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目前に迫った日米貿易協定の締結。じつはこの協定によって、日本の食と安全が危機的状況に追い込まれる。特に懸念されるのが“ホルモン牛”によるがん激増のリスクだ。「今回の日米貿易協定は、米国が欲しいものだけを取って、日本は失うだけの結果に終わりました。トランプ大統領は日本に対し、現在2.5%の自動車の輸出関税(乗用車)を“25%まで引き上げる”と脅してきました。日本はそれを避けるために“それ以外のことはすべて受け入れます”という交渉をしてしまったのです」こう語るのは、『食の戦争米国の罠に落ちる日本』(文藝春秋)の著者である、東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授だ。’15年、日本と米国を含む12カ国で合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)。’17年にトランプ大統領が誕生したことで、米国は一方的にTPPを離脱し、日本に2国間の貿易協定を結ぶように迫ってきた。「すでに発表されている日米貿易協定の合意内容によると、米国産牛肉にかけられている関税を現行の38.5%から段階的に9%まで引き下げられることになります。さらに、豚肉は低価格品の従量税を現行の1キロ482円から段階的に50円まで下げ、高価格品の関税は現在の4.3%から最終的には撤廃されます」(鈴木教授)政府は日米貿易協定の内容が「TPP水準」であることを強調しているが、TPPに盛り込まれている自動車の関税の将来的な撤廃は見送りに。さらに、中国との関係悪化で、米国内でだぶついているとうもろこし250万トンを購入させられるというオマケもついた。まさに日本は一方的に“失うだけの結果”に終わったのだ。「貿易交渉では農林水産省は完全に排除されました。今の安倍政権を裏で動かしているのは経済産業省。自分たちの天下り先である自動車、鉄鋼などの関連産業を守り、利益を増やすためだけに、食料や農業分野を米国に差し出してしまったのです。ほかにも乳製品、小麦、大豆など、米国産農産物への市場開放が一層進むことは避けられない事態になっています」(鈴木教授)米国産牛肉の関税が大幅に引き下げられると、これまで以上に輸入量は増え、低価格の米国産牛肉が国内市場で大量に売られることになる。そこで懸念されるのが、“ホルモン牛”問題だ。ハーバード大学の元研究員で、ボストン在住の内科医である大西睦子さんが解説する。「1950年代から、米国のほとんどの肉牛にエストロゲンなどのホルモン剤が投与されています。これらのホルモンが、牛肉に残留していた場合、発がん性が懸念されるのです。とくにエストロゲンの一種、エストラジオールの発がん性については、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がんのリスクを上昇させることが、疫学的に証明されています」(大西さん)米国ではじつに90%以上の肉牛に“肥育ホルモン剤”と呼ばれるホルモンが投与されているという。この薬剤を使うと牛は早く太り、普通に飼育した牛よりも数カ月も早く出荷できる。肥育ホルモン剤は日本国内で育てられる肉牛には使用されていないが、これを使用した牛肉はすでに米国内から輸入されており、市場に多く出回っている。環境・食品ジャーナリストの天笠啓祐さんが語る。「肥育ホルモン剤が牛肉に微量でも残留したまま体内に取り込まれると、内分泌系がかく乱されて、さまざまな健康被害が起きやすくなる危険性があります。自律神経系や免疫系にも影響を及ぼす。とくに危険性が指摘されているのが、乳がんです」ヨーロッパでは、’88年に当時“成長ホルモン剤”と呼ばれていたこれらの薬剤の使用を禁止。’89年からはホルモン剤が使用された牛肉の輸入を全面禁止した。「EUは今でも輸入禁止です。米国も圧力をかけていますが、危険性が疑われるものは輸入しないという方針を貫いている。だから米国にとって日本は、いい市場だということです」(天笠さん)“米国産ホルモン牛”の輸入を禁止してから7年で、EU内で乳がんの死亡率が、多い国では45%減ったという研究報告が学会誌に出たこともある(アイスランドはマイナス44.5%、イングランド・ウェールズはマイナス34.9%、スペインはマイナス26.8%、ノルウェーはマイナス24.3%)。’09年、日本癌治療学会で「牛肉中のエストロゲン濃度とホルモン依存性癌発生増加の関連」という研究発表が話題になった。市販の和牛と米国産牛のエストロゲン残留濃度を計測して比較。その結果、赤身部分で米国産牛肉は和牛の600倍、脂身では140倍のエストロゲンが残留していることがわかったのだ。調査を行った、北海道対がん協会の理事兼細胞診センター所長・藤田博正さんが振り返る。「数値が出たとき、EUが米国産牛肉を輸入禁止にしている理由がわかりました。牛肉のエストロゲン濃度と、がんが直接関連するかどうかは、まだわかっていないことが多い。しかし、発がんリスクを高める要因となる可能性があり、安全性が証明されていない以上、私は米国産牛肉を食べないことにしています」肥育ホルモン剤が使われていない国産牛肉や豚肉を食べればいいと思うかもしれないが、現在国産牛肉の自給率は36%、豚肉は48%と、国内生産は年々減少傾向である。前出の鈴木教授は、関税の引き下げで自給率はさらに下がると警鐘を鳴らす。「私の研究室では、このままだと’35年に牛肉の自給率が16%。豚肉の自給率は11%にまで下がると試算しています。このまま自給率が下がれば、スーパーなどの食品売場には、輸入品だらけの状態になるでしょう」牛肉、豚肉に限らず、安全な食品が“ほとんどない”状態が目前に迫っているという。「米国の乳製品もこれから国内にどんどん入ってきます。米国の乳牛には、エストロゲンとは別の遺伝子組み換えのホルモンが投与されています。このホルモンも、乳がん発症リスクを何倍も高めるという論文があります。輸入が増えれば、国内の生乳、乳製品はますます売れなくなり、酪農家が廃業に追い込まれる。すると、国産のものが減り、米国産の乳製品がさらに市場を席巻することになりかねない」(鈴木教授)私たち消費者はどうするべきなのだろうか。「まず、今後も続いていく日米の貿易交渉の実態を知ること」だと、鈴木教授は言う。“自動車”と引き換えに、これ以上“食の安全”が売り渡されないために、米国との交渉を国民が注視していく必要があるのだ。
2019年10月02日「今回の日米貿易協定は、米国が欲しいものだけを取って、日本は失うだけの結果に終わりました。トランプ大統領は日本に対し、現在2.5%の自動車の輸出関税(乗用車)を“25%まで引き上げる”と脅してきました。日本はそれを避けるために“それ以外のことはすべて受け入れます”という交渉をしてしまったのです」こう語るのは、『食の戦争米国の罠に落ちる日本』(文藝春秋)の著者である、東京大学大学院農学生命科学研究科の鈴木宣弘教授だ。’15年、日本と米国を含む12カ国で合意した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)。’17年にトランプ大統領が誕生したことで、米国は一方的にTPPを離脱し、日本に2国間の貿易協定を結ぶように迫ってきた。「すでに発表されている日米貿易協定の合意内容によると、米国産牛肉にかけられている関税を現行の38.5%から段階的に9%まで引き下げられることになります。さらに、豚肉は低価格品の従量税を現行の1キロ482円から段階的に50円まで下げ、高価格品の関税は現在の4.3%から最終的には撤廃されます」(鈴木教授)政府は日米貿易協定の内容が「TPP水準」であることを強調しているが、TPPに盛り込まれている自動車の関税の将来的な撤廃は見送りに。さらに、中国との関係悪化で、米国内でだぶついているとうもろこし250万トンを購入させられるというオマケもついた。まさに日本は一方的に“失うだけの結果”に終わったのだ。「貿易交渉では農林水産省は完全に排除されました。今の安倍政権を裏で動かしているのは経済産業省。自分たちの天下り先である自動車、鉄鋼などの関連産業を守り、利益を増やすためだけに、食料や農業分野を米国に差し出してしまったのです。ほかにも乳製品、小麦、大豆など、米国産農産物への市場開放が一層進むことは避けられない事態になっています」(鈴木教授)米国産牛肉の関税が大幅に引き下げられると、これまで以上に輸入量は増え、低価格の米国産牛肉が国内市場で大量に売られることになる。そこで懸念されるのが、“ホルモン牛”問題だ。ハーバード大学の元研究員で、ボストン在住の内科医である大西睦子さんが解説する。「1950年代から、米国のほとんどの肉牛にエストロゲンなどのホルモン剤が投与されています。これらのホルモンが、牛肉に残留していた場合、発がん性が懸念されるのです。とくにエストロゲンの一種、エストラジオールの発がん性については、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がんのリスクを上昇させることが、疫学的に証明されています」(大西さん)米国ではじつに90%以上の肉牛に“肥育ホルモン剤”と呼ばれるホルモンが投与されているという。この薬剤を使うと牛は早く太り、普通に飼育した牛よりも数カ月も早く出荷できる。肥育ホルモン剤は日本国内で育てられる肉牛には使用されていないが、これを使用した牛肉はすでに米国内から輸入されており、市場に多く出回っている。「規制緩和、自由貿易を名目に、危ない牛肉や豚肉、そして農産物がどんどん輸入されてくる。このままでは国内生産者が減り、現在も37%ほどしかない日本の食料自給率(カロリーベース)が近い将来に10%台になってしまう可能性も。そうなってからではもう手遅れなのです。自分や家族の命を守るために、国内で安全安心な農作物を作っている生産者を見つけて、買い支えていくべきでしょう」(鈴木教授)
2019年10月02日「与党が消費税10%の増税を掲げる一方、それに野党はオール反対とわかりやすい選挙でした……。この選挙結果は、格差が急激に拡大する最悪のシナリオの序章になるかもしれません」こう語るのは、経済アナリストで獨協大学経済学部教授の森永卓郎さんだ。7月21日に投開票が行われた参議院選挙で与党が多数を占めた。これにより10月から消費税は8%から10%に引き上げられることがほぼ確実となった。「安倍晋三首相は選挙中もアベノミクスによる経済成長の実績を強調していましたが、その実態は、格差を拡大させただけです」そう語るのは、立命館大学経済学部教授の松尾匡さん。社会保障や介護・教育分野などに大胆に政府支出を求める「反緊縮」を唱えてきた松尾さんが、こう続ける。「安倍政権になってから“世界でいちばん企業が活躍しやすい国”とのスローガンを掲げ、大企業に有利な政策を始めました。’90年代には5割だった法人税の税率が、’18年には3割を切るまで引き下げられました。所得税においても富裕層に対する優遇措置をおこない。’70年代に75%だった最高所得税率は、安倍政権になって45%になっています。その一方、5割を超える人が“生活が苦しい”と答えています。アベノミクスが、富裕層と庶民の格差を大きくさせてきたのは明らか。しかも、参院選の結果を受けて、これまでの政策はこれからも続くでしょう」今後、その格差が広がっていくのは確実だと森永さんはみている。「1億1,000万円以上投資可能の資産を持つ億万長者は急増し、’17年に国内に約316万人。その数は前年から9.4%も増えており、今後も増加していくことが予想されます。ところが庶民の実質賃金は累積で4%下がっています。富裕層が庶民の所得を奪う形で、いっそう、金持ちになっていくでしょう」持てる者と持たざる者の差が開いていく状況をさらに悪化させるのが、アメリカとの貿易交渉だという。元・神戸大学大学院教授で「暮らしと経済研究室」主宰の山家悠紀夫さんが語る。「再選を目指し、これから本格的に選挙戦を繰り広げるトランプ大統領としては、日米貿易交渉での成果を自国民に示したいところ。一方、トランプ大統領に参議院選挙の影響を考慮されて“参院選後にやろう”と交渉を延ばしてもらった安倍首相。勝敗はおのずと見えています」森永さんも、日米貿易交渉の見通しは暗いと警鐘を鳴らす。「昨年9月の日米首脳会談のあと、安倍首相は“ウインウインの関係を築く合意”だと自賛しましたが、実態は惨敗です。アメリカが日本から輸入する自動車に25%の関税をかけると脅され、日本はTPP(環太平洋経済連携協定)に参加する国と同じ水準まで関税を下げることを約束してしまったのです。日本は自動車を守るために、農業を生け贄に差し出すことになるでしょう。アメリカから安い農産物が入ってくるようになれば、日本の農業や畜産業は壊滅してしまいます」日米貿易交渉によってもたらされる格差は経済だけではないと松尾さんが語る。「農業が立ちゆかなくなると、地方はますます疲弊します。若者は都会を目指し、東京の一極集中が進むことに。安倍政権が頼みの綱にする東京五輪も地域格差を拡大します。東京オリンピック・パラリンピックまでは、首都圏に人も仕事も集中。東京にいると、しばらくの間は、消費増税の景気の落ち込みは感じにくいかもしれません。しかし、五輪特需の恩恵を受けられない地方経済は衰退に拍車がかかります」
2019年07月25日口利きの見返りに金銭を授受したとの疑惑で経済再生担当相を辞職した自民党・甘利明氏(69)が6月16日、自身のTwitterで自撮り動画をアップ。動画には「GOOD VIBES ONLY」「FRESH」「#甘利です」ともつづられており、「その前にすることがあるのでは?」と批判の声が上がっている。甘利氏はTwitterで《今孫とご飯を食べてます 初めて自撮りをやってみました》と投稿。動画では「インカメして自撮りしてます。結構まあまあに映ってるね。捨てたもんじゃない。甘利です」と笑顔で語っている。甘利氏といえば建設会社から口利きを依頼され、見返りに金銭を受け取ったのではとの疑惑を16年1月に週刊文春で報じられた。記録が残っているだけでも、甘利氏や秘書は金銭や接待として1,200万円を受け取ったとされている。辞任会見で甘利氏は自身が50万円を2回受け取ったことを認めながらも、違法性を否定。また「秘書が疑惑を招いていることについての監督責任をとって辞任する」と発言し、さらに「調査結果をしかるべきタイミングで公表する」とコメントした。しかしその直後、睡眠障害を理由に国会を約4カ月欠席。そして半年も立たない同年6月、国会が閉じたタイミングで復帰している。「甘利氏は安倍晋三首相(64)の盟友ともうたわれている人物。TPP交渉の大筋合意にこぎつけるなど、政権に大きく貢献しました。とはいえ口利き疑惑の直後にいなくなり、国会閉会直後に復帰。その姿に野党からは『厚顔無恥』と非難の声も上がっていました。あれほど国会を騒がしたにも関わらず甘利氏は『不起訴処分になった』『刑事事件になっていない』などと話し、いまだ疑惑について説明らしい説明は何もしていません」(全国紙記者)甘利氏は18年10月から、自民党・選挙対策委員長となった。今年4月、自身のホームページで選挙対策のためにネットメディアを注視するとして「音楽やダンスやファッションやスポーツ、誰もが身近に感じるように政治を身近に感じてもらいたいと思います」とつづっている。今夏に参院選を控えるなかで「政治を身近に」するため、今月1日からTwitterを活発に更新している甘利氏。その内容は自身がツイートする様子を動画でアップしたり、カフェオレを飲みながらハズキルーペの話をしたりと話題が尽きない。また6月7日には南海キャンディーズ・山里亮太(42)と蒼井優(33)の結婚を祝福するツイートもしている。甘利氏のフォロワー数は2万6,000人。しかし更新のたびに「疑惑について説明しろ!」との声があとを立たない。16日にアップした自撮りにもこんなリプライが届いている。《定期的に賄賂の件リマインドしてくれてありがとうございます。説明をお待ちしています》《こうやって「ほのぼのムードのいいおじいちゃん」を演出しても、私達は貴殿の収賄疑惑の件をわすれていませんよ》《選挙前の「親近感」を植えつけようとする行為が見え見え。そんなことをする前に「国民への説明責任を果たしてください。」》
2019年06月19日「小麦は政府が海外から輸入し、それを各メーカーに割り振っています。輸入小麦を使っているかぎり、どのメーカーの小麦からも検出される可能性があります」そう言って、測定結果を示すのは、「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」の小野南海子さん。小野さんと「日本消費者連盟」の纐纈美千世さんたちがスーパーで販売されている、大手製粉会社の「日清フーズ」「日本製粉」「昭和産業」3社の小麦製品を調査したところ、12商品中5つから除草剤「ラウンドアップ」の主成分であるグリホサートが検出された。WHO(世界保健機関)の専門組織、国際がん研究機関は、グリホサートの発がん性を認めている。「私たちは、日々、パンやうどん、パスタ、お菓子などを食べています。さまざまな食材の原料に使われているそのような小麦製品から除草剤グリホサートの成分が、微量ながら検出されました。厚労省が定めている残留基準値以下なので違法ではありませんが、毎日のように口にするものなので、安全とは言い切れません」(纐纈さん)アメリカで食の安全を訴えている「デトックス・プロジェクト」の調べでは、小麦を使用したさまざまなスナック菓子からもグリホサートが検出された。加熱しても分解されにくいことがわかる。「昨年は、グリホサートが原因で悪性リンパ腫を発症した、という米カリフォルニア州の男性の訴えを裁判所が認め、発売元のモンサント社(現・バイエル社)に対し、約320億円(その後、約87億円に減額)の支払いを命じる判決も出ています。アメリカでは、同様の裁判が約8,000件も起きているのです」(纐纈さん)こうした事態を受け、アメリカの一部のスーパーやホームセンターでは、店頭からグリホサートの成分を含む除草剤を撤去する動きが出ている。ヨーロッパでも使用を規制する動きが高まっている。今回、製粉メーカー大手3社の製品から、グリホサートが検出されたが、すべての小麦製品を調べたわけではない。また、残留農薬を測定している農民連食品分析センター(以下、農民連)によると、グリホサートが検出されたのは小麦だけではない。「フランスをはじめ、日本が世界中から輸入しているワインからも、ごく微量ながらグリホサートが検出されています。ぶどう園や、りんご、なし園などでも除草剤として散布されているからです。それが果肉にも付着したのでは」(農民連・八田純人さん)ほかにも、なたね油の搾り殻や、飼料の綿実などからも、グリホサートが検出されていた。気になるのは、人体への影響だ。国際農薬監視行動ネットワークアジア・太平洋(以下、PAN)の日本代表で、元・国際基督教大学教授の田坂興亜さんは、こう警鐘を鳴らす。「発がん性以外にも、リスクが指摘されています。グリホサートは、“内分泌攪乱物質”のひとつとして指摘されており、子宮内に入ると、胎児の男性ホルモンの働きを阻害するのです」PANが’16年に出版した報告書がある。そこには、マウスの実験で米国政府が大豆にグリホサートの残留基準として設定している濃度の40分の1である0.5ppmであっても、アンドロゲン(男性ホルモン)の働きを阻害したという研究論文が紹介されている。「そうなると、精子数の減少といった問題にもつながる可能性が。今回、測定した小麦から検出された値は、0.5ppmより高いものもありますから、人間に対しても、影響がないとは言いきれません。脳科学者の黒田洋一郎氏は、グリホサートは強い神経毒性を持っているので、発達障害の一因になっている可能性があると語っています」(田坂さん)厚労省は’17年12月にグリホサートの残留基準を引き上げた。小麦で6倍の30ppmに、品目によっては400倍に、である。元農林水産大臣で弁護士の山田正彦さんは、理由をこう語る。「’18年末に発効されたTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に加盟するため。TPPでは、貿易の障壁を取り除くために、残留農薬や食品添加物の基準は、世界的な食品規格である“コーデックス基準”に合わせることになっています。しかし、このコーデックス基準がくせもので、決定する構成員の大半がグローバル企業の代表者ですから規制基準が甘いのです」TPPは、太平洋に面する国々による自由貿易を推進する協定。貿易の支障になる物品の関税を下げたり、企画に有利になる知的財産権を強化したりしている。山田さんは、厚労省が残留基準値を引き上げたのも、グローバル企業が貿易しやすくするためで「ここまでなら安全」という基準値ではない、と警鐘を鳴らす。厚労省に見解を求めたところ、「基準値の改正を行った際、ウェブサイトに詳細な説明を公表しているので参照してほしい」という回答があった。公表資料を見ると、次のようなものだった。「内閣府食品安全委員会が行った食品健康影響評価によると、グリホサートには、神経毒性、発がん性等は認められなかったとされています。残留農薬については、科学的知見に基づく評価が行われ、人がその物質を一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量が設定されています」
2019年01月18日TPPで海外から安い農産物が入ってくる。しかしそれは安全なのか、国産の農作物はどうなるのか。食べ物以外にも国民の生活を損ねかねない要素があるという――。「厚労省は、アメリカの裁判で発がん性が認められたモンサント社(現・バイエル社の子会社)の除草剤、ラウンドアップの主成分“グリホサート”の残留基準を’17年末、小麦で6倍、とうもろこしは5倍、品目によっては400倍に引き上げました。TPP(環太平洋パートナーシップ協定※)に沿うよう国内法を改正したのです。こうしたリスクの高い農産物が、’19年から多く入ってくるようになります」そう話すのは、元農林水産大臣で弁護士の山田正彦さん。TPPは、太平洋に面する国々による自由貿易を推進する協定。貿易の支障になる物品の関税を下げたり、企業に有利になる知的財産権を強化する内容だ。経済成長につながると日本政府は主張するが、さまざまな問題が指摘されている。とくに注意が必要なのは「食のリスク」。山田さんは続けて言う。「懸念されるのは、残留農薬だけではありません。家畜に使う成長ホルモンや抗生物質も心配です。TPPでは、自国で決めていた食品の安全基準を、世界的な食品規格である“コーデックス基準”に合わせることになった。しかし、その基準では、発がん性が報告されている成長ホルモンや抗生物質の使用も認めているのです」■食品の「遺伝子組み換え表示」ができなくなるさらに深刻なのが、“遺伝子組み換え”などの表示ができなくなる可能性があること。遺伝子組み換え食品は、アレルギーを誘発する可能性などが指摘されている。「これまでは遺伝子組み換え食品については表示が義務付けられていました(食用油など、一部を除く)。しかし、TPPには製品が売れなくなる恐れがあるとして、表示する場合は遺伝子組み換え作物を生産する企業の意見を聴取してから決めることになっています」事実上、企業からのプレッシャーで、表示ができなくなる可能性が大きいという。「“遺伝子組み換えでない”という表示も見直されます。日本の消費者庁はいままで混入率が5%以下なら“遺伝子組み換えでない”と表示していた醤油や豆腐などの製品を、混入率0%のものだけ表示できるように見直しました。しかし実際、混入率を0%にするのは不可能なので、結果的に、これまで“遺伝子組み換えでない”と表示されていた商品は、非表示になる可能性が高い」(山田さん)一見、基準を厳しくしたように見えるが、実際は、消費者が知る機会を奪われることになる。■薬の価格が高騰する脅かされるのは、食の安全ばかりではない。「ジェネリック医薬品が作りにくくなり、将来的に薬価が高騰する可能性があります」そう話すのは、自由貿易に詳しいアジア太平洋資料センター共同代表の内田聖子さん。「製薬会社は特許期間が切れたらデータを開示し、後発メーカーがジェネリック医薬品を製造できるようにしなければなりません。しかし、TPPによって、バイオ医薬品のデータ保護期間が、5年から8年に延長されました。アメリカがTPPから脱退し、ベトナムなどが延長に反発したことから、この項目はいったん凍結されました」しかしもともと日本は12年に延長することを求めていた。「先進国は製薬会社のビジネスに有利にしたいのでしょう。いずれにしても高い薬を買わざるをえなくなり、患者の医療費負担が増えることになります」TPPの仕組みに、投資家保護のために企業や投資家が、国や自治体を訴えることができる、紛争解決制度(ISD条項)がある。「以前、ISD条項を使ってフランスの水道会社がアルゼンチンのサン・ミゲル・デ・トゥクマン市を訴え、数億ドルの賠償金を支払わせました。市がフランスの水道会社に運営を委託すると水質が悪化。料金も値上がりしたので、途中で契約を打ち切った結果です」企業の経済活動を活発にするためのTPP。それが生活の安定を奪うことになってはいけない。(※)参加したのはオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11カ国。アメリカは離脱。
2019年01月07日「厚労省は、アメリカの裁判で発がん性が認められたモンサント社(現・バイエル社の子会社)の除草剤、ラウンドアップの主成分“グリホサート”の残留基準を’17年末、小麦で6倍、とうもろこしは5倍、品目によっては400倍に引き上げました。TPP(環太平洋パートナーシップ協定※)に沿うよう国内法を改正したのです。こうしたリスクの高い農産物が、’19年から多く入ってくるようになります」そう話すのは、元農林水産大臣で弁護士の山田正彦さん。TPPは、太平洋に面する国々による自由貿易を推進する協定。貿易の支障になる物品の関税を下げたり、企業に有利になる知的財産権を強化する内容だ。経済成長につながると日本政府は主張するが、さまざまな問題が指摘されている。とくに注意が必要なのは「食のリスク」。■危険な成長ホルモン漬けの食肉が入ってくる「懸念されるのは、残留農薬だけではありません。家畜に使う成長ホルモンや抗生物質も心配です。TPPでは、自国で決めていた食品の安全基準を、世界的な食品規格である“コーデックス基準”に合わせることになった。しかし、その基準では、発がん性が報告されている成長ホルモンや抗生物質の使用も認めているのです」(山田さん・以下同)成長ホルモンで要注意なのがカナダ、オーストラリアなどで家畜に使用されているラクトパミンだ。「ラクトパミンをエサに混ぜて食べた家畜が中毒症状を起こしたという報告もあって、EUや中国、ロシアでは使用が禁止されています。日本は、国内の畜産には使用を認めていませんが、使用された家畜の輸入は認めてきました。TPPによる関税撤廃によって、成長ホルモンや抗生物質を打った安い肉が大量に入ってきます。そうなれば国内の酪農家は廃業に追い込まれ、消費者は国産肉を選択する余地がなくなるかもしれません」山田さんが大臣時代に試算すると、日本がTPPに参加したら、食料自給率が14%に減少するという結果が出た(’17年度で38%)。■生卵が食べられなくなる日本の食文化が損なわれる危険もあるという。「卵の生食文化があるのは日本だけです。TPP協定では、食の安全はコーデックス基準に従うことになっていて、卵の生食はサルモネラ菌で健康被害が出る恐れがあるとして流通が禁止されています」家でどう食べるかは各人の自由だろうが、外食で卵の生食は禁止される可能性が。いずれ、すき焼きを生卵につけることができなくなったり、月見うどんがなくなったりするかもしれない。(※)参加したのはオーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11カ国。アメリカは離脱。
2019年01月07日選挙後も「支持者」第一のトランプ米国大統領(72)は、他国に譲歩する余地がなさそうだ。「圧力」のターゲットになるのは、同盟国・日本も例外ではない。そこで、私たちの生活への影響を検証。「米国中間選挙では、上院で共和党が、下院で民主党が過半数を占める“ねじれ現象”が起き、下院でトランプ大統領の政策・法案が通りにくくなりました。黄色信号がともった2年後の大統領再選に向けて、メキシコ国境の壁建設やTPP離脱などの際に使った“大統領令”という絶大な権限で、議会を通さず強引に政策を推し進めるでしょう」こう予測するのは、第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣さん。『日本が売られる』(幻冬舎新書)の著書もある、国際ジャーナリストの堤未果さんも、同様の意見だ。「トランプ氏に対し、好き嫌いは大きく分かれますが、現実として米国内の景気が非常に好調で、生活が楽になったことへの評価は高い。他国に批判されようが、今まで以上にアメリカファーストを貫くはずです」(堤さん)“強固な信頼関係”の同盟国・日本も、ターゲットになる。専門家に、今後の日本への影響を占ってもらった。■原油価格高騰の影響は?「トランプ政権は核合意の離脱を表明し、イランに原油禁輸という経済制裁をしています。さらなる強硬姿勢に出たら、現在、一時的に適用除外の日本も、イランから輸入できなくなるかもしれません」(永濱さん)供給元が断たれれば、原油価格は高騰。あらゆるモノの値段に反映される。「漁船の燃料が上がるので魚も値上がりするし、農作物、とくにトマトやきゅうりなどのハウス野菜も値上げ対象に。牛や豚の飼料も輸送コストが上乗せされたタンカーによって運ばれてきますので、国産の肉や乳製品の価格にも影響がでます。クリーニング代、海外旅行の際の燃油サーチャージにも転嫁されるでしょう」(永濱さん)■米中貿易戦争でネット通販商品が高騰!関税をめぐる、制裁・報復合戦をくりかえす米中貿易戦争も懸念材料だ。経済評論家の平野和之さんが語る。「中国に覇権を奪われないよう、米国が矛を収めることは、あまり期待できません。影響は生活用品にも及びます。たとえば中国は段ボールを米国から輸入していましたが、貿易戦争の一環で、関税を上げて価格が高騰した。そのため日本から大量に仕入れています。いまでも高値傾向の段ボールの数が減り、さらに高騰を招く……。原油価格高による輸送コスト増も重なり、ネット通販の商品の値段にも影響が出てきそうです」(平野さん)
2018年11月15日「米国中間選挙では、上院で共和党が、下院で民主党が過半数を占める“ねじれ現象”が起き、下院でトランプ大統領(72)の政策・法案が通りにくくなりました。黄色信号がともった2年後の大統領再選に向けて、メキシコ国境の壁建設やTPP離脱などの際に使った“大統領令”という絶大な権限で、議会を通さず強引に政策を推し進めるでしょう」こう予測するのは、第一生命経済研究所・首席エコノミストの永濱利廣さんだ。『日本が売られる』(幻冬舎新書)の著書もある、国際ジャーナリストの堤未果さんも、同様の意見だ。「トランプ氏に対し、好き嫌いは大きく分かれますが、現実として米国内の景気が非常に好調で、生活が楽になったことへの評価は高い。他国に批判されようが、今まで以上にアメリカファーストを貫くはずです」(堤さん)“強固な信頼関係”の同盟国・日本も、ターゲットになる。専門家に、今後の日本への影響を占ってもらった。■日米2国間協議の影響で、コメが贅沢品に!?間もなくはじまる日米2国間による通商交渉では、非常に厳しい条件をつきつけられそうだ。経済評論家の平野和之さんが語る。「先の日米首脳会談で先送りされた日本車の輸入関税引き上げをチラつかせ、米国の穀物、牛肉の輸入量増大と関税引き上げを要求するはず」ここでもっとも懸念されるのは、日本人の主食である、コメ。「コメの種子は、開発に手間やコストがかかるため種子法で農家の開発費用は都道府県が負担していました」(堤さん)ところが、この日本の主食を守ってきた種子法が廃止されたというのだ。開発費用の補助を失い、自力で種子を開発することが困難となれば、農家は民間から高価な種子を買うしかない。「トランプ氏が推し進めているのは、コメの種子市場に、米国の大規模農場や、遺伝子組み換えや農薬開発などを手がけるバイオ企業を参入させることです。民間種子は開発費用も上乗せされるため、公共種子の10倍の値がつくケースもあります。米国がイラクやアルゼンチンなど他国で行ってきたように、国が守らず企業に主食をコントロールされるようになれば、コメは贅沢品になりかねません」(堤さん)■高額医薬品を押しつけられて、医療費自己負担5割時代にトランプ大統領は、TPPから離脱したことでビジネスチャンスを逸した、自国の医薬品メーカーの後押しもしていくという。「日本は国民皆保険で、基本、医療費は3割窓口負担。残りの7割は保険料と税金ですが、医療財政は厳しい。財源不足に追い打ちをかけるように、トランプ氏は米国医薬品メーカーの、抗がん剤などの高額医薬品や医療機器をもっと日本に買うよう、強く求めてくるでしょう」(堤さん)さらに、日本では2年毎に薬価が引き下げられるシステムだが……。「日本政府は今、一定条件を満たす新薬に後発薬が出るまで薬価引き下げを免除しています。今後、トランプ氏はアメリカ製薬業界を代弁し、『新薬は一定期間ではなく無条件でずっと値段を下げるな』と迫ってくるでしょう」(堤さん)日本の医療費財源を“食い物”にしようとするトランプ大統領。大きな負担となり、もはや「窓口3割負担」は維持できない。「フランスでは病気の種類や、受診先によって負担率を変えています。日本も国の有識者会議で同様の案もあります。いずれ『風邪のような軽症の場合はドラッグストアの薬で十分対応。それでも病院で受診するなら、5割負担』という時代が来るかもしれません」(平野さん)医療費の不安が、消費の落ち込みを招く可能性もある。これまで述べたようなトランプ大統領の「暴走」が続けば、景気が悪化する可能性も。来年は、5年に1度、公的年金の給付や負担の見直しが検討される「財政再計算」が行われる。「社会保障費全体の財源が厳しくなるでしょう。発表されている受給額割り増しの代わりに、年金受給開始年齢を70歳まで遅らせる案を加速させます」(平野さん)トランプ旋風は、日本も暴風域。安倍首相には、トランプ大統領と“お友達アピール”するばかりでなく丁々発止の交渉が求められる。
2018年11月15日某国民的アニメキャラクターのそっくりグッズや着ぐるみが中国で横行し、「著作権侵害だ!」と一時期話題になりましたね。マンガやアニメ作品のパロディを描いた同人誌。これもまた「著作権侵害なのでは?」とうすうす疑問に思ってしまいませんか?日本において同人誌が文化の1つとされる現代まで、なぜ同人誌が生き残って来たのか。今回はそんなちょっとタブー感のある話について言及していきます。この記事の法律に関する内容は法律事務所あすかの冨本和男先生に監修いただきました。著作権についての詳細はこちら→『著作権とはなにか | 侵害に当てはまるものと当てはまらないものについて』そもそも同人誌とは?同人誌に対して私たちが持っているイメージは『アニメやマンガのキャラクターをファンがエッチな感じに描いたもの』といったところじゃないでしょうか? 実際に、最近ではそういったものが大半を占めるようになりました。元々は明治時代に、文学好きの人々が自費で小説や短歌などを発行したものを同人誌と呼んでいました。同人誌の祭典であるコミックマーケット(通称コミケ)で販売されているものには、そのような文学的作品もありますし、マンガやアニメのパロディでありながらもエロティックシーンがないものももちろんあります。さらには好きなものについてまとめたもの(航空機や鉄道など)や、ただただ趣味で書いたもの(回文の作り方や円周率についてなど)もあり、一概に『アニメやマンガのキャラクターをエッチな感じに描いたもの』とは言えません。とはいえ、ここではアニメ・マンガのパロディ作品の同人誌に焦点をあてていきますので、同人誌は『アニメ・マンガのパロディ作品』として認識していただければと思います。 どこからが著作権の侵害?どこからもなにもありません。誰かが制作したものをコピーしたりアップロードしたり、真似をしたりしただけで著作権侵害にあたります。ここで問題なのは、『訴えられなければ罪にならないのか』『著作権を侵害した時点で罪になるのか』という点。結論から言えば、『著作権を侵害した時点で罪』になります。しかし、著作権侵害は『親告罪』。当事者の訴えがあって初めて、これは著作権侵害ではないか!と立件されるのです。つまり、同人作家がマンガやアニメのパロディを描いて収入を得ていたとしても、原作者が「著作権侵害だ!」と言い出さない限り罪には問われないということですね。親告罪についての詳細はこちら→『親告罪の仕組みと該当の罪一覧|親告罪では示談が有効』 もし訴えられたらどうなるの?もし訴えられてしまった場合、『著作権の侵害』として民事上で裁判にかけられるか、刑事事件として処罰されます。民事上では損害賠償などが請求され(請求額はケースごとに異なります)、刑事事件では10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が課されます(出版物の場合)。 同人誌は違法同人誌は違法か、違法でないか…結論は『違法』です。しかし、『親告罪』であるため、「原作者が訴えなければ、何も始まらない、だけど訴えられたら終了。」そんなギリギリのラインで同人作家さんたちは制作・販売しているのですね。実際に訴えられ、販売中止された作家もいます。最悪の場合罪に問われたり、損害賠償請求をされたりしてしまうことだってありうるわけです。ちなみに、年2回のコミケで何百万も稼ぎ、1年の収入源としている方もいるそうですよ。もし訴えられてしまったら…考えるだけでぞっとしますね。 同人誌はなぜ生き残って来たのか?そもそも同人誌を買う人はどういう人でしょう?そう、そのアニメやマンガが好きな人です。クールでシリアスな悪役たちがゆるゆるっとした日常を過ごしていたり、原作ではあまり出番のない登場人物が主人公であったり、はたまた好きなキャラクターがエッチなことをしていたり…作品のファンの妄想を可視化させてくれるのが同人誌。原作が好きな人が買うものなのです。(好きな同人作家の作品を買う、という人もいますが。)逆に、コミケに行って好きなアニメ・マンガの同人誌を買おうと向かう道すがら、他のブースの同人誌を見て「なにこのキャラ超絶かわいい!買う!っていうかなんのキャラ!?」と、同人誌から原作に興味を持つ人だっているでしょう。つまり、原作者にとって大きなデメリットはないですし、むしろメリットが生まれるかもしれないのです。芸能人がモノマネ芸人に真似されたら少し大物になることができた、というのと同様に、自分の作品の同人誌が売れたら自分の作品もまた人気が出てきた、といった感覚もあるのでしょう。だから訴える原作者は少ないですし、『見て見ぬ振り』をあえてしているのですね。 同人作家の味方『同人マーク』TPP交渉で著作権侵害が非親告罪化とされる(訴えがなくても著作権侵害として公訴される)可能性がでてきました。これでは同人誌の訴訟があちこちで起こってしまう!と対策を打って出たのが、『魔法先生ネギま!』(講談社)で有名な赤松健先生。赤松先生は「このマークがある作品は作者本人が同人誌作成を認めています。」という意思を示す『同人マーク』を考案したのです。これはあくまでTPPに日本が参加する可能性(この辺りの話は言及すると長くなるので割愛します。)を見据えて施行されたもの。これがなければ同人誌にしてはいけない(法的には違反なのですが)、原作者が訴えますよ、というわけではありません。同人作家としては安心して制作できるありがたいマークですよね。 まとめ同人誌が違法か違法でないかの観点でいくと違法です。しかし、その同人誌がこれまで残って来たのは、きっと原作者・同人作家・作品のファン、みんながその作品を『愛しているから』なのでしょう。その上で成り立っているものですから、原作者や作品のファンを不快にするもの、利益を損なうものを作ってしまったら訴えられてしまうこともあります。コミケは2018年の夏の開催でなんと94回目。毎年多くの人々が同人誌を求めて来場しています。アニメ・マンガが日本の文化として認められている現代。その素敵な文化をさまざまな方向から盛り上げて行ってほしいものですね。 *取材協力弁護士先生/冨本和男先生(法律事務所あすか企業法務、債務整理、刑事弁護を主に扱っている。親身かつ熱意にあふれた刑事弁護活動がモットー。)*取材・執筆/鈴木 萌*画像Graphs/PIXTA(ピクスタ)※自作したイラスト(オリジナルキャラクター)を使用して撮影しています。パロディ作品《同人誌》は著作権侵害にならないの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。パロディ作品《同人誌》は著作権侵害にならないの?はシェアしたくなる法律相談所で公開された投稿です。
2018年03月14日加工食品の原材料も、なるべく国産にこだわるという人も多いだろう。だから原産地が表記されることは大歓迎――なのだが、新しく始まった原産地表示制度は、なんだか紛らわしい!なんでこんなことに? 「国産またはアメリカ産」、「国産または輸入」、「国内製造」。いずれの表示も、国産の原材料が入っているとは限らない。昨年9月1日から実施された「加工食品の原料原産地表示」の全面義務化が“まやかし”と揶揄されるゆえんだ。その背景を、食品問題に詳しい垣田達哉さん(消費者問題研究所代表)の解説で読み解いていこう。消費者庁が基本としている原産地表示は、その国名をしっかり明記するもの。 「原産地が単一国なら簡単ですが、たとえばポークソーセージのように、数カ国の原材料(豚肉)を混ぜて作る商品もあります。その場合、配合重量の多い国順に、たとえば『アメリカ産、国産、カナダ産』と表記。国名の間が『、』で表示されているときは、表示のすべての国の肉を混ぜて使用しているという意味です(3カ国以上の原材料が使われている場合、3カ国目以降は『その他』と略して表示されることも)」 しかし今回、それにとどまらない例外表示も認められた。 「例外表示のポイントは3つ。1つめが、原産地が3カ国以上の場合、国名を記さず『輸入』とまとめて表記してよいという“大くくり表示”が認められたこと。2つめに、仕入れ国の変更などが多い場合などに、国と国を『または』でつなぐ“可能性表示”も許されたこと。先の『国産またはアメリカ産』の場合、国産100%、国産とアメリカ産の混合、アメリカ産100%、いずれでもOK。つまり“国産”の文字がありながら“国産ゼロ”の可能性もあるのです」 3つめのポイントが、この“大くくり”と“可能性”を合体した「国産または輸入」という表示。 「この『国産または輸入』という表示は、国産と3カ国以上の外国産、そのいずれかが使われていることを意味します。これでは極端な話、地球上のあらゆる国の原材料が含まれてしまうのです」 加えてもうひとつ、誤解を生む恐れが大きいのは「国内製造」という表記だ。 「小麦粉が主原料である食パンやうどんの例でいうと、現状、特に『国内小麦使用』と謳っていない商品は、ほとんどが豪州産やアメリカ産小麦を使用しています。ただし、日本で製粉した場合、『国内製造』という表記が許され、小麦の原産地表示義務はありません」 このように、新しい原産地表示では、“国産”や“国内”の文字があっても、真に受けていられないのだ。それにしても、なぜこれほどわかりにくい表示に? 「それは、この制度の成立過程に要因があります」 ここ数年、交渉が進められてきたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)。その狙いは、太平洋を囲む各国の関税をできるだけ取り払い、輸出入をしやすくすることにある。昨年誕生したトランプ政権はTPPへの参加を棚上げしたが、日本は、アメリカ抜きでの協定発効を目指して各国と交渉を続けている。海外から安価な食品が入ってくれば、当然、国内の生産者は圧迫されることになる。 「TPP対策の議論が活発だった’16年当時、国内生産者から要望が強かったのが『全加工食品の原産地表示』です」 自民党はTPPを推進する見返りに、この制度の実現を強力に推進。いっぽう、加工食品のメーカー側からは「ラベル印字やデータ管理のコストが増す」などと強い抵抗があった。このため、新制度の実現に向け、先のような“例外表示”を認めざるをえなかったというのが実情なのだ。 「場合によっては今後、TPPは頓挫するかもしれません。すると、その見返りだった『原産地表示』だけが実現するのですから皮肉なものです。新しい原産地表示については、’22年までの猶予期間はあるものの、消費者庁は、なるべく速やかに実施するよう促しています。大手メーカーを中心に、意外と早い時期に新表示へ切り替わるのではないかと思います」 問題は、実施されてみると例外表示のオンパレードにならないかという点だが……。 「メーカー側も、さすがに『国産または輸入』では、消費者をバカにしていると批判される恐れがある。できるだけ国名を明記する表示が主流になるのではないでしょうか。逆に、小さなメーカーでも、きちんと国名を表示してあれば、仕入れ管理がしっかりしていることがわかります」 いずれにせよ、全加工食品の原産地表示制度ができたことは、消費者にとって大きな一歩、と垣田さんは言う。紛らわしい表記にはだまされないよう注意しよう。
2018年01月18日「私が街宣で演説しているときに歌を歌うと、子どもたちが集まってきて、『うまい〜、すごい〜!』って、尊敬のまなざしで言うんです(笑)。『街宣車になんでも書いていいよ』と言うと、“パティシエになりたい”なんて将来の夢を書き込んだり。こういうのを見ていると、子どもたちの未来にツケを回す政治を変えたいと、強く思うんです」 こう話すのは、国民的ダンス&ボーカルグループEXILEの『SUMMER TIME LOVE』など、楽曲を提供している作曲家の真白リョウさん(40)。10月22日投開票の衆議院選挙で、神奈川11区(横須賀市・三浦市)から出馬予定の希望の党新人候補者だ。 そんな真白さんが目指すのは、「普通に働いていれば、子どもに教育を受けさせることができ、老後の心配なく生きられた“一億総中流社会”のころの日本」だという。 「私が音大に行けたのは、親が経済成長の恩恵を受けていた時代だから。でも、いまや貯金のない世帯は3世帯に1世帯、子どもの貧困は6人に1人。しかも、安倍政権になってから“格差”は開くばかり。非正規雇用は増え続け、40%近くなっています。なのに安倍首相は、弱者置き去りで“日本を取り戻す”とか聞こえのいいことばかり。けど、安倍首相が取り戻したいのは、基本的人権や表現の自由が奪われ、個人が国家のために命を捧げなくてはならなかった明治憲法時代の日本です。最初の自民党改憲草案を読めば明らかだし、平成の治安維持法と呼ばれる共謀罪も強行採決してしまいました」(真白さん・以下同) 真白さんに転機が訪れたのは、’14年。真白さんのブログを読んだ森ゆうこ参議院議員の支援者からの勧めで、小沢一郎政治塾へ入塾したことになったのだ。2年間、政治塾でみっちり学んだ真白さんに、小沢一郎氏から声がかかる。 「’16年7月の参議院選挙前でした。小沢さんから、『真白くん、立候補しないか?』と。でも、すぐに断りました。当時はまだ、音楽や執筆などを通じて言いたいことを伝える、メッセンジャーになろうと思っていましたから」 ところが、’16年10月、再び真白さんに白羽の矢が立つ。「次の衆議院選挙の候補者に」と、再び小沢氏から出馬要請があったのだ。 「『君は、世の中をよくするために、さまざまな発信をしているけれど、みずから選挙に出ることが、いちばんの発信になるんじゃないか』と小沢さんから言われたんです。安倍首相は、表現の自由を脅かしかねない“特定秘密保護法”も強行採決したし、このままだと大好きな歌も自由に歌えなくなるかも。そう考えたら、政治家になって変えるしかないと思いました」 出馬を決めた真白さんは、当時、始動したばかりだったバンドのメンバーから音楽活動の休止と、出馬への理解を得た。’16年の末には、地元の大阪府寝屋川市の実家に戻り、政治活動をスタートさせる。そんな真白さんが、この10カ月間、選挙区を回って衝撃を受けたのは、想像以上に“格差”が広がっているということだった。 「とくに大阪は、生活保護の受給率が高く、貧困世帯が多い。地元の寝屋川市でも、老朽化した文化住宅があちこちにあって、子育て中のご夫婦も住んでおられます。非正規雇用者が多く、夫婦共働きでも生活が苦しいのです」 安倍首相は、“女性が輝く社会”を標榜するが、「女性が働かざるをえない状況に追い込まれているだけ」というのが、真白さんの実感だ。 「アベノミクスで私たちの生活がよくなった実感はないですよね。にもかかわらず安倍首相は、貧困な人ほど負担が重くなる消費税を10%に上げようとしています。そんなことをする前に、利益が大幅に出ている企業や、富裕高齢層への累進税率を抜本的に見直し、金融所得の課税も強化して福祉や教育費に充てるべきです。首相は、とってつけたように、消費税増税分を子どもの教育費に回すと言いだしましたが、’12年の衆議院選のときも、“TPP反対”と言っていたのに、選挙に勝ったとたん覆しました。国民を平気で裏切る政治家に、これ以上任せていられません」 野党再編が進み、一寸先は闇の政局。だが、真白さんは、「将来に不安を抱えている弱者の声を、政治に反映できるまで、あきらめない」と言う。 「とにかく、真面目にコツコツ働いている人が、老後の不安なく生きられる社会にしたいんです」
2017年10月10日ミニシアター界の雄、アップリンクが手がける新しいオンラインサービス「アップリンク・クラウド」にて、“ビジネスマン”としてのドナルド・トランプ次期米大統領に迫ったドキュメンタリー『ホール・イン・マネー! ~大富豪トランプのアブない遊び~』が緊急配信されることになった。気鋭のスコットランド人ジャーナリスト、アンソニー・バクスターが、ゴルフ場開発から地元の自然を守るべく立ち上がった!その相手は、暴言が止まらない次期大統領ドナルド・トランプと彼の家族が経営するリゾート開発企業。同じテーマで製作された前作『You’ve Been Trumped』(原題)はBBCで放送され、世界的な高評価を得たが、トランプ氏も「とんでもない駄作!才能ゼロ!」「訴えてやろうか」などとツイッターで猛反撃。本作ではついにトランプ氏本人と、取締役である息子ドナルド・トランプ・Jr氏も引きずり出し、全面対決に向かう――。11月9日に次期アメリカ合衆国大統領への就任が決定して以来、その姿をメディアで見ない日はないほどに世界的注目を浴びているドナルド・トランプ氏。TPPや日米関係、移民問題などへの過激な発言や、ユニークな容姿ばかりが取り上げられがちだが、実際にはどのような政治を行うのだろうか…?その答えを探るべく、オンライン映画館「アップリンク・クラウド」では本ドキュメンタリーを緊急配信。不動産王として知られるトランプ氏が2012年に拡張を予定していたスコットランドのゴルフリゾート開発を巡り、貴重な自然を守ろうとする地元の人々との間に起った確執と、彼らのビジネスの裏側を、“スコットランドのマイケル・ムーア”ともいえるバクスター監督が突撃取材。本人や関係者、専門家、環境活動家としても知られる俳優アレック・ボールドウィンらへの直接インタビューによって暴いていく。トランプ新政権を見定め、今後のアメリカの行く末が見えてくるかもしれない本作に、注目だ。『ホール・イン・マネー! ~大富豪トランプのアブない遊び~』は11月24日(木)14時~よりアップリンク・クラウドにてストリーミング配信。(text:cinemacafe.net)
2016年11月24日最近、野菜、特にレタスなどの葉物が高いと感じませんか? どうも、9月の台風や長雨の影響か、日照不足でよく育っていないということのようだけど、野菜が高いのは、家計にも大打撃。かといって、家族の健康を管理する者として全く食べないというわけにもいかないし、主婦としては、スーパーに行くたびに頭を悩ませてしまいます。生産者である農家の皆さまも大変でしょう。お天気の影響をもろに受ける農業や漁業は、安定的に作物が収穫できることに、どれだけの努力をされているか、頭が下がります。ここ数年の異常気象や、自然災害の甚大さを考えると、お天気の影響を受けずに、野菜が育ち、私たちの食卓にも安定して届く方法がもっと進んでいくといいのに、と思わずにはいられません。そんなふうに農業を行っていくのが当たり前になるかどうかわかりませんが、私は、今、世の中で話題になっている、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)がその一つの契機になるのではないかと、期待しているのです。今、行われている国会でも、TPPに関する審議が本格的に始まりました。でも、まだまだ「TPPって、一体なに?」と思っている人も多いし、野菜の値段の変動がなくなることになるのかよくわかりませんね。協議のメンバーだったアメリカも、次期大統領候補が共に慎重姿勢を見せていることから、日本もこれを進めることはいいことなのか、悪いことなのか、わからないことだらけです。そもそもTPPって何?TPPは、太平洋を囲む12カ国(日本、米、カナダ、シンガポール、ニュージーランド、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、オーストラリア、メキシコ、ペルー、チリ)が、さまざまな経済活動のために、連携のルールを作りましょうというもの。農産品に関するルールも含まれています。2年以上にわたる協議の末、昨年10月に参加12カ国で大筋合意しました。どんなルールかといえば、輸出入の時にかかる関税の撤廃が象徴的な一例ですが、それ以外にも、知的財産権(例えば著作権の有効期限の延長や短縮)、サービス(携帯電話の国際ローミング料金の引き下げ)、出店の規制緩和(例えば外国でコンビニなどを出店に課せられていた資本規制が緩くなる)など、21分野にわたります。農産品についてのルールは、「関税の撤廃」に含まれます。日本は9018品目の輸入品の95.1%について行うことが決まりました。ただ撤廃のタイミングは、例えば、ブドウやエビは即時だけれど、アジやサバは16年かけて行うなど、品目によって差があります。工業品については、全ての製品の関税が撤廃されますが、農産品については、参加国平均を下回る81%にとどまり、国内農産品への影響へ配慮したことが伺えます。関税を撤廃するということは、日本の製品が海外(提携国内)で安く売れ、売り上げや利益につながる一方、海外からも安い輸入品が入ってくるということ。より国際的な競争力が求められることになります。でもそれは、全ての参加国に当てはまることです。それでもこの協定を結ぶことにしたのは、今やどの国も、自分たちの国だけでは経済発展に限界があり、環太平洋の12カ国で共に手を携えながら発展していくことを目指すという理由があるからです。野菜高騰が再び訪れないためにはどうしたらいい?日本の農産品は関税の撤廃率も低く、他の物に比べ保護されているという印象ですが、保護するだけでは、生き残っていけないのも現実です。そこで、例えば、野菜工場などをもっと進め、気候の影響を受けずに安定的に、しかも安全でおいしい野菜が生産できれば、日本の国内にとっても、海外との競争においても、有利になるはずです。漁業も、養殖技術が進んできていますが、農水業は後継者不足の問題も深刻。国際競争力と高めるために、新しい生産や経営体制を取り入れていくことも必要です。今までとは違った方法を生み出すいいチャンスとなるのが、このTPPとも言えるのです。今年2月にTPPの署名式がニュージランドで行われましたが、署名後2年以内に、全ての国が国内法の手続きを終え、全ての署名国が国内法の手続きを完了してから60日後に発効することが決まっています。最長でもあと1年半。確かに、大変なこともありますが、「ピンチをチャンス」に、「レタスが高すぎて買えない!」ということがないように、農業従事者だけでなく、オールジャパンで知恵を絞っていくことが必要ですね。
2016年10月21日世界中から約1,000種類のお酒が集まる、日本最大級ワインの祭典「第92回世界の酒とチーズフェスティバル」が、2017年10月11日(水)から10月17日(火)まで大丸東京店で開催される。来場者数約1万人、ワイン約3万本を売り上げる人気企画が再び大丸東京店へ。今回は世界中から約1,000種類のお酒が集結し、毎日300種類以上の試飲が可能になる。今回のテーマは「歴史的瞬間に立ち会うワインたち」。会場には、オバマ大統領主催のTPPランチミーティングにバッグヴィンテージが採用された「2015ブレッド&バター シャルドネ白」や、大正天皇に献上したこともある生産者が手掛ける「2014ヴァンイングート・ハムヴィンケラー・ダッハスベルク・ラインガウ・リースリング1erドライ白」などが揃う。お酒だけでなく、フードも充実。日本のチーズや世界三大珍味も登場。冬においしいラクレットの実演販売も行う。また、参加費500円で、「常識をくつがえす南アフリカワインの魅力」などをテーマにした現役ワイン講師によるセミナーも実施。さらに、オーストリアワインの魅力に迫る参加費無料の講演会も行われる。【詳細】第92回 世界の酒とチーズフェスティバル開催期間:2017年10月11日(水)~10月17日(火)開催場所:大丸東京店 11階催事場住所:東京都千代田区丸の内1-9-1<アイテム例>・「2015ブレッド&バターシャルドネ白」3,110円、・「2014ヴァンイングート・ハムヴィンケラー・ダッハスベルク・ラインガウ・リースリング1erドライ白」3,985円
2016年09月10日私たちが毎日食べる、おいしい野菜、肉。どんな人たちが作っているのか知っていますか? 先日、銀座でキックオフイベントが開かれた「農家のファミリービジネス研究会」には、次世代を継ぐ若い農業者たちが参加。これから、農業をどうやって継ぎ、盛り上げていけばいいのか、熱い議論が交わされました。農家というファミリービジネス、その価値とは?日本の農業は平均年齢66歳と高齢化が進み、重労働と収益のアンバランスさから、農地を手放す人も増えています。このままだと、国産農作物がどんどん減ってしまうかも? 消費者の私たちは、安心しておいしい野菜、肉が食べられるように、日本の農業に頑張って欲しい! と願うばかりですが、そんな中「一次産業を、カッコよくて、感動があって、稼げる3K産業に」との想いで、宮治勇輔さんが立ち上げたのがNPO法人農家のこせがれネットワーク。ヒルズマルシェや、食と農でつながる交流会など、さまざまな企画で農を盛り上げてきましたが、今回、同NPOが生産者の経営を後押しする形で作られたのが、この「農家のファミリービジネス研究会」です。銀座ファーマーズラボで開催されたキックオフイベントには、若い生産者を中心に約80名が集い、交流を深めました。セミナーでは宮治勇輔さんのお話のほか、『星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント』著者の中沢康彦さんも登壇し、ディスカッションも行われました。「日本の農業はいま、高齢化、世代交代の時期を迎えています。でも実際に農家を家業として継ぐ意思のある人は、2014年に実施した同団体の調査によると、わずか2.7%に過ぎません。私も家を継ぐ前は大手企業のサラリーマンをしていましたが、一般的に民間企業のほうが農家よりも給料はいいし、福利厚生も充実していますよね。でも、農家を継いでよかったと思えるのは、そこに家族経営、ファミリービジネスならではの価値観があるからです。いまやっている仕事は、圧倒的に楽しいし、日々生きていると実感できるやりがいがあります」と宮治さん。 家族だからこそのつながりが、ビジネスチャンスを生む宮治さんの手がける“みやじ豚”は、今ではブランド化し知名度を上げています。そこにいたるまでには、サラリーマン時代に築いたビジネスセンスが役立ちました。家族とコミュニケーションをとりながら、ファミリービジネスとして事業を開拓してきたそう。「ファミリービジネスの強みは、苦しくても、何が何でも成功に導くという家族全員のコミットメントがあることです。今も先代が残した農家が続いているとしたら、そこには売れる理由があります。何を残し、何を変えるか? そこをしっかり把握すれば、ビジネスチャンスが見えてくるはず。なかでも女性の役割はとても大事です。企業では女性経営者も増えていますが、農家でも、女性の活躍は広がっています。女性ならではの経済感覚が役立つのです」とはゲストトークを行った中沢康彦さん。若い生産者たちの新たなチャレンジ食への関心が高まるなか、私たちの食を支える若い生産者たちの新たなチャレンジが始まっています。消費者である私たちは、そうした彼らの農作物を買い支えることで、次世代の生産者を応援したいものです。とくに今後はTPPによって、海外からの安い輸入食品もどんどん増えることが予想されますが、そんな時、本当に安心して食べられるものはどれか? 考えてみてはどうでしょう。日本の農家のこれからにつながる、おいしい食習慣、作る人たちのことを考えてはじめましょう。取材協力:NPO法人農家のこせがれネットワーク
2015年10月08日5月22日、TPP合意に不可欠とされるTPA(貿易促進権限)法案が米国議会の上院本会議で可決され、下院に送られることとなりました。これに伴ない、TPP合意へ向けた交渉が進むことが期待されています。今回は、TPPとTPAについて調べてみました。○TPP(環太平洋経済連携協定)TPPとは、太平洋を取り巻く国々による経済連携をめざす協定で、現在は日米を含む12カ国が合意に向けて交渉に参加しています。正式名称は「環太平洋経済連携協定(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)」で、略してTPPと呼ばれています。TPPは、アジア太平洋地域という広域・多国間におけるEPA(経済連携協定)に位置付けられると考えられます。EPAとは、複数の国・地域間で、貿易に留まらず、投資やヒト・サービスの移動なども含めた経済の幅広い分野で連携強化を目指す協定です。関税引き下げなど貿易自由化を目指すFTA(自由貿易協定)よりも広い分野を対象としていることが特徴です。TPPでは、関税撤廃などのモノやサービスのやり取りの自由化に加え、国境を越えた金融サービスのルール作り、海外企業による公共事業への入札など、21分野で新たな自由貿易の枠組みを作り、経済成長を底上げするべく、交渉が進んでいます。しかしながら、関税撤廃の手法や知的財産の保護など、一部の分野では国・地域間での隔たりがみられ、交渉が難航しています。TPPに日本が参加した場合、関税撤廃・引き下げにより日本の輸出産業の競争力が強まることや、手続の簡素化などにより日本企業の海外進出が活発になるといった経済への好影響が見込まれます。こうした貿易などの取引拡大を通じて、雇用や設備投資の拡大など、国内景気の押し上げにつながることも期待されます。一方で、域内で生産された安価な輸入品が日本に流入することも想定されます。特に、農業などの分野では国内生産の減少につながり、日本経済にマイナスの影響をもたらすことが懸念されています。ただし、輸入品により食料品などの価格が押し下げられることが、家計への恩恵となる面も考えられます。TPPの交渉に参加している12カ国のGDPは世界の約4割を占めており、EU(欧州連合)を上回る規模であることから、実現すればTPPは世界から注目される経済圏になるとみられます。ステップアップ2013年の内閣府の試算では、TPPで関税が即時に全て撤廃された場合、日本の実質GDPを3.2兆円増加させる経済効果が見込まれています。○TPA(貿易促進権限)TPA(貿易促進権限)は、米連邦議会が、米大統領に外国との通商交渉に関する権限を一任する仕組みで、TPPの合意にはTPA法案の成立が不可欠とされています。米国では、こうした権限は議会が持つと憲法で定められており、通常は大統領が通商協定などの取り決めを自由に行なうことは出来ないとされています。このため、米国と交渉する国が大統領と合意しても、それを議会の決議で修正される可能性があります。しかし、TPA法案が成立した場合、議会は、大統領が提出した協定案に対して承認するか否かを採決することしか出来なくなり、議会の審議が簡略化され、迅速な通商協定の成立が見込まれます。足元では、TPA法案が米議会の上院で可決されたものの、下院での可決は難しいとの見方もあり、法案が成立するか否か、不透明感が残ります。ただし、成立すれば通商交渉に関する迅速な意思決定が可能となり、自動車部品とコメに関する調整を巡り難しい交渉が続く日米間の協議が、早期妥結へ向かうと期待されます。日米の協議が順調に進展すれば、年内にもTPPが合意に達するとの見方もあるなか、TPP合意に向けた切り札として、TPA法案の行方に注目が集まっています。ステップアップ日本は自動車部品の関税の即時撤廃を米国に求める一方で、米国は自国産のコメの特別輸入枠を年17.5万トンとすることを日本に求めています。ただし、互いに容易には受け入れられない条件であり、合意へ向け日米間では難しい交渉が続いています。(2015年6月3日 日興アセットマネジメント作成)●日興アセットマネジメントが提供する、投資信託・投資・経済の専門用語をテーマで学べる「語句よみ」からの転載です。→「語句よみ」※1 当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。※2 投資信託は、値動きのある資産(外貨建資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことがあります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)をご覧ください。
2015年06月05日