予約困難な鮨店の秘密は 店の空気を決める「チーム力」にあり「人を幸せにしたい」との思いから、鮨職人への道を歩み始めた杉田孝明さん。お客様のみならず、多くの料理人からも支持される人気店をつくり上げたものとはなんなのか、お話を伺いました。テレビドラマと、鮨を食べる 子供の笑顔で決めた自分の進路――鮨職人になろうと心に決めたのはいつ頃でしょう?きっかけは何ですか?きっかけは、ちょっとミーハーなんですが、テレビドラマです。私が中学一年生の頃、NHKで放映されていた「いきのいい奴」。確か「神田鶴八」のご主人師岡幸夫さんがモデルだったと思うのですが、小林薫さん演ずる鮨屋の主人の、鮨を握る時の手の動きや所作に惚れ惚れして。それと、曲がったことは大嫌いな一本気な生き様、そこにもぐっときました。決定的なきっかけは高校生の時。友人の代打で鮨屋のアルバイトを任されるはめになったんです。千葉の駅前ビルにある大衆的な鮨屋でしたが、面接の帰りにカウンターで握りたての鮨を食べた時は、感動しましたね。またある日鮨を食べている子供がとっても幸せそうな顔してるのを見たときに“ああ、鮨職人は人を幸せにできる職業なんだ”と思い、鮨職人になろうと、はっきりと決めたんです。性格的にも人を楽しませることが好きなところがあるので、鮨職人にはきっと向いていたんだと思います。――修行先を【都寿司】にした理由は?大変だったことはなんでしょうか?鮨を学ぶなら、やはり東京がいいとは思っていましたが、特に目当ての店はなくて、高校の求人広告を見て決めました。でも、実際にお会いしてみると【都寿司】の親方の人柄が素晴らしくて。信念があり、堂々としていて温かみがある。私が、今こうしていられるのも、全て親方を手本としてきたから。本当に感謝しています。でも、先輩の板前に1人とても厳しい方がいましてね。昔の職人でしたから、結構理不尽なことで怒られる。正直、しんどかったですよ。とはいえ、腕は良かったし、技術的なことを教えてくれるのはその人だったので頑張りました。どうすれば怒られずにすむか考えながら仕事をするようになりましたね。おかげで、忍耐力、先読みをする知恵、段取りの仕方などかなり鍛えられました。【都寿司】で12年間お 世話になったうちの5年はその先輩の下で働いていました。今から思えばその経験が店作りに役立っていますね。不器用だからこそ気づけた、いい組織作りの大切さ――店全体のチーム力がいいというゲストの声がありましたが、このチーム力というのはどのようにして養われましたか?そう皆さんに思って頂けて、本当にありがたいですね。私自身、不器用でしたから、一人では何もできないということを昔から身にしみていました。現在、うちでは若い子が四人働いていますが、彼らを一人前に育てるには、やはりそれなりの厳しさが必要です。もちろん、昔のように手は出しませんよ。正直、出来る子もいれば、上達の遅い子もいる。でも、大切なのは人を喜ばせたいと思う気持ち。それさえ、心の軸として持っていれば、技術的なことは後からついてくる。私がお客様に幸せになって帰ってもらいたいと思う気持ちを彼らも持てるように話をします。それさえ理解できれば、自分達が今何をやるべきか自発的に考えるようになっていくと思います。それが自然と店の一体感になっているのでしょうか。青魚の扱いにかけては定評のある杉田さんの十八番の一つ『小肌』。大きさや 皮の薄さによって切り方をかえている。――海外の方々にも広く知られているすぎたさんですが、今後の展望は?海外のお客様が増えてはいますが、特別なことをしているわけではないので、なぜうちにいらっしゃるかは正直わかりません。先日もスペインに招致されて現地の魚も交えて鮨を握ってとてもいい経験をしました。けれど、今後も積極的に海外に目を向けるか、というと、”自分でなければならない”理由がない限り意識はしませんね。むしろ、今よりもっと説得力のある鮨を握りたい。それには自分の中で掘り下げていかなくてはいけない点もまだまだあると感じています。米や魚の採れる場所や性質についてなど、素材についてより深く知る努力をしたいと思っています。流行りではなく普遍的な価値があり、そして多くの人が店を後にしたときに幸せな気持ちになる。そんな店になれれば、本望です。【日本橋蛎殻町 すぎた】住所:東京都中央区日本橋蛎殻町1-33-6 ビューハイツ日本橋B1F電話:03-3669-3855営業:[火~金]17:30~/20:30~[土・祝]17:30~/20:30~[日]12:00~/17:00~19:45/20:00~定休:月曜日
2019年11月01日マキノ出版(東京都文京区)はこのほど、DVDブック『30日間、食べることやめてみました』(著: 榎木孝明 / 税込1,566円)を発売した。俳優の榎木孝明さんは、2015年に30日もの間、食べるのをやめる「不食生活」を送った。不食生活は、健康のためでもなければダイエットのためでもなく、常識という枠から飛び出して無限の可能性を探るために行ったのだという。同書はその30日間の全ての記録を収めたもので、第2章では30日間の不食日記を収録。「人は食べなければ生きていけないのか」「食べるのをやめたとき何が起こるのか」といった疑問と、それに挑む榎木さんの姿を、活字と映像でありのままに活写したとのこと。なお、不食に興味がある人のために、第4章は「不食のそこが知りたいQ&A」を掲載している。監修は心臓外科の名医・南淵明宏医師が担当した。「不食」の医学的メカニズムとともに、人類の新しい「生き方」も解説している。
2015年10月16日東京工業大学(東工大)は6月5日、センチメートル(cm)クラスの面積で、局所的に構成分子の配向や配列が揃っている領域(ドメイン)が隣り合う部分「ドメイン境界」がない有機薄膜を形成することに成功したと発表した。同成果の詳細は、東工大 資源化学研究所の福島孝典教授らの研究グループと、科学技術振興機構ERATO「染谷生体調和エレクトロニクスプロジェクト」の染谷隆夫研究総括(東京大学 教授)、理化学研究所放射光科学総合研究センターの高田昌樹主任研究員(現 東北大学 多元物質科学研究所 教授)、引間孝明研究員らによるもの。詳細は米科学誌「Science」に掲載された。従来、有機薄膜の形成過程では、生成した結晶核から構造成長が起きてしまうため、ドメイン境界が生成されていた。ドメイン境界は、膜強度や半導体膜であれば電導度など、膜の機能を低下させる要因として知られており、次世代の高性能半導体の実現に向けて、ドメイン境界がない大面積の有機薄膜の作製手法の開発が求められていた。今回、研究グループは、構造規則性の長距離伝搬を可能にする分子・分子集積体の空間充填デザインを考案することで、ドメイン境界のない有機薄膜の形成が可能であることを示したほか、実際に、設計した分子をサファイア基板ではさみ、加熱溶液状態から冷却することで、均一な薄膜がcm規模で形成できることを確認したという。また、この薄膜の構造を調べたところ、構造が膜全体にわたって完全にそろった、単結晶のような構造規則性を有していることが分かったという。さらに研究グループはこの薄膜は、加熱溶融状態からの冷却以外にも、スピンコートや真空蒸着法でも完全に配向した均一な膜形成が可能であることも確認したとする。特に真空蒸着法では、ガラスやプラスチックなど、基材を選ばずに高秩序な薄膜を形成できることも確認したとのことで、この結果について研究グループは、分子集積膜の応用可能性を広げるものであると説明している。なお、今回の成果について研究グループでは、、基材を選ばずに大面積分子集積膜を形成できることから、表面改質の汎用的な手段として多方面への応用が期待されるとコメントしているほか、既存の成膜方法と組み合わせることで、超高精細分子膜を用いたフレキシブルデバイスの創出など、新しい応用展開が期待されると、次世代の半導体デバイスの実現への期待を語っている。
2015年06月05日