医療用医薬品などの製造、販売、輸出入を行っているファイザーは、全国47都道府県の喫煙者9,400人(各都道府県各200人)を対象に、「日本全国の”ニコチン依存度チェック”2012」を実施。その結果、禁煙挑戦者は増税時と比べ約半分の19.2%となり、喫煙者の67.7%がニコチン依存症ということがわかった。調査期間は9月21日から9月28日。まず、ニコチン依存症のスクリーニングテスト(東京大学の川上憲人氏らが、WHOの国際疾病分類のICD-10や、米国精神医学会の精神疾患の診断基準(DSM-IV)に準拠して開発したテスト)を実施。その結果、喫煙者の67.7%が「ニコチン依存症」の疑いがあることが明らかになった。この割合は、2008年調査時の70.8%、2010年調査時の66.9%と比較しても同じ水準であり、喫煙率こそ下がっているが、喫煙者の多くがニコチン依存症であることを示している。これを都道府県別に見ると、ニコチン依存症の割合が最も多いのは「福岡県」で76.0%、次いで、「新潟県(74.0%)」、「長崎県(72.5%)」となり、反対に最も割合が少ないのは「東京都」、「高知県」の60.5%、次いで「山梨県(62.0%)」、「千葉県(64.0%)」となった。「あなたはこの1年間で禁煙に挑戦しましたか?」と質問したところ、「ニコチン依存症」の人のうち24.4%が、「非ニコチン依存症」の人のうち8.4%が「はい」と回答している。同じ質問を、昨年、タバコ税増税後1年のタイミングで行った際には、35.1%の喫煙者が「禁煙に挑戦した(禁煙に成功した人+禁煙に挑戦したけれども失敗した人)」と答え、今回の調査結果のおよそ2倍の割合で禁煙に挑戦していた。このことから、タバコ価格の値上げが喫煙者の禁煙意欲に大きな影響を与えることがうかがえる。また、実際に禁煙に挑戦した喫煙者に対し、「この1年間で禁煙が続いた期間はどの位でしたか?」とたずねたところ、「半日未満」は5.6%、「半日から1日未満」は10.8%、「1日から3日未満」は22.2%、「3日から1週間未満」は17.1%となった。「1週間未満」で再喫煙してしまった人が55.7%と半数以上に上り、禁煙に挑戦しながらも1週間という短い期間で失敗している人が多いことから、禁煙の難しさが見て取れる。「あなたは、病院で禁煙の治療を受けられることを知っていますか?」と質問したところ、「知っている(よく知っている+知っている)」と回答した人は84.3%。2008年の62.4%に比べ、20%以上増加し、医療機関での禁煙治療に関する認知度が高まっていることが明らかになった。一方で、「あなたは医療関係者に禁煙について相談したことがありますか?」と、実際の受診行動について尋ねたところ、「相談したことがある」と回答した人は、7.3%と1割未満となっている。2008年調査時の6.3%と同水準で、認知度の増加と比べ、行動にはつながっていないことを示す結果となった。なお、同調査の詳細な結果は、同社ホームページで見ることができる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年12月04日タバコのほとんどの銘柄が、10月から1箱110円以上の値上げになるのを前に、禁煙外来に駆け込む人が増えているという。保険の利く禁煙治療については、2006年6月に「ニコチンパッチ」が適用化、また2008年5月には「チャンピックス」が国内で発売・適用となり、治療手段としても進化しているが、治療方法は医療機関によって異なるため、事前の確認が必要という。1~2ヶ月分のタバコ代で禁煙治療が一般的な禁煙治療は、3カ月間、月2回程度の通院で行われるが、その治療における自己負担費用は、保険を適用した場合、禁煙補助薬を含め約1万2千~1万8千円というから、個人差はあるが約1~2ヶ月分のタバコ代程度で済むことになる。しかし、保険適用にはブリンクマン指数(1日の喫煙本数×年数)が200以上などの条件があることと、仮に禁煙に失敗しても初診から1年以上経過しなければ保険適用されないなど、注意が必要だ。治療の種別と効果に関しては、禁煙治療の比較1.ニコチンガム(二コレット)吸いたくなったときにガムを噛むことで、口の中の粘膜がニコチンを吸収し離脱症状(吸いたい気持)を抑制するもの。噛むと舌がピリピリと辛い味がする。薬局・薬店で購入可。・成功率は10%以下2.ニコチンパッチ(ニコチネルTTS)1日1回貼る禁煙補助薬。持続的にニコチンが吸収され離脱症状を抑えられるが、貼ったところが痒くなる。・成功率は20%前後。3.チャンピックス1日2回服用する錠剤。離脱症状を抑制し、タバコを吸うとまずく感じるため禁煙し易くなる。・成功率は70%程度との報告があり、下方ほど禁煙成功率が高まる傾向となっている。禁煙成功率の高いチャンピックスとは?なおチャンピックスは、ニコチンではなくニコチンに似た構造を持ち、「ニコチン依存ニューロン」のα4β2ニコチン受容体に結合し、以下の2作用でタバコが吸いたくなくなるという。作動薬作用チャンピックスが体内に入ると、ニコチンが少し入ったのと同等の満足感が得られ、タバコを我慢しやすくなる。拮抗薬作用チャンピックスを飲んでいると、例えタバコを吸ってしまっても、タバコを吸うことの満足感が得られなくなる。なお、チャンピックスを使用した禁煙治療では、呼気一酸化炭素濃度を測定しつつ、禁煙治療がうまくいっているか経過をチェックすることが規定されており、保険診療を受ける場合は、必ずこの濃度を2週ごとに測定することとなる。参考までに、チャンピックスの情報と保険が使える医療機関を以下にリンクしておく。さて貴方は、信念で禁煙、それとも治療に頼る?
2010年09月24日