可笑しみと皮肉にまみれた“問題児家族”たちの姿を描く『アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち』が12月より公開される。今年6月に公開された『少年は残酷な弓を射る』で母親を崩壊させる悪魔的美少年を演じ、日本でも着実にファンを増やしつつある俳優エズラ・ミラー。その端正なルックスと抜群の演技力で一躍注目を浴び、ハリウッドでいま最も旬な若手俳優であるエズラの魅力が本作でも炸裂しているようだ。前夫との間に生まれた息子の結婚式に出席するため、現在の家族を連れて久々に実家へと戻ったリン。しかし、そこに待ち受けていたのは、ケンカ別れした前夫とその現妻や、ぞんざいな態度の母親、そしてうわさ話が好きな親戚たちの嫌味だった。久々に一堂が会しながら、お互いが抱える悩みや問題を全く受け入れようとしない、わがままで身勝手な親戚たち。やがてそれはさまざまな不満やストレスとなり、結婚式当日に大騒動を巻き起こす引き金となるのだった…。エズラが世界にその名が轟くようになったのは、やはり今年1番の問題作と言われた『少年は残酷な弓を射る』だろう。同作を引っ提げて参戦した、カンヌ国際映画祭では“映画界の新星”に贈られる「ショパール・トロフィー」賞を獲得するなど、若干19歳にしてすでにスターたちの仲間入りを果たしている。そんなエズラが本作で演じるのは、またまた誰の手にも負えないスーパー問題児!『少年は残酷な弓を射る』では危険な美少年であったが、本作では顔にニキビを作り、ボサボサの短髪でドラッグを吸いまくるという、“若気の至り”爆発なハチャメチャ男子で、祖父の服用薬を盗み、パンツ一丁でドラッグに興じるという、エキセントリックな役柄を体当たりで演じている。実はこの『アナザー・ハッピー・デイ』は、『少年は残酷な弓を射る』より前に撮られたもの。その撮影中には母親役のエレン・バーキンにして「この子は化ける!」と言わしめており、その予言通り『少年は残酷な弓を射る』で見事、“化けて”見せたのだ。振り切った役柄が続くエズラ、その危うい美しさをもってして“アイドル”にはならないのが彼の俳優としての魅力でもある。そして、「サンズ・オブ・アン・イラストリアス・ファーザー」というロックバンドのドラム兼ヴォーカルとしても活躍しており、劇中では自前のラップを披露するなど、その多才さを見せつけている。本作の脚本を読んだエズラは「信じられないほどワクワクした!」と言い、エレンやデミ・ムーアといった豪華ベテランキャストとの共演についても「とても面白かった。まるでジェームス・ディーンやプレスリーがタバコを吸っているようなハリウッドの壁画の一部になったような素晴らしい気分だった!」と独特の表現で語り、そのセンスはやはり常人ならざるものを感じさせる。エズラは今後、エマ・ワトソン共演の『THE PERKS OF BEING A WALLFLOWER』(原題)のほか、不朽の人気小説「ボヴァリー夫人」の映画化作品でミア・ワシコウスカ演じる夫人の不倫相手・レオン役を演じることが決定しており、さらなる活躍を見せてくれそう。彼の魅力に触れたことのない人は、まずこの作品で“化け”始めたエズラの魅力をぜひチェックしてみて。『アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち』は12月1日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。■関連作品:アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち 2012年12月1日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開© 2011 DIMS Film, LLC. All Rights Reserved.少年は残酷な弓を射る 2012年6月30日よりTOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010
2012年11月13日6日から開催されていたトロント映画祭が、現地時間16日に閉幕した。観客賞を受賞したのは、デビッド・O・ラッセル監督の『Silver Linings Playbook』。園子温監督の『希望の国』は、今年新設されたNETPAC賞を受賞した。その他の写真カンヌやヴェネチア映画祭と違い、トロント映画祭では、映画祭が選んだ審査員が話し合って賞を決めることはしない。観客もチケットを買って映画を観られるオープンな映画祭で、観客が投票する観客賞が最高賞となる。『アメリカン・ビューティ』『スラムドッグ$ミリオネア』『英国王のスピーチ』など、トロントで観客賞を取った映画がオスカーで作品賞を取ったケースは多く、近年、トロントの動向はますます注目されている。『Silver Lining Playbook』は、ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロらが出演し、家族の関係を描く、笑いと感動にあふれる物語。次点はベン・アフレックが監督する『アルゴ』。1979年に起こったイランにおけるアメリカ人捕虜救出の裏側にあった本当の作戦を描く、スリル満点の娯楽作だ。また、ミッドナイト・マッドネス部門で上映された作品を対象にする観客賞は、マーティン・マクドナー監督の『Seven Psychopaths』に贈られた。園子温監督の『希望の国』が受賞したNETPAC賞は、Network for the Promotion for Asian Cinemaが選出するもので、今年新設されたもの。トロントでワールドプレミア、あるいは海外プレミアをしたアジア映画の中から選ばれる。『希望の国』は10月20日(土)、『アルゴ』は10月27日(土)日本公開。『Silver Lining Playbook』の日本公開は未定。『希望の国』10月20日(土) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー『アルゴ』10月27日(土) 丸の内ピカデリーほか全国ロードショー取材・文:猿渡由紀
2012年09月19日この異常なまでの悪意と愛に包まれた物語、あなたは何を感じる――?オスカー女優ティルダ・スウィントンが渾身の演技を魅せる、親子の深淵なる愛と狂気の物語『少年は残酷な弓を射る』がまもなく公開となる。シネマカフェでは、こちらの公開に先駆けて女性限定試写会を開催!これは単なる憎しみなのか?それとも愛なのか?本作が問う“是非”をずばり読者に直撃!問題を提起するのは、主人公・エヴァと息子・ケヴィンの関係。なぜか幼い頃から母親であるエヴァに対して反抗を繰り返し、心を開こうとしないケヴィンはやがて美しく、賢い少年に成長する。だが、この悪魔のような息子はある日、母親の全てを破壊するような事件を起こす…。心の底では家庭に縛られずもっと自由に外に出て仕事をしたい、という気持ちを抱えているエヴァは予期せぬタイミングで誕生した我が子に、それでも愛情をかけるが、彼女の努力は報われるどころか悪化の一途をたどる。一方、母親の心の奥底を見透かしたように、執拗なまでに彼女に悪意を向ける息子・ケヴィン。果たして、どちらに問題を感じるか?という究極の質問をぶつけたところ、約半数の人が「どちらでもない」と回答。一方だけの責任を問うのではなく、親子の普遍的な関係に起きうる問題として受け止めた人が多かったようだ。一方で、問題点を「ケヴィン」に見る人も少なくなく、母親・エヴァに思いを重ねた女性が多いのが特徴的であった。「母の息子への愛が足りないと解釈する人は多いと思うけど、そんな生易しいものではないと感じた」、「母親は偉いと思った。生まれてからずっとひねくれた子を虐待も無視もしないで、話しかけ続けているから」(30代)、「どんなに苦しめられても、やっぱり母は子の味方なんだと思った」(20代)。子育ての難しさを実際に経験している女性は、この物語がさらに身に染みるよう。「子育てに失敗も反省も、子供が感じる愛情不足もあるかもしれないけど、でもどんなに時間がかかっても、どこかの時点で母と子が互いを親子だと確かめ合えたらそれで良いのではないかと」(40代)この異常とも思える母と息子の関係だが、2人の関係について「怖いけど少し共感する」という声が大多数を占めていたのは、女性として母に共感するのはもちろん、子供であった経験から分かる感情というものがあるから。「どこかケヴィンの気持ちに共感してしまうのが怖かった」(10代)、「自分の母親と重なるところがありました」(20代)、「男の子と母親だと、思っている以上にありうる世界なのかもしれないと思った」(20代)という声も寄せられた。そのケヴィンを、生まれもっての“狂気”が乗り移ったかのように演じるのが、新進俳優のエズラ・ミラー。母親役のティルダに負けぬインパクトを放ち、本作を機に注目を集めている期待のイケメン俳優だ。何と言ってもその「鋭く、ねちっこい視線」に胸を刺された女性が多く、「美しくて、存在感がハンパない!見方・キャラによっていろんな役を演じそう」、「このニヒルな役柄が怖ろしいほどにしっくりくる」、「『危険な遊び』のマコーレー・カルキンを思い出した」と多大な期待が寄せられる結果となった。ケヴィンが起こす事件へと向かう緊迫感の連続、それを助長する“赤色”の効果、そして怖ろしくも“あり得る”と感じさせる母子のドラマ。読者の感想からは、様々な要素が取り上げられていたが、では一言でこの映画の“ジャンル”を表すなら…?最後に聞いたところ、約7割の女性が「人間ドラマ」と回答!単なるスリラーでもホラーでもない、リアルだからこそ怖ろしい、この“事件”の目撃者に、あなたもなってみては?『少年は残酷な弓を射る』は6月30日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。■関連作品:少年は残酷な弓を射る 2012年6月30日よりTOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010
2012年06月26日オスカー女優ティルダ・スウィントン主演で贈る衝撃作で、昨年度ロンドン映画祭にて見事グランプリを受賞したエモーショナル・サスペンス『少年は残酷な弓を射る』。その過激すぎる内容から世界各国で話題となった原作本が、このたび日本で発売されることが決定した。母親に対して異常なまでの悪意と執着心を抱く息子と、そんな我が子に戸惑いながらも愛情と恐怖との間で葛藤する母親の親子の関係を緊張感たっぷりに描いたミステリー。「何故、そこまで…?」という疑問を抱いた瞬間に、観る者はさらなる恐怖に襲われる。既に劇場公開されている各国では、成長と共に息子・ケヴィンの中で膨れ上がる母親への憎悪、その怖ろしき“報復”のかたちが多大な衝撃をもたらしている。そして、その原作本「We Need To Talk About Kevin」の評価は、まさに賛否両論。400ページにも及ぶ長編小説で、著者ライオネル・シュライバーは本作で英国女性作家文学賞の最高峰であるオレンジ賞に輝き、英米ではベストセラーとなった一方で、「我が子にここまで愛情を感じられない母親なんているわけがない!」と過激な内容に対して激しい反応も…。海外評を耳にした日本の出版社は当初、当然ながら国内での発売に及び腰で出版は難航を極めた。だが、本作のもつ“母になることへの怖れ”や“生まれてくる子を愛せないかもしれないという不安”という、多くの女性が感じていながら決して口に出すことのなかった真実に共感した女性編集者が出版を決意し、今回の発売に至ることとなった。原作ストーリーがもたらす衝撃に加えて、この物語の中心となる母子役として抜擢された2人の演技も強烈!『ナルニア国物語』シリーズや『ミラノ、愛に生きる』などで厳しくも美しい、“甘くない”女性を演じてきたティルダが息子の扱いに葛藤する母親を、“魔性”と表現するに足るその危なげな美しさで話題となっている新星エズラ・ミラーが息子のケヴィンを怪演。ティルダは51歳とは思えない美貌も凛としたオーラも何もかもの一切を、エズラ扮する息子の悪意によってことごとく奪われていく…。原作のもつ過激さを一層加速させるキャスティングにも注目の本作。まずは「心の準備を…」と考える方は、原作をチェックすることをオススメしたい。『少年は残酷な弓を射る』は6月30日(土)よりTOHOシネマズ シャンテにて公開。「少年は残酷な弓を射る」価格:1,700円(上巻・下巻ともに)出版元:イーストプレス発売日:6月15日(金)■関連作品:少年は残酷な弓を射る 2012年6月30日よりTOHOシネマズ シャンテにて公開© UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010■関連記事:【ハリウッドより愛をこめて】“笑い”でオスカー助演俳優部門を席巻する、注目の2人いよいよ決戦!アカデミー賞候補発表『ヒューゴ』VS『アーティスト』の一騎打ち?
2012年05月15日