エルメス(HERMES)が新アーティスティック ・ディレクター、ナデージュ・ヴァンへ=シビュルスキー(Nadege Vanhee-Cybulski)を迎え、15-16AWウィメンズコレクションを発表した。彼女はメゾンの原点であるライディング・スピリットをリアルで上質なウィメンズウエアに落とし込んだ。シルエットはロング&リーン。キーカラーはブルーブラック、レッド、イエロー、アイボリーホワイト、ブラックなどで1トーンでのコーディネートが主。ナデージュの感性が、エルメスの持つ素材・技術と結びつき、エフォートレスな新コレクションを導いた。ファーストルックはブルーブラックのラムレザーブルゾン×コーデュロイパンツ。ブルゾンからはライナーのキルティングがスカートのように垂れ下がる。このキルティングは乗馬の際に鞍と馬体の間に敷かれるサドルパッドからインスパイアされたもの。他のルックでもレザーのキルティングがアウターに用いられている。同じくファーストルックで注目なのは、レザーブルゾン前身頃の一見ベルベットのような光沢を放つ半円型に切り替えられた素材。これはとろけるような肌触りの上質なスウェードだ。ナデージュはこの素材を好み、カシミアと切り替えたストライプコートやニットと組み合わせたタートルネックセーターなど様々なアイテムに用いている。また、エルメスの馬用ブランケット“ロカバール”のボーダー柄が今シーズンを代表するディテール。ケープ付きコートやバッグのストラップ、ストライプで切り替えられたレザーパンツなど端々にその要素が落とし込まれている。もちろん、エルメスのアイコン“カレ”も忘れていない。サングル(馬具の腹帯)柄やバンダナ柄のシルクのセットアップが登場した。乗馬服を連想させるロングコートやスポーティーなキルティングレザーコートには大きなポケットが付く。これは鞍の形からインスパイアされたもので、サイドからも手を入れられる2ウエイ仕様。ジャケットのボタンなどには鞍に打つ鋲「クルー・ド・セル」をあしらっている。ショーラストはエルメスには珍しいイブニングスタイルが提案された。けばけばしいドレスのようなものではなく、デイリーウエアに寄り添ったシックなアイボリーホワイトと黒のカクテルウエアが並んだ。カレの柄“ブリッド・ドゥ・ガラ(式典用馬具)”のジャカードセットアップ、美しい毛並みのミンクトップス、クリーンなアイボリーのシルクニットドレスなどエレガント。ラスト3ルックに輝きを添えたのは、エルメスのハイエンドジュエリー「オート・ビジュトリー」。ティアラ、ブレスレット、ネックレスが一連となっており、このシリーズも“ブリッド・ドゥ・ガラ”からインスパイアされたデザインだ。新バッグとして「オクタゴン」が登場。その名の通り八角形で、クラッチ、ショルダー、ハンドの3タイプが登場。クロージャーに金具を用いないミニマムな表情で様々なスタイルにはまりそうだ。
2015年03月18日ブルーガール(blugirl)の15-16AWコレクションは、ブランドの根底にあるロマンティシズムと、それを打ち消すようなマニッシュさという2面性を打ち出したアイテムを披露した。ゆったりとしたボリュームのコートや、裾に広がるワイドパンツ、ダブルブレストジャケットやひざ下丈のスカートなど、身体のラインを覆うようなアイテムが登場。これらはグレンチェック、千鳥格子などクラシックな柄を用いた厚手のツイード、フェルトなどで仕立てられ一層メンズライクなムードをまとう。一方で、シルクやジョーゼットを用いた軽やかでフェミニンなアイテムも健在。フルーツや花、鳥などハッピーなモチーフが散りばめられた絵画のような素材は、裾長の清楚なワンピースや、チュニック、パニエドレス、チャイナ風ドレス、パンツスーツなど自由自在に変化し、華やかさとリズミカルな躍動感をもたらす。ワンピースの上からショート丈のノースリーブニットを合わせベルトでマークしたスタイルも今季の特徴。時によって様々な装いをすることが出来るという新たな可能性を見出したこれまでの枠組みを逸脱するコレクションとなった。
2015年03月12日アニエスベーが、パリで開催する15-16AWウィメンズコレクションショーの模様をライブストリーミングで配信する。3月10日19時半(現地時間同日11時半)より。※会場の都合により、開始時間が遅れる場合があります。
2015年03月10日プラダ(PRADA)の15-16AWコレクションはクラシックとモダンを組み合わせた新しい女性像を見せた。提案されるルックはパンツスーツ、ストラップドレス、ベスト、ダブルのコートなどベーシックなアイテム。しかし、素材や色で大きく未来へシフトする。張りのある質感はダブルジャージ。ネオプレンのボンディングを使わないのがブランドらしい。この素材のパンツはレギンスのような印象だ。ヘリンボーンやハウンドトゥースなどトラディショナルな生地もナイロンを織り込むことでコンテンポラリーに変化。4・50年代のビンテージからインスパイアされたアウターの襟元やストラップドレスを彩るブローチやビジュー、脇のリボンテープ、肩のファーなど“可愛い”意匠だが、プラダの手にかかるとどこかひねられた印象になる。小物も存分にひねられる。ローファーのソールはSFチックなラバーソール。バッグは、中にもう一つ色違いのバッグが入っているという入れ子構造。表を全開で持つのが可愛い。
2015年03月06日エトロ(ETRO)15-16AWコレクションテーマはリッチタペストリー。豪奢なデザインにシックなトーンで家にいるかのようなリラックスした雰囲気を表現した。テーマのごとく、刺繍、織り、切り替え、プリントで絢爛な服のタペストリーを描く。ジャカード×スパンコール地×レザーのパッチワークジャケット、総スパンコールのドレス、ホームコレクションのファブリックを用いた張り感のあるシルエットのコートなどラグジュアリーなルックが並んだ。ファージャケットもパッチワーク。コートは裏地もタペストリー柄。裾を彩るのは窓外に見えるランドスケープをイメージした刺繍だ。ニットも布帛をはめたりと手が込んでいる。シルエットはIラインで細長いシャンープな印象だが、色と素材感で温かみのあるコレクションに仕上がっている。
2015年03月06日ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)の15-16AWコレクションは絵画のよう。ブラック、グレーと淡いグリーンやブルーが呼応する。ジャケットはシームを出したインサイドアウトのテクニックであえてカジュアルな雰囲気。合わせられるパンツはアンクル丈のテーパードタイプ。スカートをパンツの上に重ね履きしたようなルックは、実は脇で両アイテムがつながっているパターンに凝ったアイテムだ。レザーパーツをつないで作った鎧のようなジャケット、リブ編みニットにレザーをボンディングしたブルゾン、ムートンにプリント、プリントに見えるがすべて刺繍であったりと、ウエアはどれも手が込んでいる。ラストは絢爛なテクニックを施したソワレ達。ビーズ刺繍やタックなど手作業を駆使してシャガールやモネのような幻想的な絵をドレスの上に描いた。脇に流れる黒のラインがまるでサッシュが取れたようなデザインでウィットに富んでいる。足元がフラットブーツというのもアルマーニらしい。シューズは横から見るとチャンキーヒールのように太いが、脇が削がれており、バックから見るとピンヒールのように見えるというありそうでなかったモデルが登場。デザインと機能が両立している。
2015年03月05日スポーツマックス(SPORTMAX)の15-16AWコレクションはとてもウォーム感に溢れた構築的なアイテムが発表された。ブランケットを纏ったかのように襟や裾からはフリンジがこぼれ、裁ち端はハンドステッチでかがられる。シームにフリンジが挟み込まれたコートなど、全体で暖かみを創出する。フリンジはニットにも。胸元が大きく折り返されたニットはショルダーが表れ、フェミニンな印象だ。カラーはキャメル、ブラックの秋冬らしいモノトーンにイエローとアネモネ・菊のプリントが彩りを添える。ショー後半ではアネモネが様々なディテールに変わって登場した。スイーツのようなメランジニットにはアップリケ、レースのドレスの上に重ねられて立体感を創出。片側のみフラワープリントのスリットドレスなど、バリエーション豊かに提案された。
2015年03月04日ロエベ(LOEWE)が3月6日にパリのユネスコ本部で行われる15-16AWウィメンズコレクションショーに先駆け、キャンペーンビジュアルを公開した。フォトグラファーにスティーヴン・マイゼル(Steven Meisel)、モデルにレキシー・ボーリング(Lexi Boling)、スタイリストにベンジャミン・ブルーノ(Benjamin Bruno)という豪華な顔ぶれが撮影を手掛ける同キャンペーン。ロエベが目指す“過去に登場したものを解釈し直すことで、今、モダンとは何かを明確にする”という大胆なオリジナリティーを打ち出している。センターピースには、マイゼルの「セルフポートレート」シリーズから新たな1枚の写真が選ばれた。これは、マイゼルのパーソナルコレクションの中から、彼自身が選んだ写真を複写撮影したもの。そこには少年時代のマイゼルが、5羽のオウムを腕に乗せてポーズをとった姿が写されている。その他、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)がデザインした「パズル バッグ」をフィーチャーしたビジュアルも公開。ブランドのコアアイテムをダイレクトに表現した。なお、アンダーソンはブランドのモダナイズを託された際に、その極めて重要な基準点がマイゼルの作品であったと語っている。
2015年03月03日ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)が、ミラノで開催する15-16AWコレクションショーの模様をライブストリーミングで配信する。3月2日19時半(現地時間同日11時半)より。※会場の都合により、開始時間が遅れる場合があります。
2015年03月02日フィロソフィ(PHILOSOPHY)がロレンツォ・セラフィニ(Lorenzo Serafini)により生まれ変わった。初ショーとなる15-16AWシーズン、彼は女優のブルック・シールズからインスパイアされたコレクションを披露した。提案されたルックはどれもロマンティックでフェミニン。プリーツやフリル、レースにギャザーで満開のシフォンドレスはロングやミディ、ショート丈と様々なタイプで目の前をなびく。ケーブルニットのトップスやポンチョは柔和な印象で大振りのフリルがガーリーだ。合わせられるボトムはハイウエストで統一。中盤からはカラーブロックのスウェード、小花柄、ツイードのルックが登場。コーラルやブラウンなど暖色系にスカイブルー、ジェイドカラーが混じる。ラストはスモーキングスタイルが登場し、黒いイブニングウエアでセダクティブな空気を振りまきフィナーレへ。ゴルチエのラストショーでも使われたChicの『I want your love』がコレクションの空気を見事に表現していた。
2015年03月02日エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)は、ミラノで開催する15-16AWウィメンズコレクションショーの模様をライブストリーミングで配信する。2月29日3時(現地時間28日19時)より。ライブストリーミングをいたします。※会場の都合等で開始時間が遅れる可能性があります。
2015年02月28日エンポリオ アルマーニ(EMPORIO ARMANI)が、ミラノで開催する15-16AWウィメンズコレクションショーの模様をライブストリーミングで配信する。2月27日19時半(現地時間同日11時半)より。※会場の都合等で開始時間が遅れる可能性があります。
2015年02月27日3月のパリ・コレクションで、「ニナ リッチ(NINA RICCI)」が新クリエイティブディレクターのギョーム・アンリ(Guillaume Henri)による15-16AWコレクションを発表する。そのイントロダクションとしてショートムービーを公開した。同ムービーはアンリによって解釈された新たなブランドのシグネチャー、すなわちシックでありながらシンプルであることに焦点が当てられた。女性の鎖骨や唇、首筋、目などをありのまま映し出すことで、女性の真の美しさを率直に表現している。撮影はディレクターのコーリアー・ショア(Collier Schorr)が、アートディレクターはマーク・アルコーリ(Marc Ascoli)が担当した。ムービーについてアンリは、「一人の女性であるコーリアーが、別の女性アリサを見て、フェミニニティ、感受性、誠実さとは何かを偽りなく正直に教えてくれるこのアイデアがとても気に入ったのです」と話している。ムービーはブランドの公式ページとYouTubeでも公開中。
2015年02月26日ジャスト カヴァリ(Just Cavalli)が、2月26日22時(現地時間同日14時)にミラノで開催する15-16AWコレクションのランウエイショーの模様を、ライブストリーミングで配信する。※会場の都合などにより、開始時間が遅れる場合あり。
2015年02月26日2月18日、ニューヨークで「ボス(BOSS)」が15-16AWコレクションを発表した。アーティスティックディレクター、ジェイソン・ウー(Jason Wu)は今季のテーマを「Industrial beauty」と題し、最小限のディテールでシルエットは簡素化、カッティングで革新的な構造の可能性を見せた。ロング丈のコートやジャケット、ドレスやセットアップなどすべてのシルエットは直線的なIラインを描きミニマル。紳士のワードローブのようなクラシックなスタイルが完成した。しかし、複雑なカッティングやショルダーラインなど細部に注目すると、滑らかな曲線美を見つけ出すことが出来る。これはジェイソンが、ボスにとって欠かせないマスキュリンの伝統を、現代の女性のために再構築し継承するというもう一つのテーマの結晶化だ。カラーパレットは、ブラック、グレー、アンスラサイトをベースに、スリットから覗くバーミリオン、パネル形ではめ込まれるブルーなどが差し色としてコントラストを効かせている。シルエットがシンプルである事で、素材へのこだわりもより一層際立つ。ジャージーとメランジュウールのボンディング素材で仕立てたパンツスーツ、切り端を敢えてそろえず仕上げたダブルフェイスのコートやジャケット、メタリックヤーンを半透明のドレスに織り上げたりと、革新的なジェイソンのアイデアが強く反映されたコレクションとなった。
2015年02月23日デザイナー・渡辺淳哉のこだわりの定番服を提案する「コム デ ギャルソン・オム(COMME des GARCONS HOMME)」。15-16AWコレクションは、定番の中にメンズクロージングの奥行きを見せた。ブランドらしいブラックスーツにパッチワークシャツを合わせたスタイルから様々なバリエーションが広がる。プレーンなテーラードジャケットやチェスターフィールドコートはシワ加工が施されたり、袖をまくって裏地を見せたりと渡辺らしいギミックを利かせた。目を引くのはアウターのレイヤリング。テーラードにライダースやジップブルゾンをON、ステンカラーコートにスタジャンやテーラードジャケットをON、など丈感や前開きをアレンジすることで、メンズクロージングの幅のあるスタイリングを見せる。このアレンジ感は単体のアイテムにも落とし込まれており、テーラードとサファリジャケットを組み合わせたかのようなアウターは通常のボタン掛けの他、ジップ、スナップボタンなど、様々な留め方で着用することが出来るディテールの利いたアイテムだ。セットアップだけではなく、コットンパンツや温かみのあるメランジのニットジャケット&キルティングジャケット、マウンテンブルゾンなどユーティリティー溢れるカジュアルスタイルも提案。スカラップのシャツが可愛い。今回ボトムはすべてダブル裾で統一されている。丈はクロップド。「インディヴィジュアライズド シャツ(INDIVIDUALIZED SHIRTS)」「シーラップ(Sealup)」「ジム(gim)」などのファクトリーブランドとのコラボレーションアイテムは引き続き登場している。
2015年02月14日ラグ&ボーン(rag & bone)が、15AWメンズコレクションのルックとショートフィルムを公開した。15AWメンズコレクションは“アーバンアーマー(都会の戦士)”をコンセプトに、新しいストリートスタイルを展開。ハイ&ローのテキスタイルを積み重ねて作る気だるいシルエットに、ネックラインやドローコードなどの機能的なディテールをミックスした。そのキーアイテムとなるアウターは、パフォーマンスウエアやテクニカルスタイルをベースに、リネンやメルトンコートをラバーでコーティング。更に、シームを圧着加工したパファージャケットや、リュクス(luxe)をモダンに再解釈したアンコンのフェルトウールコートなどが登場している。その他、クラシックなテイラードファブリックをルースパンツに使用し、スポーツウエアにインスパイアされたトラックパンツを構築されたシルエットにアップデート。既存の枠組みを超えたファブリックやシルエットに挑戦しながら、グラフィカルなストライプやステッチのディテールなども積極的に取り入れている。カラーパレットはグレー、ネイビー、セージなどの抑え目のトーンでまとめられ、刺し色にサバイバルイエローを使用した。ラグ&ボーンは15SSシーズンより、コレクションをショー形式ではなく、クリエーティブなアプローチで発表してきた。15AW シーズンではバレエダンサーで演出家のミハイル・バリシニコフ(Mikhail Baryshnikov)と、ライジングスターのダンサーであるリル・バック(Lil Buck)を起用。白一色の背景をバックに2人が踊る姿を映したショートフィルムを製作している。
2015年02月11日トム ブラウン ニューヨーク(THOM BROWNE. NEW YORK)は1月26日、パリ郊外一歩手前、19区に位置する商業施設を会場に15-16AWメンズコレクションのショーを開催した。ランウェイ正面に白い3部屋を設営し、左の部屋には机とイスとティーセット、中央の部屋にベッドとクローゼット、右の部屋に机とイスとタイプライターが置かれている。中央の部屋のベッドから男性モデルが起き、クローゼットから白いスーツを取り出して着用。両隣の部屋でそれぞれ紅茶を飲み、タイプライターを打つ。そして再び中央の部屋に戻り、黒いスーツに着替え、両隣の部屋に掛けられている暗幕を引くと壁一面が黒くなった。中央の部屋も暗幕を引いて黒くし片面が黒い布団と枕を裏返し、黒くなったベッドにモデルが入って眠る。それがこの男性の死を意味し、黒い雪が降る中、弔問に訪れる人々をモデルたちが演じた。それぞれ、スティーブン・ジョーンズによるハットを被り、黒尽くめのコスチュームをまとっている。ムートンのコートや、ミンクを衿、袖、ヘムに飾ったコート、アストラカンのジャケットなど、マニッシュなルックが続く中、時折ヴェールの付いたハットやスカート、ツイードのジャケットがミックスされ、マダム風のコーディネートを見せる。終始ダークオーラを放つコレクションには、時折、亀のアップリケのケープ、亀の刺繍のサテンジャケット、あるいはクジラの形をしたレザーのバッグなども登場し、ドンヨリとした空気の中にトム・ブラウン(Tom Brown)らしいユーモアを滲ませ、見る者をホッとさせた。
2015年02月06日ベルルッティ(Berluti)が1月23日、パリ装飾美術館のギャラリーを会場に15-16AWコレクションショーを開催した。デザイナーのアレッサンドロ・サルトリは、今シーズンも特にテーマを設けずベーシックなアイテムを最高級素材で仕上げ、究極的なリュクスを追求した。グレー、コバルト、グリーン、オレンジなど、レンジの広い色使いを見せたが、これはムラノガラス用染料の色から着想を得たもの。カシミアにレザーを織り込んでキルティングモチーフにした素材のブルゾンや、シルクにコーディングを施して光沢を出した素材のトレンチなど、一見して素材を特定出来ないものが多く見られた。ジャケット類は身体にフィットさせたイタリアンスタイルで統一し、パンツの多くにリブを付けてスポーティーに仕上げている。袖口の比翼仕立てのボタンホールや、2ヶ所をステッチで留めたラペル、あるいはコートのレザー製留め具など、ベルルッティらしい凝ったディテールも。イブニングは燕尾スタイルをアレンジし、ループで繋いた二つのボタンで開閉させる“拝み合わせ”にしたジャケットが登場。モダンに解釈したフォーマルスタイルを見せた。
2015年02月05日バーバリー プローサム(Burberry Prorsum)は2月23日の日本時間22時、LINEのリアルタイム動画配信機能「LINE LIVE CAST」で15AWウィメンズコレクションを生中継する。今回の配信に先駆け、バーバリーとLINEはグローバルパートナーシップを締結。今年1月に開設した公式アカウントなどを通じて、バーバリーは今後LINEユーザーに新たなブランド体験を提供していく。2月中旬にはLINEのオリジナルキャラ「ブラウン」と「コニー」コラボし、彼らをトレンチコートなどでコーディネートしたスタンプを配信。その他、ECと店舗との連携サービスなども計画している。今回のパートナーシップについて、クリストファー・ベイリー(Christopher Bailey)は「今回のコラボレーションを通じて、バーバリーの豊かな歴史やデザイン文化をよりパーソナルな形で日本の皆さんに伝えていきたいと思います」とコメントしている。今年は三陽商会と本国・バーバリー社のライセンス契約が切れる日本で節目となる年。バーバリー社は路面店やインショップ出店を強化する予定という。
2015年02月05日1月26日、パリ中心の商業取引所で15-16AWメンズコレクションのショーを開催した「ポール・スミス(Paul Smith)」。ワイドショルダーやピークドラペルなど、70年代的なディテールを再構築しながら、グラフィカルなモチーフをミックスし、新しいスーツスタイルを見せた。今シーズン特に目立っていたものが、トライアングルやスクエアを組み合わせたモチーフ。これはバウハウス出身のヨーゼフ・アルバース、アニー・アルバース作品からの引用で、ニットやコート、スカーフなどに用いられている。特にグリーンとオレンジのトライアングルモチーフは、アルバース夫妻が旅したメキシコからインスパイアされて生まれたもので、コレクションの差し色のベースともなった。合わせられたパンツはゆったりしたシルエットでくるぶしが隠れる丈はやや短め。コレクション中、素材として目を引いたのがシープスキン。ショールやマキシ丈のコートに使用され、むせ返るほどのワイルドで男性的な表現に圧倒された。
2015年02月04日次の波が非公式な現場からしか生まれてこないと仮定するなら、マルセル・バーロンはその最右翼と言って良いだろう。「マルセロ・バーロン カウンティ・オブ・ミラン(MARCELO BURLON COUNTY OF MILAN)」の15-16AWコレクションは、ミラノ中央駅に近いレプブリカ広場に建設された開業前のモールの地下ホールで発表された。昨年6月にピッティ・イマージネ・ウオモのゲストデザイナーとしてデビューコレクションを発表し、ミラノでの発表に場を移し2シーズン目となるコレクションは、ミラノ・ファッションウィークのオフスケジュールとして21時からショーをスタート。コレクション終了後はショー会場を巨大なクラブに変身させ、自らDJを務めるなど会場を盛り上げ、圧倒的な集客力を見せた。コレクションはマルセロの代表的なピクセルドットのクロスモチーフと、ネイティブインディアンやアニマルのモチーフをゴシックなグラフィックであしらったポンチョ、Tシャツ、スウェット、パーカー、ブランケットと言ったアイテムが、アスレチックスポーツウエアの機能とミックス。色は黒を基調に、あくまでもストリートカジュアルをベースとしたアイテムで提案された。代表的なアイテムではアルファのフライトジャケット、ペンドルトンのジャケットとブランケット、ソロヴェアーのブーツ、マルコリンとのアイウエアと話題性の高いコラボレーションも、今のマーケットを理解しつくしているマルセロならではのラインアップ。マルセロ自身のルーツであるパタゴニアを強くコレクションにも打ち出した今シーズンは、オープニングにアルゼンチンフォルクローレのマランボダンサーのパフォーマンスからスタート。映画『明日に向かって撃て』の題材となったと言われる銀行強盗ブッチ・キャシディとワイルドバンチをモデルに、スペースカウボーイを標榜する自分達を重ねてショーは進行した。
2015年02月04日サカイ(sacai)が、1月24日パリのオラトワール・デュ・ルーヴル(プロテスタント用礼拝所)で15-16AWメンズコレクションのプレゼンテーションを開催した。オーセンティックなアイテムが多数登場し、サカイらしいレイヤードスタイルを見せた。2枚重ね着をしているかのようで、実は1枚のブルゾンやコートといったハイブリッドのテクニックも健在。今シーズンはヘリンボーンの厚手のウール素材をあしらった男性的なブランケットやポンチョが目を引き、ボアを巧みに配したパンツやブルゾンも印象的。多くのアイテムで首元に取り付けられるチンストラップが見られた。マスキュリンなアイテムがすう勢を占める中、アニマルプリントやチェックのツイード素材を登場させ、フェミニンな味付けをしている点も注目。敢えて異種のものをミックスすることで、それが遊びとなり、デザイナー阿部千登勢のバランス感覚を巧妙に表出させている。暖かそうなルックにシルバーやゴールドのサンダルというコーディネートも絶妙。
2015年02月04日イッセイ ミヤケ メン(ISSEY MIYAKE MEN)が、カルティエ財団のギャラリースペースで1月22日15-16AWコレクションをショー形式にて発表した。19世紀に活躍したスコットランドの建築家でありデザイナー、画家でもあるチャールズ・レニー・マッキントッシュ(Charles Rennie Mackintosh)にイメージを求めた。マッキントッシュの代表作ともいえるヒルハウスチェアを思わせるグリッドモチーフや、アーガイルアームチェアのようなオーバルモチーフのスーツ・コート類は、群馬県由来の国産シルクとポリエステルの混紡素材によるもので、フューチャリスティックな印象。構築的なカッティングを施しながらも、モチーフを浮き立たせるためにシルエットはシンプルにまとめている。その他、マッキントッシュのポートレートからイメージしたというシルクスカーフをコーディネートしたルックや、マッキントッシュの故郷、スコットランドから着想を得たタータンチェックを思わせるブランケットスタイルを提案。マッキントッシュが好んだバラをモチーフにしたシリーズでは、写真家の藤原聡志によるフォトプリントのシャツ、そしてパール加工を施したバラモチーフのベルベット素材のコートなどが登場。スーツから始まり、夜会服で締めたコレクションは終始艶やかなイメージで統一されていた。
2015年02月03日ランバン(LANVIN)は1月25日、パリの国立高等美術学校(ボ・ザール)を会場に15-16AWメンズコレクションを発表した。デザイナーのアルベール・エルバスとルカ・オッセンドライバーは、ミリタリーウエアにランバンらしさを加え、より一層フレッシュでゴージャスな表現を見せた。オッセンドライバーによると、通常コレクションを構築するためには生地とスタイルを選ぶことから始めるが、今シーズンはそれをせず、一つのストーリーを描くことからスタートさせ、街に出た時にどんな人々と出会うかをイメージしたという。それは“肌・髪・目の色が違う、様々なパーソナリティーを持った人々である”という想定の元、ショーに登場したモデルもコスモポリタン的なキャスティングとなった。各ルックのコーディネイトも、モデルの個性に合わせたものとなり、立体的なシルエットで統一しながらも、今まで以上にバリエーション豊かな印象。チェスターフィールドコートやステンカラーコートなど、メンズの定番アイテムでも、すべてにエクスクルーシブの生地を用い、ドロップショルダーにする、あるいはステッチを入れたりリベットを打ってアクセントを付ける、または一つだけゴールドのアクセサリーボタンをあしらうなどのディテールに変化を付けることで全く違った印象のものに仕上げている。ミリタリーをイメージしたリベットとコードで装飾を施したTシャツや、手かがりのパイピングで飾ったニットなど、インナーに至るまでランバンの徹底したクリエーションが漲り、コレクション全体に新しいリュクスの側面を与えていた。
2015年02月03日ニール バレットの15-16AWコレクションは、ブランドを象徴するシャープなカッティングでミニアルにデザインされた盤石のラインアップとなった。比較的好天に恵まれたミラノメンズファッションウィークのスケジュールの中で、突然の雨に見舞われたが、会場の中庭には天井がスケルトンのランウエイ用テントが用意されており、天候まで計算されていたかのよう。コレクションはミリタリーアイテムをベースにした見る者を欺くような、フェイクしたルックが特徴的。シェットランドやアラン、フェアアイルなどのニットパターンをスウェットにボンディングや、ニットにプリントなど、着こなしやパターン上のレイヤードだけではなく、進化した素材のハイブリッドでスマートに見せている。カーキからブラックへ胸元でグラデーションしたコートも、上質な素材使いが全体のスタイルをバランス良く見せる。リキテンシュタインの作品などにもしばしば登場するアメリカンコミックの吹き出しマーク(KABOOM)が、グラフィカルなアイコンとしてアップリケされたシャツやジャケットなど、ポップアート的な要素もポイント。フランネル、レザー、ツィードとさまざまな素材で展開されたチェスターコート、ウエスト部分で切り替えられたトレンチ、軽量なボマージャケットなど、全体を通して、都会のビジネスシーンにも着られるメンズウエアとして安定した存在感を示したのは貫禄。ミラノメンズのコレクションの中でも一際日本のメンズファッション誌編集長と百貨店バイヤーの姿が多かったのが印象的だ。
2015年02月02日1月18日にミラノで発表されたドナテラ・ヴェルサーチがデザインする「ヴェルサーチ・メン(VERSACE MEN)」の15-16AWコレクション はブランドのシグニチャーのメデューサが封印された。「裸のヴェルサーチ」のテーマ通り、ヴェルサーチの原点であるシャープなカッティングのスーツ、セクシーなシルエットを追求したコレクションとなった。トーン・オン・トーンのコーディネートで登場するスーツスタイルは肩幅が小さく、丈もショートに変化しているものの、光沢のある素材遣いがヴェルサーチそのもの。シャツ、ネクタイも同色でコーディネートされ、シングルボタンのシャープなシルエットは90年代の良き時代をイメージさせる。カシミアのロングニットは今シーズンの特徴的なアイテム。ファインゲージのロングリブニットやローゲージのカーディガンなども太ももまである長さを、ジャケットやスーツなどさまざまなアイテムとレイヤード。ニットのレギンス、スリムジップのパンツなどジェンダーレスなアイテムと、トップスをシャープにボトムスにボリュームを持たせたシルエットをあらたに提案。ミンクのショートジャケットやコート、中綿のナイロンコート、トライバル柄のブルゾンやコート、ソールまで総レザーのスニーカーなど、イタリアのクラフツマンシップを生かしつつ、ブランドのシグニチャーのメデューサモチーフは、ベルトのバックルやジャケットのゴールドのボタンなどに控えめに登場するだけで、今回コレクションのキーモチーフとしては封印。“裸”のヴェルサーチらしい若いジェネレーションに向け、新しい姿勢を示したコレクションとなった。
2015年02月02日ヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)」はやはり驚かせることが好きなようだ。18日にミラノで発表されたヴィヴィアン・ウエストウッド・マン(Vivienne Westwood MAN)の15-16秋冬コレクションで、フィナーレに夫のアンドレアスと手をつないで登場したヴィヴィアン本人が着ていたのは、アーミーベレーを被ったプリンス・チャールズのポートレートが大きくプリントされたロングシャツ。プレスリリースには「私がパンクで人権問題と戦っていた70年代当時、若きPrince Charlesはよりスピリチュアルな事柄に傾向し、文化に関しても私よりも意識が高く、さらに重要な事にオーガニックファーマーとしてのキャリアを見据えていたのです」と、チャールズ皇太子のチャリティー活動を賛美する内容が添えられた。1977年に女王陛下の写真に黒塗りの「GOD SAVES THE QUEEN」のロゴと共に、キングスロードからパンクファッションを世に送り出した彼女の今のショーのスタッフTシャツは、ヴィヴィアンがフィナーレで着たのと同様、プリンス・チャールズの肖像がプリントされたもので、今回のアイコンとなった。コレクションは同ブランドを代表するチェックオンチェックから、バイアスのチェック、ストライプなどを組み合わせたブリティッシュマナーのクレイジーパターン。ジャケットのシルエットは90年代のヴィヴィアン・マンのビッグラペルのダブル、大きなショールカラーなどクラシックなイタリアンスタイルがディテールで復活している。また、フェミニンなニットやカーディガンは少女が父親のアイテムを着るアイデア。ユニセックスな要素が随所に盛り込まれている。
2015年01月29日クリエーティブディレクターのフィリッポ・スクフィー(Filippo Scuffi)による「ダックス(DAKS)」が、ミラノにて15-16AWメンズコレクションを発表した。かっちりとしたダブルのジャケットからジレのライダース、レザーのジャンプスーツなど、アイテムの展開は様々。インナーに着用した首元をすっぽりと、またもったりと覆うタートルネックのニットも多く登場した。ブラック、トーンの違うグレー、鮮やかなレッドとシンプルなカラーパレットベースに、グラデーション染め、毛羽立つ糸で施された刺繍、部分的に用いたキルティング、ブラック×レッドの太番手糸で織られたツイードなど素材を生かしたアイデアがコレクションに華やかさを添える。
2015年01月26日ロベルト カヴァリ(Roberto Cavalli )が、ミラノファッションウィークで1月20日、15-16AWメンズコレクションを発表した。今シーズンは、バロック様式の華やかさとイタリア・フィレンツェの雄大さを、表現力と生命力に焦点を当てて解釈。カラーパレットは、ブラック、キャメル、サンドをベースに、差し色で展開されるブルー、エレクトリックブルー、ゴールド、パールホワイトが上品。バイカージャケットは、細やかなスタッズで装飾的。ケープのようにまとったアウターにはバロック建築などで見られる複雑なモチーフの加工が施された。ジャケットやパンツとのセットアップには、同様のモチーフが光の加減で現れる艶やかなサテン地を用いたものも多く見られる。それに対し、アニマルプリントが施されたジャケットや、内側に毛皮が仕込まれたコート、大きめのポケットに部分的に用いられたクロコダイルレザーには自由で野生的な男性像を感じる。これらの要素のすべてはイタリアのレンズを通して解釈されたもので、フィレンツェ出身であるロベルト・カヴァリのフィールドである“トスカーナの大草原”というアイデアから生まれてる。数体のルックに見られた、“No Boundaries(境界線がない)”また、”Empathy(共感)”と綴られた胸章も目を引く。これは、心理的にも原料的にも壁がなく、エンドレスな可能性を意味し、ロベルト・カヴァリの生き方に近づくためのシンボルを示しているという。
2015年01月24日