ブロッコリーの小さなつぶつぶの正体は、花のつぼみだということはご存じでしょうか。つぶつぶが寄せ集まり、モッサモサと雲のようなかたちがかわいいブロッコリー。しかし、気をつけたいのは、その複雑なかたちゆえに、中に「虫」が潜んでいる可能性があるということ…。正しい洗い方をマスターして、安全においしくブロッコリーを食べるための方法をご紹介します!■ブロッコリーについている虫を食べてしまっても大丈夫?結論からいえば、ブロッコリーに潜んでいる虫や虫の卵は、そのほとんどに毒性がないため、誤って食べてしまっても人体に害はありません。しかし、そうはいっても、できれば取り除きたいですよね。・ブロッコリーに潜む虫の種類ここでは、ブロッコリーに潜んでいる可能性の高い虫ごとに特徴を簡単にご説明します。潜んでいる場所なども併せてご紹介するので、1匹見つけてしまったら、ほかの怪しい箇所もよくチェックしてみてください。《アオムシ》春から秋にかけて発生するモンシロチョウの幼虫です。大きいものでは体長3cmほどにもなるため、見つけたときのショックも大きいですが、食べても危険性はありません。主に葉の裏などに潜んでいます。《コナガ》春から秋に発生する体長5〜10mmほどの小さな蛾の幼虫です。葉の表面を不規則に食べるので、コナガに食べられた葉は、まるでレースのような模様になります。葉の裏やつぼみの密集した部分に繭をつくり、サナギになることもあるようです。薬剤に対して抵抗性が高いため駆除が難しい害虫です。ただ、水には弱いので、よく洗うことで落とすことができます。《ヨトウムシ》春から秋にかけて発生する蛾の幼虫です。その名の由来は、夜にこっそり葉を食べることからきています。ヨトウガ、ハスモンヨトウ、シロイチモンジヨトウの幼虫の総称で、体長が3〜5cmもあり、黒のまだらやピンクの斑点などの模様で見た目がグロテスク。葉の裏側にいます。《アブラムシ》春と秋に発生する小さな虫です。葉などと同じく緑色なため、見つけにくく、水で流しただけではなかなか落とせません。葉や茎、つぼみの部分に集団で生息しています。・食べてしまっても問題はない主に植物の汁や葉を食べて育つこれらの害虫は、体内に毒を持っていません。ただ、アブラムシは、カビやウィルスの媒介者なので、生で食べるときには注意が必要です。一部、毒のある毛虫などもいるので、その場合は絶対に口に入れないように気をつけましょう。・虫がいるのは農薬をあまり使わずに育てた証拠無農薬や低農薬のブロッコリーは、エグ味が少なく甘くておいしいですが、それは虫にとっても同じです。逆に虫がついていたら、そのブロッコリーはおいしい証拠だと、ポジティブにとらえることもできます。■ブロッコリーを洗わないと起こる危険性虫以外にも、ブロッコリーを洗わず食べると、本来体内に入れるべきではない農薬などを摂取してしまう危険性が高まります。虫がついていなくとも、食べるまえにはしっかり洗った方が安心して食べられますよ。・農薬がついているブロッコリーなどのアブラナ科の野菜は、虫がもともとつきやすい植物です。そのため、多くの場合、農薬を使って害虫対策を行います。その農薬が、ブロッコリーの表面に残っていたり、つぼみの奥まで浸透していたりする可能性もあるので、残留農薬を洗い流すためにもきちんと洗うことをおすすめします。・農薬が入った土がついている農薬が野菜表面などについている可能性をお話しましたが、農薬を使用していた場合その土にももちろん農薬の成分が入っています。その土が付着したままだと、やはり残留農薬を体内に入れてしまう可能性があるので、しっかり洗い流しましょう。・生食を好む人は要注意日本では、ブロッコリーは火を通して食べることが一般的ですが、実はブロッコリーは葉も茎もつぼみも生で食べることができます。生で食べれば、熱に弱い栄養素であるビタミンCも余すことなく摂取できるうえに、噛みごたえがあるのでダイエットにもおすすめです。しかし、前述したとおり、ブロッコリーにはアブラムシが潜んでいる場合があるので、生で食べる場合はくれぐれもしっかり洗いましょう。■ブロッコリーの虫や汚れをきれいに落とす洗い方ブロッコリーは、複雑なかたちなうえに、つぼみには撥水性があるため、ほかの野菜のようにササッと水ですすいだだけでは中に入りこんでしまった虫は取り除けません。虫を取り除くためには、洗い方にコツがありますよ。・水に浸け置きする方法手順:ボウルなどの大きめの容器に水を入れ、その中にブロッコリーのつぼみを下にして浸水させます。そのまま20分ほど放置してください。そのあと、水に浸したまま茎を持って大きく円を描くように振り洗いをしましょう。一番簡単な方法です。水にしっかり浸すことで、隙間にも水が入りこみ、中に潜んでいた虫が浮かんできます。しかし、浸しただけでは死骸などが残る可能性があるので、最後に振り洗いを行ってください。・ポリ袋で洗う方法手順:つぼみが下になるように逆さにしたブロッコリーをポリ袋に入れます。そこにブロッコリーがしっかりかぶる程度の水を入れ、口を閉じて20分ほど放置します。最後に、ポリ袋に空気を入れて少し膨らませ、シャカシャカ振り洗いをしましょう。ボウルの代わりにポリ袋を使うことで、最後の振り洗いがしやすくなります。ただ、ブロッコリーの横に飛び出した茎などの断面が鋭利なままだと、袋を傷つけて破いてしまう可能性があります。そういった茎はあらかじめ取り除いておきましょう。・50℃のお湯で洗う方法手順:ボウルなどの大きめの容器に50℃のお湯を入れ、その中にブロッコリーのつぼみを下にして浸水させます。そのまま2、3分放置します。そのあと、そのお湯の中で振り洗いをします。お湯を捨てて、再度水で洗います。「50℃洗い」は、ほかの野菜を洗うにも有効な方法です。水ではなく50℃のぬるま湯に浸けることで、虫などの汚れが取れやすくなるほか、鮮度が復活して色鮮やかになる効果もあります。時間がない場合は、50℃のお湯で洗うだけでも十分な効果が期待できます。・湯通しする方法手順:鍋でお湯を沸かします。沸騰したら火を止め、ブロッコリーをお熱湯に30秒ほど浸けます。軽くお湯の中でゆすり、そのあと水でよく洗います。水だと20分ほど浸けておかなければならないので、お湯を沸かす時間がかかるにしてもこちらの方法の方が時短です。・塩を使って洗う方法手順:ボウルまたポリ袋などを使ってブロッコリーを水に浸します。そこに小さじ1程度の塩を加え、よく混ぜます。そのまま20分ほど放置したのち、その中で振り洗いをしてください。最後に、ブロッコリー を水でよく洗い、塩を洗い流します。細かい塩の粒がブロッコリーのつぼみなどの隙間に入りこみ、水だけで洗うよりさらに細部まで洗うことができます。・重曹を使って洗う方法前述の「塩を使った方法」と手順は同じです。塩の代わりに小さじ1程度の重曹を入れてください。アルカリ性の重曹を使うと虫だけでなく、残留農薬も洗い流せるので小さな子どもにブロッコリーを食べさせたいときにおすすめな洗い方です。重曹は掃除用のものでなく、口に入れても大丈夫なものを使いましょう。・野菜用洗剤を使って洗う方法手順:ボウルなどの大きめの容器に水を入れ、野菜用洗剤を溶かします。その中にブロッコリーのつぼみを下にして浸水させます。3、4分放置すると、汚れや虫が浮いてきますので、浸していた水を捨てて、最後に水でよく洗剤を洗い流しましょう。野菜用洗剤は、虫や汚れを落とすと同時に殺菌もでき、農薬を洗い流すこともできます。5分以上放置しないことと最後に洗剤をしっかり洗い流すことを忘れないようにしましょう。正しく使えば野菜用洗剤は安全な洗剤です。・小房に分けて洗う方法手順:まず、ブロッコリーを太い茎の部分とつぼみの部分とで2等分します。それから、つぼみの部分は小房に切り分け、茎の部分は硬い部分を除いて食べやすい大きさにカットします。一口サイズになったブロッコリーをボウルやポリ袋に入れて、よく洗います。丸のまま洗うより小房に分けてから洗う方が、より隅々まできれいに洗いやすくなります。しかし、切り口の部分から水溶性のビタミンが溶け出してしまうので、栄養価が下がってしまうのが残念なところ。なので、小房に分けて洗う場合は、洗う時間を30秒程度にとどめるといいでしょう。■冷凍ブロッコリーに虫がいることはある?あと1品おかずがほしいときやお弁当の隙間を埋めたいときなど、そんなちょっとしたときに使い勝手のいい市販の冷凍ブロッコリー。しかし、そこにも“ヤツら”の影が…。ギョッとするかもしれませんが、前知識としてそういうこともあるんだと頭の片隅にでも入れておけば、慌てずにすみますよね。・稀にいることがある稀ではありますが、冷凍ブロッコリーにも虫が潜んでる可能性はあります。日本の食品会社は優秀なので、異物混入のニュースはあまり聞きませんが、まったくないというわけではありません。もとは畑で育った野菜なので仕方がないというべきでしょう。・心配な場合は洗ってから調理するのがおすすめとはいっても、冷凍ブロッコリーは、一度完全に冷凍されているので、いたとしても虫は死んでいます。心配であれば、よく洗ってから調理しましょう。■きれいに洗ったブロッコリーの正しい保存方法悲しいかなブロッコリーはあまり日持ちしない野菜です。なにも処理をしていないと、数日のうちに、変色してしまったり、花が咲いてしまったりと憂き目に合います。なので、虫や汚れなどをきれいに取り除いたブロッコリーは、できれば3日以内に調理しましょう。もし、その期間がすぎてしまうことが先にわかっていれば、冷凍して保存するのも一つの手です!・生のまま冷蔵する手順:茎に残っている葉をすべて取り除きます。軽く湿らせたキッチンペーパー や新聞紙などでブロッコリーを包みます。その上からさらにラップで包むか、ポリ袋に入れて湿度を保つようにします。ペットボトルや牛乳パックなどの空き容器を使って茎を下にした状態で立てて保存します。※保存期間は、約2〜4日です。生の状態のブロッコリーの保存にもっとも適している場所は冷蔵庫のチルド室です。チルド室がなければ野菜室でもOK。・小房にして茹でてから冷蔵する手順:前述の「小房に分けて洗う方法」で洗ってから、水気をしっかり拭き取ります。鍋にたっぷりのお湯を沸かし、沸騰させます。沸騰したお湯に小さじ1の塩を加え、ブロッコリーを約3分間ほど茹でます。茹で上がったブロッコリーはザルなどにあげて、よく水をきります。荒熱が取れたら、タッパーなどの密閉できる容器に入れて保存します。※保存期間は、約1、2日です。しっかり水を切っても、しばらくするとブロッコリーから水分が出てきてしまいます。保存容器の底にキッチンペーパー などを敷いておくと、余分な水分を吸い取ってくれるので、ブロッコリー が痛みにくくなります。しかし、この方法も保存期間は短めなので、保存方法というより料理の下ごしらえとしてとらえた方がいいかもしれません。・小房にして生のまま冷凍する手順:前述の「小房に分けて洗う方法」で洗ってから、水気をしっかり拭き取ります。3、4房ずつ重ならないようにラップでぴったりと包みます。冷凍可能な保存袋に入れて、冷凍庫で凍らせます。※保存期間は、約1ヶ月です。冷凍したブロッコリーはつぼみの部分が崩れやすいので、冷凍庫でほかの食材に潰されないように気をつけて保存しましょう!・小房にして固茹でして冷凍する前述の「小房にして茹でてから冷蔵する」方法と「小房にして生のまま冷凍する」方法の合わせ技です。固めに塩茹でしたブロッコリーを冷凍可能な保存袋に入れて冷凍します。こちらも保存期間は、約1ヶ月。ただし、茹で時間は30秒前後と短めにするのがポイントです。■正しい処理の方法を身につけよう!おいしく食べようと思って買ってきた野菜に虫が潜んでいたらショックですよね。でも、きちんと洗って、処理すれば、取り除くことは可能です。そして、万が一食べてしまっても人体に害はないので、必要以上に不安になる必要もありません。ブロッコリーに限らず、野菜は買ってきてからすぐ下処理をして正しく保存することを習慣付けましょう。そうすれば、虫を取り除くだけでなく、おいしい状態で野菜を食べることができます!
2020年09月06日