タレントのスザンヌ、渡辺裕太、マーティンが、5日(10:00~)・8日(21:00~)・10日(15:30~)に12の地方テレビ局と連携して配信される番組『ロコの星マーケットライブ配信ショッピング』に出演する。全国12放送局とKKTエンタープライズ、未来のテレビを考える会、LiveParkがタッグを組み、地方の知られざる食・工芸品の魅力発信を目的として実施している「ロコの星プロジェクト Season2」。同番組はその一環として行われ、各社が地元で発掘したスター商品の「伝え方」「見せ方」をブラッシュアップし、事業者・生産者が自らライブで商品の魅力を伝える。コメントは以下の通り。■スザンヌ今週卒業したばかりなのですが、この一年、高校に通ってマーケティングなども学んできました。いまのコロナ禍やデジタル時代に、地域が元気になっていくことが日本が元気になっていくってことなんだろうな、とも感じています。息子たちが大きくなったときに幸せな世の中になってくれていればいいなぁ、と願っています。私も3月5日の配信に参加する「ロコの星プロジェクト」は、まさにそんなローカルの星が集まった取り組みになっているらしいので、楽しみにしています!■渡辺裕太日本各地、色々と行かせていただきましたが、それぞれ風土や文化によって魅力が異なりますから本当に日本ってすごいですよね。3月10日の生配信に僕も出演させていただきます。お楽しみに!■マーティン地域のスター、ローカルのスター、ロコの星。どんな商品に出会えるか楽しみです!3月10日の配信には僕も出演します。宜しくお願いしマーティン!■ロコの星アンバサダー/北海道テレビ放送「水曜どうでしょう」ディレクター・藤村忠寿氏本物を見つけるのは大変だ。なぜなら本物は自分から本物って言わないからね。だからこそ見つけたときの喜びも大きいんだよね。地方のテレビ局だからこそ知っているそんな本物、つまりロコの星に出会えることを是非楽しんでもらいたい。僕もいろんな地方に出向きいっぱい本物に出逢ってきたからこそ分かる! 地方にはまだまだ本物がいっぱいあるってこと。テレビ局と楽天さんが手を組み本物を伝えていくことで、新しい喜びをみなさんが感じてくれることに大いに期待します!
2022年03月04日ずっと都市部で生活をしている私にとって、地方都市=田舎のイメージで憧れを感じていました。そんな私が夫の仕事の都合で地方都市へ移住したのは、子どもが生後4カ月のとき。私は車の免許を持っていませんが、移住先は市街地。義母もずっとそこに住んでいて、運転できなくても生活に支障はない様子。そのため特別な準備はせず義母の家へ引っ越しをしたのですが、いざ生活をしてみるといろいろと困ったことがあったのです……。 小児科がない移住先の市は0歳児の予防接種のスケジュールが細かく決められていました。義母に小児科の場所を聞いてみると、「近所の小児科はみんなやめてしまわれた」とのこと。そこで、予防接種のスケジュールと一緒に市役所でもらった、予防接種対応医療施設の一覧と地図を照らし合わせました。そうすると徒歩圏内に小児科がないことが判明。 唯一あったのは、予防接種と健診のみで一般外来はおこなっていないという小児科医院。予防接種はそこの小児科医院ですべて済ませましたが、皮膚がかぶれた、熱が出たとなったら公共交通は本数が少ないため、タクシーを使って小児科へ行く必要がありました。 子ども用品を扱うお店がない移住して1年経ったころから私はフルタイムで働き始めました。それと同時に子どもは保育所通いです。保育所には多めに着替えを持って行っていましたが、足りずに保育所の服を借りることもしばしば。 そうするとTシャツやズボンは洗濯して返せばよいのですが、下着は同じサイズの新しいものを持ってきてほしいと言われます。そう言われても徒歩圏内に子ども用品を扱っている店はありません。自転車圏内まで広げればあるのですが、17時30分に子どもを迎えに行ったあとに買い物に行くのは時間的になかなか難しく……。 結局は保育所には待ってもらい、ネット通販で取り寄せるか、週末に買いに行くという方法を取りました。 近所に子どもがいない私たちが住んでいるのは商店街のはずれです。周りには昔からのお店をしていたり、お店をやめたあとリフォームをして住まいにしたりしているお宅があります。つまり子育て世帯はほとんどなく、年配の方が多い地域でした。 近所に子どもの遊び相手になるような年頃の子どもはおらず、児童館に行っても人はまばら。保育所以外で同年代の子どもと遊ぶということがなかなかできず、大人とばかり遊ぶようになっていました。 私が運転ができたら問題はずっと軽いものになっていたと思います。今ではないならないなりに過ごす方法が身につきました。しかし移住前にもう少し子育ての生活をシミュレーションできていれば、慌てたり不安にならずに済んだだろうと思っています。 監修/助産師REIKO著者:小原水月1児の母。管理栄養士免許取得。「健康が人生をわくわくさせる」をモットーに食と健康の分野でライターとして活動中。高齢出産後、生まれ育った都心を離れ夫の実家がある地方都市へ移住。義母と同居。
2021年03月07日地方で人気のベーカリーが続々東京に進出中。ご当地でしか食べられなかった絶品パンが、東京都内でも購入できるとあって今話題なのです。今回は地方から東京進出を果たした人気ベーカリーをご紹介します。1.〈満寿屋商店〉/都立大学「クローバーの塩バターパン」(180円)(税込)十勝・音更町よつ葉乳業のバターをたっぷりと生地に使用。真ん中にのせた岩塩がおいしさをさらに引き立てる。1950年に帯広で始まったパンの老舗〈満寿屋商店〉。その東京1号店がここ。多くは本店と同じメニューだが「チャバタ キタノカオリ」と「チャバタ 春よ恋」は粉の違いを楽しめる東京限定品。「日本最大の小麦産地である十勝の魅力をパンで伝えたい」と、小麦はもちろん、水から乳製品、砂糖、発酵用酵母まですべてが十勝産。現地生産者の食材を引き立てるパンはもちろん、什器まで現地の特産品を使用。ここに来れば知らなかった十勝の魅力に出会えるはず。(Hanako1143号掲載/photo : Kanako Nakamura text : Kimiko Yamada)2.〈Zopfカレーパン専門店〉/丸の内「オリジナルカレーパン」300円。街の人気店で知られる、千葉・松戸にある本店の伊原靖友シェフと共同開発。常に1日2,000個以上売り上げている。田中 希美さん本店とほぼ同じ食材を使い、工場で作っても手作りと同じ味になるよう、1年をかけて完成させた渾身の逸品。十数種類のスパイスを使い、粗めのパン粉を通常より長時間揚げることでスパイシーでカリカリの食感に。〈Zopf(ツオップ)カレーパン専門店〉東京都千代田区丸の内1-9-1〈JR東京駅グランスタ〉B103-5220-59508:00〜22:00(日、連休最終日の祝〜21:00)無休イートインなし(Hanako1182号掲載/photo:Kenya Abe, Kaori Ouchi, Natsumi Kakutotext:Kumiko Okazaki edit:Yoshie Chokki)3.〈Baguette rabbit 自由が丘店〉/自由が丘三重産全粒粉入りの「バゲットラビット」330円や、小麦の風味をより楽しめる数量限定の「バゲットメルベイユ」300円など、特徴が分かれたバゲットはお好みを探してみて。駅から離れた立地にもかかわらず、平日でも客足が途切れないこの店は、自由が丘に進出し、話題となった名古屋の有名店だ。生地を低温で長時間じっくり熟成・発酵させ、小麦の旨味を十分に味わえるパン作りを心掛けるこの店の代表作は、もちもち食感の「ブール」。117%(!)と高い加水率で、その驚きの口どけは、店で試食した人が感動の声を上げるほど。それと人気を分けるのが、味が違う4種のバゲット。そのほか菓子パンなど約80種が並ぶ。目移りするうちに売れてなくなるが、ブールは夕方まで焼き上がるのでご安心を!〈Baguette rabbit 自由が丘店〉東京都目黒区自由が丘1-16-1403-6421-12089:00~20:00無休(Hanako CITYGUIDE『自由が丘 百科事典』掲載/photo: Misa Nakagaki, Makoto Kujiraoka text: Akane Imoto)4.〈中村食糧〉/清澄白河角食パン「お角」360円が並んだ棚。左・中村隆志シェフ。4種類の発酵種を巧みに操り、長時間熟成を経てありえない風味・食感のパンを生みだす。左から、「イチゴ」760円(フランボワーズ生地にパインとマスカット)と「マロロン」480円(渋皮栗入り)。大きく焼いたハード系は、驚愕のやわらかさと口溶け。まるで未来のパン。スペシャリテの「みんなのパン」560円(右)と、ようかんがモデルの「ヨカン」560円。カプセルの中にパンを飾る。「いままで出会ったこともないようなパンを焼くシェフがいる」噂を聞いて訪ねた和歌山の〈3ft(サンエフティー)〉。中村隆志シェフはぶっ飛んだ人だった。そんな彼が突如〈中村食糧〉と店名を変え、東京に進出を果たした。中村さんのパンを表すキーワードは「溶かす」。中村さんは生地を長時間熟成させる。17℃という高めの温度帯で、パンの骨格を作る小麦の中のタンパク質はどんどん溶けていく。溶けるとともにやわらかくなって、あのぷるんぷるん揺れるような食感、じゅわーと溶ける口溶け、そしてハード系としてはありえないほどの甘さが生まれる。タンパク質が溶けすぎれば、パンとして成立しない。それをぎりぎり寸止めして紙一重でパンにするから、こんな奇跡のようなパンになるのだ。〈中村食糧〉清澄庭園脇にオープン。高加水の新食感ハード、セミハード計十数種を4種の自家培養発酵種を使って焼く、中村隆志シェフの未来系ベーカリー。東京都江東区清澄3-4-2010:30~15:30火水休※イートインなし(Hanako1191号掲載/photo:Kenya Abe)
2021年02月20日地方の美味しいグルメを食べたいならば、その土地に精通している人に聞くのが一番!そこで今回は『Hanako.tokyo』のコラム連載陣のオススメ地方グルメをまとめてみました。旅行に行ったら要チェックです。1.ヴァイオリニスト・花井 悠希さんリコメンド…〈Pea Green〉のパン/三重県「塩パン」「角食」四日市市在住の友人がオススメしてくれたのが、〈Pea Green〉のパン。中でも、食パンは予約をしないと買えないほど大人気らしい!「塩パン」はふっかふか。これはあまりにもあれだ、あれなんです。そう、天日干ししたお布団のようなのです。そこからむぎゅ、もちーっとした弾力が徐々に出てくると、歯が最後押し切る直前にもっちもっちと1番の抵抗が。中央のバターの住処の空洞からふかっとぬける空気も塩気もちょうどいいです。「角食」は持ち上げるとズシッと重みが。はい、注目!これが食パンの保水力を物語っているのです。トーストしても水分をたっぷり抱えた重みは健在です。まるで真っ白なはんぺんのように(褒め言葉です!)しゅわしゅわと消える口溶けは、ピュアで儚く繊細で、甘みがゆっくりと広がります。舌に残るほど甘くないのがいいのです、とても。(photo&text:Yuki Hanai)2.モデル・木村ミサさんリコメンド…「ぐんまの桑茶 ほうじ茶」と「カテキン2倍!ガラガラ茶」/群馬香りは焙じの香ばしさの中に青みがかった桑の香りがほのかに香る。ただ、この青みが一口飲んだときに丸みのある甘さに変わってすっと飲みやすい。ほうじ茶のいわゆる芳醇さを持ち合わせながら、ほのかな甘みとまろやかさがクセになり、何度でも飽きずにいただけること間違いなしのやつです。鮮やかでキレイな緑茶の色は粉末ならでは。これだけ鮮やかだと見ていてうっとりする。味は、濃く入れた緑茶のようなカテキンを感じます。濃いのが好きな方にはぴったり。粉末なので薄味が好きな方はお湯を足して調整するといいかもしれません。私の地元・群馬県は、世界遺産になった〈富岡製糸場〉もあるように、かつては養蚕が盛んな地域。その礎となった桑の葉が今でもたくさん桑園農家さんによって大切に育てられています。そんな桑の葉を一枚一枚丁寧に摘み取って独自の製茶技術により誕生したのが「ぐんまの桑茶」。ぐんまちゃんが目印の「カテキン2倍!ガラガラ茶」は粉末緑茶。ガラガラ茶とはなんぞや?ってなるかと思いますが、緑茶に含まれる茶カテキンを抽出し、茶粉末と混ぜ合わせることで、通常の緑茶の2倍までカテキンを強化したもの。カテキンは風邪予防にもいいので、2倍も入っているのがありがたい。(photo&text:Misa Kimura)3.タレント・眞鍋かをりさんリコメンド…〈玄むす屋〉の「玄米おむすび」/愛媛玄米おむすびと玄米パンのお店〈玄むす屋〉の玄米おにぎり。15種類のおにぎりが入った「玄米おにぎり15個セット」。「塩」、「醤油」、「梅」などオーソドックスな味や、「とりそぼろ」、「ごま海苔」、「黒大豆」などなど。どれから食べようか、目移りしてしまいます。なるほど、実店舗はこういう感じのお店なのね…と、住所を見てビックリ!愛媛県西条市、めちゃくちゃ地元じゃないですか!そんな地元の契約農家さんの玄米を使った玄米おむすび。冷凍のまま、袋ごとチンでOKです。なんてお手軽!優しく握られたおむすびは、ホロっとほどけるような口当たり。中までやわらかく、噛めば噛むほど玄米の甘みを感じます。こんなに美味しい玄米、食べたことない!(photo&text:Kaori Manabe)4.弁護士・菅原 草子さんリコメンド…〈レイベスタ〉の「味噌カステラ」/宮城リスの絵が可愛いパッケージは必見!私はついに食品を扱う会社に携わるにいたり、現在、地元・宮城県の食材を使った食品を販売する会社〈レイベスタ〉で、取締役兼企画デザイン部長をしています。先日、オリジナル商品第一弾として、宮城県のお味噌を使った「味噌カステラ」を販売開始しました!「好きな食べ物は?」と聞かれ、「味噌」と答えていた私、誕生日プレゼントに友人から味噌を贈ってもらっていた私…味噌最高(笑)。もっといろいろな味噌のお菓子も展開していきたいところです。宮城県石巻市の震災復興のためにも!という思いから、石巻市の名所と可愛いリスがたくさん描かれているパッケージもあります!ぜひお取り寄せしてみていただけたら嬉しいです。(photo&text:Soko Sugawara)
2021年02月12日「知事が今なすべき重要な仕事は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐこと。感染爆発につながらないよう最小限にとどめることです。“コロナ対応”のオペレーションのリーダーとして組織をしっかり掌握し、必要な手を打たなければなりません。全国の47知事の力量やリーダーシップが、今こそ問われているのです」そう語るのは元鳥取県知事で『知事の真贋』(文春新書)の著書がある片山善博・早稲田大学大学院教授。コロナ対策における国の方針が大きく揺れ動くなか、これまで以上に自治体の首長に関心が集まっている。そこで本誌では、地方自治に詳しい徳島文理大学の八幡和郎教授に47都道府県の知事の「コロナ対応」を評価してもらった。「10万人当たりの感染者数、死亡者数、重症者数の3指標に加えて、“近隣県との比較”“経済を過度に萎縮させてないか”“同規模自治体との比較”“医療体制”を考慮すると高評価は鳥取県です。県と市の連携がよい大分県、きめ細かい医療体制の和歌山県、新潟県、島根県、香川県、長野県、山梨県なども評価できます」ワースト1となったのは沖縄県の玉城デニー知事(61)。「観光地だとしても言い訳にならない。大都市圏の京都府は沖縄ほどひどくない。医療体制の充実、クラスター発生後に休業要請を出すなど、リーダーとして迅速な対応ができていません」(八幡教授)連日、テレビに出ている東京都の小池百合子知事(68)はワースト2。「東京五輪の1年延期が決定されるまで、小池知事は表立った対策をしませんでした。初動が遅れたことは否めません。五輪延期が決定した直後から、メディアに出るようになりましたが、コロナ対策で独自性はあまりなく、自分が目立つことに重きを置いた“広報係長”のような印象を受けます」(片山教授)このコロナ禍で注目された吉村洋文大阪府知事もワースト3に。「感染症対策として大事なときに、大阪都構想にこだわり住民投票を行いました。街頭演説で人を集めて“3密”をつくるだけでなく、都構想が実現したら市は府に吸収されるわけで、市立病院やコロナ対策に頑張っている市の職員の士気に悪影響を及ぼすことが懸念されました。リーダーとして優先劣後を見失っています」(片山教授)コロナ対応からは、それぞれの知事の本質が透けて見えてくるようだ。片山教授はこう指摘する。「テレビによく顔が出ている知事は、よく頑張っている、という印象を受けてしまいますが、メディアの露出度と成果には相関関係がありません。和歌山県の仁坂(吉伸)知事は、国が当初掲げた検査対象基準〈体温37.5度以上、4日間〉の方針に疑問を抱き、独自に検査体制をつくって感染抑制に成功しました。マスコミの注目を集めなくても、地域の実情に適した対応策を淡々と実行している知事もいます。そんな仕事ぶりを見抜く目がとても大切なのです」あなたの知事は、住民の命を守る知事?それとも……。「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載
2021年01月01日「ネット・ゲーム依存症対策条例」などプライバシーにかかわる条例の問題点とは?(写真はイメージです)近年、家庭やプライバシーに干渉する条例が目立つようになってきた。そもそも条例とは地方議会によって制定される自治立法のこと。とはいえ制約がないわけではなく、法律の範囲内で定めることと規定され(憲法94条)、法令に反してはならないとされている(地方自治法14条1項)。基本的人権の侵害など憲法に違反すると考えられる条例については、違憲として無効となる。■「ゲームは1日60分」に科学的根拠はない最近特に話題になった条例が、今年4月、全国で初めて施行された香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例」。18条2項に記された、18歳未満の子どもに対してコンピューターゲームの利用を1日あたり60分まで(休日は90分まで)を上限とすること、スマートフォンの使用は義務教育修了前の子どもは21時まで、それ以外の子どもは22時までにやめるようにすることを「努力義務」とする内容が批判を集めた。ネットでは《条例になれば、親も子どもに“決まりだから“と言いやすくなるし、子どもの“周りはみんなやってる”も言い訳にならなくなる》といった親目線の肯定的な意見もあったものの、《1日1時間とか、モンハンの素材集め一生終わらなそう》《家庭でルールを作ればいいだけで、条例で規制するのはどうかと思う》などの反対意見が多数を占めた。香川県弁護士会は5月25日に条例の廃止と18条2項の即時削除を求める会長声明を発表したが、そもそもこの条例のどこが問題なのか?行政法を専門とし、慶應義塾大学法科大学院講師(非常勤)などを務める大島義則弁護士に話を聞いた。「1つめは、1日60分の利用制限がネット・ゲーム依存症を防止するための手段であることを基礎づける科学的な根拠や事実がないこと。いわゆる立法事実の欠如という問題です。2つめはゲームの悪い点のみに焦点を当てて有用性を考慮していないこと。3つめは憲法13条の自己決定権、つまり自分のことは自分で決められる権利を侵害するおそれがあるという点です」(大島弁護士)県の発表によれば、平日60分・休日90分という利用時間については、平日のゲームの使用時間が1時間を超えると学業成績の低下が顕著になることや、スマホなどの使用時間が1時間を超えると、使用時間が長い生徒ほど平均正答率が低い傾向にあるという調査結果などを基準として規定されたものだという。しかし実際は、毎日60分以上プレイしてきても依存症になっていないゲーム愛好者は多く、学業とゲームを両立していた東大卒プロゲーマーも存在する。大島弁護士も、「1日60分で依存症になるのか疑問です。一般的に考えて依存症防止対策としての根拠を求めるなら、ネット・ゲーム依存症の人の実態を調査して統計をとるべきでしょう」と指摘する。■自治体が考える道徳を押し付けているだけまた、ビデオゲームを使った対戦を競技とする『eスポーツ』が普及拡大する流れにも逆行する。「条例はゲームをやること自体が悪という捉え方。eスポーツ選手になりたい、子どもをeスポーツ選手にさせたいという人たちに1日60分というのは短いでしょうし、eスポーツ選手になろうとすることは自己決定権で、その道を閉ざすのかという問題もあります。ゲーム時間を1時間にするのか2時間にするのかというのは本来、家族で決めることですが、それを代わりに自治体が決めるというのは自治体サイドの考えた道徳を押し付けているわけです」(大島弁護士)9月には条例が憲法違反だとして、高松市の高校生と母親が県を相手取って国家賠償請求訴訟を起こしたことで話題になった。しかし条例は「努力義務」であり、破ったところでなんの制裁もないので、市民の側からみると不利益が生じず、争いにくい。そんな中、秋田県大館市教育委員会では小中学生を対象にしたゲーム依存防止条例の策定を目指していたが、この違憲訴訟の動きを見て一時凍結したものの、「条例化は必要」との見方は変えていない。条例が全国に広がる可能性を踏まえ、今後の動きを注視する必要があるだろう。■喫煙の規制を家庭内にまで及ぼすべきか大阪府寝屋川市では今年10月に「子どもの健やかな成長のための受動喫煙防止条例」が施行し、注目を集めた。第6条2項で「家庭等においては、子どもと同室の空間で喫煙をしないようにしなければならない」、第7条で「子どもが同乗している自動車の車内においては、喫煙をしないようにしなければならない」としている。家庭内と自動車内の禁煙を努力義務とする条例は、東京都で2018年4月に施行された「子どもを受動喫煙から守る条例」に次いで全国で2例目となる。寝屋川市に寄せられた条例案のパブリックコメントでは「プライベートな空間に制限を設けるのは行き過ぎ」との声も寄せられていた。「法格言である『法は家庭に入らず』という観点から批判があります。喫煙に規制をかけることを家庭にまで及ぼすべきかという問題はあるでしょう。また、喫煙者にとってはたばこを吸う・吸わないというのは自己決定権で、努力義務といってもそれに対して制約をかけているという捉え方もできるわけです」(大島弁護士)ただ、自己決定権は無制約ではない。家庭内で逃げ場のない子どもを救うという意義もある。「ゲームの使用時間についてはある程度、親と子の話し合いが期待できますが、喫煙については親子の関係性などによって違いますよね。子どもが親の言いなりになるしかない家庭の場合は、話し合いはほぼ不可能でしょう。法律家によっても、喫煙者の自己決定権を守るべきという立場と、逃げ場のない子どもの健康を守るべきという立場とあります」(大島弁護士)■監視社会を招く可能性もある一方で、別の面から条例を危惧する声もある。禁煙・喫煙事情に詳しいジャーナリストの須田慎一郎さんは、「条例が努力義務といっても、守られている・守られていない、違反したということを誰がチェックし、見つけ出すのでしょうか。正義感や善意から、“あの家では子どもがいるのにたばこを吸っていますよ”と密告する近隣住民が現れかねない。他人の家庭の中を監視する、つまり監視社会を招いてしまう可能性があるということが、この条例のいちばん大きな問題点ではないかと思います」と話す。市では条例の実効性を検証するものとして、希望する小学生を対象に、ニコチンが体内に吸収されたことがわかる「尿中コチニン値」の検査を行う予算案も可決された。この検査結果によって、条例の実効性を検証するという。「検査で濃度が高ければ、なぜ子どもの濃度が高いのか根掘り葉掘り聞かれたり、家庭に喫煙者がいたら、呼んで指導するという可能性もある。条例の実効性が上がらないので罰則規定を設けましょうというのは、すぐに飛び越えられるハードルなんです。子どもの健康のためという入り口は誰も反対しないでしょう。しかしその実効性を上げようとすると結局、喫煙自体を違法にする出口しか見えなくなる可能性があります」(須田さん)大島弁護士によると、各自治体で同様の条例が増えてくると、最終的に法律化していく“条例先行型”パターンもあるという。もはや喫煙は私事(わたくしごと)ではなく、公的に議論する課題になりつつある。■生活保護受給者に対する密告制度のようなもの2013年4月に兵庫県小野市で施行された「福祉給付制度適正化条例」も問題視された条例だ。生活保護受給者に対して不正受給をしてはならないとともに、給付金をパチンコ、競輪、競馬などのギャンブルに使い果たして生活の維持ができなくなる事態を招いてはならないと規定。また、常習的にギャンブルに給付金を浪費する生活保護受給者を見つけた場合は市に情報提供することを市民の責務としている。「不正受給はもちろんあってはならないことですが、情報提供を責務とするのは密告制度のようなもので、同調圧力に期待する条例と言えるでしょう」(大島弁護士)私生活への過剰な干渉であり、憲法13条のプライバシーの侵害に違反するおそれがあるとして2013年4月26日に日本弁護士連合会が会長声明で反対意見を出したものの、条例は当初の形で現在も施行されている。「生活保護受給者への差別意識を生む危険性もあります。本来ならば受給者に対する指導体制を強化するべきところを、密告社会で補おうとするのは不健全でしょう。この条例も道徳の押し付けを感じます」(大島弁護士)大島弁護士によれば、憲法や法律に抵触しやすい部分については、制裁のない「努力義務」や「責務」として条例化されることが多いという。確かな根拠なく市民の権利を制約するような条例については、市民が目を光らせて正していくべきだろう。2001年に施行された「DV防止法」を契機にして、「法は家庭に入らず」という限界を突破して家庭に対する法規制は活性化してきた。ただ、活性化すべき領域とすべきでない領域はあるだろう。ゲームの使用時間や喫煙に対して、法や条例が家庭に入っていくことを許すのか。どこまで家族で決めることとするのか考え、議論することが必要になってきている。
2020年12月01日「種苗法の改正は今年2月の国会で可決されるところでしたが、女優の柴崎コウさん(39)などが『慎重な審議を求めます』とツイッターで声を上げた(現在は削除済み)こともあり、反対する世論が高まった。全国の県議会からも意見書が届けられたので、審議が先送りされたんです。しかし、この臨時国会では審議が始まってしまいました。委員会で可決されたら、衆参の決議を経て今臨時国会中に成立してしまう可能性が高い」そう解説するのは、元・農水大臣で弁護士の山田正彦さん。「ふっくらおいしい日本のお米や、しっとりと甘いさつまいも。そんな、毎日のように口にしている食品の安全性や価格が、おびやかされる事態になっているのです」「種苗法」とは、植物の新しい品種を開発した者が、それを品種登録することで、利用する権利を独占できると定めた法律。ただし、これまでは、農家が自分でタネをとって育てる「自家採種」に関しては権利が認められていた。しかし、現在公開中のドキュメンタリー映画『タネは誰のもの』の中でも山田さんが指摘しているように、種苗法が改正されると、この自家採種も禁じられ、農家はタネを毎年購入しなければならなくなり、莫大な費用がかかることになる。当然、店頭に並ぶ米や野菜、果物の価格にも跳ね返ってくるだろう。「農水省はそれまでも、観賞用の花やきのこ類など82品目の自家増殖を禁じていました。ところが2017年に突然、コメや大豆、キャベツ、ナス、トマトなどメジャーな野菜を含む207品目も禁止に。いまでは約9,000品目に上っています」さらに種苗法が改正され、自家採種が全面的に禁じられると、農業を続けられなくなる農家は少なくない。山田さんが直接話を聞いた農家の多くも「農業を辞めろということか」と、種苗法改正を危惧しているという。一方で農水省は、「シャインマスカットなどの優良品種が、韓国や中国など海外に流出しないために必要だ」と種苗法改正の理由を述べている。しかし、山田さんは「それはウソだ」と断じる。「2005年に山形県のサクランボの苗がオーストラリアに流出したとき、現行の種苗法で差し止めの仮処分、刑事告訴して、解決できています」では、種苗法改正の本当の目的は何なのか――。「これまでタネの育成・管理をしていた地方自治体に換えて、グローバル種子企業に、コメや大豆といった私たちの命の源を売り渡そうということです。たとえば、遺伝子組み換え作物で有名な『バイエル(旧・モンサント)』といった企業に」実際にインドや中南米では30年ほど前に同じことが起こっている。「別名“モンサント法案”と呼ばれた自家採種禁止法案が可決され、農家は種子を毎年、多国籍企業から購入せざるをえなくなった。そのうえ農薬と化学肥料もセットで売りつけ、莫大な利益を得ようとしたんです。しかし、この法案は成立したあとにコロンビアやメキシコなどで農民の暴動が起きて、次々に廃止されました」じつは政府も、種苗法改正の目的は、企業にタネを渡すことが目的だと認めているという。「『農業協力支援法』という法律に『これまで国や県の農業試験場が管理していたタネの知見を民間企業に提供せよ』といったことが明記されています。この民間企業には『バイエル』のような海外の企業も含まれます」農業協力支援法とは2018年に廃止された「種子法」の代わりに作られた法律だ。「コメ、大豆、麦などは国民の命をつなぐ大切な食料だとし、農家が安定して安く作れるように、その種子は国や県が育成・管理することを義務づけていたのが、種子法です。この法律のおかげで『コシヒカリ』や『ゆめぴりか』といったおいしいお米ができました。しかし政府は、企業の農業への参入を促進するためという理由で、種子法を廃止。代わりにできた農業協力支援法は、これまで税金をつぎこんで開発・育成してきた種子の知的財産権を、積極的に企業に渡しなさいという、とんでもない内容の法律なんです」山田さんによると、現在すでに、世界のタネの約7割は「バイエル(旧・モンサント)」「コルテバ・アグリサイエンス(旧・ダウ・デュポン)」「シンジェンタ」という3大グローバル企業が製造しているという。そのうち、遺伝子組み換え種子は「バイエル」が90%だ。このまま種苗法が改正され、農家が自家採種を禁じられ、多国籍企業のタネしか購入できなくなったら、どうなるのか。いちばんの問題は私たちの“食の安全”が脅かされることだという。「主食のコメや大豆が、グローバル企業がつくる遺伝子組み換えやゲノム編集されたタネに、徐々にですが置き換わる可能性があります。すでに、かつての『日本モンサント』である『バイエル クロップサイエンス』などはその準備を進めています。遺伝子組み換え食物を食べ続けることで、アレルギーや、がんなどが発生しやすくなることは、アメリカの消費者団体や、フランスのカーン大学の研究によって明らかになっているのに、です」種苗法改正案の審議中は、参議院議員会館前で座り込み抗議を行うという山田さん。最後にこう話してくれた。「種苗法改正案が可決してしまっても、あきらめる必要はありません。地方自治法を改正して、タネのグローバル企業への流出に一定の規制をかけることはできます。タネは人類の“遺産”です。みんなで私たちの食を守っていきましょう」
2020年11月17日※写真はイメージです1円が1000円に、5円が10万円に、1万円が100万円に……。そんな夢のような話が現実に!?お札に印刷された番号や硬貨の年号、はたまた製造エラーなど、知る人ぞ知るお宝情報を大公開!「意外と流通している」と言われているから、お財布や貯金箱の中身を取り出して、お宝探ししてみませんか。■実は意外と手に入りやすいプレミアムコイン&紙幣って、まずお目にかかれないレアなものなのでは……。「おつりでもらうこともありますし、すでに手元にあってもおかしくはないですよ」と語るのは、自身も収集を楽しんでいるという、ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太さん。取材当日、「たまたま先ほどお釣りでもらいました」と、1枚の紙幣を取り出しながら見つけ方をいろいろ教えてくれました。「紙幣でチェックしたいのは、紙幣の左上と右下にある、アルファベットと数字の組み合わせでできた記番号。いちばん高値がつく のは、左側にAがひとつ、右側にAがひとつある、AA券と呼ばれるものになります」AA券は初期に印刷された紙幣で、その1枚目となる「A000001A」は、貨幣博物館に永久保存。AA券の中でも、数字が若いほど高値がつくそう。「以前、とある鑑定番組に『A000007A』の一万円札が登場しましたが、その鑑定価格は300万円でした」AA券だけでも99万9999枚あるから、意外と手に入りやすいかも!?「AA券だけでなく、最初と最後のアルファベットがZのZZ券もプレミアですね」チャンスは倍に!ちなみに、取引価格は折り目がないなど、紙幣の状態によっても左右されるそうですが、「紙幣の種類は関係なく、千円札でもOK。聖徳太子の一万円札や岩倉具視の500円札などの古いお札も、AA券ならかなりの値がつきます。また、数字の並びが、777777や111111といったぞろ目、123456もプレミア紙幣に。その他、かなりレアな存在にはなりますが、裁断ミスで角に紙の切れ端がついているものや、透かしが円の中心ではなく左右どちらかに偏って印刷されている、『エラー紙幣』といわれる紙幣も、高値で取引されています」■狙い目は、発行枚数1万枚以下続いては、小銭をチェック!「硬貨は発行枚数の少ない年号のものがプレミアムに。例えば、1円玉は年に1億枚ほど造られる年もありますが、令和元年は50万枚程度しか発行されなかったため価値が上がりました。平成23年~平成25年の1円玉・5円玉・50円玉は『ミントセット』(造幣局発行のケース入り貨幣セット)として販売するためだけに造られたため、発行枚数が極端に少なく、価値が高騰。普通だったら市場に流通していないはずのものですが、コレクターが手放したものが出回り、おつりなどで手にすることもありえます」5円玉、50円玉のエラーコインも、レアながら意外と見つかる可能性がありそう。「見つけて、売りたいときは、お小遣い稼ぎ程度ならヤフーオークションが手軽。価値が高いものは、コイン商のオークションに出品するか、買い取りを依頼するといいですね」伊藤さんは、「海外のコインや記念硬貨にも、ぜひ注目してもらいたい」とも。「イチオシは、2019年に発行された、『ウナとライオン』の金貨と銀貨。これは、“世界一美しい金貨”との異名をもつ、1839年にイギリスで発行された金貨の復刻版。オリジナルは世界に400枚しかなく、現在、1億円以上の値がついています。今年7月、復刻版の銀貨を適正価格の12万円で手に入れたのですが、その後なぜか人気が急上昇。今、40万円前後にまで上がっていて、やったー!と思いました」海外のコインは世界中にコレクターがいるため、人気が出ると取引価格が急に跳ね上がることもあるのだとか。「日本の記念硬貨では、47都道府県ごとに発行された『地方自治法施行60周年記念千円銀貨幣』の岩手県のコインが、“世界で最も美しい貨幣”賞を受賞したことで、価値が上がっています。販売価格は6000円ぐらいでしたが、今は5万円ほどで取引されているようですね」記念硬貨を持っているという人は、今の相場を調べてみると思わぬ高値の可能性も。 「記念硬貨はアニメとコラボしたものなど、多くの種類が発行されていて、続々と新しいものも登場しています。今後プレミアがつくのを期待して購入するなら、発行枚数が1万枚以下のものが狙い目。抽選で倍率が高いものほど、高値がつく可能性があります。これはあまり教えたくないのですが(笑)、造幣局のメールマガジンに登録するといいですよ。販売情報などが楽に手に入ります」■新札が出る日に銀行で両替すべし知れば知るほど奥が深く、一獲千金のチャンスが広がりそうなプレミアムコイン&紙幣の世界。少し先ですが、2024年、お札が新しくなるタイミングも要チェック!「新札が出る日に銀行に行って両替すれば、AA券が手に入るかも。どの銀行にAA券がいくのかは公表されないので運任せではありますが、もし手に入ったらラッキー。欲しいという人にすぐ売れて、高値がつくと思います。実は私も、その日を今から楽しみにしているんです」●もし見つけたらラッキー! 10万円以上の価値がある“珍品”2千円札今ではほとんど見ることがなくなった2千円札。現在、残念ながらお札自体にプレミアはついていないものの、ものすごいエラー紙幣が存在。記番号は上下で一致していなくてはいけないものなのに、上と下で「J」と「L」と異なっています。通称「JL券」と呼ばれるこの珍品。折り目などがない美品の場合、少なくとも10万円以上、50倍~100倍程度の値段で取引。●5円玉、50円玉の穴に注目! 穴あきコインで見つかるのが、穴がずれているエラーコイン。年号が新しいもの、ズレが大きいものほど価値が上がり、平成の年号で10万円以上、ズレの大きいものが50万円以上で取引されたケースも。ごくまれに穴が埋まっているものもあり、こちらも30万円程度と高額に。●プレミアになるかも!? 「ミントセット」って?造幣局が毎年販売している貨幣セットの名称で、その年に作られた1円~500円玉の未使用硬貨がワンセットになっているもの。ますますキャッシュレス化が進む今。令和のミントセットが近い将来、プレミアとなる可能性も!?「抽選販売になる年もありますが、2000〜3000円ぐらいで買えるもの。ちょっとした楽しみとして、毎年収集してみては」(伊藤さん)取材・文/長谷川英子イラスト/アライヨウコ教えてくれたのは…… 伊藤亮太さんファイナンシャルプランナー、オールアバウトガイド。慶應義塾大学大学院商学研究科修士課程修了。証券会社勤務を経て、独立系FP会社「スキラージャパン株式会社」設立。家計簿診断などのライフプランニング、資産運用などの相談を行う。『あなたの街でも砂金が採れる!? ~令和時代の砂金採り入門~』(ファストブック)ほか著書多数
2020年10月31日●政治家経験を生かして「架け橋として活動していきたい」元衆議院議員で現在コメンテーターとして活躍している金子恵美氏が、2016年に世間を騒がせた夫で元衆議院議員・宮崎謙介氏の不倫騒動の真実を、著書『許すチカラ』で告白。また、女性が輝ける社会に向けての提言や今後の活動についても言及している。このたび金子氏にインタビューし、自身の活動について話を聞いた。政治家は引退したものの、日本の未来、特に女性が真に輝ける社会に向けて、自身の経験を生かして活動したいと考えている金子氏。同書では、少子化問題について今後どのような対策が必要か提言しており、また、女性の出産適齢期についても訴えている。金子氏は「自分のキャリアを極めたいという方がいてもいいと思いますが、我慢している、例えば子供を産みたいという気持ちが少しでもあるならば、どちらもかなえられる社会であるべきだと思います。仕事があるから子供を我慢とか、本当はもっと仕事をしたいのに家庭があるから我慢するとか、そういう我慢を私はしてほしくないんです」と強い思いを述べ、「行政や政治のサポートが不十分であるがゆえにできてないというところを、政治家経験者として意見していきたい」と語る。また、「不妊治療に関しても、女性の場合はリミットがある。もちろんライフステージはそれぞれあると思いますが、唯一、妊娠できる時期が限られているということに関して、自分自身もう少しそのライフプランを立てておけばよかったなっていう思いもあって、みなさんにも意識してほしい」とメッセージ。「法律や政治のアプローチも必要ですが、個々人にもリミットがあるということを意識してほしいと思います」と呼びかけた。そして、「地方議員を経験した上で、国会議員も経験したという、政治家としての経験は生かさなければいけないと思っています。行政や政治の中を見てきた人間としては、少子化対策や女性の活躍のための両立支援などの足りていないところを理解していますし、周りの女性たちから話を聞く機会が多く、実態と制度の乖離もすごく感じているので、架け橋として活動していきたい」と意気込む。さらに具体的に、自身の役割を説明。「メディアでの発信もそうだと思いますし、政治家との繋がりもあるので直接提言していくのも具体的な活動だと思いますし、個々の人たちへの啓発という意味では講演活動を行い、私がやるべき使命を果たしていけたらと思っています」と語った。●コメンテーターとしての心がけ“当事者の家族”経験も生かす現在、さまざまなテレビ番組でも活躍している金子氏。コメンテーターとして心掛けていることを尋ねると、「事実が一番大事」と答え、「特に新型コロナウイルスに関して怖いなと思っていて、専門家のデータに基づく科学的根拠を踏まえた話であればいいと思いますが、感覚的なところで話すのは極めて危険。ファクトがまず大事だと思っています」と話した。また、夫の不倫騒動において当事者の家族という立場を経験したことにより、さまざまな騒動に言及する際に親族のことを強く意識するように。「最近も不倫騒動がいろいろありましたが、騒動を起こした者の家族という立場を経験した身としては、当事者の方には家族があるということを考えなければいけないなと。家族・親族のことを踏まえ、そこまで慮って話すべきだと思っています」と述べた。自分の思いとは違う捉えられ方をしてしまい、コメントの難しさを感じることもあるそう。最近では、安倍晋三前首相が潰瘍性大腸炎を理由に辞任を表明した際に、その難しさを痛感したという。安倍晋三前首相の辞任表明に、ラサール石井が「望んでいたことだが、全く喜びも感慨もない。何とも言えぬ脱力感。記者会見はヌルく、まるで番記者と総理のお別れ会のよう。3年B組金八先生か」とツイートしたことに対して、金子氏は「全くもって政治家をやったことのないコメンテーターのコメントだと思います。一度でも選挙に出て、国家のために命を尽くそうと思った人間であったなら、健康を理由に辞めることがどんなにつらくて、悔しいことなのか。選挙に出て、総理になってから言ってもらいたい」と批判。総理経験者以外、政治を語るなと言ったわけではないのだが、そう捉えられてしまうという誤解が生じた。金子氏は「言葉選びが不適切だったと思いますが、物事の文脈や全体を理解していただけたら、総理経験者以外、政治を語ってはいけないという意味ではないとわかっていただけると思います」と述べ、「安倍さんを追及してきた野党の蓮舫議員も敬意を表した。国会議員であれば、病気で志半ばであきらめなければならないことがどんなに悔しくてつらいか、蓮舫さんは理解があったから、労をねぎらわれた。政治に対する意見はいろいろあっていいと思いますが、健康を気遣う気持ちや最低限の敬意を払うことが日本人の皆さんにあっていいんじゃないかという思いで発言しました」と真意を説明。その上で、「『総理大臣になってから言ってくださいよ』というところだけ切り取られて広がっていったのは残念であり、それがまたSNSの怖さなのかなと実感しているところです。全部見ていた方は『言わんとしていることは違いますよね』とわかっていただいていますが、一部を切り取られることも踏まえて発信しないといけないんだなという学びはありました」と語る。また、安倍氏が辞意表明した日に多くのテレビ番組に出演していた石破茂氏について、「仲間である自民党の総裁が辞めた日。であれば喪に服すというか、『お疲れ様でした』といった労いもあればよかった」と発言したことも振り返り、「同じ自民党員であれば『お疲れ様でした』と言うべき。その日にガンガン腕を回して、節操ないと思ったんです」と説明。「喪に服す」という言葉を使ったことに指摘の声があったそうで、「気をつけないといけない」と反省しつつ、「総じて不寛容だよなと。その人はこういうことを言いたかったんだなと思う心のゆとり、おおらかさも持ってほしいなと思います」と、自ら発信する言葉選びに反省をしつつ言葉一つではなく全体の意味を理解してほしいと訴えた。■金子恵美1978年2月27日生まれ、新潟県出身。2000年、早稲田大学第一文学部卒業。新潟放送勤務を経て、2004年にミス日本関東代表に選出。2007年に新潟市議会議員選挙に立候補し当選。新潟県議会議員を経験後、2012年に衆議院議員に初当選。2016年には総理大臣政務官に就任し、地方自治、IT行政、郵政を担当。主な政策テーマは福祉、IT、放送行政、子育て支援、女性活躍。10年間の議員生活を経て、現在は企業顧問とテレビコメンテーターを中心に活動している。
2020年10月24日●許す決断の背景にあったコンプレックスと夫へのリスペクト元衆議院議員で現在コメンテーターとして活躍している金子恵美氏が、2016年に世間を騒がせた夫で元衆議院議員・宮崎謙介氏の不倫騒動の真実を、著書『許すチカラ』で告白。出産を終えた日の夜、宮崎氏から週刊誌に記事が掲載されると告げられたときのやりとりなど赤裸々につづり、そして、なぜ夫を許し、夫婦としてどのように再生してきたのか、その真相を明かすとともに、許すことの大切さを説いた。このたび金子氏にインタビューし、出版を決意した思いや夫婦関係の変化について話を聞いた。出版を決意したのは、離婚しなかったことについて、いまだに間違った理解をされていると感じることがあったから。金子氏は「本人が反省をしていたこともあり、2人でもう一度やっていこうということで離婚しなかったのですが、この4年間、あらゆるところで『なぜ離婚しなかったんだ』と言われ、テレビなどで答えていましたが、時間の制約もあって全部が伝わってなかった」と言う。そして、「私は本当は許していないとか、テレビに一緒に出てるのはビジネス上だと思っている方が多いと聞いて、夫が許されるためにどんな努力をしたのかなど、騒動の裏を赤裸々にお伝えし、加えて、私がどうして許すという思考になったのか、育った環境や自分の経験の中で作り上げた価値観もお伝えすることで、『なるほど。だから2人は今、一緒にいるんだな』と思ってもらうことが必要なのかなと思いました」と説明した。続けて、「私の場合は許したけれども、世の中には許せない、すなわち離婚されてる方々もいらっしゃる。夫婦のことは夫婦にしかわからないし、それぞれの家庭の事情があり、許さないことを否定するものではない。許す人は心が広くて強い女性だと捉えられたくないし、それを押し付けるものでもないということだけは、ちゃんと伝えておきたい」と加えた。許すことができた背景として、3姉妹の末っ子として育った金子氏が2人の姉に対して劣等感を抱いていた過去も同書で告白。才色兼備の完璧な女性というイメージが強かったが、そういったコンプレックスがあったことも許すことができた要因の一つだという。「完璧な女性だから許すことができたんだろうと言われることもあったのですが、夫婦間でいったらむしろ私の方が支えてもらっているところが大きく、許す根底に夫へのリスペクトがありました。そして、私は小さいときからコンプレックスを抱えていて、そういう自信のなさ、完璧でない自分という思いが、失敗や過ちに対して寛容にさせたのだと思います」「『許す力』で私は幸せになれた」。金子氏がこう語るように、「許す力」は相手だけではなく自分自身も救う気がするが、どのようにすれば身につくのだろうか。金子氏は「簡単に言うと、『完璧な人はいない』ということ。足りない部分もその人の一面だと受け入れる、多様な部分があるということをまず前提に考えるべきだと思います」と話し、「騒動を起こした行為は悪いけど、この人には違う面もあるのではないか、夫婦にしかわからない何かがあるのではないかと、ちょっと引いた考え方を。表面的な一面で判断するのではなく、そういう意識の持つことが大事だと思います」と語る。●夫の当時のつらさを感じて涙「よく乗り越えたと…」事実確認のために宮崎氏にも当時のことを聞きながら執筆したという金子氏。「一生懸命思い出そうとして出てくる言葉を聞くと、彼なりに戦ってなんとか父親になろうと、息子のために誇れる背中を見せたいと思って戦ったんだなと、改めてわかりました」としみじみと語る。また、原稿を読んだ宮崎氏に「2人で頑張ってきたね」と言われ、宮崎氏のつらさを改めて感じたという。「彼は本当につらかったんだろうなと思いました。議員辞職という選択もすごく重たいことだとあのときも思いましたが、私は産後で子供のことも考えなきゃいけないし、政治家として地元をどうするのかなど外の方に意識が向いていて。あの人は毎日戦っていたんだなと感じました」そして、「政治家同士だったので最初から戦友という感覚はありましたが、違う夫婦の形もできて、私はあの騒動があってよかったとすら思っていて、起こるべくして起きたという気持ちで捉えています」と告白。「真のパートナーを見つけられた気がします」と言い、「夫ですけど、よく乗り越えたと思います。私だったらできたかなって。そういうときの対応は人間の真価が問われると思うので、そういう意味では本当にリスペクトしています」と話し、感極まって涙を見せる場面も。執筆している際も「つらかっただろうな」と思って何度も涙したそうで、「私は勝手に許しましたけど、もしかしたら許されない方が楽だったかもしれない。政治家は上昇志向の強い人が多いですから。私が政務官になったのに、自分は政務官になるどころか議員もやめている。いろんな思いがあったと思いますが、あの人はちゃんと私の労をねぎらうわけですよ。今思うと、なかなかの男だったなと。私だったらできないかもしれない。ただただ私の政治活動の応援に徹していたのは大したもんだなと思います」と語った。夫を許すという当時の決断について、4年経った今、改めてよかったと感じているという。「生きていると失敗や悲しいこともある。パートナーがいると、その悲しみ苦しみ、つらさを分け合えるので、一緒にいて良かったなと。逆に、幸せ、喜び、楽しいことも倍になりますし、共有できる人が今そばにいてよかったなと思います」当時の決断は子供にとってもよかったと実感しているそうで、「子供にとっては唯一の父親。私がこの子の人生を勝手に決めてはいけない。私に彼の父親を奪う権利はないと思いました」と振り返った上で、「今、子供が『パパ』と慕って幸せな親子関係が築けているのを見てよかったなと。あのときの判断は間違ってなかったと思っています」と話した。●息子のためでもあったテレビ出演「謝罪会見の印象を上塗りしたい」宮崎氏が2017年10月29日、TBS系『サンデー・ジャポン』で騒動後初のテレビ出演をしたときの裏側も、同書の中で明らかに。プロデューサーから自分の言葉で伝えたらどうかと何度も話があり、金子氏が落選して政治家として一区切りついたことをきっかけに出演を決めたという。「プロデューサーが心のある方で、おもしろおかしくいじらず、人として彼の復帰のチャンスを与えてくれたことは、夫にとって良かったと思います。夫にしてみれば、なんとかあのお辞儀をしているばかりの謝罪会見の宮崎謙介の印象を上塗りしたいという強い思いがあったので、そのチャンスを与えてくださったプロデューサーの方には本当に感謝しています」『サンジャポ』にはその後も、夫婦そろって定期的に出演。今では『サンジャポ』らしいいじりもあるが、「いじられても温かさがある。活躍の場をいただいてありがたいです」と笑った。イメージの上塗りは息子のためでもあった。実際、今ではコメンテーターとしてはつらつと発言している姿が印象的で、まさに上塗りは大成功だと感じる。金子氏も「脇の甘い男、そして謝罪する姿。その印象が変わったことはよかったと思います」と変化を実感。「一方で、2人で出演していじられたりすると、『あのバカ夫婦が』という声があるのも認識はしているんですけど、損して得を取ろうと。あのときほど悪くなることはないと思って出演しています」と語った。騒動を乗り越え、より強い絆で結ばれた2人。夫婦の間で「これをやろう」ということは、即実行するようにしているそうで、最近では、自粛生活において子供がストレスを感じてしまったため、鎌倉にセカンドハウスを見つけて週末はそこで過ごすことが多いという。「彼は海が好きだったので、すぐそこに海があるという環境を作ってストレスを少しでも軽減できればいいなと思ったんです」と金子氏。「子供は何も言わないけど、いろんなものを感じ取っているんだなと思いました」と話し、「子供中心に考えていますが、我々大人も楽しんでいます」と全員でセカンドハウスを楽しんでいるようだ。さらに、将来的にどんな夫婦になりたいか尋ねると、金子氏は「まずは2人でしっかり子育てをして、そのあとに、また2人の時間をもう1回やり直したいねと話しています」と答え、「世界一周とかなんでもいいですけど、2人の人生をもう1回楽しみたいなって。子供の生まれた瞬間からちょっとつまずいたところがあるので、2人の時間が過ごせたらいいなと思っています」と笑顔で語った。■金子恵美1978年2月27日生まれ、新潟県出身。2000年、早稲田大学第一文学部卒業。新潟放送勤務を経て、2004年にミス日本関東代表に選出。2007年に新潟市議会議員選挙に立候補し当選。新潟県議会議員を経験後、2012年に衆議院議員に初当選。2016年には総理大臣政務官に就任し、地方自治、IT行政、郵政を担当。主な政策テーマは福祉、IT、放送行政、子育て支援、女性活躍。10年間の議員生活を経て、現在は企業顧問とテレビコメンテーターを中心に活動している。
2020年10月23日プレス機で貨幣の模様をつける「圧印」を経て、次々と排出される通常貨幣。「消費税3%が導入された平成元年は、1円玉と5円玉を大量に製造する必要があったため全貨種で約48億枚が造られました。ですが、ここ数年ほどは平均して約10億枚の硬貨が造られています」そう教えてくれるのは、埼玉県さいたま市大宮区にある、造幣局さいたま支局広報室の辻本貴律さん。■“ギザ10”を見なくなったのはなぜ?クレジットカードや各電子マネー、さらにはスマホ決済とキャッシュレス化が進み、小銭を使う機会が減少しているのを実感する昨今。それでも、昨年は約10億枚以上、実に1400億円を超える硬貨が製造されている。でも、ここで素朴な疑問。そんなに毎年、お金を造り続けちゃって大丈夫なの?「かつて頻繁に見かけた“ギザ10”ですが、最近はあまり見かけないと思いませんか?自動販売機で認識されないものを含め、劣化した硬貨は銀行で回収され、造幣局に戻ってきます。そして溶解されてから、再び新しい硬貨として生まれ変わるのです」(辻本さん、以下同)なんと、硬貨は知らぬ間にリサイクルされていた!造幣局は、紙幣を製造する国立印刷局と双璧をなす、貨幣の製造を担う財務省所管の独立行政法人。大阪市に本局が、広島市とさいたま市に支局があり、硬貨の歴史を学んだり、製造工場の見学が可能なのだ。「一般的に流通する通常貨幣は、大阪本局と広島支局が主に製造しているため、さいたま支局での製造機会は限られていますが、稼働しているときは1分間に約750枚の硬貨が造られていく瞬間を目の前で見ることができます」打ち出の小槌よろしく、次々と製造されていく500円硬貨を目の当たりにすると、1分間で約38万円のお金が……ゴクリ。当然のごとくセキュリティーは万全です。「銅、ニッケルなど貨幣材料を電気炉で溶解し、連続鋳造装置で鋳塊を造ります。その鋳塊を高温の間に所定の厚さで圧延し、次に常温で圧延することで硬貨の厚みにまで仕上げれば加工前のもととなる圧延板ができあがります」無機質な圧延板を見ると、「これがお金に?」とにわかに信じがたいが、広島支局でのみ見学できる圧延板の製造工程は、迫力があって圧巻。この後、圧延板を貨幣の形に打ち抜いた円形がさいたま支局にも運ばれて、プレス機で模様を施す「圧印」、「検査」を経た貨幣を袋詰めし、日本銀行に送っている。■渋沢栄一は、すでにお金になっていた!?さいたま支局では「プルーフ貨幣」と呼ばれる特別な加工を施した硬貨の製造と、3局で唯一、「勲章」の製造過程も見学することができる。プルーフ貨幣とは、端的に言えば記念や収集のための、いわば工芸品のような貨幣。「通常貨幣とは違い、研磨機で表面を磨き上げピカピカにしたり、変色しないようにスプレーをかけたり、1枚1枚丁寧に造ります」とは、ガイドの向井良徳さん。まるで鏡のような光沢をもつ完成品は「硬貨のデザインってこんなにカッコよかったんだ……」と、思わず見惚れてしまうこと必至だ。特別に製造されるプルーフ貨幣は、お値段も通常とは異なる特別価格。その年の1円玉~500円玉まで6種類、666円を組み込んだセットの販売価格は10倍以上の約7700円~。「実際に使えますよ」と教えてくれるも、もったいなくて使えません!勲章製造では、職人の匠の技を堪能できる。天皇陛下が御即位パレードの際に佩用された「大勲位菊花章頸飾」、春秋叙勲の際に授与される勲章も造幣局でひとつひとつ手づくりしているというからオドロキ。見学者の視線を浴びながらも、ミリ単位の作業を施していく職人の集中力に脱帽だ。工場見学を終えて、隣接する博物館を回っていると衝撃の事実が発覚した! ’24年に一新される新一万円札の顔である「渋沢栄一」は、すでにお金になっていた!!「現在、東京2020オリンピック競技大会の千円銀貨幣などを発行しているように、国家的行事の際に発行される記念貨幣を製造しています。地方自治法施行60周年の記念に、各都道府県別の記念貨幣を発行したのですが、実は渋沢栄一は故郷である埼玉県の千円銀貨としてすでに登場しています」(向井さん)ほかにも、博物館にはかつては日本最古の貨幣とされていた「和同開珎」や、江戸時代の「慶長大判」なども展示され、お金の歴史が学べる。また体験コーナーでは、千両箱を持ち上げたり、貨幣の健康診断機で手持ちの硬貨の状態を測ったり、親子で盛り上がること間違いなし。ためになる“おカネの話”、1度聞いてみてはいかが?アナタの貴金属に刻印される!?リングやネックレスなどに「ホールマーク」が刻印されていれば、含有量や純度に偽りなし!品位を証明する「ホールマーク」造幣局では、貨幣材料の分析技術を活かして指輪やネックレスなどの品位証明も行っている。「貴金属製品の製造や販売をしている事業所からの依頼を受け、その製品に含まれる貴金属の純度を調べる試験を行っています。この試験に合格した者に証明記号を打刻して、その品位を証明しています」(辻本さん)。つまりは証明記号の「ホールマーク」が刻印されている貴金属製品は、造幣局のお墨つき。でも夫(彼氏)からのプレゼントに刻印がないからといって「ニセモノ!?」なんて疑わないで。あくまで、任意ですから!独立行政法人造幣局さいたま支局埼玉県さいたま市大宮区北袋町1-190-22開館時間/9:00~16:30(入館は16:00まで)休館日/第3水曜日/年末年始(12月29日~1月3日)/臨時休館あり入館料/無料※新型コロナウイルスの影響により、工場見学および博物館は3月31日(火)まで休館します。4月以降のスケジュールは、造幣局ホームページでお知らせしていきます。取材・文/我妻弘崇撮影/渡邉智裕写真提供/独立行政法人 造幣局
2020年03月15日皆さんは「ふるさと求人」をご存じだろうか?簡単に言うと「地方で就職し移住したら100万円あげる」という、移住したい人にはとてもありがたい国の施策だ。そんな、ふるさと求人について、経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。■ふるさと求人は地方創生に有効?ふるさと求人は、地方創生を目指す「移住支援事業」の一環で行われる求人です。東京23区内に住んでいるか、勤めている方が、ふるさと求人の対象企業で就職し、5年以上その地域に住む意思を示せば、「移住支援金」として最大100万円(単身者には最大60万円)を支給するものです。さらに、就職ではなく、地方で社会的事業を起業した方には、「起業支援金」として最大200万円を支給。先の移住支援金と合わせると最大300万円を受け取れます。ふるさと求人は、今年度に始まった事業ですが、当初は各自治体が個別に求人サイトを作っていました。でも、なかなか情報が広まらないため、内閣府は求人情報サイトを運営する企業3社と連携。そのうちディップ(株)は、1月22日から「バイトルNEXT」で全国版の特設ページを開いたのです。現在の求人数は1,600件超(’20年2月14日)。物流や建設から接客・営業・介護職・看護師など幅広い職種で支援金対策の求人があります。’07年から求人の年齢制限は撤廃されていますから、中高年にもチャンスがあるでしょう。さらに、移住先を訪ねる「くらし体験ツアー」も開催。たとえば「夜行バスに乗って行く3泊4日の兵庫TOUR」は、新宿から現地の往復バス代や宿泊費なども含めて1人6,000円。求人企業の見学や移住者との懇親会もあります。移住支援金は来年度以降5年間続きます。地方に移住したい方は多方面から情報を集め、ご検討を。こうした支援金は、移住したい方にはお得な制度で利用をお勧めしますが、国の施策としてはいかがなものかと言わざるをえません。というのも、移住促進については地方の自治体がすでにさまざまな補助金制度などを行っています。たとえば奈良県吉野郡川上村では、移住者が川上産吉野材を使って自宅を新築・リフォームし10年間住むなら、建築費用の半額を200万円まで補助する制度があります。国としては、こうした今ある制度がもっと活用されるように、地方に財源を配ってバックアップするのが本来のやり方でしょう。新たに国が主体の補助金制度を作るのは、「地方創生に注力している」というアリバイが欲しいだけではないかと疑りたくなります。また、支援金支給を東京23区の在住・在勤者に限るのは、東京一極集中を避けたいからでしょうが、それならもっと抜本的な施策が必要です。’16年に構想された消費者庁の徳島移転は、’19年7月に断念。文化庁の京都移転も部分的な機能移転にとどまり、さらに’22年以降に延期されるなど、国の機関は東京に集中したまま。これでは企業も動きませんし、人だけ地方に移住しろと言っても無理があるでしょう。ふるさと求人は地方創生の切り札とは言えず、血税の使い道として疑問が残ると思います。「女性自身」2020年3月3日号 掲載
2020年02月21日近年はSNSの充実で、地方からも全国的な人気を獲得するコンテンツが誕生している。これからも確実に地方からスターは生まれ、それらの命は、東京のエンタメ観では見つけられない場所で産声をあげています。そんな輝きや面白さを、いち早く北海道からお届けします。(北海道在住フリーライター/乗田綾子)ドラマ『チャンネルはそのまま!』HTBのホームページより地方でエンタメを享受している者として、久々にテレビの前でうなってしまう作品を見ました。その作品の名は『チャンネルはそのまま!』。バラエティー番組『水曜どうでしょう』や『おにぎりあたためますか』など、全国的人気番組をいくつも生みだしてきた北海道のローカルテレビ局・HTBが、開局50周年を記念して制作した連続ドラマです。ドラマの原作は2008年~2013年に『週刊ビッグコミックスピリッツ』にて連載された、佐々木倫子先生の同名人気漫画。やはり北海道のローカルテレビ局・HHTVが舞台となっており、謎の採用枠“バカ枠”で採用された新人記者・雪丸花子と、彼女を取り巻くローカルテレビマンたちの日々が、コメディータッチで描かれた作品になっています。■まさかのテレビ局内でそのままロケまずドラマを見て、開始1分半で面白いなと思ったのは、そのあまりにもリアルすぎる「雑然としたHHTV局内の姿」でした。スタジオでの再現……にしては、あまりにも壁のテープ跡や床のシミが生々しい。なんならそのビルの独特のにおいまで漂ってきそうなくらい、まったくウソくささのない映像。それもそのはず、この『チャンネルはそのまま!』は、2018年9月まで実際に使用していたHTBの旧社屋が、まるごと撮影に使用されているのです。北海道民だけでなく、全国の視聴者にも『水曜どうでしょう』などの人気番組を通じて、おなじみになっていった、あの社屋です。もともと原作に登場する架空のテレビ局・HHTVは、原作者の佐々木先生ご自身が北海道在住ということもあり、HTBをモデルとして描かれたという経緯があります。そしてHTBの社員たちは積極的に取材に協力し、“ネタ”として自分の経験や北海道のテレビ事情を語るということもあったのだそう。しかし、そういうエピソードが実際にあったとはいえ、本当に使用されていたテレビ局をそのまんまロケ地にし、1本まるまる撮りきってしまった作品の存在を、私はいまだ知りません。1968年に開局して以降、50年にわたる視聴者の、そして出演者やテレビ局員の「喜怒哀楽」がしみ込んできたHTB旧社屋。現状どう考えても在京キー局では絶対に成立しないであろうそのリアリティーは、ドラマにおいて登場人物の表情を人間味豊かに引き立たせ、見る者の心を自然とつかんでいきます。■『水どう』を生みだした局だからこその演出原作者の佐々木倫子先生といえば、『チャンネルはそのまま!』以外にも『動物のお医者さん』や『おたんこナース』など、数多くの名作漫画を世に送り出していることで有名です。かくいう私自身、小学生のときに『動物のお医者さん』を読んで以来、ずっと佐々木先生の漫画を愛読している、いちファンでもあります。そんな原作ファンが今回の実写化を見て思わずニヤリとしてしまったのは、まず主人公・雪丸花子を演じる芳根京子さんの理想的な“憎めなさ”。佐々木先生の漫画はどの作品においても、登場人物がいずれも「憎めない市井の人」という共通点を持っています。再現するにはかなり難しくもあるそのニュアンスを、先日、日本アカデミー賞の新人俳優賞も受賞した主役の芳根京子さんは、これまた見事に表現しきっています。またもうひとつ特筆すべきことは、佐々木先生の作品の特徴でもある“描き文字”を、HTBはテレビでおなじみ“テロップ”を用いて、見事なまでにそのまま活かしているという点。思えばHTBの人気番組『水曜どうでしょう』でも、数々の名言はこの描き文字に似た“手書き系テロップ”から生み出されていきました。「ここをキャンプ地とする」「腹を割って話そう」「ギアいじったっけロー入っちゃってもうウィリーさ」……。HTBは、この手の“文字出し”が、おそらくローカル局でトップクラスではないでしょうか。その手腕は、今回の漫画実写化においてもまさかの形で、いかんなく発揮されています。■「ローカル局の存在意義」今回のドラマにおいて、実際に地方に住んでいる私がとても印象的に感じたセリフがあります。それは第1話で、就職活動中の雪丸花子がHHTVの面接試験に臨んだシーンでのことでした。雪丸は「HHTVに入社したら何をやりたいですか」と面接官に聞かれ、元気よく「ドラマがやりたいです!」と答えます。しかしそれを聞いた面接官は一笑に付し、こう返します。「あぁ、初歩的な間違いだ。HHTVではドラマは作ってない。残念だったね」このセリフが興味深いのはこの『チャンネルはそのまま!』の実写化も、それこそHTB制作スタッフの「1度も連続ドラマを作った経験がない」というところから、すべてが始まっているという事実です。普段テレビを見ていると、そして特に首都圏のテレビ番組を見慣れていると忘れがちですが、在京キー局と地方ローカル局は同じテレビ局ながら、大きな違いがあります。例えば劇中で雪丸も見落としていたように、地方ローカル局ではドラマを作らないし、もっといえば地方ローカル局の放送番組も、その大半は自社ではなく在京キー局が手がけたものになっている。しかし、それでは地方ローカル局の役目は単なる橋渡しに徹することなのかといえば、決してそうではないと私は思います。実際、昨年の大きな災害(胆振東部地震)のときに、いち視聴者としてそう感じました。全域ブラックアウトによる長い停電が続く中、避難中の私たちの命に直結していたのは、在京キー局の繁華街停電レポートではなく、地方ローカル局が独自に調べて流してくれる携帯電話の充電拠点、またガソリンスタンドやスーパーなどの詳しい営業情報でした。そんなふうに地方ローカル局は災害時、また平時の日常においても、東京から遠く離れた場所に暮らす視聴者それぞれの暮らしと、密接に関係しています。そしてローカルテレビマンは「地域のためにいま何を伝えるべきか」を、限られた素材と決して恵まれているわけじゃない予算の中で己に問い続け、今日もこつこつと形にし続けているのです。いまだ東京一極集中の流れが止まらぬ中、東京から離れた場所にいることを選んだ者たちは、はたして何を創るべく生きているのか。そして笑いの中にさりげなく描かれているからこそ、グッと胸に残る「地方ローカル局の存在意義」というメッセージ。地方が移住や創生という願望を込めた言葉で語られるようになった今だからこそ、このドラマを見て「つまり地方で生きるとは何ぞや」ということを、多くの人に考えてみてほしいと、体感をもって、私はそう思いました。ちなみにこの『チャンネルはそのまま!』は、先日からNetflixで配信がスタートしているだけでなく、秋田、岩手、長野、愛知、岐阜、三重、長崎、埼玉、山梨、宮崎(3月15日現在)といった、各地のローカル局でも放送が決定しています。もしお住まいの地域でこのドラマが放送されていたら、その際はぜひ、“チャンネルはそのまま”にしておくことを、こちら北海道から本気でおすすめします!乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版している他、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181
2019年03月18日「方言は恥ずかしいから隠したい」というのは、もう昔の話。最近では、方言を話す女の子は可愛いと言われています。方言を武器に、可愛く見せるテクを地域ごとに紹介します。語尾を方言にしてみると可愛く聞こえる地方から出てきた女の子には、標準語の方がオシャレなイメージがあるように思えるでしょう。しかし、会話の中でちょっとした方言が出るのは、マイルドに感じられます。標準語に慣れ親しんでいる男性にとっては、新鮮で可愛く聞こえることもあるのです。例えば、言葉の語尾に「〜しとうよ」とか「〜っちゃない?」など九州の方言は、やんわりと可愛く聞こえます。他の地域でも、語尾を標準語と比較して見ると可愛く聞こえる方言もあるので、試しに標準語と聴き比べてみるのも良いでしょう。関西弁でストレートに裏表がないイメージをアピール関西の女の子なら、気持ちを隠したり回りくどい言い回しをしたりせずに、ストレートに「好きや」と伝えてみましょう。いかにも裏表がなく、男性から見ると本当に自分のことを好きになってくれたのが、わかりやすく付き合いやすいのがメリットです。嘘偽りのない気持ちをそのまま伝えて、好きな人と気取らない関係を築いていきましょう。関西でも男性に人気が高い京都弁同じ関西でも、全国的に最も人気が高いのは京都弁です。おっとりとしていて上品なイメージがあります。「してはります」などの言葉は、聞いていても気持ちが和みそうなイントネーションが特徴です。周りの人を癒やす立場に徹していると、愛される存在でいられるでしょう。柔らかく素朴な四国の方言は人柄の良さが伝わる四国の方言は、関西弁に比べるとはっきりとはしていませんが「付き合うてくれんかな?」と、ちょっと遠慮気味なところが柔らかく素朴な感じに聞こえます。気持ちをストレートに出せないですが、相手を気遣って気持ちを確かめながら近付こうとしているように感じて、好感を持ってもらえることもあるでしょう。
2019年03月10日自治会は地域ごとの住民によって組織される団体で、町内会や町会とも呼ばれます。会費を支払っているものの活動内容をよく知らないという人や、転居先に自治会があって入会すべきか悩んでいる人もいるでしょう。筆者は子どもが1歳のときに自治会の役員に就任しました。その後の経験を通じて分かった、自治会と子育て世帯との関係やメリットについて紹介します。自治会の活動内容について自治会は入会が任意の団体で、役割や活動内容は地域によって異なります。筆者が入会している自治会では一年ごとに役員が代わり、会長・副会長・会計・会計監査・書記の役に分かれ、月に1度集会を行う決まりになっています。主な役割は、交通防犯活動や自治会が管理している集会場・公園の美化活動。さらに、日本赤十字社などの寄付金の徴収や、市・警察署からの知らせを地域住民に広報する活動を行っています。子育て世帯との関係は?自治会の役割の中でも子育て世帯に大きく関わるのが、交通防犯活動。筆者の地域の自治会では、小学生が登下校する時間帯に見守りをしたり、不審者や空き巣情報などを地域住民に共有しています。また、自治会が声を上げたことがきっかけで、子どもの交通事故が起こりやすい危険な道路に信号機が設置されたケースもありました。もう一つ、子育て世帯にとって重要なのが、自治会の衛生美化活動。子どもたちが遊ぶ公園を定期的に掃除し、管理している自治会も少なくありません。筆者の地域の自治会でも月に1度、公園の清掃活動を行っており、タバコの吸殻やゴミのポイ捨てが多いと問題になったときには、市役所にお願いして、注意喚起の看板を立ててもらったこともありました。これらのトラブル対応だけでなく、自治会によっては子ども会やイベント、行事を行っているところもあります。筆者の地域の自治会では、お盆と年末の時期に子どもたちが夜回りをすることになっており、時期がやってくると「戸締まり用心、火の用心!」と子どもたちの元気な声掛けが聞こえてきます。こういった行事は近所の子どもたちが地域とのつながりを持てるきっかけにもなっており、まだ1歳のわが子も私と一緒に夜回りに参加して楽しそうにしていました。近所の困りごとを相談できる例えば、近所の安全や犬・猫の糞尿問題、騒音問題などで悩むこともあるかもしれません。特に筆者のように未就学児しかいない家庭ではPTAなどの横のつながりがないため、そういった問題が起きると、どこに相談すればいいのか分からなくて困ってしまいます。自分ひとりで行動して近所に角を立てたくないときや、個人で解決できない場合には、市や警察署の相談窓口だけでなく、自治会に相談する方法もあるでしょう。先述したとおり、自治会は地域によって差があります。総会などがあれば出席するようにし、自分の地域の自治会がどのような活動をしているのか、調べておくといいですね。
2019年02月04日前回は、好きなランニングと旅を組み合わせてみたら……、という話をしました。今回は、実際に地方で本格的なマラソン大会にエントリーをしてみたところ、想像以上の満足感、達成感、そしてきっと人生の肥やしになっているだろう感覚がありました。いざ地方大会出走へ!2018年11月11日(日)に出走した「おかやまマラソン2018」は、自身初となる地方でのマラソン大会。いつもとは違う土地を走るだけでもワクワクです。当日のスタート時間が早いため、前泊は当然。ということは、現地を走るだけではなく、観光も楽しめるのです。とはいえ、旅ラン(旅マラソン)は走る時間も考慮しないとなりませんので、通常の旅行とは違い、時間の使い方が変わります。たとえば、行きたい場所は普通の旅行の半分になるとか。食べたいものも、翌日のことを考えて、あまり食べ過ぎないようにするとか。いつもの旅行と同じような行程は、滞在日数がそれなりにあれば可能ですが、1泊2日を前提にすると、やりたいことや、食べたいものなど、全部やり尽くすのは難しいことは念頭においてください。ちなみに私は、いつものゲン担ぎもあり、出走前日のお酒は控えました。すごく飲みたかったけれど……。なんだか、思っている以上にガマンしなくちゃならない感じもしますが、アレンジは自由です。ただ、旅もランも両方楽しむ、を軸とすると、やりたいこと全部は難しい。ですので、優先順位を考慮し、プランニングするのがベストです。旅マラソンおよび旅ランに欠かせないものたちさて、旅をするだけではなく、旅先で走るわけですから、いつも以上に準備万全にしないとなりません。いつもの旅行の支度と同様、忘れ物がないようにチェックを!地方都市で開催するマラソン大会の場合は、ラングッズで何か忘れ物をしたとしても、おそらく大きめのスポーツショップがあると思います。万が一の時には安心ですので、事前にチェックしておくことをおすすめします。実は私も当日忘れ物をしてしまい、岡山駅近くのお店にお世話になりました。また、旅ランになると、少し荷物は増えます。いちばんかさばるのはランニングシューズですが、持って行かずとも、履いてしまえば、ひとつ荷物を減らすことができます。最近のランニングシューズは、おしゃれなデザインが多いため、着こなしのアクセントにもなりますし、アスレジャースタイルにはうってつけです。おかやまマラソン、ここがすごい!今回走らせていただいたおかやまマラソンは、初めての地方大会ということを抜きにしても、メイン会場を中心に、前日から盛り上がっていました。個人的に魅力だと感じた点をいくつかご紹介します。メイン会場の盛り上がりがすごい!岡山県総合グラウンド内にある多目的広場周辺では、岡山県のご当地グルメなど、たくさんのお店が出店していました。ワンコインで買えるものが多く、老若男女を問わずにどこも長蛇の列で大盛り上がり。出走したランナーだけではなく、応援する人や、食べることを目的にしている人、目的はさまざまで、まさにお祭りさながらでした。コースも沿道の声援がすごいおかやまマラソンは、アップダウンが少ない走りやすいコースが人気の秘密。30kmあたりの岡南大橋が唯一の難所でしょうか。それ以外は、のどかな風景の中を、いろんな方々の声援を受けながら気持ちよく走ることができます。個人的には、32km過ぎから40km手前までの旭川の川沿いが少しキツかった。ほぼ平坦な道ではあるものの、景色がほとんど変わらず……。それでも、沿道の方々の声援がかなり力になりました。エイドステーションにラーメンがあるのがすごいエイドステーションにある「給食」は地方マラソンの楽しみ方のひとつです。各大会、名産物が並ぶことが多いのですが、おかやまマラソンは、まさかのラーメン!32km付近に設置されたブースに岡山で有名な名店が5店も並んでいたので、ぜひとも立ち寄りたかったのですが、この日かなり絶好調に走っていた私は、記録を狙うために、急遽予定を変更して食べるのを諦めました。この給食は、大会の目玉のひとつでもあるので、ぜひとも機会がある方は食べていただきたいです。走るのをそっちのけで、おいしいラーメンを楽しみにしているランナーも多いそうです。そういった楽しみ方もおかやまマラソンの魅力のひとつです。ボランティアの方々がすごいマラソン大会で欠かせないこととして、ボランティアの方々のご協力がないと、絶対に成立しません。レース中の彼らの声援はもちろん、終わった前後での気持ちのいい挨拶など、岡山の方々は本当に清々しい方々ばかりでした。ゴール後にひとつひとつ違う備前焼のメダルと記録証をいただきましたが、その際に、「東京からですか!? すごいですね。岡山はどうですか?」とお声がけいただいて、即答で「めっちゃいいところですね!」と。そんな爽やかなコミュニケーションが生まれるのも、岡山ならではなのかもしれません。ゴールの瞬間アスリート気分になれるのがすごいゴールは、岡山県総合グラウンド内にあるシティライトスタジアム(陸上競技場)です。陸上競技場内でのフルマラソンのゴールは初体験でしたが、かなり気持ちよかったです。スタジアムのゲートをくぐると、陸上競技場内に設置されたゴール門が見えました。ゴールの瞬間は、さながらオリンピック選手になったかのようでした。こういった演出は、他の大会ではなかなか経験できないかもしれません。仲間と行けばもっと楽しめたかもゴール後の脳内イメージはこんな感じでした。誰かと分かち合いたかった!image via shutterstock今回はひとりで参戦した旅ラン(旅マラソン)でした。そのため、走り終わった後に、いろいろと分かち合えないのが、ちょっとさみしかったです。いつもは走り終えた後に仲間と反省会という名の飲み会があり、あそこがキツかったとか、沿道にいたあの人おもしろかったとか、ランナーでこんな仮装をしている人がいたなど、盛り上がる要素が満載のはずなのですが……。そこまで語れる仲間がひとりでもいるとまた楽しさが格別かもしれません。また、盛り上がっていたご当地グルメは、ひとりで食べるには限界があります。このあたり、複数人で走ると、いろんなメニューをシェアできますので、楽しさもグッと広がりますよね。旅ランは確実にクセになるimage via shutterstock旅ランを経験済みだったものの、初の旅マラソンは、格別でした。ホームタウンではない、アウェイの地にも関わらず、そこにいる方々の温かさをどれほど身に沁みたことか。自宅から参戦できる大会とは違って、新幹線や飛行機に乗るだけでも旅感が味わえます。行きの新幹線の中でどんな駅弁を買おうか数日前から考えていたほど、今回は楽しみにしていました。そんなことを鑑みると、旅そのもの、マラソン大会そのものは当然ながら、現地にいる人やその土地の空気感、食や観光地など、いい具合の濃密さで楽しめる点が旅ラン(旅マラソン)のいいのところではないでしょうか。忙しい日々を送っている中で、頻繁にはできずとも、恒例行事にしてみたり、目標のひとつにするなど、1年のリズムを作るためにも習慣化してもいいアイデアだと思いました。走れるということは、健康であるということなので、日頃の体調管理にもより気を遣えるのではないでしょうか。旅もランも人生を豊かにする。それがまとめて叶う「旅ラン」をぜひ体験してみてください。[おかやまマラソン]
2019年01月17日「どんどん本音を発信してほしいんです。それが町の活性化につながると思うんですね。そのためにも私は、『よお!』って気軽に話しかけてもらえる存在でありたいと」今年7月9日、桑原悠さん(32)は31歳の若さで、生まれ育った新潟県中魚沼郡津南町の6代目町長に就任した。財政難や少子化、過疎高齢化など問題が山積する町で、「このままでは(町が消滅していくのに)間に合わない」と危機感を訴えたのが支持されての当選だった。養豚農家の隆宏さんと結婚した悠さんは、夫の祖父母と両親、夫婦と2人の子どもの、4世代8人同居の大家族で暮らしている。実家から徒歩1分の近さだ。悠さんは、実家と嫁ぎ先それぞれの家族に支えられ、ごく自然に仕事と子育てを両立させている。悠さんは’86年8月4日、豪雪地帯としても知られる山あいのこの地、津南町に生まれた。父・雅之さん(55)は兼業農家の公務員。2歳下には弟がいて、母・厚子さん(56)は、子育てが一段落してからはパートで働いている。「私たち子どもも、中学までは田植えの時期には苗づくりを手伝っていました。とうもろこしの出荷作業やアスパラガスの収穫作業も、家族総出でやっていましたね」小学校入学前後から、悠さんは“仕切り屋”としての能力を発揮し、リーダーシップを見せるようになったという。少女時代の夢は、国連で仕事をすることだった。「緒方貞子さんの本を読んで、私も世界の弱者のために働きたいと思ったんです」高校は、グローバルなリーダー育成を目指す県立のモデル校、国際情報高校(南魚沼市)に入学。さらに早稲田大学に進学する。夢に向かって一直線に見えるが、悠さんは首を横に振った。「私なんてしょせんは井の中の蛙だったんだな、と思い知らされたんです。高校も大学も、幼いころから高い教養を身につけている優秀な人たちばかりで」国連で働く夢はいつしか霧散していた。大学3年から1年間はアメリカ・オレゴン大学に単位交換留学をして政治学を学んだが、就職は断念。東大大学院に進学した。主に勉強したのは地方自治だ。大学院生活もあと1年となった’11年3月11日。大学院の図書館にいたときに東日本大震災に襲われ、翌日未明、地震速報で長野県北部地震を知った。長野県栄村と隣接する津南町は「震度6弱」――。「実家とどうやって連絡を取ったのか……ショックが大きすぎて、覚えていないんです」悠さんは4月に帰省。実家周辺に大きな被害はなかったものの、無残にも倒壊した家々やひび割れた道路を前にして立ちすくんだ。地方自治を学び、故郷の将来に危機感を覚えていた悠さんは、このとき思いきった決意をする。「津南町に帰って、復興と変革のために自分をささげたい。そう思ったんです」震災は、飛び出したはずの津南町の価値を、改めて見直す機会になった。「東日本大震災のとき、東京では店頭からミネラルウオーターが消えて心細い思いをしたんですよね。津南町はおいしい水の宝庫です。河川の水量を生かした水力発電所がいくつもあり、エネルギー自給率は100%を超える。それに、東京で生活してみて驚いたんです。それまでは家で作った米や野菜をふんだんに食べて育ったけど、都会ではすべてお金で買わなければいけない。『こんなに高いものを、毎日食べていたんだ!』と。田舎の持っている価値に気づかされたというか」この年の10月に行われる町会議員選挙が、悠さんの心を捕らえる。「悩み抜いた末、町を変えるには町議になるのが早道だと考えたんです。一刻も早く町政に一石を投じないと取り返しがつかなくなる。そう思って、夏ごろに立候補を家族に相談しました」しかし、悠さんは社会で働いた経験もない、25歳になったばかりの大学院生。16の議席を争う選挙戦では批判も多かったが、半面「何かが変わるかもしれない」と期待する声も少なくなかった。かくして蓋を開けてみれば、トップ当選である。「とにかく若者が働きやすくて、定着できる町にしたいと必死に訴えました。町民のみなさんは変化を求めていたんじゃないかな」町議になって7年。少しずつ成果を上げてきていたが、悠さんの危機感はさらに募っていた。「町の積年の課題である過疎化、高齢化、財政の悪化など、解決できていないものが多かったんです。町議の立場では、やっぱり変革なんてなかなかできなくて」任期途中の今年3月、悠さんは町長選挙に立とうと決める。そして、年齢が倍以上の相手を破って「現役最年少の町長」が誕生した。気の早いことに「先は県議か国会議員か」との声も聞かれる悠さんだが、本人は「まったくないです」と一笑に付す。「ただ、世襲議員など、恵まれた環境で育った為政者が多いな、とは思います。地方の町村の人たちの暮らしぶりを実感として知っていて、きちんと味方になって地域の声を代弁してくださる国会議員の方々が少なくなっているのではないかと危惧しています」そこへいくと津南町の現町長はといえば?「う〜ん、上から目線にならないことだけは確約できます。なんせ、万年ヒラの公務員と、パートのおばちゃんの娘ですから(笑)」
2018年09月10日近年はSNSの充実で、地方からも全国的な人気を獲得するコンテンツが誕生している。これからも確実に地方からスターは生まれ、それらの命は、東京のエンタメ観では見つけられない場所で産声をあげています。そんな輝きや面白さを、いち早く北海道からお届けします(北海道在住フリーライター/乗田綾子)モーニング娘。2013年コンサートツアーより8月中旬、北海道札幌市のわくわくホリデーホールで行われた、ハロー!プロジェクトの所属アイドルによる合同ライブ「Hello! Project 20th Anniversary!! Hello! Project 2018 SUMMER 〜ALL FOR ONE〜」に行ってきました。モーニング娘。のメジャーデビュー年に生まれた女性アイドル集団・ハロー!プロジェクトは、今年で誕生20周年。現在は名前に西暦がつくようになった「モーニング娘。’18」を筆頭に、6組のグループが活動しています。ところで、このハロー!プロジェクトのライブですが、実はここ北海道で“東京と違う現象が起きている”ことを、皆さんはご存知でしょうか。その現象とはずばり「北海道のハロプロライブは女性客が多い!」AKB48のブレイクによって女性アイドルブームが巻き起こった2010年代。その熱は男性ファンだけでなく多くの女性ファンも生み出し、今や自身が女性アイドルファンだと公言する女性は、普通の存在になりました。しかし、その流れを踏まえても、北海道のハロプロライブは東京よりもなぜか、女性客の比率が圧倒的に高いのです。実際にハロプロのアイドルたちも、北海道のステージ後は毎回このような感想をブログにつづっています。《北海道では、客席に降りると、いつも黄色い声援を送ってくださいます!今日は、特にすごかった!!!笑》(モーニング娘。’18 12期オフィシャルブログ「飯窪春菜さん羽賀朱音」より)《ステージに立っていても黄色い歓声に負ける!と思うほどのあの熱気、みなさんの喜ばれる姿がとても嬉しかったです。》(アンジュルム和田彩花オフィシャルブログあや著「北海道」より)AKB48や乃木坂46など、人気グループが多数存在する現代アイドルシーンの中で、なぜ北海道女子は、ハロー!プロジェクトに熱狂しているのか。その理由を他アイドルの動向とともに探ります。■北海道女子が会いに行きやすいハロプロ今や同性からの支持も集まることが当たり前になった、女性アイドル。その活動は多岐にわたり、特にアイドルファンではないという方も、女性アイドルが登場するCMやファッション誌、また関連の芸能ニュースなどを、生活の中で目にする機会は結構多いのではないでしょうか。しかし、これだけアイドル文化が身近になったように思える今でも、首都圏から離れるほど、メジャーアイドルと人々の距離は遠いままです。実際に、2018年上半期のオリコンシングルランキングで1位を獲得したAKB48は、北海道でのグループ単独コンサートがここ3年間、開催なし。続けて2位を獲得している乃木坂46も、北海道での単独コンサートは現時点で2013年に一度行われただけという状況です。また彼女たちの活動を支えている握手会に関しても、実は上記の2グループを含めた「48グループ」「坂道シリーズ」と呼ばれるプロジェクトで、北海道において定期開催しているのはAKB48(年2回)だけになります。メディアで報じられるライブや握手会の賑わいとは相対して、憧れながらも会いに行けないという状況が、少なくとも北海道という地域では現在進行形で存在しているのです。しかしそんなアイドルファン不毛の地でもある北海道で、ハロー!プロジェクトは今や、メジャーアイドル随一の“会いに来てくれるアイドル”になりつつあります。その秘密はライブ回数の多さ。例えば北海道では各グループが年に1~2回単独ライブを行っている他、冬休みと夏休みの期間には、今回、私が観にいったようなハロー!プロジェクト総出演の合同ライブが、年2回開催されています。もともとハロー!プロジェクトの所属アイドルは、枠組みが誕生した90年代当時から、ライブ活動(興行)を、“活動の基本”に据えています。それは00年代前半のブーム時も同じで、当時のモーニング娘。や松浦亜弥さんなどはあれだけのメディア露出をこなしながら、同時に各地でのライブ活動も頻繁に行っていました。そして20周年を迎えた現在でもその伝統は受け継がれ、ホールツアーはもちろん、ここ数年は若手グループによるライブハウスツアーも頻繁に開催されるようになっています。ライブハウスのステージを普段の活動に組み込んだことで、ハロプロはホールツアーや握手会で、普段回ることのできないような地方でも、定期的にパフォーマンスを見てもらうことが可能になりました。昔から生歌での歌唱を基本とし、ステージに強いアイドルを育ててきたハロプロならではの特性。それがここにきて“会いに行けない”地方の潜在的アイドルファン、特にライトな応援が多かった女性ファンに、良い形で結びつきつつあるといえます。■地方女子にとって、上京のストーリーを重ね合わせやすい存在『ASAYAN』(テレビ東京系)を見ていた世代の方はよく知っているかもしれませんが、ハロー!プロジェクトの生みの親となったモーニング娘。の1期生は、もともと5人中4人が首都圏以外の出身者でした。中澤裕子さんは大阪から、石黒彩さん・飯田圭織さん・安倍なつみさんの3人は北海道から上京してアイドルになり、そのストーリーはテレビでも毎週放送されていました。そして今のハロー!プロジェクトのアイドルたちも、現役で活動する55人のメンバー中25人、実に4割以上が、首都圏以外の地元から上京してきた女の子になります。彼女たちがアイドルとして地元で行うライブは“凱旋公演”となり、ステージのアイドルはいつも涙ながらに、地元への想いを伝えます。現在のメジャーアイドルを見てみるとその名前からしても、東京に完全に腰を据えるタイプ(AKB48・乃木坂46など)、もしくは最初から地域密着に向けてしまうタイプ(SKE48・NMB48など)と、それぞれの愛するべきホームが最初からはっきり決まっている傾向にあります。その中でハロー!プロジェクトの特徴というのは、誕生の経緯的にも「地方から東京に自分の夢を背負って上京してきた」という女性アイドル像を、すでにひとつ確立していることです。東京で大きな夢を叶えていくだけでなく、地方出身者が東京から全国を回ることによって、何気ない地方のライブも夢の続きの特別なステージになる。そして現在も地方で暮らす女性たちにしてみれば、東京で頑張っているステージの女の子たちは純粋な憧れであるだけでなく、時には自身が叶えられない夢を託す存在にもなっているかもしれません。■ハロプロの歴史とは「地方の女性たちが東京で頑張ってきた歴史」先日の「Hello! Project 20th Anniversary!! Hello! Project 2018 SUMMER 〜ALL FOR ONE〜」北海道公演でも、ハロー!プロジェクト誕生20周年の記念企画として北海道出身のモーニング娘。1期メンバー・飯田圭織さん、そして同時期に活動していた2期メンバー・矢口真里さんがOGゲストとして登場。そして2人は、モーニング娘。時代に歌っていた「たんぽぽ」「恋をしちゃいました!」「ふるさと」の3曲を披露しました。会場のファンはイントロが流れると、自然と飯田さんと矢口さんが所属していたユニット「タンポポ」をイメージする黄色のサイリウムを点灯し、飯田さんはその光景を「地元札幌というのもあり、涙が出てきそうでした」と後のブログに綴っています。ハロー!プロジェクトの歴史とは、地方の女性たちが東京で頑張ってきた20年の歴史でもある。東京から遠く離れた北海道での大声援や、出身メンバーにかけられたたくさんの「おかえり」の声は、その確かな証明のようでもありました。ちなみにハロー!プロジェクトは現在、9月26日に20周年イヤーの記念シングル「YEAH YEAH YEAH/憧れのStress-free/花、闌の時」のリリースを予定しており、同タイミングですでに「全国各地の皆さまに会いに行きます」との告知もされています。東京では見えにくい、地方に“会いに来てくれるアイドル”。そんなハロー!プロジェクトのアイドルたちと地方ファン、そして地方女子ファンの大切な時間は、これからもまだまだ続いていきそうです。乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版している他、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181
2018年08月23日近年はSNSの充実で、地方からも全国的な人気を獲得するコンテンツが誕生している。これからも確実に地方からスターは生まれ、それらの命は、東京のエンタメ観では見つけられない場所で産声をあげています。そんな輝きや面白さを、いち早く北海道からお届けします(北海道在住フリーライター/乗田綾子)「CUE DREAM JAM-BOREE 2018」に駆けつけた多くの人々先日の話になりますが、7月末に北海道札幌市で開催された「CUE DREAM JAM-BOREE 2018」というライブイベントにお邪魔してきました。■約4万人が楽しんだイベントタイトルにある「CUE」とは、北海道を拠点とする芸能事務所、CREATIVE OFFICE CUEのこと。“日本一チケットが取れない演劇ユニット”といわれるTEAM NACS(大泉洋さん、安田顕さん、森崎博之さん、戸次重幸さん、音尾琢真さん)が所属していることで有名な事務所ですが、「CUE DREAM JAM-BOREE」はそんな彼らも含め、所属タレントが全員参加する、事務所創業の地・北海道での“ファン感謝祭”のような催しです。2002年から2年に1度のペースで行われているこの「CUE DREAM JAM-BOREE」は、最初は札幌の小さなホール会場から始まりました。しかし所属俳優・タレントたちが年々活躍の場を広げるに伴い、会場もステップアップ。今では北海道でトップクラスのキャパシティを有する、北海道立総合体育センター北海きたえーるが、おなじみの会場となっています。また2016年からは映画館での全国ライブビューイング中継も行われており、2018年の今年は7月27日~29日の開催3日間で、会場の約24000人+映画館の約15000人が、このイベントを楽しんでいたという計算になりました。■公演時間は3時間30分!長年、北海道に住みながらも今回初めて「CUE DREAM JAM-BOREE」に参加した私ですが、まず最初に驚いたのは、“地方限定ということを思わず忘れてしまう”スケールの大きさ、そしてその豪華さでした。今回はドラマ『陸王』(TBS系)や『ブラックペアン』(同)への出演で、注目を集めつつあるTEAM NACSの音尾琢真さんが総合プロデュースを担当し、内容は“魔法”をテーマにしたミュージカルとコンサートの2部構成になっていました。そこで登場する照明・音響・特殊効果の数々が、はっきり言って地方限定のイベント用とは、到底思えないようなレベル。いずれも“あの超有名アーティストの全国アリーナツアーでも使っていた”というような演出で、しかも3日間だけのステージで惜しみなく使われているのは、異例中の異例です。また、注目すべきはこのイベント、とにかく、公演時間が長い!アーティストやアイドルのライブに行かれる方ほど、この凄(すご)さがわかると思うのですが、7000円~のチケット1枚で、なんと公演時間が約3時間30分もあります。第一部となるミュージカルが終わったのは、開演から2時間30分後、そして第二部となるコンサートとフィナーレはさらに1時間。また公演中は随所にアイドルでいう「お手振り」タイムやトロッコ移動、また客席降臨やサインボールの投げ込みなど、近距離でのファンサービスもかなり用意されていました。■最大級の感謝特にTEAM NACSのように、芸能界で俳優業を主軸としている人たちは、ファンに直接レスポンスを返すという機会には、なかなか恵まれないかと思います。ですが応援するファンにしてみれば、無理な願いとわかっていながらも、少しでも長く、同じ時間や感情を一緒に共有していたいもの。ファンに感謝を抱く芸能人と、声を届けたいファン。本来であれば遠い距離でしか繋がることのできない両者を、「豪華に」「もっと長く」「もっと近く」したものがあるとしたら、それはTEAM NACS、そしてCREATIVE OFFICE CUEの場合、「北海道で生まれ育った」というアイデンティティだったのでしょう。以前、大泉洋さんによる、こんな言葉がありました。《北海道の人たちに見続けてもらうために、色々な顔を持とうと思ったのですが、北海道ではドラマをやりたくても機会がないから、東京の仕事を始めたんです》《僕が大学生の時は、色々な劇団の舞台を見たくても、東京に行かないと見られないものがたくさんあった。その逆があってもいいと思うんです》(以上、zakzak「ぴいぷる」2013年5月10日)やりたいことや見たいものが距離に阻まれる。そんな地方の実情を知る彼らだからこそ、生まれ育った地方で、手を抜かずに最大級の感謝を返す。ここに「CUE DREAM JAM-BOREE」が毎回、全国から多くのファンを集めてきた理由、そして北海道の一芸能事務所がここまで愛されるようになった理由、すべてが詰まっているような気がしました。ちなみに今回のイベントではアニソンシンガーとして人気急上昇中の綾野ましろさんや、今年からCREATIVE OFFICE CUEに所属することになったSKE48出身の東李苑さん、また北海道男子限定オーディションで選ばれた若手ボーイズユニットの「NORD(ノール)」と、“次の世代”の輝きも多く見受けられました。北海道で頑張っている若い彼らの活躍についても、また日を改めてお伝えできたらと思います。乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版している他、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181
2018年08月20日近年はSNSの充実で、地方からも全国的な人気を獲得するコンテンツが誕生している。これからも確実に地方からスターは生まれ、それらの命は、東京のエンタメ観では見つけられない場所で産声をあげています。そんな輝きや面白さを、いち早く北海道からお届けします(北海道在住フリーライター/乗田綾子)左から、稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛突然ですが、皆さんは「関係人口」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは近年、使われるようになってきた言葉で、その場所に住んでいる人たちや一時的に滞在している観光客ではなく、「地域外からさまざまな方法でその地域に繋がってくれる人たち」を指すものなんです。■夕張の強いNAKAMAに例えば、ふるさと納税の利用や特産品の購入などで、緩やかに繋がりを持ってくれる、いわば地域の“ファン”のような存在、それが関係人口という言葉の意味です。なぜこの言葉に注目したかというと、実は今年の5月、北海道の鈴木直道夕張市長がTwitterを通じてこんなメッセージを発信していました。《読売新聞朝刊(全国版)にて、新しい地図の香取慎吾さん、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さんとの懇談記事が掲載されました。新たな「関係人口」を創出し、イメージチェンジを図る夕張の心強い NAKAMA(応援団) に!まずは夕張での再会を楽しみにしています。》〔鈴木直道(夕張市長)@suzukinaomichi のツイートより〕全国で唯一の財政再生団体、北海道夕張市。長年、厳しい財政難に苦しみ続けるその町の再生に「関係人口」の視点から手を差し伸べたものこそ、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんの3人による、あの「新しい地図」プロジェクトだったのです。この話をひもとくにまず、夕張の歩みを簡単におさらいしたいと思います。北海道の開拓が本格的に始まった明治時代。当時の主力エネルギーだった石炭鉱脈が発見された夕張では、たくさんの炭鉱が作られ、その動きと連動する形で、町も大きく発展していきます。夕張の人口が一番多かったのは1960年、その数はなんと11万6908人。今でいうと、東京都の小金井市や東久留米市と同じくらいの規模になりますが、その人口ピークの時期に決まったのが、「原油の輸入自由化」でした。海外での大規模油田の発見によって、安価な石油の安定供給が可能となり、石炭エネルギーが前時代のものとなっていった1960年代。夕張では炭鉱が次々と閉鎖になり、仕事を失った現役世代とその家族が離れていくことで、地域はだんだん衰退していきます。■日本全国どこでも起こりうる一度始まってしまった人口流出はその後も止まらず、最後の炭鉱が閉鎖された1990年には、夕張の人口は2万1824人にまで減少しました。著しい少子高齢化も見られるようになった、この窮地を脱するべく、夕張市は「炭鉱から観光へ」を合言葉に、大型リゾート開発へと舵を切ります。しかし、そこに待っていたのはバブル崩壊と“失われた20年”と呼ばれる、あの平成不況でした。それまでの町の疲弊に加え、リゾート開発などの累積赤字がさらに重なり、限界に達した夕張は2007年、ついに財政破綻を表明します。その赤字額は約353億円。企業でいえば倒産に等しい「財政再健団体」(当時)の指定を、全国で唯一受けた夕張市は、“鉛筆一本買うにも国にお伺いを立てる”というような状況の中、毎年、26億円にもおよぶ借金を返していくことになりました。夕張は特別なケースで、自分にはあまり関係ないと感じる方も多いかもしれません。しかし破綻に至った、ここ30年の夕張の実情は、基幹産業喪失のダメージという以上に、「人口減少と少子高齢化によって税収が減少した自治体の逃れられなかった現実」という側面が大きいのです。視点を変えれば、人口減少と少子高齢化がすでに現実となっているこの日本で、これからの未来、全国どこでも起こりうるものです。その流れの中で、稲垣さん、草なぎさん、香取さんという知名度も人気も全国クラスの3人が、今回「関係人口」創出を起点に地方社会と関わり始めたことは、非常に大きな意味を持っています。特に興味を引いたのは、いままで東京一極集中の著しかったエンターテイメントの世界、東京の文化で生まれた彼らが、ついに地方社会との密な関係性を築き始めたということでした。たとえば、彼らの所属していたSMAPの活動を振り返っても、国民的人気を獲得したアイドルたちの主戦場は、大手メディアが集中する東京。もしくはドームクラスのライブ会場があるような、大都市圏に限られていました。たまにドラマや映画などで、地方のロケ地が“聖地”になるケースはあるものの、基本的にテレビ出演や大都市でのライブ活動が柱となるアイドルは、そう頻繁に地方出張ができるわけではありません。また、アーティストと違って、各地方の野外フェスなどに出演するような機会も、全くありませんでした。■エンタメが「日本の未来」を救うしかしその一方で、長年、第一線で活躍し続けるアイドルの彼らには、たくさんの”ファン”の存在があります。特に近年のファン文化は、好きなものに対して「大きな意味での支援」に尽力する傾向があります。それこそSMAPファンは、2011年の東日本大震災でグループが復興支援を呼びかけて以降、2018年の現在も変わらず災害募金に協力したり、被災地の特産品を購入する様子を、SNSで安定的に発信しています。行きつくところはそれぞれですが、その始まりは皆等しく、好きなものへの愛情であり、同じ時代を生きる他者やコミュニティへの敬意。そして、今までは被災地支援などに向けられてきたそのファン文化のパワーが、一歩進んで「地方の人口減少と少子高齢化」という社会問題に向けられようとしているのが、まさに今回の『新しい地図×夕張』の取り組みなのだと思います。実際に夕張市長との懇談以降、稲垣さん、草なぎさん、香取さんの3人は出演番組で積極的に夕張の名前を出すようになりました。それをファンもしっかり聞き逃さず、夕張へのふるさと納税を行ったり、特産品を購入して写真や情報をSNS上でシェアするようになっています。ちなみに、新しい地図と懇談した鈴木直道市長は、著書で理想とする政治の在り方についてこう話していたことがあります。《どうしても“ひとりの犠牲”を出さなければいけない状況であるならば、残りの九九人の知恵を借りて、ひとりの犠牲も出さない解決策を考える――いまはそういう時代だと思う》(講談社『夕張再生市長 課題先進地で見た「人口減少ニッポン」を生き抜くヒント』)もはや、人口増加の特効薬は絶対にないといえる状況で、市民税や固定資産税といった各種税金の増額、水道料金の大幅値上げ、老朽化が進む市立診療所の建て替え先送り……。そういった、生き残りへの厳しい現実に耐えながら、それでも、それぞれの大切な故郷を守ろうと生きている人たち。遠い北海道の中に、ほんの少し早くやってきている地方衰退の現実。もし、東京の人気アイドルが「関係人口」の創出によって支えることができたならば、それは「日本の未来」をエンターテイメントの明るさが変えていくという、希望ある一例になるのだと思います。乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版している他、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181
2018年08月03日近年はSNSの充実で、地方からも全国的な人気を獲得するコンテンツが誕生している。これからも確実に地方からスターは生まれ、それらの命は、東京のエンタメ観では見つけられない場所で産声をあげています。そんな輝きや面白さを、いち早く北海道からお届けします(北海道在住フリーライター/乗田綾子)東京も地方もテレビの歴史や経験は、さほど変わらないのに“格差”が生まれてしまったこれは今から60年前の1958年、ある週刊誌で掲載されていた、記事の見出しです。「北海道90年目の新天地テレビのある熊の王国」(東京新聞社『週刊東京』1958年8月9日号)東京タワーの完成に沸く首都・東京からこの記事が発信された時期、遠く離れた北海道でもNHKに続いて、道内初の民放局となる北海道放送(HBC)が放送を開始しました。■地方は東京のおこぼれ実は北海道に限らず地方テレビ局の多くは、この1950年代後半~60年代にかけて一斉に放送を開始しています。そして国内初のテレビ局・NHKの試験放送開始が1950年、また国内初の民放テレビ局・日本テレビの本放送開始が1953年であることを踏まえると、少なくとも歴史や経験というのは、東京であっても地方であっても、あまり変わらないところから同じようにスタートしていたはずなのです。しかし実際にはそれから1970年代、1980年代と時代が進むに従って、特にテレビを中心とした「エンターテイメント」の分野では、東京が最高到達点で地方はそのおこぼれにあずかる場所、という感覚がどんどん広まっていきました。今思うとその“格差”の始まりは、国内マスメディアの原産地である「東京での物差しが、そのまま地方にあてられていた」そんな小さなボタンのかけ違いから生まれていたような気がします。それこそ北海道であれば、テレビ局ができてもデパートがあっても、街にネオンが煌(きら)めくようになっていても「熊の王国」。まだ情報発信がマスメディアに限られていた時代、遠い地方の人がどんなふうに文化を育み、エンターテイメントを楽しんでいたかという独自の物差しは、その後も長年、ご近所の井戸端会議だけで消化され続けていました。しかしそんな地方民の生活において、ついに2000年代、あるものが革命を起こします。そう、インターネットの普及です。それまで東京からの一方通行で流されていた情報は、インターネットの普及とともに地方からも、そして個人からも鮮度を保ったまま、全国各地へと届けられるようになりました。■“逆輸入”達成! 北海道発の『水曜どうでしょう』さらに、インターネットは東京と地方の間に長年横たわっていた、エンターテイメントの頑固な主従関係をも時にひっくり返してしまう、そんな最強ツールへと成長を遂げていきます。その一例が北海道テレビ(HTB)制作のバラエティ番組『水曜どうでしょう』。1996年に放送が始まり、ローカル局の深夜バラエティとして長年、北海道限定で人気を獲得していたこの番組は、インターネットの普及とともに視聴者の口コミが北海道外にも広がったことで、徐々に他県でも放送を開始。そこからさらに人気は加速し、なんと2004年には地方ローカルバラエティのはずがキー局である東京のテレビ朝日で放送されるという、今までなら絶対にあり得なかった“逆輸入”を見事、達成します。また、出演者の一人である大泉洋さんは、この番組をきっかけに全国で知られるようになり、俳優として数々の人気作品に出演するようにもなりました。本当は、この『水曜どうでしょう』や大泉さんのように、エンターテイメントの分野で「面白いこと」「光を放つ人」というのは、東京と地方の間に“格差”は存在しないはずなのです。しかも技術革新がさらに進んだ現在は、今や全国どこでも、動画や音楽のストリーミングサービスが楽しめる時代になりました。でも、北海道と東京を頻繁に行き来している私はどうもまだ、東京発信のマスメディアの領域で「テレビのある熊の王国」時代の地方観、地方エンターテイメント観が抜けていない、そう感じることが多くあります。■地方では話題になった『新しい地図』そこで幸運にも『週刊女性PRIME』さんというメディアの一部屋をお借りすることができた今回から、ライターの私が地方視点で切り取ったテレビや音楽、アイドルの話を、全国の皆さんにどんどんお伝えしていきたいと思います。ちなみに私が今住んでいる北海道は、前述した大泉洋さんが所属する人気演劇ユニット「TEAM NACS」の活躍もあり、ローカル独自のエンターテイメント文化を育て発展させようという気運が近年、かなり高まりつつあります。また人口減少と財政難に苦しんでいるという点でも先日、稲垣吾郎さん、草なぎ剛さん、香取慎吾さんの3人が鈴木直道夕張市長と懇談し、地域再生への協力を約束したことは大きな話題となりました。大都市を除いてどこもかしこも人口減少時代に突入した現代、中央集権的なエンターテイメントの世界は、ローカルの世界と今後どのように結びつき、共鳴しあっていくのか。その足元に視線を落とせば、まだまだ日本のエンターテイメントの世界は深く、そして広がっていけるものだと、地方在住の私はそう思っています。乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版している他、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181
2018年07月07日今年3月、滋賀県長浜市の市長(68)が、40代人妻女性と不倫していると週刊誌が報道。女性が市長のマンションを訪れる画像などが掲載され、「早朝まで帰ってこなかった」などと報じられました。さらに愛人女性は特に実績がないにもかかわらず、市長のはからいで第3セクターが運営する飲食店の責任者に抜擢されていたという報道も。このほかにも別の女性に対するセクハラ疑惑などが浮上しており、市長の呆れた性癖に市民を中心に怒りの声が広がっています。 ■市民が市長に損害賠償請求市長はこの報道後、市議会で真偽を問われますが、「事実無根・事実誤認」と述べるにとどまり、事実関係について明確な説明をしていません。しびれを切らした長浜市民と市議会議員の一部は5月30日、「市長のスキャンダルにより精神的苦痛を受けた」として市長に損害賠償請求を起こしています。このような行動は異例ですが、可能ならば自分の市区町村でも行いたいと思うもの。法的に見て、このような請求は妥当なのでしょうか?虎ノ門法律経済事務所池袋支店の齋藤健博弁護士にお聞きしました。 ■全てが認容されることは難しい齋藤弁護士:「法的に妥当かどうかの問いに答えるには、解決しなければならない問題が多い訴訟になりますね。まず、説明義務違反と、慰謝料請求の根拠となりえる精神的損害との因果関係は大いに争われてしまうでしょう。また、集団提訴といっても、ひとりひとりの置かれた状態が異なりますから、全部が認容されることは考えにくいです。慰謝料請求でなくても、住民訴訟などの手段を適切に使うことで同じ問題を争点にすることはありえます。住民訴訟とは、地方自治法242条の2に定められている訴訟の分類になります。これは、客観訴訟のうちでも民衆訴訟に数えられるものです。要は、慰謝料などの個人の問題ではなく、公共財産を適切に利用していたのかどうかを判断するものになります。」 ■住民監査請求をする可能性も齋藤弁護士:「実は、住民訴訟を適法に提起するには、住民監査請求をした住民が、その監査結果、勧告、措置等に対して不服がある場合、裁判所に対する訴えをもって請求することができると規定しています。これは、監査請求前置主義といいます。ですから、いきなり訴訟とはいきませんが、住民監査請求を行うことで、どのような使途でお金が使われたものであるかを問題とすることができる余地があるでしょう。ちなみに、監査請求は、住民が、自らの居住する地方公共団体の違法若しくは不当な財務会計上の行為があると認められる場合、その地方公共団体の監査委員に対し監査を求め、その行為に対し必要な措置を講ずべきことを請求することができる制度です。本件のように、不貞交際を行政財産で継続しておこなった疑惑がある場合には、財務会計がどのようになされていたかを明らかにしていくことで、問題とすることはできるでしょう。」 昨今、県知事や市区町村長など、政治家による政治資金の流用やセクハラ・不倫・パワハラ問題は多々発生しています。そのような場合、税金を納付する県民・市区町村民が納得できないのは当然のこと。長浜市のような「損害賠償請求」が認められるの否か、注目されるところです。 *取材協力弁護士: 虎ノ門法律経済事務所池袋支店齋藤健博弁護士(弁護士登録以降、某大手弁護士検索サイトで1位を獲得。LINEでも連絡がとれる、超迅速弁護士としてさまざまな相談に対応。特に離婚・男女問題には解決に定評。今日も多くの依頼者の相談に多く乗っている。弁護士業務とは別の顔として、慶應義塾大学において助教も勤める。)*取材・文:櫻井哲夫(本サイトでは弁護士様の回答をわかりやすく伝えるために日々奮闘し、丁寧な記事執筆を心がけております。仕事依頼も随時受け付けています)*画像はイメージです(pixta)長浜市民が不倫疑惑の市長に損害賠償請求…市民の主張は認められる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。長浜市民が不倫疑惑の市長に損害賠償請求…市民の主張は認められる?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年06月13日都会で慌ただしく子育てしていると、「もっとゆっくりと過ごしたいな」と感じることはありませんか? 子どもたちのためには、のびのびと暮らせる地方での暮らしは大きな魅力ですよね。しかし、地方での子育てにも良し悪しがあり、実際に移住する前の下調べが重要です。今回は地方に移住するとき、何を基準にして決めればいいか考えてみたいと思います。■20~40代の地方移住希望者が増加中!NPO法人「ふるさと回帰支援センター」の統計によると、地方移住について相談者のうち、20~40歳代の割合は年々増えていることがわかります。2008年約30%だった地方移住の20~40歳代相談者が、2016年には約68%に! ひと昔前のいわゆる定年退職後に地方移住を検討する人が多かった時代から、現役で仕事をする世代が移住を考えるという変化が起こっています。それを裏付けるような調査結果も。「NTTデータ経営研究所」が行った調査によると、都市部に住む6歳未満の子だけを持つ親たちの41.2%が「地方への移住や転職をしたい」と回答。4割もの人たちが現在住んでいる都市部に何かしらの物足りなさを感じ、地方への移住を希望しています。■子育て世代は、何を求めて移住するのかでは、都市部で暮らす子育て世帯は、何を求めて地方への移住を検討しているのでしょうか? 先ほどの「NTTデータ経営研究所」の調査によると、地方への移住や転職を考えるきっかけや、移住先の保育園・幼稚園として魅力について次のようなことが挙げられています。●子育てのために自然環境が豊かなところ、地域コミュニティが豊かな地域で暮らしたい●自然環境を活かし、子供の五感、生きる強さ、主体性を育成する保育・教育のある環境都市部での子育てにおいて、子どもの自然経験が不足していると感じ、それを地方での暮らしに求めている人が多いようですね。■都会に出てきて驚いたこと。地方暮らしメリットとは実際に、筆者は昨夏まで人口20万人未満の地方自治体で暮らしていました。2人の子育てを約4年半地方で行い、その後都会に引っ越してきたことで、地方のメリットとデメリットが見えてきました。地方と言っても、その特色はさまざまなので一概に言うのは難しいですが、筆者が感じたことをまとめてみました。<地方暮らしのメリット>●手をつけられていない豊かな自然を体感できる●お金をかけないでも十分遊べる、かかるお金もわずか●人との付き合いが親密で距離が近い●車での移動が気軽で楽にできる●住居費や食費などの生活費も安く抑えられる都会に出てきて一番驚いたのは、何をするにもお金がかかる、そしてその金額も高いこと。地方から都会に出てきて、月々にかかる外出費用はかなり膨れ上がりました。自然を体験したいと思ったら、レンタカーを借り、高速代を支払って、さらに施設への入園料などもかかるため、かなりの出費です。さらに生活費も都会に出てきてから上がり、とくに住居費は同じ広さの家賃でも2倍ほどになってしまいました。地方で暮らすと、生活にかかるお金を減らせるというのは言えそうです。■地方生活のデメリットは子育て世帯には致命的か?筆者が考える地方暮らしのデメリットは、次のようなものがあります。<地方暮らしのデメリット>●整備されていない自然もあるため、危険も伴うことがある●仕事が少なく、職探しに難航する●人が少ないためコミュニティが狭くなりがち●公共交通機関が都市部ほど充実していないため、車での生活が必須仕事が少なくて職探しに苦労するのは、地方の生活で致命的な部分でもあります。子育て世帯は、子どもを養わなければならないので、職無しというわけにはいきませんよね。さらに、仕事が見つかっても、その賃金は下がることが多いです。生活にかかるお金が減らせても、収入自体が下がることが多いため、結局地方にいても都会にいても、残るお金は同じになる可能性が高そうです。このため地方移住を検討する場合には、費用よりほかのことを重視した方がいいかもしれません。■住みたい田舎ランキング1位の超充実支援策地方の自治体が子育て中の移住者に対して行っている支援策について見ていきましょう。茨城県常陸太田市は、いち早く子育て支援策に取り組んできました。今年1月に『田舎暮らしの本』が発表した「2018年版 住みたい田舎ベストランキング」の人口10万人未満の市町村で子育て部門で1位になり、注目を集めています。この市では、若い世帯への費用の助成が大変充実しています。<常陸太田市の若い世帯向け助成(抜粋)>・結婚して3年以内の新婚夫婦に最大で3年間家賃の補助として、一世帯当たり月2万円を助成・子育て世帯や子育て世帯と一緒に住むために家を購入した人に最大20万円が助成(住宅取得促進助成金)・1歳未満の子を持つ親へのおむつ購入費用2万円が助成・保育園では3人目の保育料の無料化などさらに費用の助成だけでなく、「こども夜間診療」という平日の午後6時から10時まで、持ち回りの病院に診察してもらえる取り組みもしています。このように、地方の自治体では子育て世帯の移住を増やそうと、税金と手間をかけた真剣な取り組みが進められています。子育て世帯が移住してくれるということは、その子どもや孫の世代まで住み続けてくれる可能性もあるため、その地方の未来にかける投資ということになるのでしょう。ここまで読んでみて、どう感じましたか? 理想の場所で子育てしたいと思いながらも、実際はなかなか踏み切れないという人もいると思います。大切なのは、「自分と家族の価値観を守るためにどこに住むか」ということですよね。自分が大切にしていることを実現するために、都市部と地方、どちらが適しているのかしっかりと考えたうえで、地方への移住も視野に入れてみるといいかもしれません。【参考文献】・ NPO法人ふるさと回帰支援センター ・NTTデータ経営研究所: 「都市地域に暮らす子育て家族の生活環境・移住意向調査」 ・ 「2018年版 住みたい田舎ベストランキング」 (宝島社『田舎暮らしの本』2月号)・ 子育て上手 常陸太田(茨城県常陸太田市)
2018年02月03日お一人でも気軽に通えるカジュアルな空間美食の街として注目を集める東京・代官山に2012年にオープンしたビストロ料理店「Cote Feu(コテ・フー)」は、カジュアルなスタイルでいただくお料理とワインがおいしいお店。カウンター6席とテーブル席3つのこぢんまりとした店内ですが、石窯で焼き上げる姿を間近で見られたり、調理の過程を覗くこともでき、堅苦しい空気がないので一人でも気軽に立ち寄りやすい雰囲気となっています。アルザス地方名物!タルトフランベとワインが自慢「Cote Feu」では、アルザス地方のワイナリーで1年間、醸造・栽培を学び、現地のミシュラン2つ星のレストランでソムリエとして働いた経験を持つ店主が焼き上げる、アルザスの郷土料理タルトフランベとワインのマリアージュを楽しめます。お店自慢のタルトフランベは、フランス産の小麦粉、水、塩を使って24時間ゆっくり発酵させた自家製の生地が特徴。サクッ&もっちりの食感で、小麦粉の香りと旨味を最大限に味わうことができます。お食事からデザートまでさまざまな食材との相性がいいタルトフランベ。「Cote Feu」でも、ベーコンや玉ねぎと合わせたしっかりとした味わいや、りんごを使った甘いスイーツなど、多種多様な食べ方で楽しむことができます。絶品ビストロメニューも見逃せない!お店には、タルトフランベ以外にもワインと合わせて楽しめるメニューが揃います。目の前で焼き上げる「溶岩石で焼く牛ロースステーキ」は300g超の肉厚ステーキ。目にも舌にもおいしいお肉好き必見のメニューです。来店の際は予約をするのがベスト!「Cote Feu」は、JR各線「渋谷駅」西口から徒歩8分、東急東横線「代官山駅」から徒歩9分、猿楽町の交差点を下った、コインパーキングの横のベージュ色の建物にあります。来店の際は電話で確認&予約がおすすめ。7人以上で貸し切りとなるので、小規模な仲間内でのパーティーや女子会にぴったりのお店です。スポット情報スポット名:Cote Feu住所:東京都渋谷区鴬谷町8-10 代官山トゥエルブ2電話番号:03-3461-2024
2018年01月11日※写真はイメージです健康でいたいと願う人は多いが、健康は万人に平等ではない。人によって健康に差が出る要因は、持って生まれた身体の強弱など先天的な部分が大きいが、実は後天的な部分も強く関係している。人にはそれぞれ生まれ育った環境があり、さらに職業、経済力、家族構成などに恵まれている人とそうでない人が厳然として存在する。この差が人の健康状態を左右してしまうのだ。これがいわゆる「健康格差」である。これまで健康格差は社会的格差の大きい西欧諸国で問題視されてきたが、近年は比較的格差が少ないとされてきた日本でもその広がりが指摘されている。低所得者は高所得者より死亡リスクが2倍近くになるといわれている。健康を良好に保てるかどうかは個人の管理能力によるところも大きいが、その点でいうと、高所得者は食事をバランスよく取り、自分の健康や医療にお金をかけるなど、健康意識が高い。対して低所得者は生活がギリギリのため、食事はおざなりで、体調がちょっと悪くなったくらいでは病院にも行かない(保険料を滞納して受診できないケースもある)。高所得者と低所得者、どちらの健康リスクが高いかは一目瞭然である。■はっきり西高東低な東京23区の寿命東京は地方と比べて所得水準が高い。だがそれはあくまでも平均としてならされたもので、実際には大きな格差が存在している。特に超高所得者も多い23区内の所得格差は、地方とは比べものにならないぐらい大きい。23区の平均年収ランキング(2013年)でトップは港区の902万円。最下位は足立区の324万円で、その差は実に600万円近くにもなる。港区以下の上位には、千代田区(784万円)、渋谷区(703万円)など、主に中央~南西部にかけての「山の手エリア」の区がランクインしている。対する下位は葛飾区(333万円)、北区(344万円)など、主に北東部の「下町エリア」の区で占められている。このように23区では高所得者が西に住み、低所得者が東に住むという「西高東低」の構図がある程度できあがっている。そしてその構図は、そのまま寿命や健康にも当てはまってしまうのだ。23区の平均寿命(2010年)は男性が79.5歳、女性が86.3歳と全国平均レベルだが、東京都全体の平均寿命(男性79.9歳、女性86.4歳)には惜しくも届かない。足を引っ張っているのは、足立区、荒川区、台東区、葛飾区、江戸川区、墨田区、江東区といった下町区。平均寿命が男女ともに23区トップである山の手の杉並区と比べて、男性最下位の荒川区とで4.1歳、女性最下位の足立区とで2.8歳もの開きがある。こちらも明らかに西高東低で、山の手と下町の所得格差がそのまま平均寿命の差になっているといっても過言ではない。また、最近では寿命についての新しい概念として「健康寿命」という考え方が注目されている。健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」。要は介護を受けたり、寝たきりになったりせず、元気に自立して生活を送れる期間のことだ。たとえ長生きできても、晩年ずっと寝たきりという生活を我々は望んでおらず、その点で健康寿命には「実質的な寿命」という意味合いもある。この健康寿命でも23区の傾向は基本的に西高東低。男女ともにトップは山の手区の文京区で、最下位は男性が台東区で女性が足立区と、やはり下町区が下位に沈んでいる。こうした差が出てしまう要因はいろいろあるが、大きいのはやはり「食生活」だ。下町区には非正規労働者(契約社員・派遣労働者・パートタイマー)や町工場で働く職人などが多いが、彼らは日々、仕事と生活に追われ、食事はインスタント食品やファストフード、出来合いの弁当などに頼ることも多く、どうしてもおざなりになる。しかも不安定な雇用状況と低収入によるストレスから飲酒と喫煙をやめられない人も多く、彼らは生活習慣病予備軍として、やがて糖尿病などを発症していく。病気になれば医療費がかかることになり、それがまた生活を圧迫する。そのため病院に行かないケースも多く、放っておくうちに重病化して仕事ができなくなるという悪循環に陥る。こうした負のスパイラルは下町区により多く見られるものだ。さらに、貧困を背景とした食生活の乱れは、子供がいれば、その健康にも悪影響を与えかねない。最近、子供の糖尿病が増加している。子供がかかる糖尿病は2種類あるが、発症数が圧倒的に多いのは主に肥満を要因とする「2型糖尿病」だ。子供の肥満は裕福な家庭よりも貧困家庭に多く、貧困が原因の偏った食習慣や食の配慮不足が子供を太らせていく。貧困は子供の健康を害し、その将来をむしばむ危険も秘めている。■最強セレブ区が持っている裏の顔一方、高所得者が多い山の手区には、健康を意識した食事を常日頃から心掛けている住民が多い。また、人は暮らしている環境に合わせたライフスタイルをとる傾向があるから、健康意識の高い人が多い地域は、地域ぐるみで健康に気を使うようにもなる。貧困地域の負のスパイラルとは正反対の好循環である。ただ、当たり前の話だが高所得者が多い区だからといって、健康な住民ばかりいるわけではない。たとえば23区随一のセレブ区である港区を例にとってみよう。港区には超が付く高所得者の影に隠れるかのように低所得者も暮らしている。実際、古くからの港区民には資産家など富裕層もいるにはいるが、年収500万円未満で中流層にさえ届かない人も大勢いるのだ。ブルジョワなイメージの港区だけに、こうした格差の実態はけっこうインパクトが強い。だが、さらに衝撃的な事実は、大きな格差が存在するとはいえ、23区で最も区民中の高所得者(年収1000万円以上)割合が高いにもかかわらず、健康寿命が短いことである。港区の健康寿命は、男性こそ80.8歳で23区中10位だが、女性は81.97歳で22位。女性の健康寿命の20位以下には墨田区、台東区、足立区と、下町区がズラリと並ぶ中、港区の存在はひと際目立っている。でもなぜこんなにも港区の女性は健康寿命が短いのか?そこには、港区ならではの都会的なドライさ、ヒエラルキー社会という背景があると推測される。港区の高齢化率は高くないが、それでも65歳以上の高齢者が約4万3000人(2017年3月時点)も暮らしている。このうち単身高齢者世帯の割合は不明である。ただ2010年の国勢調査によれば、港区の単身高齢者世帯は約1万世帯だった。当時の高齢者の数が約3万6000人だから、単身高齢者世帯の割合は約28%として、現在の高齢者人口に強引に当てはめてみると約1万2000世帯となる。つまり、約1万2000人の独居老人がいると推定される。彼らの多くは貧しいため、富裕層の多い地域コミューンの中に入り込めていない可能性がある。実際、区の調査(2012年)では、緊急時に支援者がいない独居老人は全体の17%に上り、特に低所得者にその割合が高かったという。港区ではそんな独居老人を含め、高齢者に生きがいを持たせるため、交流事業やシルバー人材事業を行っている。特に高齢者の就業率を高めるシルバー人材事業では、無料職業紹介所の「みなと*しごと55」など、地元企業で高齢者でも応募可能な求人を集めて提供し、実績を挙げている。しかし、シニアの再就職はどうしても男性中心になりやすい。そうなると高齢の単身女性は、生活を成り立たせるための収入の確保が難しくなる。そうして彼女らは地域との交流を絶ち、孤立した貧しい暮らしの中で健康を害していると考えられるのだ。都会は女性の未婚率も高く、高齢の独身女性世帯は今後さらに増えると予測されている。将来的な年金制度や介護への懸念もあり、こうした単身高齢女性の貧困による健康問題は、港区にとどまらず、23区全体でもますます深刻化していく可能性がある。世の中から健康や命の不平等を生む貧困はどうしたってなくならない。ただ、貧困によって後ろ向きになっている人たちに「貧しくても楽しい生活ができる」と思わせることはできるはずである。弱者が弱者と思わなくてもよい社会をつくりあげることが、健康格差の是正に有効な「処方箋」だろう。(文/岡島慎二)<プロフィール>岡島慎二(おかじま・しんじ)◎1968年茨城県生まれ。フリー編集者・ライター。主な著書に『地域批評シリーズ』(マイクロマガジン社)など。地方自治、まちづくりなど地域問題を筆頭に、日本が抱える社会問題に舌鋒鋭く持論を展開する。近刊に『東京23区健康格差』、『東北のしきたり』(ともにマイクロマガジン社)。
2017年09月24日あなたの住む地域のも自治会や町内会はありますか? これらはその地域に住む住民による住民のための団体で、あくまで参加は任意。それでも強制的に入らなければいけない雰囲気もあるところも多いようです。自治会によっては信じられないような慣習があるところも。パパやママたちに自治会での体験談を聞いてみました。Q.町内会や自治会は必要?1.必要 22.7%2.どちらかと言えば必要 41.2%3.どちらかと言えば不要 18.8%4.不要 7.9%5.わからない・どちらとも言えない 9.4%どちらかと言えば必要と答えた人が41.2%、必要と答えた人も22.7%と過半数以上の人が必要だと思っているようです。あってよかったと思うこと反面、こんな町内会や自治会ならいらないと思うことも多いよう。そこで、自治会反対派や自治会に入ってはいるけどおかしいと思うことを聞いてみました。■夜の宴会にコンパニオン!? こんな自治会もうイヤ田舎ではおじさんたちのいいように自治会が運営されている実態も…。地域のみんなのためのはずの自治会費がこんなことに使われているなんて! 「男尊女卑が根強い。旅行ではバスに乗ったら宴会。夜の宴会ではコンパニオンを必ず呼んで、無駄金を使っている。女性には宴会のお膳のみ。自治会費払いたくないし、こんな自治会はいらない」(茨城県 30代女性)「町内会費、共益費を毎月支払っていますが、年度末に費用が余って、町内会の上の人たちの宴会で使用して、調整しているとの噂も聞いたことがあります。そういうのを聞くと毎月の集金はどうなのかなと思います」(愛知県 30代女性)「無駄に集めて蓄えず、そのづどお酒とコンパニオンにお金が消えて行く…。女の集まりはお茶菓子だけで終わるのに、この差はなんだろう? 無駄しかない!」(千葉県 30代女性)■今のままの自治体なら正直いらない!若い世代の人にも加入することで得られるメリットなどがない限り、自治会の存続は厳しそう。共働きやサービス業などで土日も仕事の人が増えるなか、自治会や町内会も新しい形へとシフトする時期なのかもしれません。「今年組長です。伝統的な祭りなどは残して欲しいですが、高齢化で力仕事などは任されます。若い世代が入りたくなるような仕組みを考えないと存続は難しいかなと」(広島県 30代女性)「新興住宅街に住んでいますが、以前からある自治体に加入している世帯ゼロです。『自治体がなくなるとお祭りとか地域の行事が無くなりますので』とか『入ってみると楽しいよ』などと言われましたが、実態は老人が仕切るくだらない集まり」(東京都県 40代男性)■自治会あるある! 実際にあった嫌がらせ体験自治会に入っていないことでゴミ出しをしてはいけないと言われたり、回覧板が回ってこなかったりなど、新参者が自治会で嫌がらせを受けることはよくあるようです。今後のお付き合いも考えて、自治会に入るべきかどうかは改めて検討してもいいのかもしれません。「入ってないんですけど、近所の人に『自治会に入ってない人はゴミ出していいのかしら?』と言われてしまって、市役所に問い合わせたら、それは関係ないですよと言われました」(神奈川県 40代女性)「子供会費も自治会費も払っているのに、アパートだからという理由で自治会の回覧板が回らず、参加できない行事もありました。おかしいので脱退したら、影で文句を言われていました」(栃木県 40代女性)Q.町内会や自治体は必要? アンケート回答数:5674件 ウーマンエキサイト×まちcomi調べ
2017年07月26日Mette Touborg|メッテ・テュボーライア(Lejre)市長社会主義人民党(SF)所属2009年より現市長。2度の再選を経て、現在3期目。社会主義人民党では副党首を務めたこともある、自他共に認める有力議員。20年以上国会議員だった父を持つ、いわゆる二世議員でもある。本党は、社会民主主義と環境保護を掲げ、国会では約9%の議席を持つ。国内計98市あるうち、女性市長はわずか12市のみ。シェラン地域北部のライア市は、そのうちの一つ。市のホームページはこちら。Photo from Lejre Kommune―デンマークでは2週間後(当時、6月18日)に総選挙を控えていますが、メッテさんは出馬されていませんよね?自分で言うのもなんですが、私は党内で唯一の市長だということもあって、出馬すれば当選がほぼ確実。なので、政党からは「頼むから出てくれ」と、何度もお願いされて。でも今回は「ごめんなさい」と。私にはLejre(ライア)市でやることがまだたくさんあるので。―市政に対する思いが強いんですね。ここはどんな地域なんですか?ライア市は、49の小さな町と村からなる、人口2万7千人の小さな地方です。一番大きな町でも人口はたった4千人弱。デンマークというとても小さな国の、さらにその中の小さな場所。56万人もいる首都コペンハーゲンと同じように国を動かすほどの力はありませんが、ライアはライアの強みがあります。それは、首都まで自動車で1時間以内という近さにあって、かつ自然豊かだということ。特に水資源が豊富で、コペンハーゲンで供給される水全量の15%は、ライア市が供給しています。採れたての新鮮な食品だって、鮮度を落とすことなく即座に届けられますし。Photo by VisitLejre―「仕事は都心だけど家は田舎」という人が多いのはいかにもデンマークらしいですが、起業家が多いのにはビックリしました。シェラン地方にはライア市を含めて17の市があるんですが、その中で最も起業家が生まれているのがライアなんです。何をやっているかというと……みんな本当にバラバラで(笑)。デンマーク国内で初めてのドローンを開発し始めた起業家とか、特殊な技術を持ったボーリング会社とか、国内で有数のクラフトビール会社も2つありますね。―なぜわざわざライア市で起業する人が多いんでしょうか?もちろん理由は一つじゃありませんが、都市で起業するより、ここで起業した方がコスト的に安いからです。デンマークには国税と地方税の二つがあるんですが、ライア市では、個人事業主でも法人でも地方税は一切取らないので。これは戦略というより、「どうやったら都市と差別化できるか?」「より魅力的な地方になれるか?」と現実的な判断をした結果でした。なので、そういう会社や組織とコミュニケーションを取る、専属の自治体メンバーが常駐しているんですよ。私だって、週に一度は直接会って、不満を聞いたり、要望を聞く時間を取っていて。これは小さな地方だからこその強みですよね。ただ無農薬だけじゃない、地方のオーガニック革命の可能性Photo by Lejre Kommune―「オーガニック」というキーワードを媒介として、コミュニティができたように、デンマークではコミュニティがとても重要視されていますよね。そうですね。こうやってある程度似通った価値観を持つ人が集まって、狭い範囲で生活していると、もうみんな知り合い状態なんですよ。近所の人が困っていたら「私に何かできることがある?」とすぐに声をかけるし、バスに乗って知らない人がいたら「どこから来たの? 困ったことがあったら言ってね」と。そうすると、市民はもっと安心して、より豊かな暮らしができるんです。オーガニックに力をいれ始めて数年して、不思議なことが起こりました。コミュニティができただけじゃなくて、「ライア市はオーガニックに力を入れている」という事実が、市民のアイデンティティになって、市民の結束力が強まったんです。Photo by VisitLejre―お話を聞いていると、メッテさんも信頼できるし、なんか僕もここに住みたくなってきました!(笑)ありがたいことに、市民はすごく私を信頼してくれているんですよ。つい最近、「政治家についてどう思っているか?」というEUによる国勢調査があって。その結果、デンマークでは、国会議員よりも地方議員の方が好意的だとわかったんです。私の感覚的にも、共感できる結果ですね。―デンマークは僕が思っていた以上に地方の権限が強いように感じました。少なくとも中央と対等な立場にはありますね。たしかに私たち地方は、中央政府が作った枠から逸脱することはできません。でも、その枠が大きければ問題ないし、狭めようとするならそれに抵抗すればいい。地方の人はみんなそう思っています。たとえば、なぜ無農薬野菜を作って販売するのが難しいのか調査したところ、それは政府による規制や法律が障壁となっているからだとわかったんです。そこで、私は政治家と直接話したりして、いかに規制を緩和させるか、オーガニック食材が流通しやすくするにはどんな法律が必要なのか調べて、実際にいくつかの法律を改正することができました。どんな地方にも、都市にはない可能性があると思います。私たちはたまたま「オーガニック」に着目しただけ。そして、中央にすべての引導を渡さないように努めることもまた、地方の存在意義だと私は思います。ライアって、すごく魅力的でしょう? ほら、これで私たちのところへ移住する決心は固まった?(笑) ※この記事はウェブメディア「EPOCH MAKERS」の提供記事です。EPOCH MAKERS – デンマークに聞く。未来が変わる。世界の片隅で異彩を放つ、デンマーク。この小さな北欧の国は、情報化がさらに進んだ未来の社会の一つのロールモデルになり得る。EPOCH MAKERSはその可能性を信じて、独自の視点から取材し発信するインタビューメディア。URL: by Taiga Beppu ーBe inspired!この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!今日が今日のためにある国デンマーク、無料だらけの社会福祉の実態とは? 福祉国家として有名な北欧の国、デンマーク。消費税率25%、国民負担率約70%(日本は約40%)と、かなりの高納税国である。その一方で、医療費無料、出産費無料、教育費無...
2017年06月05日こんにちは。エッセイストでソーシャルヘルス・コラムニストの鈴木かつよしです。ここ4~5年の間で、メディアでよく目にするような社会的影響力を持つ人たちの中に、国内外を問わず「他人の意見を聞かない人」が急増しているような気がします。大国の大統領しかり、地方自治体の首長しかり、作家や文化人の中にも自分や自分の作品に関して批判的な意見は聞かない人が目立ちます。わたしたちのような市井に生きる庶民であれば、日々の暮らしに精一杯なので他人の意見をいちいち聞いて動揺していられないといった面もあります。しかし、指導的な立場にある人は世の中のいろいろな層の人々の意見を公平にくみ取ったうえで意思決定をする必要がありますので、他人の意見に耳を貸さないというのは困りますよね。都内でメンタルクリニックを開院し、個人的には筆者の趣味を介した友人でもある精神科医のT先生は、『リーダーが他人の意見を聞かないといった場合には、ある“狙い”をもってあえて意見を聞かないようにしているということが考えられます』(50代女性/都内メンタルクリニック院長・精神科医)と言い、リーダーを選ぶ立場のわたしたち一般市民に警鐘を鳴らしています。どういうことなのか、一緒に考えてみましょう。●リーダーは人の意見を聞かないことで“差異の恐怖”を作る『われわれ精神科の医師がしばしば用いる言葉で、“差異の恐怖”というものがあります。この“差異の恐怖”とはどういうものかというと、「力を持っている者に対して他の人と違う批判的なことを言ったらひどい目に遭うのではないか」といった恐怖心のことをいうのです。リーダーの中にはこの“差異の恐怖”を意図的に利用して市民や部下を支配しようとするタイプの人が必ず一定の割合でいるものですが、現代はこの手のリーダーが極端に増えつつあるような気はします』(50代女性/前出・精神科医)T先生の言うこの「差異の恐怖を味わわせる」という支配の手法ですが、何も国政や地方自治といった分野のみならず、わたしたちが働く職場や住んでいる地域の町内会など、身近な場所でもしばしば目にすることがあります。たとえば企業のある部署で、前任者の部長のやり方をガラリと変えたいと考えた新任の部長がいたとします。会議で前部長時代のやり方に肯定的な発言をした社員に対してその場では特に取り合わずにスルーしておき、翌日その社員を個人的に呼び出して、「もう体制は変わったのだよ。新体制の下でみんな一丸となって頑張ろうとしているときに、きみはこの部署の将来についてどう考えているのかね?」などと詰問する。こういったケースもそれに当たるでしょう。ストレートに「私のやり方の批判ともとれるようなことを言うな」とは言われなくても、呼び出された方は「クビにでもなったらマズいな。次からは今の部長に逆らわないでおこう」と考えるものです。こうして“自分のやり方に対する異論は存在しない ”という、リーダーにとって“思うつぼ”の空気が醸成されて行くわけです。●親が肝を据えて“意見を聞かないリーダー”と闘わないと子どもが大変さて、パピマミライターである筆者にとって気になるのは、わが子がこういった“人の意見を聞かないタイプ”の指導者にあたってしまった場合です。もっとも、このタイプの指導者は特定の分野について自分の指導方針に絶対的な自信を持っていることが多いため、とくにスポーツの世界などで一流になりたいとき、とても頼りがいのある存在になるというケースもあります。ですから、そこはパパやママがわが子を指導する人の人格と実力をよく見極める眼力と、問題がある場合にはおそれずに闘う胆力が必要になります。そうでないと最悪の場合、しばしばニュースで耳にするようないわゆる“虐待”や“しごき”といった事故につながっていってしまう おそれがあるのです。●わが子が“意見を聞かない指導者”にあたってしまったらそれでは最後にT先生からいただいた、“わが子が人の意見を聞かない指導者にあたってしまった場合の対処法”をご紹介いたしましょう。『お子さんに対する指導方針が「おかしい」と感じたら、まずは思い切ってそう切り出し、話し合いをしてください。直接話し合うことによってその指導者が、一定の合理的な理由をもって意見を聞かないのか。とにかく生徒を“支配したいだけ”の人なのか。あるいは人の話を“聞けない”人なのかが、パパやママであれば感覚的にわかるはずです。最初の“根拠があって異論を受け付けない”場合のみ、根気よく対話を続けることでお子さんの成長にプラスの効果を期待することもできなくはないと思います。しかし、“支配したいだけ”の人、“人の話を聞けない”人と感じた場合 には、その指導者からは距離をおかれた方がいいでしょう』(50代女性/都内メンタルクリニック院長・精神科医)----------いかがでしたでしょうか。T先生によると、リーダーは組織を円滑に機能させるために、その在任中は本人の持って生まれた性格にかかわらず人の意見をきかなくなりがちであることは否めないということでした。しかし、最近のようにその傾向が極端になりすぎると子どもたちが委縮し、本来の力を発揮できなくなってしまいます。将来この社会を支える子どもたちが伸び伸びと成長し、誰にとっても住みやすい世の中を作って行くためには、わたしたち大人の一人ひとりが肝を据えて“人の意見を聞かない指導者”と闘って行く必要があるのかもしれません。●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)●モデル/REIKO(SORAくん、UTAくん)
2017年02月07日インナービューティーダイエットで内側から美しく一般社団法人 日本インナービューティーダイエット協会は2日、岐阜県安八郡輪之内町が行う地方創生プロジェクトにて、「インナービューティーダイエット輪之内町農業コラボ事業実行委員会」を設立したことを発表した。同協会は、食事方法を整えることで体の内側(腸・心)から美しさを手に入れるという「インナービューティーダイエット」を提唱している。食材や調味料を吟味するだけでなく、自分で食材を選択し調理する技術を身につけることで、健やかな食生活を継続していくことを目指すものだ。野菜から日本を盛り上げるそのため同協会は、食事方法慣行農法以上に農薬を使用しない農業を推進し、その貢献を目標としている。また、そうして生まれた安心・安全の野菜をマルシェ等で販売することで日本の農産を一層盛り上げていき、若者の就労に「農業」という選択肢を持ってもらうというねらいもあるのだそう。今後は協会が主宰する料理サロンとのコラボレーションも行い、「美しくなるためには、料理を作る、食べること」というメッセージを発信していきたいとしている。(画像はプレスリリースより)【参考】※一般社団法人 日本インナービューティーダイエット協会
2016年12月07日地方での田舎暮らしと聞いて、皆さんはどんなイメージを持つだろう?住んでみると、「癒し」とか「人生の楽園」とかそんなに甘いものではないぞ、とも思う。人間関係が重視されるし、人付き合いは濃厚で、いい意味で周囲から常に「見られている」という緊張感もある。東京時代は「誰も見てる人がいない」し、「何も考えなくても」生きていけたから。田舎暮らし向きは、柔らかくタフな人突然だが、移住して2年目の私が思う、地方での田舎暮らしに向いている人はこんな人だ。・自分から知らない人に笑顔で挨拶ができる・万一、挨拶に気づかれずスルーされてしまっても、へこたれない・人付き合いが苦手でない・臨機応変に対応する柔軟性・自分のやり方に固執せず、地域のやり方を尊重できる・最後は「どうにかなるさ」精神田舎暮らしにはある程度、頭の柔らかさと、精神的なタフさ、プラス、人間性が求められるのかな、と思う。もちろん、風景は牧歌的で、山々は神々しいほど美しい。けれど、実際に暮らしてみると、「癒し」とはちょっと違う気もする。田舎、都会、それぞれの違いを感じつつ、それぞれのよさを認めたうえで、今、私は地方の、田舎での暮らしを選択している。移住する前のこと。私が立山町の地域おこし協力隊として富山に行くことを知った同じ立山町出身、東京在住の友人と初対面した。場所は、東京・虎ノ門にあるハイアット系の高級ホテル「アンダーズ東京」。1階にある優雅なカフェでお茶をしながら、立山町のこと、富山のことについていろいろと教えてくれた。その友人は、私が「地域の活性化に貢献したい」という思いに共感して、応援してくれていた。その友人が私に、一つこんなアドバイスをした。「田舎で、何か行動を起こす時、政治的な動きが必要になるから注意して」と。「政治的な動き?」。正直、その時の私にはピンとこなかったが、友人いわく、「政治的な動き=事前の根回し」とのこと。とにかく、地方で何かやろうとする時、都会とは勝手が異なってくるのだな、ということだけはわかった。イベントを企画して、わかったことは実際にその意味がわかったのは、移住して、自分が借りている家を使ってイベントを企画しようと思った時のこと。都会と違い、地方では娯楽そのものが少ないため、自分たちで面白いイベントを企画して開催するケースも多い。そのイベント告知にはFB(フェイスブック)がフル活用されている。東京よりも、FBをしている人が圧倒的に多いし、日頃の情報収集にFBは欠かせない。立山町に来る前、町長とも、FBで“お友達”になった。とにかくFBの活用され方、FB人口が圧倒的に多いのに驚いた。初めてイベントを企画しようと考えた時、「移住・定住の促進」というキーワードに加え、「文化」をからめて考えることにした。音楽、文学、歴史、アート、食。カフェだって一つの文化だ。都会でも、地方でも、人の心や生活を豊かにするのが「文化」であり、東京ほどさまざまなイベントが氾濫していない地方にこそ、そうした文化的な催しは求められていると感じたから。“政治的な動き”の正体そんな思いから初めて開催したのが、昨年8月14日の「夏野菜を使った料理作り&移住おしゃべり会」だった。お盆の時期なら、富山県や立山町出身の、Uターン希望者も帰省しているので、イベントに参加しやすいと考えた。お料理会に使う夏野菜は、立山町内の知り合いの農家さんにおすそ分けしてもらった。結果的に、地元住民を含め、Iターン、Uターン希望者ら11人が集まってくれ、北日本新聞や富山新聞も記事として取り上げてくれたイベントになった。イベントを行うことが決まったら、まず、町役場の担当者にご相談を。次に、自分の住む村の区長さん(地区ごとに区長さんといって、エリアを取りまとめる「長」のような方がいらっしゃる)にご挨拶がてら、イベントの説明をしに行った。大事な関係者には、しっかりと筋を通しておく。何かやる時に周囲から「聞いてない。知らない」と言われるのが一番、マズいのだ。その伝える順番も間違えないように。そして新聞社へプレスリリースを送ることも大事な根回しの一つ。これが、地元出身の友人から教わった「政治的な動き」の一例だ。富山には、まだまだお宝が眠ってる東京時代は、「自分で何かを企画して人を集める」ということをしなかったし、新聞社にプレスリリースを作って取材のお願いをするのも初めての体験だった。かつては、新聞社に日々、送られてくる膨大な数のリリースに目を通すのが仕事だったのに、今は立場が逆転している。そして、こんな根回し一つとっても、私には新鮮で、エキサイティングに映るのだ。今、自分と同じように富山にIターンしてきた仲間たちと富山の魅力について語り合う機会も多い。そういう場でもれなく話題に出るのが、「日本のいろんな地方を旅してきたけれど、やっぱり最終的に落ち着くのは富山だよね。最後、戻るのは富山だよね」という言葉。県外の人からは「日本の秘境」など、いろいろな言われ方をする富山。たくさんの、富めるものがあふれている富山。素材はいいのに、情報発信が下手と言われる富山。そんな富山だからこそ、私にはとても魅力的に映っているふしがある。まだまだ、発掘して情報発信するべき、お宝がたくさん眠っている場所だから。撮影:松田秀明(高橋秀子)
2016年10月29日