1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリー。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました』(ぱる出版)など。読者交流イベント「スナック大宮」を東京と愛知で不定期開催中。
こんにちは。ライターの大宮です。アラサー女性の恋愛状況を聞きとって、僕なりのアドバイスを試みてきた本連載。最終回なので、いきなり結論からいってしまいましょう。 結婚適齢期といわれる年齢になっても恋愛感情を持てない男性とは先に進めない女性が多い。でも、大好きな男性と結婚できる確率も、その人と良好な関係を継続できる確率もそれぞれ高くはない。 「いい人がいない」と足踏みしている間に四十路が見えてくる。「悪くはない」人とお互いに歩みよりながら付きあっていく姿勢が大切。以上が僕の結論です。当たり前すぎるかな? 矛盾するようなぶっちゃけ話をすると、会食が趣味の僕としては、魅力的な30代40代女性が独身のままでいてくれることはありがたいのです。 彼女たちは仕事でもプライベートでも経験を積んでいるので、お互いの打ちあけ話をポツリポツリとしながら親しい気持ちでお酒を飲むことができます。のろけ話や自慢話を聞くよりも、どこか満ちたりていない人とのちょっとせつない対話のほうが僕は好きなんです。 どんなに気が合う女性でも、結婚して子育て中だったりすると気軽には食事に誘えません。というか、誘っても断られたりします。僕と一緒に飲んでいるどころじゃありませんからね。子育てがひと段落したらぜひ連絡してほしいです。とっておきのお店に連れて行きますよ。 さて、本題に入りましょう。最後にわが「スナック大宮」に来てくれたのは、看護師の西川綾香さん(仮名、32歳)です。 きめ細やかな肌を持つ美人で、小柄だけど秘めたるパワーを感じさせます。1年半も恋人がいないのは不思議です。 行きつけのタイ料理店を予約して、青パパイヤのサラダなどを食べながら話を聞くことにしました。 ■アシュトン・カッチャー似の彼から突きつけられたもの 「1年半前に別れたのは、海外旅行の帰りの飛行機内で出会った外国人研究者です。まだ日本にいる人なので国名はちょっといえません。ヨーロッパのどこか、です。隣の席に座っていてイヤホンの位置がわからずに困っていたので教えてあげたら仲良くなり、連絡先を交換しました」 その後に幸せな結婚をしたら、空港で結婚式をやってもいいほどの劇的な出会い方ですよね。しかし、現実はそんなに甘くありません。1年半前に別れてしまった理由を聞く前に、どんな流れで彼とお付きあいするようになったのかを教えてもらいましょう。 「彼は俳優のアシュトン・カッチャー似の美形ですが、私の好みのタイプではありません。でも、メールをしたらすぐにノリの良い返信をくれました。友だちが多い社交的な人です。日本語がつたないところに母性本能をくすぐられました」 看護師という職業柄もあるかもしれませんが、綾香さんは自制心や自立心が強い女性だと感じます。気づかいができるしっかり者であるだけに、「隙がない」という印象をとくに初対面の人には与えるでしょう こういう人に限って、懐に飛びこんでくるちょっと図々しい人には弱かったりするものですよね。 出会ってから半年後には恋人関係になった二人。当時、綾香さんは28歳になったばかりでした。自分の感情や意見を率直に発する彼と一緒にいると居心地がよく、「いずれこの人と結婚するんだろうな」と思っていたそうです。 しかし、結婚の話が具体的になってくると、彼は過剰な要求を綾香さんに突きつけたのでした。 「自分と結婚するならばこれをやってもらわなければ困る! とリストを渡されました。彼の国の言語をネイティブ並みに修得すること、セックスをもっとがんばること、『疲れた』といわないこと、などの10項目です」 彼は両親が離婚をしていて、現在は母親に恋人がいることにわだかまりを感じているそうです。マザコンなのかもしれません。強くて明るくて、いつも彼のことだけを考えてくれる「理想の母親」を結婚相手に求めているのでしょう。 「結婚には絶対に失敗したくないので失敗しそうな要素をつくらないでくれ、という主張です。でも、私にばかり要求を押しつけて彼自身は変わるつもりはありません。頭はいい人だけれど思いやりがないな、と感じてしまいました」 仕事をしながら大学院に通うほどストイックな綾香さんは、それでも我慢して彼の希望に沿おうと努力しました。ヒアリングはほぼ完ぺきになるほど彼の母国語も修得したのです。しかし、彼はその努力を認めようとはせず、綾香さんを裏切っていたのでした。 それは年末のできごとでした。東北地方の実家に帰省していた綾香さんの携帯電話に、見知らぬ女性からメールが入りました。 <佐藤と申します。〇〇さん(←彼の名前)と2か月前からお付きあいをしています。あなたは彼とどのようなご関係なのでしょうか?> 丁寧な言葉づかいながらも趣旨ははっきりしています。宣戦布告ですね。自分のほうが火遊びの相手であることを知っているのか知らないのか、彼の携帯から綾香さんのメールアドレスを盗み見して、婚約者である綾香さんに直接連絡をしてきたのです。 「怖くてショックで頭が真っ白になってしまいました。もちろん、返信はしていません。メールの文面を彼に転送したら、速攻で電話がかかってきました。普段は絶対に謝ったりしない人が平謝りでしたね。結局、朝5時ぐらいまで電話で謝られつづけました」 女性読者からは反発を買うかもしれませんが、僕の男友だちは「浮気をするなら嫁にはいうな。嫁にいうなら浮気をするな」をスローガンにしています。飲酒運転撲滅の標語みたいですね。綾香さんの彼の場合は、浮気をする相手をまちがえたとしかいいようがありません。 何度か逢瀬を重ねただけの相手の携帯を盗み見して見知らぬメアド宛にメールを送るなんて、正常な人なら絶対にやりませんからね。結果として、最悪の形で浮気がばれてしまったのでした。 忍耐強い綾香さんは彼とすぐに別れることはありませんでした。しかし、一度でも決定的に信頼関係を裏切られると元に戻ることはできなかったようです。 口げんかをするたびに綾香さんが浮気の件を持ちだし、彼は「あんなに謝ったのに」と逆ギレすることが増えました。 「私は30歳になっていたので、この人に固執してもいいことは何もないと、思いきって別れました。その後は、半年に一度ぐらいは食事をする友だち関係になっていますが、相変わらずの自意識過剰なナルシストぶりにはちょっとうんざりしています。恋人だったら許せたことも、単なる友だちだと面倒くさいと感じてしまうのですね」 ■プロポーズしてくれた元カレが忘れられない 身勝手すぎるマザコン研究者の彼には一切の未練を感じさせない綾香さん。ただし、さっぱりと前を向けない理由もあります。学生時代から8年間も付きあっていた元恋人のユウイチさん(仮名)が忘れられないのです。 「私は4年制の看護学科で、彼は6年制の医学部の学生でした。彼は2歳年上の先輩だったので、卒業した年は一緒です。私はすぐに結婚したかったのですが、彼は研修医として働きはじめたばかりだったので自信がないといわれてしまいました」 その2年後、ユウイチさんのほうからプロポーズがありました。仕事にも慣れてきたのでしょう。しかし、今度は綾香さんが断ってしまったのです。 「ちょうど仕事がおもしろくなっていた頃でした。外科に所属していたので、エネルギッシュで頼りがいのある先生(医者)たちと新米の彼とを比較してしまいました。いま思えば、彼は外見も性格も最高の男性だったんです。あのときにプロポーズを受けておけばよかったな…」 綾香さん、率直に語ってくれてありがとう。もしかすると、ユウイチさんは結婚した途端にDV男に豹変(ひょうへん)して、あなたはいまごろお墓の中で眠っていたかもしれませんよ。彼のことは「たまに思いだして甘酸っぱい気持ちを楽しむ」程度に留めておいたほうが良いと思います。 ■看護師の仕事は好きだけど、パートナーや子どもはほしい 綾香さんのように暗くなりすぎずに後悔の念を話してくれる人が僕は好きです。逆に、「恋愛でも仕事でもいままでの選択はすべて正しかった。私って成功者!」みたいな人には共感しません。人生はそんなに単純なものではないと思うからです。 いま歩んでいる道は最善ではないかもしれないけれど、他人の助けを借りながらなんとか楽しく生きぬいていくのが本当だと思います。 現在の病院での仕事には、自信を持って取りくめている綾香さん。できれば定年まで働きつづけたいと思っています。看護師はひとりでも生きていけるように選んだ仕事です。ただし、パートナーや子どもは欲しいと切実に思っているようです。 「両親も共働きで、母のほうが収入が多かったので、男性には高収入や高学歴は求めません。うちの病院の医者はプライドがすごく高くて社会性はゼロな人が多いので、男性としての魅力は感じませんね。30代以降で独身の人は完全にこじらせ系です」 このような分析をしてしまう時点で綾香さんも少しこじらせ系です。周囲の男性を素直に尊敬できた20代のころには戻れません。かといって、謙虚で誠実なだけの男性にもおもしろみを感じないようです。 「以前からお世話になっている60代の方に相談したら、私より7歳上の税理士さんを紹介してくれました。 とにかく普通の人。見た目はおじさんだし、話もまったくおもしろくありません。会話をすべて私に丸投げするんですよ。お断りをしてしまいました。謙虚ならば誰でもいいと思っていたけれど、やっぱり誰でもいいわけではなさそうです」 じつはいま、綾香さんには気になる人がいます。どんな人なのでしょうか。思わず身を乗りだして聞いたのですが、「大宮さんにはいえません」となぜか教えてくれませんでした。 ここまで赤裸々に話していてくれたのになぜ? 疑問が残ります。僕に話すと恋の成就が遠のくと思っているでしょうか。そんなことはありませんよ! 「大宮冬洋の薄口アドバイス」 最終回にふさわしい「こじらせアラサー女性」が登場してくれましたね。現在32歳の綾香さんは、ファッションや化粧を含めた外見、立ちふるまい、仕事の余裕などの面で、おそらく過去最高に美しくなっているタイミングだと思います。それだけに、男性に求める基準も知らず知らずのうちに高くなっているのです。綾香さんへのアドバイスは残念ながら思いつきません。というのは、改善するべきは僕たち男性のほうだからです。外見も中身も同世代の女性におよばなさすぎる。ちなみに、このような恋愛相談室に来てくれるのも圧倒的多数は女性です。問題意識すらない男性のほうがはるかに問題だ、と僕は思います。「お互いにすてきな大人の男になろうぜ」という趣旨で男性たちと語りあいたいと思うこのごろです。
2016年03月06日こんにちは。婚活応援ライターの大宮です。 なぜ「ご挨拶」から書きはじめるのかといえば、「30人ぐらいが参加しているサークルのメンバーに一斉送信のメールを送るような気持ちで原稿を書きたい」と最近の僕は思っているからです。 みなさんも、顔見知りの39歳男性からメールを受けとったような気分で読んでくださいね。 今回の恋愛相談者は、商社で総合職として働いている森岡純子さん(仮名、35歳)です。編集部が予約してくれた東銀座の居酒屋に赴くと、約束の時間よりも10分以上前に純子さんは座って待っていてくれました。 黒いブラウスにパールのネックレスが似合う、クールビューティな女性です。でも、なぜか無表情。緊張しやすい僕は何をいっていいのかわからなくなってしまいそうです。 ■人見知りのせいで冷たい人だと思われてしまう とりあえず、お酒で場を温めようと思ったのですが、純子さんは明日会社の健康診断を受けるためにアルコールは飲めないとのこと。それは仕方ないですね。気まずい沈黙が続きます。 純子さんは、東京出身の東京育ち。30歳のときに母親の反対を押しきって、ひとり暮らしをはじめたそうです。 当時は、「3年後ぐらいには寿退社しているだろう」と思っていたことや、会社まで近い場所に住んでいるけれど9時始業で終電近くまで仕事していること。そして、現在は気になる人すらいないことなどを少しずつ伺いました。 30分以上たっても表情がかたい純子さんですが、僕のことを嫌がっているわけでも早く帰りたがっているわけでもなさそうです。 「人見知りなので、打ちとけるまでに時間がかかります。黙っていると冷たい人だと思われがちなので、打ちとけてからのギャップがすごいとよくいわれます」 人見知りではあっても人嫌いではないので、食事に誘われたら、予定がない限りは付きあうそうです。会社では「50代以降のおじさん」層から人気を博しています。 「若い子には声をかけにくいので、私ぐらいの年齢はちょうどよいのだと思います」 初対面では高飛車な女性だと思われそうな純子さんですが、じつは自己評価は低めなのだとわかります。 まちがっても「私は美人なので年上男性からモテて当然」という評価にはなりません。かといって、謙虚で親しみやすい雰囲気というわけでもないのです。 下手をすると、周囲の男性から「何を考えているのかよくわからない暗い人」と思われかねません。人見知りの表現方法でかなり損をしている女性だと感じました。 長く付きあっていれば、ざっくばらんな人柄が見えてくるのでしょう。美人でもあるので、20代のころは恋愛の機会に恵まれていたようです。 ■相手から少しでも振りむかれるとうれしくなってしまう 恋愛体質ではないと自覚している純子さんですが、穏やかで仕事もできる「吉田栄作似」の男性と出会うと3分後ぐらいには好きになっていました。 「まったく相手にしてくれなければいいのですが、ちょっと振りむいてもらうとうれしくなって、時間を費やしてしまいます。私の気持ちは相手に十分に伝わっていると思うのですが…。 でも、結局はうまくいきません。20代後半に好きになった人は、一緒に飲みに行って3回ぐらいその人の家に泊まったのに何にも起こりませんでした。共通の知りあいが多かったので、手を出しにくかったのかもしれませんが…」 その男性にはずっと好きな女性がいたけれど、付きあうべきかを迷っていて、その間に自分のことを慕ってくれる純子さんともデートをしていたようです。 終電がなくなって困っている後輩の純子さんを自宅に泊めることはしたものの、欲望に任せてセックスをしたりはしなかったのでしょう。常識的な人なのだと思います。ならば、純子さんのほうからアプローチするべきだったのかもしれません。 「私から口説く? そんなの、無理です」 うーん。確かに無理そうですね。それでいて純子さんは「自分のほうから好きにならないと恋愛できない」タイプです。最後にお付きあいしたのは3年前のことでした。 ■元カレは、優しそうな雰囲気の料理人 「相手は、ハロウィンパーティで知りあった料理人さんでした。その場ではあまり話しませんでしたが、優しそうな雰囲気にハッとしましたね。友だちづてに彼の連絡先を聞いて、私のほうから連絡をして、2か月後には付きあいはじめました」 しかし、大企業の社員である純子さんと飲食店勤務の恋人とは生活のリズムが合わず、デートもままならない日々が続きました。10か月後に早くも別れのときがやってきます。 「彼のおじさんが神奈川県の山奥でお店をやっていて、その店を彼が引きつぐことになったんです。一緒に来てくれないかといわれたのですが、東京を離れるのは無理だと思って別れてしまいました」 恋愛体質ではなく、ごくたまにしか男性を好きにならないという純子さん。今後の参考までに僕自身の体験を聞いてください。 ■ライター・大宮の結婚エピソード 僕は埼玉県所沢市生まれの東京都東村山市育ちです。大学を卒業するまで実家にいて、社会人になってからのひとり暮らしも杉並区でした。 つまり、30年以上も東京の西北部にあたる西武新宿線およびJR中央線沿線で暮らしつづけたのです。東京のほかの地域にすらアウェイ感を抱いていました。 最初の結婚相手は、実家が西武新宿線の沿線にありました。それも親近感を覚えた理由だったのですが、実際に結婚してみると生活観や家族観で食いちがうことが多くて、わずか1年で離婚をしてしまったのです。 1年半後に再婚した相手は、愛知県の海沿いで家業を継いでいる女性でした。彼女は毎日通勤しなければならないので、愛知県外に住むのは無理があります。 僕は東京を離れるのが本当に怖かったのですが、勇気を出して愛知県蒲郡市という聞いたこともない小さな自治体に住むことにしました。 半年もたつと、気候も穏やかで農産物も海産物も豊富な土地が大好きになり、気のあう友だちもできました。妻や義理の両親との相性はよくて、大人として適度な距離感を保ちながらも助けあい、それぞれが気持ちよく暮らしています。 慣れ親しんだ土地や人間関係から物理的に離れるのはエネルギーが必要ですが、移住先でも意外なよろこびが待っている可能性は大きいのだと僕は知りました。 もちろん、結婚相手を心から愛していることが大前提です。健康な大人ふたりが力を合わせれば、たいていのことは乗りこえられると思います。 純子さん、次の機会があれば東京以外に住むことも考慮に入れてみてください。選択肢は多く持っておいたほうがいいですよ。 「自分から好きにならないと、付きあえない」という純子さんには、ちょっとしたジレンマもあります。相手を好きになりすぎると何もいえなくなってしまい、ありのままの自分でいられないことです。 結婚をしてしばらく共同生活をすれば、よくも悪くも地が出てくるものなのであまり心配はいらないと思いますが、自分の魅力を伝えられないまま別れてしまうようならば確かに問題ですよね。 「友だちから恋愛に発展したり、相手のほうから私を好きになってもらってからお付きあいしてもいいかな、とようやく思いはじめています。でも、最近はまったく出会いがありません。どうしたらいいのでしょうか…」 30代半ばになると、学生時代や会社の同期はすでに結婚している人が多くなり、合コンなどの機会が減っていくもの。 でも、気持ちを軽く保っておけば、出会いなどは街中にころがっています。純子さんの場合は、第一印象をよくすることのほうが大事だと僕は思います。「薄口アドバイス」をご覧ください! 「大宮冬洋の薄口アドバイス」 「30歳を過ぎたら短所を根本的に直すことは難しいので長所を伸ばすことを考えよ」とビジネス書で読んだことがあります。恋愛でも同じです。むしろ、短所を長所に転じるぐらいの気構えが必要です。 純子さんは人見知りを克服するのではなく、「愛嬌(あいきょう)のある人見知り」を目指せばいいのだと思います。ポイントは、人見知りを開示すること。 「緊張しているので表情がなくなっています。気の利いたこともいえません。ごめんなさい。でも、今日はあなたにお会いできてとてもうれしいです」という趣旨のことをできるだけ早い段階で相手に伝えましょう。メールやLINEでもいいし、友だちに言い添えてもらうのもありです。 あなたの気持ちが伝われば、相手の男性は「かわいい人だな。守ってあげたい」と思うことでしょう。純子さん、短所と長所は表裏一体なんですよ。試してみてくださいね。
2016年02月14日みなさん、こんばんは。婚活応援ライターの大宮冬洋です。 地産地消の野菜料理とラザニアが名物の小さなイタリア料理店に来ています。今回登場してくれるのは、東海地方で美容師をしている安田美紀さん(仮名、34歳)です。 オードリー・ペップバーンを和風にしたような端正な顔立ちのスレンダー美人です。オフホワイトのざっくりニットにハットというさっぱりしたファッションが決まっています。さすが美容師、センスのいい着こなしですね。 「職業柄、キレイにしつづけないといけないので大変です。英語すら通じない中央アジアでは、ノーメイクでひとり旅ができてすごく気楽だったな。早く次の旅に出たいです…」 美容師という仕事には誇りを持っていながらも、何よりも旅が好きな美紀さん。東京の人気美容室で20代半ばまで修行をした後は、海外と国内を行ったりきたりしています。 地元でまったりと過ごすか、縁もゆかりもない土地を放浪するかのどちらかがよいとのこと。お会いして楽しく話していても、心の3割ぐらいは「ここにあらず」な雰囲気を漂わせています。不思議な魅力を持つ女性です。 ■旅先で知りあった彼との恋愛は、ブラック企業状態に 美紀さんには20代後半にがっつりとお付きあいした恋人がいました。海外で出会った美容師仲間のトシオさん(仮名)です。同い年で旅好きという点で意気投合し、そのままふたりで世界中を“貧乏旅行”して回りました。帰国後も東京で同棲していたそうです。 「自分は飲みあるいて週に1、2回ぐらいしか帰ってこないくせに、私にはどこで誰と飲んでいるのかをつねに報告させる人でした。外で一緒に飲んでいるときは、私が自分の女であることをアピールするために、やたらに『かわいい』や『好き』を連発していましたね」 トシオさんのことを忌々しそうに話す美紀さん。30歳になる2011年の初めに別れ、同棲も解消しました。原因はトシオさんの浮気です。 「口グセのように私と結婚したいといっていたのに、私も知っている女性と浮気していたんです。別れた後に友だちと深酒していたときに、彼が新しい彼女と行きつけのバーで飲んでいると聞きつけて、明けがたに押しかけました。 激しく酔っていたので何をいったのかはよく覚えていませんが、『いつもいい人ぶっているけれど、お前なんて最低の男だ』ぐらいのことはいったと思います。本当にひどい男でした」 浮気が発覚する前から、身勝手で不誠実なトシオさんには、すでに愛想が尽きていたという美紀さん。同棲中も「この人と結婚することはない」と密かに思っていたそうです。 しかし、付きあっていた3年間は精神的に束縛されたこともあって、自分からは別れられない心理状況に陥っていたようです。辞めたいけれど辞められない。ブラック企業の従業員みたいですね…。トシオさんから別れを切りだしてもらってよかったのではないでしょうか。 「はい。この人とは絶対にヨリを戻すことはないと思いましたね。でも、それまでのつながりがあまりに強すぎたので、半年ぐらいは落ちこみました」 ■気軽に飲みにいける独身者の少ない地方都市 東京での生活に疲れたこともあり、同棲解消後は東海地方にある実家に戻ってきました。美紀さんは、美容師として腕に覚えがあるため、どんな場所にいても稼ぐことができるのです。 現在は、完全歩合制の美容室で勤務しています。指名客がしっかりとついているため、勤務時間や休暇は比較的自由に選択できるそうです。 一方、さまざまな職業に就いている独身者の多い東京都心とはちがって、地方都市では30歳を超えるとほとんどの人が家庭生活を営むことに忙しくなるのが現状です。そのため、「飲み仲間」が見つからないことが唯一の不満だといいます。 ひとり好きに見える美紀さんですが、職場と実家の往復だけでは息が詰まりますよね。その日の気分で気軽に誘いあって飲みにいき、いろんな話ができる友だちは必要なのです。 「一緒に飲めれば誰でもいいわけではありません。ダンナの悪口みたいな話は、職場でもお客さんから聞いているし、あまり興味がありません。私が知らないことを知っているとか、旅の話ができるとか、刺激をもらえるようなおもしろい話し相手がいいですね」 ■愛情表現は乏しいけど、自分を尊重してくれる彼との出会い 高校時代の友だちに紹介してもらったのが、同い年のタカフミさん(仮名)でした。お互いの実家が自転車で5分という至近距離にあるほか、旅もお酒も好きで、人嫌いではないのに友だちが少ないという共通点があります。頻繁に誘いあって飲みかわすようになりました。 「最初のころは、トシオへの怒りが収まっていなくて、タカフミくんにひたすらグチを聞いてもらっていました。我ながら病んでいたな…。 タカフミくんはすごくいい人で聞き上手なんです。そのうちに一緒にスポーツジムにも行くようになり、春先には付きあい始めた記憶があります。 トシオとはちがって、自分の感情をはっきりと表現するタイプではないので、いつから付きあうようになったのかはよくわからないんです」 タカフミさんと美紀さんは行き先も宿泊先もあらかじめ決めない放浪のような旅が好きで、夏ごろにはテントを持って国内旅行をしました。 30代でも好んで野宿する人は珍しいですよね。このふたり、確かに相性がいいようです。同じテントで泊まることになるので、美紀さんはタカフミさんの意思を確認しました。単なる友だち感覚なのか、と。 「彼はトシオとは正反対で、自分の気持ちをはっきりと口に出したりはしません。私の質問にも『そうじゃない』と答えるだけ。好きだなんていわれたことは一度もありません」 燃えるような恋ではなく、ワクワクドキドキすることもないと明かす美紀さん。でも、トシオさんのように美紀さんの行動を制限したりはせず、聞き上手で穏やかなタカフミさんに居心地のよさを感じているようです。1年前からは同棲をスタートさせました。 「あまりに愛情表現をしないので問いただしたことがあります。すると、『言葉よりも行動のほうが大事じゃない?』と返されました。たしかに、彼のほうがまめに家事をやってくれるし、私が海外ひとり旅をするといっても、ダメ出しされたことは一度もありません」 言葉ではなく態度と行動で愛情を表現できる男性、ステキですね。ただし、タカフミさんはあまりにも寡黙で感情表現をしないため、美紀さんはほかに飲み仲間を求めざるを得ません。ちなみに僕もそのひとりです。 「今日も彼には特に何もいわずに出てきました。まったく問題ないですよ。お互いに好きなことをしています。 結婚した友だちに聞いても、最初は束縛しあうような熱い恋愛をしても、次第に落ちついてきて、趣味が同じだったり自由な時間があることが大事になるらしいですね。 だから、タカフミさんが結婚したいなら、わたしはしてもいいかなと思っています」 完全に受け身の態度ですね…。美紀さんには結婚願望はないのでしょうか。 「以前は、いつか結婚するだろうと思っていました。でも、いまはどっちでもいいですね。結婚して子どもができたりしたらそれはそれでいいし、結婚しないのならば自分の人生を歩めばいいだけ。 一番やりたいことが旅だから、結婚はしにくいのかなと思います。海外でひとり旅をしている女性と会うことがありますが、ほとんどの人は独身です」 美紀さんとタカフミさんは1年以上同棲をしていますが、お互いの親には会ったことがないそうです。美紀さんにとっては同棲と結婚はつながっていません。 東京で住んでいたころも完全なひとり暮らしは3年間ほどで、ほかの期間は恋人との同棲、もしくはシェアハウス生活でした。お金を節約するためには気のあいそうな人と助けあって暮らすことが当たり前という発想なのです。 好きで得意な仕事で比較的自由に働けていて、たまに海外旅行をするくらいのお金を稼げている美紀さん。実家も近くにあり、理解のある穏やかな恋人とは居心地よく暮らせていて、気軽に飲んでおしゃべりできる友だちも少しはいます。 旅を最優先して生きていきたいのであれば、「最高」に近い状況です。美紀さんもケロリとした顔をしてイタリア製ビールを飲んでいます。とくに相談ごとはないことに気づいたので、インタビューは終了。二軒目のバーに飲みにいくことにしました。 「大宮冬洋の薄口アドバイス」 恋愛や結婚は何のためにするのでしょうか。生物学的には子孫を残すためですが、人類全体としては人口爆発が続いているので、生態系を維持するためには少子化はむしろ歓迎すべきだという論説を読んだことがあります。つまり、僕たちは僕たちの生をまっとうすればいいのです。そのためには、安らぎやよろこびを感じることができる人間関係は必須ですよね。結婚生活よりも旅がしたいという美紀さんのような人は、地方都市では「変わり者」と見なされかねません。でも、美紀さんと恋人のタカフミさんが現在の生活に充足しているのであれば、何も気にすることはありません。僕も同じ地方に美紀さんのような独身の美人が住んでいることはとてもうれしいです。これからも友だちでいましょうね!
2016年01月17日みなさん、こんばんは。婚活応援ライターの大宮冬洋です。 定番のおしゃべりテーマである、男女の間に友情は成りたつのか。僕の意見は、「成りたつけれど、年齢の近い男女の友情には、恋愛感情や性欲が含まれても仕方ない」です。 同性であっても、見た目や立ちふるまいの美しさにほれぼれすることがあります。異性であればなおさらです。 ちなみに、僕は女友だちの8割とは「まかりまちがうことがあっても、いやじゃない」と思いながら付きあっています(むこうはいやでしょうけどね)。 残りの2割とは「性的な魅力はお互いに感じていない。でも、なぜか気があう」という関係です。後者のほうが本当の友だち、という単純な話ではありません。 仕事での女性関係も同じような比率です。この連載でもデートしたい女性ばかりをお誘いしてインタビューしています。 僕の場合は、友情と恋愛どころか、仕事と恋愛すらも境界がはっきりしないのです。公私混同しているからこそ血の通ったインタビューとアドバイスができると信じています。 建設会社に勤務する藤原奈津美さん(仮名、30歳)とは、ある会合で知りあいました。顔が小さくて、目がクリッとした美人です。 はっきりいって好みのタイプですよ。しかし、奈津美さんの表情は少しかたくて、会合の参加者たちと積極的に交流する様子はありません。 1年前に恋人と別れてからは、気になる男性もいないそうです。もったいないなあ。 お誘いをすると快諾をしてくれました。ある晴れた平日の午後、日比谷で観劇をする予定があるという奈津美さんにあわせて日比谷公園内の老舗洋食店でランチを予約。 約束の時間にやってきた奈津美さんは、ざっくりニットに少し明るく染めたロングヘアが似あっています。 前菜を食べながら軽く雑談をしていると、「ぶっちゃけてお話してもいいですか?」と聞かれました。望むところです! ■別れた1か月後に結婚した束縛男 本当に腹を割っていろいろ話してくれたので、時系列に並びかえてご報告することにします。 まずは、学生時代から7年間付きあっていたケンイチさん(仮名)との話。学内の音楽サークルで知りあった同級生です。 学生のころから、早く結婚したがっていたというケンイチさん。一方、奈津美さんは、卒業してしばらく働いてからでないと結婚は無理だと考えていたそう。 20代半ばになり、奈津美さんも結婚したいと思うようになったものの、なぜかケンイチさんは結婚しようとしません。 「仕方がないので別れを告げたら追いかけてきました。それでも結婚の話は出なかったため、結局別れることに。それから1か月たったころに電話がかかってきて、同じサークルの別の子と結婚したといわれました」 わかりやすく身勝手で無計画な男性だな…。 ケンイチさんは子どもっぽい人格の持ち主だったようです。朝昼晩のメールと夜の電話を奈津美さんに義務付け、女友だちとの食事や職場の飲み会に参加することすらいい顔をしませんでした。いわゆる束縛男ですね。 それでいて、自分は上述の女性と会っていて、奈津美さんが抗議すると「同じサークルの仲間なんだから親しくして当然だ」と逆ギレ。自分が浮気しているから、恋人を信じられずに束縛していたのでしょう。 「私への結婚報告の電話は奥さんに強制されたそうです。奥さんとは私も昔から知りあいなので、電話口で彼女から『彼が直前まで奈津美さんと付きあっていたことを知っていたら、結婚なんてしなかった!』とギャンギャンいわれました。 なぜ恋人を奪われた私が叱られなければならないのでしょうか。面倒くさいので電話を切りました」 ■「私は自己評価が低い」 しかしケンイチさんは、1年後には離婚をしたそうです。 奈津美さんは風のうわさで知り、「学生時代に彼と結婚しなくて本当によかった」と感じたとのこと。そして、性格が少しだけ強くなりました。 「私は自己評価が低いんです。ときどき『キレイですね』といってもらえることがあっても、え~っ私なんて、と思ってしまいます。目立ちたくない、みっともないことをしたくないという気持ちも強いです。 おとなしく地味に生きてきたつもりなのに、あんなにひどいことが起こるんですよね。それからは『私なんて』とは思わなくなりました。束縛してくる恋人もいないので、いまではひとり遊びが楽しくて仕方ありません。ライブや演劇にはまっています」 まさに「禍いを転じて福となす」ですね。この「ふっきれる」経験がなければ、奈津美さんは芸術鑑賞のよろこびを味わうことなく、感動の少ない人生を過ごしていたかもしれません。 子どものころから集団行動が苦手で、友だちは片手で数えられるほどしかいないという奈津美さん。 基本的にはひとりでいることが合っているのだと自覚していますが、「人生のパートナーがほしい」という気持ちは高まっています。 「実家暮らしで、両親との仲もいいほうだと思います。じつは最近、小型犬を飼いはじめてしまいました。マズイ傾向ですよね。 結婚のそぶりも見せなかった3歳下の弟は、地方転勤をきっかけにして恋人と急に結婚することになりました。姉としてすごくうれしいけれど焦りも感じます。私には弟夫婦のような勢いもないし、タイミングものがしてしまいがちです」 ■同じベッドで寝ても、何もしてこない元カレ 自嘲する奈津美さんですが、ちゃんと行動もしています。3年前は、親友に同級生の男性、シンイチさん(仮名)を紹介してもらいました。 物静かでやさしい男性で、1年間は友だちとして過ごしていたそう。クリスマスのときも会っていたので「付きあおうか」ということになりました。 ベタではありますけれど、クリスマス前後の週末にふたりきりで会ってくれる異性とは「私たちは恋人関係である」という共通認識を持ちやすいですよね。 「でも、9か月も付きあって男女関係にならなかったんです。草食ならぬ絶食男子だった彼は、手もつないでこなかった。もっと仲を深めたいと思って、私が企画して一泊旅行もしました。もちろん、同じベッドで寝ましたよ。でも、何もしてこない。かなり傷つきました」 うーむ。シンイチさんは女性経験が少なくて「どうしたらいいのかわからない。下手なことをして軽べつされたくない」と思っていたのかもしれません。僕も20代半ばのころは同じような悩みを抱えていたのでわかります。 そんな男性と文字通り裸で向きあって、ときには叱りながらも女性の心と体について教えられるのは、恋人しかいないのです。奈津美さんには荷が重すぎたのかもしれませんね。 ■男性と出会っても、次に会うのがおっくうになってしまう シンイチさんに見切りをつけた奈津美さんは、今年の春に結婚相談所に登録をしました。9か月間で13人ぐらいの男性と会ったそうです。 キレイな奈津美さんには申しこみが殺到したはずなのですが、その点に関してはあまり話してくれません。謙虚というか、自分をポジティブに評価したりされたりすることが得意ではないようです。 相手の男性に求める条件も高望みとはいえません。年齢は5歳上くらいまでで、関東地方に住んでいることと、年収は400万円以上で、写真を見て「無理じゃない」ことの4点のみ。 実際、婚活の場では人気を集めそうな30代前半の男性ばかりと会えたようです。 「でも、また会いたいなと思える人がいませんでした。わがままをいって、本当に申し訳がないんですけど…」 現在は結婚相談所での活動を休止中だという奈津美さん。2回以上デートを重ねられた男性も5人いたそうですが、4回目以降はありませんでした。 奈津美さんは、なぜか次に会うのがどうしようもなくおっくうになってしまうのだといいます。 でも、あえて理由を挙げるとすれば“次に会う日程をなかなか決められない”男性だったから。後で連絡するといわれて、待っていてもメールがしばらくこないのだそうです。 「私は週末休みではない仕事なので、休みを取るためには早めに調整が必要です。だからこそ予定はちゃちゃっと決めたい。前の彼(シンイチさん)もデートの予定がなかなか決められない人だったので、同じような系統は避けたいと思いました」 “距離感が近すぎる”男性もいました。最初のお見合いの席で、身を乗りだすようにして話しかけてくるのです。「男性はあまり得意じゃない。男友だちはいない」と明かす奈津美さんは、完全に引いてしまいました。 親しくなってもいないのに、やたらに体を寄せてくる人って男女ともにいますよね。 「企業で研究職をしている35歳の方は、お話のなかで海外勤務になるかもしれないことがわかりました。好きになった人がたまたま海外勤務になったら仕方ありませんが、結婚相談所で会ったばかりの人と海外で暮らしたいとは思いません。お断りしてしまいました」 お見合いの席に立ちあったわけではないのであまりキツイことはいえませんが、奈津美さんは、たしかに少し「わがまま」な気もします。結婚相談所での出会いは、断ったり断られたりしやすいのがメリットでありデメリットでもありますよね。 お互いに「ほかにもいい人がいるはず」という逃げ道があり、それでいて「どんな人が自分にとって本当にいい人なのか」がわかっていないため、いつまでたっても相手を選べない男女が出てくるのです。 ■恋愛に発展しそうな空気が苦手 奈津美さんに改めて「結婚相手に求める条件」を2つだけあげてもらいましょう。1つは少なすぎるし、3つでは多すぎる。条件は2つがいい、と僕は勝手に思っています。 「食べることが好きな人。そして、ひとりの時間を持っていて、私がひとりでいることも許してくれる人、ですね」 常識的な答えですよね。美人でまだ若い奈津美さんにはすぐにでも相手は見つかる気がします。でも、実際に男性を紹介しても「フィーリングが合わない。次に会うのがおっくう」とかいいそうだな…。 インタビューを終えて、デザートを食べながら再び雑談をしました。僕が個人的にお見合いおじさん活動をしていることや僕自身の結婚生活についていろいろと話したところ、とてもリラックスした表情で聞いてくれたのです。笑った顔はちょっとドキッとするほどのかわいさでした。 しかし、デートではこうはいきません。「恋愛に発展しそうな空気が苦手」だという奈津美さんは、お見合いの場などでは妙な緊張感や警戒心を持ってしまうからです。 「恋愛マンガとかドラマは大好きなのですが、自分が実際にそうなりたいわけではないんです。恋愛っぽい雰囲気になると、急に自分を客観視して、うわーっと恥ずかしくなったり自信がなくなったりしてしまいます」 今回の話は結婚願望のある独身男性にとっても、大きなヒントになります。奈津美さんのような「恋愛っぽい雰囲気が苦手」な女性は意外と多いのです。 とにかく大事なのは、共感ベースで会話を楽しむこと。外見が好みだからといって「がっつく」のは禁物です。「まずは友だちになろう。人間として向きあおう」という姿勢が大切。 なにひとつ共通点がなく、一緒にいても居心地のよさを覚えないのであれば、恋愛や結婚をするのは無理だと思ってあきらめましょう。自然に仲良くなり、親友になることができてはじめて、恋愛や結婚ができるタイプの女性もいるのです。 「大宮冬洋の薄口アドバイス」 奈津美さん、もっとゆるめに男性を見てはいかがでしょうか。絶対に譲れない部分さえクリアしていたら、とりあえずお付きあいしてみることをおすすめします。あなたはとてもキレイな人で、性格にも大きな問題はありません。32歳ぐらいまでは結婚相手の候補は次々とあらわれることでしょう。「すごく好きにはなれないけれど、絶対にいやだというわけではない」という男性から好意を示されたら、とりあえずデートを重ねてみませんか。そして、彼の前ではあれこれ心配をせずにいいたいことをいうようにしましょう。あなたが心を開けば、彼の意外な美質が見えてくるかもしれませんよ。
2015年12月13日みなさん、こんばんは。ライターの大宮冬洋です。今回は都心にある個室居酒屋に来ています。 30歳前後の男女が合コンやデートをして、お会計は男性5000円・女性2000円でちょうどいい、といった若々しい雰囲気のお店です。 今夜のお相手は、イベント企画会社で企画職をしている吉田真弓さん(仮名、34歳)。 ボブカットとキレイめのスウェット姿が大人っぽい印象を与えますが、よく見るとお化粧はほとんどしていません。吉瀬美智子風の顔立ちがもったいない、と僕は思います。 「今日は外回りがあったのでこんな格好をしていますが、社内だけで仕事が済むときはTシャツとパーカーです。メイクは面倒臭いし苦手です。とくに、目の周りはすぐにかゆくなってしまいます。マツエクをしてもらったこともありますが、寝ているうちにかいてとれちゃった。カイカイカィーってなっちゃうんですよね」 カィーという表現が自分でおかしかったのか、エヘヘヘとあけっぴろげに笑う真弓さん。30代女性なのに美少年のような色気があります。 僕とは共通の知人がいて(その女性の紹介で会っています)、いい雰囲気の店でアルコールも入ったので、早くも気を許したのかもしれません。ちょっと危ない女性だなあ。 真弓さんは自らの恋愛を振り返って「ダメな女」「バカな女」だと自嘲します。その原点は学生時代にあるそうです。 ■10年たっても忘れられない、仏様のような元カレ 「仏様のような人格者の彼と出会い、4年間つきあいました。彼と結婚するつもりだったので、甘い物好きの私は製菓の専門学校に入り直し、ケーキ職人を目指したんです。『いずれ養ってもらうんだから、私は好きなことをやっていればいいんだ』という考えでしたね。 でも、あの頃は最高に調子に乗っていたし、就職したチェーンのケーキ店が安月給かつ忙しすぎて頭がフワッフワして、優しくしてくれた男性の家に泊まりに行ったりしてしまいました。 度重なるとさすがのホトケも許してくれません。つきあいきれない、と言われてしまいました。私は、10年たつ今でも彼のことを忘れられないバカな女です」 失恋と同時にケーキ店は退職し、現実を見つめられるようになった真弓さん。 学生時代にやっていたプロバイダーでのアルバイト経験をいかしてウェブ関連の仕事を見つけ、現在の職種にもつながるITスキルを身に着けてキャリアを重ねています。 挫折を経験し、押しつぶされてしまう人もいますが、真弓さんのように自分を鍛え直すきっかけにできる人もいますよね。少なくとも仕事面では立派な社会人になったようです。 ■ゲイ気質な男性にばかり好かれる 恋愛ダメ女を自認している真弓さんですが、不思議な魅力と脇の甘さがあるためか、恋人もしくは恋人候補は常にいます。 しかも、自分からアプローチしたことは一度もなく、男性のほうから口説かれるのだそうです。受け身で自信のない男性が増えている近年、ぜい沢な話ですよね。 「私は決して一般受けはしないのですが、一部の男性にメッチャ受けるんです。何をしてもかわいいと言われちゃう。具体的には、ゲイ気質のある男性たちに好かれます(笑)。 女性っぽい女性は苦手で、男同士で遊ぶのが大好きな男の人っていますよね。でも、かろうじてゲイじゃない。私は『玉袋筋太郎』みたいな音の響きを楽しむ中二的(中学校二年生的)な下ネタが大好きなので、そういう男の人たちに神のように崇められるんです」 真弓さんは仲間たちと山岳スキーや本気のテニスを楽しんでいます。仲間には趣味に没頭するタイプの男性が多いことでしょう。 山小屋での雑魚寝も平気な真弓さんにはライバルとなる女性が少なく、男性からの人気も高まりやすいのだと思います。 ただし、その男性たちの中でもやや問題のある人をよりひきつけ、おつきあいをするとさらにダメにしてしまう傾向があるようです。 2年前までつきあっていたのは、9歳年上のバツイチ男性。登山仲間として知り合い、「口説かれたらすぐに好きになっちゃった」とのこと。 しかし、普段は優しい彼は気に障ることがあると激こうする性格の持ち主でした。 恋人がいても仲間とのつきあいは大切にしたい真弓さんは、彼を置いて泊りがけの山岳スキーに参加。激怒した彼は真弓さんの頭をつかんで壁に押し付けたりしたそうです。わかりやすくDVですね…。 ■失恋の傷を癒やしたのは、街コンで出会った彼 「最後のほうは本当にドロドロでした。ようやく別れたのに、寂しくてつらくて…。そんなときに参加した街コンで出会ったのが、1歳年上のヒロキくん(仮名)でした」 地元が近いからという理由で親しみを覚え、2人で飲みに行った初デートで前彼とのつらい別れを語って泣いてしまった真弓さん。 じっくり聞いてくれた後で口説いて来たヒロキさんを好きになったそうです。なんのこっちゃ、と突っ込みたくなるような落ち着きのなさですね。そして、このヒロキくんもさまざまな問題を抱えていました。 「彼はすごく歌がうまいので、友だちの結婚式で歌を披露する機会が多いと聞いていました。でも、写真を見せてもらったらなんと裸の写真ばかり。歌いながら裸になる芸だったのです。 しかも、マッチョでも何でもなくて、ジュゴンみたいなプリプリの白い体。自分が脱ぎたいだけなんですよ。またゲイ気質がある人を捕まえてしまいました」 ただし、ヒロキさんは純粋な女好きです。つきあい始めて最初の旅行中に、会社の女性から頻繁にLINEが来ることが発覚。 強引にスマホ画面を見た真弓さんは、「この女、お前にほれとるやないけ!」と断定したのでした。しかも、ちょうど真弓さんとヒロキさんが気まずくなっている時期に、その女性と飲みに行く約束をしていたことも判明。 完全にクロですね。 ■DV、浮気、借金…。問題の多い男性ばかり 真弓さんに責め立てられて自棄になったのか、ヒロキさんは消費者金融各社に借金があることも告白。それでいて、飲み会や買い物にどんどんお金を使ってしまう習慣を直そうとはしないのでした。 「プロポーズもされていたのですが、さすがに『ないな』と思って昨年末に別れました。それからは婚活を休んでいます。もう30代半ばなので焦りはありますけど…」 男性を見る目がないと自覚しつつある真弓さんはあまり気づいていない弱点も抱えています。今まで一度も実家から出て生活をした経験がなく、しかも二人暮らしの母親がそれを望んでいる、ということです。 「父は早くに他界しています。家では恋愛の話は一切しません。母は元気ですが、私が一人暮らしをすることには大反対。自分が寂しいのだと思います。以前に、彼氏の家に入りびたりになったときはすごく怒られました」 僕はさまざまな恋愛・結婚のケースを取材していますが、「なかなか結婚ができない」「つきあってもうまくいかない」と悩む人の中には、自分の親との関係が健全とはいえない人が少なくないと感じています。 親との距離感が適度なものでないと、「新たな家族」を作るのは難しいのです。結婚相手としても、「とっくに成人しているのに親とベッタリ」な異性は遠慮したいですからね。 親と心理的に近すぎる場合は、あえて物理的な距離を取ることが必要でしょう。 真弓さん、実家から徒歩圏内でもいいので一人暮らしを始めたらどうですか。年老いた親を今さら変えるのは難しいので、自分が勇気を持って踏み出すしかありません。 ■「ホント、童貞は恋愛下手で困ります!」 反省気味の真弓さんが注目しているのは、数年来のつきあいである山岳スキーの仲間です。コアメンバーは5名で、真弓さんの他は男性ばかり。 いずれも真弓さんの地元である神奈川県内の大企業で働く30歳前後のエンジニアで、「恋人はいない。たぶん童貞」と真弓さんは勝手な推測をしています。 おそらく全員が真弓さんのことをちょっと好きですが、真弓さんは「ナンバーツー」のシゲアキさん(仮名、31歳)を一番気に入っているそうです。 「リーダーの男性は苦手なんです。身勝手なおしゃべり野郎なので。でも、女房役のシゲアキは、そんなリーダーに黙ってついて行くし、すごく気がきくし、たまに鋭い突っ込みも入れられる人。いつでも『なんでなんで!』と文句を言っちゃう私とは正反対。女子力が高い男性なんです。女として見習いたいな、と思っています」 見た目はあまりカッコ良くはないらしいですが、大企業でしっかり働いていて、健康的な趣味もあり、性格も良い独身男性であれば、結婚を意識した女性からはモテモテですよね。 実際、「非レギュラー」としてスキーに参加した24歳のかわいい女性がシゲアキさんにアプローチを始めたそうです。 「一緒にお風呂に入っているときに、『シゲアキさんを気になっている』と言われました。もしかして、けん制されたのでしょうか。私はすごく好きなわけではなく、友だちとしてシゲアキを見ているので、『こんなかわいい子に好かれるなんて二度とないチャンスだ!』と興奮してしまいました。その子は見た目だけじゃなくて、ハキハキしていて性格もいいんですよ」 こんなところで熱い友情を発揮してどうするんだ、と言いたくなります。その後、24歳の彼女はシゲアキさんと2人だけでスキーに行ったりしているそうです。 「でも、つきあってはいないみたいです。それなのに彼氏ヅラしてエラそうなことを言ったりするみたい。シゲアキの意外な部分を知っちゃったな…。ホント、童貞は恋愛下手で困ります!」 真弓さん、他人の心配をしている場合ではありませんよ。ある意味では、あなたも十分に恋愛下手なのですから。 しかし、真弓さんには他にも恋人候補がいます。スキー仲間の一人で、現在は海外駐在中のテツオさん(仮名、34歳)です。 海外に行く際に当時の恋人から結婚をせがまれ、真弓さんにも相談して来ました。友情に厚い真弓さんは「その子と早く結婚したほうがいいよ」とアドバイスをしたのですが、結局テツオさんは彼女と別れてしまいました。 「優しくて、すごくいい人です。駐在している場所ではまったくモテないと嘆いているので、私にもチャンスがあるかもしれません。いざとなったら土下座して頼めば結婚してくれるかな?」 明るくて人懐っこくてどこか寂しげな真弓さん。「一部の男性」に熱烈に好かれるのもわかります。 一方で、真弓さんには恋愛や結婚に関する現実感のようなものがないのです。一人の男性とちゃんとつきあって暮らしていきたい、と心底思っているのでしょうか。 本当は、実家に暮らしながら男友だちはたくさんいる現状に深く満足しているのではないですか。いまだに「フワッフワ」している真弓さんと、半年後ぐらいに飲み直したいと思いました。 「大宮冬洋の薄口アドバイス」 「ゲイ気質」の男性たちと無邪気に遊ぶ時間が何より好きな真弓さん。率直に言って、結婚にはあまり向いていないと思います。体は女性だけど心はゲイだ、と感じるからです。あなたは男同士として男が好きなんですよ。そんな真弓さんにおすすめは、「体は男性だけど心はレズ」の男性です。男ばかりよりも女ばかりの場にいるほうが気楽で、しかもゲイではなくて女好きという男性も世の中にはいます(僕もその傾向があります)。そんな男性と深い友情を結ぶことができたら、お互いの行動を縛ることなく、自由な結婚生活を送れるかもしれません。
2015年11月14日みなさん、こんにちは。ライターの大宮冬洋です。読者の方々の中には本連載のタイトルを見て、「スナック大宮って何?」と思っている方もいるでしょう。 今さら説明しますと、僕は「 スナック大宮 」という読者交流イベントを東京・西荻窪および愛知・蒲郡で不定期開催しています。 飲食店はお客さんと対面しながら仕事ができるのに、ライターはお客さんである読者と接する機会はほとんどありません。寂しいです。たまには叱咤激励してほしいし、どんな人が僕の文章を読んでくれているのかを把握したい。 ならば自分で「大宮冬洋を囲む会」を主催しようと思ったのです。 2011年秋から毎月のように開いているので、すでに40回以上になります。開催月の初めに自分のブログで告知する他、一度来てくれたお客さんには「営業メール」も送っていますよ。われながらまめだな…。 毎回平均20人程度のお客さんが来てくれます。常連もいますが3割ぐらいは初めての方です。独身の女性がおひとりで、もしくは女友だちを連れてくる、というケースが多いですね。 この連載も含めて、僕は男女関係について取材・執筆をすることが多いので、「大宮なら相談にのってくれるだろう。すてきな男性との出会いもあるかも」と期待しているのかもしれません。 残念ながら前者に関しては期待外れだと思っています。僕はバカではないと思うのですが、「頭と口の回転がちょっと遅い」人間です。 お話を聞くことはできますが(すぐに頭に入らずに聞き返すことも多いですが)、当意即妙の答えを返すのは苦手。 悲しい失恋話を聞かせてもらっても、「フラれちゃいましたか。つらかったですね。でも、来月はきっといいことありますよ!」みたいな無責任な応答に終始しています。 ■それでも出会いは期待できる…? 後者はごくたまに成果があります。あくまで読者交流会なのですが、当然ながら独身男性の読者の方も参加するので、ゆるい合コンみたいな雰囲気になることもあります。 僕の文章という共通の話題もあるので、けっこう会話が弾んでいるようです。 今年8月に西荻窪で開いたスナック大宮(男性10人、女性20人でした)では、実験的にアンケートを取ってみたのです。 「食事の量と味はいかがでしたか。5点満点で教えてください」などの項目に混ぜて、「魅力的だ! と思った異性のお客さんがいたら名前と理由を教えてください 記述式」という質問をしました。 男女ともに半分ぐらいの方が回答を寄せてくれたので、ひとりで熟読して楽しんでいますよ。 ■アンケートで人気No.1の女性は、綾瀬はるか似の看護師 その中で男性の人気が集中した女性がいました。看護師の村田香織さん(仮名、26歳)です。 きめ細やかな肌が印象的で、ちょっと綾瀬はるかに似ています。スナック大宮では積極的におしゃべりしているようには見えませんでしたが、周囲の人の話よく聞いて楽しそうに笑っていました。 服装は清楚(せいそ)なスカート姿。男性が好きな女子要素が満載ですね…。 しかし、香織さんのアンケートには「魅力的な異性」は誰も書かれていませんでした。自分の美しさや魅力を認めている人は目線が高くなりがちですよね。 理想を追求していたら独り身のまま10年がたってしまった、という事態にもなりかねません。香織さんも危機感を持っているようで、「大宮さんともっとお話ししたかったです」とのこと。 二人きりで会えば僕もゆっくりアドバイスをできるかもしれませんし、こうして改めて原稿を書きながら考えることもできます。新宿駅前の蕎麦店「大庵」を予約して、香織さんの話を聞くことにしました。 ■(そこに下心はないんでしょうか! 大宮さん!!※編集部員心の声) 約束した時間の5分ほど前にお店に行くと、香織さんはすでに席に座って待っていてくれました。やや緊張気味の様子です。 先日のスナック大宮で香織さんは大人気だったよ、このモテ女め! という雑談から始め、本題に入ることにしました。いま、恋人はいるんですか? 「いません。6月に別れたばかりです。2か月間だけのつきあいでしたけど…。ネットで知り合って1か月間ぐらいはメールでやりとりをした男性です。初めてデートをしたときもあいまいな態度だったので、『遊びなら他の人を探してください。本気なら付き合ってください』と言いました」 お嬢様風の雰囲気を漂わせる香織さんですが、かなりはっきりした性格のようです。女子大を卒業してから親の反対を押し切って公立の難関看護学校に入り直し、昨年から念願の看護師として病院で熱心に働いている香織さん。意思が強くなければできませんよね。 「職場の先輩から、『子どもを産むなら30歳までのほうがいい。体の負担が全然違うから』と言われて焦っています。あと4年しかない。その前になんとか結婚したいです」 計画力も行動力もあり、美貌も備えている香織さんですが、弱点があります。恋愛経験が少ないこともあって男性を見る目が肥えていないのです。 ■つきあってからも恋人探しをやめない彼氏 6月に別れたAさん(27歳)は、「Mr.Childrenの桜井和寿さん似のオシャレな公務員」でしたが、2回目のデートでセックスをしてからは急激に冷たくなったと明かしてくれました。 「私とつきあってからも恋人探しのネットをやめないのが気になっていました。しかも、わざわざプロフィールの写真を替えて、『結婚まで考えられる人を探しています』なんてPR文まで載せていたんです。私と会っているときも前の彼女の話ばかり。大切にされていないとわかり、メールでサヨナラを伝えました」 よく聞けば、Aさんは初対面である初デートで香織さんにたくさんのお酒をすすめ、酔った香織さんに路上でキスをし、ホテルに誘ったそうです。 香織さんはさすがに断ったそうですが、この行動だけでAさんは真剣に結婚相手を探しているのではなく、いろんな女性とのセックスが主目的であることは歴然としていますよね。 しかし、香織さんは最初の印象が好きだと「ドハマり」しやすいのだそうです。 「とくにワシのような形の高い鼻がある人を好きになりやすいです。見た目が好きだとたいていのことは耐えられてしまいます。前の彼氏はあまりに冷たいので無理でしたけど…」 ワシ鼻がどうしようもなく好きだと言い切る香織さんの若さとバカさが僕は好きです。 だからこそ、基本的なアドバイスをさせてください。「本気なら付き合ってください」と明確な返事を迫るのは正解だと思いますが、「じゃあ、付き合おう」と言った後の男性を冷静に観察しましょう。 彼はあなたと一緒にいることを心底楽しんでいるでしょうか。あなたに興味と敬意を持っているでしょうか。 表面だけの「やさしさ」でごまかして、キスやセックスをすることだけを目的としているのではないでしょうか。 一般的に、男性は一度セックスをした女性への興味は薄れてしまいます。それを補うものは見た目以外の魅力でしかないのです。 仕事、知性、趣味、家柄、学歴など、男性が女性に対してグッとくるポイントは千差万別です。 あえてアピールする必要はなく、何度かデートを重ねているうちに「私のこんなところが彼は好きなんだな」と感じる瞬間が来るのを待てばいいのです。 そのときまで肉体関係は持たないほうが無難だと僕は思います。 ■中身は「男っぽい」 本当に理想的な男性とは 香織さんには看護師という揺るぎない国家資格以外にも魅力があります。しかも女子校時代からの友だちからはリーダーシップのある人柄と頼られているのだそうです。 一見すると人見知りでおとなしそうな香織さんですが、中身は「男っぽい」と自覚しています。 外面は男らしくて頼りがいがあっても、実は優柔不断な男性もたくさんいますよね。そんな男性にとって香織さんは理想的な恋人だと思います。 香織さんが持っているもうひとつの武器は、「朝8時出勤でも5時には起床してゆっくりと目を覚ます」生活が支える前向きな姿勢です。 「夜勤がない日は、定時の17時に仕事を終わらせることが目標です。朝のボーっとした時間でマイナス思考は出し切ってしまうので、日中は元気に働けています。職場の人間関係にも恵まれています。医者は遊び人の既婚者ばかりですけどね(笑)」 一時は恨んだAさんに対しても今では「オシャレな彼の影響で私も服装を改善できた」と感謝しているそうです。憎しみでしばられるよりも、人生勉強の糧にしてしまったほうがお得ですよね。 26歳で実践できている香織さんには生きる力のようなものを感じます。 ■でも、モテているうちが華! いま、香織さんは女子高時代の友だちによる合コンに参加しながら、ネットの結婚情報サービスにも登録しています。しかし、ワシ鼻で気づかいのできるオシャレな男性には出会えていません。 「見た目のせいなのか、私はオタク気質の人ばかりに好かれるんです。別にアイドルファンでもかまわないんですが、人の話を聞かずに自分だけが話し続けたり、気遣いがまったくできない人が多くて…。 以前に男女4人で食事をしたときに、4切れしかないピザをひとりで2切れも食べてしまった男性がいて驚きました」 結婚情報サービスでも、コミュニケーション能力に疑問を感じる男性にしか会えていません。 食事中に香織さんが懸命に話題を振っても「はい」としか返事をせず、食事代は持ってくれたのでお礼のメールをしても返信がない34歳の公務員。 常にナヨナヨとして頼りないのに「ドライブに行きませんか?」と唐突に誘ってくる33歳のメーカー社員など。 「外見や立ち振る舞いではなく、中身で男性を好きになりたいとは思うんです。一緒に働いていたら少しずついいところを見つけられると思うのですが、合コンやお見合いの短時間では難しいです。どうしたらいいのでしょうか?」 うーん、とってもいい質問ですね。はっきり言って僕にもどうしたらいいのかわかりません。 でも、ひとつだけ言えることは、異性に求める基準を下げると自分が「楽」になることです。 女性に比べると男性はプライベートにおけるコミュニケーション能力が圧倒的に低いのが現実です。とにかく気が利かない、動きが悪い。いったいどんな家庭教育を受けて来たのか、と叫びたくなることもあるでしょう。 だけど、モテ技だけを磨いている不誠実なAさんのようなイケメンよりも、レディファーストすら知らないけれど香織さんをまっすぐに好いてくれる働き者のほうが頼りがいがあるし、将来の「のびしろ」も大きいのではないでしょうか。 香織さん、よかったら参考にしてくださいね。モテているうちが華ですよ! 「大宮冬洋の薄口アドバイス」 ワシ鼻の人が好き、という香織さんにはあきれつつも共感します。誰にだって外形的な好みはありますよね。ちなみに僕は、爬虫類並みに目鼻立ちがはっきりしている女性が好きです。自分が典型的な日本人顔なのでコンプレックスの裏返しなのかもしれませんね。ならば、他の要素では「たいていのことは許す。コミュニケーション能力は少しずつ私が改善してあげる」というゆるい姿勢でいましょうよ。そのほうが人生が豊かになる気がします。
2015年10月09日ウーマンエキサイト新連載! 婚活応援ライターの大宮冬洋が、悩めるアラサ―女性の恋愛相談にお酒を酌み交わしながら“ゆるーく”のっていきます。 知らない相手だからこそ(?)意外と話してしまう深い話、本音…。辛口コメントは耳が痛すぎる女性たちに、今夜も薄口アドバイスを。どちらが相談役だか分からなくなる、大宮さんのキャラにも注目です。 みなさん、こんばんは。婚活応援ライターの大宮冬洋です。先日、女友達とランチをしました。一人は既婚子ありの38歳。もう一人は独身彼氏なしの40代です。 職場の人間関係などを少し聞いた後、僕が「婚活応援ライター」を称している話になったのです。彼女たちの反応は、「婚活って言葉はもう古いと思う」でした。 結婚を就職と同じようなゴールと位置付けてあれこれと活動することは、彼女たちの生活実感とかけ離れているようです。パートナーがいなくても楽しく生きていく道筋を探しているのかもしれません。 ちなみに、既婚女性のほうが「一人になりたい。自由な時間がほしい」と真顔で何度もこぼしていたのが印象的でした。 親しい人の意見からすぐに影響を受けてしまう僕は、「婚活という便利な言葉を使うのはやめようかな」と思ったりしています。コンカツという語感からして肩に力が入ってしまいますからね。 もっと自然体に、朗らかに異性と出会うほうが人生を豊かにしますよね。結婚を前提としない大人の恋愛も取材してみようかな……。 ■今回は広告代理店勤務の29歳の女性です! さて、今回登場してくれるのは広告代理店に勤務する阿部慶子さん(仮名、29歳)です。飲み好きの担当編集N氏が缶ビールやおつまみを大量に用意し、エキサイト本社の社内カフェで仕事帰りの慶子さんを待ち構えました。 夜7時過ぎ、笑顔で現れた慶子さんはよく日焼けして、健康的な印象の女性です。聞けば、学生時代からマリンスポーツに親しんでいる体育会系とのこと。仕事でもないのに腰が低く、ちゃんと名刺を渡そうとする姿から「社会人力」の高さを感じました。 都内の有名私立大学を卒業して以来、夜遅くまで忙しく働いている慶子さん。会合の趣旨もすぐに理解して立ち振る舞える如才なさも身に着けた女性です。 僕が緊張してモジモジしていると、いきなり本題に入ってくれました。助かるなあ。 ■3年前の元彼は9歳年上の人 「前の彼氏と別れてもうすぐ3年です。(恋人がずっと)いなさすぎてヤバいと周囲に言われています。元彼は、仕事つながりで知り合った9歳年上の人。でっぷりした体型で周りの人には『ないね!』と言われていました。 高卒で成り上がったという自負とコンプレックスが強くて、『お前らはちんたら大学なんて行ってないで働けよ』が口癖でしたね。 でも、サーフィンが私と共通の趣味で、一緒に海に行っているときは楽しかったです。(サーフィンの)ポイントを次々に探してくれて、私のボードも出してワックスを塗ってくれました。 海から出てシャワーを浴び、食事に行く段取りも完ぺき。どれも楽しんでやってくれているし、私としても次から次へと刺激が来るので飽きることがありません。あんなに楽しい夏はもう来ないんじゃないか、と思います」 遠い目をする慶子さん。その夏から3年が経ち、かなり行きづまっているようです。何でも先回りして行動してくれるサービス精神旺盛な年上の恋人は確かに得難い存在ですよね。なぜ別れてしまったのでしょうか。 「いままで付き合ってきた女の話が多くて、ストレスになっていました。酒癖の悪い彼女の家に泊まりに行く約束をしたのにすっぽかされてドアの鍵を締められていたとか、私の実家より奥地に住んでいる女と付き合っていたので道をよく知っているとか。最初は笑って聞いていたけれど、だんだん苦しくなりました。 でも、好奇心に負けて聞いちゃうんです。対抗して私も元彼の話をしてみたり。彼は幼い頃に苦労していて、家族を捨てたお父さんを憎んでいるとか、お姉さんが非行に走ったとか、『ホットロード』的な話もたくさん聞きました。 私のガラが悪いところも引き出されて、車の中でケンカしたときに急ブレーキを踏んだ彼に対して、『育ちが悪い男はそういうことをするよね』と言ってしまったこともあったな…。言葉の暴力の応酬がハンパなかったです。 ケンカするたびに『もう別れる!』とぶつけていたら、ある日に『もういいよ』と言われてフラれてしまいました。男の人の『もういいよ』は本当に『もういい』という意味なんですね…。1か月後ぐらいに改めて会ったら、『いま好きな人がいるし、お前には恋愛感情がもう1ミリもない』と言い切られました」 ■男性の心理とは? 慶子さん、苦しい恋をしていたんですね。その彼氏はかなり面倒臭い人だと思いますが、コンプレックスを持て余している男性は高学歴者にも少なくありません。家柄、外見、モテ力、運動能力、職歴、年収などなど。 男性は基本的に「どの角度でも強者でありたい」と願うものなので、周囲や世間における「自分の強さ番付」が常に気になります。恋人や配偶者に対しては甘え心が働き、「誉めてほしい。強さを認めてほしい」という態度になりがちです。 彼の言動を振り返ると、「オレは学歴が低い」といった卑屈トークも「昔はワルだった。女にもモテてきた」といった自慢トークも、すべては「あなたはすごい人。そのままで最高に素敵よ」と丸ごと受け止めてほしいだけなのです。 …やっぱり面倒臭いですね。 少なくとも、彼を尊敬して見上げるような付き合い方をしている9歳年下の20代女性には手に負えません。ひと夏で別れて正解だったと僕は思います。 「彼とは同年代ではないので、悪いことや暴走族などもリアルタイムで知らないのが悔しかったです。ドライブ中に『10年前はこのへんでダチとたむろしていた』なんて言われてもよくわかりません」 あのー、慶子さん。そんなくだらない話は知らないほうがいいんですよ。あなたは好きな男性に「合わせよう」としすぎです。 本当に愛しているのならば、良い面(サーフィンでの細やかな配慮など)は大いに褒めて、悪い面(コンプレックスによる言動全般)は「カッコ良くないよ」と諭すべきでしょう。 迎合してガラの悪い部分を引き出されるのではなく、お互いの良い部分にスポットライトを当てて高め合うような恋愛をしたいですね。 そのためには、あなた自身がもう少し自信を持たなければなりません。 すみません、なんだか説教っぽくなってしまいました。慶子さんは初対面の僕にも弱みをさらけ出し、素直に話を聞いてくれる女性。先輩モードでお節介を言いたくなるのです。 この後輩力は慶子さんの美徳の一つだと思います。体育会系な社風の会社でも先輩たちから大いにかわいがられているようで、独身男性を紹介してもらえることもあったのだとか。 そのうち一人は大手メーカー勤務のAさん(32歳)。トライアスロンとTOEICの勉強に精を出すストイックな理系男子です。 平日は夜遅くまで働き、週末は早朝トレーニングとスパルタ英語塾に勤しんでいます。 ■お酒は一切飲まない初デート ようやくデートにこぎつけても“ランチ”を指定。トレーニングを兼ねて自転車で来たそうです。お酒は一切飲みません。やや変人ですね。 「見た目はとてもさわやかで、目標に向かって一生懸命なところにも惹かれます。目も澄んでいますよ。自分のことしか考えていない目ですけど……」 現在、慶子さんはAさんとの関係進展をあきらめつつあります。決定的だったのでは、花火に誘ったところ、「その日は残業です。申し訳ないけれど、友だちと行って来てください」との返信があったこと。 断るのは仕方ないけれど、「友だちと行って来て」なんてセリフは配慮がなさすぎますよね。悪気がないというよりも「女性経験がない」と慶子さんは判断し、気持ちが引いてしまいました。 面倒見のいい先輩たちは別の男性も慶子さんに紹介してくれました。都内で外食店の店長をしているBさん(30歳)です。慶子さんと同じ有名大学の卒業生ですが、会社員を辞めて、親戚が経営する外食チェーン企業に入りました。将来の社長候補、ですね! ■3時間おきにくる日記のようなLINE 「小栗旬にちょっと似ていますが、色白なところが私好みではありません。彼はとにかく忙しくて、朝10時から深夜まで働いています。決まった休日はなし。 お店がすいているタイミングで2回ほどデートしましたが、基本的には会えません。でも、3時間おきに日記のようなLINEが来るんです。『起きました』『仕事に行ってきます』『まかないを作っています』といった内容。 『今度はいつ会えますか?』と聞いても日程を挙げてもらえません。こんなの嫌です!」 2年前に実家を出て一人暮らしを始めてからは「家族がほしい」という気持ちが高まっている慶子さん。 ただし、“女性経験がある”“一緒にいられる時間がある”“身長は168センチ以上でガチムチ系”といった条件は譲れません。 結局のところ、仕事への姿勢やノリを理解し合える社内の男性がいいのでは、と慶子さんは思い始めています。ただし、広告代理店の男性は競争相手が多いのが実情です。既婚の先輩たちからは厳しいアドバイスをもらっています。 ■29歳・高学歴・大手企業勤務が有利なフィールドとは 「20代の若手社員を狙うならば24歳の同性と戦わなければなりません。『お前が勝てるのか?』と先輩に聞かれて、返事ができませんでした。といって、30代は『チビでハゲしか残っていない。それでもよければ紹介する。お前は男の選り好みできる年齢じゃないからね』と言われています」 外見に問題はなくても“セクハラパワハラで有名なギャンブル好き”や“自称別居中の既婚者”などが候補に挙がっているのが現状です。うーん、社外の男性に目を向けたほうが良さそうですね。 月1ペースで合コンをしているけれど今のところ結果が出ていない慶子さんに、僕から薄口アドバイスがあります。比較検討した上でちゃんとしたアドバイザーがいる結婚相談所(結婚情報サービス)に登録しましょう。僕のおすすめは、高学歴の男女に限定した有料サービスです。 ポイントは、29歳という年齢と「恋愛よりも結婚に向いている」と感じる人柄です。 現在、結婚情報サービスには“普通の30代男性”も少なからず登録していますが、多くの女性からお見合い申し込みが殺到するため、彼らとしてもふるい分けをせざるを得ません。 一番手っ取り早くて採用されやすい“ふるい分け基準”が年齢です。つまり、“30歳未満”で見た目もキレイな慶子さんは広い市場では有利な立場にいるのです。 相手が高学歴の男性ならば、慶子さんの学歴や職歴は邪魔にならず、むしろ「共働きができる頼もしいお嫁さん候補」として映るでしょう。 働き者で気遣いもできるけれど寂しがり屋で恋愛下手な慶子さん。少しでも早く結婚して子どもを作りたいと望むのであれば、優しい先輩たちからの紹介はありがたく受けつつ、一方ではプロの力を利用するのもありだと思いますよ。 「大宮冬洋の薄口アドバイス」 冒頭で「婚活という言葉はもう古い」とか言いながら、慶子さんには「結婚相談所に入りましょう」と言ってしまいました。でも、慶子さんならば有利に活動できると思ったから勧めたんですよ。ぜひ検討してください。なお、独身男性と会うときの基本姿勢は、「男はイマイチが当たり前。少しでもいいところを見つけよう」です。そして、“イマイチだけど生理的に嫌いじゃない男”があなたを好きになってくれたら、迷わず付き合いましょう。
2015年09月11日ウーマンエキサイト新連載! 婚活応援ライターの大宮冬洋が、悩めるアラサ―女性の恋愛相談にお酒を酌み交わしながら“ゆるーく”のっていきます。 知らない相手だからこそ(?)意外と話してしまう深い話、本音…。辛口コメントは耳が痛すぎる女性たちに、今夜も薄口アドバイスを。どちらが相談役だか分からなくなる、大宮さんのキャラにも注目です。 IT企業に勤務する石橋智美さん(仮名、31歳)と待ち合わせたのは、東京・恵比寿の高級住宅地にある宮崎料理店です。 個室で待っていると、智美さんが15分遅れぐらいでやってきました。引き締まった体型に日に焼けた肌、ハッキリめのメイク。大きな金色のイヤリングが良く似合う、ややギャルな美人です。 仕事の都合で遅刻したことを丁寧に謝ってくれた後は、明るい調子で乾杯した智美さん。料理も気に入ったようで、出汁巻き卵などを前のめりで注文していました。焼酎などお酒もいける口です。 この時点で智美さんを好きになった僕は確信しましたね。智美さんが恋愛や結婚に悩んでいるのならば9割がた男が悪い、と。こんな素敵な女性をしっかりつなぎとめないなんて! つきあう前と後の落差にとまどい… 智美さん、いまお付き合いしている男性はいるんですか? 「はい。渋谷のクラブで4か月前に知り合った人です。私は女の子4人で遊びに行き、彼は男友だちと一緒に来ていました。遠くから見て、立ち姿のシルエットと動きがいいな、と思っていたんです。 グループ同士で一緒に飲んで、その場では携帯番号を交換しました。後からLINEでもつながり、週に1回ぐらいのペースでごはんを食べに行くようになり、付き合い始めたのは1か月後ぐらいです。最近は全然、連絡が来なくなりましたけど…」 とはいえ、2日に1回ぐらいはLINEなどで連絡を取っているとのこと。危機的な状況だとは思えませんが、智美さんによれば恋愛の初期との落差が大きすぎるようです。 「最初の2か月間ぐらいは、『オハヨー。仕事、行ってくるね』から始まって、1日に何度もやりとりがありました。私はもともと筆まめじゃなくて、今まで付き合ってきた人も同じようなタイプだったので、(頻繁に連絡が来ることが)新鮮でしたね。 でも、最近はパタリと連絡が来なくなったので、『あれ?』と思ってしまいます。(彼との恋愛は)全然、盛り上がっていません。男の人って付き合う前のほうが熱くなるからこんなものかもしれませんけど。 彼の気持ちは私から離れていっているんじゃないですか。あるとき、『好きな人ができた』とか言われそう(笑)。私の気持ち? それは付き合ったときから変わっていませんよ」 自らの恋愛を他人事のように突き放して語る智美さん。恋人の山本弘樹さん(仮名、24歳)は7才も年下であり、客観的にならざるを得ないのかもしれません。 彼は「かわいい豚さん」? 「クラブで見かけたときは『ちょっと下かな』ぐらいに思っていたのですが、後から年齢を聞いてびっくりしました。年下男なんて全然、良くありませんよ(笑)。 最近の若い人は常にスマホをいじってInstagramをしているんです。ついていけません。彼はアパレルショップで店員をしていて、自分のことをオシャレで面白いと勘違いしている。 Instagramのフォロワーがちょっと多いだけで調子に乗っているんです。かわいい豚さんのくせに」 ん? 豚さん? 聞けば、智美さんはいわゆるイケメンには興味がなく、アニメ映画『紅の豚』の主人公、ポルコ・ロッソのようなおなかが出ている男性が好みなのだとか。 実在の人間で言えば、バンド『ゲスの極み乙女。』の休日課長が大好き、とのこと。蓼食う虫も好きずき、とはよく言ったものですね…。 社会人の女性が男性を評価するとき、顔かたちが整っていることよりも「人生を楽しんでいることがにじみ出ている雰囲気」が重要ですよね。 具体的には、自分に似合ったファッションをして、生き生きと立ち振る舞っている男性がモテるのです。職場のエース級社員が人気を集めるのは当然だと思います。 弘樹さんの場合は、アパレルショップやクラブという場が己を生かしやすいのでしょう。自分を冷静に見つめて、その強みを伸び伸びと発揮できる場所を選ぶことが大切です。 この連載は女性向けなのに、つい男性向けのモテ論になってしまいました。話を戻しましょう。 一緒にいても楽しいことは一つもない! 実家暮らしのわがままなお坊ちゃんだけど根拠なき自信が魅力の「豚さん」にハマっている智美さんですが、1年前まではヒト科の男性と3年半も付き合っていました。 いわく、「平凡という言葉を擬人化したような人」。智美さん、面白いけれど口が悪いな…。 「4歳年上のIT系エンジニアでした。顔、体型、頭の良さ、年収のすべてが普通でしたね。仕事はちゃんとしているし、生活力もある。家族は守る人だと思います。 結婚相手としては最高だったと今でも思いますが、『この人と一緒にいても楽しいことは一つもない!』とあるとき悟ってしまったんです」 ようやく恋愛相談らしくなってきました。個性的で面白いけれど頼りない年下男と、平凡でつまらないけれどちゃんとしている年上男との比較、ですね。 今年39歳で、妻から「あなたは中肉中背で顔も平坦。ヒトナミフツオ(人並み普通夫)だね」と言われている僕としては後者に肩入れしたいところ。 智美さん、前彼と寄りを戻したほうがいいんじゃないですか? 平凡だからこそ智美さん色に染められるし、歳月とともに味わいが出てくると思いますよ。 しかし、智美さんはさっぱりとした表情で笑い飛ばします。 「いえいえ。済んだ話ですから。彼は仕事はしっかりしていても、プライベートはスカスカの人でした。同じことを何度言っても忘れちゃう。他人にあまり関心がないのだと思います。 私の誕生日にアメリカ旅行に連れて行ってくれる約束をしていたのに、株で失敗して旅行代がなくなってしまったことがありました。 せめて私を喜ばせる努力をしてほしかったので、ケーキを焼いてとお願いしたら、作ってくれたのは小さなチーズケーキを1個だけ。仕事帰りにおなかを空かせて行ったのに…。 『私は株に負けた』と思ったらバカバカしくなりましたね。別の日に女友だちが飲食店でサプライズパーティーを開いてくれました。 友だちと一緒にいるほうが楽しい、彼に後ろめたさを感じずに自由に遊びたい、と思ったな。それで別れを切り出しました」 友だちは家族でも、人生の伴走者でもない 潔いとも言えるし、20代女性にありがちなおバカ行動だとも言えます。恋人や結婚相手との現在と未来を友だちとの遊びと比較するな、と僕は言いたい。 友だちはあなたに何の責任もないので、一時的にすごく親切にしてくれるかもしれません。しかし、彼らの優しさは「自分が暇で寂しいから」という理由が大きかったりします。 その証拠に、いつも一緒にいてくれた友だちが結婚して子どもを作った後は疎遠→無縁になる、というケースが少なくありません。 生活を楽しく豊かにするためには、気の置けない友だちが不可欠です。ただし、年齢やキャリアを重ね、引っ越しや転職をするたびに親しく付き合う友だちは移り変わっていくのが普通だと思います。 中には「30年来の友だち」がいるかもしれませんが、その人と一番親しいわけではありませんよね? その場その場でお互いを見つけて、一期一会を喜び合うのが友だちであり、彼らは家族ではないし、人生の伴走者でもありません。 説教臭くなってすみません。実は、僕も3年前に60代の女性から同じようなことを言われたのです。 ずっと住み暮らしていた東京から、結婚を機に愛知へ引っ越すことになり、友だちや肉親と地理的に離れてしまうのが不安でした。 でも、その女性(独身一人暮らし)は「家族はあなたを全承認してくれるけれど、友達は部分承認しかしてくれない。 まずは結婚生活を大事にしなさい。機嫌良く暮らしていれば、友だちはすぐに見つかるから。コツは、よそ者が集まるような飲食店に通い詰めること」とアドバイスしてくれました。 結果はその通りで、愛知でも同世代の友だちが何人かできて、毎週のように一緒に飲み食いしています。妻とその家族や幼馴染(ネイティブ愛知県民)ともすっかり仲良くなりました。 今では「健康と仕事と家族さえキープしておけば、日本語が通じる土地ならどこでも友だちができて楽しく暮らしていける」と感じています。 智美さんにはこのような助言は要らないのかもしれませんね。僕よりもはるかに自立していて、友だちは多いけれど対人関係への依存度は低いと感じるからです。 いま、結婚願望はあまりありません 「ずっと前から父親が浮気をしていて別居しています。実家で一人暮らしの母親には『亭主元気で留守がいい、と言うからね。経済的に支えてもらえるだけありがたいと思ったほうがいい』と話しています。 家族とはどこかでつながっていれば十分、だと思いますね。いま、結婚願望はあまりありません。本当にいい人がいたら年内でも結婚できるけれど、(いい人が)いなければいないでかまわない。 今の彼との結婚? ないと思いますよ。彼も私もまだ遊びたいから」 智美さんと僕では家族観が違うようですね。それについて語ろうかと思ったのですが、お酒も進んできて気が変わりました。 智美さんのようにちゃんと働いて自活してなおかつ遊び好きの女性がいるからこそ、夜の東京は楽しいのですから。 みんなが安定や結婚を優先し始めたら、飲み屋やクラブなんてすぐに潰れてしまいますよね。 というわけで、取材はもう終わり。宮崎料理店を出て、ダイニングバーを2軒もハシゴしましたよ。お別れをしたのは深夜2時近くだった記憶があります。 智美さんは明日の仕事をものともせずにクラブへ。僕はタクシーで東京での滞在先に戻りました。 結局、何が言いたかったのかは自分でもわかりませんが、智美さんとの会食がとても心地良かったことだけは覚えています。 「大宮冬洋の薄口アドバイス」 とっても素敵な智美さん。そのまま遊び続けてほしいと個人的には思いました。でも、女性の場合は35歳を過ぎると婚活市場で急激に不利になるのが現実です。親は先にこの世からいなくなります。一人きりで生きていく覚悟はありますか? ないのであれば、「魅力的だけど頼りない年下男性」には見切りをつけ、「平凡でつまらない男性」に面白さや安らぎを見出す努力をしましょう。
2015年08月07日ウーマンエキサイト新連載! 婚活応援ライターの大宮冬洋が、悩めるアラサ―女性の恋愛相談にお酒を酌み交わしながら“ゆるーく”のっていきます。 知らない相手だからこそ(?)意外と話してしまう深い話、本音…。辛口のコメントは耳が痛すぎる女性たちに、今夜も薄口のアドバイスを。どちらが相談役だか分からなくなる、大宮さんのキャラにも注目です。 みなさん、こんばんは。婚活応援ライターの大宮冬洋です。いきなり私事で恐縮ですが、僕はいま興奮しています。 本連載の第1回に登場してくれた女性が、好みのタイプ(濃いめの顔立ちの美人。賢くて常識があって「男前」の性格)だからではありませんよ。 僕は2006年3月からほぼ毎日ブログを更新しています。で、ずっと利用しているのがエキサイトブログなのです! IT音痴の僕でも楽に使えるほどユーザーフレンドリーで、サービスも安定していると感じています。 毎日の食事記録を基本にして、ライター仕事の報告をしたり、コラムを書いたりもしてきました。 更新を長期で休んだのは前妻と別居&離婚して心身がボロボロになっていた2ヵ月間ぐらいで、約10年間に渡ってエキサイトが寄り添ってくれたことになります。 もはや人生の伴侶ですよ。 もちろん、ウーマンエキサイトも知っています。 そんなエキサイトから「連載してほしい」との依頼が来た――。10年前から密かに好きだった女性に逆告白された気分ですよ。 僕は激しい興奮を覚えると同時にある決意をしています。 アラサー女性とのおしゃべりを楽しみ(取材なんですけどね)、彼女たちへの恋愛アドバイスをすることが企画趣旨なのですが、脱線上等でダラダラと文章を書かせてもらおう、と。 尊敬している先輩ライターがこんな話をしていたことを思い出します。 「プロの書き手にはキレとコクが必要だ。残念ながらオレの文章にはキレがない。でも、コクなら少し自信があるよ」と。 文章をビールに例えるところがユニークですよね。 好きな人の言葉や口癖をすぐに真似しちゃう性質がある僕は、「オレの文章にはキレはないけどコクはある」とパクって言い続けてきました。我ながら浅はかだな……。 しかし、振り返ってみると、他者から「味わいのある文体だ。深い人生観と人間観察眼が感じられる」と論評してもらったことは一度もありません。 「スルスルと読めてわかりやすい。軽妙なタッチですね!」(ほめ上手の編集者) 「大宮さんのコラムはごくごく飲める感じです。いつまでも読んでいたい」(優しい後輩) 「あなたにはコクも深みもないよ。中年なのに相変わらず世間知らずで甘えた感じが文章によく出ている。薄くて浅い。杉村太蔵みたいだね」(親しい同級生) 以上をできるだけ肯定的に捉えると、僕はビールではなく煎茶だということですね。しかも、食堂のヤカンに入れてあるような薄くてぬるめのお茶です。 贅沢感はないし、たいした役にも立てないけれど、気軽に飲めて健康にも悪くありません。 僕も一応はプロですから文章を飾ってビールの真似をすることはできますよ。 でも、正直に言って「ビール味のお茶」の域を超えません。10年来の恋人であるエキサイト(読者のみなさんも含めて)にはもっと誠実でありたいし、甘えてもいい気がしています。 だから、この場では「ありのままの安いお茶(無料)」でいさせてください。「スマホ読者が多いネット記事は1000字ぐらいが適当」なんて巷では言われますけど、知ったことではありません。 少なくとも3000字ぐらいは書かせてもらいますよ。 ―そんなこんなで始まる新連載『迷えるオンナの懺悔室 スナック大宮の「今夜も薄口アドバイス」』。1人目は、IT企業に勤める31歳の女性。彼氏は7歳年下です。 出会ったころとつきあってからの男性特有(?)のギャップにとまどったり、Instagramばかりしている彼の感覚がわからなかったり…。それでも好きなのが伝わってくるから切ない。 そんな智美さんのお話は こちら から。
2015年08月07日