいです!」ピーターとしても女優としても3年目を迎え、「いろんな役ができる女優になりたいと思っていたけど、これは簡単なことじゃないぞと気付きました」と日々進化していく吉柳の新たなピーターを見られる公演は、7月21日(日)から28日(日)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場 大ホール、8月2日(金)から5日(月)まで神奈川・カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化センター)ホールにて上演。名古屋・大阪・富山公演あり。ぴあでは3月24日(日)午前11時より、埼玉は1階10列目以内、神奈川公演は1階12列目以内の中央ブロックの指定席限定で、妖精の粉付の先行先着を実施。
2019年03月22日ぴあ株式会社は、音楽フェスやコンサートなどのエンタテインメントのチケットを返礼品とする、ふるさと納税“コト返礼”の収納代行業務を開始。第1弾として、6月1日(土)・2日(日)に、静岡・吉田公園特設ステージで開催される音楽フェス「頂 -ITADAKI- 2019」において、入場チケットを、開催地である静岡県吉田町へのふるさと納税の返礼品として取り扱うことが決定した。ふるさと納税とは、出身地や応援したい自治体に寄附ができる制度のことで、手続きを行うと、所得税や住民税の還付・控除が受けられる。また、自治体からお礼の品がもらえることでも話題だが、今回はその返礼品が自治体の特産品や生産物などの「モノ返礼」ではなく、自治体で開催されるイベントに参加する「コト返礼」とする取り組み。今年で12年目を迎える「頂 -ITADAKI- 2019」にはKing Gnu、BRAHMAN、The Birthdayなどが出演。ふるさと納税の申込みは3月30日(土)午前10時より開始。気になる方は公式サイトでご確認を。■頂 -ITADAKI- 2019日時:6月1日(土)・2日(日)会場:静岡県吉田公園特設ステージ(静岡県)出演:King Gnu / BRAHMAN / The Birthday / 渋さ知らズオーケストラ / GOMA&he Jungle Rhythm Section / サンボマスター / ORIGINAL LOVE / never young beach / スカート / Rickie-G feat.PJ / D.A.N. / SPECIAL OTHERS / and more…
2019年03月22日8月25日(日)に長崎市稲佐山公園野外ステージで開催される野外ロックフェス、Sky Jamboree 2019。今年で21回目を迎える本フェスの第1弾出演者が発表された。【チケット情報はこちら】今回発表されたのはストレイテナー、ORANGE RANGE、THE ORAL CIGARETTES、GLIM SPANKY、tetoの5組。同フェスは海と山に包まれた稲佐山という広大なロケーション、スタンディングエリアと傾斜になった芝生エリアで1日中音楽を満喫できる。チケットの一般発売は6月22日(土)10時より開始。また一般発売に先駆けて、エフエム長崎にて先行を実施。3月29日(金)9時からエフエム長崎番組内、及び3月30日(土)10時から4月4日(木)23時59分までSkyJamboreeオフィシャルwebサイトにて受付。■Sky Jamboree 2019 ~one pray in nagasaki~日時:8月25日(日) 開場10:00開演11:00会場:長崎市稲佐山公園野外ステージ ※雨天決行(荒天の場合は中止)出演:ストレイテナー / ORANGE RANGE / THE ORAL CIGARETTES / GLIM SPANKY / teto / and more
2019年03月22日『機動戦士ガンダムSEED』以来350本以上のテレビアニメを放送し数多くの名作を世に送り出し、また関西で『オールザッツ漫才』、『歌ネタ王決定戦』などの芸人が出演するバラエティー番組を放送してきたMBSが、新たなプロジェクトの始動を発表。声優×二次元芸人による「GETUP(ゲラ)! GETLIVE(ゲラ)!」の1st リーディングLIVEが5月18日(土)に日本教育会館一ツ橋ホールにて開催される事が決定した。【チケット情報はこちら】本プロジェクトは、声優が芸人の役を演じて、実際にイベントで漫才やコントのリーディングライブに挑戦する新たな試み。本作の企画として実際のネタ作り、監修に携わるのはアニメとお笑いの合体イベントを多数手がけている芸人、天津の向。世界観を設計し、キャラクターのドラマに命を吹き込むのは、『やはりおれの青春ラブコメは間違っている』『ガーリッシュナンバー』などで、注目を浴びる若き俊英渡航。キャラクターデザインは「アニメイトガールズフェスティバル(AGF)」のマスコットキャラ、メインビジュアルや『ラッキードッグ1』など、ダーティーで力強い魅力溢れるキャラクターを描きだす由良。そして、彼らが生み出した二次元芸人を演じるのは、実力派の声優たち。ずぶずぶ共依存な幼馴染コンビ≪スターダスト≫のなんでも無難にこなす聖人君子・上原役を花江夏樹。相方の陰湿卑屈な天邪鬼・東沢役を演じるのは西山宏太朗。ちぐはく凸凹コンビ≪菊一文字≫の悩み続ける青春進行形・町田を演じるのは豊永利行。その相方は、身内にだけは優しいつまんない奴絶対殺すマン・大野を石川界人が演じる。芸人という新たなステージで、リーディングライブにチャレンジする声優たちはどのような姿を見せてくれるのか。現在、チケットぴあでは最速先行を実施中。受付は3月31日(日)23時59分まで。■GETUP! GETLIVE! (ゲラ ゲラ) 1st リーディングLIVE日時:5月18日(土)【昼の部】開場 14:30開演 15:00【夜の部】開場 18:00開演 18:30会場:日本教育会館 一ツ橋ホール(東京都)料金:全席指定 5,800円(税込)※未就学児入場不可
2019年03月20日シンガーソングライターの須澤紀信が自主企画ライブイベント「キシン伝心 Vol.1」を3月9日に下北沢CLUB 440で開催。TBSラジオのレギュラー番組と同タイトルを名付け、ラジオさながらのたっぷりのトークと趣向を凝らした歌の数々で観客を楽しませた。【チケット情報はこちら】普段から敬愛するシンガーソングライターをゲストパートナーに迎え、この日限りの音楽ユニットでそれぞれの持ち歌によるセッションや影響を受けたアーティストのカバーなどを繰り広げる、1月26日に開催されたVol.0に続き今回2回目となる本イベント。オープニングナンバーは、1stシングル『はんぶんこ』のアコースティックギター弾き語りからスタート。須澤の透き通った優しい歌声に観客はうっとりと聴き入った。続いてこの日のゲストパートナーであるピアノ弾き語りのシンガーソングライター坂本タクヤをステージに迎え入れ、ここからはお互いが生まれ変わりたいものから命名したという“生イルカメロン”とのユニット名でセッション。坂本の最新ミニアルバムに収録の『日々』をコラボし、坂本は心をこめたハイトーンボイスによる甘い歌声で観客を魅了した。ミニアルバム表題曲の「帰ろうか」では、須澤がバイオリンで参加し、美しい音色を聴かせた。また、須澤の1stアルバム『半径50センチ』から『いいんだよ』も演奏し、ふたりで美しいコーラスを響かせた。影響を受けたアーティストを紹介するコーナーでは、須澤が「すべての楽器をレコーディングするセルフプロデュースで憧れている」という斉藤和義の『空に星が綺麗』や、坂本が「歌を始めたきっかけ」という中孝介の『花』をふたりで歌い上げた。観客のアンケートに答えるコーナーもあり、「過去と未来に行けるとしたらどっち?」や「自分自身で変えたいところは?」など、多くの質問に回答。息の合ったふたりの軽快なトークに会場は爆笑の渦になった。最後は、須澤が坂本をイメージして書き下ろしたという、生イルカメロンの唯一のオリジナルソング『アソート』を披露。本作は「タクヤさんがラブソングをあまり書かないので」という理由から須澤が制作したラブバラード。ふたりの温かく包み込むような歌声に拍手喝采となり、須澤の自主企画イベントは大成功で幕を閉じた。今後のコンサートは、5月18日(土)渋谷RUIDO.K2での2ndワンマンライブ「~ボクの街、キミの街~」が決定している。今回の「キシン伝心」の、人となりや内面にフォーカスを当てたアットホームなイベント内容とは別の側面である、須澤が音楽に真摯に向き合う姿をバンドサウンドで魅せる、エネルギッシュなステージになるという。「この5月という季節は出会いや別れがあり、新しい生活が始まり、その後にちょっとホームシックになったりもするタイミング。地方から上京組の僕だからこそ、そんな心に寄り添える歌も歌ってみたい」と須澤が語るように、この日のために新曲を鋭意制作中。このワンマンライブに足を運び、“須澤ワールド”にどっぷり浸ってほしい。チケットは発売中。取材・文:門 宏
2019年03月20日