昨年、彗星のごとくメディアへと姿を現し、「あのイケメンは誰?」と熱視線を集めたのは俳優・杉野遥亮21歳。杉野さんといえば、映画『キセキ -あの日のソビト-』で菅田将暉、横浜流星、成田凌と共に、「GReeeeN」の前身「グリーンボーイズ」のメンバー役で、華々しくスクリーンデビューを飾ったことが記憶に新しい。2016年12月末に始めた公式Twitterでは、あれよあれよという間にフォロワーが増え続け、1か月で8万人を超えた。新人俳優としては、異例の注目度の高さとなっているが、当の本人は「最初は、芸能人のことを人間として見れていなかったです(笑)」と飾らずに、あどけない素顔さえ覗かせる。杉野さんって、一体どういう人?そもそものデビューを聞けば、「何かをやりたいなと思っていたんです。勧められて、オーディションに軽い気持ちで応募したら、受かって…えっ!と思いました」と話すように、「第12回FINEBOYS専属モデルオーディション」のグランプリ受賞から、芸能界の仕事が始まった。女性も羨むほどの白肌をときたま紅潮させつつ、言葉を選んでマイペースに話す様子を見ていると、とても「芸能界に入りたい、モデルになりたい」という野心のあるタイプには思えないのだが…?「そうですよね(笑)。最初は、モデルとして1ポーズを取るのも恥ずかしくて、しょうがなかったというレベルでした。だから、『俳優をやりたい』とは言ったんですけど、演技なんて恥ずかしくて、恥ずかしくて」。恥ずかしがっていた杉野さんが変わったのは、映画『キセキ -あの日のソビト-』の出演から。直属の先輩である松坂桃李、菅田さんらの演技、現場での立ち居振る舞いを目の当たりにして、「俳優をやりたいという気持ちが確固たるものになって、確実に意識が変わりました」と、影響を受けたと話す。以降、レギュラー雑誌のモデル業は続けながら、「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」、「嘘の戦争」、「兄に愛されすぎて困ってます」と、コンスタントに出演を重ねる。俳優の仕事をやるにあたっては、がむしゃらしかない。「苦しいことは、いっぱいあります。普通に学生でテレビを見ていた頃は、失礼なんですけど、『何で、この人はこんなに棒読みなんだろう?』と思っていたりもしました。でも、いざ自分がやってみると全然違います。感情の込め方もわからないし、とにかく難しいですし。何気なく見ている1シーンに、すごく時間がかかっているとわかったときは、うそ…これは大変だ、すごい、と思いました」。そんな杉野さんが、「少しだけステップアップできたかもしれない」と成長を感じた現場が、映画『兄に愛されすぎて困ってます』の撮影時だったという。夜神里奈による人気少女コミックをドラマ化、劇場版となった本作では、土屋太鳳演じる告白12連敗の全くモテなかった女子高生・橘せとかが、急にやってきたモテ期に戸惑い、騒動を繰り広げるラブストーリー。杉野さんは、原作にはないオリジナルキャラクターで、せとかの同級生でありながら、彼女の初恋相手・芹川高嶺(千葉雄大)の弟でもある国光を演じた。「僕はオリジナルキャラクターということもあって、とにかく自由でした。縛りもなかったので、楽しい一方、最初はすごく苦労もしました」。苦労の理由は、共演するキャラクター陣の強さだった。せとかの兄・はるか役の片寄涼太(GENERATIONS from EXILE TRIBE)は、8kgもの減量を行い、ツンデレお兄という原作から抜け出してきたような完璧な風体に仕上げたし、高嶺を担当した千葉雄大は、貫禄の演技でののしり王子というキャラクターを自分のものにした。強烈な個性を放つ面々に囲まれて、「果たして自分はどこまでキャラクターを作るべきなのか?」と、悩んだという。「例えば、僕も強いキャラクターになったら、全員の個性が強くなりますよね。観ている方からしたら、休まるところが必要なのかもしれない、と思ったんです。国光は明るいけれども、なるべくフラットなほうがいいのかなという考えはありました」と、作品全体のバランスを見て、リハーサルの時点から監督と形作っていった。全てを注いだキャラクターなだけに思い入れも強く、クランクアップでは「号泣した」そう。「最後、メイキングでコメントを撮るときに、プロデューサーさんが(カメラを)回していたんです。いろいろ思い出して、すごく泣いちゃいました。そんなに泣くのは初めてでした」。「『キセキ -あの日のソビト-』のときは自分のことで精いっぱいで、泣くことさえなかったんです。いまは、ようやく少しだけ周りが見え始めたのかもしれません。毎回、作品ごとに違う課題が見つかるんです。これも、あれも、とパンクしそうになっても、ふとした瞬間に『あのときの課題って、いまのこのことじゃないか?』と思うこともある。それが、自分が成長しているかもしれない、と思う瞬間だったりします」と、杉野さんはひたむきに進んできた自分の道を見つめる。「いつか、主演をやれるようになったときには、皆を引っ張っていけるような人になりたい。その頃には演技の幅も広げたいし、人としても成長していたい――」。未来を語る口調は力強く、俳優業に迷いをみせていた頃がうそのような頼もしさだった。「いつか」は、そう遠くないかもしれない。(text/photo:Kyoko Akayama)■関連作品:兄に愛されすぎて困ってます 2017年6月30日より全国にて公開(C) 2017「兄こま」製作委員会(C) 夜神里奈/小学館
2017年06月29日第29回東京国際映画祭のコンペティション部門出品作『雪女』の記者会見が28日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、監督・主演の杉野希妃をはじめ、青木崇高、山口まゆ、佐野史郎が登壇した。同作は、小泉八雲原作『怪談』の一編である「雪女」を新たな解釈のもと、杉野希妃監督が映画化した作品。杉野監督自らタイトルロールの雪女=ユキを演じ、主人公の巳之吉を青木崇高が演じる。杉野監督は「クラシックな作品でありながら現代を意識したモダンな雰囲気も入れ、新しい雪女を作れたのではないかと自負しています」と自信。「私たちに見えてないものはたくさんあり、そういう目に見えないもの、つかみどころのないものを大切にしながらこの映画を作ったので、私が意図していないものがたくさん映っているんじゃないかと思います」と話した。そして、監督と主演の両立について、「演じているときはモニターは見られないので、カットをかけたあとにモニターまで走って確認する作業は、自分にとって一つの試練だった」と回顧。「現場では常に監督としていたんですが、私という他人・杉野希妃の演技を私が判断する…自分でダメ出しするのは、客観性が求められるものだった」と言い、「大変でしたし鍛えられた」と振り返った。一緒に演じている側も、監督が主演も務めていることで苦労する点があったようで、青木は笑いながら「受けている方も大変なんです」と告白。「カットがかかると、ユキだと思っていた人が監督に。そして戻ってきて、またユキだと思ってやらないといけない」と言い、「こっちも鍛えられるというか、集中力のいる現場だった」と明かした。さらに、「監督でありプロデューサーであり主演であり、そして映画祭にも貪欲に発表していく才能」と杉野監督を称え、「この人と仕事をやりたかったので、一緒にできてうれしく思います」と感慨深げに語った。同作が2作目の長編映画出演となった山口も、杉野監督について「人としてすごい尊敬でき、私が目指している女優としても尊敬できる」と話し、「とても勉強になった作品でした」としみじみ。10年ほど小泉八雲作品の朗読も行っているという佐野は、「『雪女』とは関わりが深い」と作品との強い結びつきを説明し、現場での監督とのやりとりを振り返りながら「濃密な時間を過ごさせていただきました」と語った。『雪女』は、2017年3月4日より全国順次公開。
2016年10月28日女優の杉野希妃が主演を務め、長編作として初めてメガホンも取る映画『マンガ肉と僕』(2月11日先行、13日より全国公開)のメイキング映像が公開され、劇中で演じる太った女子大生・熊堀サトミの特殊メイクの過程が2日、明らかになった。原作は、朝香式氏による同名小説。気弱で引っ込み思案の青年・ワタベ(三浦貴大)は、大学になじめず孤独な日々を送っている。一方、同大学のサトミは、太ったみすぼらしいルックスから、周囲の嘲笑を受ける存在。自然に接してくれる唯一の存在・ワタベの優しさにつけ込んだ、サトミはワタベの自宅に転がり込んで寄生し支配していく。ワタベとサトミ、そしてワタベが好意を寄せる菜子(徳永えり)やさやか(ちすん)らとの歪んだ恋愛模様を映す。杉野が"男に抗うために太る女"サトミになるために、特殊メイクにかけた時間は3時間。映像の冒頭では、杉野が「ああいう役(サトミ)自体が初めてだし、すごいチャレンジングなのでワクワクしてたんですよ。わー楽しみって思ってたんですけど」と初の挑戦を前に意欲を語る姿が映される。一方で、特殊メイクは6時間かかるという話も聞いた杉野は「監督もしながら体力持つのかな…」という感情もあったと吐露。それでも「やってみて私って本当はタフなのかも」との思いに至ったことを明かしながら笑みを浮かべる。また、杉野の語りと同時に特殊メイクは進んでいく。最初こそ細身の"杉野"だが、特別な皮膚の素材を貼り付け、アイメイクも施されていく内に、その姿は"サトミ"に。中盤からは本編映像も流れ、杉野とは程遠い、みすぼらしく厚顔無恥な女性・サトミの姿が披露される。(C)吉本興業
2016年02月02日