第87回アカデミー賞授賞式が2月23日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、『6才のボクが、大人になるまで。』のパトリシア・アークエットが「助演女優賞」を受賞した。初ノミネートで、初受賞を果たした。リチャード・リンクレイターが12年間という歳月をかけて、ある少年とその家族の移ろいを同じキャストで撮影し続けた野心的なヒューマンドラマ。パトリシアは二人の子どもを育てるシングルマザーを演じた。離婚や再婚相手のDVといった苦境から子どもたちを守ろうと奮闘し、愛情を注ぐ母親。それでも、子どもたちは成長とともに自分の世界を見つけ、巣立っていく…。そんな現実と向き合い、大学進学が決まった18歳の息子を前に「これで終わりだなんて。もっと何かあると思っていたのに」とこぼすシーンは多くの女性の心を震わせただけでなく、世代を問わずすべての観客に“母親の愛情”を再認識させた。今年の助演女優賞はパトリシアを筆頭に、ローラ・ダーン(『Wild』)、キーラ・ナイトレイ(『イミテーション・ゲームエニグマと天才数学者の秘密』)、エマ・ストーン(『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』)、メリル・ストリープ(『イントゥ・ザ・ウッズ』)という新旧の実力派が候補に名を連ねていたが、前哨戦である各映画賞レースで先頭を走ってきたパトリシアが順当にオスカーを手にした。姉は女優のロザンナ・アークエット。兄弟や父親も俳優という芸能一家に育った。ブレイクのきっかけは日本でも大ヒットを記録した『トゥルーロマンス』で、彼女が演じた自由奔放なヒロインは当時の若者に鮮烈なイメージを残した。その後はティム・バートン(『エド・ウッド』)、デヴィッド・リンチ(『ロスト・ハイウェイ』)、ミシェル・ゴンドリー(『ヒューマン・ネイチュア』)など個性豊かな監督とタッグを組んだ他、など。2005年よりテレビシリーズ『ミディアム 霊能者アリソン・デュボア』に主演し、エミー賞を獲得している。(text:cinemacafe.net)
2015年02月23日英国アカデミー賞が8日(現地時間)に発表になり、『6才のボクが、大人になるまで。』が作品賞や監督賞など主要部門で受賞した。最多受賞作は5部門を制した『グランド・ブダペスト・ホテル』。オリジナル脚本賞、作曲賞、美術賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘア賞と主に技術部門で表彰された。英国作品を対象とした英国映画作品賞に輝いた『博士と彼女のセオリー』は、主演男優賞(エディ・レッドメイン)、脚色賞を受賞。主演女優賞はジュリアン・ムーア(『アリスのままで』)、助演男優賞はJ・K・シモンズ(『セッション』)、助演男優賞はパトリシア・アークエット(『6才のボクが、大人になるまで。』)、とこれまで各映画賞で勝ち進んできた本命たちが順当に受賞を果たした。アメリカでは『6才のボクが、大人になるまで。』の対抗作として健闘している『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』はエマニュエル・ルベツキが撮影賞を受賞した。主な授賞結果は以下の通り作品賞:『6才のボクが、大人になるまで。』英国映画作品賞:『博士と彼女のセオリー』監督賞:リチャード・リンクレーター(『6才のボクが、大人になるまで。』)オリジナル脚本賞:ウェス・アンダーソン(『グランド・ブダペスト・ホテル』)脚色賞:アンソニー・マッカーテン(『博士と彼女のセオリー』)主演男優賞:エディ・レッドメイン(『博士と彼女のセオリー』)主演女優賞:ジュリアン・ムーア(『アリスのままで』)助演男優賞:J・K・シモンズ(『セッション』助演女優賞:パトリシア・アークエット英国脚本家、監督、プロデューサーによるデビュー作賞:『Pride』(原題)外国語映画賞:『イーダ』アニメ映画賞:『LEGOムービー』(text:Yuki Tominaga)
2015年02月10日英国アカデミー賞の最優秀作品賞に、リチャード・リンクレイター監督の『6才のボクが、大人になるまで。』が選ばれた。監督賞も、リンクレイターが受賞。この数週間、『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』が、プロデューサー組合賞(PGA)、映画俳優組合賞(SAG)、監督組合賞(DGA)を立て続けに受賞し、フロントランナーに躍り出ていたが、オスカー作品賞の結果と一致することが多い英国アカデミー賞を『6才のボク~』が受賞したことで、さらに激戦の度合いが増した。その他の写真イギリス映画部門は、『博士と彼女のセオリー』が受賞。同作品では、エディ・レッドメインが主演男優賞を受賞している。主演女優賞には、『アリスのままで』のジュリアン・ムーアが輝いた。助演男優賞は、『セッション』のJ・K・シモンズ、助演女優賞は『6才のボク~』のパトリシア・アークエット。脚本賞は『グランド・ブダペスト・ホテル』、脚色賞は『博士と彼女のセオリー』が受賞した。文:猿渡由紀
2015年02月09日第72回ゴールデン・グローブ賞授賞式が11日(現地時間)、ロサンゼルス開催され、同じキャストで12年間かけて撮影した『6才のボクが、大人になるまで。』がドラマ部門作品賞、監督賞、助演女優賞の最多3部門を受賞した。ゴールデン・グローブ賞はハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)会員の投票によって決定するもので、最多7部門で候補となっていた『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』はコメディ/ミュージカル部門男優賞、脚本賞の2冠となった。コメディ/ミュージカル部門作品賞は『グランド・ブダペスト・ホテル』が受賞した。『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で同部門男優賞を受賞したマイケル・キートンは、「(受賞者が)多くの人に感謝を述べるには理由があります。本当に感謝すべき人が大勢いるからです」と、まずはゴールデン・グローブ賞にコメディ部門を設けたHFPAに感謝し、質素な家庭に育った生い立ちから息子への愛まで涙ながらのスピーチ。会場の感動を誘った。ドラマ部門で男優賞を受賞したのは『博士と彼女のセオリー』スティーブ・ホーキング博士を演じたエディ・レッドメイン。先日ゴールインしたばかりの彼にとって、素敵な結婚プレゼントになったことだろう。功労賞にあたるセシル・B・デミル賞を受賞したジョージ・クルーニーは、7日(現地時間)にパリで起きた新聞社襲撃事件犠牲者に「Je suis Charlie(私はシャルリー)」のバッジを胸につけて登壇。大作以外にも光をあてるゴールデン・グローブ賞に感謝を述べ、「大作は大丈夫ですが、小規模作には観客が必要です」とコメント。さらに、昨年亡くなったローレン・バコールとロビン・ウィリアムズの名前を挙げて、受賞することよりも人々の記憶に残ることの大切さについて語り、会場にいる夫人に向かって「アマル、君の夫であることを何より誇りに思っているよ」と語りかけた。そして、同日パリで行われた大規模なデモにもふれ「Je suis Charlie」と支持を示すひと言で締めくくった。授賞式前半ではHFPA協会長のテオ・キングマも「国際ジャーナリストである我々は芸術表現の自由の重要性を理解しています。北朝鮮からパリまで、言論の自由を抑圧しようとする人々と戦うために団結しましょう」と昨年末に起きたコメディ映画『THE INTERVIEW』(原題)の公開をめぐる騒動、パリの新聞社襲撃事件に言及したスピーチを行い、スタンディング・オベーションを受けた。授賞結果は以下の通り<映画>ドラマ部門作品賞:『6才のボクが、大人になるまで。』男優賞:エディ・レッドメイン(『博士と彼女のセオリー』)女優賞:ジュリアン・ムーア(『アリスのままで』)コメディ・ミュージカル部門作品賞:『グランド・ブダペスト・ホテル』男優賞:マイケル・キートン(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』)女優賞:エイミー・アダムス『ビッグ・アイズ』助演男優賞:J・K・シモンズ(『セッション』)助演女優賞:パトリシア・アークエット(『6才のボクが、大人になるまで。』)監督賞リチャード・リンクレイター『6才のボクが、大人になるまで。』脚本賞アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、 ニコラス・ヒアコボーネ、アレクサンダー・ディネラリス・Jr、アルマンド・ボー(『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』)外国語映画賞『リヴァイアサン』(ロシア)アニメ作品賞『ヒックとドラゴン2』作曲賞ヨハン・ヨハンソン『博士と彼女のセオリー』主題歌賞GLORY『SELMA』(原題)<テレビ>TVシリーズドラマ部門作品賞:「THE AFFAIR」(原題)男優賞:ケヴィン・スペイシー(「ハウス・オブ・カード 野望の階段」)女優賞:ルース・ウィルソン(「THE AFFAIR」原題)TVシリーズコメディ/ミュージカル部門作品賞:「TRANSPARENT」(原題)男優賞:ジェフリー・タンバー(「TRANSPARENT」)女優賞:ジーナ・ロドリゲス(「JANE THE VIRGIN」原題)ミニシリーズ・TV映画部門作品賞:「FARGO/ファーゴ」男優賞:ビリー・ボブ・ソーントン(「FARGO/ファーゴ」)女優賞:マギー・ギレンホール(「THE HONORABLE WOMAN」原題)助演男優賞:マット・ボマー(「ノーマル・ハート」)助演女優賞:ジョアンヌ・フロガット(「ダウントン・アビー」)(text:Yuki Tominaga)
2015年01月12日ニューヨーク映画批評家サークル賞が発表された。作品賞に輝いたのは、リチャード・リンクレイター監督の『6才のボクが、大人になるまで』。作品賞のほか、監督部門(リンクレイター)、助演女優部門(パトリシア・アークエット)でも賞を獲得した。その他の画像主演男優賞は、『Mr.Turner(原題)』のティモシー・スポール。スポールは5月のカンヌ映画祭でも男優賞を受賞している。主演女優賞は『エヴァの告白』『Deux jours, une nuit(原題)』のマリオン・コティヤール。助演男優賞は『Whiplash(原題)』のJ・K・シモンズ。アニメ部門は『LEGO(R)ムービー』が受賞した。主な受賞結果は以下のとおり。作品賞:『6才のボクが、大人になるまで。』監督賞:リチャード・リンクレイター『6才のボクが、大人になるまで。』脚本賞:ウェス・アンダーソン『グランド・ブダペスト・ホテル』主演男優賞:ティモシー・スポール『Mr.Turner(原題)』主演女優賞:マリオン・コティヤール『エヴァの告白』『Deux jours, une nuit(原題)』助演男優賞:J・K・シモンズ『Whiplash(原題)』助演女優賞:パトリシア・アークエット『6才のボクが、大人になるまで。』外国語映画:『Ida(原題)』(ポーランド)文:猿渡由紀
2014年12月02日リチャード・リンクレイター監督の最新作『6才のボクが、大人になるまで。』が日本でも大ヒットを記録している。主要キャストを12年間に渡って撮り続けて1本の映画をつくるという本企画は、監督曰く「極めて非現実的」な挑戦だった。しかし、彼は何の約束もせず、何の保険もかけずにこのプロジェクトに着手した。その他の画像映画は、母と一緒にヒューストンからテキサスへと移り住んできた6才の少年メイソンを主人公に、彼と家族、そして周囲の人々の物語を描いた作品。メイソンと周囲の人々が年齢を重ねて成長していく様を、実際に12年間かけて撮影するという前代未聞のプロジェクトだ。「この企画のすべてが、技術的に不可能か、あるいは運がよくても極めて、極めて非現実的だった」というリンクレイターは諦めることなく準備を進め、IFCフィルムズから長期に渡る資金をとりつけ、俳優たちを集めた。米映画界には12年に渡る契約は存在しないため、契約書は存在せず、監督は俳優たちと“約束”だけを交わして撮影に入り、1年のうちに数日だけキャストとスタッフを集めて撮影し、また来年を待った。「あれは8年くらい経った頃かな。しばらくそこまでの分を通して見てなかった。8年目の撮影分を編集してて、映画の最初のショットまでちょっと戻ってみたんだ。編集者といっしょに爆笑したよ!それで、うまく行ってることがわかった」。ちなみに俳優が途中で降板したり、亡くなってしまった時の“保険”は一切なかったという。「エスケープ・プランなんてないさ!そういう心配は、ぼんやりと心をよぎったりもしたが、まともに気をもんだことはない。みんなこの映画に対する信念を持ってた。どうしてだかわからない。この映画の核になるアイデアを全員が信じてたんだと思う」。少し撮っては別れ、次の年にまた集まり……12年の間に監督は他の作品を10本監督し、主人公の父親役のイーサン・ホークは20本の、母親役のパトリシア・アークエットは8本の映画に出演した。そしてついに撮影が終わり、映画が完成した。「ほろ苦い感じだ。寂しいと感じたことはない。この映画には充分すぎるほど満足してるからね。だがみんな、映画の製作が終わることははっきり意識してた。最後のショットは映画自体のラストショットだった。「ああ、終わってしまった。いやそうじゃない。やっと世に出たんだ」新しい段階に達したということだ」。完成した映画は瞬く間に高評価を集め、ベルリン映画祭で銀熊賞(監督賞)を獲得。アカデミーでも有力候補という声があがっている。しかし、監督は“壮大な映画”を撮ったという気はまったくないようだ。「私の作る映画はとても個人的なものだ。それに、この映画はみんなの記憶をまとめたものなんだ。私の子供時代、エラーの子供時代、イーサンの子供時代、パトリシアの……どの記憶が何割くらいなのかはっきり言うのは難しいけどね」。この映画にはきっと“あなた”の子供時代とも重なる感情や出来事がたくさん描かれているはずだ。『6才のボクが、大人になるまで。』公開中
2014年11月21日2014年2月、第64回ベルリン国際映画祭で、映画関係者そしてシネフィルたちを驚かせ大絶賛された『6才のボクが、大人になるまで。』。それは、6歳の少年・メイソンとその家族の物語を、12年もの長きにわたり同じ主要キャストで紡ぎ続けるという画期的な作品でした。この映画を完成させたのは、『ビフォア』シリーズほか革新的な映画作りで知られるリチャード・リンクレイタ―監督。彼の盟友でもあり、メイソンの父親を演じた俳優イーサン・ホークを直撃し、“奇跡”の秘密に迫りました。12年に渡る映画製作という驚くべきアイディアが、大きな魅力となっている『6才のボクが、大人になるまで。』。制作前、この企画について聞いた多くの人が、そんなことができるのか?と思ったに違いありません。この作品についてオファーされたとき、イーサンはどう感じたのでしょう。途中で本作が完成するかどうか、不安になることはなかったのでしょうか。「素晴らしいアイディアだと思った。それに、すでにリチャード(リンクレイター監督)とは3本作品を撮っていたから全く躊躇はなかったよ。時間について描くというのはとても魅力的なものだと感じたしね」。長い製作期間中、自分自身も共演者の変化や成長を、ひしひしと感じる場面に出くわしたとも話します。「ものすごい変化があったよ。撮影が始まった頃、主人公のエラー・コルトレーンはチャイルドシートに座っていたけど、最後には自分で運転をするようになった。一緒に時間を過ごすことで僕に慣れ親しんでくれて、リラックスした様子を見せるようにもなったんだ。僕が若かった頃、多くの人達に優しくしてもらったけど、今は逆の立場だ。若い人達に恩返しするような気持ちで、優しく指導してあげたいと思っているよ」。長い時間を共に過ごし、スタッフ、俳優の間には密な関係性が生まれたことで、本作には他の作品にはないリアリティが生まれたそう。「この映画は家族について描いていて、キャラクターの個性がとてもユニークに表現されている作品だ。本作の特別なところは、12年という時間の流れや、突然訪れる出来事、撮影毎に日々変化していく関係性、コミュニティ、政治、その時代の様々なものに影響されているところにある。そういったものすべてが家族や人々の個性を形成していく、という事を伝える役割があったんだと思っているよ」。では、長きにわたって、自分の生活の一部になっているプロジェクトを離れる気持ちは、どのようなものだったのでしょう。「もう、圧倒されたよ。麻痺しているような感覚になった。僕の撮影はクランクアップの1か月前に終わったんだ。その後、監督と主人公を演じたエラーはメイソンが大学に行くシーンや、ラストシーンを撮ったんだ。終わった時には監督とエラーは抱き合って、達成感を感じていたようだった。僕も後からそれを見て、胸が張り裂けるくらいの喜びを感じたんだ。僕には16才の娘がいるんだけど、彼女は僕がこの作品に関わっていない時代を知らない。彼女が物心ついた時から、僕はこのプロジェクトに参加していたからね。そういった個人的な理由もあって、僕にとってものすごく重要な作品なんだ」。リンクレイター監督の作品についてはこう話します。「最近の文学や映画は皮肉に溢れたものが多いよね。美しいものをあえて斜にかまえて描写してみたり、人の弱さを強調したりする傾向がある。でもリチャードは、美しいものは美しいままに、素直に描き出す。例えば、女性にメイクをして、強いライトを当てるより、ありのままの姿を撮る方が好きなんだ。それは女性に限らずね。ある意味で彼の作品はトルストイの作品に似ていると思う。非常にはっきりとした明確なものを描くんだけど、それは周囲との共同作業によって生み出されているんだよ」リンクレイター監督と幾度も組んで個性的な作品を作り出してきたイーサン。俳優イーサン・ホークにとって、監督はどんな存在なのでしょう?「僕とリチャードは親友なんだけれど、その事を口にするとなんだかそれが陳腐なものになってしまうような気がして…説明しづらいんだ。僕は恵まれた星のもとに生まれてきたんだと思う。まわりには、僕を導いてくれる守護神のような人達がたくさんいるけれど、その中でも最も感謝すべきは、僕をリチャードに紹介してくれた人だ。大体の監督はエゴが強くて、自分こそがフレームを支配する人間だと思っているし、自分だけのビジョンを強く持ってる。それが普通の監督なんだ。でも、リチャードは唯一、自分の意志も明確に持ちながら、“一緒にビジョンを作り上げてくれ”と言い、僕たちの考えも喜んで受け入れてくれる。だから、リチャードは“My Vision”という言葉を決して使わない。必ず“Our Vision”と言うんだ。リチャードの作品には知性があるけど、それは彼が色んな人のアイディアを素直に受け入れるからだと思うし、チームのリーダーでありながら、人の話を本当によく聞いて、そして心から興味を持ってくれる。彼は本当に人が好きなんだと思うよ」良き理解者として、共に新しいことに挑戦し続け、刺激し合いながら、映画界での成功を手にしてきたリチャード・リンクレイタ―監督と俳優イーサン・ホーク。 “奇跡的な名作”に欠かせないのは、素晴らしき仲間の存在なのだと感じさせてくれるインタビューでした。百戦錬磨のベテラン俳優、イーサンすら興奮させる未知の世界。ぜひご自身の目で確かめてみてください。(text:June Makiguchi)
2014年11月14日イーサン・ホークを始めとする4人の俳優が、12年間、ひとつの家族を演じ続けた映画『6才のボクが、大人になるまで。』が、いよいよ11月14日(金)から全国公開となる。本作は、男女の出会いを絶妙なテンポのリアルな会話劇で描いた『恋人までの距離(ディスタンス)』から始まる、『ビフォア』シリーズを手がけたリチャード・リンクレイターが監督と脚本を務めた物語。子ども時代の感情や親としての思いが詰まった名セリフが続々と登場し、リアルでパーソナル、そして普遍的な家族の姿を見事に映し出していることが分かった。2014年2月、第64回ベルリン国際映画祭で上映されるや世界中を驚かせた本作は、6歳の少年・メイソンとその家族の変遷の物語を、同じキャストで12年に渡り撮り続けた画期的なドラマ。この、かつてない試みを実現させたリンクレイター監督は、同映画祭で2度目の「監督賞(銀熊賞)」を受賞した。あどけない6才の少年から18才の凛々しい青年へと成長していくメイソンを演じたのは、12年前にリンクレイターがオーディションで見出した逸材、エラー・コルトレーン。さらに、自分の夢を追いながら子どもたちを育ててきた母親役のパトリシア・アークエット、離別した父親役のイーサン・ホーク、姉役のローレライ・リンクレーター(監督の実娘)も、12年に渡り、それぞれの役の変化と成長を演じ切っている。子ども時代のパーソナルな感情や、表現しようもない微妙な経験を描きたいというリンクレイター監督の思いから始まった本作。だが、ひと口に“子ども時代”といっても、監督自身、当初はどこから始めるべきか、はっきり分かっていたわけではなかったという。やがて、監督の中にひらめいたのは、「すべてを描いてみたらどうだろう?」というアイデア。そこで、監督とイーサンやエラーらキャストたちは、毎年撮影のために集まっては自分たちの近況を話し、その一部を脚本に反映。かくして、誰もが身近に感じられる言葉の数々が詰め込まれることとなった。その一部を、抜粋してご紹介しよう。「頑張れ、人生は甘くない」――6才のメイソンが「ボーリングで柵付きレーンがあればいいのに」とぼやいた時に父親がかけたひと言「枕を間に挟んで、バリアを作って!騒がない!無言ゲームをしましょ。誰が一番長く黙っていられるか」――車の中でいくら言ってもふざけ合う、メイソンと姉を叱る母親のひと言「引っ越してもどうってことない。会いに行くよ。800キロ離れない限り、車を飛ばせばすぐだ。大丈夫。」――ある事情で引っ越すことになったメイソンたちに父親が話すひと言「フェイスブックの方が、会話より情報量が多い…」――思春期に突入した娘のフェイスブックを見た父親のひと言「彼女は音楽やゲームに興味ない。『トロピックサンダー』や『ダークナイト』にも」「いい方法があるぞ。彼女を質問攻めにして、その答えを熱心に聞いてやるんだ。そうすりゃライバルを引き離せる」――年ごろになったメイソンが父親に恋愛相談しているときの会話「どんな人間になりたいか、真剣に考えて。人助けをする思いやりのある人間か、自己中心的なナルシストになるか」――進路を迷うメイソンに対して、母が語りかけるひと言「メイソン、何になりたい?何がしたいんだ?誰でも写真は撮れる、だが君にしか撮れないものは?」――アートの道に進みたいと話すメイソンに、学校の教授からのひと言このほかにも、心を揺さぶる名セリフがいくつも登場する本作。あなたの心に染みるひと言を、ぜひ劇場で探してみて。『6才のボクが、大人になるまで。』は11月14日(金)からTOHOシネマズシャネテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年11月13日アワードシーズンで最も早く発表になるゴッサム賞のノミネーションが発表された。最多ノミネーションは、リチャード・リンクレーター監督の『6才のボクが、大人になるまで。』で、作品部門、俳優部門(イーサン・ホーク)、女優部門(パトリシア・アークエット)、ブレイクスルー俳優部門(エラー・コルトレーン)の4部門で候補入りした。その他の画像ほかには、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』、ウェス・アンダーソン監督の『グランド・ブダペスト・ホテル』、アイラ・サックス監督の『ラブ・イズ・ストレンジ(原題)』、ジョナサン・グレイザー監督の『アンダー・ザ・スキン種の捕食』が作品部門にノミネートされている。俳優部門の候補者は、ホークのほかに、マイケル・キートン(『バードマン~』)、ビル・ヘイダー(『The Skeleton Twins(原題)』)、オスカー・アイザック(『A Most Violent Year(原題)』)、マイルス・テラー(『Whiplash(原題)』)。女優部門には、アークウェットのほかに、ジュリアン・ムーア(『Still Alice(原題)』)、スカーレット・ヨハンソン(『アンダー・ザ・スキン』)、ミア・ワシコウスカ(『Tracks(原題)』)、ググ・ンバータ=ロー(『Beyond the Lights(原題)』)が候補入りしている。授賞式は現地時間12月1日。文:猿渡由紀
2014年10月25日『恋人までの距離(ディスタンス)』から始まる『ビフォア』シリーズで有名なリチャード・リンクレイター監督の最新作『6才のボクが、大人になるまで。』(11月14日公開)。NYタイムズに「21世紀に公開された作品の中でも並外れた傑作の1本」と言わしめた本作は、6才の少年メイソンとその家族の12年に及ぶ変遷の物語だ。これまでの映画と違うのは、メイソン役のエラー・コルトレーンを始め、同じ主要キャストで12年にわたり撮り続けた、ということ。この画期的なドラマは、映画評論家だけでなく、ハリウッドスターの間からもアツい視線を浴びている。ジョセフ・ゴードン=レヴィットやアシュトン・カッチャー、またエドガー・ライトなどの監督も、次々にTwitterで映画を観た感想をツイート。その一部をピックアップしてご紹介しよう。ジョセフ・ゴードン=レヴィット(俳優)『6才のボクが、大人になるまで。』を観た。本当にユニークな映画、 12年の歳月をかけて撮影してるんだ。他に観た人いる?ケイシー・アフレック(俳優)最高だよリンクレイター! 美しい映画だ。アシュトン・カッチャー(俳優)昨日の夜この映画を観たんだけど、僕が大人になってどれだけ嬉しいか思い出させてくれたよ。インスパイアされる映画だ。オリヴィア・ワイルド(女優)『6才のボクが、大人になるまで。』を観に行って。ちくしょう! 最高よ。クリストファー・ミンツ=プラッセ(俳優)傑作だ。なんて特別な映画だろう。機会があったぜひ観てみて。ブラッド・バード(『レミーのおいしいレストラン』『Mr.インクレディブル』監督)ワォ、なんて簡単に奇跡を起こしちゃうんだ。少しの瞬間を伝えるコレクションのようだ。まだこの作品について考えてる。こうした著名人たちはもちろん、12年間、少年メイソンの父親を演じたイーサン・ホークも、本作が大のお気に入り。リンクレイター監督から初めて、この前代未聞となる撮影アイデアを聞いたときも、少しの疑問も感じなかったと語っている。「正直に言うけど、リチャードから聞いたとき、絶対にうまくいくと思ったんだ。あんなに脚本が少なかったのは初めてだったけどね(笑)。ちょうど僕に息子が生まれたころだった。リチャードから『こういう映画のアイデアをずっと温めているんだ』と言われた。最初は、僕のスケジュールがいっぱいで参加できないんじゃないかと不安だったよ。でもどうしても出演したかったから、『どうにかする!』って約束したんだ」。『6才のボクが、大人になるまで。』は11月14日(金)からTOHOシネマズシャネテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月24日