リベリアで行われていた、エボラ出血熱の未承認治療薬「ブリンシドフォビル」の臨床試験が中止された。2月4日、国境無き医師団(MSF)が発表した。同試験は英オックスフォード大学主導のもと、MSFがリベリアで運営するエボラ治療センターで1月上旬より開始されたが、患者数が減少傾向にあったため、隣国シエラレオネの治療センターに試験を編入する検討を行っていた。ところが、「ブリンシドフォビル」を製造するChimerixがリベリアに限らず今後一切の臨床試験に参加しないと発表したため、同治療薬の臨床試験中止が決定した。患者数の減少は他の臨床試験にも影響を与えているが、MSFはギニアでの抗ウイルス薬「ファビピラビル(商品名:アビガン)」の臨床試験に継続して協力するほか、2月第2週にはエボラ回復者の血漿を用いる試験を開始するとしている。
2015年02月04日国際女性デーを迎えた3月8日。世界では、依然として数多くの女性が出産時に命を落としている。国境なき医師団(MSF)は、その現状を訴える 報告書『妊産婦の死:救えるはずの命』 を本日発表し、緊急的・恒常的危機に直面している妊婦に救急産科医療を提供することで、その命をより救うことができると説明している。 MSFは、妊婦が必要とする医療の提供に取り組んでおり、世界中で危機的状況におかれた数多くの妊婦にとって救急産科医療が圧倒的に不足している現状を訴える。この報告書では、MSFが活動するパキスタン、ソマリア、南スーダン、ハイチなどの12ヵ国の妊婦がおかれている状況を分析し、特に合併症が起きた場合の緊急医療ケアの必要性を強調している。MSFの婦人科医療顧問、カーラ・ブラックバーンは話す。「世界全体の妊婦のうち15%が、命にかかわる合併症を併発しています。シドニー、ポルトー・プランス、モガディシオなど、どこの国であろうと、合併症が起こったときには適切な救急産科医療が必要になります。これは、国際都市の設備の整った病院や、紛争地、難民キャンプ、壊滅的な被災地など、どんな状況でも同じです」現在、世界では毎日平均で約1000人の女性が、分娩時や妊娠合併症によって命を落としている(※1)。しかし、資格をもつ助産師の介助や適切な薬、設備された環境があれば、このような母と子の命は救うことができる。妊産婦死亡の大半は、出産の直前・最中あるいは直後に起こる予測不可能な合併症が原因であるため、分娩は母子両方の命を救う上で最も重要な局面である。MSFは緊急医療援助団体として、人道的危機にある状況下での妊産婦死亡率の低減に取り組むと同時に、命を救うための救急産科医療を無償で提供できる範囲を拡大すべく技術・物資調達面で注力している。ブラックバーンは、さらに次のように述べている。「分娩時に適切な医療ケアを行うことで妊産婦の命を救えることがわかっているにもかかわらず、今も、多くの妊産婦が出産で命を落としている状況は悲劇です。妊産婦の死亡は避けられることを、常に肝に銘じる必要があります」MSFは約30ヵ国で産科医療を提供している。2010年、MSFのスタッフは15万件以上の分娩介助を行った。(※1)出典:世界保健機関(WHO)プレスリリース提供元: PR TIMES
2012年03月09日