順天堂大学は4月6日、悪性リンパ腫細胞や成人T細胞白血病細胞を今まで知られている仕組みとは異なった機序で死滅させる抗体を樹立したと発表した。同成果は、順天堂大学 医学部 病理・腫瘍学講座 松岡周二助教、理化学研究所 統合生命医科学研究センター ワクチンデザイン研究チーム 石井保之チームリーダーらの研究グループによるもので、3月31日付けの米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。B細胞リンパ腫や成人T細胞白血病において有意な治療効果を示す抗体医薬はこれまでにも開発されているが、一部の効果がみられない患者や、一度寛解しても標的分子を欠失した耐性株が出現し再発する患者も多いという問題があった。同研究グループは今回、通常行われているように標的分子のペプチドを免疫したり、1種の悪性リンパ腫で免疫したりするのではなく、複数の悪性リンパ腫で免疫したマウスの抗体産生細胞を用いて融合細胞を作製し、悪性リンパ腫細胞への細胞傷害活性を指標にスクリーニングした。この結果、複数の分子(HLAクラスII分子群のDP、DQ、DR)に結合し、多くの悪性リンパ腫に傷害活性を有する抗体「4713モノクローナル抗体(mAb4713)」を得た。同抗体は、短時間で巨大な穴を血液がん細胞に直接あけるという作用をもっており、同抗体を注射することにより、悪性リンパ腫細胞を移植したマウスの生存を有意に延長したという。さらに正常な細胞に対しては傷害活性がないことも確認している。同研究グループは、今までの抗がん剤や分子標的薬で治療できなかった患者や再発した患者に対し、効果的な治療薬の開発が見込まれるとしている。
2016年04月07日協和キリン富士フイルムバイオロジクスは7月24日、現在開発中のバイオシミラー医薬品「FKB238」の開発・販売で英アストラゼネカと提携し、折半出資による合弁会社を設立する契約を同日に締結したと発表した。バイオシミラー医薬品とは、特許期間が満了したバイオ医薬品の後続品のこと。新会社が開発と販売を行うことになる「FKB238」は、大腸がんや非小細胞肺がんなどに治療効果をもつ抗VEGFヒト化モノクローナル抗体製剤「ベバシズマブ」のバイオシミラー医薬品で、協和キリン富士フイルムバイオロジクスが2014年11月より、欧州で第I相臨床試験を開始している。新会社は2015年中の稼働開始を予定しており、資本金は9000万ドル。名称は未定。なお、協和キリン富士フイルムバイオロジクスは「FKB238」に関する権利を新会社に移行させ、その対価として一時金4500万ドルを受け取っている。
2015年07月27日