出版社勤務、出産などを経てフリーランスの編集・ライターに。雑誌や単行本の編集をする傍ら、執筆も行う。ジャンルは子育てや教育、絵本、暮らしまわりなどが中心。趣味はピアノ(ヤマハ指導グレード取得)、ライブ・コンサート鑑賞(ロックバンドからクラシックまで)。二児の母。
インフルエンザに風しん、麻しん、おたふくかぜ、水ぼうそう、ロタウイルス、ノロウイルス、RSウイルス…と、子どもがかかりやすい感染症を数え上げればきりがありません。なかには、妊娠中のママが感染すると、母体に影響があるものも…。親子で感染症に負けないよう、正しい知識や傾向、予防法などを知っておきましょう。
毎日子育てや家事に追われて、ついつい自分の食事や健康管理は後回し…ということはありませんか? 「ママの腸は悲鳴をあげています」というのは日本美腸協会で代表理事を務める小野咲さん。ママの腸の状態や悩んでいる方も多い便秘について、小児科での看護師経験もある小野さんに教えていただきました。
娘をもつパパにとって一番の恐怖といえば、「『パパ、きもい』といつ娘が言い始めるか?」ではないでしょうか。小学校高学年くらいになってくると、女の子はもう思春期にさしかかってきます。娘とパパがしっくりきていないことに、ドキドキしながら見守るしかないママも多いことでしょう。いつまでも娘に好かれるパパでいるためには、どうしたらいいのでしょう? どうすればパパは娘ともっと仲良くなれるのでしょう? 長年、父娘関係の研究を行う心理学博士の小野寺敦子先生にお話をうかがいました。
うまく言葉にできないからこそ、わかってあげたい子どもの気持ち。わが子はかわいいけれど、なぜかモヤモヤするママの気持ち。そんな疑問だらけで迷路のような親子の気持ちについて、これまで数多くの育児や心理相談をうけ、育児支援をしてきた臨床心理士の帆足暁子先生にうかがいました。
「子どもの脳は、どう成長・発達しているの?」「子どもの才能を伸ばすには、どうしたら?」。そんなママたちの素朴な疑問に、脳の成長・老化について研究している東京大学・薬学部教授の池谷裕二先生にうかがいました。二児のイクメンパパでもある池谷先生の視点・言葉には、子育てのヒントがたくさんあふれています。
子どもが友だちと遊べるようになると気になり始めるのが、わが子や周りの子の性格。 観察していると「おとなしく友だちと遊んでいる」のは女の子が多いと思ったことはありませんか? 一方で「走り回ってやんちゃばかりする」と思えるのは男の子が多いかも!? ママ友や保育園・幼稚園の先生からも言われると、ますます気になりますよね。そもそも、子どもの頃から男女の性格に差はあるのでしょうか? 脳研究者の池谷裕二先生に教えていただきました。 池谷裕二先生 プロフィール 研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。 ■「男の子はやんちゃ、女の子はおとなしい」周囲の大人が決めつけている!? ―― 今回は「男女の性格に差があるか」についてです。男の子らしさ、女の子らしさというのは生まれつきあるのでしょうか? 池谷裕二先生(以下、池谷先生):生物学的に見ると、性成熟する前の9歳くらいまでの男女には、性格の差がほとんどないといわれています。でも、自分の子や周りの子を見渡してあらためて考えてみても、やはりそうは思えない時がありますよね。かくいう私自身もその一人です(笑)。 「確証バイアス」がかかっているのではないでしょうか。「確証バイアス」とは、自分の考えに合うものについては取り入れ、合わないものは無視してしまう傾向で、多かれ少なかれ誰にでもあることです。 「男の子はやんちゃ、女の子はおとなしい」と考える人だったら、それに合う子ばかりを見ようとしてしまう。つまり、「見る側の問題」ともいえます。 ―― 自分側に男女差のフィルターがかかってしまっているということなんですね。 池谷先生:そうですね。例えば、女の子がやんちゃをしてテーブルの上に乗ったら、周囲の大人はあわてて止めようとしますが、男の子だったらどうでしょう。もしかしたら、「もうやんちゃなんだから」と危険がなければ放っておく人もいるかもしれません。 人生経験わずか数年でも、親や周囲の大人が男女の差があるような接し方をしていると、自然と子どもにも伝わっていくものです。言葉だけでなく、無意識のうちにそういう環境を作り上げているかもしれませんね。男女の性格の差を感じる理由として、環境による影響は大きいと思います。 ■親の与える環境が男の子らしさ・女の子らしさを作っている!? ―― なるほど。環境を作り上げているとはどういうことでしょうか? 池谷先生:例えば、男の子の親が「男の子=乗り物好き」と思い込んで、積極的に乗り物の絵本を買い与えることはありませんか? でも、女の子の親だったら、子どもが乗り物に興味を示していても、「そっか、好きなんだね」と受け流してしまうかもしれません。一方でプリンセスに興味を示したら「やっぱり好きなんだね」と積極的にテレビ番組を見せる人もいるでしょう。 ―― すごく思い当たります(笑)。洋服も女の子らしい色やデザインのものを選ぶことがあります。 池谷先生:まさしく。そういう環境を作り出していくことを「ニッチ構築」といいます。それもあってか、海外の研究でお見合いサイトの写真を調べたら、特に指定はしていないのに、女性は上からのアングルで従順そうなイメージに、男性は下からのアングルで強そうなイメージに撮影されたものが多い傾向にありました。 ■外見だけではない「親から子へ性格も遺伝する」 ―― 子どものころから親や社会の影響を受けてきたということですね。 池谷先生:そうですね。ただ、各ご家庭の方針もあるでしょうから、一概に男の子らしさ・女の子らしさがあるのを良い悪いとは言えません。 ―― 「うちは男の子なのにすごくおとなしくて…」と気にするママもたまに見かけます。 池谷先生:もしかしたら、親のどちらかが子どもの頃、そうだったのかもしれません。外見だけではなく性格にも遺伝はありますからね。昔はおとなしかったけど大人になって社交的な性格に変わって、親自身が忘れてしまっている可能性もあります。 男の子らしく育てたければそういう環境を与えればいいのでしょうが、その子の個性を尊重してあげてもいいのかなと思いますね。 ―― 「女の子のほうがしっかりしている」といわれることもありますよね。それも大人側の思い込みでしょうか。 池谷先生:たしかに私自身も女の子のほうがしっかりしているように感じます。ただし、厳密に科学的な見地からは、それが真実かはわかりませんが、そう感じてしまうのは見る側のフィルターと環境によるところが大きいと思いますよ。
2018年05月29日赤ちゃんが生まれると、育児に家事に奔走するママたち。悪気がないのはわかるけれども、そこに追い打ちをかけるのが、夫の行動ですね。 「子どもを早く寝かせたいのに、仕事から帰ってくるなりテレビをつけてしまう」「家事をしたいのに、子どもの面倒を見てくれずスマホばかり見ている」などママたちのイライラは募る一方…。つい文句を言ってしまって夫婦げんかになることはありませんか? 子どもが生まれる前はけんかをしない仲良し夫婦だったのに、なぜ産後はけんかが増えるのでしょうか? 脳研究者で自身も子育て中の池谷裕二先生にお話をうかがいました。 池谷裕二先生 プロフィール 研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。 ■育児で脳がスタミナ切れ!? ママの脳内で起きていたのは… ―― 仲の良かった夫婦が、産後、急にけんかが増えたという話を聞きます。なぜそのようなことが起きるのでしょうか? 池谷裕二先生(以下、池谷先生):まず、考えられることとして、脳の「自我消耗」があります。自我消耗とは何かひとつのことにパワーを費やすと、別のことにパワーを使えなくなることを指します。言い換えれば、「精神力のスタミナ」を使い果たしてしまうこと。 ママたちは初めての育児だと特に精神面での負担が大きく、育児で精神力が尽きてしまった結果、夫婦関係にまで気が回らなくなってしまっているのではないでしょうか。 ―― たしかに、一日の生活の中で子ども優先に考えるようになるので、夫のことはつい後回しにということはあるかもしれません。 池谷先生:自我消耗は産後に限った話ではなく、あらゆる人に起こります。 たとえば、気力の充実している午前よりも、疲れの出てくる午後のほうが、人はウソをつきやすくなる傾向にあります。海外旅行でお金をドーンと使ってしまうのもそう。初めての場所で極度の緊張状態からそうなってしまうのです。 「対ストレス」という意味では、一般的に人生経験が少なく若い人ほど自我消耗しやすいといわれています。多くのママがそれに当てはまり自我消耗しやすいため、けんかが多くなると言えるでしょう。 ■産後のイライラ、実は「子どもを守るため」 ―― よく聞かれるのが、産後のママはホルモンバランスが変わってイライラするということ。やはりホルモンの影響はあるのでしょうか? 池谷先生:そうですね。イライラとはちょっと違うかもしれませんが、「オキシトシン」の影響が大きいと思います。「オキシトシン」とは、子育て中に出るホルモンで、別名「愛情ホルモン」とも言われるので聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。 生物学的に見て、産後すぐから1年間くらいまでがピークです。オキシトシンの影響で子どもに対して無償の愛情を注ぐ一方で、わが子を守るがゆえに他者に対して攻撃性が増すという側面もあります。 人間がまったく同じとはいえませんが、赤ちゃん連れの猫や猿が攻撃的になっている姿を思い浮かべていただければわかりやすいかと思います(笑)。 ―― 同じ家族なのに攻撃されてしまうパパが気の毒になってきました(笑)。 池谷先生:いえいえ、オキシトシンは何も女性だけに出るものではないんですよ。子育てへの参加率が高い男性からもオキシトシンが出ていることがわかっています。パパもぜひ育児に積極的に参加してみてはいかがでしょう。 ■「自分ばかり家事育児をやっている」は単なる思い込み!? ―― ママたちの間でよく話題になりがちなのが、「夫が家事をしてくれない」「家にいる自分ばかりがやっている」ということですが、それについて先生はどう思われますか? 池谷先生:物理的にパパのほうが仕事で外にいる時間が長く、家事をやる時間が短くなる傾向はあるでしょう。ただ、ママのほうに「セルフ・サービング・バイアス(自己奉仕バイアス)」がかかっている場合もあるといえます。 セルフ・サービング・バイアスとは、何か問題が起きて原因を考える際に、自分を高く評価し、外部に原因を追究してしまうこと。自分の手柄ばかりに注目して、他人を怠慢と思い込んでしまうのです。そうすると、「もう、いつも私ばかり食器を洗っている!」なんていうことになってしまいます。 ―― そうなんですか!? 世の中のママたちから反論を受けそうです。 池谷先生:ここはパパの立場として弁解させてください。パパたちも言わないだけで家のことや子どもの面倒をみていることだってあるんですよ。よく思い起こしてみたら、「実はお風呂上がりにお風呂掃除をしてくれていた」「たまっていた段ボールを捨ててくれていた」なんてことがあるかもしれません。冷静に判断してみるといいですね。 ■夫婦円満…それって必要? 産後は“防御と割り切り”で乗り切る ―― なるほど。最後に、夫婦円満になるための秘訣を教えてください。 池谷先生:円満になる必要はないですよ。産後すぐの時期はオキシトシンの影響もあって、なかなかうまくいかないもの。ここは、産後をどう乗り切るか考えてみるといいでしょう。 ―― ええ!? どうすればいいのでしょうか? 池谷先生:パパはママから攻撃されない工夫をしましょう。産後、イライラしているママにあれこれ言うだけムダです。パパは具体的に指示されたほうが動きやすいので、ママが何をしてほしいのか率先して聞いてみるのもいいですね。 一方のママは、「イライラしている自分」にイライラしないことが大切です。「なんだか私イライラしているな。でもホルモンのせいだから仕方ないか」などと割り切れるといいですね。ママ自身もパパになるべく具体的にやってほしいことを言うといいでしょう。 ちなみに、夫をたてようとして、ママたちの輪の中で「うちの夫は家事も育児もよくやってくれて~」みたいな話をするのはやめたほうがいいでしょう。ママ同士で「夫自慢大会」をすると、かえって自分の夫に足りない部分に目がいってしまう傾向があります。実際に「妻が不満に思うかどうかは、友人の夫の手伝いぶりで決まる」というデータがあるのです。 夫の良いところはわかっていても、「あそこの家は〇〇やってくれるのに、うちは…」みたいに“あら”が見えてくるようになり、かえって夫婦仲が悪化してしまっては大変です。「自慢も愚痴もなるべくなら言わない」のが一番ですね。
2018年05月20日「子どもに健康に育ってほしい」と毎日の食事の栄養バランスに気をかけていても、不足しがちな栄養素があります。足りない栄養素とは何? 普段の生活でどう補えばいいの? 「赤ちゃんだけでなく、実はママ自身も不足しています」という小児科医の伊藤明子先生に、お話をうかがいました。 伊藤明子先生 プロフィール 小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院で臨床研修。同病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』『天然ヘルシー「調和食」レシピ』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。 ■過度な紫外線対策でママも子どももビタミンDが不足気味に ―― 赤ちゃんに不足しがちな栄養素とはズバリ何でしょうか? 伊藤明子先生(以下、伊藤先生):タンパク質やカルシウムなどいくつかありますが、近年、特に足りていないと言われるのはビタミンDです。日本で健康に生まれた赤ちゃんを調べたところ、約22%がビタミンD不足だったという研究データがあります。 母乳にはとても優れた栄養がつまっていますが、ビタミンDは少ないですし、母体がビタミンD不足であるがゆえに赤ちゃんも不足しているとも考えられています。 また、私たちが行った研究で、日本の0歳から15歳までの子どもに、医師が診断した病名を調査したところ、「ビタミンD欠乏性くる病」が2009年から2014年の間で3倍以上に増えていることがわかっています。 くる病とはビタミンD不足などにより、骨格異常や骨の変形が起きてしまい、歩行に影響が出ることもある怖い病気です。ビタミンDは、免疫にも発達にも関係しています。 ―― 生まれた時から足りていないとは…! なぜビタミンD不足が起きてしまうのでしょうか? 伊藤先生:ビタミンDの源となるのは日光(紫外線B)と食品。その割合はおおよそ7対3というくらい、日光が占める割合が大きいのです。それにもかかわらず、最近のママたちの多くは美容への意識が高いこともあって、日焼け止めや日傘、アームカバーなど紫外線から「完全防備」しています。 つまり、日光からビタミンDをほとんど生成できていない状態なのです。そうなってくると、ただでさえ不足しがちな母乳中のビタミンDがさらに不足することに。 さらに、紫外線を気にしすぎるあまり、赤ちゃんにもばっちり日焼け止めを塗ってしまい、日光によるビタミンDの生成をさまたげています。日焼け止めクリームを少しでも塗るとビタミンDが作られないので、海や山など屋外で過ごす時間が長い時には塗るなど、調整しながら使えるといいですね。 ―― 赤ちゃんに日光浴は大切なんですね。一日あたりの目安はどれくらいでしょうか? 伊藤先生:一日10分~15分、日光を浴びるといいでしょう。紫外線の弱くなる秋から春にかけては、1時間くらい浴びるのがベター。全身でなくても、手のひらや足の先だけでも大丈夫ですよ。 とはいえ、緯度によっては(暮らしているところが北であればあるほど)、1時間の日光浴では足りないこともわかってきているので、ビタミンDが強化された食品などをとることを考えたいですね。 ■離乳食の新常識! 卵アレルギーのリスクを軽減する方法は? ―― 紫外線対策のやりすぎは禁物ということですね。食事の面ではいかがでしょうか? 伊藤先生:ビタミンDが含まれる食品はイワシやしらす干し、サケ、卵黄など。きのこ類にも含まれますが、微量です。普段通りの食生活をしていると、どうしても不足しがちな食品ばかりです。 みなさんは毎朝、卵を食べていますか? アレルギーのない幼児なら一日1個食べることをおすすめしています。「アレルギーやコレステロールが心配だから」と敬遠するママも多いようですが、最近では離乳食早期から加熱して少しずつ与えることでアレルギーのリスクを減らせることがわかっています。 また、遺伝的にコレステロールが高い方を除いて、大人なら毎日1~2個食べても血中のコレステロール値にはあまり影響しないことが研究で示されました。 ビタミンDを補う離乳食 「アボカドディップ」 (1歳半~) <材料 2人分> アボカド 1個 卵 1個 レモン汁 小さじ1 塩 少々 こしょう 少々 マヨネーズ 大さじ1 オイルサーディンなど 適宜 <作り方> 1.アボカドは縦半分にカットし、包丁の刃元部分を種に突き刺して取り除く。アボカドの皮をカップにする場合は スプーンなどで実をくり抜く。器に盛りつける場合はそのまま皮をむく。 2.アボカドの実を1cm角のさいの目切りにする。 3.卵を固ゆでにし、冷水で粗熱をとったら殻をむいてみじん切りにする。 4.ボウルにアボカド、卵、レモン汁、塩、こしょう、マヨネーズを入れて混ぜる。器かアボカドの皮をカップにして盛りつける。 ―― そのほかにできることはありますか? 伊藤先生:欧米でよく利用されるのが、サプリメントや強化食。日本ではまだ種類は多くありませんが、牛乳や卵などにビタミンDを添加した強化食があります。スーパーなどで手に入りますよ。サプリメントも含めて、上手に活用できるといいですね。なお、子どもにサプリメントを与える時は医師に相談してからにしてください。 ■貧血症状がなくても鉄分不足の疑いが…「隠れ鉄欠」に注意! ―― ビタミンD以外にも足りていない栄養素はありますか? 伊藤先生:赤ちゃんやママに限らず、日本人全体に足りていないのが、鉄です。鉄が足りないと、鉄欠乏症貧血になり、疲れやすかったり、走ると息切れがしたりします。子どもだと、集中力が続かなくなったり、身長が伸びにくくなったり。 注意すべきは、鉄不足の自覚がない「隠れ鉄欠」。めまいなどの貧血の症状が出れば、わかりやすいのですが、そういう症状が出ない鉄不足の人は多いのです。ママがやせ気味、もしくは栄養状態があまりよくないと、栄養が偏っている可能性があり、かなりの割合で子どもも貧血気味となります。 ―― どんなものを食べるといいのでしょうか? 伊藤先生:鉄が多く含まれるのは、赤身肉や魚介類、卵黄、葉物野菜、大豆、穀類などです。ビタミンCと一緒にとると吸収されやすくなります。献立を、肉や魚料理+納豆や豆腐などの大豆製品にするなど 2種類以上のタンパク質をとるようにすると、タンパク質と鉄分の両方を多く摂取できる のでおすすめです。 鉄分を補う離乳食 「シジミのおみそ汁」 (1歳半~) <材料 2杯分> シジミ(真空パック) 1パック 水 400cc 小ねぎ 1/2本 <作り方> 1.分量の水を入れた鍋にシジミを入れ、ひと煮立ちさせる。生のシジミは殻を洗い、塩水に漬けて一晩砂抜きしたものを使う。 2.お椀にそそぎ、細かく切った小ねぎをちらして出来上がり。お椀に入れたシジミに直接お湯を注いでもOK。 ―― 最後にママたちにメッセージをお願いします。 伊藤先生:クリニックにいらっしゃる患者さんを見ていて思うことは、極端に偏った食生活はしないでほしいということ。マクロビも徹底しすぎるとタンパク質やビタミンDなどの栄養が不足しますし、赤ちゃんに卵を与える時期が遅くなりすぎると、アレルギーのリスクがかえって高まります。健康のためと思ってやっているのに、不健康になってしまっては元も子もありませんから…! ネットで検索した情報は古かったり間違っていることもあります。信頼できる医師に相談したり、出典元がしっかりしている情報を見極める目を持てるようになりたいですね。子どもも、ママ自身も健康が一番! 特にビタミンDと鉄分に注意しながら、親子で栄養バランスに気を配った食事をしましょう。 参考図書: 「小児科医がすすめる最高の子育て食」 1512円(税込)講談社 伊藤明子著。「健康」「免疫力が高い」「頭がいい」「心が安定した」子どもを育てるためにどのような食事を与えたらいいのか、最新の研究に基づいて紹介しています。カラー写真付きでわかりやすい58の簡単レシピも収録されています。
2018年04月19日ママたちの頭を悩ませる毎日の食事作り。栄養バランスは大切と思いつつも、ついつい「子どもが喜んで食べるから」と揚げ物や甘い物を多くあげていませんか? 普段の食生活でどんなことに気をつけたらいいのでしょうか? テレビでも活躍中の「東大ママドクター」こと小児科医の伊藤明子先生に、「丈夫な子」「頭のいい子」「心が安定した子」を育む食事について、教えていただきました。 伊藤明子先生 プロフィール 小児科医師、公衆衛生専門医、同時通訳者。東京外国語大学イタリア語学科卒業。帝京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院で臨床研修。同病院小児科入局。東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻修了。同大学院医学系研究科公衆衛生学/健康医療政策学教室客員研究員。2017年より赤坂ファミリークリニック院長、NPO法人Healthy Children, Healthy Lives代表理事。著書・共著に『小児科医がすすめる最高の子育て食』『天然ヘルシー「調和食」レシピ』など。テレビ番組「林修の今でしょ!講座」などに出演中。 ■子どもだって「糖化」は要注意! 「揚げる」より「蒸す」「煮る」 ―― 子どもが好きな食べ物といえば、揚げ物や甘い物を思い浮かべるママは多いと思います。体にはどんな影響があるのでしょうか? 伊藤明子先生(以下、伊藤先生):「揚げ物も甘い物も絶対NG!」というわけではありません。これらに含まれる糖は体にとって大切なエネルギー源です。ただ、たくさん食べると「糖化」を進行させてしまうので注意が必要。 「糖化」とは、糖とタンパクが結びついて加熱によって起きる現象で、食べ物からとり込んだり、体内で糖化現象が起きて、肌や血管、骨などが劣化していくことをいいます。糖化によって作られたAGE(終末糖化産物)が老化を加速させることが研究でわかっています。 加齢とともに糖化は進んでいくものですが、子どもの頃から糖化が進みすぎると、骨の質が低い状態で成長してしまうため、将来的に骨粗しょう症やがんなどの病気のリスクが上がる傾向にあります。シミやしわの原因や、認知症との関連も報告されています。 AGEはクセモノで、一度蓄積されるとなかなか減らすことができません。離乳食や幼児食の頃から、なるべく気をつけてあげたいですね。 ―― 子どもの頃から血管や骨の劣化に気を付けないといけないなんて…衝撃的です! 揚げ物が大好きな子はどうすればいいのでしょう? 伊藤先生:揚げ物をおいしいと思うのは当たり前のこと。いきなりやめてしまうと子どももつらいので、徐々に回数を減らしていけるといいですね。 注意してほしいのは、揚げ物を特別扱いしないこと。がんばったから「今日は特別に揚げ物ね♪」はやめましょう。子どもの中で「揚げ物=ごほうび」になってしまいます。 大人の言うことがある程度わかる年齢の子であれば、「揚げ物ばかり食べていると、ベタベタ物質が体の中にたまるよ。食べ過ぎると○○ちゃんの体に良くないんだよ」と教えて納得させるのもひとつの手ですね。 ―― 普段の料理で心がけることは? 伊藤先生:糖化リスクが低い調理は、「生→蒸す・煮る→焼く→揚げる」の順です。揚げ物の代わりに、積極的に蒸し料理や煮物を取り入れましょう。ただ、生のものばかりを食べることは、さまざまなリスクがあるためおすすめしません。 糖化リスクを下げる幼児食 「エビとオクラの煮物」 (3歳~) <材料 2人分> エビ 4尾 オクラ 6本 塩 小さじ1/2 出汁 100cc 薄口しょう油 小さじ1 みりん 小さじ1 <作り方> 1.エビは殻をむき、串などで背ワタを取り除く。 2.オクラは手早く塩もみし、硬い「がく」の部分を包丁でくるりと削り取る。 3.鍋に出汁、薄口しょう油、みりん、オクラを入れて火にかけ、オクラがやわらかくなったら1.のエビを入れて火が通るまで煮る。 ■血糖値=精神状態? 心の落ち着いた子を育てる食材選び ―― 揚げ物以外ではどんなことに気をつけたらいいでしょうか? 伊藤先生:先ほどは「糖化」についてお話ししましたが、もう一つ注目してほしいのが「血糖スパイク」です。血糖スパイクとは、食後のごく短時間で血糖が急上昇して元に戻る、血糖の乱高下状態のこと。 血糖スパイクが起きると、血管が傷ついてしまい、病気のリスクも高まります。血糖と子どもの精神状態は強く結びついているといわれており、例えば、朝食をとらないと低血糖でやる気が出ない状態になります。 さらに、そういった空腹時に血糖値が急上昇するようなものを食べるなどして血糖のハイ&ローを繰り返すと、子どものテンションも急激に上がったり下がったりするので、精神的に不安定になってしまいがちに。本来、食事を始めてゆるやかに血糖が上昇するのが理想です。 ―― 朝食抜きは厳禁ですね。理想の食事のために、ママたちは具体的にはどうすればいいでしょうか? 伊藤先生:調理法は先ほどもお伝えしましたので、ここでは食材の選び方に注目してみましょう。血糖値の上がりにくい食材を選ぶのがポイントです。白米や小麦など精製されているものよりも、雑穀や全粒粉など精製されていないものがいいですね。雑穀ごはんや、アレルギーがなければそば粉をクレープのようにして間食に食べるのも一案です。 野菜を摂取する時は、ジュースなど食物繊維が取り除かれた状態のものではなく、そのまま食べるか、スープなどでいただきましょう。ジュースが完全にダメなわけではないのですが、残念ながら、野菜ジュースは野菜の代わりにはなりません。 ―― 離乳食についても何かありますか? 伊藤先生:日本では白米の全かゆから始めるのがスタンダードですが、おすすめは雑穀かゆ。糖質の摂取量を減らせますし、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素と食物繊維もとれます。 日本人は白米でアレルギーを起こす人が少ないと言われていますが、統計上ではひえやきび、あわなど雑穀に対してもアレルギーを起こす頻度は高くないのです。欧米ではオートミールやほかの雑穀から始める国がほとんどですし、白米だけにこだわらなくてもいいと思います。 血糖値をゆるやかに上げる離乳食 「雑穀のおかゆ」 (0歳~1歳半) <材料 1食分> もち麦 10g キアヌ 5g 白米 10g 水 250cc <作り方> 1.研いだ白米、もち麦、キアヌ、水を茶碗か耐熱容器に入れ、炊飯器の真ん中に置いて、大人のご飯と一緒に炊き上げる。 2.1.でできたお子さん用のおかゆを鍋に移し、水を足してさらにやわらかくなるまでコトコト煮る。 3.乳児用のすり鉢でよくする。 ■夕食までの“つなぎおやつ”与えて安心なのは? ―― ママたちの悩みとして聞かれるのが、子どもがおなかを空かせてしまって夕食まで待てない時、何を食べさせたらいいのか? ということ。とりあえず、わが家ではちくわをあげているのですが、どう思われますか? 伊藤先生:うーん、スナック菓子よりはいいですね(笑)。ただ、塩分が多いのであげすぎは注意してください。果物は果糖が多いので、あまりおすすめしません。 きゅうりやにんじん、だいこんなどの野菜スティックがいいですね。食事の邪魔をせず、切るだけですぐあげられます。お好みで減塩みそやマヨネーズにつけても。 これまで話題に出た食べ物のなかでのおすすめ度でいえば、野菜スティック>ちくわ(練り物)>果物>スナック菓子でしょうか。野菜スティック以外だと、ゆで卵や味付けの濃くない焼き鳥(串からほぐして)などがおすすめです。 ちなみに、のりも悪くないのですが、水溶性の食物繊維が多くて胃腸に負担がかかるので、全形1枚以内にとどめておきましょう。 ―― 最後に、忙しい朝のおすすめメニューを教えてください。 伊藤先生:私も仕事をしながら2人の子どもを育ててきたので、朝から包丁を使いたくない気持ちはよくわかります。おすすめは、納豆と卵料理、雑穀ごはん、それにできればみそ汁もプラスできるといいですね。パン派は全粒粉のパンにするのがおすすめです。 参考図書: 「小児科医がすすめる最高の子育て食」 1512円(税込)講談社 伊藤明子著。「健康」「免疫力が高い」「頭がいい」「心が安定した」子どもを育てるためにどのような食事を与えたらいいのか、最新の研究に基づいて紹介しています。カラー写真付きでわかりやすい58の簡単レシピも収録されています。
2018年04月12日子どもが身の回りのことをできるようになってくると、たまには子どもを預けてリフレッシュしたい! というママも増えてくるのではないでしょうか。 なかには「独身のころ大好きだったジャニーズのコンサートに再び行くようになった」「学生時代に夢中だったロックバンドのライブに15年ぶりに行ってハマってしまった」なんていう声も。 大好きだった〇〇に再びハマって、ママたちが青春時代にカムバックする理由とは? 脳内では何が起きていて、どんな影響があるのでしょうか? 脳研究者で、ご自身もふたりの娘さんの子育て真っ最中の池谷裕二先生にお話をうかがいました。 池谷裕二先生 プロフィール 研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。 ■時間とともに美化される「過去の記憶」 ―― 出産後、子育てに慣れてくると、学生時代や独身のころに好きだったアーティストに再びハマるママが、ちらほら出てくるように思います。何か理由はあるのでしょうか? 池谷裕二先生(以下、池谷先生):「マンネリ化の打破」があるのではないでしょうか。小さい時は見るもの・聞くものひとつひとつが輝いていたのに、年をとってさまざまな経験を重ねることで、マンネリ化してくる傾向があります。 加齢によるマンネリ化はごく自然なことですが、マンネリ化の打破は快感なんです。再び同じアーティストを好きになるにしても、当時とは違った心の余裕があるというか、「新鮮さ」がありますよね。 ―― たしかに。昔好きだったアーティストに再びハマるというのは「昔好きだった時の私が好き」みたいなこともあるのでしょうか? 池谷先生:それもありますね。年月を経てそのアーティストの容姿が変わったとしても、アーティストを好きだったという「感覚」を脳は覚えています。 よく人間は悪いことばかり覚えていると言われますが、調べてみると実際はその反対で、良いことをよく覚えているんです。「バラ色回顧」といって、時が経つと過去の記憶が美化されます。 例えば、失恋して間もない頃は苦い思い出ばかりだけど、時間とともに記憶は美化されて、じんわり温かい気持ちになりますよね。心理試験でも、「悪い記憶は抑圧がかかって連想が止まってしまい、思い出さない」というデータがあります。 あとは、昔好きだったドラマを見て、楽しくなる気持ちも一種の「新鮮さ」がありますね。 ■「新婚時代にカムバック!」も脳に好影響 ―― なるほど。懐かしいだけではなく、ワクワク感とか高揚感がありますよね。脳にもいい影響があるのでしょうか? 池谷先生:そうですね。ものごとの見方や捉え方(枠組み)を変えて、プラスの方向に考えることを専門用語で「リフレーミング」といいます。先ほどの「青春時代にカムバック!」以外に例をあげると、マンネリ化している夫婦が、結婚式や新婚旅行など仲睦まじかったころのビデオを見ると、しばらく夫婦関係が改善するのがそうです。 「子育てや家事、いろいろ不満はあるけれど、子どもがいて楽しい時もある。今の状況って、まあまあ恵まれているよね」と、一歩ひいた目で見られるようになります。 ―― ママの「リフレーミング」は子どもやパパにもいい影響がありそうですね。 池谷先生:もちろん。お母さんがイライラしないのは、家族にとってもいいこと。だからカムバック! もそうですし、ママの息抜きは大切ですね。私も妻が飲み会に行く時は子どもの寝かしつけまでやっていますよ。 ■ヒトの親は「子育てするようにできていない」 ―― おっしゃるとおり息抜きは大切だと思うのですが「ママは子育てを頑張らなくてはいけない」みたいな社会的な圧力がいまだにあるように感じられます。 池谷先生:そういう風潮はたしかにありますね。0歳で保育園に預けるのはかわいそうとか。ここで言っておきたいのは、生物学的にヒトは「親が子どもを育てるようにできていない」「子どもも親の言うことを聞くようにできていない」ということ。 人類の祖先が誕生したのが約500万年前、 ヒトが農業を始めて定住するようになったのが約1万年前。農業をするまでの500万年もの間、人類の祖先は狩猟をして暮らしていたんです。日中、親が狩りをする間、子育てをするのは周りの子どもたちとおばあちゃんでした。 これまでの人類の歴史500万年を1年に例えるなら、ヒトの親が子育てをするようになったのは、大晦日になってからのこと。まだまだ日が浅いんです。そんなにすぐうまくいくわけがない。だから、ヒトの親が子育てするとストレスがかかるのは当然といえます。 ―― 「ヒトの親が子どもを育てるようにできていない」なんて驚きました! 親はどうすればいいのでしょうか? 池谷先生:ポイントは、周りの子どもやおばあちゃんとの関わり。親が言ってもきかないのに、お友だちに注意されると子どもはすぐやめますよね。同じ子どもの言うことなら、子どもは受け入れます。だから、子ども同士のコミュニティー作りが大切ですね。 それと、おばあちゃんや、それに代わる保育園の先生などが関わる環境作りができるといいと思います。児童館なども活用して、子ども同士やおばあちゃん的な先生と関わっていけるようにしてはいかがでしょう。 子育てにストレスを感じるのは生物学的に見ても当たり前のことなので、それ自体を気にすることはありません。息抜きすることをうしろめたく思うお母さんもいるかもしれませんが、イライラが爆発する前にうまくリフレッシュして子育てを「リフレーミング」できるといいですね。
2018年04月04日「子どもが自分に似て、算数が苦手になったらどうしよう」 「わが子には、算数嫌いになってほしくない」 子どもが成長するにつれて心に沸々と湧き上がる、文系ママたちの悩み、切なる願い…! 「“文系脳”の親から生まれた子どもは、やっぱり“文系脳”になるの?」 「憧れの“理系男子”や“リケジョ(理系女子)”に育てるのは絶望的?」 「親が苦手でも、生活習慣で改善できるものなの?」 そんな文系脳のパパママの疑問(もしくは叫び?)を、脳の成長・老化について研究している東京大学・薬学部教授の池谷裕二先生にうかがいました。ご自身もふたりの娘さんの子育て真っ最中の池谷裕二先生の視点・言葉には、子育てのヒントがたくさんあふれています。 池谷裕二先生 プロフィール 研究者、薬学博士。東京大学・薬学部教授。専門は神経科学および薬理学で、脳の成長や老化について研究している。『海馬』(新潮文庫)、『進化しすぎた脳』(講談社ブルーバックス)など著書多数。近著に『パパは脳研究者』(クレヨンハウス)がある。プライベートでは二児の父。 ■遺伝だけではない!? 算数が苦手な原因、実は… ―― まず、単刀直入にお聞きします。親の「算数苦手」は子どもに遺伝するのでしょうか? 池谷先生:たしかに遺伝子の影響はある程度あります。算数だけでなく、絶対音感や読み書き、第二言語の習得、スポーツなどにも遺伝子の影響があることがわかっています。 でも、もっと大切なのが、「環境による影響」です。小学校低学年時の担任の先生が「算数苦手」だと、そのクラスの子どもたちは、その後も算数の成績が低迷するといったデータが実際にあります。先生の「算数って難しいよね」などの発言があったと推測されます。 ―― ええ!? 環境による影響も大きいのですね。遺伝と環境による影響、割合としてはそれぞれどれくらいでしょうか? 池谷先生:半々くらいですね。8、9歳くらいまでは感受性が高いので、環境による影響に気をつけてください。特に女の子は「女の子って算数苦手だよね~」といった周囲の何気ない言葉から、「私は算数が苦手」という自己暗示をしてしまいがち。その後、算数が得意な先生にならってもなかなかリカバーできない傾向があります。 ■何気ない「ママが算数苦手だったから…」発言はNG! ―― 親の接し方によっても影響があるということですね。算数が苦手なママはどうすればいいのでしょうか? 池谷先生:親が「私は算数が苦手だから…」と思っても絶対に言わないことが大切。少なくとも、幼児や小学校低学年の子どもよりはできますよね。劣等感からはじめると何事もうまくいきません。ここは堂々としていましょう。 ―― 子どもが計算を間違えたりしたら、「ママが算数苦手だから、あなたもそうなのかもね」と言ってしまいそうです。 池谷先生:それだけは絶対にやめましょう(笑)。ぐっとこらえてください。わざわざ幼児教室などに通うことはありませんが、もしママが算数苦手だとしたら、算数が得意な人と子どもが接する機会を持てるといいですね。 たとえば、パパが算数得意なら、土日はパパと一緒に積み木や数あてっこ遊びをするとか。算数が苦手ではない児童館の先生やおじいちゃんなどと遊ぶのもいいと思います。 ■算数苦手ママでも今すぐできる「数のかぞえ方」 ―― なるほど。ママ自身にもできることは何かありますか? 池谷先生:小さな子どもと一緒にものを数えるときに、「1個、2個、3個…」と単位をつけるのではなく、「1、2、3…」と数えてみてはどうでしょうか。 算数は抽象的な思考を学ぶもの。だから、単位をつけずに「数の概念(ルール)」を教えたほうが、汎用性が高くなります。ものごとのルールをほかに当てはめてみたり応用させたりする「水平思考」が、算数では求められています。 例えば、イチゴを1個と数えてしまった場合、「じゃあミカンは?」「1個!」と答えられますが、魚や動物を数えようとなった時に、そのまま1個とは数えないですよね。イチゴやミカンの「1個」と魚や動物の「1匹(頭)」は同じ「1」という概念であることを、まずは教えなくてはいけません。 だから、単位をつけずに数えるんです。単位をつけて数えることや単位を覚えることは、大きくなってからでも十分間に合います。 ■国語も算数も肝心なのは「コミュニケーション力」 ―― 親としては算数と国語の両方が得意になってもらいたいですが、先生は可能だと思いますか? 池谷先生:それはできると思います。学校の勉強における国語と算数とは意味合いが違うのですが、国語力と算数力はコミュニケーションにおいて大事ですよね。 知能指数(IQ)テストを考案したフランスの理学者アルフレッド・ビネーは、知能を支える3大要素を「論理力(主に算数や物理で身につくもの)」「言語力(主に国語で身につくもの)」「熱意」としています。 適切な時に適切な言葉で伝える、相手が何を言おうとしているのか察知するなどのコミュニケーションには、論理力や言語力、やる気(熱意)が欠かせないわけです。 ―― そうですね。肝心のコミュニケーション力を高めるにはどうすればいいのでしょうか? 池谷先生:親子の会話が大切です。正直、子どもってちょっと面倒な時がありますよね(笑)。何度も同じものを「見て!」と話しかけてきたり。でもそういう時に、親がスマホの画面ばかり見ていて、子どもと会話しないのはいかがなものかと。 夕飯の支度をして忙しいなら、「準備が終わったら見せてね」の一言だけでも違ってくるはずです。そうやって親子の会話を通じて、子どもは空気を読むなど言語力を身につけているんです。なるべく誠意や愛情を持って接することができるといいですね。
2018年03月19日「何回言ったらわかるの?」「やめなさいって言っているでしょ!」 言うことを聞いてくれない子どもについイライラ。 「いい母親になりたい」そう願いながら、「は~、また怒ってしまった…」と、後悔する日々を送るママは少なくないでしょう。そんなママに、1万5000人以上のママを勇気づけてきた 原田綾子さん は「立派なママにならなくていい」と話します。 「自分から行動できる子」を育てるには? 【子どもが伸びる「アドラー式子育て」1】 「子どもをほめる」ことの副作用にご用心!【子どもが伸びる「アドラー式子育て」2】 の続きです。 「子どもが伸びる『アドラー式子育て』」のラストは、疲れていることにさえ気が付かずに、子育て、家事、仕事にがんばるママへの「勇気づけ」のお話です。 ■「子育ての悩み=自分に対する悩み」だった! 「ちゃんとあいさつしなさい」「まだ着替えていないの?」 毎日のようにイライラして子どもに小言を言ってしまうママも多いことでしょう。 原田さんはこう言います。 「子どもは ママの気持ちを映し出す鏡 のようなもの。教師時代を含め、これまでにたくさんのママを見てきてわかったことなのですが、子どもにあれこれ言ってしまうママは、子どもの心配をしているように見えて、じつは 自分にダメだしばかりしていたり、自信がなかったりする ことが多いですね。 自分にコンプレックスがあるから、『こんな私でいいのだろうか?』と、不安に思っている。その気持ちが子どもへの接し方として表れています」 自分に厳しいママは子どもにも厳しくなる。自分の失敗を許せないママは子どもの失敗も許せない。人目を気にして「ちゃんとしなきゃ」と思っているママは、子どもに「ちゃんとしなさい!」と言ってしまう…。 と原田さんは指摘します。 ■「イライラする」自分を受け入れるためには 「自分に自信がない」そう思っているママは多いのではないでしょうか。原田さんはそんなママたちにこう言います。 「たとえば、『また子どもを叱りすぎてしまった…』と自己嫌悪に陥ることがあるかもしれません。でもそれは、『いつもニコニコしているママ』という 理想の母親像 を求めているから、そう思ってしまう。『立派なママ』になろうとしなくていいんです」 そもそも人間は不完全なもの。カンペキな母親なんてどこにもいないと原田さんは強く言います。 「まだママ歴●年。毎日、育児に家事、『あたり前』のことを休みなく続けている。その『あたり前』こそ子どもへの愛なんです。 さらに仕事をしているママもいる。まさにママたちはスーパーウーマン! 『不完全なまま 子どもと一緒に成長 すればいいんですよ』と言いたいですね」 ありのままの自分を受け入れる、というと難しく聞こえるかもしれません。原田さんはこう続けます。 「ママたちこそ自己肯定感を高める “勇気づけ” が、自分自身に対して必要なんです。“勇気づけ”のポイントは、結果ではなく、姿勢や過程に目を向けること。うまくいかないときも、『私、一生懸命がんばっているよね』『次に生かそう』と思うことが大切です。 また、『イライラしてもいいんだよ』『そういうときもあるよね』と自分を勇気づけましょう。夫婦間で“勇気づけ”するのもいいですね」 「ママ自身が自分のことを受け入れられるようになると、子どもはもちろんのこと、パパや友人、職場の人など周りの人を受け入れられるようになります」と原田さんは言います。 ありのままを認めるということは、『この部分はダメだ』と○×をつけて、ジャッジをしないということ。自分(他人)を責めず、不完全な自分にOKを出し、自分を勇気づけましょう。その方がママ自身も気持ちがラクになれそうですね。 ■ママが弱音をはきたくなったら 「ありのままを認める」ようになれれば、イライラの回数は減るでしょう。それでも、毎日の育児や家事に疲れてしまったり、悩んでしまったりすることもあるかもしれません。そんなときは、家事の一部をパパや子どもに任せて、ママも息抜きすることが大切だと原田さんは言います。 「今日は疲れちゃったな。手伝ってもらえるかな」と頼んでみましょう。お手伝いをお願いする以外にも、「たまにはカフェに寄ってから帰ろう」「今日は総菜で済ませよう」などと気分転換をしてみたり。なんでもちゃんとやろうとせずに 『ま、いっか』 を合言葉に家事を割り切ったりしてみてもいいでしょう。 困ったときは、ママ一人で抱え込まずに、パパや親しい友人などに話を聞いてもらうことも大切だと原田さんは言います。 最後に、原田さんに頑張っているママたちにメッセージをいただきました。 「 子育てに正解・不正解はありません。 100人いたら100とおりの子育てがあっていいのです。自分の中にある『●●すべき、●●しなければ』を減らし、自分を勇気づけ、肩の力が抜けると、子育てはグッとラクになりますよ」 ■今回のお話を伺った原田綾子さんのご著書 『マンガでやさしくわかるアドラー式子育て』 ¥1,512(税込)(日本能率協会マネジメントセンター) 子どもが言うことを聞かなくて困っている/感情的に子どもを怒ってしまう自分を変えたい/「自立した子」に育てたいけれど、何をどうしたらいいのかわからない……。そんな悩みを抱えるママたちに、「あるある」と思わずうなずいてしまうようなマンガと解説で、アドラー心理学による子育てをわかりやすく紹介しています。 原田綾子さん 勇気づけ親子教育専門家。株式会社HeartySmile 代表。1974年生まれ。埼玉県在住。二女の母。小学校教員時代、子どもを伸ばすには母親自身の心がイキイキしていることが重要だと気づき、教員退職後、「勇気づけ」をベースとした子育て講座、講演活動を開始。関東だけではなく、全国各地に受講生が多数おり、10年間でのべ1万5000人以上に勇気づけを伝えている。著書に『アドラー式「言葉かけ」練習帳』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。 原田綾子さんオフィシャルブログ:
2018年03月14日「子どもはほめて伸ばすのがいい」とさまざまなところで言われていますが、じつは「『ほめ』には副作用がある」って知っていましたか? 「ほめるとは『結果』を評価すること」と話すのは 原田綾子さん 。これまでアドラー心理学を取り入れ、1万5000人以上のママを勇気づけてきた勇気づけ親子教育専門家です。 しかし、ほめないと自信がない子に育ってしまいそうで、心配に思うママも多いことでしょう。そんな不安なママに原田さんから「子どもが安心して自信が持てるようになる方法」を教えていただきました。 「自分から行動できる子」を育てるには? 【子どもが伸びる「アドラー式子育て」1】 の続きです。 ※アドラー心理学とは ウィーン生まれの医師、アルフレッド・アドラー(1870~1937年)が提唱し、後継者たちが発展させてきた心理学。フロイト、ユングと並ぶ三大巨匠。軍医として第一次世界大戦に関わったアドラーは「二度と戦争を起こさないために人間の心を変えなければならない」と考え、お互いに尊敬し、信頼し合う「よこの関係」を結び、圧力や暴力ではない民主的な方法で問題を解決することを提唱しました。 ■親子関係って“タテ?” “ヨコ?” 「ほめ」の是非を考える前に、まずは親子の関係について考えてみましょう。 「なんで着替えてって何度も言ってるのにやらないの?」「いまは遊ぶ時間じゃないでしょ。ごはんだから片付けなさい!」などと、毎日のように小言を言ってうんざりしていませんか? 「毎日の育児で子どもに注意ばかりしていると、ママも疲れてしまいますよね。ちょっと立ち止まって、 親子の関係 を見直してみるといいかもしれませんね。 親子の関係は一見“タテ”のように思えるかもしれませんが、アドラー心理学によれば“ヨコ”なんです。親が一方的に決めたことに子どもが従う『主従関係』ではなく、 お互いの考えを尊重し合う『対等な関係』 。年齢や家族の中での役割は違っても、存在価値は同じという考え方です」と原田さんはいいます。 ちなみに、『なあなあ』の関係になりがちな「友達親子」とは異なります。 「たとえば、ママ自身が帰宅してすぐパパに『食事の用意を早くして!』『家が散らかっているじゃないか!』と言われたらどんな気分でしょうか? 一方的に言われると、『いまからやろうと思っていたのに~!』とやる気をなくしますよね。 子どももそれと同じなんです。だから、子どもが言うことを聞かないからといって、一方的に親の考えを押しつけるのではなく、まずは 子どもの考え を聞くといいですね」と原田さん。 ■「子どもをほめる」ことには副作用もある! たとえば、子どもがちゃんと片づけをしたときに、どんな声かけをしますか? 「上手に片づけられてすごい!」「ちゃんとできてエライね」でしょうか。ところが、原田さんはこう指摘します。 「ほめてもよいのですが、 『ほめ』てばかりだと副作用 があります。 私が小学校の教師をしていたとき、教室に落ちていたゴミを拾った子に『エライね』といつもほめていました。ところが日中、私が不在にして戻ったある日のこと。教室はゴミだらけに! 子どもたちは『ほめられるためにゴミを拾っていた』ことに気がつきました。 行動の目的が『ほめられる』こと になっていたのです。 先ほどの片づけの例で言うと、『片づけないなら、おやつをあげないよ』などと罰するのも同じこと。 賞罰は子どもを評価する“タテ”の関係 です。賞罰の環境の中で育った子は、周りの評価を気にしすぎたり、失敗を恐れて行動できなくなったりすることもあります。 そしてほめられないと『ダメな私』と思ってしまい、自信をなくていったり、指示待ち人間になったりする可能性もあるんです」 では、子どもが何かできたときに、ほめずにどうやって声をかけたらいいのでしょうか? 「おすすめは、 『勇気づけ』 。『ほめ』は子どもを評価する行為であることに対し、『勇気づけ』は子どもに 共感的 に関わり、結果ではなく 姿勢や過程に注目 します。先ほどの片づけの例で言えば、『がんばったね』『最後までできたね』など、親からしたらあたり前と思えるようなことを言葉にして伝えます。3歳ごろからは『勇気づけ』ができるといいですね」 ■「勇気づけ」の声かけのポイント 「勇気づけ」をするといっても、どうやって声をかけたらいいのでしょうか? 原田さんに声かけのポイントと具体的な例を5つ、教えていただきました。 1.貢献や協力に注目する 例)お手伝いをしてくれたとき 「●●ちゃん(●●くん)のおかげで、ママ助かった」 2.過程や姿勢を重視する 例)子どもがかけっこで1番になれなかったとき 「今回は残念だったけど、たくさん練習したよね」 3.すでに達成できていることに注目する 例)ピアノがなかなかうまく弾けないとき 「この部分はすらすら弾けたね。苦手なところも練習すればできるようになるよ!」 4.失敗も受け入れる 例)お茶をこぼして机が汚れたとき 「うわーびっくりしたね。一緒に拭こうか(または「これで拭いてもらえる?」) 5.他の子と比べずに、個人の成長を重視する 例)テストの点数がイマイチだったとき 「(平均点より低くても)前回よりここができているね」 「ママが自分ならどんなふうに言われたらうれしいか考えてみると、わかりやすいでしょう。『勇気づけ』をして、子どものやる気と自信を育てていけるといいですね」 ■今回のお話を伺った原田綾子さんのご著書 『マンガでやさしくわかるアドラー式子育て』 ¥1,512(税込)(日本能率協会マネジメントセンター) 子どもが言うことを聞かなくて困っている/感情的に子どもを怒ってしまう自分を変えたい/「自立した子」に育てたいけれど、何をどうしたらいいのかわからない……。そんな悩みを抱えるママたちに、「あるある」と思わずうなずいてしまうようなマンガと解説で、アドラー心理学による子育てをわかりやすく紹介しています。 原田綾子さん 勇気づけ親子教育専門家。株式会社HeartySmile 代表。1974年生まれ。埼玉県在住。二女の母。小学校教員時代、子どもを伸ばすには母親自身の心がイキイキしていることが重要だと気づき、教員退職後、「勇気づけ」をベースとした子育て講座、講演活動を開始。関東だけではなく、全国各地に受講生が多数おり、10年間でのべ1万5000人以上に勇気づけを伝えている。著書に『アドラー式「言葉かけ」練習帳』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。 原田綾子さんオフィシャルブログ:
2018年03月13日「子どもに片づけてと言っても、片づけてくれない」「何回注意しても歯みがきしない」なんて経験はありませんか? 「困った」行動をする子どもに対して、ママはイライラしてしまいがちです。どうすればイライラせずに、子どもに関わることができるのでしょうか? アドラー心理学を取り入れ、ほめない・怒らない・比べない 「アドラー式子育て」 を推奨し、勇気づけ親子教育専門家として1万5000人以上のママを勇気づけてきた 原田綾子さん に、子どもとの関わり方のコツを教えてもらいました。 ※アドラー心理学とは ウィーン生まれの医師、アルフレッド・アドラー(1870~1937年)が提唱し、後継者たちが発展させてきた心理学。フロイト、ユングと並ぶ三大巨匠。軍医として第一次世界大戦に関わったアドラーは「二度と戦争を起こさないために人間の心を変えなければならない」と考え、お互いに尊敬し、信頼し合う「よこの関係」を結び、圧力や暴力ではない民主的な方法で問題を解決することを提唱しました。 ■子どもの「困った」行動の原因探しは必要ない? 子どもが言うことを聞いてくれないと、「なんで私の言うことを聞いてくれない(なかった)の?」と、ママは子どもが「困った」行動をする理由探しをしてしまいがち。ところが、原田さんはこういいます。 「原因を探しても、『厳しく言い過ぎたかも』など過去の自分を責めてしまうことに。アドラー心理学は未来に向けていまからできることを考えて行動する 未来志向の心理学 。未来に考えを向けていくためにも、子どもの困った行動の目的に注目してみましょう。 『困った』行動をするのはズバリ、 親や周囲の気をひきたい から。ママのことが大好き♡アピールなんですね。困ったことをすれば、ママは僕(私)のことを見てくれる。そうやって安心感を得ているのです 」 ■ママが注目するのは「できないこと」ではない 子どもが困った行動をしたときは、ママに注目してほしいから。だからダメな行動に注目すると、ダメな行動を増やすことになります。 だから子どもが普段できているところに目を向けて、「いつも応援しているよ」「大好きだよ」が伝わっていれば、子どもは親の注目を引くために、わざわざ困った行動をしなくてもすむのです。 「たとえば、子どもが部屋を散らかしてしまったとき。『散らかした』というダメなところにだけ目が向いてしまうと、ほかにもどんどんダメなところが目についてダメ出し批判ばかりしてしまうことに。意識して、 『できたこと』 に目を向けられるよう、トレーニングしましょう。子どもにダメ出しではなく、ヨイ出しをすると、子どもの良い部分が増えていきます」 アドラーは、おもちゃを散らかした子どもに出会ったとき、「上手におもちゃを広げたね。じゃあ集めてみようか」と声をかけたそう。なんて神対応なんでしょう! でも、なかなかそこまでは言えないママも多いはず。そこで原田さんのおすすめはコチラ。 「わー! 楽しく遊んだね~! 一緒に片づけようか♪」 「この音楽が鳴り終わるまでに片づけよう!」 こうやって声かけすることで、子どもも気分よく片づけをするようになります。ポイントは、このように、子どもに楽しい雰囲気が伝わるようなゴキゲンな声かけをすること。アドラーみたいな『神対応』は難しくても、これならできそうだと思いませんか? ■自分から行動できる子にするためには 「子どもには将来的に、自分で考えて自分で行動できる子になってほしい」と、願うママは多いもの。社会を生き抜いていくための基本ともいえる、 「自立した人」 になること。そこで大切になってくるのが、子どもが小さいころからの、日々の声かけです。 「『~しなさい!』など指示や命令よりも、『~したらどうかな?』『ママはこう思うけど、あなたはどう思う?』など提案をするようにしましょう。そして親子で話しあって、最終的には 子どもが自分で決める経験 をすることが大切です。」 少し先のようにも思えるママもいるかもしれませんが、何歳ごろからこういった声かけを始めたらいいのでしょうか? 「子どもが2、3歳でもできることはいっぱいあります。遊び一つをとってもそう。『折り紙にする? DVDを観る?』など、小さな選択も自立への第一歩なんです。『小さいうちは親が決めて…』と思わずに、まずはできることから始めてみましょう」 ■今回のお話を伺った原田綾子さんのご著書 『マンガでやさしくわかるアドラー式子育て』 ¥1,512(税込)(日本能率協会マネジメントセンター) 子どもが言うことを聞かなくて困っている/感情的に子どもを怒ってしまう自分を変えたい/「自立した子」に育てたいけれど、何をどうしたらいいのかわからない……。そんな悩みを抱えるママたちに、「あるある」と思わずうなずいてしまうようなマンガと解説で、アドラー心理学による子育てをわかりやすく紹介しています。 原田綾子さん 勇気づけ親子教育専門家。株式会社HeartySmile 代表。1974年生まれ。埼玉県在住。二女の母。小学校教員時代、子どもを伸ばすには母親自身の心がイキイキしていることが重要だと気づき、教員退職後、「勇気づけ」をベースとした子育て講座、講演活動を開始。関東だけではなく、全国各地に受講生が多数おり、10年間でのべ1万5000人以上に勇気づけを伝えている。著書に『アドラー式「言葉かけ」練習帳』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある。 原田綾子さんオフィシャルブログ:
2018年03月12日