今年10周年を迎えたD-BOYSが、2007年から続けている舞台公演、通称“Dステ”。ついに15作目となる今回は、演劇集団キャラメルボックスの成井豊が、劇団の人気シリーズ『風を継ぐ者』の新作をDステのために書き下ろした。しかもDステを初めて見た時に「出演者ひとりひとりの、芝居に対する真摯な姿勢に激しく感動」したという成井自らが、演出も担当するという注目作。主人公の新選組隊士・立川迅助に扮するのは、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』でヒロインの幼なじみ・泉源太役を好演して人気上昇中の和田正人だ。そのゲネプロが、10月9日、サンシャイン劇場にて行われた。慶応3年(1867年)10月。新選組は、徳川慶喜の大政奉還を実現させた坂本龍馬(岡田達也)と中岡慎太郎(山田悠介)を探していた。新選組隊士の立川迅助(和田)と小金井兵庫(加治将樹)は、沖田総司(陳内将)と共に潜伏場所へと向かうが、坂本の仲間である陸援隊士の南国塊人(三浦剛)たちに見つかり斬り合いとなる。そのさなか、喀血した沖田を守って背中を斬られた迅助だったが、坂本のとりなしで3人は屯所へと戻る。だが土方歳三(遠藤雄弥)は新選組の掟として、背中を斬られた者は切腹しなければならないと告げる。自分も切腹すると言う沖田を前に、土方は「10日以内に下手人を斬れば迅助の罪を免じる」と言うのだが…。迅助役の和田は、近年のTVドラマでの活躍を経てグンと芝居の厚みが増した印象。剣の腕はからっきしだが、生来の明るくてひたむきな性格から坂本龍馬をも惹きつける迅助像に説得力を与えた。一方の沖田役・陳内は、美しく端正なたたずまいで好演。狂言回し役を担う加治の安定感、陸援隊々長の中岡役・山田の落ち着いたセリフ回しも印象に残る。岡田や三浦らキャラメルボックスからの客演組が本作の世界観を土台から支え、要所要所で舞台を引き締めているのが頼もしい。ゲネプロの前に行われた囲み会見では、和田が「10周年を迎えてみんな気合いが入っています。これからはもっとDステをアピールしていきたい」と語ると、陳内も「新選組や陸援隊の隊士たちは、世の中が混乱するなか正義をもって戦う。自分たちも命をかけて演じ切りたい」と作品に惚れ込んでいる様子だ。新選組の勘定方・三鷹銀太夫役の堀井新太は「舞台は生ものだから、僕たちが頑張っている様子を一瞬一瞬届けたい」と興奮気味に話し、D-BOYS卒業生の遠藤が「D-BOYSのいいところはチャレンジ精神なので、これからもそこを忘れず盛り上げてほしい。後輩の活躍ぶりは尊敬しています」と言うと、横から堀井が「何をおっしゃるんですか!」と嬉しげに答えて他の3人が吹き出す一幕も。充実の表情に加えてチームワークの良さが伝わる会見となった。公演は10月19日(日)まで東京・サンシャイン劇場、10月24日(金)から26日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、10月31日(金)・11月1日(土)に愛知・名鉄ホールにて。チケット発売中。取材・文佐藤さくら
2014年10月10日KAT-TUNの亀梨和也が主演する舞台『DREAM BOYS』の製作発表が29日に都内で行われ、今年の新キャストが発表された。Hey!Say!JUMPの八乙女光、Kis-My-Ft2の玉森裕太、千賀健永、宮田俊哉。「ジャニーズのキャストの中で一番年上というのは初めて」と亀梨が語るように、フレッシュな顔ぶれとなった。「このメンバーが集まってくれたことに感謝。いい時間が過ごせそうです。『DREAM~』の魅力は、毎回、中身がどんどん変わっていくこと。新たなキャストが入ることで、自分にもいい影響があると思います」(亀梨)2004年の初演以来、亀梨は全350回に出演してきた。少年の夢と挫折、友情を描く物語で、アクロバット、ボクシング、フライングなど高度な身体能力を要する見せ場の連続だ。中でも、フライングの滞空時間には定評があり、この記者会見で亀梨は「日本一地に足のついていないエンタテイナー」と紹介されていた。東京・帝国劇場で9月3日(月)から29日(土)まで上演。チケットは8月4日(土)一般発売開始。
2012年06月29日ドラマや映画で活躍する新鋭を多数擁する俳優集団、D-BOYS。彼らのホームグラウンドともいえる舞台〈D-BOYS STAGE〉の記念すべき10作目となる『淋しいマグネット』の稽古がスタートした。『淋しいマグネット』公演情報『淋しいマグネット』は、スコットランドの劇作家ダグラス・マックスウェルによる原作をもとに、プロデュースユニット・案山子堂の御笠ノ忠次、映画『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』の監督・田中誠が上演台本を手がける作品。これまで世界8か国で上演されてきた本作が、小劇場界の実力派と人気映画監督という異色の組み合わせによってどう舞台化されるのか、この斬新な組み合わせにも期待したい。瀬戸康史と阿久津愼太郎、柳下大と陳内将、遠藤雄弥と碓井将大、荒木宏文と橋本汰斗の8人が全役Wキャストで、それぞれ異なる組み合わせの4チームで演じる。稽古初日の顔合わせでは、まず渡辺ミキ総合プロデューサーが挨拶の中で〈D-BOYS STAGE〉のこれまでの歴史に言及。「最初の数年間はいい舞台を創ろうという思いとともに、俳優の育成も重視してきた。今回は演劇の本質であるいい作品づくりに全力を尽くしたい」と話す姿に、キャストは真剣な面持ちで聞き入っていた。『ティーンコート』(日本テレビ系)に出演中の瀬戸は「ただカッコいいという一面的なものではなく、芝居そのもののよさを見に来てもらえるような作品にしたい」と決意を語った。いよいよ台本の読み合わせが開始。舞台を日本の海辺の町に置きかえ、4人の少年の9歳から29歳までの成長を追ったこの物語は、29歳の彼らが出会うシーンから始まる。最初から絶妙なテンポでセリフを読むキャストたちだったが、D-BOYS の舞台をこれまでに6作手がけている演出家・茅野イサムからは、読み合わせに参加している陳内に「ちょっとよそ行きの演技になっているな(笑)」と緊張している面々をリラックスさせるような言葉が投げかけられた。その後、9歳のシーンに突入すると、まるでやんちゃな少年たちがその場にいるようなはしゃぎ方を見せる4人。足をバタバタさせたり、お互いに表情を作り合い目を合わせたりと、読み合わせながら今にも立ち上がって動きださんばかりの掛け合いを見せつけた。これまでのD-BOYSファンはもちろんのこと、一般の演劇ファンも楽しめそうな見応えのある舞台ができあがりそうな予感が稽古場に満ちていた。4月8日(日)から28日(土)まで東京・シアターコクーン、5月3日(木)から6日(日)まで大阪・シアターBRAVA!にて上演。チケットは発売中。取材・文:釣木文恵
2012年03月06日5年目を迎えた、若手俳優集団D-BOYSによる舞台〈D-BOYS STAGE〉。第9弾は、アガサ・クリスティーの傑作ミステリーを昭和初期の日本に置き換えた、『検察側の証人~麻布広尾町殺人事件~』を上演する。瀬戸康史と五十嵐隼士が共同事務所を経営する弁護士に扮し、彼らを敵対視する検事に荒木宏文、殺害の疑いをかけられる青年に柳下大という配役だ。ほかにD-BOYSからは橋本汰斗と堀井新太が参加し、馬渕英俚可、平田敦子ら演技派の俳優陣と共に、初の本格ミステリーに挑む。10月15日(土)の初日に向けて彼らが汗を流す稽古場を訪ねた。『検察側の証人~麻布広尾町殺人事件~』チケット情報オープニングの舞台設定は、優秀だが堅物で女性にオクテな越方行長(瀬戸)と、同じく優秀だが時間にも女関係にもルーズな星野太吉(五十嵐)の弁護士事務所。かつては助け合って先輩のエリート検事・藤堂新之介(荒木)を負かしたこともあったが、最近は“あること”により関係がギクシャクし、もう3か月も新しい事件を手がけていない。彼らを心配顔で見守る事務員・片山健(橋本)だが、かつてのチンピラ仲間・神谷吾郎(堀井)は片山に戻ってほしそうな様子だ。そんな淀んだ空気の事務所へ、久しぶりの依頼者である立花洋一(柳下)が飛び込んでくる。親しくなった未亡人が殺害され、その容疑が掛けられているというのだ。唯一、アリバイを証言出来るのは洋一の妻・志摩子(馬渕)だけという不利な状況の中、越方と星野はこれを最後の事件と決めて取り掛かるが……。演出は、丁寧な感情描写と、生き生きとした役者の表情を引き出すことに定評のある鈴木裕美。〈D-BOYS STAGE〉は初めてだが、ベテランから新人まで幅広い役者と仕事をしてきた鈴木だけに、具体的で分かりやすい指示が続く。その内容は技術的な点はもちろん、若い彼らがこの作品を経てどう歩いていきたいかという話にまで及んだ。特に今回が初舞台となる堀井への演出は、彼のもつポテンシャルを細かく確認しながらの熱気あふれるもの。そんな鈴木に必死にくらいつきながら何度も稽古を繰り返す堀井と、彼をさりげなくフォローしつつ自分の役どころを深めてゆく瀬戸、五十嵐ら先輩たち。スキルや経験に差があるものの、自然に助け合いながら進んでいくこの空気感こそが、〈D-BOYS STAGE〉の魅力なのだと改めて感じた。瀬戸と五十嵐のシーンでは、対照的なふたりのテンポよい掛け合いに笑いが起こる。それぞれ東北出身と九州出身という役の設定により、ケンカがエキサイトすると……。立ち姿もスッとした彼らの意外な一面は、本番でのお楽しみだ。もちろん本格ミステリーだけに、緊迫感ある法廷シーンもたっぷりと。意外な結末と、弁護士ふたりの気になる行方は、ぜひその目で確かめてほしい。D-BOYS STAGE 9th『検察側の証人~麻布広尾町殺人事件~』は、10月15日(土)から23日(日) まで東京・青山劇場、11月3日(木)から6日(日)まで大阪・イオン化粧品 シアターBRAVA!まで上演される。チケット発売中。取材・文:佐藤さくら
2011年10月07日