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東京都江戸東京博物館で初の試みとなる、館蔵浮世絵コレクションによる特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」が4月24日(土)から6月20日(日)まで開催される。本展の主役は、風景画で双璧をなす葛飾北斎と歌川広重。見どころの一つは、北斎の代表作「冨嶽三十六景」の全点展示だ。展覧会の前半では、冨嶽に至る天才絵師・北斎の20歳代後半から60歳代までの挑戦を作品から辿っていく。一方、冨嶽が刊行した当時、広重は30歳代後半だった。その頃はヒット作のない絵師だった広重だったが、北斎に触発され、広重の自分らしい風景画への挑戦が始まる。後半では風景画の中心を担う浮世絵師へと成長していく過程で広重が生み出した「東海道五拾三次之内」シリーズや、北斎の没後、彼を越えようとする飽くなき挑戦が伺える「名所江戸百景」シリーズ、さまざまな富士を描いた「富士見百図」を展示。さらに広重が愛用した煙草入れなどの貴重な遺品や、生涯93回も引っ越しをした北斎の暮らしぶりを再現した「北斎の画室模型」も展示される。北斎と広重それぞれの挑戦と、その結実である名作の数々を展示する特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」。現在は当日券よりもお得な前売り券が発売中となっている。特別展「冨嶽三十六景への挑戦 北斎と広重」4月24日(土)~6月20日(日)会場:東京都江戸東京博物館 1階特別展示室開館時間:9:30~17:30 ※入館は閉館の30分前まで休館日:毎週月曜日(ただし4月26日、5月3日は開館)
2021年03月23日今年は聖徳太子の薨去(こうきょ/皇族、または三位以上の貴人の死去)から1400年に当たり、4月10日(土)から5月11日(火)まで、大阪府南河内郡太子町にある磯長山 叡福寺(しながさん えいふくじ)で「聖徳太子1400年御遠忌大法会」が行われる。叡福寺は、四天王寺、法隆寺と並び太子信仰の中核となった寺院で、七堂伽藍と寺宝を多数有する。聖徳太子が622年(推古30年)に薨去後、母・穴穂部間人(あなほべのはしひと)と妃・膳部大郎女(かしわべのおおいらつめ)と共に埋葬された霊廟を現在まで守り続け、日本の仏教の聖地とも言われている。期間中は、さまざまな宗派による大法要をはじめ、雅楽演奏、献茶式、献華式などの奉納行事が行われる大法会。前回は1921年(大正10年)4月、「聖徳太子1300年御遠忌大法会」。まさに100年に1度の大事業である。「聖徳太子1400年御遠忌大法会 叡福寺 特別拝観」チケット情報叡福寺では奉納行事の一環として、4月10日(土)に東儀秀樹による雅楽奉納、5月9日(日)には野村萬斎らの狂言『太子手鉾』と、人間国宝のシテ方観世流・大槻文藏らによる新作能『聖徳太子』が奉納される。新作能は、作家・竹田真砂子が医師を志す青年と聖徳太子と母・妃との対話を軸に描き、大槻文藏の監修・演出・節附で2年がかりで制作。作品は、日本書紀を基本に太子の功績を盛り込みながら、コロナ禍を生きる現代人にも通じる物語となっている。これらは寄進者招待で締め切られ、一般の参加はできない。が、観劇を希望する声も多く、後日に動画配信などでの観劇に期待を。ほかの奉納行事は、期間中誰でも拝観することができる。また一般向けに、貴重な建造物と宝物の特別拝観を実施。金堂(府指定文化財)、聖霊殿(重要文化財)、宝蔵、絵伝の4か所を拝観できる特典付きだ。太子堂とも呼ばれる聖霊殿は、桃山時代末期の建築様式を持ち、聖徳太子16歳植髪等身像と南無仏太子2歳像が祀られている。金堂に祀られているのは、如意輪観音座像に弘法大師作と伝わる不動明王と愛染明王など。聖霊殿も金堂も通常は入ることができないが、今回は特別に拝観可能。さらに、南北朝から室町時代に製作された秘蔵の「聖徳太子絵伝」全8幅も公開される。太子生涯の伝記が大画面で色鮮やかに描かれた名品で、1か月間もの長期展示は貴重だ。1054年(天喜2年)に出現した太子の予言書「聖徳太子御記文瑪瑙(めのう)石」など、所蔵の寺宝が展示される宝蔵は通常も有料で拝観できるが、この機会にぜひ。特別拝観券の引換券は発売中。取材・文:高橋晴代
2021年03月22日新時代を牽引するダンサーが集結する、熊川哲也 Kバレエ カンパニー Spring 2021『白鳥の湖』。昨年1月、同演目にてプリンシパルに昇格したジークフリード役の山本雅也にその魅力を尋ねた。芸術監督の熊川による演出・再振付で2003年に初演され、レパートリーとなった本作。今回は、オデット / オディール役に新プリンシパルとして1月に入団した日髙世菜のほか、小林美奈、成田紗弥、毛利実沙子、ジークフリード役に堀内將平、石橋奨也、髙橋裕哉、ロットバルト役に栗山廉、杉野慧、西口直弥、グレゴワール・ランシエもキャスティングされている。熊川が「Kバレエ カンパニーは世代交代という大きな転換期を迎えました」と述べるように、次世代に託された期待は大きい。初日を約2週間後に控え、稽古に明け暮れる山本自身も「キャストが全員20代なので、熊川ディレクターは僕たちの年齢に合わせた演出を意識している気がします」と自覚がある様子。具体例を聞くと「30代なら大人の風格が醸し出されるポイントで、こう……フレッシュに?」と若さを前面に押し出した上半身の動きを実践しつつ、「初役だった去年から進化した姿をお見せできたら」と意気込む。クラシックバレエの代名詞といえる定番を、熊川は再構成。白鳥オデットと出会って恋に落ちる高揚感、黒鳥オディールに翻弄された挙げ句の絶望など、山本らが演じるジークフリードの心の軌跡を主軸に置いたストーリーテリングが、熊川版の最たる特徴といえるだろう。なお、この熊川版『白鳥の湖』を小説化するアートノベルが開幕に合わせて刊行されるが、王子の感情を丁寧に描くことはどんな劇効果を生み出すのか──。そう問いかけると、山本は「物語の“運び手”であるジークフリードの感情の起伏が伝わるほど、観客の皆さんに緻密かつ説得力ある人間ドラマが届けられると思うんです」と即答。アートノベルの王子像が「初役の時に自分が想像して演じようとしたキャラクターと似ていたんですよね」と続き、役づくりの舞台裏を明かす。昨年、ジークフリードを演じ終えた直後のカーテンコールで熊川からプリンシパル昇格を告げられた山本。客席からも祝福されたサプライズ任命は「3位入賞したローザンヌ国際バレエコンクールで熊川ディレクターと初めてお会いした瞬間(2013年)と重なり、今までのバレエ人生がフラッシュバックしました」と振り返るほどだった。今回はどのようなパフォーマンスで観客を楽しませてくれるのか、本番を見届けたい。公演は、3月24日(水)~28日(日)に東京・Bunkamura オーチャードホールにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年03月19日5月1日(土)、大阪・服部緑地野外音楽堂にて『GREENS presents 百歌繚乱 - NO LIVE , NO GREENS -』が開催される。「GREENS presents 百歌繚乱 - NO LIVE , NO GREENS -」チケット情報せっかくのゴールデンウィーク、どこか遠出したいけどなかなか難しいなぁと思っている方!美しい新緑に囲まれた服部緑地野外音楽堂に色とりどりの歌をうたうバンドマンが集結!!出演は、黒川侑司(ユアネス)、佐々木亮介(a flood of circle)、柴田隆浩(忘れらんねえよ)、千野隆尋(GOOD ON THE REEL)、伊丸岡亮太(GOOD ON THE REEL)、寺口宣明(Ivy to Fraudulent Game)、PON(ラックライフ)、Yurin(サイダーガール)。MCはテッペイマツイ。素敵な思い出を作りに出かけてみては。チケットは、4月10日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、3月19日(金)10:00から25日(木)11:00までオフィシャル先行受付中。
2021年03月19日新型コロナウイルスの感染拡大により2020年6月より2021年3月27日(土)に開催が延期となっていた「辻本玲チェロ・リサイタル」の開幕がいよいよ近づいてきた。辻本玲は、近年充実した演奏活動を見せている実力派のチェリストだ。2019年のリサイタルで は各地で早々に完売、5月にはキングレコードよりデビューアルバム「オブリヴィオン」(ピアノ:須関 裕子)をリリースし、音楽誌「レコード芸術」にて特選盤に選出されるなど、高い評価を得た。森山涼介、高木慶太、市寛也という旬のチェリスト達とともに「クァルテット・エクスプローチェ」を結成、全国でコンサートを展開するなど、チェロ・アンサンブルの活動にも力を注いでいる。2020年12月にNHK交響楽団に首席チェロ奏者に就任し、名実ともに日本を代表するチェリストとして、活躍の場をますます広げている。オーケストラでの演奏が増えている辻本だが、毎年、東京・大阪・名古屋にてセルフ・プロデュースのソロ・リサイタルを開催している。東京公演の会場はトッパンホールだ。約400席の親密な空間、クリアな音響が特徴で、室内楽を演奏するのに高い評価を得ている。その音響は世界中のアーティストに愛されており、辻本が奏でる伸びやかな音色を味わうのに最適な空間と言えるだろう。今年のプログラムは、グリーグとカサドのチェロ・ソナタ、そして生誕100周年を迎えるピアソラの代表作を中心にすえたチェロ名曲集となる。「ル・グラン・タンゴ」はピアソラが名手ロストロポーヴィチのために、つまりピアソラが最初からクラシック演奏家のために作曲した作品として知られている。かねてよりピアソラ演奏に定評のある辻本がどのような表現を聴かせるかに期待が膨らむ。グリーグのチェロ・ソナタ作品36は、北欧らしいドラマティックな美旋律にあふれたロマンティックな名曲。辻本玲が最も愛する作曲家の一人であるブリテンは、チェロのために非常に重要な作品を残しており、今回とりあげるチェロ・ソナタ作品 65は、ソロ楽器としてのチェロが行き着いた極限のひとつと言えるだろう。また、前半にはベートーヴェンがモーツァルトの主題を使用した愛らしくもドラマティックな変奏曲を、後半にはまるでフラメンコのように情熱的なカサドの「親愛なる言葉」を選曲した。18世紀後半のベートーヴェンから20世紀のピアソラまで、チェロの様々な表現を、辻本玲の大らかな歌心と圧倒的な音色で楽しみたい。
2021年03月19日Keishi Tanakaが、5月3日(月・祝)、大阪・服部緑地野外音楽堂で『NEW KICKS GREENSPIA 2021』を開催することが決定した。『NEW KICKS GREENSPIA 2021』チケット情報本公演は、関西のコンサートプロモーターGREENSとプレイガイドぴあの共同イベントで、Keishiは先日のビルボード東京公演でも好評だったストリングスを含む8人バンド編成で出演する。さらに、久しぶりの関西でのライブとなるbonobos、昨年末の新作リリースでFM802ヘビーローテーションにも選出されたDENIMSも出演することが発表となり、初夏の野外で存分に音楽を楽しめるラインナップとなっている。3月19日(金)12:00よりチケットの先行予約がスタート。なお、一般チケットに加え、小学生を対象としたKIDSチケットの販売も行われる。今後もイベントに関してのお知らせがあるとのことなので是非チェックを。『NEW KICKS GREENSPIA 2021』【日時】5月3日(月・祝) OPEN 14:00 / START 14:45【会場】服部緑地野外音楽堂【前売】4400円 KIDS TICKET(小学生)1500円※1ドリンク代別途要※未就学児童は保護者同伴の上で入場無料(ただし、お席が必要な場合はチケット必要)【出演】Keishi Tanaka/bonobos/DENIMS【Keishi’s Support Member】Drums:Junpei Komiyama/Bass:Keito Taguchi(LUCKY TAPES)/Guitar:Akira Yotsumoto(oysm)/Synthesizer:Kazuhiro Bessho(Gentle Forest Jazz Band)/Violin:Asano Mekaru/Viola:Sumire Segawa/Cello:Miyako Kira【問】GREENS■06-6882-1224(平日12時~15時(水曜日除く))
2021年03月19日毎年春に杉並公会堂で開催する日本フィル春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわる オーケストラ!」も12回目。子どもたちが五感を使って楽しめるフェスティバルで、毎年完売の人気公演だ。今回は、「今こそ子どもたちに聴いていただきたい魅力あるオーケストラ・サウンド」を約60分のオーケストラ・コンサートに凝縮し、永峰大輔さん(指揮)、江原陽子さん(司会)が親しみやすくストーリー仕立てで音楽の世界へ誘う。子どもたちを飽きさせない工夫が満載だ。残念ながら今年は感染症拡大予防のため、楽器体験やバックステージツアー等の各種イベントは行われないが、代わりに、購入者にはアンサンブルの演奏やオーケストラ奏者の1日に迫った「特典映像」をプレゼント。入場は4歳以上で座席は前後左右間隔を空けるなど感染症対策を実施しているので、安心して親子で音楽を楽しんで欲しい。チケット好評発売中!【公演概要】日本フィル春休みオーケストラ探検「みる・きく・さわるオーケストラ!」2021年3月28日(日)11時開演/15時開演杉並公会堂大ホール指揮:永峰大輔司会:江原陽子管弦楽:日本フィルハーモニー交響楽団[プログラム]チャイコフスキー:バレエ《眠れる森の美女》より ワルツビゼー:《子どもの遊び》より「ギャロップ」ビゼー:歌劇《カルメン》より「ジプシーの踊り」ヴィヴァルディ:《四季》「冬」より第2楽章ベートーヴェン:序曲《レオノーレ》第3番マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より 間奏曲J.シュトラウスⅡ世:歌劇《こうもり》序曲入場券2,500円(全席指定)※休憩なし、約60分の公演です。※ご来場時にマスク着用必須となるため、入場は4歳以上となります。※チケットはお一人様一枚ご用意ください。※感染症対策を施し、政府や自治体等のガイドラインに従って販売いたします。以下を必ずお読みください。(座席数はホールの50%を使用し、前後左右を空けてご着席いただきます。)ご来場時の新型コロナウイルス感染症予防対策のお願い※出演者、曲目等は変更される場合がございます。あらかじめご了承ください。※今後の状況によっては開催できなくなる可能性もございます。開催の可否は当日必ずホームページにて開催をご確認の上、ご出発ください。
2021年03月18日大阪・堺出身のTHE→CHINA WIFE MOTORSとGOOD4NOTHINGが「地元に恩返しをしたい!」という強い想いで2013年にスタートした大型ロックフェス「SAKAI MEETING」。今年は5月22日(土)より、ライブハウスでの全国ツアー「SAKAI MEETING TOUR 2021」を開催することが決定した。「SAKAI MEETING TOUR 2021」チケット情報「野外ライブハウス」というコンセプトのもと開催し続けてきた「SAKAI MEETING」だが、2020年はコロナ禍により開催中止。今年も野外での開催に向けてさまざまな方法を模索してきたが、本来の形での開催は見送ることに。しかし、2022年に迎える10周年に向けて、そして本イベントを楽しみに待つ人たちに少しでも元気を届けることができればという想いから、ツアーの敢行を決断。堺FANDANGOを皮切りに、8か所のライブハウスを巡演する。従来通りの開催ができない中でも、前を向いて進む彼らの姿にアツいパワーをもらえるはず。チケット一般発売に先駆け、3月16日(火)17:00から23日(火)23:59まで、オフィシャルHP先行を受付。
2021年03月17日第二次世界大戦下のアメリカで強制収容所に入れられた日系家族の実話を元にしたミュージカル『アリージャンス~忠誠~』のが3月12日に開幕、それにさきがけ囲み取材と公開ゲネプロが行われ、取材には濱田めぐみ、海宝直人、渡辺徹が出席した。本作は、ブロードウェイにて上演され、アジア系ミュージカルの革新的な作品のひとつとして高く評価された作品で、今回が日本キャストでの初上演。演出はブロードウェイ同様、スタフォード・アリマが手掛ける。そんな本作について「この作品のテーマは今の時代に意味があるものだと思っているので、大切にひと公演ひと公演演じていきたいです」と話した濱田。「私も予期せぬ合致でしたが、この作品が持っているメッセージやテーマが、今を生きている我々とリンクするところがある。あなたはいったい何者ですか?あなたは何ですか?あなたは何に忠誠(=アリージャンス)を誓いますか?と、問われている気がするんです。お客様が作品をご覧になったときに、自分に対してどんな問題提起をされて、何を見直すきっかけになるのか、すごく興味がありますし、そういうメッセージが届けられるといいなと思っています」キムラ家という日系アメリカ人の家族を軸にして描いた本作だが、同じ日系アメリカ人でも、さらに同じ家族でも、思考や心の中の“アメリカ”と“日本”が占める割合はそれぞれで違い、それが本作で描かれる出来事の重要なポイントのひとつになっている。本作は、その繊細な表現が日本という国でもすっと理解できるように丁寧につくられていたが、海宝は「今回、日本で新たに演出をし直して、ブロードウェイで上演されるものとは違う作品になっています。日本でやるからこそ、よりわかりやすく、日本のお客様が観て違和感がないカタチにつくり上げるという目標でここまでやってきました」と明かし、「日本人だけでつくるのはとても難しい作品でもありました。その中で試行錯誤して、みんなでいろんなことを考え、アイデアを出し、ここまできたので、それをお客様に精いっぱいお届けしたいです」と振り返った。濱田と海宝が演じる姉弟の父親を演じる渡辺はミュージカル初挑戦。「いきなり、ミュージカル界を代表するおふたりの父親役ですから。DNAが変なことになっちゃいけないという気持ちで歌っています(笑)」と笑顔を見せつつ「史実に基づいた話である一方で、家族の絆もテーマも含まれています。ぜひご覧いただけたら」と温かく語った。他にない音楽や、かなりシンプルな舞台セットも印象的な本作は3月28日(日)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演後、名古屋、大阪を巡演する。文: 中川實穂
2021年03月15日ブロードウェイ・オリジナルミュージカル『BARNUM』が東京芸術劇場プレイハウスで上演中だ。ヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画『グレイテスト・ショーマン』(2017)と同じく、サーカス に命を賭けた興行師P.T.バーナム(1810-1891)の半生を描き、1980年にブロードウェイで初演された本作。日本初上演となる今回は、フィニアス・テイラー・バーナム役を加藤和樹が主演し、妻チャイリー・バーナム役を朝夏まなとが演じる。バーナムは、美術館であり水族館であり劇場でもあったといわれる「アメリカ博物館」を30代前半で設立し、まだ娯楽が文化として認められていなかったアメリカに一石を投ずると、その後はさまざまな見世物ショーやコンサートを提げて国内外を巡演。興行師のほかに、政治家、慈善家、奴隷解放運動家などいくつもの顔があり、コネチカット州ブリッジポートの市長を務めたことも。本作では、そんなP.T.バーナムが最初の妻チャリティ(本作ではチャイリー)とともに歩んだ半生が、概ね史実に沿って描かれている。3月13日17:00回(Wキャストは綿引さやか、内海啓貴)を見た。シルク・ドゥ・ソレイユなどで活躍したフィリップ・エマールが映像で登場したり、アンサンブルキャストを中心にさまざまなジャグリングの技を披露したり、サーカス小屋を模した舞台装置だったりと、ミュージカルでありながら、本物のサーカスを見ているようなワクワク感がある演出だった。主演の加藤は、歌って踊って芝居をして、ほぼ出ずっぱり。タップを踏んだり、「博物館ソング」など難易度が高くも楽しい歌を聞かせてくれたり、エンターテイナーっぷりを存分に発揮。妻チャイリーを演じた朝夏との相性もよく、思考回路は真逆でも、互いを尊敬し、愛しあっている夫婦を好演した。特に、ミュージカル『ローマの休日』(2020-2021)でアン王女とジョー・ブラッドレーを演じた加藤と朝夏の間柄を見ている観客にとっては、いろいろとギャップがあって、新鮮に見えることと思う。藤岡正明の降板を受け、急遽、リングマスター、ジェームズ・A・ベイリー、「親指トム将軍」という3役を演じることになった矢田悠祐も健闘していた。上演時間は2時間20分(途中休憩あり)。そのほかの出演者は、フランク莉奈、原嘉孝(以上Wキャスト)、中尾ミエほか。東京公演は3月23日(火)まで。兵庫公演は3月26日(金)〜28日(日)、県立芸術文化センター阪急中ホール。神奈川公演は4月2日(金)、相模女子大学グリーンホール。チケット発売中。取材・文:五月女菜穂
2021年03月15日5月19日(水)にfox capture planの9枚目となるフルアルバム『NEBULA』のリリースが決定した。前作『DISCOVERY』からわずか半年でのリリースとなる今作は、“NEBULA”(星雲)というテーマのコンセプト・アルバムとなっている。メンバー3人がそれぞれ曲を持ち寄り完成された全15曲のストーリー。前作同様にピアノ・トリオの枠組みを超えた多種多様な楽曲表現に、今回はゲストギタリストとして滝善充(9mm Parabellum Bullet)が参加している。fox capture planチケット情報さらに、fox capture plan東名阪ツアー2021春「ANOTHER DISCOVERY~ROAD TO NEBULA~」も開催。公演は、4月20日(火)東京・ブルーノート東京、4月24日(土)大阪・梅田BananaHall、4月25日(日)愛知・名古屋APOLLO BASEにて。3月18日(木)23:59まで大阪公演のチケットオフィシャル先行抽選を受付中。
2021年03月15日エンターテイメントの玉手箱のような、歌・ダンス・芝居・笑いが盛りだくさんのステージ『CLUB SEVEN』も18年目。その新作が2021年6月に上演される。玉野和紀(脚本・構成・演出・振付・出演)は「毎回「もうできない~、もう無理~」ってなるけど、お客さんの拍手と笑顔を見たら「う~ん……また来年やるか!」と思うんです。しんどいし、続けるのは大変だけど、お客さんの熱意が上回るのかな。やれるところまでやってみよう、やるしかないじゃんって感じかな。死んだ時にやめます」『CLUB SEVEN』は、レジェンドメンバーである吉野圭吾、東山義久、西村直人に加え、前作から大山真志が続投。さらに今回は、凰稀かなめ、妃海風が初挑戦する。妃海は前回公演を観て「なんて大変そう!未知の世界!」と思ったそうだが、「チラシの撮影で地球防衛軍のような格好をしたんですが、こんなに興奮することは初めてでした!」と前のめりだ。とくに楽しみなのはオープニング。18年前から変わらない音楽・振付だが、妃海は「CLUB SEVEN出身者はみんな踊れる。同じ高校出身の人がみんなこの校歌を歌えるみたいな感じ。かっこいいし、参加できるのが楽しみ」と嬉しそうだ。その弾けるような笑顔に、玉野も「(妃海さんは、)明るいところが魅力だよね」と笑う。ソング&ダンス・芝居・タップ・ミニミュージカル・スケッチなど、あらゆるパフォーマンスの詰まった極上のステージ。なかでも怒涛のように数十曲を歌って踊る“50音順ヒットメドレー”が印象的だったと、妃海は振り返る。前回は77曲。「そんなに振り付け覚えられるの?って思いました(笑)」。また、衣装や小道具、照明、音響の変化も目まぐるしい。「出演者は7人ですけど、衣装あわせの時は帝劇のグランドミュージカルなみの衣装がならびます。小道具も多い。衣装さんはじめ、どこのポジションも全員が大変な思いをしながら頑張っている、みなさんファミリーです。頑張っているのがお客さんに伝わるんだろうね。『CLUB SEVEN』って大の大人が必死で、汗流して、お客さんに伝えようとしてるのが一番の魅力だと思うから、その思いがひとつになればいいですね」(玉野)上演は6月6日から25日まで東京・シアタークリエにて。一部内容が異なるA・Bの2バージョンがある。チケット一般販売は3月20日。取材・文:河野桃子
2021年03月15日3月8日、東京バレエ団は記者会見を行い、今年11月6日、7日に東京文化会館で上演するミックスプログラムにて、振付家でりゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館舞踊部門芸術監督、Noism Company Niigataの芸術監督を務める金森穣による新作『かぐや姫』を世界初演すると発表した。会見には東京バレエ団芸術監督・斎藤友佳理と金森穣が出席し、作品の構想を語った。冒頭、斎藤は金森への委嘱の実現について「夢が叶って、いま、1日目のリハーサルを終えたところです」と目を輝かせた。質の高い古典全幕バレエを上演するとともに、ベジャールはじめ時代の最先端をいく振付家のオリジナル作品を発信してきた東京バレエ団。斎藤は芸術監督就任当初から、優れた日本人振付家によるオリジナル作品の上演を目指し、2019年、勅使川原三郎振付『雲のなごり』世界初演を実現。それに続く日本人振付家への委嘱となる。2004年、日本で唯一の公共劇場専属舞踊団Noismを立ち上げた金森について、斎藤は「振付家としてだけでなく、いろんなカラーをもった魅力的な演出家だと感じています」と信頼を寄せる。いっぽう、17歳で渡欧、ベジャールの学校ルードラで学び、その後キリアン率いるNDT2をはじめとする欧州の舞踊団で活躍した金森は、「東京バレエ団は日本におけるベジャールの舞踊団で、どこか身近に感じていた」という。Noism創立から17年。外部の団体に振付けるのは今回が初めてだが、アシスタントの井関佐和子(Noism副芸術監督)とともにリハーサル初日にのぞみ、「今日は夢見心地でした」と明かす。『かぐや姫』という題材については、「恩師キリアンも作品化していますが、私は物語に則った、Noismでいうところの“劇的舞踊”、全幕もののストーリーバレエをと考えています。東京バレエ団ならではの女性のポワントの群舞、ダイナミックな男性の群舞を活かしたい」。11月に上演するのはその1幕に当たる部分だという。音楽はドビュッシーが使われる。「バレエに対する最大限のリスペクトをもって、作品を構成している。もちろん自らの芸術性で挑むが、いままでの私の作品の中でいちばんバレエ的になるかもしれない」。台本は『竹取物語』も童話として書かれたものもすべて読んだうえで書いたオリジナル。「歴史に残る作品を創りたい」という金森のバレエ。期待はいやがうえにも高まる。加藤智子
2021年03月15日演劇と映像が融合したスペクタクル・エンターテインメントとして大きな話題を呼び、10万人を動員した大ヒット舞台『魔界転生』が再演決定。上演を前に演出の堤幸彦と、新キャストとして天草四郎役を演じる小池徹平に舞台の見どころや意気込みを聞いた。魔力の力で蘇った「島原の乱」の首謀者・天草四郎率いる魔界衆と、それに立ち向かう幕府方、上川隆也演じる剣豪・柳生十兵衛らの時空を超えた戦いを描く本作。会見の前日、小池は堤と一緒に、原城跡の古戦場や歴史資料館など、島原・天草にある天草四郎ゆかりの地を訪れた。「実際に戦いがあった地に立ったことで物語の重みをひしひしと感じ、役のイメージも膨らみました。四郎の複雑な心情や、人を引き付けるミステリアスな妖艶さをどう出していくか、自分なりの四郎を見つけていければと思います」。『キンキーブーツ』や『キレイ』などミュージカルでの活躍が続く小池にとって、「歌稽古がなく、芝居だけに集中できる稽古場は新鮮」とも。「小池さんは独特の立ち位置をもつ役者」と語るのは堤。「四郎はピュアであるがゆえに、悪にも純粋になれる。魔界に転生してからも、人への愛や信頼、人々の苦しみを背負ったという事実が忘れられないという役です。だからこそ、ストレートでピュアな小池さんのイメージが重要になる。内戦のリーダーになり命を失った四郎が、圧制に苦しむ農民や下級武士の気持ちを、わずか16歳でどう背負っていたのか。四郎の複雑さを表現してもらう上でも、現地への慰霊訪問は有意義だったと思います」初演で話題だった変幻自在なフライングやLEDによる映像効果を駆使した舞台演出も、さらにパワーアップ。「コロナ禍ということもあり、初演より時間を短縮。大道具は省力化しつつ見え方は派手になるように、可動式の映像ワゴンを複数使って工夫します。特に、天草四郎の必殺技「 忍法 髪切丸」の見せ場は相当見ごたえのあるものになると思いますよ」と自信を覗かせる。柳生十兵衛役の上川隆也に加え、松平 健、浅野ゆう子らが前作に続き出演。一方、小池や藤原紀香などの参加で大幅に一新された豪華キャスト陣にも注目だ。「ワクワクするキャストで、ほぼ新作を創る感覚です。テクノロジーを駆使した舞台表現と、生身の役者のパワフルな肉体的表現が一体化した、新時代のエンターテインメントを創れればと思っています」(堤)「今回初めてご一緒するのですが、上川さんは真面目で器の大きい役者さんという印象。この作品で共演できるのを光栄に思います。堤さんと上川さんの息の合った稽古場にいい意味で甘えつつ、よりパワーアップした『魔界転生』を、安心安全にお見せできるようがんばります。ぜひ劇場へお越しください」(小池)公演は4/7(水)~11(日) 愛知・刈谷市総合文化センター 大ホール、4/16(金)~28(水)福岡・博多座、5/4(火・祝)~28日(金)東京・明治座、6/2(水)~10(木)大阪・新歌舞伎座にて上演。チケットは愛知公演は発売中。福岡・東京公演は3/13(土)発売、大阪公演は4/3(土)発売。
2021年03月12日スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの激動の半生を描くオリジナルミュージカル『ゴヤーGOYAー』が2021年4月8日から日生劇場ほかで開幕する。本作が復帰後初主演となる今井翼が主人公のゴヤを演じ、小西遼生がゴヤの親友・サパテール、清水くるみがゴヤの妻・ホセーファをそれぞれ演じる。開幕まで1ヶ月を切った3月9日、東京都内で製作発表会見が行われた。この日は、出演する今井、小西、清水のほか、原案・脚本・作詞を担当するG2、演出の鈴木裕美、作曲・音楽監督の清塚信也が出席。本作の出演にあたって今井は「僕が日本の次に愛するスペインを舞台に、世界を代表するゴヤを演じられることを本当にありがたく思っています。僕自身、病を経験して、おかげさまで今を迎えられる喜びを感じておりますが、紆余曲折したゴヤの人生を丁寧かつ大胆に。また、熱く、エネルギッシュに演じていきたいと思っています」と意気込んだ。スペインの画家であるダリが好きで、「自宅のトイレがダリの作品だらけで、通称ダリ便と言われている」ことを会見で明かした今井だが、ゴヤという人物については「これまで造詣深かったわけではないんですけど、今回、自分なりにいろいろな資料を見て勉強していくなかで、ゴヤが持つ“我が道を行く熱き魂”に共感するところがあって。彼にしかない感性を大切にしていきたいと思った」とコメント。劇中では、フラメンコを披露するという今井。「フラメンコは怒り、喜び、悲しみ、そういったものが体の芯から湧き上がってくる舞踊なんです」と熱っぽく語る。本来ならば稽古前にスペインに渡航して、現地の空気感を感じようと考えていたようだが、それもコロナ禍で断念。「僕自身がスペインで経験したことを今一度振り返りながら、しっかりとその匂いや空気感をしっかりと表現していきたい」と話していた。そんな今井のゴヤを、演出の鈴木は「声がとても魅力的で、ゴヤとすごく合うなというのが第一印象。ゴヤはエネルギッシュで、社会への視線の中に“怒り”という感情を多く持つが、個人的には今井翼さんも相当“怒り”を持っていらっしゃる方なので、そこもとても合う」と評していた。また、出演が決まった時の心情を問われた際、サパテールを演じる小西が「ほぼ世代として、翼くんはずっと見ていたスター。今回は“コニツバ”と言われるように、頑張りたいと思います」と話し、会場を笑わせていた。そのほか仙名彩世、塩田康平、天宮良、キムラ緑子らが出演。東京公演は4月8日(木)から29日(木・祝)まで。名古屋公演は5月7日(金)から9日(日)まで、御園座。チケット発売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2021年03月12日脚本・岡田惠和、演出・田村孝裕、出演・風間俊介、倉科カナ、中川翔子、前田亜季で贈る新作舞台『パークビューライフ』が4月7日に開幕する。倉科に話を聞いた。ずっと一人で生きてきた孤独な男性と、ひょんなきっかけで彼とルームシェアをすることになった冴えないアラサーシングル女性3人との、可笑しくも温かい日々を綴る、岡田の書き下ろし新作。取材時、脚本はまだ完成していなかったが、倉科は「途中まで読みましたが、すっごく面白いですよ!会話はリアルな感じなんだけど、エッジがきいていて、どこかくすっと笑ってしまう。今は続きが気になっています(笑)」と笑顔をみせる。岡田作品への出演は初だが「脚本を読んでいて、なんだか本じゃないみたいなんですよ。不思議なんですけど、既にもうそこで登場人物が生きちゃってるんです。だからそれに自分を合わせたほうがいいのかなとか、4人でつくっていくのかなとか、今はいろんなことを考えています。稽古が始まるのが楽しみです」とワクワクした様子だ。倉科が「お芝居の印象もあって、信頼し合える4人になると思っています。信頼があればどんな球でも投げられるので、日々違う色が見られる舞台になりそうです」という四人芝居。倉科が演じる玉枝は、中川演じる香苗、前田演じる望と幼馴染という役どころだが「玉枝は、台本に“普通”と書いてある人なのですが、香苗と望に対しては妹気質なのかなと思いました。優等生っぽいところもあって、ふたりが羽目をはずしそうになると『そんなことしちゃだめだよ』とか言うんだけど、ふたりはやっちゃうし、それをうらやましいな~と思っている。そんな3人のやり取りも読んでいてすごく面白いです」。そういう幼馴染ならではの息の合ったやり取りも見どころだが、そこに風間演じる成瀬が入るとまた違った印象に。「今読める脚本では、成瀬は3人に振り回されている感じです(笑)。でも、読んでいると、さっきボケてた人がツッコんだり、ツッコミだった人がボケたりするので、人の多面性みたいなものも見えるんじゃないかな。すごく楽しみです」。舞台で演じることを「好きです」と明かす倉科。今作への出演も、舞台上の倉科を岡田が観たことがきっかけになったという。約1年前、主演舞台『お勢、断行』が開幕直前で中止になったこともあり、「『お勢、断行』以来のストレートプレイだし、その劇場だった世田谷パブリックシアターに帰ってこれてすごく嬉しい」と気合も十分だ。『パークビューライフ』は、4月7日(水)から18日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演後、大阪、愛知を巡演。チケット一般発売は3月14日(日)10:00より。取材・文中川實穂
2021年03月12日現代アートにおける、若手作家の登竜門的美術展『VOCA展』。今年は『VOCA展 2021 現代美術の展望-新しい平面の作家たち』として、2021年3月30日(火)まで、東京・上野の森美術館で開催されている。『VOCA展』が若手作家の登竜門と言われる理由は、40歳以下の作家を全国の美術館学芸員などが推薦し、その作家たちが平面作品の新作を発表する、という点だ。さらにユニークなのは、厚さ20cm以内であれば、絵画、写真、映像、インスタレーションなど、どんな平面作品でも出品可能ということ。これまでにやなぎみわ、蜷川実花、清川あさみ、山口晃などが、受賞者に名を連ねている。コロナ禍ながら、本年度は30組の作家が出品。5人の選考委員によってVOCA賞他が選出され、展覧会の前日には授賞式が行われた。登壇した作家は、VOCA賞を受賞した尾花賢一のほか、鄭梨愛、水戸部七絵、岡本秀、弓指寛治の5人。尾花は「自分が制作を進める上で、どんな場所で展示されるかが大きなモチベーション」と語り、まずは美術館のある上野という土地について調べることから始めたという。そして知った上野の明るさと暗がり、さらに過去と現在をもひとつの作品の中に存在させることで、観る者にさまざまなことを訴え、考えさせる。VOCA奨励賞受賞の鄭は、コロナ禍における制作を「大変厳しいものだった」と振り返る。「さらに今の情勢抜きでは制作出来なかった」と語る彼女の作品は、韓国から日本に渡ってきた祖父母の姿を5枚の布に写し出し、それらを重ねることで祖父母の生きてきた時間、さらには人間の死生観までも表現する。同賞受賞の水戸部は、「コロナ禍においてSNSに流れる世界のニュースを絵日記として描いた作品」と説明。絵の具を非常に厚く塗り重ねた重量感のある作品で、平面作品とは思えないほどの圧倒的なパワーを放つ。VOCA佳作賞を受賞したのは岡本と弓指のふたり。さらに岡本は大原美術館賞も受賞したが、「他の作品を見ると全然慢心していられない」と姿勢を正す。しかし襖とその先の世界という奥行きを平面で見せてしまうその作品は、本展の中でも唯一無二だ。弓指は、新型コロナをイメージし縫いつけたというジャケット姿で登壇。本人の明るいキャラクターは一瞬作品そのままにも思えるが、実はそこに描かれているのは、満蒙開拓民たちの悲しい歴史だ。タブーから目をそらさない、弓指の強い意志を印象づけた。現代アートの今後を知る上でも、見逃して欲しくない美術展である。取材・文:野上瑠美子
2021年03月12日人気キャラクター・スヌーピーでおなじみの漫画『PEANUS』(チャールズ・M・シュルツ著)を原作としたミュージカル『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』が2021年3月30日(火)からシアタークリエで開幕する。初日まで3週間と迫った3月9日、チャーリー・ブラウン役の花村想太(Da-iCE)、スヌーピー役の中川晃教ら出演者が、東京・南町田グランベリーパーク内にあるスヌーピーミュージアムで行われた取材会に出席した。2017年に引き続きスヌーピーを演じる中川は「“犬”として舞台上で見えた景色が今でも焼きついている。物語の中で大活躍するスヌーピーを役者として、人間として、全身全霊で体現したい」と意気込む。また、ミュージカル出演が本作で2作目となる花村は「毎日ワクワクしながら過ごしている。小さな幸せにも大きな幸せにも気づける作品。このご時世で恐縮ですが、劇場に足を運んでくだされば」と話していた。3月11日で東日本大震災から10年となることや、このコロナ禍で感じたエンターテイメントのあり方について報道陣から問われると、中川は、自身が仙台市出身で、父の故郷が宮城県気仙沼市だということを明かした上で、「この経験においては、あっという間だったという言葉がどうしても出てこない。復興という言葉の通り、明るい未来を信じて、でもどこかで現実も見つめながら。なんとか一歩一歩向かっている」と語った。「未来に向かって、歌い続けていきたい。頑張り続けていきたい」と思いを新たにした。一方の花村は、幼少期に阪神淡路大震災で被災し、10年前の東日本大震災も経験。「両方を経験している若い世代として、その恐ろしさや当時の大変さを下の世代に伝えていくことは大切だなと思う。当時はデビュー前で、何もすることができなかったらこそ、今このエンターテイメントでたくさんの方に希望を与えられるような存在になれていたら」と話していた。花村のコメントを受けて、中川は「僕たちは『世を幸せにする』という共通の使命を持っているんですね」と語りかけていた。そのほかの出演者は岡宮来夢、宮澤佐江、林愛夏、植原卓也、大和悠河(声の出演)。東京公演は4月11日(日)まで。大阪公演は4月15日(木)〜18日(日)、サンケイホールブリーゼ。愛知公演は4月20日(火)、日本特殊陶業市民会館ビレッジホール。長野公演は4月23日(金)、長野市芸術館メインホール。チケット発売中。チケットぴあでは東京公演の2021/3/11(木) 10:00よりポストカード(メインビジュアル)付チケットを販売中。取材・文・撮影:五月女菜穂
2021年03月11日新国立劇場の演劇部門の2021/2022シーズン発表会が3月8日に行なわれ、芸術監督の小川絵梨子が出席した。シーズンの幕開けを飾るのは、海外招聘公演『ガラスの動物園』。コロナ禍で昨年、招聘を断念した同作だが現在、9月の上演を目指して交渉を進めているという。パリの国立オデオン座の制作で、本国フランスでも4日間の上演で打ち切りとなったが、かなりの高評価だったとのことで、当代一の人気を誇る演出家イヴォ・ヴァン・ホーヴェの手によりテネシー・ウィリアムズの名作が現代にどう蘇るのか期待が高まる。小川芸術監督が就任以降、積極的に取り組んできたのがフルオーディションによる公演だが、11月には倉持裕の作・演出による『イロアセル』を上演する。小川の就任以前の2011年に倉持が新国立劇場に書き下ろした作品だが「いまの社会に必要な本」(小川)と10年を経て再び同劇場で上演される。もうひとつ、小川が力を注いできたのが、1年もの時間をかけて作品を育てていく「こつこつプロジェクト」。第一期の作品として、西沢栄治の演出で別役実の『あーぶくたった、にいたった』が12月に上演される。また第二期として、福山桜子、船岩祐太、柳沼昭徳の3人が新たに参加することも決まった。さらに新たなシリーズ企画として「正論≒極論≒批判≠議論」と銘打って、言葉によるコミュニケーションの在り方について考える3本の戯曲―『アンチポデス(仮題)』『ロビー・ヒーロー』、『来訪(仮題)』を上演。小川がコロナ禍において、様々なニュースやそれに伴うコメントなどに触れ、考えた経験がきっかけとなっており「SNSなども含め、個人が発言しやすくなっている中で、それは意見なのか? 感想なのか? 批判なのか? 文句なのか? 誹謗中傷なのか? それとも議論がしたいのか? 何かを変えたくて言っているのか? 『これは何の発言なんだろうか?』ということを考えていきたい」とその趣旨を語る。芸術監督に就任して4シーズン目を迎えるが、即効性、一過性の施策だけでなく「時間をかけて積み重ねていく」ことの重要性を訴える。コロナ禍で多くのものが「不要不急か否か?」で分類され、演劇もその存在意義が問われてきた。小川は「(演劇が社会に)必要だと声をあげていくことはもちろんですが、そう思ってもらえるためにどうしていくか考えるのが重要。必要だと思ってもらえる作品をどう作っていくか? 考えていかなくてはいけない」と語った。
2021年03月11日「おまっとさんでした!」な昭和味が懐かしいミドルエイジから、一周回って「新鮮~!」なヤング世代まで。老若男女の笑いのツボに応える、劇団☆新感線41周年春興行、Yellow/新感線『月影花之丞大逆転』が2月26日、東京で開幕した。通常100人態勢で稼働する巨大カンパニーが、コロナ渦に発足させた新シリーズ。JR新幹線の“お医者さん”で、「見た人は幸福になる」と言われる希少な新幹線ドクターイエローにちなみ、安心・安全に配慮した少数精鋭の公演だ。2021年劇団☆新感線41周年春興行 Yellow/新感線「月影花之丞大逆転」チケット情報劇団月影花之丞のベテラン俳優、塾頭剛太郎(古田新太)が国際的な殺し屋“イレイザー”との情報を掴んだインターポール極東支部。長官秘書の山本山本子(山本カナコ)は早速、捜査官のモスコウィッツ北見(浜中文一)に新人劇団員に扮した潜入捜査を開始するよう命じる。劇団では本公演に向けた稽古が始まっていた。月影花之丞(木野花)の指導にも次第に熱が帯び始める頃、北見はワケありの元トップ女優・水林星美(西野七瀬)、大口契約欲しさに稽古に参加する保険外交員・東影郎(阿部サダヲ)、そして塾頭や月影本人に至るまで、劇団員らの知られざる過去を知ることに……。SF任侠時代劇からダジャレ・ミュージカルまで、何でもござれな「劇団月影花之丞」の稽古場が舞台とあって、劇中では隙あらば荒唐無稽な劇中劇が展開する。河野まさと、村木よし子ら古参劇団員が率先して小ボケで弾みを付けると、古田新太、阿部サダヲも役の大小に関わらず貪欲にオモシロを追求する。主軸で舞台を運びつつ、さまざまな役に扮しては秒で舞台を駆け抜ける。時にはセットの転換まで行い、陰日向にと大活躍だ。加えて、電飾を使ったド派手な演出や胸のすく決め台詞もあり、新感線らしさも忘れない。小粒でもピリリと刺激的な公演となっている。ジャニーズきってのお笑い番長、浜中文一が“おポンチシリーズ”で劇団初登場を飾るのも打ってつけだ。美しい顔とダンスの心得はそのままに、振り切った演技で場を席巻する。その勇姿から“メメメのひと”と命名される日もそう遠くはないだろう。同じく初登場の西野七瀬は元乃木坂46の絶対的エースらしく、規格外のキュートさで翻弄する。見せ場も多く健闘ぶりが光る。そして「この人の存在に物語を書かされた!」と作家と演出家が口を揃えるインスピレーションの女神、木野花。月影花之丞としての語り口は確信と自信に満ち溢れ、その一貫したブレのなさが笑いを生み、時にオモシロを超越して胸を打つ。最後には彼女の演劇道こそが「予測不可能な時代を機嫌よく乗り切るための最善策かもしれない」とさえ思えるほど。その一言が、明日への扉を開かせる。陽気な波動を届けるために。東京公演は4月4日(日)まで東京建物ブリリアホール、大阪公演は4月14日(水)から5月10日(月)までオリックス劇場にて。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2021年03月11日2015年にスタートした『うめだ文楽』が7年目を迎える。アクセスのいいグランフロント大阪のナレッジシアターを会場に、仕事帰りでも観劇できる時間の上演、わかりやすい解説やゲストとのトークショーも交えた構成。文楽初心者にも入りやすく楽しいと人気が高まり、年1回の公演が定着した。20代から40代の若手技芸員たちを中心にした滅多にないフレッシュな舞台は、彼らの成長の場としても大切な公演だ。しかし、昨年予定されていた第6回がコロナ禍で中止となり、1年を経て開催される。演目は2017年、第3回で上演した『義経千本桜~河連法眼館(かわつらほうげんやかた)の段~』。狐忠信を中心に親子の情愛、狐と人間との慈愛を描く演目で、再演希望の声が最も高くシリーズ初再演、また今回は狐忠信の人形遣いをダブルキャストで上演する。第1回から全回出演の三味線・鶴澤寛太郎に話を聞いた。うめだ文楽2021『義経千本桜 ~河連法眼館の段~』チケット情報「芸能の公演が少しずつ減っているなかで、『うめだ文楽』を開催していただくことに演者として感謝しかないです。僕らも最大限、感染対策に気を付けて生活して、稽古して、絶対にやり遂げるという覚悟でいます」と寛太郎。『うめだ文楽』は「演者全員が若くて、全員で背伸びしたり挑戦したりしている感じ。お客さんも若くて、僕たちと同い年ぐらいの方も来てくださっているのがうれしい」と語る。太夫と三味線の床チームを率いるなか、今回は敢えて第3回と同じメンバー編成で再演に臨む。「体に刷り込んでいかないとダメなので、経験を取ろうと。3、4年経って同じメンバーで再結集してやるわけですから、それだけの上積みが求められる。第3回をご覧いただいた方が来られた時、いくばくかの進歩と成長した姿が舞台から見てとれるようだといいなと思っています」。また毎回人気のトークショーのゲストは、1日目が落語家・桂南光、2日目が作家・三浦しをん。「ずっと応援して、支えてくださっているようでありがたい限りです」と話す寛太郎が楽しみにしているのが、対談相手を勤める3日目、今回初参加の世界的チェリスト・宮田大だ。宮田の弾くチェロで桐竹勘十郎の人形が舞うコラボ企画に2度参加した寛太郎。「チェロは一番邦楽になじむ洋楽器だと思うし、聞きたいことがいっぱいあります。超贅沢ですよ。お客さんより僕の方が楽しみにしているくらいです(笑)」。もしかして演奏が聴けるかも⁉「宮田さんは、僕らが楽しまないと、というタイプなんです。僕は多分、当日楽しむ余裕はないでしょうけど、そんな広い心で取り組めたら、と思います(笑)」。公演は3月26日(金)より28日(日)まで、グランフロント大阪 北館4階 ナレッジシアターにて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2021年03月10日2018年に堤幸彦演出、上川隆也主演で上演した話題作『魔界転生』の再演が決定。原作は山田風太郎の人気小説で、映画も大ヒットした作品だ。島原の乱の首謀者・天草四郎が魔界の力を借りて甦り、“魔界転生”の妖術で歴史に名を残す剣豪たちを黄泉の国から次々と甦らせる物語。徳川幕府滅亡を企てる魔界衆に立ち向かう柳生十兵衛らとの死闘を、ド派手なアクションと映像を駆使して繰り広げる、堤演出ならではのダイナミックな舞台。今回は一部キャストを変更、数多くの映像作品で活躍中の渡辺大が、剣豪・宮本武蔵の役で初舞台を踏む。2002年のデビュー以来、殺陣と乗馬の稽古を続けて来た渡辺が満を持して挑む舞台。大阪で開かれた会見で熱い意気込みを語った。舞台「魔界転生」 チケット情報「ワクワクするおもしろさのある、一筋縄ではいかない時代劇のエンタテインメント作品だと思います。魔界から甦った人間たちの気持ちや姉と弟の関係性、立ち回りのダイナミックさに笑いもあり、いろいろな要素が全部詰まった大作。これまで舞台をやりたいと思いながら、なかなかご縁がなかったので今回とても感謝しています。しかも宮本武蔵という役をやらせていただくことになり非常に光栄です。みっちり稽古して、ひと公演ひと公演、悔いのないように最後まで走り切りたいと考えています」。宮本武蔵は長短2本の太刀を用いる“二天一流”の達人。通常の殺陣とは違う難しさがあると稽古に励む渡辺。「今回初めて触れる流派で、一刀と二刀では形が全然違うんです。太刀さばきがかなり変則的な動きで難しい。でも、二刀流は左右に広げるとダイナミックさが出てくるのでおもしろいです」。見どころは、松平健演じる同じ魔界衆の父・柳生宗矩と戦うシーン。「立ち回りが国宝級のレベルの方なので、互角に見せられるように覚悟して頑張ります。松平健さんとの一騎打ちをガンガンにやれたらいいなと思っています」。共演者は上川以外、初対面だ。「そうそうたるメンバーの中に36歳で初舞台というのも恥ずかしいですが、映像と違って稽古から本番まで約4か月間最初から最後まで一緒にいられるので、いろいろなことを吸収できる機会になるのではと。あとは大先輩の上川さん他、皆さまに教わりながら勉強させていただきたいですね」。公演は愛知、福岡、東京と巡演し、大千穐楽の大阪へ乗り込む。「集大成になると思います。楽しみに待っていていただければうれしいです」。公演は4月7日(水)から11日(日)まで愛知・刈谷市総合文化センター、4月16日(金)から28日(水)まで福岡・博多座、5月4日(火・祝)から28日(金)まで東京・明治座、6月2日(水)から10日(木)まで大阪・新歌舞伎座にて。大阪公演のチケットは4月3日(土)一般発売。チケットぴあでは3月21日(日)まで抽選先行を受付中。取材・文:高橋晴代
2021年03月10日ミュージカル『ウェイトレス』の日本初演が、3月9日に東京・日生劇場にて開幕した。開幕に先駆け囲み取材が行われ、出演する高畑充希、宮野真守、宮澤エマ、LiLiCo、浦嶋りんこが出席した。本作は、映画『ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた』(’07年)をベースに製作されたブロードウェイミュージカル。とびきりのパイを出すと評判のレストランを舞台に、ウェイトレスのジェナ(高畑)をはじめとする女性たちの人生の岐路を描いた作品で、全米ツアー公演やロンドン・ウェストエンド公演なども行われる大ヒット作となった。主演を務める高畑は開幕にあたり、「どうなるかわからない中でみんなで一生懸命やってきました。やっとお客さんと一緒にこのミュージカルを楽しめるんだ、とかなりワクワクしています」と笑顔。高畑は海外でも本作を観劇しており、「最初はニューヨークで拝見して、あまりに面白くて感激して、もう一回観たくてロンドンで観て、そしたらまたもう一回観たくなって(笑)、ニューヨークに行って観ました。何度観ても楽しい作品」と絶賛。宮澤も同じく観劇しており「楽しいし、歌もキャッチーだし、だけど話はすごくディープ。なにひとつ共感するシチュエーションはないのに、大号泣ってこういうことかな!?ってくらい泣きました。向こうではパイも売っていたので、パイをむさぼりながら泣きながら観て、劇場を出る時は浄化されるっていう(笑)」という体験を告白。共に日本初演に出演できる喜びを語った。宮野は、高畑演じるジェナの不倫相手となるポマター医師を演じるが「充希ちゃんと対面すると、物語の登場人物に自然となれる。それが楽しくてしょうがない。劇中では本当にポマターとして喋ってるし、ジェナとして話しかけてくれるんです。当たり前のことなのですが、それができるってなんてすばらしいんだと思いました」。ミュージカルは今作が初挑戦のLiLiCoは「50歳にしてデビューします!お稽古ではポンコツでしたが、みんながいろんなことを教えてくれました」と明かし「コメディですが、感動できるところもいっぱいあるすごくいい作品です。早くみんなに届けたいです!」と気合十分。LiLiCoとWキャストで、ウェイトレス仲間として姉御肌としてジェナに時に厳しくアドバイスを与えるベッキーを演じる浦嶋は「お客様が劇場に入って、お客様のお声や拍手が聞こえる中で上演できる喜びを噛み締めたい」としみじみ語った。高畑が「お客さんが入ってやっと最後のピースがはまる感じ」と開幕を待ちわびた本作。公演は3月30日(火)まで日生劇場にて上演中。文:中川實穂
2021年03月10日4月28日(水)・29日(木・祝)の2日間、大阪・フェスティバルホールにて、平沢進+会人(EJIN)の有観客ライブ「24曼荼羅(不死MANDALA)」が開催される。平沢進+会人(EJIN) チケット情報平沢進+会人(EJIN)は2017年、平沢のTwitter公式アカウントのフォロワー数が9万人を突破したことを記念し、ライブイベント「第9曼荼羅」を実施。東京と大阪での全5公演を通してスネアドラム9万打を叩くというミッションを達成した。その後フォロワー数は増え続け、24万人に達したことを記念して、今回の「24曼荼羅(不死MANDALA)」開催が決定。24万打という“不可能に近いミッション”を遂行することができるのか!?この日のサポートドラムはユージ・レルレ・カワグチ(#STDRUMS)が務める。公演のチケットは、3月15日(月)11:00までチケットぴあにてプレイガイド最速先行受付を実施中。本公演は有料配信も実施される予定で、詳細は追ってアナウンスされる。平沢進+会人(EJIN)「24曼荼羅(不死MANDALA)」▼4月28日(水) 19:00/29日(木・祝) 18:00フェスティバルホール全席指定-7150円※未就学児童は入場不可。【お問合せ】SMASH WEST(
2021年03月10日1964年にブロードウェイで上演され大ロングランを達成した舞台『WHAT ABOUT LUV?』。その後ミュージカル化、日本では1994年にミュージカル版が上演され話題となった作品が、装いも新たにこの3月に東京・六行会ホールにて開幕する。絶賛不倫中のエリートサラリーマン“ミルト”役に山本一慶、ミルトの大学時代の親友“ハリー”役を橋本真一、ミルトの妻“エレン”役を井上希美という実力派若手俳優が演じ、演出を宮川安利が務め、姉の宮川知子が音楽監督&ピアノ演奏を担当する。舞台『メサイア』シリーズでは3年にわたって“相棒役”を演じてきた山本と橋本は「まさか一慶とミュージカルで共演する日が来るなんて」「真一とのコメディ、今から楽しみ!」と、ワクワクが止まらない様子。紅一点の井上は「見目麗しいお二人との初共演、お会いするまではどんな方々なんだろうと緊張していましたが、最初から自然体でフレンドリーに接してくださりとても安心しました」と笑顔を見せる。2月中旬の時点では、各々歌稽古に通っている最中とのことで本格的な稽古はまだスタートしていないものの、3人の間にはすでに和やかな空気が漂い信頼関係さえ感じられた。「曲数がかなり多く、井上さんとのデュエット曲もあるので気合いが入っています」と意気込む橋本に、「歌稽古でセリフを入れながら一緒に歌う機会があったんですけど、めちゃめちゃ楽しかった」と井上。山本は「『ラヴ』の音楽は聴いているだけですごくハッピーな気分になる。歌詞も笑っちゃうような内容なので歌っていて楽しいし、稽古では井上さんにリードしていただきながら頑張りたいと思います!」と、はやる気持ちを抑えきれない。それぞれが演じる役について「ミルトは根っからの悪いヤツじゃない。楽観的に行動してしまう自己中な憎めない男として演じられればいいかな」と山本。橋本は「ハリーはネガティブな性格だけど究極にピュアな男。そんな純粋さを軸に置いて演じたい」と語る。井上は「その時々で、ミルトとハリーを本気で愛しているエレン。私自身が瞬間的なエレンの思いを深く信じ、大切に演じたいと思っています」と顔を見合わせた。山本「登場人物それぞれヒドイことをしたり、とんでもないことを歌っていますが、そんな危機的状況も笑いに変えてしまう作品のパワーを感じに、ぜひ劇場に足をお運びください」原稿:近藤明子ヘアメイク:瀬川なつみ写真:山副圭吾
2021年03月09日創立50周年を迎えた神奈川フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会「県民名曲シリーズ第10回」が3月20日(土)、神奈川県民ホールにて開催される。記念すべき第10回目のテーマは「フランス」。今回の演奏会は二部構成となっており、後半に披露される音楽劇をメインに、第一部ではフランスやヴィクトル・ユゴー原作の作品レ・ミゼゆかりの名曲を披露する。演奏会で披露される60分のレ・ミゼは主人公のジャン・バルジャンをとりまく若者たちが主役となる物語。まずはヴェルディの歌劇「運命の力」でジャン・バルジャンたちに訪れる運命、プッチーニによる歌劇「マノン・レスコー」で愛と悲劇を描写。つづく、「ノートルダム」はレ・ミゼと同じくユゴー原作の作品だ。最後にフランス革命後の世界と同年代に起きた戦争「ウェリントンの勝利」でその時代に想いを馳せる。そして、メインの音楽劇によるレ・ミゼでは、若さゆえの刹那と熱意、愛をジャン・バルジャンの語りにより進めていく。川瀬賢太郎の指揮の元、フル・オーケストラと青木エマ、高野百合絵、大山大輔、加耒徹らのオペラ歌手で聴く、贅沢なレ・ミゼを堪能してほしい。<プログラム>第1部♪ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲♪プッチーニ/歌劇「マノン・レスコー」より“間奏曲”♪シュミット/歌劇「ノートルダム」より“間奏曲”♪ベートーヴェン/ウェリントンの勝利(戦争交響曲)Op.96 17’第2部♪音楽劇による「レ・ミゼラブル(ヴィクトル・ユゴー原作)」~若者たちの60分のレミゼ~1.大橋晃一編曲/ラ・マルセイエーズ2.ジョルダーノ/歌劇「アンドレア・シェニエ」より”Nemico della partia”3.グノー/歌劇「ファウスト」より”宝石の歌”4.ミュージカル「レ・ミゼラブル」より”A heartful of love”5.ミュージカル「レ・ミゼラブル」より”On my own”6.ミュージカル「レ・ミゼラブル」より”One day more”7.ミュージカル「ジキルとハイド」より”This is the moment”8.プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」より”ハミングコーラス”9.レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」より”Lippen schweigen”唇は黙して10.マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より”間奏曲”
2021年03月08日テキサス州オースティンで行われている音楽を中心としたフェスティバル・SXSW(south by southwest)をモデルに大阪ならではのアイデアを盛り込みながら、毎年秋に大阪ミナミエリア一帯にて開催されてきた『FM802 MINAMI WHEEL』。2020年度は例年のサーキット形式で実施せず、月1回1会場で複数アーティストが出演するオムニバスショーケースライブイベントとして開催されてきた。「Eggs presents FM802 MINAMI WHEEL 2020 NEO EDITION vol.5」チケット情報11月から計5回開催予定(※2月は延期。4月開催予定)。毎月『FM802 MINAMI WHEEL』というイベントがライブハウスをサーキットする形式で、ガイドラインを守りライブハウスでの観覧と、オンライン配信での観覧から選べるハイブリッド方式で実施されている。第5回目が、4月4日(日)OSAKA MUSEにて開催決定。出演アーティストは、神はサイコロを振らない、Kroi、Hakubi、リュックと添い寝ごはん。Eggsレコメンドアーティストとして伊津創汰も出演する。チケットは、3月20日(土・祝)10:00より一般発売開始。マフラータオル付のチケットも販売。一般発売に先駆け、現地観覧チケット、オンライン配信チケットともに、3月14日(日)23:59まで先行販売実施中。
2021年03月08日3月20日(土)〜6月6日(日)の期間、名古屋市科学館にて「ノーベル賞受賞100年記念『アインシュタイン展』」が開催される。本展では、1921年にノーベル賞を受賞した“20世紀最高の物理学者”アルバート・アインシュタインの科学理論や、日本とのつながりについて、国内外の貴重な資料やゲーム体験などを通して紹介。子供たちが楽しみながら学べる内容となっている。今回、見どころのひとつとなっているのがゲーム体験だ。例えばアインシュタインが発見した「光速度不変の原理」によって起きる不思議な現象を体験できる「爆弾解除!光速サイクリング」は、1年後に爆発する爆弾を自転車に乗せ、光の速さでも2年かかる惑星までこぐというシミュレーションゲーム。ドキドキハラハラのゲームを通して、時間と距離が伸び縮みする世界の変化を体感できる。また、「光は粒子であり、波でもある」と二面性を発見し、ノーベル物理学賞を受賞したアインシュタイン。「光の粒で電子を飛ばそう!」のコーナーでは、光の粒に見立てたボールを、的に当てるゲームを体験できる。様々な色のボールを的に当てると「でんしくん」が飛び出し、ボールの色によって、でんしくんが飛び出す高さが違うのはなぜなのか、光の秘密を学びながら、より多くのでんしくんを飛ばして、高得点を目指して楽しもう。会場ではこのほかにも、 一般相対性理論を体験できる「デジタル宇宙空間の散歩」のコーナーや、ブラウン運動を体感する「光のランダムウォーク」など、様々なゲームやおもちゃを用意。アインシュタインの科学理論や、日本とのつながりについて、子供たちが楽しみながら学べる展覧会『アインシュタイン展』の前売り券は3月19日(金)まで販売される。■ノーベル賞受賞100年記念「アインシュタイン展」3月20日(土・祝)-6月6日(日)開館時間:9:30~17:00(入場は16:30まで)会場:名古屋市科学館理工館地下2階イベントホール(名古屋市中区栄二丁目17番1号)休館日:毎週月曜日(5月3日は開館)、4月16日(金)、5月6日(木)、5月21日(金)
2021年03月08日ミュージカル『魔女の宅急便』が約3年ぶりに再演される。主人公のキキを演じる井上音生に話を聞いた。ミュージカル『魔女の宅急便』の公演情報はこちら井上は、’16年に第8回「東宝シンデレラ」オーディション特別賞・りぼん賞をW受賞し、’18年に映画『嘘を愛する女』で女優デビュー、’19年に舞台『魍魎の匣』で初舞台を踏んだ16歳。今作が舞台2作目、初主演となるが「出演が決まってうれしかったです。小さい頃からジブリ映画の『魔女の宅急便』を観ていて、私も魔女になりたいとか、魔法を使ってみたいと思っていたので、その頃の夢が叶いました」と軽やかな笑顔を見せる。自身の演じるキキについては「16歳になった今、台本や原作(角野栄子氏の児童書)を読むと、小さい頃に映画で観たキキとは印象が違いました。以前は魔法が使えてかわいい魔女だと思っていたのですが、今は、13歳の普通の女の子なんだなってことに気づきました。同い年の子に嫉妬もするし、ちょっといじわるもしたくなるし、ニキビが気になるところは私と同じで(笑)、親近感が湧きました。私は昨年4月に愛媛から上京したのですが、その時に不安だったことや戸惑ったことは、キキがコリコの町で暮らし始めた時の気持ちと重なると思います。そういう自分との共通点を見つけていって、自分らしいキキをつくっていきたいです」と語る。ミュージカルへの出演は初挑戦だが、小さい頃から観劇をすることは多く、劇団四季の『ライオンキング』や『オペラ座の怪人』、『レ・ミゼラブル』などを観てきたそう。その中でも「一番感動した」と明かすのが、朝夏まなとがアン王女を演じた『ローマの休日』。「アン王女が本当にきれいで、舞台の上でキラキラしていて。それを観て、私もやってみたいと強く思いました」と熱く語る。演出の岸本功喜からは「ミュージカルの歌は台詞なので、台詞として感情を込めて歌ってほしいと言われました」とアドバイスももらったそうで「稽古でも心掛けたい」と意気込む。今は「日々、女優の勉強」だと言い、「愛媛からの上京は、芸能活動にもっと向き合いたくて自分で決めました。自分が決めたからにはがんばらなくちゃいけないと思っています」と語る姿がキキとも重なる井上。フレッシュなキキに期待したい。ミュージカル『魔女の宅急便』は、3月25日(木)から28日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場、4月10日(土)から11日(日)まで愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、4月15日(木)から18日(日)まで大阪・メルパルクホール大阪にて上演予定。取材・文中川實穂
2021年03月05日KAAT神奈川芸術劇場の新芸術監督就任会見、ならびに2021年度ラインアップ発表会が行われ、現芸術監督の白井晃、芸術参与で次期芸術監督の長塚圭史が登壇した。3月末で任期を終える白井は、KAATに携わった7年の歳月を「身に余る重責に自問自答する日々でした」と振り返る。その中で、長塚の演出作である新ロイヤル大衆舎『王将』(2017年)を東京・下北沢で鑑賞した時に「小劇場からあふれ出るエネルギーや企画力をぜひKAATでも活かして欲しい」とオファーの経緯を明かした。続いて壇上に立ったのは、4月に白井からバトンを受け取る長塚。芸術監督としてのテーマに“劇場をより開いていく”を掲げ、実現に向けた3点の新方針を打ち出した。1.シーズン制の導入新国立劇場などですでに取り入れられているシーズン制だが、その狙いを「劇場に季節感やリズムをもたらしたい」と語った長塚。4〜6月にはプレシーズンとして、実験的なトライアル公演を多数投入する。その後、初夏に恒例のキッズプログラムを配置。8月からのメインシーズンには毎年タイトルを設け、今年は「冒(ぼう)」がアナウンスされた。「飛び出す・はみ出す・突き進むイメージで“冒険心”いっぱいにやっていきたいですね」2.ひらかれた劇場を目指してKAATは今年で開館10周年。長塚は「演劇界で存在感が増してきたKAAT自身を財産に、これまで芝居を観たことのない人にも届けたい」と意気込む。手始めに、新ロイヤル大衆舎『王将』の再演を開放的なエントランス(1階アトリウム)に特設劇場を設けて行う試みを発表。タニノクロウとは『虹む街』で神奈川県民とのクリエーションを企画中だ。自身が上演台本・演出を手がける最遊記モチーフの『冒険者たち ~JOURNEY TO THE WEST~』では県内を西に向かって巡演し、「KAATを飛び出して多くの県民にお会いできれば」と笑顔を覗かせた。3.豊かな創作環境作り・劇場の未来を考える「上演がない期間もクリエーションが常に続いている劇場でありたい」という思いを込め、長塚は任期スタートとともに「カイハツ」と題したプロジェクトを始動させる。もともと“つくる劇場”を掲げていたKAATを「アーティスト同士の相互交流、国内外・新旧問わない戯曲との出会いや開発の場にできれば」として、さらなる創作環境の発展に努める構えだ。このあと、2021年度のKAATラインアップが発表された。「オリンピック前の上演がふさわしい」と長塚が懇願し、昨年度に公演中止となった『ポルノグラフィ』『未練の幽霊と怪物 ―「挫波」「敦賀」―』が持ち越されたほか、自身が演出する『近松心中物語』、2020年頭に草彅剛が主演し話題を集めた白井の演出作『アルトゥロ・ウイの興隆』再演も。心機一転したKAATの充実ぶりから、引き続き目が離せない。取材・文:岡山朋代
2021年03月05日