テニスの四大大会最終戦、全米オープンが28日に開幕する。テニスツアーは年始から休みなく続いており、この時期は選手の疲労も溜まりやすく、けがを抱えたままの転戦や欠場も多く見られる。さらにニューヨークは真夏。年によっては40°C近い猛暑が選手を襲うサバイバル要素の大きい大会でもある。車いすテニスの小田凱人は今大会も優勝候補筆頭だ。ウィンブルドンではセットを1つも落とさずに圧倒的な勝ち上がりで優勝したばかり。既に向かうところ敵なしの構えだ。全米も取って四大大会3連勝となり、世代交代と小田時代の到来を宣言する大会になるのだろうか。男子の注目は、やはり前年の覇者、アルカラスだ。ウィンブルドンでジョコビッチをフルセットで破り優勝。20年間にわたって続いたBIG4による優勝独占を崩し、世代交代を強く印象付けた。これまでにも世代交代の兆候はあったが、アルカラスの活躍は過去最大級のうねりを伴っている。昨年は瞬く間に駆け上がって史上最年少で世界ランク1位となった感があるが、今年に入って数字や記録に実力が追いついてきた。20歳とは思えぬメンタルの強さと老獪さも兼ね備えており、このまま新王者となれるか。初の防衛戦となる全米は大きな試金石となりそうだ。グランドスラムで2大会連続でBIG4が優勝できなかったことは2003年以来一度もない。ジョコビッチが意地を見せるのか。さらなる新星が現れ世代交代は加速するのか。そして、ついにグランドスラムに錦織圭が帰ってきた。1年8か月ぶりの復帰戦となった下部ツアー大会では、史上初となる世界ランキングなしでの優勝。過去に何度も大けがからカムバックしてきたが、その中でも、今回は上々のスタートを切ったといえるだろう。試合勘を取り戻すには時間がかかるのでまだ慣らし運転ではあるが、全米オープンは過去3度ベスト4以上がある、最も相性のいい大会。組み合わせ次第ではいきなりの躍進も期待できそうだ。女子は引き続き混戦模様。注目は昨年出産し、ママさんプレーヤーとしてこの春からコートに戻ってきたスビトリナだ。WTAファイナルズ優勝経験もある実力者が、全仏ベスト8、ウィンブルドンベスト4と調子を上げてきている。正確なショットを武器に初の頂点を目指す。小田凱人(ときと)選手17歳の若さで早くもグランドスラム2連勝。レジェンド国枝慎吾から引き継がれた王者の称号は、簡単には渡せないはずだ。カルロス・アルカラス選手史上初となる10代での世界ランキング1位の座に就く。フェデラーとも比べられる早い展開のテニスが、新世代の旗頭となる。錦織 圭選手準優勝で空前の錦織フィーバーを起こしたのも9年前。新たな気持ちで再び頂点を目指す戦いが始まる。エリナ・スビトリナ選手夫は独創的なテニスをプレーすることで知られているモンフィス。祖国ウクライナのためにも悲願のグランドスラム初優勝を狙う。全米オープンテニス2023日程/8月28日(月)~9月10日(日)会場/USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターWOWOWで生中継。※『anan』2023年8月30日号より。写真・Getty Images文・今田望未(by anan編集部)
2023年08月29日8月24日、少年隊の錦織一清(58)がX(旧Twitter)を更新したが、その内容をめぐってファンから心配の声が続出している。錦織はXに《昨日坊っちゃん劇場の社長から、明日中村知事とカラオケ 行って欲しいとのLINEがあり》と投稿。坊ちゃん劇場の社長・越智洋一氏について言及。坊ちゃん劇場とは愛媛県東温市にある劇場で、錦織が演出を手がけた作品がたびたび上演されている。今年4月にも錦織演出のミュージカルが上演されており、彼にとってゆかりの深い場所だ。続けて、錦織はカラオケの誘いについて《行って欲しいとのLINEがあり、劇場支配人に行く理由を聞いた》とするも、《別に来たくなかったら、来なくて良い的な返事があった》とし、《ブチ切れて丁重にお断りしました》と、カラオケの誘いを断ったことを明かした。突然、自身の怒りをあらわにした錦織。《人間付き合いは難しいモンです。明日通しが上手くいったら、東京に帰りたくなりました。出演者やスタッフは、良い人たちばっかりなのに・・・》と結んだが、ファンからは心配する声が続々と寄せられている。《ニッキ、文字だけでは詳細な背景がわからないですが、X(Twitter)は世界発信でもあります。関係者の目に入る可能性も大きいです。今後に影響がなければ良いけどやはりお疲れが蓄積してますよね。ゆっくり休暇は目の前頑張ってね、応援してます!!!》《ニッキ、ちょっとお疲れかな…ひと息ついてね》《大丈夫ですか?もしかして目覚めのLINEですか?色んな人がいますからね。正直すぎる錦織さんのつぶやき・・・ちょっと心配です良い舞台のことだけ考えてくださいね》
2023年08月24日日本時間2023年6月12日、アメリカの自治領プエルトリコのパルマスデルマールで、男子テニスの下部ツアー大会『カリビアン・オープン』が開幕。同月19日に決勝戦が行われ、プロテニスの錦織圭選手が見事優勝を果たしました。錦織圭、復帰大会で優勝!2022年1月に、股関節の手術を受け、長期離脱を余儀なくされた錦織選手。その後足首の負傷も重なり、今大会が2021年10月以来に出場した試合でした。今大会の第1回戦で、錦織選手はクリスチャン・ラングモ選手に勝利。約1年8か月ぶりの試合を白星で飾りました。その後も順調に勝ち進み、決勝戦で19歳のマイケル・ゼン選手と対戦。6対2、7対5でストレート勝ちし、復帰戦で見事優勝を果たしたのです。サンケイスポーツによると、錦織選手は今大会の優勝後、自身の思いを次のように明かしています。◆錦織圭の話「優勝は想像以上。これ以上望めないくらいの結果が出た。ここまでのプレーが出てくれたことは、自分でも信じられない。決勝のレベルだったら(通常の)ツアーでも戦えるのでは、というくらい良かった」サンケイスポーツーより引用今大会の優勝という結果に、「自分でも信じられない」と明かした、錦織選手。今後のテニスツアーについては「決勝のレベルだったら戦えるのでは」と、前向きなコメントを残しました。錦織選手の優勝に、ネット上では祝福の声が上がっています。・おめでとうございます。そして、おかえりなさい!・また錦織選手のプレーが見られると思うと、楽しみ。・最高の復帰戦でしたね。これからも応援しています!今後再びテニスコートで輝く錦織選手の姿を、多くのファンが待ち望んでいるでしょう。[文・構成/grape編集部]
2023年06月19日講談社から7月10日、「オトナの週末旅行」をテーマに撮影した田中圭さんの写真集が発売されます。■ 田中さん30代最後の誕生日に発売する写真集同写真集は、田中圭さんの30代最後の誕生日となる2023年7月10日に発売予定。VOCE本誌で二年目を迎えた大人気連載「#オトナの休日」のスペシャル版として、オトナの週末旅行がテーマとなっています。行き先は田中さんの発案により、北海道になったのだとか。「もし田中圭と旅をしたら……?」と二人旅気分を存分に満喫できる内容。観光したり、おいしいものを食べたり、ドライブをしたり、時にはバッチリスーツスタイルで素敵なホテルに泊まったり、一緒に朝を迎えるなど、さまざまなシチュエーションの田中さんの姿を堪能できますよ。「こんな田中圭見たことない!」が詰まった一冊、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。■商品情報<通常版>発売日:2023年7月10日予定定価:3,410円発行:講談社<特別版>発売日:2023年7月28日予定定価:8,800円特典:ロケのメイキング映像を収録したDVD(1枚)、オリジナル紙製ケース入り、台紙付きサイン入り生写真(1枚/サインはプリントです)※カバー・表紙は通常版と異なります※写真集の内容は通常版と同一です※受注生産商品(フォルサ)
2023年05月18日田中圭が主演を務める舞台『夏の砂の上』のトレーラー映像が公開された。1998年に初演された『夏の砂の上』は、劇作家・演出家の松田正隆が生まれ育った長崎を舞台に描いた作品で、1999年に読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受賞した彼の代表作のひとつ。職をなくし妻に家出された主人公と彼を取り巻く人物たちの間で交わされる会話から、一見淡々とした日々に漂う、抗いようのない悲哀や心の乾きが滲みだす名作だ。今回演出を手がけるのは栗山民也で、松田とは2003年に新国立劇場で上演された『涙の谷、銀河の丘』以来のタッグとなる。出演者は主人公・小浦治役の田中圭、夫を捨て家を出ていく妻・小浦恵子役の西田尚美、川上優子役の山田杏奈に加え、尾上寛之、松岡依都美、粕谷吉洋、深谷美歩、三村和敬が名を連ねている。『夏の砂の上』は11月20日まで東京・世田谷パブリックシアターで上演後、11月26日・27日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、12月3日・4日に宮崎・メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)演劇ホール、12月10日・11日に愛知・刈谷市総合文化センター 大ホール、12月16日・17日に長野・まつもと市民芸術館 主ホールで上演される。舞台『夏の砂の上』トレーラー映像<公演情報>『夏の砂の上』11月3日(木・祝) ~11月20日(日) 東京・世田谷パブリックシアター作:松田正隆演出:栗山民也【出演】田中圭 / 西田尚美 / 山田杏奈 / 尾上寛之 / 松岡依都美 / 粕谷吉洋 / 深谷美歩 / 三村和敬※11月11日(金) は終演後に松田正隆、白井晃(世田谷パブリックシアター芸術監督)によるポストトークあり。【チケット料金】S席(1・2階席):8,500円(全席指定・税込)A席(3階席):6,500円(全席指定・税込)※1申込につき1公演1席種4枚まで※ほか高校生以下、U24など各種割引あり※託児サービスあり※車椅子スペース取り扱いありチケット購入リンク:【お問い合わせ】世田谷パブリックシアターチケットセンターTEL:03-5432-1515(10:00~19:00)【ツアー情報】■兵庫公演11月26日(土) ・27日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール■宮崎公演12月3日(土) ・4日(日) メディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場)演劇ホール■愛知公演12月10日(土) ・11日(日) 刈谷市総合文化センター 大ホール■長野公演12月16日(金) ・17日(土) まつもと市民芸術館 主ホール公式サイト:
2022年11月09日アイドルグループ『少年隊』のリーダーとして活躍していた、俳優の錦織一清さん。2022年9月28日、錦織さんは自身のウェブサイトを通して、一部のファンから迷惑行為の被害を受けていることを明かしました。最近、一部ファンの方による錦織一清及び関係者へのプライベートエリアでの追跡行為や常識を逸脱した出待ち行為、移動車両に乗り込もうとしてくる等プライバシーを著しく侵害する行為がいくつか確認されており、警察に通報・相談をする事態となっております。また、Fanicon内トークDMにおいても1日に何十回もメッセージを送る、会ってほしい、近くにいる等の文言やユーザー自身の個人情報を送る等の度を過ぎたものも見受けられます。錦織一清ウェブサイトーより引用一部のファンによる迷惑行為を受けて、警察に通報や相談を行っているといいます。また、同日には錦織さんのTwitterアカウントを、近々閉鎖することも発表されました。行きすぎたファンの行為により、錦織さんが被害を受けているだけでなく、Twitter上での交流をも失う結果となったことに、多くのコメントが上がっています。・こんなことをする人がいるだなんて、1人のファンとしてショックで、許せないです。・Twitterアカウントの閉鎖は、相当悩んで決めたことだと思います…。今までありがとうございました。・物騒な世の中になってしまったのだと感じました。ファンとして申し訳ない気持ちです。Twitterアカウントが閉鎖される前、「今まで警察ざたで大変でした。いつか刺されるかもしれない」とツイートしていた錦織さん。一部の人たちによる行きすぎた行為は、錦織さんを精神的に追い詰めているようです。ファンとの交流の場であったTwitterアカウントが閉鎖されることも、悲しい結果といえます。応援したい1人のファンであるなら、芸能人本人や周囲に迷惑をかけないことを心掛けたいものです。[文・構成/grape編集部]
2022年09月29日俳優の渡邊圭祐が3日、都内で「渡邊圭祐 2022.4-2023.3 カレンダー」発売記念イベントを開催。イベント前に行われた取材会に応じた。今年のカレンダー撮影テーマは、ART&CULTURE ZINE「FOCUS」。渡邊の2022年は、日常の何に焦点をあてるか、何を目標とするか、何に気を配って生活するか…。その「何」にフォーカスしたさまざまな写真とテーマに沿った渡邊のメッセージとともに、渡邊をもっと好きになる仕上がりとなっている。そんな同カレンダーのこだわりを聞かれた渡邊は「男性目線からすると好きな芸能人だったり推してる人のポスターとかカレンダーとか、顔写真バーンというのを部屋に飾るのってちょっと恥ずかしかったりする」という理由で、「僕のカレンダーで僕メインではあるけど、僕メインではないみたいなところを目指して、"でもいるよね"ということで、今年も"日々の暮らしに渡邊を"ということで、テーマとしてはそんな感じで設定させていただきました」と説明。具体的には「映画のポスターってすごくオシャレですよねってなったときに、一枚絵で見られるような、絵として飾れるようなテンションのものを作れるように、雑誌の切り抜きなどからから着想を得て、今回は作らせていただきました。渡邊圭祐という部分を消していく作業にこだわりを持って、誠意を持って取り組みました」と明かした。お気に入りには3月の顔がブレているカットを挙げ「これもまさに渡邊圭祐であって渡邊圭祐ではないみたいな、1番目指していたところかなと思います。ぱっと見、誰だかわからなくて、これが飾ってあったら『この写真いいね』って会話の種にもなると思いますし、今回のカレンダーの中だと、僕が目指した部分がここに表れているのかなと思います」と紹介し、カレンダーに自己採点をするよう求められると「見出し的に100点って言ったほうがきれいですけど90点で。"また次に出すときのほうがいいよね"というテンションのことをきれいにまとめていただけると助かります」と今後の伸びしろに期待を込めた。また、写真のほかに文章も書かれているが、将来的にエッセイや小説執筆の可能性はあるか追求された渡邊は、1度目の緊急事態宣言時に時間ができ、ちょうど連載も始まったことから文章を書くことに興味を持ったそうだが「小説か何かを書いてみようと思って書き出してみたら、収拾がつかなくなってしまったので、より小説家の方の偉大さを知ったというか、文を扱う方の偉大さを知ったので、書かないと思います。書けないんだと思います」と小説家デビューの可能性を否定した。さらに、この4月から新たにチャレンジしたいことを聞かれると「例えば格闘技だったり、役が来たタイミングでやれたらいいなとかぼんやり思っていたんですけど、(役とは関係なく)そういうのをやっておくだけでも、次に仕事が来たときにそのままスッと入れたりするので、できることはできる限り触れていこうかなと思っています」と声を弾ませ、趣味として釣りも始めたいそうで「自分、子どもができたときに"お父さんってかっこいいんだな"って何となく思ってもらえるような、子どもも一緒に楽しめるような、結婚の予定は全然ないんですけど、そういうのを持っていたらかっこいいなと。それだけです」と理由を明かした。
2022年04月04日俳優の渡邊圭祐とお笑い芸人のヒコロヒーが初共演する、ハウスウェルネスフーズ「ラクシテ」の新CM「渡邊圭祐&ヒコロヒー登場編」が、4月1日より放送される。新CMでは、「さ、ラクシテこ!」というキャッチフレーズを用いて、ラクできない日々に同商品を取り入れて、日常生活での疲労感を軽減してほしいというメッセージを表現。ドラマや映画で活躍中の渡邊と、バラエティを中心に活躍中のヒコロヒーという、まさに「ラクできない」 二人が、根を詰めすぎず、ほどよく肩の力を抜いてラクシテいく様子が描かれる。■渡邊圭祐コメント毎日の生活でどうしても頑張りすぎてしまうことも多いと思います。今回のCMを見て、あ、もっとラクしてもいいんだ。と少しだけ肩の力を抜いてもらえたら嬉しいです。もうすぐ春の新生活も始まりますが、気負いすぎず、ラクシテいきましょう!■ヒコロヒーコメント商品名のとおり、リラックスした雰囲気の現場で楽しく撮影に臨めました。慌ただしくなってくると、ついつい余裕がなくなってしまいがちですが、そんなときこそひと息ついていきましょう。この春から新しい生活が始まるみなさんも。さ、ラクシテこ!
2022年03月30日俳優の渡邊圭祐が、3月下旬に『渡邊圭祐2022.4-2023.3カレンダー』(アミューズ 2,600円/卓上)を発売することが4日、わかった。4月スタートのフジテレビ系ドラマ『やんごとなき一族』や映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の錬成』などへの出演で話題を集める渡邊。最新カレンダーとなる同作は、「ART&CULTURE ZINE『FOCUS』」をテーマに撮影。2022年は、日常の何に焦点をあてるか、何を目標とするか、何に気を配って生活するかの「何」にフォーカスしたさまざまな写真が、テーマに沿ったメッセージと共に掲載される。4日(18:00~)からオンラインショップ「アスマート」で特典付きで予約がスタート。また、カレンダーの発売を記念して、20日には地元である宮城・HMV仙台E BeanSで対面式特典会の開催も決定した。東京での開催も現在調整中で決まり次第、発表される。コメントは以下の通り。■渡邊圭祐"渡邊圭祐のカレンダー"感を薄めつつも大切にして制作いたしました。ひと月毎のレイアウトやコンセプトにこだわりを持ったが故に、発表が3月まで食い込んでしまいました。今年もまた部屋に飾っていただいた時の様子を想像して、知らない方がみても素敵な印象を与えられるよう心がけたつもりです。もし気が向いたら、今年も日々の暮らしに渡邊をということで。是非。
2022年03月04日「田中圭チャレンジしよ!」ほにゃぴ(@honyaoO)さんは、弟さんからこのように誘われたといいます。『田中圭』とは、もちろん俳優の田中圭さんのこと。では、『田中圭チャレンジ』とは何を指すかというと…。弟が田中圭チャレンジしよ!って言ってきて何かと思ったらあみじゃがで田中圭の文字に合わせてかじってくらしいwwwww pic.twitter.com/2epY89HFmG — ほにゃぴ (@honyaoO) October 20, 2021 すごい!でも『田中圭』…じゃなくて『田中主』…!ほにゃぴさんが弟さんに聞くと、お菓子の『あみじゃが』を、『田中圭』の文字に合わせてかじったのだとか。もともとのお菓子の形は、網模様をした円形。それを、文字に合わせてかじった…器用でないとなせない技といえます。しかし、『圭』になるには、一画足りていません。弟さんが鍛錬を重ねた結果、成功した『田中圭』がこちら!やっと!田中圭チャレンジ成功しました #田中圭チャレンジ #あみじゃが pic.twitter.com/K3cXUZHNO8 — ほにゃぴ (@honyaoO) October 21, 2021 これで『田中圭』の完成ですね!器用にかじりながら、田中圭さんのことを想う弟さんの姿が目に浮かぶことでしょう。『田中圭チャレンジ』に、「天才の発想ですね」「ほほえましい…。このお菓子を買ってやってみようと思います」と、多くの人が反応してました。田中圭さん本人がこのチャレンジを知ったら、どのような反応をするか…楽しみにしておきたいですね![文・構成/grape編集部]
2021年10月21日俳優・田中圭は、愛される天才だと思う。9月17日から配信がスタートする痛快ミステリードラマHuluオリジナル『死神さん』。そこで田中圭が演じたのは、「死神」と呼ばれる曲者刑事・儀藤堅忍。誰とも群れず、誰からも愛されない孤高のダークヒーローだ。けれど、田中圭自身は、儀藤とは正反対。人なつっこくて、あっという間に距離を縮め、周囲の心を掴んでいく。どうして田中圭は愛されるのか。彼自身の信条から、その理由が見えてきた――。台詞覚えは地獄です(笑)ウェーブのかかった髪に、大きなホクロ。そして、独特の喋り口調。これまでたくさんの役を生きてきた田中圭だが、その多数のフィルモグラフィの中でも儀藤堅忍は極めて独特だ。特徴的な台詞回しや前のめりの姿勢など、外側の部分に関しては、監督の堤幸彦からもらったアイデアをベースにつくり上げていったという。「息継ぎのポイントや抑揚のつけ方が独特で、完成したものを家で観ているときに、『これ、どうやって練習したの?』って聞かれました。それぐらい特殊なキャラクターではありますが、僕自身は全然何も意識していなかったというか。難しいと感じることもあまりなく、自然に、何も考えずにやっていたら、ああなりました」唯一苦戦したのは、長台詞。思えば、8月に上演された舞台『もしも命が描けたら』でも、前半はほぼ一人芝居と言ってもいいくらい膨大な台詞量だった。忙しい毎日の中でどうやって覚えているのかと聞いてみたら、コツは「ない!」ときっぱり言い切った。「特別なことはやってないです。本当に1文字ずつ覚えているだけ。基本は黙読です。黙読で覚えて確認で声を出すという感じ。でもひとりでやっていても覚えているかどうかわからないので、現場に入るまでいつも不安なんです」と言いつつ、今作でも台詞が飛んでNGを出すことはほぼなかったそう。「自分でもわかりませんが、なんとかできているみたいで。でも台詞覚えは苦行です。地獄です(笑)。台詞を言うということは、それを覚える作業が必要ですけど、その覚える時間を事務所もスタッフも考えてくれていない。そこはどうにかしてくれと思っています(笑)」こんな人いそうだな、と思いました。これまで多くの作品で多くの役を生きてきた。どちらかと言うと、日常の延長線上にある題材が多く、その役がどこかで本当に生きていると感じさせる人物造形を得意としてきた田中圭にとって、儀藤堅忍というキャラクター性の強い役は新鮮な印象もある。「新鮮は新鮮ですけど、やっぱりどこまで行っても僕だなと。良くも悪くもキャラクターが立ちすぎていないというのは、自分で見て感じました。僕がやるとフィクションになりきらないというか、実際こんな人いそうだなってなるんですよね」そう答えてから、付け加えるようにこう続けた。「それは日頃から自分の武器だと捉えてはいますが、ここまで強烈な役をやってもそうなるのかと。だったらもっと大げさにやってみても良かったかなと思ったので、できれば続編というか、もう1回、儀藤をやりたいです」自分に対するジャッジは常に厳しめ。簡単に及第点をつけないから、俳優・田中圭の進化は止まらないのだ。ペットボトルの分別をしない人は許しません芝居に対しては一切妥協を許さないが、素の人柄はどこまでも親しみやすい。「逃げ得は許しません」が儀藤の決め台詞。では、田中圭が許せないことと言えば何だろうか。「結構ありますよ。ペットボトルのラベルを、明らかにみんな外して捨ててあるところに、取らずに捨てる人を見ると腹立ちます。見たらわかる!っていう(笑)。別にそんなに分別にうるさい方とかではないですけどね。ちゃんとキャップもラベルも分けているところに、そのまま捨てていく人を見ると、『いやいやどうして?気づかなかった?』ってなります(笑)」また、今作は各話ごとに儀藤の相棒が替わるのも見どころのひとつだ。「毎話相棒が替わるからこそ感じる刹那的なものがある。短い時間の中でもお互いの間に一瞬でも生まれる何かが確実にあって、演じていてもすごく楽しいです。お芝居の達者な方々が勝負しに来てくれているので、僕自身、迎える立場として、来てくれている人に儀藤を楽しんでもらえるようにいようとは毎回思っていました」ちなみに、田中圭自身の相棒を聞いてみると…?「嫁です。嫁しかいないです(笑)。物で言ったら、結構いろいろあるかも。ケータイとか財布とか、あとは目薬とか、今だったら蜂蜜味ののど飴も。カバンの中には、これは手放せないっていうものがいつも入っています」“楽しんでいるやつが一番強い”と思うんです堤幸彦監督とは、2007年に公開された映画『包帯クラブ』以来のタッグ。こうした再会が、田中圭の原動力のひとつとなっている。「お互い違う現場で吸収したり修行したりして、またどこか別の現場で再会する。それが、僕がこの仕事が好きな理由のひとつです。仲が良いからつながっていくのではなくて。何て言うんだろう。久々に再会したときに、そこで『この会っていない何年間の間に何をしてきた?』っていうのをやり合えることがうれしいんです。それはスタッフもそうだし、俳優同士もそうだし」そう語る言葉の温度がぐっと上がる。好きなことを話しているときの田中圭は、ものすごく素直な顔をしている。「堤さんとも、さすがに14年も空くと、ほぼ初めましてと変わらないみたいなところもありましたが。それでも懐かしさみたいなところもあったし、自分自身もあのときとは違いますよと。いい意味で新鮮で、刺激的で、チャレンジな毎日を過ごすことができました」今から約14年前。あの頃の田中圭はどんなことを考えながら日々現場に立っていたのだろうか。「何を考えていたんですかね、あの頃の自分は。みんなすごいなあと思いながらやっていました。それこそ石原さとみちゃんが監督から急に今までと違うオーダーをもらって、でもそこですぐに芝居を切り替えて涙を流しているのを見て、『すごい、こうやって泣けるんだ女優さんって』って思ったりとか。基本的に過去のことを覚えていない人なので、14年も前となるとより覚えていないですけど、考え方も、蓄積しているものも、全然違うんだろうなとは思います」積み重ねた時間の分だけ俳優として成長した。久々の再会でそれを感じると同時に、あの頃と変わっていないものも見つけることができた。「堤さんの、監督自ら第一線で楽しそうに現場にいてくれるところが僕はすごく好きで。何だろうな、合うんですよ、自分とベースの部分が」そう言って、田中圭が話しはじめた信条は、彼自身の魅力がたっぷりつまったものだった。「そもそも自分の考え方で、“楽しんでいるやつがいちばん強い”というものがあるので。撮影中ってしんどいことが押し寄せてくると思うんです。というか、生きているだけでしんどいこととか山ほどあるし。でもその中で、まずは楽しむ。その姿勢が、周りの士気を上げてくれる。堤さんはそういう人で。そんな堤さんを見て、僕も楽しもうと思ったし、もっと監督を楽しませたいなって思いました」ここ数年、ドラマ、映画、舞台と出演作が切れ目なく続く。傍目から見ていても、時々心配になるほど多忙な日々を送っている田中圭が、それでもまるで色褪せないのは、どんな状況でも楽しむ気持ちを忘れないから。ハードなスケジュールも、膨大な台詞量も、「まじか…」と言いつつ、最後は楽しんで乗り切ってしまう。そんな姿に人は惹かれていく。「そう考えたら、『包帯クラブ』をやっているときも、監督から無茶振りをいっぱいされて、それに応えると監督がケラケラ喜んでくれて。監督が喜んでくれるから頑張ろうと思っていたなって、今思い出しました。そこは今もあの頃も変わらないかも。ただ、あの頃とはっきり違うのは、無茶振りされるたびにイヤ~なプレッシャーはあるけど(笑)、当時はただのイヤなプレッシャーだったのが、今は監督の無茶振りに乗った上で、そう来るならこう動いていいですよねって自然な流れでそこから派生する動きや感情を出せるようになった。この『死神さん』は、そうやって『あのときの自分とは違うぞ!』って自分を鼓舞しながらやれた現場でした」この取材が行われたのは、9月7日に生配信された記念イベントの後。ひっきりなしに続く取材の最後で、時間はすでに22時をまわっていた。それでも田中圭は疲れなんて感じさせないように、カメラの前でおどけたポーズをとる。それを受けたカメラマンが「元気ですね」と声をかけると、「空元気っす」と笑った。これもまた楽しむことを大切にする田中圭らしい一コマだ。ピンチも、プレッシャーも、疲労すら、楽しむ。だから、田中圭は愛されるのだ。ぴあアプリ限定!アプリで応募プレゼント田中圭さんのサイン入りポラを1名様にプレゼント!【応募方法】1. 「ぴあアプリ」をダウンロードする。こちら() からもダウンロードできます2. 「ぴあアプリ」をインストールしたら早速応募!Huluオリジナル『死神さん』は9月17日(金)より配信スタート撮影/奥田耕平、取材・文/横川良明
2021年09月17日「テニスが疎かになるっていう不安はないんですよ。芸能の仕事をすることで、気分転換にもなってモチベーションにも繋がるので。それぞれが相互作用していますね。テニスは70%で芸能は30%とか、そういうことをするつもりはなくて。ぜんぶ全力ですね」こう語るのは、テニス選手の堀江亨だ。岐阜県出身で現在22歳の彼。その経歴は全豪オープンジュニアでベスト4、ウィンブルドン・ジュニア選手権でベスト8。さらに日本人で初めて全米オープンテニスジュニアの決勝に進出し、ジュニアデビスカップでは世界4位に輝く……と非常に華々しい。“テニス界の次世代スター”との呼び声も高いが、いっぽうで今後はモデルやタレントといった芸能活動にも意欲的に取り組んでいくという。「高校は芸能界の子がたくさん集まる学校で『僕もやりたいなぁ』と思っていました。同級生は乃木坂46やLDH、それにジャニーズJr.もいましたね。自分はテニス一本だったんで、彼らと授業を受けたり遊んだりするのが刺激的で。芸能の仕事を通して、テニスにもっと注目してもらえたら嬉しいです」彼がテニスを始めたのは小学1年生の頃。そのキッカケは自身の父親だったという。「父がテニスコーチなんです。父に影響を受けて始めたんですが、ほんと言えないくらいハードな練習で……。辛すぎてあんまり覚えてないんですよ(笑)。毎日筋トレ100回なんて当たり前でしたし。辛いことがあっても当時を思い出したら『大丈夫だな』ってくらい(笑)」しかし「父がいないと今の自分はいませんね」といい、こう続ける。「とにかくメンタルが鍛えられて、テニスを極めるための姿勢も教わって。そのお陰でどんどん上達しました。父はいま地元の岐阜でアカデミーをやっていて、強い選手をどんどん輩出していますよ」■大坂なおみ選手は「真剣にテニスに向き合っている」堀江に岐阜の印象を訊ねると「自然ばかりで、実家は“市”がつかないくらい田舎。無人駅だったり、家からコンビニまで何キロもあったり(笑)」とコメント。「だから小学生の頃、試合や合宿で東京を行き来するにつれ、『上京したい!』って気持ちが強くなったんです」と明かす。「両親に相談したら『全国小学生大会に優勝したらいいよ』といわれたんです。それで優勝して、中学生になるタイミングで上京しました。コーチの家に住んだあと一人暮らしして、高校生になったら母も上京してきて。母はテニスに詳しくない分、『メンタル面のサポートをしたのよ』って自分で言っていました(笑)」そして「オファーがあって」アメリカの大学へ。単身渡米し「ビジネス系の勉強をしています。経営や経済、あと金融とか……」とのこと。そう、彼は学生でもあるのだ。「授業の後、夕方はチーム練習。それで夜はホームワーク。月曜から金曜までその繰り返しで、土日は試合です。ずっと動いていますね。でも、僕はサボり癖があるのでそのほうがいいんです」謙虚な姿勢で文武両道、そして超イケメン!さぞモテるでしょう?「そうともいえるかもですね(笑)。でも同級生より、お母さん方から好かれてることのほうが多かったかな。バレンタインデーにはお母さんが娘さんに『渡しに行きなさい!』って言っていたみたいですよ」そんな堀江だが常に“無双状態”というわけではない。テニス界では6月、大坂なおみ選手(23)が《記者会見ではアスリートの心の健康状態が無視されている》とツイートし試合後の記者会見を拒否すると表明。同時にうつ症状を明かし話題となった。堀江は「試合は緊張の中でやっているので、その後は体も脳もどっちも疲れている状態。人間なので精神的なアップダウンもありますし、下がってる時に会見があると……。自分も辛い時がありました」と大坂に理解を示す。「むしろあのツイートは、真剣にテニスに向き合っているからこそなんじゃないでしょうか。体調のいい時は、メディアに対して真摯に向き合っていますからね。大坂さんは政治や社会問題でも、自分の意見をきちんと主張していてすごいなと思います。自分も社会にメッセージを発信していきたい。何かが変わったり、誰かがポジティブになってもらえれば嬉しいです」■錦織圭選手も“太鼓判”のスター性テニス選手として、そして1人の青年として強い意志を持つ堀江。今後の活躍に期待できそうだ。実際、19年5月の『炎の体育会TV SP』(TBS系)では驚異的な運動能力を見せて大きな反響が。20年1月期の『月とオオカミちゃんには騙されない』(ABEMA)ではそのイケメンぶりが話題となり、すでに“リアル・テニスの王子様”としての注目度が高まっている。実は、そのスター性は日本が誇る名プレイヤー・錦織圭選手(31)も“太鼓判”なのだ。「錦織さんはテニスのアドバイスをしてくださったり、自分の出る試合をチェックしてくださったり。17歳くらいの時、錦織さんの出てる試合のジュニア版に自分も出て。表彰も一緒で、その時『かっこいいからモデルとかやってみたら面白いんじゃない?』って言われたんですよ。それも芸能活動への後押しになりましたね。もともと自分は極真空手やバレエなど色々なスポーツをしていましたが、錦織さんに憧れてテニスに専念することにしました。錦織さんはちょうど自分の10歳上。グランドスラムで活躍されているのを見て『錦織さんみたいになりたい!』って。普段は天然というか“のほほん”としてる方なんですけど(笑)、“日本人が世界とどうやって闘うのか”ということを見せてくれた選手ですね」そして堀江は、今後の目標についてこう話す。「テニスではプロに転向して、アメリカのシングルでトップ10に入りたいですね。あと芸能の仕事では木村拓哉さん(48)にお会いしたいんですよ。見た目だけじゃなくて、生き方もかっこいい。家族を大事にしている感じも好きで、小さい頃から憧れています」大志を抱く堀江。その眼差しはとても輝いていた――。
2021年07月17日「この子はバイオリンの天才なの」小室圭さんの母・佳代さんの口癖だったーー。圭さんの父、敏勝さんが’02年に亡くなって以来、佳代さんは、カフェやケーキ店などで働き、一人息子である圭さんを育ててきた。「シングルマザーの家庭から、弁護士になり皇族と婚約。本来なら美談になるような話ですが、あまりに不自然な親子関係に、国民は不信感を募らせています。4月8日に、圭さんが母の元婚約者X氏との金銭トラブルに関する説明文書を発表しましたが、国民に説明するためではなく、母親の名誉を守るためのものと受け止められてしまいました」(皇室ジャーナリスト)児童相談所で19年間の勤務経験がある心理学者で家庭問題カウンセラーの山脇由貴子さんが語る。「強い絆で結ばれている2人ですが、同時に佳代さんは息子である圭さんに依存しているように見えます。これが違和感の原因かもしれません」息子依存とは、どのようなものなのか?山脇さんが続ける。「簡単に言えば、過保護、過干渉の延長で、息子への執着心が非常に強くなっている状態です。『息子のため』と思い込みながら、息子を自分の思いどおりにしようとしてしまう。具体的には、小さいころから“私の言うことを聞かないと人生がダメになる”と恐怖心を受け付け、心理的に息子をコントロール。一連の報道から、圭さんの主体性がまったく見えてこないのは、おそらく圭さんが佳代さんの支配下にいるためでしょう」息子の成功だけが自分の成功だと考える深層心理が、気づかないうちに、息子の人生への過干渉や支配を生んでしまう。『母という病』(ポプラ新書)の著書がある精神科医の岡田尊司医師によると、母親が息子を自分の所有物のように接するのは珍しいことではないという。「とはいえ、多くの場合は、中学生ぐらいに反抗期という形で、母親の操り人形であることを拒絶します。そのときこそ子どもが自立するチャンスなのです」しかし、息子に強く依存していると、その機会が失われてしまうこともあると山脇さん。「息子に依存する母親は、子に自分のつらさや悩みを吐露している場合があります。それをされると息子は、母親の騎士になって母を守ろうとするのです。その結果、支配から抜け出そうという考えが起こらなくなる。これはしばしば反抗期の消失となって現れます」圭さんは、高校2年生のころからフランス料理店でアルバイトをしており、店長には「うちにはお父さんもいないし、僕がお母さんを守っていくんです」と語っていたというがーー。このような親子関係は、息子の将来に悪影響を及ぼすことも。「母親に支配されてきた子どもは、大人になってからも他者との関わりにおいて『支配する』か『支配される』という人間関係しか築けません。そのため、たとえ結婚しても、相手と対等な関係をつくることができない。支配する側になれば、パートナーをだましたり、虐げたりしてでも自分の思いどおりにするでしょう」
2021年05月28日挨拶もせず、一部の決まった親たちとベラベラほかのチームの内情や悪口を話しているコーチ。コーチの人間性に不信感を抱えていたけど、息子のために我慢してきた。だけど最近はお気に入りの保護者の子どものえこひいきが酷すぎて、とうとう息子はレギュラーから外された。子どもの意思を尊重したいけど、今のチームにい続けて良い影響があると思えない。こんな考えで移籍を望むのはダメ?とご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、保護者の気持ちに寄り添ったアドバイスをお送りします。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<女子サッカーチームでいじめられている娘が心配でたまらない問題<サッカーママからのご相談>はじめまして。よくある質問かもしれませんが、9歳の息子のチーム移籍についての相談です。息子のコーチはまず、挨拶もしません。そして練習の前後に一部の決まったお母さん達とベラベラ話したりしています。その内容は子どもの話しだったり他のチームの話しだったりするのですが、人を否定するようなことや悪口、よそのチームの内情など、こんな話しをコーチが保護者にしていいの?と思える様な内容なのです。私はコーチと話すのも嫌なので距離を取るようにしていますが、そんなことが続いて人間的にどうなんだろう?と不信感しかなくなってしまいました。それでも息子のため我慢してきましたが、お気に入りのお母さんの子どもとの差別が酷過ぎてレギュラーからも外されました。息子は移籍したくないと言っていますが、人間性にも疑問でえこひいきをするコーチに不信感しかなく、この先教わって行くのはどうかなとも思います。もちろん本人の気持ちを尊重したいですが、このチームにいて人間形成の部分などでいい影響があるとは思えなくて......。このような考えで移籍を望むのはよくないのでしょうか。アドバイスいただけると幸いです。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただきありがとうございます。相談文でしかうかがい知れませんが、コーチに対する、嫌悪感、不信感が募る様子が伝わってきます。他人の悪口云々は聞かなければ済みますが、「お気に入りのお母さん」の子どもへのえこひいきはいただけないですね。子どもへの影響が心配です。■まずは息子さんに、コーチのことをどう思うか聞いてみようさて、当然ではありますが、移籍する、しないの二つの選択肢になります。ただし、決めるのは息子さんだということは忘れないでください。お母さんに嫌悪感や不信感があっても、息子さんがどう感じているのでしょうか。そこがこの相談文ではわかりません。もし、息子さんに確認していないのであれば、まずは息子さんに「コーチのこと、どう思っているの?」と尋ねてみましょう。お母さんの意見は言わず、ひたすら息子さんの話に耳を傾けてください。一番は、レギュラーを外されたことをどう感じているのか。・何が理由だと思っているのか。・納得して、前向きに頑張ろうと思っているのか。・今のチームにいたいのか、いたくないのか。そんな対話の中で、もし息子さんが「お母さんはどう思うの?」と尋ねてきたら、「お母さんは、ちょっと嫌だなと思っている」というふうに、あくまでお母さんの考えとして伝えてください。お母さんの主観ではなく、「コーチとして失格」とか「どうかと思う」のように一般論としてコーチを否定しないようにしてください。■移籍する、しないの決断を性急に進めないこと逆に、息子さんが何も尋ねてこなければ、お母さんの意見は飲み込んでください。9歳ですから、小学3年生か、4年生ですね。仲間や大人がどんな人かというところも、子どもなりに少しずつ理解していくと思います。ことを性急に進めないことが肝要です。お子さんが仮に「コーチはイマイチだなあ」「嫌だなあ」と感じていたとしても、慣れ親しんだ仲間がいる今のチームを離れがたいと思っているかもしれません。ある少年野球の調査で子どもに野球をしている理由を尋ねると、一番多かった答えは「仲良しの友達がいるから」と答えています。それと同様に、息子さんにサッカーが好きだという気持ちとともに、仲間といることの楽しさを感じていることでしょう。そこをお母さんの気持ちだけで引きはがすのは、いいことではありません。あくまでも、息子さん自身の判断で決めるべきです。それとは逆に、お子さんにチームに対しての愛着が小さく、息子さん自身も不満を抱えているようであれば、移籍という方法もあることを伝えましょう。もし興味を示せば「自分で他に行きたいところを見つけておいでよ」と任せればいいと思います。「ええ?僕が探すの?」と言えば、そこは自分のことだから探してみよう。見学とか、お母さんも協力するよと言えばいいと思います。どんなチームが通える範囲にあるのか、インターネットで一緒に調べてもいいでしょう。■子どもが自分で選ぶことが重要しかし、あくまでも息子さんが自発的に行うこと。そこが非常に重要です。なぜそうしなければならないか。それは、移籍先のチームで不具合が起きたとき、子どもが親のせいにしてしまうからです。例えば、レギュラーになれない、試合の出場機会が少ない、いじめられた、友達ができない、指導方法が好きではない......。いろいろなことが予想されます。そういったことが起きたとき「お母さんがチームを替えろって言うから」と言わないとも限りません。親のほうもそう言われてしまうと、対応が難しくなります。大きな話になってしまいますが、日本の子どもたちは、先生や親の言うことを聞かなくては怒られるし、言われた通りのことをすれば褒められます。欧米の大人よりも、子どもたちにさまざまなことを選ばせていません。しかしながら、この「選ぶ」という行動は、人に大きな力をもたらすことが科学的に証明されています。コロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授による『選択の科学』(シーナ・アイエンガー著)で、解き明かされているのでぜひ読んでみてください。本の表紙には「選ぶことこそ力につながる」と書かれています。本書によると、例えば満ち足りた環境にいるはずの動物園の動物は、野生の動物たちよりはるかに平均寿命が短いのは、餌や行動など自分で選択することができないからです。企業の社長や幹部といった重い責任を伴う人たちの平均寿命は、生涯を従業員として終えた人たちよりも長い。ハードな毎日を送っているはずなのに長生きなのは、ある程度指示通りに動く従業員と違って裁量権や選択権があるからだそうです。■どんなことも自由に選ぶ権利を与えることが重要(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)また、生後4か月の乳児たちに、ひもを引っ張ると音楽が聴こえることを教えたら、とても喜び落ち着いた。ところが、「音楽のひも」を奪った状態で、ランダムな間隔で音楽が聴こえるように設定すると、乳児たちは悲しげな顔をし腹を立てています。「子どもたちは、ただ音楽を聴きたかったわけではなかった。音楽を聴くかどうかを、自ら選ぶ力を渇望したのだ」と教授は書いています。「選択は生物の本能だからだ」と。息子さんも、自ら選ぶ力を渇望しているはずです。「選択すること」で、自分で自分の環境を変えられます。チームに残ってもいい、移籍してもいい。親は子どもに、どんなことも自由に選ぶ権利を与えることは重要です。自分の力で変えていくことこそ、子どもに自信をもたらします。お母さんの感覚ではなく、息子さんの気持ちや感性を尊重してください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年05月26日「現時点で圭さんが日本へ帰国する予定はありません」本誌にそう語ったのは、小室圭さんの代理人・上芝直史弁護士。5月23日、フォーダム大学のロースクールを卒業した小室さんだが、そのままアメリカにとどまって7月下旬に控えるニューヨーク州の司法試験に備えるようだ。また上芝氏は「会見の予定もありません」と明言。4月に発表した金銭トラブルの文書以上の説明をする機会は、今のところはないという――。静岡福祉大学名誉教授で皇室に詳しい歴史学者の小田部雄次さんは「国民からの信頼を失ってしまったことが大きな問題」と語る。「説明文書などで小室さんは自らの正当性を示そうとしてきましたが、国民が求めていたのは人としての誠実さや信頼でした。眞子さまも国民からの不安の声を聞き入れることなく、そういった状態でお二人が自分たちの結婚の実現に突き進んでいったことで、さらに不信感が強まってしまったと思います」コロナ禍でご公務が激減しているとはいえ、眞子さまと小室さんの動向ばかりが注目を集めてしまっている令和の皇室。「私たちの知っていた“昔ながらの皇室”は、もう終わってしまったのかもしれません」そう語るのは、上皇陛下と学習院の幼稚園時代からのご学友である明石元紹さん(87)。高等科の馬術部ではともに汗を流すなど、長年にわたる交流を続けてきた。「私たちにとって皇室の方々は、生まれたときから一般の国民とはまったく違う存在でした。どんなときも『私』より『公』を優先する、特別な存在です。私が生まれたのは、日本という国が天皇を中心に回っていた時代です。終戦時には疎開先の奥日光で、当時皇太子だった上皇陛下はGHQの占領下でどうなってしまうのか……、という状況も間近に見てきました。戦後、皇室の置かれた状況は大きく変わりましたが、無私の精神で国民の幸せを願う存在であるという根幹は変わっていなかったはずです。そういった精神を持った皇室が日本国と日本国民の象徴としてずっとあり続けるのだと思っていました」■皇室が「特別な存在」ではなくなっただが、皇室のあり方は戦後、少しずつ変わってきた。上皇陛下と美智子さまのご成婚は“テニスコートの恋”といわれ、新たな時代の到来を印象づけた。これまでの皇室の家庭とは違い、自ら台所にも立ち、子育てをされる美智子さまは、国民からたいへんな人気を得た。平成に入ってから、地震や台風の被災地へのお見舞いで避難所を訪問された際には、上皇ご夫妻は膝をついて被災者と目線を合わせてお話しされた。国民に寄り添う姿勢は令和の両陛下にも引き継がれており、NHKの世論調査(’19年9月)では、皇室に「親しみを感じている」との回答が71%に達している。「平成の皇室には、国民と同じような私生活を送ることで、国民の生活を理解しようという考え方があったのだと思います。皇室と国民の距離は近づき、国民は皇室に親しみを感じ、支持するようになりました。ただ、振り返れば、はたしてそれでよかったのだろうかと考えたりもします。今の秋篠宮家と眞子さまの状況をみるに、一般の国民と同じように『公』より『私』を優先されていると感じます。これでは一般の国民と変わりません。もはや皇室は、特別な存在ではなくなったということです。コロナ禍で今まさに国民が苦しんでいるときであるがゆえに、『私』の優先が際立っていると思います。『公』を優先させる生き方というものが、皇室の中で継承されなかったのであれば、それは残念なことです。せめて、戦後の長きにわたって皇室がなぜ国民から支持され続けたのか、長い歴史を振り返って考えられる人物が皇室をお支えしていれば違っていたのかもしれません。一般の国民と同じように私的に何でもできるというのであれば、皇族の生活を税金で支えるのはおかしいのではという考えを持つようになる人もいるでしょう。国民のために働いていただくからこそ、皇室は特別な存在となり国民の尊敬や支持が得られるのではないでしょうか」(明石さん)■日本社会がもはや皇室を必要としていない?「私」を優先するという価値観は、眞子さまだけにみられるものではない。佳子さまは’19年3月の大学卒業に際しての文書で、宮内記者会からの「(結婚の)お相手はいらっしゃいますか」との質問に対して、《相手がいるかについてですが、このような事柄に関する質問は、今後も含めお答えするつもりはございません》と回答拒否。恋愛や結婚という「私」の領域は絶対に侵されたくないという強い意志を感じさせた。また、佳子さまはこのとき、眞子さまの結婚について《姉の一個人としての希望がかなう形になってほしい》と述べられた。秋篠宮さまも結局、佳子さまの発言と同様に眞子さまの意思を尊重され、小室さんの金銭トラブル解決を待つことなく結婚を許した。もはや皇族であろうとも「私」を抑えつけるわけにはいかないという現実が浮き彫りになったのだ。一方で明石さんは、皇室の変化の背景には、社会の変質もあるのではないかと語る。「『私』を捨てて『公』に尽くすという皇室が、いまの日本社会のなかであまりに異質になってしまったのでしょう。もう、特別な存在としての皇室は必要とされない、もしかするとあってはならない存在になっているのかもしれません」私たち国民は、皇族方ばかりに自己犠牲を強いてきたのかもしれない。明石さんが「終わってしまった」と語るように、私たちも、無私の精神で敬愛を集めてきた皇室の“終焉”をいずれは受け入れるしかないのだろうか――。
2021年05月26日クラスメイトに誘われてチームに入ったけど、その子から「ストーカーみたい」と言われたり、他の子とコソコソ話すところを見せつけてくるなどイジメのようなことが起きている。どうやら、コーチがいない場所でそういう事をするらしい。サッカーは好きだけどつらい状況で頑張っているストレスか、家ではほかの姉妹に当たり散らす。でも、親が心配するのも嫌なようで。どうしたらいい?というご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、15年以上の取材で得た知見をもとに3つのアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<真面目過ぎてサッカーが苦行になっている息子にどう寄り添えばいいか問題<サッカーママからのご相談>小4の娘が女子サッカーに入って2か月たちます。練習は週2回。こないだ初めての練習試合がありました。私も初めての観戦でしたが、娘はとても緊張していましたが、終日頑張っていたと思います。ただ、表情が固く全く楽しそうではないなと感じました。その理由でご相談です。今、イジメの始まりのような事になっています。チームに誘ってくれたお友達は小学校のクラスメイトでした。チームの中では、選抜メンバーに選ばれ、お父さんは別のサッカーチームの指導者と聞いています。実力もあり気も強い子で、同じ小学校からそのチームに通っているのはその子と娘だけです。なので、その子にくっついて活動していたり、バスの移動で隣に座ったりしていたら、疎まれてしまったようで。「ストーカーみたいだからやめて」と言われて、本人はとても傷付いています。他の子とコソコソ話すところをワザと本人に見せるなど悪質な行為も何度もされたとも。また練習試合の中で、「もっと声出して」と通りすがりにその子達から言われたりもしたと言っていました。どうやら、コーチがいないところでそういった行為をするようです。全員からいじめられているわけではないようですが......。始めたばかりで、知らない子達の中に混じって緊張と戦いながら活動している彼女にとっては酷な状況かと思います。まだユニフォームも届いていないので、辞めるなら今かとも思いましたが、本人はサッカーが好きだから辞めたくないと言っています。本人は試合中に頑張って声を出してその子達に言われないようにしたり、コーチの側にいれば嫌なことをされないから、コーチの近くにいるようにしていると言っています。ですが、家で姉妹に当たり散らし泣かせたりするので、つらい状況で頑張っている事は分かります。「あなたは何も悪くないからね、辞める事もできるし、お母さんがコーチに訳を話すこともできるのよ」と伝えましたが、私が心配しすぎるのは嫌なようです。こんな状況の時、どうすればいいのか悩んでいます。アドバイスをお願いします。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただきありがとうございます。お母さんご自身もどんなにおつらいでしょう。いじめに遭い、過酷な状況にある娘さんのつらさに寄り添っている姿が目に浮かぶようです。結論から先に申し上げると、しばらくは様子をみましょう。そしてその間、お母さんは娘さんの様子をパチリと目を見開いて詳細に観察するのはやめましょう。視野を広げてと言いますが、そのために時にはボンヤリとみることが必要です。鷹揚にして見ていると、それまで見えなかったものが見えてくることもあります。■様子を見た方がいい理由その1)娘さんはすでに解決策を見つけ行動しているなぜ様子を見たほうがいいのか、三つの理由を挙げてみます。例えば、「本人は試合中に頑張って声を出してその子達に言われないようにしたり、コーチの側にいれば嫌なことをされないから、コーチの近くにいるようにしていると言っています」と書かれています。親の心情としては切ないですよね。私も女子サッカーをしている娘がいるのでわかります。「うちの子は何も悪くないのに。なぜうちの子がこんなに気を使わなきゃいけないの!?」とモヤモヤします。しかしながら、このことを別の角度から考えると、娘さんがそのチームに居続けるためにできることを自分で見つけ、行動に移していることを表しています。つまり、彼女が自ら解決策を講じているということです。コーチのそばにいれば、いじめられないことに気づくなんて、すごいことです。この話を聞いたとき、お母さんは娘さんをほめたでしょうか?もし、まだだったら、ぜひほめてあげてください。せっかく本人はサバイブするために工夫しているのです。それなのに、心配だからと言って辞めさせてしまっては、「あなたには無理」と否定してしまうことになりかねない。彼女の自己肯定感を傷つけてしまいます。■様子を見た方がいい理由その2)家で当たり散らすのは家庭が安心できる場だから様子を見ることにしていい理由のふたつめ。「家で姉妹に当たり散らし泣かしたりする」とあります。これは、サッカーチームで嫌な思いをしているストレスを、きちんと吐き出している証拠です。当たり散らかされたほかの姉妹にとっては迷惑な話かもしれませんが、そんなふうに感情をコントロールできない自分の負の部分「決していい子ではない姿」を親の前でさらけ出せています。これは、娘さんにとって、お母さんたち家族の存在が「安心安全な場所」であることを示しています。実は大概の子どもは親に対し「心配かけちゃいけない」と気を遣うものです。そこには「親にとっていい子でいたい」という自己承認欲求が隠れていることもあります。娘さんは要求しなくても承認されている実感があるのかもしれません。これはとてもいいことです。ただし、お母さんに心配されるのを嫌がっているような記述があるので、きっとそういった欲求もどこかにあるはずです。したがって、「私はもう大丈夫だから」と言い始めたときは逆にパチリと目を開けて様子をうかがってください。本当にもう解決したかもしれないのですが、頑張りすぎている可能性もあります。「すごいね。自分で工夫してるんだね。でも、無理しないでね。頑張りすぎるのはよくないよ。疲れたらいつでも言ってきてね」そんなふうに伝えてみてください。その点では、お母さんが「あなたは何も悪くない。辞める事もできる」と伝えたのは良かったと思います。ただし、最初から「お母さんが伝えてあげるから」とは言わず、「コーチに話してみたらどうかな?」と促してはどうでしょう。その気がありそうなら、そこで「ひとりで不安だったら、お母さんもついていくから教えてね」と伝えておけばいいのです。■様子を見た方がいい理由その3)親にちゃんと報告できている三つめは、お母さんに経過報告ができているからです。今のところ娘さんはお母さんにサッカーチームで起きたことを、自分なりに報告しているようです。ご相談いただいた文面だけでは100%理解はできませんが、お母さんの相談文には娘さんが家でサッカーの話をよくしている様子が書かれています。逆に、尋ねても、「別に」とか「もうその話はいいから」「もう大丈夫だから」などとサッカーの話をしなくなったら、別の方法を考えたほうがいいかもしれません。例えば、娘さんには言わずに、コーチの方に様子を尋ねてみるとか、何か思い当たることがないかなど情報を共有したほうがいいでしょう。コーチやチームも「子どものことで気になることがあったらなんでも話してください」と言ってくれるチームやコーチだと安心ですね。娘さん本人は「サッカーが好きだから辞めたくない」と話しています。まずは、その意思を尊重しましょう。様子を眺めつつ、練習や試合の後に「サッカー、楽しい?」と尋ねてあげてください。楽しいと答えれば、良かったね、いいね、嫌なこともあるチームの中でサッカーを楽しめるあなたは素敵ね、偉いなあと褒めてあげてください。なぜなのかしらね?などと尋ねて、娘さんとたくさん話をする習慣をつけましょう。■それでも状況が変わらない時は......(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)しかしながら、上述した3つのことを実践しても現況が少しでも悪いほうに変わっていくようであれば、娘さんに「他のチームもあるよ」と別の選択肢を用意してあげるのもひとつの方法です。コーチとの情報共有をどうするかも含めて、お母さんの中で検討、準備されてもいいかもしれません。どうするにせよ、ピンチはチャンス。娘さんにとって必ずや成長の糧になることでしょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年05月12日10日にテニスの錦織圭選手(31)がイタリアでの試合後に、「死人が出てまでも行われることではない」と語るなど、スポーツ選手からも開催の是非を巡って議論が巻き起こっている東京オリンピック。そんななか、最大の当事者の一人である丸川珠代五輪相(50)の発言が物議を醸している。各メディアによると、11日、閣議後の定例会見で五輪開催の意義を問われ、「コロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す大きな意義がある」と語った丸川大臣。さらに、丸川大臣はこう続けたという。「国籍、人種を問わず、同じフィールドの上で、同じルールで競技を行い、特別な努力をしたそれぞれのアスリートが真剣勝負を繰り広げ、その後に努力を称え合う姿は、必ず人々にお互いを許し合い、喜びを分かち合う思いを取り戻してくれる。この東京大会は世界中の人々が新たな光を見出すきっかけになる」精神論に終始した丸川大臣だが、状況は悪化するばかりだ。11日の東京の新型コロナウイルスの新規感染者数は925人と高止まりが続き、この日の大阪府の死亡者数は過去最多となる55人を記録した。開催可否を巡る最前線にいながら丸川大臣が、“無責任”な回答をしたのは今回が初めてではない。4月23日の会見で「五輪と感染対策のどちらが優先事項か」と記者から問われた丸川大臣。すると「感染対策において一番の現場を持っているのは東京都。東京都はまさに五輪の主催者なので、どのような大会を実施すればどのような負荷が医療にかかるのか一番よくご存じ」と、東京都に“丸投げ”するような回答をしていた。この様子を報じた4月24日放送の『報道特集』(TBS系)では、フリーアナウンサーの膳場貴子(46)が「丸川大臣の答えを聞いても『えっ、本当に五輪担当大臣ですか』という印象でした」と呆れた様子を見せていた。五輪担当大臣として、具体的な答弁をせず、精神論を主張した丸川大臣の今回の発言には戦慄する声が相次いだ。《情緒や精神論じゃなくて科学で話そうぜ》《その「失われた絆」とやらは、誰が作り出したモノなのか?コロナ禍における、与党およびそれに追随する党による失政が原因ですね》《戦時中の「欲しがりません勝つまでは」よろしく「出歩きません開催するまでは」的思考なんですかねぇ》《自民党議員の口から 出るのは精神論ばかり 戦時中と同じレベル》
2021年05月12日少年団だけど、低学年の頃はテクニックに恵まれたメンバーばかりで大会も優勝か準優勝。みんなキラキラ楽しくサッカーしていたのに、クラブチームに移籍する子が出始めてチームが崩壊。Aチームの子が退団したらBチームから補充するけど、レベル差があってAチームの子たちが受け入れられず、失敗に罵倒したり仲間同士信頼しあってない。チームに失望して去っていく人も続出......。残された者たちであと2年サッカーを楽しむために、どうすればいい?とのご相談をいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、15年以上の取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<もっと真剣にサッカーして!仲間との温度差に悩む息子をどう支えるか問題<サッカーママからのご相談>はじめまして。9歳の子どもを地元の少年団に通わせています。低学年の頃は、向上心も強く、テクニック共に恵まれたメンバーばかりで、大会は優勝もしくは準優勝と、みんながキラキラと楽しくサッカーをしていたように思います。しかし、中学年になって、Jクラブの育成組織や強豪クラブチームに移籍する者が出てきたころからチームが崩壊しだしました。残された子たちで新たにチーム作りをするはずでしたが、現実は......。上手いAチームの子が抜ければ、Bチームからの補充となるのですが、今までいた子との実力差があるので、Aチームのメンバーが補充メンバーを受け入れられず。仲間を信頼し合わないサッカーとなり、失敗に対して罵声がとんだり、言われた子は萎縮して思うように動かず自信をなくし再びBに落ちる......。そんなチームになってしまいました。誰もが楽しんでサッカーをしていない状況となり、このままこのチームにいたらダメになると、チームを去って行く者が多発し、完全に崩壊してしまいました。こういう状況を作ってしまったコーチへの不信感もありますが、残された者達で残り2年間サッカーを楽しんでいくために、どう親はフォローをしていけばいいのでしょうか?<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただきありがとうございます。いただいた相談文からしか類推できないので、事実の把握が100%合致しているかはわかりません。そのあたりはお許しください。■勝つ=楽しいという価値観だと、負け始めると崩壊することもご相談文を読んで最初に思ったのは、勝利を優先してきたチームにありがちな「歪み」だということです。「低学年の頃は、向上心も強く、テクニック共に恵まれたメンバーばかりで、大会は優勝もしくは準優勝」とあるように、息子さんの学年のチームは早熟な子がたまたま集まっていて、1、2年生の大会では勝てたのでしょう。似たようなケースはよく見受けられます。お母さんが「みんながキラキラと楽しくサッカーをしていた」と書かれているように、結果としてチームは勝利することで子どもをサッカーにつなぎとめていた傾向がありそうだと感じました。もしそうであれば、選手もコーチも「勝つこと=サッカーが楽しい」という価値観なので、負け始めるといとも簡単に「負ける=サッカーが楽しくない」に移行してしまいます。■Aチーム、Bチーム同等のほうが脱落したり辞める子がいなくなる私が少年サッカーを取材する中で、上記のことを理解しているコーチの方々は、自チームが低学年の大会で優勝したり勝ってしまうと危機感を募らせていました。お母さんの息子さんのチームのようなことが起きることを経験上知っているからです。例えば、Aコーチは、中学年まではなるべくチームをA、B同等にして大会に出場させるなど工夫していました。そのほうがチームの底上げになるし、脱落したり、辞める子もいなくなるからです。彼がそのように「4年生までAB同等」にしたのは、その数年前に3年生の途中でチームを去ったB君のことがあったからです。B君は3年生のはじめに入団。少し太っていましたが、頑張り屋さんでした。ただ、多くのチームメイトが1年生からサッカーを始めていたので、止める蹴るの技術の上達が少しみんなより遅れていました。試合には、チームがリードしていれば終わりごろに少し出場させる。それでもB君は満足しているだろうとAコーチは勝手に思っていました。でも、B君は3年生の秋くらいに突然チームをやめてしまいました。「試合にはほとんど出ていないので、ユニフォームがもったいないので使ってください」と母親から返されたAコーチですが「そのときは、まあ仕方ないか、サッカーにはまらなかったんだな」と思ったそうです。■全員出場のクラブで見違えるように成長ところが3年経って、子どもたちが6年生になったある日。他市も含めたカップ戦で、子どもたちが「あれ、B君じゃないの?」と騒ぎ始めました。背が高くなり体も締まって、足も速くなっていました。見違えるようにキビキビと動くB君はセンターバックを務め、危機察知能力が高く、チームのピンチをことごとくカバー。しかも、その腕にはキャプテンマークを巻いていました。あとで聞いた話では、チームをやめたB君はスクールでサッカーを続行。半年後に転校した先で民間クラブへ入団。そのクラブは全員出場させて、とてもいい指導だという評判のクラブでした。Aコーチは打ちのめされ、指導やチームの運営方法を見直しました。■子どもは勝つための駒ではないいかがでしょうか。お母さんはこのチームのやり方しかご存じないかと思います。「上手いAチームの子が抜ければ、Bチームからの補充となる」と書いていらっしゃいますが、子どもは勝つための駒ではありません。このやり方では、「今までいた子との実力差がある」のは当然です。だから、先述のAコーチは中学年まで同じ力でチームを編成したし、そのようなことを理解しているクラブは常にチーム編成を変えるなどして底上げを図っています。全員をうまくしようと努力しているのです。■補充メンバーを受け入れられない状況にしているのは指導者の責任それなのに「Aチームのメンバーが補充メンバーを受け入れらない」状況にしてしまっているのは、やはりコーチの責任でしょう。低学年のわずか1年か2年の間で勝ったり負けたりすることに意味があるかどうかを考えなくてはならないと思います。お母さんはこの状況をおかしいと感じて、ご相談してくださったと思います。何とかしたいという思いはよくわかります。「残された者達で残り2年間サッカーを楽しんでいくために、どう親はフォローをしていけばいいのか?」と問われていますが、ピッチで起きていることは指導者と選手の問題です。酷なようですが、ギスギスした関係が続き、そのことをコーチが問題にしない状況を親御さんが改革するのは無理でしょう。できるとしたら、お母さんがそのような不安を抱えていることを、コーチの方々や他の保護者と腹を割って話すことです。より良いチームにしていきたいことを訴えてはいかがでしょうか。ただ、残念ながら「保護者に意見されて考えを変えました」とおっしゃる少年サッカーの指導者を私は知りません。この世界を取材し始めて15年以上経ちますが、世の中的にもそう多くはない現状があるように感じます。■息子さんをフォローする方法(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)息子さんをフォローする方法があるとすれば、彼にすべてを委ねることです。「他のチームでやりたいなと思ったら、いつでも力になるよ。でも、このチームで楽しくサッカーをしたいと思うんだったら、どうしたらみんなで楽しくできるか考えてみよう」と言って、話し相手になってあげてください。そこで「何のためにサッカーをしているか」を話し合ってみてください。サッカー自体が楽しいから。今の仲間といるのが好きだから。さまざま出てくるでしょう。話しているうちに「今、自分はどうしたいか」が息子さんに見えてくるといいなと思います。決して良い環境とは言えなさそうですが、あくまで「息子が選んで在籍しているチーム」だと考えましょう。ここで悩んだり、どうしようかと考えたり、決断することは、あとで考えると良い経験になるはずです。そう考えて、親御さんは見守り役に徹してください。悩むのも、解決するのも、最後に決めるのも、息子さんなのです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年04月14日ジャニーズ事務所所属のアイドルの中でも、『インテリ枠』の代表格として必ずといっていいほど名前があがる櫻井翔さん。ニュース番組のMCはもちろん、バラエティ番組の司会もこなすなど、知性派として人気を博しています。また、番組中に見せる共演者への気遣いも、櫻井さんに対する視聴者の人気が高い理由の1つ。そんな櫻井さんの気遣いや知性を感じられる一面が、2021年4月8日放送のバラエティ番組『櫻井・有吉 THE夜会』(TBS系)でも見られました。櫻井翔のスマートな連絡先交換方法同日の放送回で、共演者との仲を深める方法に関する相談を受けた櫻井さん。断りにくい雰囲気を作ってしまうため、相手を前にして自分から食事に誘ったり、連絡先の交換を求めたりするのは苦手であると明かします。その上で、実践しているという連絡先の交換方法について櫻井さんは次のように語りました。何かを差し上げる時なんだけど、DVDとかをあげる時に、僕の番号とメールアドレスを書いて「よかったら連絡ください」って。櫻井・有吉THE夜会ーより引用本人を前にして誘いを断るのは、なかなか気を使うもの。だからこそ、櫻井さんは相手が断りやすい方法として、紙に書いて渡しているといいます。実際にこれまで連絡先を渡したことがあるのは、テニスの錦織圭選手やサッカーの本田圭佑選手など男性ばかりだそう。しかし、相手が女性だったとしても「断って変な感じにならない」と櫻井さんは続けます。相手の立場にたって考える櫻井さんに視聴者からは「さすが」の声が寄せられ、中には「真似したい」といったコメントも寄せられました。・なんてスマートな誘い方。相手への配慮も感じるし、トップアイドルだけある。・何かを貰ったなら、お礼のために連絡するだろう。これでお礼をいわない相手だったら、長く付き合えないということだろうし、賢いやり方だと思う。・配慮は感じるだろうけど、人によるよね。苦手な人から連絡先をもらっても、気持ち悪いだけ。コメントにもあるように、紙に書いて渡すというのは、櫻井さんだからこそできる方法ともいえます。しかし、断るのが苦手な人の立場にたって考える櫻井さんの配慮を感じたからこそ、多くの視聴者から称賛の声が寄せられているのでしょう。相手と仲を深めたくとも、一方的なやり方では返って距離を広げてしまいかねません。櫻井さんのように1歩引いて、相手の立場から物事を見ようとする『配慮』こそ、距離を縮める一番の秘訣のように感じます。[文・構成/grape編集部]
2021年04月09日ユニクロのグローバルサステナビリティアンバサダーに緑の『ドラえもん』が就任しました!今後は、“未来”からやってきた存在として、サステナビリティをもっと身近に感じてもらうための活動に取り組みます。『ドラえもん』がサステナビリティを楽しく発信日本だけでなく、世界中から人気を集めている『ドラえもん』。同じく日本で生まれて世界の人々に良い服を届けようとするユニクロは、同じルーツを辿る存在として『ドラえもん』をグローバルサステナビリティアンバサダーに起用しました。ユニクロが“サステナビリティ活動を積極的に進めたい!”という決意を緑色のロゴに込めたのに合わせて、青色でおなじみの『ドラえもん』も緑色に大変身。「服のチカラで、未来を変える。」というユニクロのメッセージを背負い、サステナビリティ活動を親しみやすいように楽しく発信してくれます。アンバサダーが見せるサステナブルな活動そんな緑の『ドラえもん』と一緒に、ユニクロのグローバルブランドアンバサダーである錦織圭選手や平野歩夢選手、ロジャー・フェデラー選手ら6人もサステナビリティ活動をサポート。環境に配慮した素材を採用したウェアを着るなどして持続可能な社会の実現を目指します。また、LifeWearスペシャルアンバサダーを務める女優・綾瀬はるかさんは『“届けよう、服のチカラ”プロジェクト』に参加し、小中高校生に対する次世代教育活動を通してサステナビリティ活動に取り組みます。プロジェクトの一員である綾瀬さんは「地球や社会に良い活動について、私自身も皆さんと一緒に学び、自分にできる小さなことから実践していきたいです」と意気込みを語りました。今後もユニクロアンバサダーらによるさまざまな取り組みに注目が集まります。緑の『ドラえもん』は、ユニクロの店頭やWEBサイトなどあらゆる場所に登場するそう。見かけたらぜひ立ち止まってメッセージを聞いてみてくださいね。©株式会社ファーストリテイリング文/Nana
2021年04月06日今はサッカー部でレギュラーだけど、小学校の時はサブだったので親の方が力をいれてしまい過干渉だったからか、年齢の割に幼い息子。14歳まで家族と一緒の部屋で寝ていた。思春期だけど反抗もなく学校のこともよく話してくれる素直で真面目な子。自分で考えて試行錯誤してほしいけど、受験の年に失敗している時間はないと悩む。心配性で過干渉な母にアドバイスが欲しい、とのご相談をいただきました。思春期を迎えたサッカー少年へどう接するか、今から思案している保護者の方も少なくないですよね。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、15年以上の取材で得た知見をもとにアドバイスを送ります。一つの参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<強豪チームに誘われたものの移籍をためらう息子の背中を押したい問題<サッカーママからのご相談>サカイクの対象年齢は小学生の子の保護者なので、対象年齢外ですみません。過保護かもしれませんが中学生の息子についてご相談させてください。息子は今中2(14歳)です。小学2年生からサッカーを始めて中学でもサッカーを続けています。部活ではレギュラーになり楽しくサッカーをしていますが小学校の時はサブでしたので、何とか息子の活躍する姿を見たくて親の方が力を入れてしまいました。今から考えると過干渉な親だったと思いますし、もっと楽しく自由にしてあげれば良かったと感じています。中学からはサッカーについても宿題や勉強についても一切口出しせず、本人に任せましたが、入学初めての定期テストは壊滅的で、私は夜も眠れないほどショックでした。それ以来、勉強についてはアドバイスしたり一緒に勉強したり、塾にも行っていますがなかなか成績はあがりません。その息子は、14歳の誕生日まで自室を持ちたがらず、寝るのもみんなで一緒で、勉強もダイニングテーブルでしていました。来年は受験なので、自立を願い自室で勉強してほしいと思い、無理やり冬休みに部屋を作りました。嬉しそうな様子に安心しましたが、私が部屋に行くと「来なくていい!」と強く言われてしまいました。少し寂しい気持ちもありましたが、まぁそう来るだろうなと予想してたので、その場を去り食事の用意をしてると、しばらくして「さっきは強い言い方してごめん」と言って来たので私も「今度からは勝手に入らないで声をかけるね」と言い、お母さんたちはあなたが勉強しているのか何をしているかは分からないけど、自分の行動には自分で責任をとってねと言いました。ただ、3年生になるまでは勉強については時々確認するよと言ったら、素直に分かったと言いました。思春期ですが、激しい反抗も今はありません。学校の事もよく話してくれるし、基本的に真面目で優しい性格です。今までは何もかも視野に入り把握出来てたことが出来なくなるのは当たり前の事ですが、勉強については心配でなりません。成績は下から数えた方が早いくらいで、勉強している割に結果に出てこないので、やり方を見直して計画した通りにやってほしいのですが、それをこれからどのように言っていけばいいのか悩んでいます。あまり言いすぎてはいけないし、でもキチンとやっているのか確認したいのです。出来る事なら、自分で考えて試行錯誤して勉強に取り組んでもらいたいのですが、もうすぐ3年生になるこの時期に、失敗している時間がないと焦っている私がいます。子どもの力を信じて見守る事が良いことは分かっていますがそこが難しい。サッカーに関しては口出しはしていないのですが、勉強となると人生に関わるという思いも強くて......。心配性で過干渉の親だと自覚しています。もっと強い母親になりたいです。こんな私にアドバス頂けたらありがたいです。サッカーの事ではなく子育ての悩みになってしまいましたが よろしくお願いします。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただきありがとうございます。お母さんが冒頭に「サカイクの対象年齢は小学生の子の保護者なので、対象年齢外ですみません」と書かれているのを見て、私はサカイクが小学生年代の保護者に向けて配信しているメディアであることを思い出しました(笑)。でも、そんなことは気にしないでください。中学生のサッカー少年を持つ親御さんの悩みを知ることは、小学生のお母さんやお父さんにもためになるはずです。サッカーしかやらず、勉強や他の経験をしないことの弊害は小さくありません。逆にお礼を言いたいくらいです。■親が鉄を打てるのは中1まで。あとは本人に任せて見守りましょう結論から言うと、息子さんに任せましょう。「勉強のこともサッカーのことも、君に任せるよ。わからないことがあって相談したい時や、欲しい情報があったり、お母さんがサポートできることがあったら頼ってね」そんなふうに伝えて、あとは黙って見守ってください。時折「調子はどう?」と表情を見てあげれば十分です。なぜなら、学習習慣や段取り力がついていない中学生のお子さんに対して、親御さんが寄り添ったり、勉強方法を教えることがある程度可能なのは中学1年生までだと私は考えています。これと類似したことを、私が取材した中学教師や塾の講師の方がおっしゃっていたからです。いうなれば「鉄は熱いうちに打て。ただし、親が鉄を打てるのは中1まで」。■思春期は感情が揺れたり一気に自我が芽生える時期なぜ中1までか。それは、本格的な反抗期が始まるからです。13~14歳である中学2年生にもなれば、ほとんどの子どもが思春期真っ只中。ホルモンの関係で、感情が揺れたり、一気に自意識が芽生えて他者の目を気にするようにもなります。そう考えると、息子さんにお母さんが深くコミットするのは、申し訳ないのですがもう手遅れです。すでに中学2年生であり、高校受験を迎える3年生はすぐそこです。お母さんのおっしゃる通り、早く何とかしなくてはいけません。■「正論はAだとわかっているけれど、本音はB」という考え方を変えましょうまず、お母さんご自身が、今ある「思考癖」を変えましょう。ご相談文を読むと「正論はAだと私はわかっているけれど、私の本音はBです」というパターンの記述が多く見受けられます。(A)今までは何もかも視野に入り把握出来ていたことが出来なくなるのは当たり前の事ですが、(B)勉強については心配でなりません。(A)あまり言いすぎてはいけないし、(B)でもキチンとやっているのか確認したいのです。(A)出来る事なら、自分で考えて試行錯誤して勉強に取り組んでもらいたいのですが、(B)もうすぐ3年生になるこの時期に、失敗している時間がないと焦っている私がいます。(A)子どもの力を信じて見守る事が良いことは分かっていますが(B)そこが難しい。(A)サッカーに関しては口出しはしていないのですが、(B)勉強となると人生に関わるという思いも強くて......。前述した(A)と(B)をもう少し具体的に言い表すと、こうなります。(A)子どものためにこんなふうにふるまえばいいと私は理解している。(B)でも、実際の私はこうです。これは以前の私も含めて、多くの親御さんが子育てするなかで、通る道かもしれません。こうしたほうがいいとわかっているけどできない。お母さんはきっと、時折(A)の態度を見せたかと思えば、(B)になったりしています。ところが、子どもには、お母さんができない(B)の部分しか見えていません。例えば、「自分の行動には自分で責任をとってねと言いました」とありますが、「ただ、3年生になるまでは勉強については時々確認するよ」と告げています。自分で責任を持てと言いながら、確認するという。監視するのなら、監視側にも責任は生じますよね。子どもの性質によっては「どっちやねん?」と親に突っ込めますが、息子さんは違うようです。■親から離れるのが不安なのかも。その不安をもたらしているのは......「思春期ですが、激しい反抗も今はありません。学校の事もよく話してくれるし、基本的に真面目で優しい性格です」と書かれているように、とても"いい子"のようです。ただし、何のストレスもなく心からそうしているのかはわかりません。例えば、「14歳の誕生日まで自室を持ちたがらず、寝るのもみんなで一緒」との記述があります。14歳であれば、夢精があったり、さまざまな第二次性徴が現れるはずです。それでも「自分の部屋が欲しい」と言わなかったのは、どうしてなのか。もしかしたら、親から離れるのが不安なのかもしれません。そして、その不安をもたらしているのは、お母さんの(A)(B)の相反する態度かもしれない。子どもに対し二つの相反する価値観を提示するのは、心理的な「ダブルバインド(二重拘束)」と言います。AとB両方に引っ張られて、息子さんはとても不安な状態にあるのではないでしょうか?■叱ったりするのではなく、サポートする姿勢を見せること(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)加えて、私はお母さんの、この一言に注目しています。「今から考えると過干渉な親だったと思いますし、もっと楽しく自由にしてあげれば良かったと感じています」そこで、「中学からはサッカーについても宿題や勉強についても一切口出しせず、本人に任せた」ところが、入学初めての定期テストは壊滅的で、お母さんは夜も眠れないほどショックを受けた、とあります。ということは、ずっと過干渉で育ててきているので、自分で考えて段取りをつけて学ぶ方法を身につけたり、自ら考える力を養う機会を奪われてきたのではないでしょうか。こういったピンチのとき、お母さんひとりで「何とかしよう」と思ってはいけません。早々に白旗を掲げ、周囲に助けを求めるべきです。まず、パートナー、つまり息子さんのお父さんがいるのなら、彼にも一緒に考えてもらいましょう。ただし、叱ったり、恫喝してはいけません。こういう場合、お母さんがお父さんに「ちゃんと勉強するようにパパからも言ってよ」と、なぜか"お願い"するケースが多いのですが、お父さんが突然「ちゃんとやれ」みたいな怒り口調で接してしまうと、火に油を注ぐことになりかねません。息子さんからすれば「僕のこと、どれくらい知ってるの?」と不快に感じるかもしれません。日ごろお父さんがあまり子育てにコミットしていないご家庭ほど、気を付けなくてはいけません。ご両親は一緒に「見守っているよ」と話せばそれでOK。中学校の担任の先生や、塾の先生に相談して、一緒に見守ってもらいましょう。一緒にサポートしてくれる仲間を増やすことが重要です。お母さんが変われば、息子さんもいい方向へ必ず向かっていきますよ。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年03月10日小3の息子が県の強豪チームからスカウトを受けた。体験に行ってみたら本人も楽しいと言い、親も「この環境なら成長する」と感じ移籍に乗り気に。だけど、本人が今のチームの仲間と離れたくないと移籍を決断できずにいる。最終的に決めるのは本人だけど、親としてはより良い環境に導くのも自分たちの役目だと思っている。すでに夫は「1日も早く移籍を!」と急いている。どうしたらいい?とのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、15年以上の取材で得た知見をもとに3つのアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<気に入らぬなら辞めて結構!?コーチに無視される息子をどう支えるか問題<サッカーママからのご相談>現在小学3年生の息子の進路について助言をいただきたいです。地域のスポーツ少年団に所属しており、夏頃に県の強豪チームから監督を通してスカウトを頂きました。その時は考えた事もなかったので、はっきり答えないまま数か月たち、再度声をかけて頂きました。体験に行ってみた所、息子も楽しいと言い、特に自分の思うところにパスが通る事が凄いと興奮ぎみでした。親から見てもこの環境でやれば大きく成長するだろうなと感じました。しかし、本人がなかなか決断できずにおります。理由は、今のチームの子達と離れるのが嫌だと言う事でした。両方やる事はできないのか?と何度も聞かれます。私からは、楽しくやりたいならスポ少で続ける、もっと上手くなりたいなら強豪チームだよと伝えて、考えてみてと言っています。夫はチーム移籍を希望しており、1日も早く!と言う感じです。監督に相談したところ、先々を考えたら移籍したほうが良いと言われました。最終的には息子が決断することだと思います。ただ、より良い環境に導くのは親の言葉一つだとも思っており、どのように話し、決断させれば良いか迷っています。私自身も成長のためには移籍するのが良いと感じていますが、仲の良い子たちと一緒の今のままでも悪くはないとも思います。子どもに対して、何か良いアドバイスがあれば教えて頂きたいです。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただきありがとうございます。サッカーが上手くなるには移籍するほうがいいけれど、今の仲間と別れがたい息子の気持ちもわかる......。ひとつの分岐点に立つ息子さんとともに揺れ動くお母さんの葛藤が、メールの文章から伝わってきます。■移籍先のことをよく調べたうえで親の意見を伝えることは悪くない私からは三つアドバイスさせてください。ひとつめ。ご両親ともに移籍に前向きのようです。ただ、「なぜ、息子が移籍した方がいいと思うのか?」という理由を、もう少し二人で話し合ってみてはいかがでしょうか。お母さんは「楽しくやりたいならスポ少で続ける、もっと上手くなりたいなら強豪チームだよ」とおっしゃっているようですが、これを息子さんが額面通りに受け取ってしまうとどうでしょうか。「強豪チームでは楽しいサッカーができないのかな」と不安にならないでしょうか。私から見ても、ご両親がもし「強豪ならサッカーが上手くなる」という点のみをお考えであれば、少し心配です。そのチームのことはよく調べられたでしょうか?試合で、ベンチが大声で選手を怒鳴っていないでしょうか?指導者たちに「楽しくサッカーをする」という視点はあるでしょうか?そういった部分が全くなく、長時間練習で選手は同じメンバーが出ずっぱり、一部のうまい選手だけしか活動させてもらえない、指導してもらえないというような危険性はないでしょうか。もっといえば、移籍しても試合に出続けられそうでしょうか。そこはお子さんだけがジャッジできる部分です。上記のような視点で、お子さんとともにチームを研究。「ここならわが子が充実したサッカーライフが送れそうだ」と考えたのなら、なぜそう思うかをきちんと息子さんに説明しましょう。親御さんの意見を伝えることは決して悪いことではありません。ただ、伝えっぱなしではいけません。息子さん自身がどう感じているのかを聴いてあげてください。できれば順序としては、先に息子さんの意見を聴く。そのうえで、お母さんはこう思う。お父さんはこう思うと話してはどうでしょうか。■9歳で大きな決断を下す息子さんの意思を尊重することふたつめ。まだ9歳でこのような難しい選択をしたことを褒めてあげてください。勧誘のあった強豪クラブのことを調べ、家族で話し合ったあとは、息子さんに決めてもらえばいいと思います。そして、彼の決定が自分たちの意に沿わないものであったとしても、そこで難色を示さない方がいいでしょう。「もう一度考え直してごらん」とか「絶対、移籍した方がいいのに」などと誘導しないこと。あくまで彼の意思を尊重しましょう。「なかなか難しい決断だったね。でも、君が決めたことを、お母さんもお父さんも尊重するよ」と言ってあげてください。そのようにして決めたことは、結果が移籍であろうが、今のチームに残ることになろうが、いずれにしても息子さんは「お母さんにも、お父さんにも認められている自分」を感じることができます。これまで以上に自己肯定感が高まるはずです。これとは逆の親子の例を見たことがあります。息子さんは同じ小学3年生。チームでは上手な部類で、足が速かったその息子のチームを指導していたお父さんコーチの男性は、3年生の秋に息子さんを隣町にある当時JFLの下部組織のジュニアチームに入れようとしました。息子さんは「今のチームでやりたい」と泣いて抵抗したそうです。しかし、お父さんは泣く子を引きずるようにして、セレクション会場に連れて行ったそうです。結果的にセレクションは不合格。そのうえ、セレクションを受けたことが他の選手や保護者に伝わり、チーム内はぎくしゃくし始めました。しかし、無理やり連れて行ったお父さんは「今のチームにいても上には行けない」と言うばかり。お母さんは大変困っていらっしゃいました。ジュニアユースに進む6年生になると、他の選手のほうが伸びてきました。結果的にそのお父さんコーチの息子さんはセレクションがうまくいかず、他のコーチの方の口利きでクラブに入ったと聞きました。■親の一声でわが子を動かすのが良しとされたのは昭和まで(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。このように子どもが何かの岐路に立たされた時、親の態度が一転、二転しない、ブレないことがとても重要です。お母さんはメールに「最終的には息子が決断することだと思います。ただ、より良い環境に導くのは親の言葉一つだ」と述べておられます。さて、本音はどちらでしょう?私にはわかりませんが、子どもは親がいくら繕っても本音を見破るものです。親がツルの一声でわが子を動かすのが良しとされたのは、昭和までの子育てです。進学も就職もスポーツも選択肢が非常に狭く、社会的にも「上の言うこと素直に聞いて実行できる人間」が重宝された時代には、親が強権をふるっても何とかなったかもしれません。ですが、平成ではすでにそのような子育ては通用せず、すでに時代は令和です。息子さんに大きな救いがあるのは、現在所属しているチームの監督さんが、「先々を考えたら移籍したほうが良い」と言ってくれていることです。有望な子が移籍してしあうのを、日本では多くの指導者が止めてしまいます。とても信頼できる方だと思います。その監督さんとも息子さんが話して、最終的に決めてもよいでしょう。今回の分岐点が、息子さんにとって大きな糧になるよう、サポートしてあげてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年02月17日フル出場の子は毎回同じ。高学年で試合経験をほとんど積めていない6年生。どうすれば試合に出れるか本人がコーチに聞いて、アドバイス通り努力しても報われず。最近では「辞めたい」と口にしたことも。春からは、今のチームの指導者が中学生のクラブを創設するけど、息子は構想に入っていない。だから別のクラブの体験に参加したら、指導者からの無視が始まった。もうすぐ卒業だし今更波風立てたくないけど、傷ついた息子をどう支えればいい?とのご相談。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、15年以上の取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<仲間からの暴言があるうえ試合に出られない5年生。移籍したほうがいいのか問題<サッカーママからのご相談>こんにちわ。もうすぐ卒団する6年の男児ですが、最近初めてサッカーを辞めたい、と口にしました。中学年の頃には試合もよくでていて、生き生きと頑張っていましたが、高学年になり出場時間が減り酷いときは2分位になりました。フル出場している子は毎回決まっていて、高学年になり試合経験というものをほとんど経験させてもらえません。練習時には、次の試合ではお前を......とか次、チャンスあるぞ、などと言われ子どもも「次」に期待し毎日トレーニングに明け暮れていましたが、結局「次」はありませんでした。そして今、息子は指導者に無視されています。以前、息子はどうすれば試合に出れるのか指導者に聞いたそうです。その時はボールを持っていないときの動き等のアドバイスをもらい、意識し取り組んでいました。しかし、出場時間は短くなるばかりか出れないという現実。そして、指導者が中学でクラブチームを設立するそうで今のスタメン組をそのまま引き寄せ指導したい考えだと知って、構想に入っていないであろう息子は最近、別のクラブチームの体験練習に参加したのですが、その事が気に入らなかったようで、あからさまな無視が始まりました。公式戦をあと一つ残している今、親としては荒波を立てたくない一方、子どもが不憫でなりません。息子にはあなたは何も悪いことはしてないのだから、堂々としていていいんだよ、と言っていますが、息子はそういった態度を指導者にとられたショックが大きく、サッカー自体に拒絶反応を示し始めています。以前から「自分の指導が気に入らないなら辞めて結構」というスタンスで親の話など全てクレーム扱いで、何を言っても改善される兆しはありません。早く親子で次のステップへ移行したいと思っていますが、本当に息子がサッカーを辞めてしまうのではないかと不安です。とりとめのないご相談になってしまいましたが、自信を失っている息子をどう支えればいいのかアドバイスをいただけませんでしょうか。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただきありがとうございます。なかなか難しい環境に身を置く息子さんを救いたいというお母さんのお気持ちが、相談文から伝わってきました。まず最初にお母さんにお伝えしたいのは、息子さんにイニシアチブ(主導権)をとらせること。それが何よりも重要です。■主体性のある子なので、好きにさせましょうご相談文を読むと、息子さんは自分から「どうしたら試合に出られますか?」とコーチに尋ねるなどしており、決して主体性のない子どもではなさそうです。自分で考えて自分で決める力を持っているように感じます。したがって、いま息子さんが心の底からサッカーをやめたいというのであれば好きにさせましょう。ただ、今のクラブの練習に行きたくない、活動に参加したくないだけなのであれば、「無理にいかなくていいよ」と退団させて、中学になってサッカーをする場所を探せばいいのです。今もう2月になり、次のサッカーキャリアが始まるまではわずか2か月。サッカーをしなくても、他のことをして体を動かしてもいいですね。そうではなく、本当にやめたいというのであれば「じゃあ、中学になって他に何か見つけられるといいね」と言ってあげてください。「何をしてもいいよ。君が好きなように、やりたいようにしていいよ。お母さんはすべて支持するよ」と言ってあげましょう。■まずはわが子の気持ちに寄り添うこと息子さんが自分で動き出すために、お母さんが考えることを三つアドバイスします。ひとつめは、息子さんの気持ちに寄り添うことです。別のクラブチームの体験練習に参加したことは、何も悪いことではありません。現在所属するクラブのコーチが立ち上げるチームに進んだとしても、試合に出るチャンスはない確率が大きい。そう息子さん自身が判断したことは賢明だし、何より彼には選ぶ権利があります。ところが、コーチは「その事が気に入らなかったようで、あからさまな無視」が始まったわけです。最も自分を認めてもらいたい「コーチ」という対象に、無視をされる。このことの辛さをまずお母さんは心から理解しなくてはいけないと思います。どれだけ辛いか、どれだけ苦しいか。そんな思いを中高の部活動で味わった生徒が自死する案件は、近年もなくなりません。私はそういった案件をいくつも取材してきましたが、彼ら自身、息子さん同様最も認めてもらいたい、褒めてほしい相手に無視されたり、不当な扱いを受けたことに絶望し命を絶っています。もちろん息子さんにその危険性があるよなどと、脅したいわけではありません。「あなたは何も悪いことはしてないのだから、堂々としていていい」という言葉が息子さんを追い詰めないでしょうか。■今回のケースは親が介入してよい。子ども一人に戦わせないこと二つめは、可能であればコーチと話をすることをお勧めします。「公式戦をあと一つ残している今、親としては荒波を立てたくない」のであれば、堂々としていろと息子さん一人に戦わせてはいけないと思います。息子さんと話し合って、息子さんが精神的に活動を続けるのがきついのであれば、すでに申し上げたようにクラブは退団する。その説明をお母さんがしてもいいかと思います。お母さんが何かクレームを発したくらいではコーチの方の考えは変わらないでしょうが、子どもを無視する行為は今後やめてほしいと告げたほうが良さそうです。子どもにもおとな同様に人権があるのですから。不当な扱いをされたときに救ってあげるのは、保護者しかいません。無論、コーチ側の言い分はあるかもしれません。が、お母さんの書いたことがすべて真実であれば、他クラブの体験に行ったことで大事な選手を無視したりする指導者に、サッカーコーチを名乗る資格はないと私は考えます。この大人の理不尽を、わが子に背負わせるのはあまりに酷です。■頑張れ、というだけが親の役目ではない。傷ついているわが子の心のケアを!(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめは、息子さんのこころのケアをお母さんなりにしてあげてください。今、彼はとても傷ついています。苦難をはねのける強さも重要ですが、理不尽に立ち向かえと命じるのはわけが違います。弱い自分を乗り越えるとか、ある意味「正当な苦難」を克服する経験は後でいくらでもできるはずです。彼やお母さんの力でどうにもならないことにエネルギーを費やすのは無駄なことです。闘え、頑張れというだけが親の役目ではありません。戦う相手や、その苦難が乗り越える価値のあるものかを一緒に子どもと考える必要があります。最後に、私からお母さんへのエールです。何も悪いことはしてないのだから、堂々としていてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年02月10日1年の頃からボール拾い。練習したくても一部のメニューにしか入れてもらずチームメイトからも「下手だな」と言われてきた。それが苦痛でやめようとしたことも。それでもあるきっかけで気持ちを持ち直し、上達のためにかけもちで練習を頑張って、試合にも出られるようになっていたのに、県大会でメンバー入りできなかった。それを知ったチームの子たちから暴言が始まり、泣いて帰ってきた。5年生後半だけど移籍させるべき?ほかのチームでも同じことがある?というお悩みをいただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、15年以上の取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<努力しないのに根拠のない自信だけはある息子に手を焼いてます問題<サッカーママからのご相談>はじめまして。5年生の息子が市内の強豪クラブチームに通っています。サッカーのレベルはBチームでベンチ頻度が高い子です。大人しくて人見知りが強く、1年生から入部しているのですが似たタイプの子としか仲良くできません。1年の頃からずっとボール拾いで、練習をしたくてもパス回しのメニューしかさせてもらえない事も多々あり、チームメイトからも「下手だな!」などと言われ続けてきました。一時はその環境が苦痛となり、辞めるように話した時期もありましたが、ちょうどそのタイミングで小学校の同級生が入部してきたことで、現在は少しずつまわりとの距離感が縮まりつつありました。今では「下手だと言ってきたみんなより上手くなりたい!」と地元のチームの練習にも行って、掛け持ちで頑張っています。いまだに、クラブチームの練習になると周りからの反応に萎縮してなかなか本来の動きができずにいますが、地元のチームでは、周りの保護者から「この子が1番うまいね」と言われるくらい動きもよくなりました。練習試合でも、Bチームですが試合に長時間出れるようになってきて、本人も自信がついてきたようにも思えました。ですが、最近あった県大会の試合にレギュラー入りできず、ユニフォームさえも与えられませんでした。県大会に選ばれなかったことを知ったクラブチームの子たちから、またもや言葉の暴力が始まったと泣いて帰ってきました。今までそれを乗り越え頑張ってきてましたが、この環境ではやはり能力が発揮できないのでは?このままではサッカーが大嫌いになってしまうのではないか?と感じています。5年生も後半になりましたが、クラブチームの移籍を検討した方が良いでしょうか?高学年だとどのチームでも似た現象があるのではないかと心配してしまい、悩んでおります。何かいいアドバイスを頂けたら大変嬉しく思います。 よろしくお願い致します。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただきありがとうございます。ご相談文を読むと、お母さんが息子さんをどれだけ大切に思っているのかがよくわかります。また、息子さんがどのような環境でサッカーに取り組んでいたかなど、置かれた境遇は私なりに理解しました。5年生の3学期という今の時期に、クラブチームの移籍を検討した方が良いのか。まずは、この質問に答えます。■移籍するかどうかは当事者が決断すること結論から申し上げると、移籍を検討したほうがいいか、しないほうがいいのかは、私には意見できません。なぜなら、それは当事者の息子さんが決めることだからです。他人である私はもちろんのこと、お母さんが検討することではないからです。お母さんの相談文を読むと、息子さん本人が「こうしたい」「こう思っている」などと、彼が意思表明をした話が出てこないのが気になります。それをお母さんがメールに書かなかっただけで、彼が「移籍したい」「チームを移りたい」と自分の意見を述べているのであれば、一緒に考えてあげればいいと思います。■気をつけなければならないのは「移籍までのプロセス」ただし、ひとつ気をつけなければならないのは、移籍までのプロセスです。例えば、彼が移籍したいと希望する理由は、以下のものでしょうか?「試合に出たいから、出場機会を求めたい」「いじめがひどくて、もう我慢できない。いじめてくる友達にはいつも抗議しているし、コーチにも自分から話して相談したけれど、収まらない。違う環境でサッカーをしたい」「自分で移籍先も考えている。一緒に見学に行ってほしい」以上のように、自分自身で状況を打破するためにいろいろ努力していたけれど、変わらない。だから移籍したい。そんなふうに息子さんがしっかり意思を示しているのであれば、彼が率先垂範してチームを探し出してきた情報に対して、一緒に考えて意見を述べるなどして手伝ってあげればいいと思います。一方で、もし、息子さんがそういった意思を表明していないのであれば、特にお母さんが動く必要はないでしょう。あるとすれば、「あんまり辛いなら、チームを変わっていいよ。自分で探しておいで」と、環境を変える方法もあることを伝えればいいと思います。小学5年生とはいえ、最上級生の6年生はすぐそこです。コロナ禍でオンライン授業も受けているでしょう。ネットでも何でも使えるはずです。ここは、自分で道を切り拓く力をつけてほしいと考えます。したがって、お母さんは息子さんの好きにさせておけばいいのです。■今のままではお子さんがこの先嫌な経験をしたとき「お母さんのせいだ」となる可能性も私は、息子さんが移籍したほうがいいか云々よりも、お母さんが綴っている息子さんの身に起きるかもしれないことへの不安の強さが気になります。この環境ではやはり能力が発揮できないのでは?サッカーがこのままでは大嫌いになってしまうのではないか?高学年だとどのチームでも似た現象があるのではないかと心配してしまい、悩んでおります。ご自分で読んでみていかがでしょうか。「この環境」と書かれていますが、さまざまなことを他罰的にとらえてしまってはいませんか。例えば「息子がサッカーを上手くならないのはチームのせい」「楽しめないのは仲間のせい」と、こころの中で思ってはいないでしょうか。どれも、完全に息子さんのサッカーが完全に「自分事(じぶんごと)」になっていませんか。親が子どものネガティブなことに同化してしまうと、ついつい「転ばぬ先の杖」を用意してしまいます。転んでもいないのに杖を渡すので、足腰は鍛えられません。そして、親の選んだ方向にばかり引きずられると、そこで何か嫌なことが起きたときに「お母さんが移籍させたからだ」と、子どももまた"他罰的"になってしまいます。■良かれと思ってやったのちに「自分で考えさせれば良かった」と後悔する親たちサッカーの育成に関する取材を始めて15年以上経ちます。出会った何百組もの親子さんで、親御さんが先に先に杖を用意したり、道をこしらえてしまった人たちは、後でみなさん後悔していらっしゃいました。「自分で考えさせれば良かった」「選ばせればよかった」そうおっしゃるのです。その時は「良かれと思って」親が動いたことはほとんどの場合、子どものためになっていないことのほうが多いのです。子どもが何かに取り組む際のモチベーションに、「外発的動機付け」「内発的動機付け」があります。外発的動機付けは、親に言われたり、コーチに「こうやれ」と命令されること。内発的動機付けは、自分から「こうしよう」「こうしたい」と考えたものです。いわずもがなですが、内発的な動機付けのほうが、子どもは大きく成長します。息子さんのサッカーは「他人事」だと心得ましょう。彼がサッカーを大好きになれる環境はどんなものか。そんな提案をして、本人に選ばせることが重要です。そして、少しずつでいいので自分でさまざまなことを選べる人間にする。それがお母さんの役目だと思います。■子どもの不安で親が一緒に溺れないように(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)最後になりますが、前回の連載はきっと参考になると思います。『努力しないのに根拠のない自信だけはある息子に手を焼いてます問題』わが子の不安の海で、親が一緒に溺れないようにしてください。不安と戦う息子さんに「どうしたら楽しくサッカーができるか考えよう」と誘ってあげてください。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年01月27日エースと呼ばれ、ほかのチームからも恐れられていたのに、強豪選手が集まるスクール、チームに入ったら下位クラスに。努力して上位クラスに上がっては落とされ......を繰り返すうちに、意欲より落とされる不安が大きくなっている。サッカーに前向きに取り組んでいるようにも見えないのに、「試合のメンバー入りしたい。できると思う」と自己評価が高い。現実を見つめられないわが子をどうサポートすればいいかわからない、とご相談いただきました。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<飛び級で試合に出る息子が良く思われないのがつらいです問題<サッカーママからのご相談>悔しいのか、勝ち上がりたいのか、全くわからない息子にどう接していいのかわかりません。現在8歳の息子は幼稚園からサッカーを始め、スクール、チームではエースと言われ、相手チームからも恐れられていました。人よりも早くサッカーを始めたってだけだと思いますが、本人は自信も持ち、前向きに練習するなど楽しんで取り組んでいました。近隣の強豪選手があつまるスクールに通い、強豪チームにも入ったのですが、もちろん上には上の選手がいて、メンバー落ち、クラス分けでは下位クラスになりました。そこから半年かけ努力をして上位クラスまで這いあがりましたが、また落とされ......。それを繰り返しているうちに、だんだん本人の中に、なんとしてもメンバー入りしたいという気持ちよりも「また落ちるかも......」という不安のほうが先に来てしまっているようで、サッカーに前向きに取り組んでいるように思えません。しかし、話を聞くと、『なんとしてもメンバー入りしたい!入れると思う』と答えるのです。どこからその自信が生まれるのか、自己採点がとても高いのです。現実をうまく見つめることができてないのかなぁと思っているのですが、本人をどのようにサポートしていけばいいのかわかりません。自己採点が高いが、努力はしていない、でも、メンバーに入れると思っている。こういう感情にどのように対応してあげればいいのでしょうか?<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールありがとうございます。8歳といえば小学2年生か3年生。まだお母さんの膝の上に乗ってきたりと可愛い時期ですね。コロナ禍での子育てはさまざま大変だと想像しますが、二度と戻ってこない日々を抱きしめるように過ごしてほしいものです。息子さんについて、お母さんは「自己採点が高いが、努力はしていない」とあります。努力しないのに根拠のない自信があるということですね。恐らくこの記事をタイトルだけ見た読者の多くが「こういう子、いるなあ」とほほ笑んでしまうことでしょう。■その年代は楽しむのが一番、努力を強いるのはやめましょう私の息子も小学校低学年のころは、ミスをしたり試合に負けると「おれ、まだ本気出してないだけだから」と言い訳がましく訴えていました。それを私たち親は「はい、はい。いつか本気のプレー、見せてね」と笑って見ていました。特段自主練などしないし、練習でもおしゃべりばかりしてコーチに叱られていましたが、私たちはまったく気になりませんでした。なぜなら彼は子どもだからです。そもそも、それが子どもらしい姿なのです。お母さん、少年サッカーは「大人のサッカー」とは違います。大人のように11人制だったり、ヘディングをガンガンやらせないのと同じように、サッカーをする目的が異なります。とにかく楽しく、ご機嫌でサッカーライフを送ることが重要です。特に低学年はサッカーの入り口なので、サッカーを大好きになることを一番の目的にしてほしい。それは日本サッカー協会の四種(ジュニアカテゴリー)の育成目標に掲げられていることです。お子さんが常に上位クラスにいることや、たゆまぬ努力を続けることを強いるのはやめたほうがいいでしょう。取り組みの程度云々を、第三者(お母さん)が「努力していない」とジャッジしてしまうと、子どもにとってスポーツが苦しいものになります。親から、もっと努力しろ、もっと上を目指せと命じられたことがもとで、こころが折れ、燃え尽きてしまった子どもを何人も見てきました。■「こんなに心配しているのに」という思考になっていませんか文章でのご相談なので、すべて把握したうえではないのですが、変わるべきは息子さんではなくお母さんのほうだと考えます。半年かけて努力をして上位クラスまで這いあがったけれど、また落とされた。いつ落とされるかわからない不安のほうが先に来てしまっている、とありますが、その不安を息子さん以上に強く感じているのはお母さんのほうかもしれません。親が自分のことで不安を抱えていると、子どもは「心配ばかりされるダメな僕」という心理状態になり自己肯定感がどんどん下がります。お母さんたちは「親が子どもを心配するのは当たり前」「心配していることで愛情が伝わる」とおっしゃいますが、それは親御さん自身の感情や思考を「軸」にした考え方です。母子の関係を見直してみると、「私がこんなに心配しているのに」「私がこんなに熱心にサッカーのことをサポートしているのに」、頑張らないのは「ダメな息子」という思考になっていないでしょうか。■ポジティブな声かけに変えましょうそこで、私から三つアドバイスをさせてください。ひとつめ。息子さんへの声かけを、ポジティブなものに変えましょう。ご相談文に、「話を聞くと、『なんとしてもメンバー入りしたい!入れると思う』と答える」とあります。なんとしてもメンバーに入りたいという、努力を誓うような言葉が出てくるのですから、お母さんは「本気でサッカーやってる?」とか「本当にやる気あるの?」などと尋ねていないでしょうか?このように取り組みの姿勢を問う質問は、もっともっと大きくなって中学生や高校生になって、自分の意思でサッカーをやると決めたのに練習をさぼったとか、練習はないと嘘をついたといったときに、コーチが詰問する言葉です。ネガティブな声掛けではなく「今日もサッカー楽しかった?」とか「サッカー大好きなんだね。そういう姿見ているとお母さんも嬉しいよ」といった声掛けをしてください。■まだ8歳、きちんと「子どもとして」扱うことふたつめ。息子さんはたった8歳です。大人ではないのですから、「子どもとして」扱いましょう。ご相談文を読む限り、前向きに取り組んでいない、努力していない、現実をうまく見つめることができていないと、相手が大人であるかのような言葉が並びます。すでに触れましたが、大人のサッカーとは違います。その時々でお母さんは主観的な評価をせず、楽しんでやっているプロセスを眺める姿勢を持ちましょう。■クラス分けする強豪チームは本当に合っている?(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめ。クラス分けする強豪チームがお子さんに合っているのかどうか、そこでサッカーをして楽しめるのかどうか。そこを主題に、今一度息子さんと話し合ってはいかがでしょうか。ご相談文を読む限り、息子さんはサッカーそのものを楽しむのではなく、上位クラスに行くという競争社会のもと、非常に切迫した空気のなかでサッカーをしているように見えます。常にクラス分けの恐怖を感じながらサッカーをしていて、サッカー自体を果たして楽しめているでしょうか。彼が「できる」と言ってお母さんに見せる自信は、実はお母さんに見捨てられないために懸命に虚勢を張っているようにも見えます。子どもは本当にサッカーを好きになって、自分から上手くなりたい!と心底思えば取り組みは自然に変わることでしょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2021年01月13日飛び級している小3の息子。一人しかいない6年生の引退試合直前にケガ。痛みを押して試合に出て、6年生にパスを出そうと頑張ったけどどうしても足を引きずってしまい力が発揮できず。試合後そのこの親が息子に直接「足を引きずるな!」と怒鳴っていて......。どうして欲しいのか聞くと、うちの子からパスをもらってシュートを決めたい。でも足を引きずるぐらいなら試合に出るなと矛盾した回答。飛び級している息子にいい感情を持っていない上級生の親もいるし、保護者のマウンティングなんかにもうんざり。もはや試合辞退したい。どうすれば?とのご相談です。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<他の子が成長しないため上の学年でプレーできない。息子を伸ばしてくれないチームをやめたい問題<サッカーママからのご相談>うちのチームは6年生が一人しかいません。息子は6年生最後の試合の一週間前にケガをしてしまい、本当はケガが治るまで休ませるべきなのですが、3年生なのに抜擢してもらっているので頑張りたいという気持ちもあり、その試合に出ました。引退試合となる6年生の為に良いラストパスを出したい、という気持ちで頑張る息子でしたが、ケガが完治しておらずどうしても時おり足を引きずってしまったりパフォーマンスが発揮できず、結局1戦目は試合には勝てませんでした。試合後、その6年生の保護者から、「コートの中で足引きずらないで」「息子はこの試合にかけてるの」と言われました。息子にも直接「足を引きずるな!」と怒鳴り、それ以外にも「疲れてくると、足引きずるよね甘ったれてる」とか「痛いふりして逃げてる」などとも言われました。その方にどうしたいのかと聞くと、うちの子からパスをもらってシュートを決めたいと。でも足を引きずるな、足を引きずるぐらいなら試合に出てほしくない、とかなり矛盾した回答をされました。私としては、痛みがあるし足を引きずらないという約束は難しいと伝えたのですが、わが子の有終の美を飾る試合で周囲が完璧におぜん立てしないと納得できないようで......。その保護者は「自分の息子が怪我したときは...」と比べてきます。確かに優秀ですが、ケガを押して試合に出続けることが良いこととは思いませんし、美談ではないと思います。また、こういった保護者のマウンティングのようなものにもうんざりです。6年生は引退しますが、4、5年生の保護者にも似たような親御さんがおり、3年生で試合に出ているうちの子に対していい気がしない方もいるようです。私としては試合に出場して嫌な思いをするくらいなら試合も辞退したいくらいです。出場は監督が決めることなので辞退したいと監督にいうべきか迷っています。こんなときどうしたら良いでしょうか。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールありがとうございます。まだ小学3年生なのに6年生の試合に出るなんて、才能のあるお子さんなのでしょう。お母さんとしては誇らしくもあるけれど、3学年飛び級で試合に出る息子さんへのやっかみも感じているようです。私から3つアドバイスさせてください。■ケガの時は監督ではなく医療従事者の判断に従ってひとつめ。「ケガをしたときは迷わず休ませましょう」監督やコーチではなく、ドクターや整骨院の先生など、かかった医療関係者の意見に従ってください。「3年生なのに抜擢してもらっているので頑張りたいという気持ちもあり、その試合に出ました」とありますが、このニュアンスだと抜擢されたため周囲にケガを隠して試合に出たように感じました。一方で、最後に「出場は監督が決めることなので」と書かれているので、監督さんが無理やり出場させたのかもしれません。ただ、監督さんが決めたことにすべて従わなくてはいけないわけではありません。近年、暴力や暴言を用いる指導が問題視されていますが、これらがなかなかなくならないのは保護者が「監督が選択した指導だから」と容認してしまうことも大きな要因のひとつです。■監督の判断がいつも正しい訳ではないよって、「監督さんと対等に付き合いましょう」をふたつめのアドバイスにします。監督さんのすべての言動を疑えと言っているわけではなく、監督さんに対しご自分が感じたことを伝えられる対等な関係性を築きましょう。監督さんがいつも正しい訳ではありません。スポーツの指導現場にはさまざまな課題があることを保護者自身が学び、賢く対応してください。子どもがケガや体調不良で試合に出られないときは、「ケガをしているので今日は休みます」と子ども自身が監督に話すよう促してください。そして、もし万が一、何でも言い合える対等な関係性を築けない監督さんであれば、クラブ(少年団)の代表の方に相談するなりしたほうがいいと思います。■本来の「飛び級」とは。飛び級は試合に勝つための手段ではない三つめ。ここが一番重要です。「自分の力が及ばないことにイライラするのはやめましょう」相談文のなかで、お母さんは「保護者のマウンティングのようなものにもうんざり」「3年生で試合に出ているうちの子に対していい気がしない方もいる」と書かれています。飛び級の本質を理解しているクラブは、選手を飛び級させるときにさまざまな配慮をしています。飛ばせた学年の選手や親に対しチームの方針を説明します。そして、配慮をするクラブは、試合に勝つために飛び級をさせるわけではありません。例えば、3年生のなかでプレーしていても物足らない子どもを上の学年とやらせることで力をつけるといった目的があります。そこを親御さんたちに理解してもらいます。ところが、息子さんが所属しているクラブは恐らくそういった配慮が足らないようです。試合に勝つために息子さんを上の学年の試合に出しているように見受けられます。だから、ケガをしていて足を引きずっていてもそのまま出場させたのでしょう。チームに問題があるのですから、保護者達が混乱するのは当然です。それに、他の親御さんがマウンティングしてくることをお母さんは止められません。■親が子どものプレーを決めて実行することなど不可能さらにいえば、6年生のお母さんとの会話を垣間見る限り、このクラブの保護者の皆さんは子どもを主体に考えていないようです。その親御さんにどうしたいのかと聞くと「あなたの子からパスをもらってシュートを決めたい」と言われたようですが、親がどうしたいかを決めて、子どもにそれを実行させるのでしょうか。どうしたいかは子どもが決めて判断することです。親御さんはただただ見守っていれば良いと思います。プレーするのは子どもですから、親がどんな声がけをしようが、どんな作戦を授けようが、そこに力は及びません。それについては、このコーナーにも質問が多く寄せられます。試合前にどんな言葉がけをしたら、100%の力が出せるか?子どもがサッカーを上手くなるには親は何をしたらいいか?みなさん必死です。ですが、何度も言いますが、親の力は及びません。私たち親の役目は、以下のことだと私は伝えています。適度な睡眠と早寝早起き朝ごはんを定着させる。学校の勉強ときちんと両立しているか目を光らせる。子どもが楽しく伸び伸びサッカーができる環境を与えているかを常に振り返る。たった三つです。ここさえ整えれば、安心安全な環境で本人がどれだけサッカーを好きになるか。小学生時代はその気持ちを育てることをまずは考えましょう。■小学生のうちから痛みを押して試合に出るのは......(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)もちろん、ほかにもできることもたくさんあります。例えば、飛び級で試合に出る息子さんに、チームのためにプレーすることを話してあげる。何のためにサッカーをするかを一緒に話し合う。そんなふうに心に寄り添ってあげてください。加えて、まずはケガをしていたのに、出場を止めずに出してしまったこと、足を引きずるほどの痛みを味わわせてしまったことを息子さんに謝ってはどうでしょうか。成人すれば、痛みと付き合いながらプレーする時期もあるでしょう。ただ、それは今ではありません。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年12月23日部活かクラブチームか、本人が悩んで決めた進路。学業との両立、努力を続けることを約束して進学したのに、テストは平均点よりずっと下、内申点は「2」。サッカーでもチーム練習以外ではやる気が感じられない。大事なことを伝えようとすると機嫌が悪くなり怒鳴って暴れる。シングルマザーで下の子はまだ6歳なのに、生活が長男中心に回っているのに意欲が感じられず、サポートがばかばかしいと思えてくる......。とのご相談をいただきました。子どもが思春期、反抗期を迎えた時どうすればいいのか、漠然と不安に思っている保護者も多いのでは?今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<怒りっぽくチームで浮いてしまう息子を何とかしたい問題<サッカーママからのご相談>子どもは中学生なのですが相談させてください。サッカー中学年代を部活動で過ごすのかクラブチームで過ごすのか、本人が悩み考え、クラブチームで高校サッカー強豪校を目指すと決めました。学業とサッカーの両立が私との約束、努力を怠らないことがチームの代表との約束です。ですが、蓋を開けてみたらテストの点数は平均よりはるかに下で内申点は『2』。サッカーも、チームの練習の時以外は全く意欲が感じられません。大事なことを伝えようと私が口を開けば、すぐに機嫌が悪くなり怒鳴って暴れます。ゆっくり休む・栄養を取る等の心掛けもゼロ。朝も起きれず、夜練の用意もギリギリまでやらない。とにかく様々な事にやる気が感じられません。私はシングルマザーで、まだ6歳の弟もいます。生活のあらゆる事が長男のサッカーを中心に回っており、家族の協力や我慢の元に成り立っているこの生活。協力や応援していること自体がバカバカしいとさえ思えてくる今日この頃です。思春期・反抗期を迎えた13歳の男の子にどう接したら良いのでしょうか?<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただき、ありがとうございます。シングルマザーで6歳と13歳の兄弟を育てているお母さんに頭が下がります。日々、大変なことがたくさんあるでしょう。■思春期は「四六時中誰かとけんかしたい状態」私のママ友もシングルマザーがたくさんいます。私自身はシングルではないけれど、新聞記者の夫は土日も不在のため子どもが小さいときはシングルのママとその子どもたちとよく遊んでいました。土日は他のご家庭はお父さんがいるからです。そんなこともあって、他に何かの取材でお会いした方を含めると多くのシングルマザーと知り合っています。みなさん時間がないため、子どもがきちんとやっているか気になります。忙しいので「あ、そういえば、テストの点はどうなったのかな?」とか「サッカーは?」と、時々思い出したように子どもに目が向きがちです。「面」ではなく「点」で見ているため、どうしてもマイナス面ばかり抽出してしまいがちです。そして、このことは兄弟であれば第一子に対して顕著です。仕事も育児も大変なので、お兄ちゃん(お姉ちゃん)、ちゃんとやってよ、と依存する感覚が少なからずあるように思います。これは共働きでも同じだと感じます。「しっかりやってほしい。お願いだから」という感覚は、自分の不安を解消したい、安心したいという思いではないでしょうか。それゆえに結果を求め、指示命令が多くなります。よって、最も重要な「気持ちを聴く機会」を逸してしまいます。特にご長男さんは13歳なので中学1~2年生でしょうか。お母さんがおっしゃるように「思春期・反抗期」です。この時期は急速な体格の変化もあってホルモンバランスが崩れます。以前、小児心理医の先生に「女の子であれば一年中生理の状態、男の子は四六時中誰かとけんかしたい状態」と聞き、納得したことがあります。■反抗できるということは、親を信頼している証拠そこで、私から三つアドバイスをします。ひとつめは、お母さん自身が自分に自信を持つこと。上記の話をされた先生は、思春期の子どもに反抗されると悩んで受診する親たちに向かって「よかったねえ。おめでとう」と祝福していました。なぜなら、親に対して自分の感情丸出しで反抗できるということは、親を信頼しているからです。どんな態度を見せても、親は自分を嫌わない、という自信がある。それは息子さんにとって、家庭が安全・安心な場所であるということ。それまでの子育てが悪くはなかった証だと、その先生はおっしゃっていました。つまり、私もよくセミナーで伝えていますが、「くそばばあ!」などとわが子に言われたら、子育ては成功。「ほほう、来たね、来たね、思春期おいでなすったね」と、どんと構えてください。お母さんの子育てが悪かったから荒れているのではないのですから。例えば、夏が過ぎるころ台風が訪れますが、豪雨強風が襲来することで、海水がかき混ぜられサンゴが生きていくのに適切な海中環境になるそうです。それと同じように、息子さんもプンプンすることでストレスを発散しているのです。■やきもきするかもしれないが、無駄に世話を焼かないことふたつめ。上記のように解釈したのち、心得てほしいのは「無駄に世話を焼かない」ということです。前述したように、思春期は人生で初めて自己認知、自己覚醒する時期です。大人から見れば些細なことが気になってきます。そのように、子どものほうが大人に近づき変化をしているのに、親のほうがいつまでも小学生のときと同じ対応をしていれば歪(ひずみ)がうまれるのは当然です。したがって、息子さんにかかわるあれこれを注視しないことが肝要です。内申点「2」も、練習のとき以外で意欲が感じられないことも、朝起きられないことも、練習の用意をギリギリまでやらないことも、見て見ぬふりをしてください。■大人の説教を素直に聞ける時期ではない。親は「言う」より「聴く」を意識して三つめは「伝えなければ(言わなければ)よりも、聴かなければ」を心がけてください。ご相談文に「大事なことを伝えようと私が口を開けば、すぐに機嫌が悪くなり怒鳴って暴れます」とあります。この時期の子どもたちは、大人のお説教を素直に聴ける精神状態ではありません。だって、四六時中誰かとけんかしてやっぞコノヤロー!と構えている(大袈裟ですが)状態なのです。無駄なことはやめたほうがいいでしょう。それに、お母さんのおっしゃる「大事なこと」を、すでに息子さんはわかっています。強豪校に行くのなら生活管理をきちんとしなくてはいけないこと、内申点が2のままではいくらサッカーがうまくても、推薦の範囲内の点数でなかったりすること。受験できる学校の範囲も狭まること。多少のずれや表現の違いはあるかと思いますが、お母さんが「ちゃんとしてほしい」と望んでいることは、息子さんもわかっています。何より、自分自身「ちゃんとしたい」と思っているはずです。でも、何かで心が乱れたり、サッカーや勉強がが上手くいかなかったりすれば、落ち込んだり、やる気をなくしたり、ゲームや友達とのおしゃべりに逃げたりします。前述したように、思春期は自分を客観視する最初の時代です。「ああ、おれって駄目な奴だ」「大してサッカー上手くないじゃん」とか「勉強もダメじゃん」と自分と向き合っています。大人でもダメな自分と向き合うのって怖くないですか?大人になっても向き合えない人、お母さんの周りにもいますよね?息子さんはそこに初めて直面している。よって不安定になるのは無理ありません。■ニコニコからプンプン、突然機嫌が変わる時期に親はどうすればいいか(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)わが家の娘が中学2年生の頃、私たち親は彼女を「いきなりプンプン」と陰で呼んでいました。ニコニコ笑っていたかと思うと、突然機嫌が悪くなるのです。ある日、夫、娘、私と3人で出かけたとき、夫が娘に話しかけても返事をせず、何回目かに振り向いて「うるさいっ!」と怒りました。私たちは(いきなりプンプン、出たね)と目くばせしながら知らん顔して歩いていると、娘は道端で立ち止まりシクシク泣き始めました。「自分でもわかってるの。でも、そうなっちゃうの。そういう自分が大嫌いなの」私は彼女の肩を抱き寄せ「大丈夫だよ。いま思春期だから仕方ないんだよ。ママたちはどんな○○でも大好きだよ」と話しました。息子さんも自分がどうするべきかわかっていいます。だから、ここは大人であるお母さんのほうが豪雨強風を受け止めてあげてください。去る子は追わず、来る子は拒まず。「いつでも話を聴くよ」ということのみ伝えたら、あとは一緒にプンプンしていていい。子どものほうから何か言ってきたときは話を聴きましょう。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年11月19日全国を目指すレベルなので、日々の練習や土日の遠征などいろんな面で過酷だからと親の判断で移籍させたが、退団したことを後悔し、前のチームに戻ったけど1年のブランクは大きく下の学年にも抜かれ試合に出られそうにない。自分が先導して移籍させた選択が良くない方向に行ってしまい、わが子を傷つけた。卒業まで2年半ぐらいあるけどどうすれば......。というお悩みをいただきました。親の判断で移籍させるかどうか、悩んだことがある方もいるのでは。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<スパルタ母のしごきで息子がやる気喪失。父はどうすりゃいいの問題<サッカーママからのご相談>はじめまして。 このような相談できる場所があり、ありがたく思います。小4の息子はスポ少に所属しています。全国を目指すチームなので、まあまあレベルは高いです。1年生からサッカーを始めましたが、3年生から4年生までの1年間、毎朝学校が始まる前の1時間の練習と土日の県外遠征などあまりに過酷だと感じ他のチームに移籍しました。ですが、少年団を辞めたことを後悔し、4年生になった今年の春、また全国を目指す今のチームに戻りました。しかし1年のブランクは大きく、同学年の子どころか下の学年の子にも抜かされてしまっており今後も試合には出られそうにありません。それもこれも全て私が移籍を誘導をしてしまった結果だと思います。私が良かれと思って選んだ道が最悪な方向に行ってしまい、我が子を傷つけることになってしまいました。息子はまた頑張ったらみんなに追いつけると思っていますが、全国を目指すチームなのでそう甘くはありません。周りの子どもたちもみんな頑張っていて日々上達しているので、1年間緩い練習をしてきた息子との差が縮まるとも思えません。こんなにも厳しい現実が待っているとは気がつかず、またチームに戻してしまいとても後悔しています。辞めて後悔、戻っても後悔。あと2年半どのように過ごせばよいでしょうか。 よろしくお願いいたします。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただき、ありがとうございます。「あと2年半どのように過ごせばよいでしょうか?」お母さんは、私にそう問われていますが、2年半をどう過ごすかを決めるのは、息子さんご自身です。まず、その考え方を変えましょう。■サッカーも勉強も子どもが自分の意思で決めること、と胸に刻んでサッカーも、勉強も、進路も、もっと言えばその日をどう過ごすかも、息子さんの意思で決めることです。息子さんの人生は、息子さんのもので、お母さんのものではありません。そこをまずは自分の胸に刻んでもらえませんか?そうしなければ、過度な干渉をやめるスタート地点に立てません。この連載や、それ以外でも、子育てが上手くいかないケースの大きな要因は、親御さんの過干渉であることが非常に多いです。ぜひ、「過干渉な親からの脱却」を目指してください。いまは、非常にお辛いですね。自分が指図しなければ、とか、干渉しなければこうならなかったと後悔の日々かと思います。しかしながら、お母さんはご自分の力で、子育ての失敗にすでに気づいています。「私が移籍を誘導をしてしまった結果だと思います。私が良かれと思って選んだ道が最悪な方向に行ってしまい、我が子を傷つけることになってしまいました」とご自分で書かれていますね。このように、大人になって自分自身の行いを否定するのは勇気のいることです。ところが、お母さんはそれができている。お母さんは、人を育てる力があるのです。どうか自信を失わず「今から過去のダメ親だった自分にリベンジするのだ」という勇気を持ってください。以下、私から三つアドバイスさせてください。■まずは自分の行動の間違いを認め、お子さんに謝ることが重要まずは、息子さんに謝りましょう。●チームの移籍をお母さんが誘導し、振り回してしまったこと。●その際に、息子さんととことん話し合うなど、時間の余裕をもたなかったこと。●息子さんの意見をじっくり聞かなかったこと。●「このチームはあまりに過酷だ」とか「やはり元のチームのほうが」などと、お母さんの感覚や考えを基準に移籍を繰り返し、息子さんの気持ちを最優先してこなかったこと。●過干渉な母親だったこと。そのあたりをきちんと伝えましょう。その際は「許してね」などと許しを請うのではなく、とにかくご自分の行動の間違いを認め、謝ることが重要だと思います。二つめは、子育てを勉強してください。過干渉が子育てにどんな悪影響を及ぼすか、それを学んでください。ネットに「子育て、過干渉」と打ち込んでもいいし、そこに「サッカー」を入れてもいいでしょう。過干渉親についての本もたくさんあります。同時に、干渉せずに子どもを育てるメリットも学んでください。例えば、子どもは「選ぶ」機会を増やすことで成長していきます。そのためには、小学生段階で親は離れたほうがいいのです。例えば、私が十数年前に勉強した、イギリスの小児科医で臨床心理の専門でもあるウィニコットの教示をお伝えします。ウィニコットは、母親と子どもとの関係において「ほどよい母親(good enough mother)」であることが大切だと言います。「ほどよい母親というのは、初めは幼児の欲求にほぼ完全に応じ、やがて時間の経過につれて、母親がいなくてもひとりでいられるようになってきたら、子どもへの対応を少しずつ減らしていく」つまり、「初めはしっかりと子どもに関わり、だんだん離れる育児のできるお母さん」が「ほどよい」。このグッド・イナフ・マザーをぜひ心がけてください。■親の言う事を聞いていればいい、という育児は間違いまた、日本の著名な小児科医は、親が手をかけて子どもを「育てる力」と、子ども自身の中にある「育つ力」の関係性を以下のように解説しています。●0~3歳頃「育てる力」>「育つ力」(育てる力が上回る)●4~6歳頃「育てる力」=「育つ力」(両方の力が同じくらい)●7歳以上「育てる力」<「育つ力」(育つ力が上回る)この説明からわかるように、子どもが小学校に入学したら、「育つ力」を信じて、子どもの成長を見守るような親御さんが、子どもを成長させるのです。ぜひ、そういったことを学んで、過干渉親を脱却する糧にしてください。論理を根っこから理解せず、「干渉しないほうがいい」と他人から言われたところで、人はそうそう変われません。ぜひぜひ、子育てを学んでください。なんで今更子育てなんか勉強しなきゃいけないの?と思うかもしれません。が、私たちの多くが施された、圧迫して、厳しく言い聞かせて、お母さんの言うことを聞いていればいいのよ、という子育ては、実は間違っています。違う手法をぜひ身に着けましょう。■子どもが自分で考えて決める機会を与えてみようそして、三つめ。干渉をやめるには、まず、上記の考え方をご自分に刷り込んでいく作業が必要です。日常生活から、「どうしたい?」「どうする?」と問いかけます。お手伝い一つでも、あれやって、これやってと頼むのではなく、何か手伝えることがあるか自分で考えてやってみて、と伝えましょう。二度の移籍を、親御さんに従い、ついてこられた息子さんは、もしかしたら従順に育っていないでしょうか?よく言えば素直。違う見方をすれば、自分で考えられない、自分で決められないところがあるかもしれません。ただし、それは彼に能力がないわけはまったくありません。これまで、そういった自ら考える、悩む、決める機会を与えられてこなかっただけです。ここからが、子育てのやり直しの一歩です。■親としてのリスタートであり、大きなチャンスでもある(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)そして、最後に。私は、こうなって良かったとさえ思います。もし、2つ目のチームでうまくいって満足していれば、「ほら、お母さんの言ったとおりにしてよかったでしょ」ということになります。ママについて行けば大丈夫、私についてこさせれば大丈夫と、親子して間違った認識を持つところでした。これは、お母さんの母親としてのリスタート。大きなチャンスなのです。まったくもって落ち込まなくていいのです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年10月28日努力しろ、朝練しろ、やる気が見えないと言い、休日は朝から息子を公園に連れていき、いろんなメディアで集めたトレーニングを実践するスパルタで過干渉な妻を変えたい。というお父さんからのご相談をいただきました。うまくはないけど楽しくサッカーをしていたのに、母親のダメだしと強制練習でサッカーが嫌いになってしまうことが心配だと言っても「子どものためなの!あなたは甘い」と言われ話し合いができなくて......とお悩みをいただきました。今回のご相談に、スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんは、ご自身も同じような体験があると言います。かつての体験と取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<サッカーチームでいじめ?親はどう振舞えばいいのか問題<サッカーパパからのご相談>このコーナーは母親からの相談が多いようなのですが、妻の過干渉などについて相談させてください。9歳の息子がサッカーをしています。監督からチームの方針などは事あるごとに言われているので、試合や、練習中は指示や大声を出すことはないのですが、帰ってからはダメだしばかりです。努力しろ、朝練しろ、やる気が見えないと言い、休日は朝から息子を公園に連れていき、サカイクをはじめとしたいろんなメディアで集めたトレーニングを実践しています。私の方は、プロになってほしいわけでもないですし、まだ3年生なのでコーチの言う事に耳を傾けたりチームメイトと仲良く協力できればいいのでは、と思っています。何より妻のスパルタで子どもがサッカーだけでなくスポーツを嫌いになってしまう方が嫌です。なので「子どものスポーツに熱くなりすぎだよ」と言うのですが、「息子のためを思ってやっているの。何が悪い。あなたの考えが甘い」と話を聞いてくれません。息子はレギュラーではなくチームの中では平均的か少し下手なぐらいです。それでも試合は楽しそうにしていたのですが、最近は妻のダメ出しと強制自主練でやる気が無くなってきているように思います。私自身は楽しんでいてくれればいいよ、と伝えているのですが、子どもにとって母の影響は大きいもので、このままサッカーが嫌いにならないか心配です。親の過干渉が子どもにとって良いことはないと思います。家庭で解決する問題なのかもしれませんが、先輩ママとして島沢さんのアドバイスをいただけませんでしょうか。<島沢さんのアドバイス>わわわ!デジャブかと思いました。奥様、十数年前の私とよく似ています。この度はご相談をいただきありがとうございます。私も息子が小学3年生くらいまで、試合中はぎゃんぎゃん叫んでいました。ただ、私はビデオでダメ出しをしたり、自主練させたりはしませんでした。それは、仕事で忙しく、息子のサッカーに分配するエネルギーが残っていなかったためで、余裕があればやってしまったかもしれません。ただし、そんなふうに「ダメなヤツ」だったので、奥様含めた多くのママやパパがついつい熱血になってしまう感覚や理由が理解できます。■息子がより幸せな人生を送れる基盤を作ろう、と夫婦で同志感覚を持つ立派な指導者の方々は、なぜあんなに熱くなるのかわかりませんねえと「僕らは君らとは違う感」を醸し出すのですが、私は心の片隅でホントかいなと疑っています。何の後悔も失敗もせず、最初からとても良くできた親など、ほとんどいません。特に、圧迫して子どもを奮起させる教育観が強い日本では、親たちもそうやって育てられています。よく言われることですが「育てられたように育ててしまう」のはある意味当然なのです。私は自分のライターという仕事のなかで、さまざまな子育ての専門家に出逢い、その方々の知見とエキスを呑んで、自分の子育てをある程度変えることができました。しかしながら、それと同様、あなたに奥様の子育てを変えるエキスになれとは言いません。ここで大事なのは「一緒に子育てを勉強して、少しでもいい親になろうね」という"同志感覚"です。われらの息子をよりよく、より幸せな人生が送れる基盤を作ろうぜ――そんなふうに奥様に寄り添う姿勢と心構えをまずはをつくってください。■考えが甘いのは過干渉しているほう。子どもの成長を阻害している以下、具体的なアドバイスを五つ贈ります。①子育てに関する本を読んで勉強するネットで「サッカー子育て本」と検索してみてください。書籍名でトップにあがるのは『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』と『伸ばしたいなら離れなさいサッカーで考える子どもに育てる11の魔法』です。これらは、今や「少年サッカーの神様」と言われる池上正コーチの書籍で、私が一緒に作った本です。少年サッカー親の子育てバイブルと言われているものなので、ぜひ参考にしてください。ほかに、脳科学者の林成之先生が著した『<勝負脳>の鍛え方』(講談社)という新書もお勧めです。子どもの発達が理解できます。②自分の自信を作るあなたが「妻のスパルタで子どもがサッカーだけでなくスポーツを嫌いになってしまう方が嫌」で、「子どものスポーツに熱くなりすぎだよ」とアドバイスすることはまったくもって正しい。正しいけれど、今のところ「息子のためを思ってやっている。あなたの考えが甘い」と一蹴されています(サッカーだけに。いや失礼!)。ところが、考えが甘いのは、実は妻のほうです。なぜなら、言うことを聞かせ、無理やりでも自主練をやらせていることは、こうしなさい、ああしなさいと働きかけているので、子どもは自分で「上手くなるにはどうしたらいいんだろう?」と考えることもしなくていいし、楽です。お母さんの言うとおりにして、それでも上手くならなかったら、思春期になって「お母さんのメニューが悪かった!ちっともうまくならないじゃないか!」と怒ってちゃぶ台をひっくり返したり、家庭内暴力に出ます。楽をした(させられた)分、こころ(脳)が成長していないので、自分で段取りして前進しなくてはいけない年齢になると、一気に成長が止まってしまうのです。一方で、わが子に主体性を持たせるような子育てをしている家庭の子どものほうが、中学、高校でスポーツも勉強も大きく伸びます。「もっと上手くなりたいなら自分で考えてごらんよ。ただ、ママもパパも楽しくサッカーしてくれればそれでいいけどね」子どもと距離を置き、その子に対し主体性を求める。それこそが、本当の厳しさです。そんなことに比類する事柄とその根拠が、ご紹介した本にたくさん書かれています。それを読んで、あなたのほうが自信をもってお母さんと向き合える態勢を整えてください。■過干渉な親は賢い人が多い。だからこそできる解決法③自分と向き合う本にこうこう書いてあるんだよと伝えるのが目的ではありません。まずは、ご自分に自信を持ってほしいと思います。なぜなら、ご相談の文章を読むと、あなたは息子さんのために何をすべきかをすでに理解しているし、行動も起こしています。全面的に正しい(拍手です)。しかしながら現時点では「妻のダメ出しと強制自主練でやる気が無くなってきている」状態で、このままサッカーが嫌いにならないかと心配しつつも、話が通じない妻に対しお手上げ状態。いつ順番が回ってくるかわからないこの相談コーナーにメールを書かれるのですから、メール文以上に深刻な状況と察しています。問題を解決するためには、まず、妻ではなく、あなたが自分と向き合い、変わることです。お父さんは、きっととてもやさしい方だと思います。そのやさしい性格のまま、一日も早く自信をつけてお母さんと話し合って下さい。④どんな子育てがいいかを話し合ういきなり過干渉はやめろと切り出すのではなく「最近、やる気失ってるみたいだよね。ちょっと話し合わない?」と二人でテーブルにつきましょう。ケーキとかお茶を用意して、世間話のように。最初に、妻の奮闘をねぎらってあげてください。子育てよく頑張ってるよね、と。子に過干渉な親は総じてエネルギーがあり、賢い方が多いようです。できる人だから、サッカーの練習方法など情報を集められるわけです。でも、ママ、どうもちょっと違うようだ。僕と一緒に、サッカー少年の子育てを勉強しようよ。少し違う頑張り方をしないか?と提案してみましょう。■相手を許しながら、少しずつ変えること(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)⑤干渉することをひとつずつ減らす・自主練は、息子さんから誘ってこなければやらない。・試合後のダメ出しはやめる。ひとつずつ、なくしましょう。「いや、ママ、上手くなってほしいという気持ちはわかるけれど、そこは譲れない。わが家では、こういう子育てにしようって話し合ったよね」奥様を許しながら、変えていく。そんなイメージです。お父さん、落ち込むことは何もありません。妻の過熱癖に早く気付いてよかったのです。たかが子どものサッカー。そこを忘れてほしくないので、文中に寒いシャレなど挟んでみました。ピンチのときは、大人も子どもも成長する時間です。ここを切り抜ければ、とても素敵な家族になれると思います。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年10月14日優しいけど自己主張が上手くない小6の息子がチームメイトから意地悪を受けている。今のところイジメとまでは判断できないので、わが子にも「やり返せ」しか言えない。チームではサッカーが上手い子や、技術はそこそこでも口が達者な子が幅を利かせている。大人しく優しい子でもチームで評価され上手くなれればいいけど、放任主義のコーチたちには期待できない。親としてうまく立ち回ればいいけど、いい方法が思いつかない。どうすればいい?というご相談をいただきました。少年サッカーの保護者の悩みとして、いじめ問題を抱える親御さんもいらっしゃると思います。今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、取材で得た知見をもとにアドバイスを授けますので参考にしてください。(文:島沢優子)(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)<<食トレだと無理やり食べさせられ胃潰瘍に。安全無視のクラブをやめたい問題<サッカーママからのご相談>子どもの人間関係に関しての悩みです。小学校6年生の息子が隣町のサッカー少年団に所属しています。息子の立場は、Aチーム(一軍)の控えといったところです。移籍したこともあり、学年内に同じ小学校の子はいません。優しい性格ですが自己主張やコミュニケーションが苦手な息子は、学年が上がるに連れて仲間から意地悪を受けることが増えました。悪質なイジメとまでは行かないので、親としてもその子たちに苦情を言うことができないし、コーチに相談するのも気が引けます。ですが息子も言われたことを気にしている時もあり、親としてもどかしいです。現段階ではイジメにつながらないことを祈ることしかできません。どこのチームでも同じだとは思いますが、サッカーが上手い子や、上手くなくても自己主張が強く口が達者な子が、幅を利かせると思います。中学以降は学区も違うしその子たちと同じチームになることはないので、最後まで続けさせようかと思っていますが、状況がひどくなるなら途中でも辞めさせようかと考えることもありますが、Bチームの子達とは割りと上手くやっていますので、辞めさせるのもためらわれます。私の方で何か上手く立ち回れたらいいのかもしれませんが、どんな風にすればいいのか思いつかず、「やられたらやり返せ」と息子に言うくらいしかできません。放任主義のコーチや、たまにしか来ない総監督は頼りになりそうにありません。大人しく優しい子でも、やる気さえあればサッカーが上手くなるようなチームが有るのが理想ですが、私の知る限りでは上記のように上手い子か、口が達者で上に気に入られる子たちが優位に立つチームが多いように思います。まるで社会の縮図のようにも思えますが......。義務教育の学校ではないので、「意地悪が気になるなら辞めろ。でなければ我慢しろ」が正しいのでしょうか。サッカーチーム内のイジメに関しての知見もないですし、何か今後の指針になるようなアドバイスを頂けたら幸いです。<島沢さんのアドバイス>ご相談のメールをいただき、ありがとうございます。お母さんご自身「イジメにつながらないことを祈ることしかできません」と書かれているので、まだそこまでの段階ではないのかもしれません。どんな時に、どんなことを言われたのか、どういった扱いを受けたのか。そのことで、息子さんがどんなふうに傷ついたのか。ご相談のメールだけではいじめかどうかの判断はつきかねます。したがって、これといったアドバイスは特にはありません。一番いいのは放っておくことだと私は思います。小学6年生と最上級生ですし、あと半年で中学生になります。思春期、反抗期に差し掛かってきてもいるでしょうから、母親に何でも話す月齢は過ぎています。■ぶつかりながら成長する経験も大事、まずは見守る姿勢をいじめや、子ども同士のトラブルは難しい問題ではあります。が、親や教師、サッカーのコーチなど大人がいちいち介入するものでしょうか。無論、介入すべき酷いいじめもあります。毎日、トイレに連れていかれ、仲間の前でズボンをおろされ続け不登校になったケースを知っています。SNSで悪口を書かれたことがもとで、友人をあやめてしまった小学生も過去にはいました。まずは、お子さんによく話を聞いて、酷そうだと判断したらコーチに話してみましょう。そうでなければ、意地悪をしたり、されたりは、子どもの世界にはあって当然のことと理解してください。じゃがいもが一緒に洗われると、それぞれがぶつかって泥が取れてきれいになるように、子どもたちもぶつかりながら成長するものです。そんなことを経験することは人間形成に重要です。自分たちで解決するのを見守ることを考えてください。■お母さんの思考の中に子どもの意思が見当たらないそこで私からひとつ、ご提案します。今回の「いじめかも問題」をきっかけに、子離れしてみませんか?中学以降は学区が違うため、いじめらしいことをしている子たちとは同じチームにならない。よって「最後まで続けさせよう」と、お母さんは思っている。ただし、状況がひどくなるなら「途中でも辞めさせよう」と考える。一方で、Bチームの子と上手くやっているから「辞めさせる」のもためらう。続けさせる。辞めさせよう。辞めさせる。言葉の端々に、子どもに対し「○○させる」と話す方のほとんどが、過度に干渉する子育てに陥っていました。15年余りの教育やスポーツの育成現場を取材してきた知見からのお話です。子どものことを考えるとき、話すとき、お母さんは主語が自分自身になっています。「私は」サッカーを辞めさせたい。「私は」今のチームで続けさせる。この主語を、ぜひ「わが子」にしてください。君はどうしたい?どうしたらいいと思う?そんなふうに「問い」を立てられる母親になってほしいのです。主語が親御さん自身である限り、お子さんはその手から離れることはできません。「お母さんは、サッカーを辞めさせる」「お母さんは続けさせる」――この思考の中に、お子さんの存在や意思が見当たりません。サッカーをやるのは、お子さん自身なのに。この、子離れするために「主語を子どもにする」ことは、今の状況を変えるひとつの鍵になるでしょう。さらに、鍵はあと二つあります。■やられたらやり返せというのは有効なアドバイスではないもうひとつは、お母さん自身が「正しい大人」になってください。「私の方で何か上手く立ち回れたらいいのかもしれませんが、どんな風にすればいいのか思いつかず、やられたらやり返せと息子に言うくらいしかできません」と書かれています。本気でしょうか?やられたらやり返しなさいと伝えるのは、いじめられたらいじめ返せばいいと教えているわけです。恐らく、意地悪なことを言われたら言い返せばいいじゃないの、くらいな気持ちかもしれませんが、お子さんにとって有効なアドバイスになってはいないように思います。もちろん悪いのは、嫌なことや意地悪なことを言ってくる仲間です。ですが、これはお子さんの問題です。まずは、嫌なことを言われたお子さんの気持ちに寄り添いませんか。「嫌だったね。よく我慢したね。君は何も悪くないよ。大丈夫だよ。お母さんに何かできることはある?」そんなふうに尋ねてあげませんか。どうすれば、彼らがそういうことをしなくなるか。どんな解決法があるか。誰に相談すればいいか。そこを一緒に考えてあげてはどうでしょうか?■子どもが助けを求めていないのに先回りしている可能性(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)三つめは、先回りしないこと。相談の文章だけで判断できませんが、お子さんが「お母さん、僕はもう限界だ。何とかしてほしい」とSOSを出しているわけではないように見えます。それなのに、お母さんは先回りしていないでしょうか?コーチは頼りにならないと言ってらっしゃいますし、チームや仲間の良し悪しも一存で判断(評価)されています。悪質なイジメであろうがなかろうが、チームメイトにお母さんが直接苦情を言うのはやめましょう。そして、お子さんが自分でコーチに相談することを勧めてあげてください。そこで相手にされなかったり、逆にお子さんが傷ついてしまったなら、そこで初めて一緒に話をしてはいかがでしょうか。お母さんは、コーチや、いじめらしいことをしている子どもたちに、自分がどう挑めばよいかを私に聞きたかったかもしれません。わが子がピンチを迎えると、親として何をしたらいいかと自分が動くことを考えがちですね。でも、子ども同士のトラブルは、親が出ていかないほうがいいケースがほとんどです。いつも話していることの繰り返しになりますが、覚えておいてください。「言わなければ」ではなく、子の話を「聞かなくては」と考えてください。見守ってあげましょう。親が見守ることで、子は成長します。結果的に、子の人生を護ることになるのです。島沢優子(しまざわ・ゆうこ)スポーツ・教育ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)ブラック部活の問題を提起した『部活があぶない』(講談社現代新書)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てるテニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。最新刊は『世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス』(カンゼン)。
2020年09月30日