誰もが暮らしやすい世界に。そんな“SDGs”な考え方が、チョコレート界にも浸透中。おいしく食べることで地球規模のムーブメントにも参画できる、旬の3ブランドを紹介します。おいしいだけじゃない、「ちょっといい」チョコ。“SDGs”とは貧困や飢餓など、世界が抱える問題を解決するために設定された国際的な目標のこと。この1~2年で急速に浸透し、チョコレートの世界でもその理念に基づいた取り組みが拡大中。「農家から直接カカオ豆を買い付けてチョコレートを作る“ビーントゥバー”ムーブメントからさらに踏み込み、生産国の生活や栽培環境を積極的に守ろうというブランドが増えています」とは、チョコレートジャーナリストの市川歩美さん。「例えばより消費者の好みに合う豆を栽培してもらい、良質のチョコレートを作って、その利益を農家にフィードバックする。互いにプラスになる、良い循環を生み出そうという動きが活発です」今回は早くからSDGsに取り組む国内大手メーカーから、現地に根ざす小規模の作り手まで、いま注目の3ブランドをご紹介。「フランスのヴァローナ社のように、昔からサステナブルな活動を続けながら、それを大々的に謳わないチョコレートブランドも多数あります。気になるチョコレートがあったら、ぜひウェブサイトで情報を確かめてください」支援を続ける産地の名をそのまま冠した新ライン。明治ザ・チョコレートベネズエラ カカオ70¥220(参考小売価格)カカオの個性をそのまま味わえると人気の「明治 ザ・チョコレート」から、産地名を冠した新ラインナップが登場。写真の〈ベネズエラ カカオ70 〉はコーヒーやアーモンドのようなナッティな香り。ほかにフルーティな〈ブラジル カカオ70〉など全4種。ワインのように産地の違いを楽しめる。明治お客様相談センター TEL:0120・041・082カカオ生産国の支援を、世界8か所で展開。良質なカカオ豆の調達と農家の収入の安定を目指し、国内大手メーカーとして初めてビーントゥバーチョコレートを展開した明治。約15年前から始まった「メイジ・カカオ・サポート」では、カカオの栽培やカカオ豆の発酵法の学びの場を設けるほか、井戸の整備や、学校備品の寄贈などで、生産地の農家の支援を続けている。貴重なローカルカカオとバナナの、濃厚なスイーツ。CACAO HUNTERS Plus(カカオハンターズプラス)オムレットチョコバナナ1個¥400コロンビアに移住してチョコレートを作る「カカオハンター(R)」の小方真弓さんが、JR東日本フーズと共同開発した初の実店舗をオープン。カラメルのような香りの、コロンビアのトゥマコ産カカオとバナナを取り合わせたオムレットは、優しくも濃厚な味わい。テイクアウトは3個から箱入れ可。グランスタ東京内TEL:03・5218・7031農家を支える仕組みを、現地に移住して構築。小方さんとコロンビアのチームが共同で立ち上げたのが、「カカオハンターズ」。カカオの栽培指導から選定、発酵、輸出入やチョコレート製作まで一貫して行い、稀少な固有種の保全にも力を注ぐ。カカオの果実としてのおいしさもぜひ知ってほしいと、東京駅構内の店舗では、カカオの果肉を使ったジェラートなども展開中。話題の新ブランドは、パッケージもサステナブル。OVEN.Y.(オーブンニューヨーク)チョコレートサンドイッチクッキー5個入り¥980(税込み)エシカルなチョコレートを取り入れるショコラティエ・江口和明さんが、NYの伝統的な焼き菓子にインスパイアされて立ち上げた新ブランド。パッケージもエコフレンドリーを意識した。ブラックココアの生地とホワイトチョコレートガナッシュのクッキーは、スタイリッシュな見た目も人気。伊勢丹新宿店TEL:03・3352・1111(大代表)市川歩美さんチョコレートジャーナリスト、ショコラコーディネーター。チョコレートに関わる人・事を国内外で取材し、情報を常に発信。今回紹介したブランドの多くについても、リコメンドを寄せてくれた。※紹介している商品は、掲載アドレス以外に直営ブティックやオンラインショップでも購入可能。ショップや施設の営業時間が変更になる場合があります。※『anan』2020年1月20日号より。写真・中垣美沙スタイリスト・荻野玲子取材、文・新田草子(by anan編集部)
2021年01月15日女優・のんが29日、都内で開催された「ジャパンSDGsアクション」記者発表会にリモートで出演した。日本におけるSDGs(持続可能な開発目標)のさらなる認知拡大と、SDGsの行動につながる取り組みの推進を目的に「ジャパンSDGsアクション推進協議会」が発足。同協議会では、コロナ禍と今後の社会において“私たち一人ひとりの行動が未来につながる”をコンセプトに掲げ、日本のSDGsアクションを推進する官民連携プロジェクト「ジャパンSDGsアクション」をもとに、さまざまな活動を予定している。のんは、主体的にSDGs活動の情報発信をしていく“SDGs People”の第1号に抜てきされ、「すごく光栄に思っています」とコメント。「私は洋服を作ることが好きなんですけど、着なくなった服とかを捨てられなくてリメイクして自分に似合うようにしたりとか、衣装とかで着た服を重ね合わせてやったり、なるべく洋服を捨てないようにしています」と話し、「いろいろ好奇心旺盛に活動しています」と笑顔を見せた。今回、“SDGs People”に選ばれて初めてSDGsを認識したというのん。「自分の身の回りでやっていたことが実はつながっていたのかもというのがみんなの中にあるんじゃないかという気もしていて、そういうのを認識するとSDGsのことがもっと広まっていくのかなと思っています」と語った。のんは、SDGsをわかりやすく伝えるキャラクターも手掛けるという。「絵のお仕事もさせていただいているんですけど、今回キャラクターを描かせていただくということで、頑張ります!」と意気込み、「ロゴとかがカラフルだったりするので、いろんな色を使いたいなと。地球が元気になるような感じがいいですよね」と話した。同記者発表会には、外務大臣政務官の中谷真一氏、神奈川県知事の黒岩祐治氏、ジャパンSDGsアクション推進協議会会長の蟹江憲史氏、お笑いジャーナリストのたかまつなならも出席した。
2020年07月29日自分には関係ない?…いえ、あるんです!知ってますか?未来を変える目標。SDGs(エスディージーズ)について、ジャーナリスト・堀 潤さんが解説してくれました。2030年実現に向けて掲げた17の目標貧困や環境、人権などのテーマに関わるが、世の中のほぼすべての課題を網羅している。注目すべきは12の「つくる責任 つかう責任」など、企業だけでなく、消費者にも自分の問題として考えることを促していることだ。1、貧困をなくそう2、飢餓をゼロに3、すべての人に健康と福祉を4、質の高い教育をみんなに5、ジェンダー平等を実現しよう6、安全な水とトイレを世界中に7、エネルギーをみんなに そしてクリーンに8、働きがいも経済成長も9、産業と技術革新の基盤をつくろう10、人や国の不平等をなくそう11、住み続けられるまちづくりを12、つくる責任 つかう責任13、気候変動に具体的な対策を14、海の豊かさを守ろう15、陸の豊かさも守ろう16、平和と公正をすべての人に17、パートナーシップで目標を達成しよう17の目標のうち、日本が抱える課題は…。SDGsは、17の目標が掲げられていますが、それぞれさらに細かく169のターゲットが設定されています。たとえば目標1の「貧困をなくそう」には、「1日1.25ドル未満で生活する人々、極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」、目標4の「質の高い教育をみんなに」には「全ての若者が、読み書き能力および基本的計算能力を身に付けられるようにする」というようなことが盛り込まれているのです。全項目を数値化し、毎年、世界のSDGs達成度ランキングが発表されています。2019年時点で日本は162か国中15位。ちなみに2017年は11位、’18・’19年は15位に落ちてしまいました。上位3位はデンマーク、スウェーデン、フィンランドなどの、北欧の国々が占め、フランスやドイツが10位以内にランクインしており、アメリカは35位です。日本は、ペットボトルのリサイクル率はとても高いですし、経団連をはじめ、企業がSDGsの目標を掲げていることはとても評価されています。また、「技術革新を進めようとしている姿勢は好ましい」とも言われています。一方、日本の課題と指摘されているのは、5の「ジェンダー平等」、12の「つくる責任つかう責任」、13の「気候変動への具体的な対策」、17の「パートナーシップでの目標達成」などです。ジェンダー問題はなかなか深刻です。まず女性の国会議員が少なく、男女の賃金格差も広がっています。家事やサービス残業など、無償労働も女性に多く負荷がかかっているのが現状です。高等教育を受けた女性の数はOECD先進各国のなかでも、ダントツに多いのに、学んだ専門を仕事に生かしていない率が高い。「女の子なんだから、勉強しなくてもいい」という古い考え方がまだ残っているところがあるからです。これは制度だけの問題ではなく、個々の意識にも大きく関わること。ジェンダー教育そのものを根本から考える必要がありそうです。気候に関する問題としては、日本では近年、大型台風や豪雨災害に見舞われていますね。これらもCO2による気候変動の影響だろうといわれています。川が氾濫し、被害が甚大化したのは、昔のように山を手入れしていないせい。木々の根が細っていたところに、雨によって地盤が崩れて木が倒れる。土砂崩れにより、木々は流され、やがて川をせきとめ、川の水があふれて堤防が決壊してしまったのです。これは11の「住み続けられるまちづくり」や15の「陸の豊かさを守る」にも関わる事柄ですね。また、近年とりざたされている働き方改革問題。不名誉なことに、過労死は英語の名詞(karoshi)にまでなってしまいました。働きすぎを抑え、ワークライフバランスをとろうと努力していますが、日本はこの対策を安易な方法で解決しようとしているので警戒が必要です。不足する働き手を、外国からやってきた人たちでまかなおうとしており、特定技能制度を設けました。しかし、労働条件は悪いまま。日本人だけのための「働き方改革」になっていないか、不平等になっていないか。日本は難民認定率も極めて低く、申請者の1%未満です。難民申請が認められず、強制退去処分になった人たちが、まるで拘置所のような東京出入国在留管理局に何年も収容されています。この扱いは非人道的ではないかと、国連から注意もされているのです。SDGsの17の目標すべてを考えようとしても無理ですから、それぞれが自分にできることをしていけばよいと思います。ただ、自分の行動が、誰かに負荷をかけていないか、何をするときにも想像してみることは大事だと思います。食品ロスに加担していないか、資源の無駄遣いをしていないか。たとえば難民問題など、自分には関係ないと無関心でいることは、間接的にSDGsに反した行為かもしれません。自分で行動を起こすのは大変ですが、SDGsのアクションを起こしている現場はたくさんあります。NPOやNGOの現場はたいてい資金不足に悩んでいますから、賛同するアクションをしている人たちを応援することも立派なSDGs。支えてあげてほしいなと思います。堀 潤さんジャーナリスト。1977年生まれ。兵庫県出身。元NHKアナウンサー。自ら立ち上げた投稿型ニュースサイト「8bitNews」ほか、テレビ、ラジオ、SNS等で情報を発信。監督した映画『わたしは分断を許さない』が上映中。※『anan』2020年4月8日号より。写真・小笠原真紀イラスト・サヲリブラウン取材、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年04月05日世界中の人々が、未来へより良く暮らし続けていくために必須な目標、SDGs(エスディージーズ)。…って、そもそも何のこと?成り立ちや内容、私たちの普段の生活との関わりまで、anan目線で楽しく学びます。教えてくれたのは、ジャーナリスト・堀 潤さんです。先進国も途上国も皆が豊かな社会にするために。SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、「持続可能な開発目標」と訳されます。いま世界では環境破壊、紛争、格差など、様々な問題が起きています。このまま放っておけば、経済が立ちゆかなくなり、格差はますます広がり、生きづらくなる一方です。事態を改善するために、政治経済、環境、教育など多岐にわたる17の目標を設定して、2030年までに加盟国の193か国が協力し合い、達成を目指しましょうと、2015年9月に国連サミットで採択されました。実はSDGsには前身となる「MDGs(Millennium Development Goals)=ミレニアム開発目標」があります。2000年に開かれた国連サミットで、8つの目標を掲げ、2015年のゴールを目指しました。これが成果を示し、10億人以上の人が極度の貧困から脱することができ、子供の死亡率も半分以下に。エイズ感染件数は約40%減らすことができました。ただ、一部の地域で置き去りにされる人たちが出てきてしまい、根本解決には、開発途上国と先進国の両方が協力し、「持続可能」であることが必須だろうとSDGsが生まれたのです。これを後押しするように、2015年の12月には気候変動に関する歴史的合意がなされました。パリ協定です。環境のために、温室効果ガスを減らそうとする先進国と、「さんざん排出しておいて、これから成長しようとする俺たちの開発を止めるのか」という途上国の間で対立していたのですが、ここで削減に向け、合意が叶ったのです(残念ながら後年、アメリカは脱退)。SDGsの必要性を世界が実感した、象徴的な出来事は2013年にバングラデシュで起きた縫製工場の入ったビルの倒壊事故でしょう。低賃金、劣悪な環境で働かされていた労働者が、ビル倒壊により1000人以上が死亡、2500人以上が負傷したにもかかわらず補償もありませんでした。世界のファストファッションが、このように虐げられた労働者たちに支えられていたことが明らかになり、業界の意識を変えるきっかけになりました。SDGsの大事なポイントは、単なる社会貢献ではないということです。豊かになることを我慢する、ミニマリストを目指すものではありません。それでは長続きしません。ちゃんと利益をあげ、環境にも人にも優しく、途上国も先進国もwin‐winの仕組みを知恵を働かせて実現させようというもの。金融業界は、環境や社会、企業管理に配慮した企業経営や投資をすすめる「ESG投資」を謳い始めました。これにより産業界も積極的にSDGsに取り組んでいるのです。堀 潤さんジャーナリスト。1977年生まれ。兵庫県出身。元NHKアナウンサー。自ら立ち上げた投稿型ニュースサイト「8bitNews」ほか、テレビ、ラジオ、SNS等で情報を発信。監督した映画『わたしは分断を許さない』が上映中。※『anan』2020年4月8日号より。写真・小笠原真紀イラスト・サヲリブラウン取材、文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2020年04月04日