先日発表された第34回日本アカデミー賞で優秀助演女優賞(『悪人』)を受賞した満島ひかりが12月19日(日)、東京・タワーレコード新宿店で行われた「モテキ」DVDボックスの発売イベントに、脚本と演出を手掛けた大根仁監督と共に出席した。満島さんは今年10月、主演作『川の底からこんにちは』のメガホンをとった石井裕也監督との結婚を発表したばかり。結婚後、公の場に登場するのはこれが初めてで、会場もどこか祝福ムード。さらに、実弟で俳優の満島真之介がサプライズ登場し、ファンを沸かせた。金なし夢なし彼女なし…そんな29歳派遣社員の藤本(森山未來)が突然訪れた“モテ期”に浮かれ、やがて現実の厳しさと向き合う姿を描いた本ドラマ。原作は販売部数150万部を突破する久保ミツロウの同名コミックで、野波麻帆、松本莉緒、リリー・フランキー、菊地凛子ら共演陣も豪華な作品だ。満島さんが演じるのは、恋愛にあきらめを覚え始めているサブカル系女子の中柴いつか。ドラマの中では人気バンド「神聖かまってちゃん」の楽曲をカラオケで熱唱するシーンがあり、ファンの間では語り草になっている。「あのシーンは本当に大変だった。4〜5回は撮り直して、声が出なくなった」と満島さん。その熱い姿に、現場で見守っていたリリーさんは「若い子の本気っていいねぇ」と号泣していたんだとか。一方、大根監督にとってもこのシーンはかなり重要だったといい、「あの熱唱シーンを狂ったように歌える人がいいなと思って、満島さんにお願いした」。初めて向き合った“女優・満島ひかり”に「もう動物なんですよ。点取り屋のフォワードみたいに、いい意味で現場をかき回してくれた。おかげで、いつかちゃんは原作を超えたキャラになった」と最敬礼だった。会場の男性ファンからは「男は結婚してもモテたいと思う。女性はどうなんですか?」と質問が。満島さんは「あんまりモテようとしない方がいいですよ。好きな人に愛された方が幸せだと思います。私?私は一人で十分」と満面の笑みで幸せのおすそ分け。そして、タワーレコードでお買い物中(?)だった弟の真之介さんをステージに呼び寄せ、自己紹介させると「うちの弟です。ぜひよろしくお願いします」と深々と頭を下げながら、ちゃっかり弟をPRしていた。「モテキ」DVDボックスは発売中。<レンタル>Vol.1〜Vol.4レンタル中<セル>「モテキ」DVD-BOX発売元・販売元:東宝価格:15,960円(税込)発売中■関連作品:川の底からこんにちは 2010年5月1日よりユーロスペースほか全国にて順次公開悪人 2010年9月11日より全国東宝系にて公開© 2010「悪人」製作委員会■関連記事:釜山の観客の熱烈歓迎に深津絵里「クセになりそう!」『悪人』凱旋初日深津「妻夫木さんの賞でもある」妻夫木は感涙深津絵里、モントリオール映画祭で最優秀女優賞!「全てのスタッフにいただいた賞」『悪人』にモントリオール喝采!妻夫木聡&深津絵里も現地の反応に感激『悪人』の李相日監督がハンディカムCMを演出!真夏の大騎馬戦を珠玉のドラマに
2010年12月20日女優・満島ひかりを突き動かすものは何なのか――?一条ゆかりの漫画を原作にした『プライド』では、のし上がるために手段を選ばない音大生を見事に演じきり“少女漫画”に映像作品としての息吹を与え、園子温監督の『愛のむきだし』ではタイトルそのままに、愛憎をむき出しにしたヒロインを体現。スクリーンから、凄まじいまでのエネルギーを発散させている。最新主演作『川の底からこんにちは』では「しょうがない」を口癖に生きていたものの、どうしようもない状況に追い込まれた末に、見事に“ケツをまくり”、生きる道を切り拓く主人公・佐和子を演じている。「本来の私自身に一番近い役」とは演じた満島さんの佐和子評。詳しく話を聞いた。“個性的”などという言葉では括れない、濃厚な役柄を演じ続けているが、毎回、どのように役柄に向き合い、キャラクターを生み出すのか?「苦しいですよ…毎回(笑)。論理的に物事を考えたり、説明したりするのがすごく苦手で、唯一、他人よりも優れているかもしれないと思えるのが何かを“感じ取る”ということなんです。台本から感じた空気や匂い、監督の話やスタッフの顔、共演者の方々から感じるモノ…目に見えない“何か”を感じながら役と向き合っています」。サエないOL生活に区切りをつけ、子連れの婚約者(元上司)と共に田舎に帰り、父のシジミ工場を継ぐが会社は倒産寸前。婚約者は連れ子を残して別の女と逃亡…。そこから“開き直り”を見せる佐和子という主人公を満島さんは「憧れの女性像に近い」とまで言う。「自分をちゃんと見て、自分をちゃんと解って『だから、こうやって生きていく』という答えを出せる女性って同世代であまり見たことがなくて、素敵だと思いました。母や祖母の持っている強さ…守るものがあって、何があっても生きていかなくちゃいけない、佐和子もきっと、母性のような強さにあふれているんです」。だが、演じる上では今回も当然、一筋縄ではいかなかった。「プライドや、これまで生きていく上で身につけてきたズル賢い智恵なんかを捨てなきゃできない役でしたね。“作る”のではなくダメなところも含めて自分を“壊して”全てでぶつからないと…。だから、最初に監督にお会いしたときも、私の人生にこの役が、この作品が必要で、どうしてもやりたい、という思いを、何の計算もなくぶつけたんです。『私を選ばなきゃ損しますよ』って感じで、言いたい放題に(笑)。まず、私自身が開き直らなきゃいけなかった」。だからこそ、と言うべきか、満島さん自身の人格、人柄について、演技と知りつつ映画の中のキャラクターと重ねて『役柄そのままの人なのでは?』と考えてしまう人も多いのでは?と言うと「かなり、そう言われます」と苦笑を浮かべた。「身近な人ですらそう言うんですよ。『台本あるから!』って毎回きちんと答えています。でも、それって嬉しいことだと思っています。“生っぽい”モノを目指しているので。『この人、本当にいるだろうな。でも身近にいたら嫌だな』なんて思えるような(笑)佐和子はなんだか自分に近いということもありましたが、現場もまるで実家にいるような雰囲気だったんです。監督が何か言っていても、親に何かを言われているような、そんな…。そのままの自分で向き合える空気を周りが自然に作ってくれましたね」。冒頭の質問に戻ろう。時に全てをさらけ出し、目を背けたくなる苦しみや痛みと向き合い役に臨む。満島さんが“女優”としてそこまでできるのはなぜなのか?「そう。最近考えるんですよ、何でいま、自分はこういう仕事してるのか?って。子供の頃から、大人や周囲の人間に自分の気持ちが伝わらないことがいっぱいあって。多分、昔から感じていたそういう『誰かに何かを伝えたい、誰かに何かを解ってほしい』という気持ちからだと…そう思っています。11歳の頃に映画『モスラ2 海底の大決戦』に出演して、相当ワガママな子役で、いまだにそのときのスタッフには『お前、ちゃんと仕事してるか?』とか言われますが、はは(笑)。その撮影の半年後に完成した作品を、スクリーンに映った自分を初めて観ました。私、自分の姿に感動しちゃったんです。セリフはなく、ただジッとスクリーンに映った自分の姿に。まだまだクソガキだったので深く考えてはいなかったですが、『あ、ここだ、私』って。その感動が原点で、己の姿と深く向き合いだしたきっかけです」。では最後に、いま、やってみたい役は?そう尋ねるとこのインタビューを通して幾度となく出てきた“生っぽさ”というキーワードを挙げ、こんな答えが…。「きれいなヒロイン役、やりたいですね(笑)。生きていくために本来持っている生っぽさを一生懸命隠しているような。昔の日本映画(白黒の時代)の奥ゆかしいマドンナのような役がやってみたいです、ふふ」。■関連作品:川の底からこんにちは 2010年5月1日よりユーロスペースほか全国にて順次公開■関連記事:満島ひかりが白ずくめ防菌服で“中の下の人生”を歌い上げる特別映像が到着
2010年05月12日