豊島は、自社製造のジーンズブランド「キャントン」と米国のアパレルブランド「Jクルー(J.CREW)」とのコラボレーションジーンズを発表した。このジーンズは開発に約2年の月日を費やしており、本国のJクルー、Jクルーリカーストアなどの直営店と通販サイトのみでの販売となる。Jクルーのレギュラーフィットジーンズのパターン(型紙)を使用し、デニム素材供給と洗い加工の手配はキャントンが行う。使用するデニム生地はオーガニックコットンを混紡した13.75オンスで、洗濯を繰り返すことによって体になじんでいく「シュリンク・トゥ・フィット」を追求した。キャントンは1963年に日本初の国産ジーンズブランドとして大石貿易が誕生させた。この時、縫製を担当したのがビッグジョンの前身であるマルオ被服である。この当時、デニム生地はアメリカでのみ製造(国産デニム生地が誕生するのはもっと後年)されており、米国キャントン・テキスタイル・ミルズ社のデニム生地を使用したことから「キャントン」ブランドと名付けられた。68年にキャントン・テキスタイル・ミルズ社とのブランド商標権の問題によりブランドが中止となり、大石貿易はその後の自社ジーンズを「ビッグストーン」のブランド名で継続した。89年に大石貿易創始者の大石哲夫氏が死去した後も大石貿易は事業を継続し、91年にはキャントンのビンテージラインを復刻させるものの、2003年に倒産した。その後、キャントンブランドを豊島が引き継いで今日に至ったという経緯がある。まさに日本の国産ジーンズの歴史を体現したブランドといえる。
2013年08月06日価格上昇が続き、マイナビニュース読者の中にも、金投資への興味は高い。そこで、金投資の第一人者、元ワールド・ゴールド・カウンシル日本代表の豊島逸夫さんに3回にわたって、金投資についてのアドバイスをインタビューした。――金価格はここ10年上げ続けていますが、それはなぜなのでしょう?確かに金価格はここ10年上げ続けています。株式が振るわない時期が多いなか、なぜ、金価格はこのように上がり続けるのかよく聞かれますので、まずはその点をお話ししましょう。金価格の今までの動向が一目でわかる資料として、ご覧いただきたいのが、「米国マネタリーベース」です。これは、FRB(連邦準備制度理事会)が米国の商業銀行に対して供給しているお金の量です。1980年からリーマンショック前まではだいたい一定ベースの増加でした。ところが、リーマンショック直後から、もう明らかに異常な、激増どころか、ほぼ棒上げに近いような形で増えているのがわかります。これがまぁ、「QE=量的緩和」というもので、よく見るとこれ”二段ロケット”みたいになっているのです。最初の部分が「量的緩和1回目=QE1」、それから次のアップ部分が「量的緩和2回目=QE2」と呼ばれています。そしていま、さらにこの9月に3回目を実施しましたが、この際FRBは「米国の経済がよくなるまで、量的緩和を無限大にやります」と宣言したのです。それで私は、「QE∞(無限大)」と呼んでいるのです。そして、この間の金価格推移も一緒に見てください。マネタリーベースとほぼ連動する形で上昇しているのがわかります。ただここで最大のポイントは、この間に金の生産量は10%足らずしか増えていない。生産量はちっとも増えていないのに、市中にばらまかれた米ドルがこれだけ増えてしまっている。その結果、金の価格はどうなってしまったのか。上がるしかないわけです。これが、金価格が上がった最大の理由といっていいでしょう。ただし、ここで私が言いたいのは、何も金の価格が上がっているのではないということ。要は生産量は全然増えないのに、市中に出回っている米ドルのお札ばかり増えたら、金1gを買うのにいったい何ドル支払わなければいけないか、ということになるわけです。一言で言って、金の価格が上がっているのではなく、ドルの価値が薄まっているんだよ、希薄化しているんだよ、ということです。このポイントをしっかり抑えていただきたいです。金価格はどこまで上げるのか、これもよく聞かれる質問です。株でも、不動産でも、そして金でも、いつまでも上がり続けるはずはない。それはそのとおりだと思います。そういう意味で、海外ではポーンと1900ドルまで上がった金価格ですが、今はいわゆる調整局面に入って、1500ドル台にまで下げ、現在1700ドル台で調整局面となっています。そして「今後の金価格はどうなる?」という話でいけば、短期と長期の話に分かれると思うのです。長期ということで、2013年、来年通しての見通しということになると、金の価格は下がるっというほうがおかしい。なぜなら、米国は「QE無限大」ですから、これからしばらくはさらにお札をばらまき続けるでしょう。日本もご存じのとおり、日銀が追加緩和をしている。そして、どうも来年あたりはECB(欧州中央銀行)も追随しそうな状況なのです。つまりそれぐらいギリシャとスペインの債務危機が深刻で、緊縮政策を余儀なくされている。緊縮するってことは、要は景気が悪くなっているとうことです。その結果、来年はどうやら、欧州経済がマイナス成長になる予測のようなのです。そうなるとECBも、FRBと日銀のあとを追ってユーロもばらまく、とこういう構図が展開しそうなのです。そうすると、2013年、ドル、ユーロ、そして円、この3つの主要通貨がいずれも”ばらまき”ということになります。お札がEUと日本とアメリカでばらまかれて、金の生産量は相変わらず増えませんという状況では、下がるほうがおかしいわけなのです。ただし、短期で見た金価格の動向についていうと私は若干弱気です。なぜかというと、QE3が実施されたのが9月ですから、マーケットの材料としては陳腐化してしまっています。マーケットというのは、必ずしも経済論理とか理屈だけでは動きません。QE3というだけで毎日、「はい、昨日のニューヨーク相場はQE3でまた上がりました。明日もQE3でまた上がりました」ってそんな簡単な話ではない。賞味期限切れというとらえ方もできるわけです。短期的にはそんな話ですが、大局観として見ると、「こんなに金の価格あがっちゃったけど下がらないの? 大丈夫なの?」という質問に対しては、まぁ2014年いっぱいはまず大丈夫と、というのが回答です。大丈夫という意味はまだ高値圏に留まるけれど、来年から再来年の前半ぐらいまでだよ、その後ぐらいからは要注意だよ、という感じですかね。なぜなら、FRBのコメントを見ればわかるのですが、彼らはこう言っている。「通貨量のこの激増ぶりは明らかに異常です。ただ、でもこうしなければならないほど、経済状況が悪い。つまり、有事対応なんです」と。つまり裏返すと、経済が少しでも良くなれば元に戻しますということなのです。これを出口戦略というのですが、いつ戻すかというと、2015年央、英語でいえばmid2015年と言っています。ということは、この状況が2015年央まで続きますと明言しているということ。つまり、それまでは金の価格が高止まるという、暗黙のお墨付きをもらっているということなのです。ただ、マーケットは何事も先取りしますから、僕は2014年半ばぐらいからちょっと下がるんじゃないのかな、と思っています。――なるほど。金価格は世界の経済政策と密接に関わって動いていたことがわかりました。ありがとうございました。次回は金投資の考え方について引き続き、インタビューします。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年11月02日