1975年千葉県生まれ。 最先端の高度医療の現場、千葉県亀田総合病院にて臨床検査技師として勤務。自律神経系、遺伝子、循環器系、細菌学、免疫学を学ぶ。高度医療に携わることで、人のもつ生命力と生命の不思議に興味をもち、世界中の医療、宗教、哲学を研究。学びによって予防の大切さを知り、東洋医学の存在を知り、鍼灸を学ぶために進学。中国への渡航を経て、本場の中医学を学ぶ。ホリスティックな医療を志すため、整体、カイロ、エステティシャン、アロマセラピー、ハーブなどの各種資格を取得。圧倒的な知識ときめ細かい技術、人を診る観察眼で、妊産婦を中心に多くの女性の施術にあたる傍ら、豊かで健康な生活を送れるよう治療法、養生法について研究を重ね、医薬品登録販売者として漢方を主体とした店舗販売業を開設。東西の医療に精通する豊富な知識で、天使のたまご代替医療スクールをはじめとする各種スクールやセミナー等では「漢方王子」として講師活動を行い、雑誌やサイトなどで執筆や監修も手がける。 銀のすず
「低血圧だと朝に弱い」と言うことがありますが、朝の目覚めと血圧には、何か因果関係があるのでしょうか? また、朝スッキリ目覚めるために有効な方法はあるの? 『マタニティ&ママのための鍼灸アロママッサージ院・天使のたまご』総院長の鈴木さんに教えてもらいました。 低血圧と朝の目覚めは関係ない 結論から言うと、低血圧が理由で朝がすっきり起きられない…には医学的根拠はないとされています。ただ、なぜそう言われているのかについては、ちょっと思い当たることがあります。 寝起きや睡眠には、交感神経と副交感神経という2つの自律神経の切り替えが影響を与えています。交感神経はおもに活動をつかさどり、副交感神経はおもにリラックスをつかさどる神経と考えます。 この2つは常にシーソーの関係で、片方が活動を強めると、もう片方は活動を弱めます。通常、昼間は交感神経がメインで働き、夜になると副交感神経がメインになることで眠気が現れ、眠りにつくというわけです。 多くの人が目覚める時間帯である朝は、副交感神経が弱まり、交感神経が活動を強めてくる時間帯です。交感交換神経は血圧にも影響を与える働きがあり、朝は血圧が上昇しないと活動することができないことから、「朝起きられない=血圧が低い」と言われる由縁になったのかもしれません。 自律神経≒東洋医学の陰陽 自律神経の切り替えと同じような考え方が、東洋医学にもあります。 東洋医学には陰陽思想があり、天と地、太陽と月、朝と晩、動と静、温と冷など、この世のすべてを陰と陽に分けるという考え方があります。そして陰陽は、自然界と同じく、体内にも同じくあると考えられています(天人合一)。 太陽は活動の根本である動=陽気であり、太陽が昇り始めると私たちの体内でも陽気が昇り、精神活動のメインである頭部に働きかけて、活動が始まります。つまり、朝になると脳の覚醒が始まるのです。一方、夜になると反対の作用が起こります。脳から陽気が去り、脳の沈静化、そして睡眠を迎えるのです。交感神経・副交感神経の切り替えと、ほぼ同じですね。 つまり、自律神経と陰陽というのは結果的には同じように働き、私たちの活動を支えますが、バランスが損なわれると、活動とリラックスの関係がアベコベになると考えられます。寝起きの悪さは交感神経と副交感神経、陰と陽の切り替えが上手でないことが考えられるというわけです。 朝スッキリと目覚めるには? 朝、副交感神経→交感神経や、陰→陽に体を切り替え、スッキリと目覚める方法をご紹介しましょう。 <朝、スッキリと目覚めるために大切なこと> 1.カーテンを開け、太陽の光を浴びる 2.目覚ましなど、刺激的な音を流す 3.布団の中でストレッチなどをする 4.深呼吸をして体に空気を取り込む 5.朝ご飯を食べる 6.少量のカフェインを摂取する これらの方法を試すことで、スッキリ目覚められようになるでしょう。とりあえず布団から出て、これらのことをやってみましょう。 私も朝は苦手でしたが、この方法を試すことで、毎日朝スッキリと目覚められるようになりました。寝起きを良くすることで、朝活もでき、一日一日がとても充実しています。ぜひ皆さんも試してみてはいかがでしょう。 (鈴木元)
2015年12月18日「上手に出産を迎えると、それまで悩んでいた体質を変えられる」という話を聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。さて、実際のところはどうなのでしょう? 『マタニティ&ママのための鍼灸アロママッサージ院・天使のたまご』総院長の鈴木さんに解説していただきました。 出産は最大のデトックス? 世間では「出産は最大のデトックス」という言葉があります。 10ヵ月間、体内で成長した赤ちゃんとともに、胎盤や羊水、血液を体の外に排出するので、そう言われているのかもしれません。 個人差がありますが、長時間の分娩中はフルマラソンを走ったぐらい汗をかき、疲れるという人もいます。また、もともと体内に老廃物の多い人は産後、母乳を赤ちゃんに飲んでもらうことで母体の余分なものを出すことができ、それが体質改善につながるということもあるでしょう。 しかし、西洋医学的には「出産とデトックスはあまり因果関係がない」と言われています。胎盤や羊水などを排出すると言っても、実際に排出する量はあまり多くないため、そこまで関係があるかどうか判断がつきにくい、ということのようです。 一方、東洋医学では、出産は体内から気の塊である胎児を生み落し、さらにエネルギーである気(き)血(けつ)を消耗すると考えられています。そして、産後まもなく始まる授乳も、血液から生成される母乳を出すことでエネルギーが消耗すると考えられます。 つまり、東洋医学では「出産や育児は消耗することが多い」と考えられているわけです。この消耗をデトックスと捉えることもできるかもしれませんが、産後は内臓が冷えやすく、体力が回復しにくい状況にあり、あまり無理をすると産後の肥立ちが悪くなることもあります。 したがって出産は、単にデトックスだけでなく、諸刃の剣となるおそれがあるということを忘れてはなりません。私たちの体は「ちょうど良い」のがいいのです。出しすぎも、出さなすぎも調子を悪くしてしまいます。 出産だけでなく、妊娠期間そのものが体質を変えるきっかけになる さて、出産が体にとって諸刃の剣になることを理解したところで、出産と体質改善の関係についてお話しをしましょう。産後、「体質が変わった」という人は少なくありませんが、それは出産だけが体質改善につながったのではなく、10ヵ月にわたる妊娠期間中の体と胎児への配慮が、体質を変える大きなきっかけになったと言えるのではないでしょうか? 妊娠前には、頭が痛くなると簡単に頭痛薬を飲んでいたが、妊娠中は別の改善方法を考えた。毎日コーヒーなどのカフェインを摂りすぎていたが、妊娠中は控えるようにした。 そのほか、お酒や夜更かしをやめたり、運動不足を改善したり、人によってはタバコもやめるといったように妊娠中に生活習慣を改めて、赤ちゃんに良いものを口にしよう、適度な運動をしよう、夜は早く寝て規則正しい生活をしょうとしたのではないでしょうか。 こうした健康意識は特別な状況にならないと、なかなか実践することのできないことです。しかし、妊娠中はそれをやりきることができる特別な時間なのかもしれません。 10ヵ月間という比較的長い時間をかけて自分を見つめ直すことで心身に大きな変化を迎え、結果として体質が変わった。それが「出産を機に体質が変わった」ことの本当の意味なのかもしれません。 体質は、生まれた時の状態や日頃の生活習慣が大きく影響するので、これを変えることはそう簡単なことではありませんが、妊娠期と出産、そして育児の時期をバランス良く過ごすことで、あなたの体質は劇的に変わる…かもしれませんよ。 (鈴木元)
2015年12月11日「2人目が欲しいのに、なかなかできない…」という悩みを抱えている人は、案外多いものです。 今回は、「1人目は妊娠したのに、2人目で不妊になる」というケースについて、不妊に悩む女性への施術も行っている、『妊娠を考える女性のための治療院・天使のたまご』院長の鈴木さんに解説していただきました。 「2人目ができない」人は少なくない 最近、「2人目不妊」という言葉が一般的になっているくらい、2人目を授からずに悩んでいる女性は少なくないのです。 「1人目ができているのだから、2人目もできるだろう」と考えている方が多いようですが、そう簡単には妊娠しないことも多いのです。 そもそも、なぜ妊娠できないのでしょうか? 何点かその理由を挙げてみましょう。 2人目を授かりにくい理由 <理由1> 体は日々変化しているので、1人目を出産した時の体と現在が明らかに変わっている ・1人目の出産で子宮や卵巣、骨盤にダメージを負った ・育児や家事による生活ストレスが多く、体調不良である そのほか、 ・排卵障害(黄体機能不全、多嚢性卵巣症候群、早期卵巣機能不全、卵巣性排卵障害、視床下部・下垂体性排卵障害など) ・妊娠の妨げになる異常(子宮内膜症、着床不全、卵管異常、子宮異常、頸管異常)が ・免疫異常(抗精子抗体) といった病気を患っているおそれもあるでしょう。 <理由2> 性行為の回数が減っている ・仕事が忙しく、性行為へのパワーがない ・性行為がマンネリ化して、どうもする気が起きない ・子どもが一緒に寝ているので、する場所がない ・そもそも性欲がない 妊娠の確率は、性行為の回数に伴って高くなります。上記のような理由で、性行為の回数が減っている場合、2人目を妊娠しにくいこともあるでしょう。 <理由3> 1人目の時より歳をとっている ・卵子の老化 ・血行不良 ・月経不順などのトラブル ・ホルモンバランスが悪い ・子宮内膜が薄い 女性の年齢と妊娠は大きく関わりがあります。1人目の時より年齢を重ねている分、妊娠しにくくなるのは仕方ないといえるでしょう。 ・精子の運動率低下など、精子の質が良くない また、上記のように、女性だけでなく男性の加齢が原因になっているケースもあるでしょう。 自分の体を見つめることが、妊娠するための第1歩 明らかな異常がある場合は病院での治療が必要となりますが、異常と判断されにくいストレスの問題や血行不良などは、自分自身で意識することで改善につながる場合も。 食事や睡眠、運動といった日頃の生活を見直す必要があるのは、不妊に限ったことではありません。もちろん女性だけでなく男性も気をつけなくてはなりません。 中には、サプリメントの摂取や漢方、鍼灸などを取り入れている人もいるでしょう。しかし、自分の体に必要なものを必要な分だけ取り入れていれば、妊娠しやすい体作りになっているかもしれませんが、自分に不必要な、自分に合っていないものを選択している場合、せっかくの改善策が逆効果になってしまうケースも少なくありません。 私たちは1人ひとり違います。必要なもの、必要な量もそれぞれ異なるかもしれません。 そこをしっかり見つめることが、2人目を妊娠するための第1歩と言えるのではないでしょうか。 (鈴木元)
2015年12月04日産後、「出産前よりキレイになった」という人もいますが、その逆の人もいます。その違いはどこにあるのでしょうか? 産褥期の過ごし方が、その後の体型を左右する 女性の身体は、出産とともに胎児や胎盤、羊水などが体の外に出て行き、数ヵ月をかけて妊娠前の状態に戻っていこうとします。医学的にはこれを「産褥復古(さんじょくふっこ)」といい、この期間を「産褥期(さんじょくき)」といいます。 産褥期をどう過ごすかが、産後の体重管理に大きな影響を与えると考えられています。 産後の体重・体型管理のポイント(1) 代謝を落とさないように、身体をケアする 出産は長丁場で、体力勝負です。エネルギー消費や分娩時の出血など体力を消耗しているにも関わらず、生み終わったらすぐに育児がスタートします。 育児が始まると、授乳で栄養を取られ、不眠、食事の制限など、心身へのストレスは多大なものです。それでいて身体が妊娠前に戻ろうとするので、産褥期は身体にとって、とても大変な時期でもあります。そして実はこれが、産後の体重管理に大きな影響を与える1つめの要因なのです。 産後は体力を失っているにも関わらず、授乳をしなくてはなりません。体力がないということは、「代謝が悪くなりやすい」ということです。まずはしっかり休んで、食事をとって、出産で失ったエネルギーを補給することが大切です。 また、不慣れな育児でストレスもかかっているでしょう。うまくストレスを解消しないと、さらに代謝を落としてしまいます。 まずは、休息とストレス対策をしっかりと図り、代謝を落とさないというのが、産後の体重管理のポイント、その1です。 産後の体重管理のポイント(2) 母乳のためにも、甘いものは控える 一般的に母親は母性が強く、「母乳で育てたい!」と思うものです。子どもが泣けば眠い目をこすり、授乳し、良い母乳を飲ませたいと食事に気を使うでしょう。 これもまた産後の体重管理に大きな影響を与える、2つめの要因です。 母乳がたくさん作られるこのタイミングで、食事の摂生をすれば、体重のコントロールを比較的簡単に行うことができるのです。 では、一体何を食べれば、体重をコントロールしやすくなるのでしょうか? 母乳の質と量を上げ、体重増加をしにくくするための栄養素は、一瞬で使い切ってしまうものではなく、持続力のあるものが必要です。 まずは、母乳の元である血液を作り出す栄養素を取りましょう。 タンパク質をメインに、少々の炭水化物、脂質、ビタミン、鉄分などを重点的に摂取してください。もちろん水分はしっかり飲まなくてはいけません。 簡単に食べられ、女性の大好きなお菓子などの甘いものには、一瞬で使い切ってしまうような栄養素しか含まれていません。母乳のためにも徹底的に控えるようにするのが2つめのポイントです。 産後の体重管理のポイント(3) 腹筋と骨盤底筋を鍛える 産後は、妊娠中に伸びきった腹筋、産道付近にある骨盤底筋という骨盤の下をハンモックのように支える筋肉の活動量が低下しがちです。 これらの筋肉は、尿漏れを防ぐだけでなく、骨盤の形にも影響を与えます。産後の悩みの代名詞ともいえる「ぽっこりお腹」を解消するには、腹筋と骨盤底筋をどれだけ早く復活させるかが鍵といえるでしょう。これが、産後の体重管理に影響を与える3つめの要因です。 日本人は床での生活が落ち着く傾向にあり、オムツ変えや着替え、沐浴も低い位置で行いがちです。 あぐらや正座の姿勢で下を向いて作業することは、腹筋にも骨盤底筋に刺激が入り、一見よさそうですが、実はその逆。産後数ヵ月は骨盤がまだ不安定なため、座って下を向いた状態で作業することは、身体に負担をかけてしまいます。 さらに、おしりの筋肉に大きな刺激が入るので、おしりもガッシリします。産後間もなくは、立っている状態でズボンを上に引き上げるように、下がった骨盤を上に引っ張り上げるイメージで、腹筋を使うべきです。 そのためには「深い深呼吸を繰り返し、お腹に力を入れて立つ(または歩く)」という癖を付けることから始めましょう。徐々に骨盤が安定してきたら、下腹部のポッコリを解消するために、脚上げ腹筋(※)を行うとよいですね。 (※編集部注:床に仰向けになり、ひざを伸ばしたまま脚をゆっくりと持ち上げたり、下ろしたりを繰り返す運動。「レッグレイズ」とも呼ばれます。) ポイント(3)に関しては、女性にとって苦手な分野かもしれません。できる範囲で実践すれば構いません。むしろ重要視すべきは、ポイント(2)の食事管理です。 出産は人生最大のデトックス 「出産は人生最大のデトックス」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? それはつまり、出産する時に、体内の悪いものも一緒に排泄し、血液から作られる母乳を与えることで身体の中がきれいになる、ということ。さらに骨盤矯正ができれば、妊娠前より小さなお尻になることもでき、見た目も生まれ変われますね。 中には「何もしていないけれど体重が減った」という人もいますが、それはもう「体質」としか言いようがありません。でも、「私は違う体質だから…」と諦めてしまうのはもったいないことです。 体質は変えることができます。でも、そこに努力は必要です。自分には何が必要で、何が不必要なのか、考えて実践してみてください。 (鈴木元<天使のたまご総院長>)
2015年09月27日鼻水の色は七変化します。なぜ鼻水は変化するのでしょうか? 鼻水を知ることで、子どもの健康のバロメーターとして役立てることができます。 鼻水は生体防御のひとつ 鼻の中は粘膜に覆われています。粘膜には、分泌腺、毛細血管、神経、リンパ組織がたくさんあり、鼻から入ってきた空気に適度な湿り気を与えるために、常に少量の分泌液を出していて、バイ菌や冷たい空気などの異物を排除する働きがあります。 異物が入ってきて、粘膜に炎症が起こると、鼻の粘膜は風船のようにパンパンになります。そして分泌腺から出る分泌液が、大量の鼻水となって流れ出してきます。 炎症が強くなると鼻の粘膜はさらに膨れ上がり、空気の通り道(鼻腔)を詰まらせてしまい、これが鼻づまりとなります。 鼻水が出てくるのは私たちの生体防御のひとつです。体の中から悪いものを出そうと頑張った結果ですので、鼻水が出る時は必ずティッシュなどで鼻をかみ、取り除く必要があります。 鼻水の色が違うのはなぜ? 鼻水は通常、透明で、あまりネバネバしていませんが、粘り気があり、黄色、緑色、茶色をした鼻水を経験したことがある人も多いでしょう。 鼻水の色の変化は、バイキンの種類や量の変化で起こる場合があります。わかりやすく、段階別に説明しましょう。 <レベル1> 透明な鼻水 風邪の引きはじめや花粉症などで見られます。そもそも鼻水は透明です。 <レベル2> 白い鼻水 次に、白色の鼻水が出てきます。これは、鼻水だけでは対処できなくなり、異物を処理しようとした白血球が増えてきた状態です。 <レベル3> 黄色い鼻水 さらに段階が進むと、鼻水は黄色くなります。これは白血球の死骸、つまり膿の色です。カラダがバイ菌を排除しようと頑張っているのです。 <レベル4> 緑色の鼻水 緑色は、さらにウイルスや細菌などが増殖し、膿が増えている、つまり病状が進行していることを指します。 鼻からの感染を防ぐには 最初にも説明したように、そもそも鼻の中はうっすら湿っています。空気の乾燥や体内の潤い不足によって粘膜が乾燥してしまうと、粘膜に刺激が入り、粘膜がはれ上がってしまいます。これがそもそものバイ菌感染の始まりです。 そこで、鼻からバイ菌に感染するのを防ぐためには、「鼻の中を乾かさない」。これが大原則です。 空気の乾燥が強いようならマスクをしたり、お風呂のように湯気のあるところへ行ったりするのもよいでしょう。私は乾燥の強い時期には鼻の周りにオイル(もしくは、鼻スースークリーム)を塗り、マスクをして粘膜保護をしています。 鼻をかむ時はやさしく 鼻水がたくさん出てきたら、鼻をやさしくかみましょう。絶対に、強くかんだり、鼻水をすすったりしてはいけません。 「体外に排出するべきもの」という、身体の防御反応として鼻水を出しているのです。速やかに外に出すのが適切ですが、強くかむとかえって粘膜を傷つけ、鼻とつながっている耳を傷めてしまうことにもなります。注意しましょう。 また、マスクは当然したほうがよいですが、まずは鼻の中の炎症の原因となっている、バイ菌の駆除が大切です。そこでおすすめなのが、鼻うがい(鼻洗浄)です。 鼻うがい(鼻洗浄)のやり方 鼻うがいは、水道水などの真水ではなく、必ず塩水(0.9%生理食塩水)で行います。鼻水はしょっぱいですよね。それは、体液に塩分が含まれているからです。ぬるま湯で作った塩水で、鼻の穴の片側を塞ぎながら、吸って吐いてを行いましょう。 お風呂にゆっくりつかると鼻の粘膜のむくみが解消され、鼻の通りがよくなります。そこがチャンス! ですから、鼻うがいはお風呂で行うとよいでしょう。鼻うがいでバイ菌を洗い流したら、その後、粘膜への余分な刺激を防ぐため、オイルやクリームを塗ります。 なお、小さな子どもはまだ自分で鼻をかむことができず、悪化しやすいもの。鼻水を吸う器具を使い、パパやママが吸ってあげた上で、お風呂に入る、乾燥を避ける、もしくは早めに耳鼻科を受診するのもよいでしょう。 ちなみに、私の家では鼻が詰まると、近所に生えている「ドクダミ」の葉を摘んできて、軽く揉み、小さな塊を鼻の穴に詰めます。ドクダミは匂いが強いのですが、粘膜のむくみをとる働きがあります。ぜひお試しください。 (鈴木元<天使のたまご総院長>)
2015年09月27日乳腺炎は、産後のママの約25%で起こるといわれています。 乳腺炎は、母乳が停滞・詰まってしまったうっ滞乳腺炎と、細菌感染による化膿性乳腺炎に分けられます。 細菌感染症による、化膿性乳腺炎の場合 細菌感染による乳腺炎は、乳頭が傷ついたこと(授乳開始後まもなくは、赤ちゃんに吸われることで、乳頭が切れることが多々あります)などがきっかけとなり、ブドウ球菌、連鎖球菌といった皮膚に住み着いている菌たちによって炎症が起こります。 ・おっぱいが熱を持つ ・赤みを帯びる ・しこりができる ・押さえると痛い ・発熱、悪寒 ・頭痛、関節痛などの全身症状 ・白い母乳ではなく、黄色っぽい母乳が出る などの症状が出ます。この場合、授乳はできず、抗生物質での治療が第1選択となります。迷わず病院へ行きましょう! 母乳が停滞・詰まってしまった、うっ滞乳腺炎の場合 母乳が停滞・詰まった乳腺炎では、胸の張りやしこり、多少の痛みを感じますが、感染をしているわけではないので乳房の赤み、熱感はありません。 しかし、母乳の停滞が続くと細菌感染を起こし、結果的に化膿性乳腺炎になることもあります。停滞・詰まった場合は乳房マッサージ、授乳、搾乳を行い、停滞・詰まりを早急に改善しなくてはいけません。 そもそもなぜ、乳腺は停滞し、詰まるのか 乳腺が詰まる原因は、血液やリンパ液などによる乳管の圧迫、乳汁の凝固、赤ちゃんの吸い方が上手ではない、乳頭亀裂によりオキシトシンが分泌されにくいことなどが考えられます。 つまり、血行不良やおっぱいの質が悪い、おっぱいがしっかり飲まれず残っている、ホルモン異常といった感じでしょうか。 そこで、第1に「血行を良くする」、第2に「おっぱいの質を良くする」、第3に「おっぱいを乳腺に残さない」、これらを徹底していただくことで停滞・詰まりの乳腺炎を回避しやすくします。 乳腺炎予防のステップ(1)血行を良くする おっぱいは鎖骨、わきの下、胸骨、肋骨などの血管から血液が注がれ、作られます。 そこでまずは、胸周りの血管の流れを良くすることが大切です。肩こりや肩甲骨が動かない状態では、血行不良が起こりやすくなります。マッサージやストレッチが効果的ですね。 もしすでに停滞や詰まりがあったら、しこりをマッサージして小さく砕き、赤ちゃんに飲んでもらうか、搾乳をしましょう。 乳腺炎予防のステップ(2)おっぱいの質を良くする おっぱいの質には、食事が大いに影響してきます。ただし、賛否両論があり、一概に「これは良くて、これはダメというものもない」ということを覚えていてください。 それを踏まえた上で、食べたほうが良いものとして挙げられるのは ・白米 ・うどん ・そば ・納豆 ・鶏肉 ・白身魚 ・根菜類 など。 避けたほうが良い食べ物としては、 ・もち米 ・パスタ ・ラーメン ・菓子パン ・乳製品 ・牛肉 ・マヨネーズ ・お菓子 などがあります。 要は水分、たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどをバランスよく食べることが重要です。産後は忙しく、なかなかこだわった食事を作るのも大変ですが、おにぎりだけ、菓子パンだけなどという食事だけは絶対に避けなくてはいけません。 東洋医学では、タンポポの根っこ(ダンディディライオン)、はと麦、ラズベリーリーフが母乳の出を良くするといわれています。これらはお茶としてよく飲まれており、カフェインも入っていないので、試してみてはいかがでしょうか? そのほか、古来より葛根湯が母乳の出を良くするといわれ、使われています。 乳腺炎予防のステップ(3)おっぱいを乳腺に残さない 「おっぱいを乳腺に残さない」という点については、赤ちゃんが生まれてみないとわからないことがたぶんにあります。赤ちゃんが上手に飲めるかどうかはそれぞれですし、母乳が出すぎて赤ちゃんが飲みきれないことや、逆に乳管が細くて出にくいなど、乳腺に残りやすい状況はそれぞれにありますが、どれも実際に授乳を始めてみないことにはわかりません。 そこで、妊娠中から乳頭マッサージをするのは対策のひとつとして有効です。あとは搾乳することでしょうか? 日本では搾乳文化はあまりありませんが、欧米では搾乳機は出産グッズのマストアイテムとなっています。もちろん、赤ちゃんがよく飲み、残さないのが理想ではありますが、うまくいかない場合は利用してみましょう。 そして、飲ませる時には、乳管にあるおっぱいをご自身の手で誘導し、乳首まで運ぶことも忘れないでください。 乳腺が停滞・詰まってしまったら、ステップ(1)と(3)を試し、滞っている塊を取り除きましょう。そして予防を含め、ステップ(2)を心がけましょう。 この3つを駆使して、痛い乳腺炎の予防をしましょう。 (鈴木元<天使のたまご総院長>)
2015年09月26日産後のお母さんの多くに見られる腱鞘炎ですが、かなり強い痛みがあり、困っている人も多いのではないでしょうか? 腱鞘炎は、ちょっとしたコツを知れば、予防することができます。手首の構造を知り、どうして腱鞘炎になるのか、手をどのように使えば腱鞘炎を回避できるかを考えていきましょう。 腱鞘炎が起こる仕組み 腱鞘炎になると、ある角度で手に負荷をかけると電気が走るようなビビッという痛みが走ります。とても嫌な痛みです。まずは、この、嫌な腱鞘炎がどのようにして起こるのかを説明します。 そもそも筋肉は、太い筋腹(きんふく)と腱(骨とつながるところ)からできています。指や手首を動かす筋肉は、約20本。その多くは肘の骨から始まり、手首を通って、指先に伸びています。 これらの筋肉は、しっかりと働くよう、たとえばリストバンドのような構造(屈筋・伸筋支帯)で手首に固定されていたり、指が滑らかに動くように「腱鞘」という腱が通るトンネルを通っていたりします。 過度な負荷がかかるなど、使い過ぎにより腱が腱鞘の中でこすれ、むくみが起き、圧迫されることがあります。その結果、動かす時に痛みが生じる、それが腱鞘炎です。 簡単に説明すると、こんな感じです。 産後のお母さんは、ホルモンの影響と赤ちゃんを抱っこすることによる「使い過ぎ」というダブルパンチによって腱鞘炎が起こりやすい状況になっています。 腱鞘炎の起こりやすい場所としては親指の付け根が一番多いですが、小指側に発生することもあり、手首周辺であればどこでも腱鞘炎になります。 腱鞘炎の基本的予防法と改善策 では、予防法と改善策をお話ししましょう。 予防の基本は「使い過ぎないこと」です。そして腱鞘炎になってしまったら、「安静にする」のが基本です。 ただ、手首~指は、体の中でも使用頻度があまりにも多い場所。なので「使わないように」というのは難しい話ですが、炎症は安静にしないとおさまらず、炎症が治まらないと痛みも引かないかもしれません。触ってみて熱を持っている感じがあれば、氷水に手を入れて冷やすと痛みも和らぎます。もしも、あまりにもひどい場合は、医療機関を受診したほうがよいでしょう。 腱鞘炎の痛みを和らげるヒント 実は私自身、腱鞘炎持ちで、今でも使い過ぎると痛みが出てきます。しかし、ちょっと一工夫するだけでずいぶん楽になるものです。今から、そのヒントをお話しします。 手首は手のひら側に曲げることが構造的に得意なので、どうしても手首の内側にストレスがかかりやすくなります。しかも、重い頭や荷物を持つ時には手首を返してしまい、さらに手首内側に負荷がかかります。その手首返しを減らすことが、腱鞘炎の痛みを和らげるためのポイントです。 子どもを抱っこする時は手首の手前に首を乗せ、肘を使って抱き寄せると、腕の大きな筋肉で抱っこすることができるので、手首への負担は回避できます。もしも、子どもが腕のゴツゴツを嫌がるようなら、タオルを巻くとよいでしょう。 また、沐浴やオムツを替える時には、床ではなく、高いところで行いましょう。胸の高さぐらいがいいですね。 「手首を使いすぎてしまった」という時は、肘の周りと手首周りを自分でマッサージしてあげると、筋肉と腱鞘のむくみが効率よく取れます。マッサージをした後は、手を上に上げて、わきの下を伸ばすとさらに効果的です。 すでに腱鞘炎だ!という人には安静が一番ですが、上記のマッサージ+リストバンドをすると、痛みを回避ができます。リストバンドは即効性があるのですが、あくまでもその場しのぎ。長時間していると血行を悪くする恐れがありますので、短時間の使用にしましょう。 (鈴木元/マタニティ鍼灸マッサージ院・天使のたまご総院長)
2015年09月05日「子どもの寝汗がすごい」という声は多いです。でも、それだけ汗をかくのには、きっと理由があるはずです。 子供は汗をかきやすい 子どもは私たち大人より代謝が良く、体温が高めです。さらに体内の水分量も多いですね。 これだけでも汗をかきやすい条件は揃っていますが、大人と違い、体温調節機能がまだ完全ではないということと、さらに体の大きさに比べて体表面積が大きいため、暑い部屋にいたり、厚着をしたまま暖かい環境にいたりすると、熱が体内にこもって体温が高くなります。それゆえ、子どもは汗をかきやすいのです。 子供が寝汗をかく理由(1)パジャマや布団が暑い 私も子育てをしていて経験があるのですが、「お腹を冷やしてはいけない!」と言って、子どもに長袖長ズボンのパジャマを着させ、布団をかける。気がつくと、子どもは布団をけっている。そこで布団をかける。すると、また子どもが布団をける…。こんなやり取りのご経験がある方は多いのではないでしょうか? なぜ子どもは布団をけるのでしょう? それは体温が高く、熱がこもりやすいにも関わらず、布団をかけられる。それが暑いからの反応だとは思いませんか?布団をける動作も体を使いますので、それだけで汗をかくかもしれません(筋運動といいます)。 私が子どもの頃は、夏になると暑くて寝苦しく、布団をはぎ、パジャマを脱いで、冷たい床の上で寝ていたこともありました。実際、私の子どもも暑いようで、春ぐらいから冷たい床を転々として寝ています。 万が一、寒いようなら、子どもはみずから人肌を求め、近寄ってきますし、何かかけるものを探します。「寒くないかな」と心配せず、安心してください。 子供が寝汗をかく理由(2)エアコンの設定温度が高い 夏は暑くて寝苦しいのでエアコンをつけますが、代謝の悪い大人の感覚で温度設定をしていませんか? それと同じく、冬は寒いから暖房をつけますが、代謝の悪い大人に合わせて温度設定していませんか? 大人と比べると、子どものほうが「明らかに代謝が良い」ということを忘れないでください。汗をかくということは体の機能として、「熱を冷ます」ための行為です。子どもが寝汗をかくのは、きっと暑いのです。 寝汗は肌荒れ、体調悪化の原因に 寝汗が睡眠の質を悪くするということはおわかりだと思いますが、そのほかにもみずからの汗で、体をかえって冷やしてしまうかもしれません。また、体内の水分が失われるので、鼻や喉が乾き、風邪を引いてしまうかもしれません。さらに、汗をかくとき汗腺が開いているので雑菌を受け入れやすくなり肌荒れの原因になるかもしれません。 そこで、子どもが快適で寝られる温度設定にしてあげることが大切です。また、肌着などの吸水性がよく、通気性、乾燥性の良いものを着させ、厚着は不要です。 子供が汗をかいたら、その都度、石けんで洗っても大丈夫? 子どもが汗をかいたらシャワーをする、という方もいるかもしれません。その時に、ちょっと注意してほしいことがあります。 子どもの肌は大人に比べると薄く、皮脂も少なく、決して強いとはいえない構造をしています。汗をいっぱいかいたからといって、石けんで、さらにナイロンのタオルなどを使ってゴシゴシ洗うことは、汚れとともに必要な皮脂をも取り除いてしまうため、肌荒れの原因となります。 小さな子どものターンオーバーは1~2週間といわれ、驚くほど早いのです。そうなると垢が多く出るのですが、ゴシゴシ擦ると、まだ剥がれてはいけない薄い皮膚も傷つけてしまうので注意が必要です。 外で泥んこになって遊んだのであれば、肌に優しいボディシャンプーを使うのは仕方ないと思いますが、そうでなければお湯で洗い流してあげるだけで十分ではないでしょうか? 子供に合わせた環境づくりを 私たちが良かれと思って実践していることも、子どもから見たら必ずしも良いとは限りません。誰に合わせて生活スタイルを組み立てるのか。子どものいる家庭であれば、もちろんそれは子どもを中心に考えるべきです。なぜなら私たち大人よりもデリケートだからです。 目の前にいる子供をしっかり観察し、体の状態やしぐさから情報を得て、理解してあげるのも、立派な親の役目。お子さんの様子をしっかり見て、それに合った環境にしてあげてください。 (鈴木元/マタニティ鍼灸マッサージ院・天使のたまご総院長)
2015年09月02日夏の大敵と言えば日焼け。気になる人も多いのではないでしょうか? 女性に限ったことではなく、子を持つお母さんも、最近では男性でも気になるそうです。みんなが気にする日焼けに、どう立ち向かうか考えなくてはいけませんね。 紫外線は100%防げない 現在はたくさんの日焼け止めグッズが販売されています。日焼け止めクリームをはじめとした化粧品、UVカットのサングラスや衣服、日傘など、多彩なグッズがあるおかげで、昔よりも日焼け対策がしやすくなっているのは周知のことです。 しかし、紫外線はどんなに頑張っても100%防ぐことは難しいものです。それでもある程度は防がなくてはいけません。そして、もうひとつ大切なことがあります。それは、「紫外線に負けない肌を作る」ことです。 日焼け→シミになる理由 日焼けをすると誰でも肌が黒くなります。これは、皮膚を紫外線から保護するためにメラニン色素が作られるから。紫外線を浴びる量が減ると、メラニン色素も作られなくなります。 そして、肌のターンオーバーで自然とメラニン色素は排出され、日焼け前の肌色に戻っていきます。ところが、肌の新陳代謝が悪く、ターンオーバーのサイクルが乱れていると、部分的にメラニン色素を作り続けてしまい、シミとなってしまうのです。 日焼けに強い肌を作るには そこで、日焼けに強い肌を作ることが必要になってきます。日焼けに強い肌を作るには、まず肌のターンオーバーのサイクルを整え、メラニンの排出をしっかりとしなくてはいけません。 メラニンは活性酸素を基にして作られるので、抗酸化作用の高い食べ物を積極的に摂ることが効果的と言えます。また、お肌の新陳代謝を高めるための食べ物も必要になります。 <抗酸化作用が高い食べ物> アセロラ、キウイ、焼き海苔など、ビタミンCが多く含まれているものがあげられます。活性酸素を抑制するといわれているリコピンを多く含む食べ物も良いでしょう。(トマト・にんじん・かぼちゃなど) <代謝を高める食べ物> ホウレンソウやモロヘイヤ、豆類、海藻類があります。これらの食べ物にはビタミンB群、特に葉酸が豊富です。葉酸は細胞が分裂して新しい細胞を生み出すのにとても重要な役割を担っています。 さらに細胞は、構成要素の多くが、水分とたんぱく質で占められています。70%が水分で、たんぱく質が15%、そのほかは脂質や糖質、電解質などからできています。そのため、水分とたんぱく質をたくさん摂る必要があるのは言うまでもありません。 肉にはたんぱく質だけでなく、脂肪も糖質、鉄などの電解質、ビタミンも多く含んでいるので積極的に食べたいですね! ただし、これらは今日1日多く食べたからと言って、すぐに効果が現れるわけではありません。毎日バランスよく、続けて食べることが重要です。場合によっては、市販のサプリで補うのもよいでしょう。 女性は「血」のトラブルに要注意 東洋医学的には肌の老化、シミなどは「気」と「血」の巡りが悪くなっているからだと考えられています。気が生命力、血は栄養と潤いを与えてくれるので、流れが悪くなると肌の弾力や透明度に影響が出てしまいます。 特に女性は血の生き物といわれ、血のトラブルが多いもの。血行不良が原因でシミ、そばかすは作られやすくなるので要注意です。 食事は抗酸化作用のある食材+水分、たんぱく質を食べて、さらに血行を良くする適度な運動をしましょう! 丁寧な呼吸を心がけ、全身くまなく動かす運動がおすすめです。やはりウォーキングが、手軽にできて良いでしょう。 有酸素運動は気・血の流れをスムーズにし、新陳代謝も上がり、老廃物が排出されやすくなります。さらに、食べた栄養を隅々まで染み渡らせることもできます。 毎日のちょっとしたケアの積み重ねが紫外線に強く、健康な肌を作ります。これから秋~冬へと紫外線は強くなっていくので、今からしっかりと対策をしていきましょう。
2015年08月19日最近何かとメディアに出てくる「腸内フローラ」。健康の秘訣は腸内フローラが元気である必要があるといわれています。腸内フローラは免疫力アップ、精神安定、アンチエイジングに効果的だということがわかってきました。しかし、子どものアレルギーにも関係していると知っていましたか? その前に、そもそも腸内フローラとは何なのでしょうか。医療関係者であれば誰でも知っていますが、大腸菌や乳酸菌を代表とする「腸内細菌」を言います。 私たちの腸内には100兆匹から1000兆匹、約300種類の腸内細菌が生息し、重さにしてなんと1Kg(肝臓や脳と同じぐらいの重さ)もいるそうです。 善玉菌が2~3割、悪玉菌1割、日和見菌がその他大多数の比率で生息しているといわれ、善玉菌の代表はビフィズス菌などの乳酸菌、悪玉菌の代表はウェルシュ菌、大腸菌、そのときどきに合わせて優勢な側に付く日和見菌は連鎖球菌、バクテロイデス菌などがいます。 私は前職で便や尿などから菌を培養し、何菌なのか同定する仕事をしていました。初めて培養すると驚くほどの数と種類、増殖力があり驚いたのを覚えています。そして同じ人でも日によって差が多いということも経験してきました。 きっと食生活などの日ごろの生活が腸内フローラに良くも悪くも影響を与えているのではないでしょうか。 腸内フローラと密接な関係の食事ですが、最近では食物アレルギーの子どもが多いような気がします。腸内環境とアレルギーとの関係は以前から言われており、きっとお母さんの腸内フローラ、新生児・乳児の腸内フローラがキーワードになるのではないでしょうか? それでは、次はもっと詳しく子どものアレルギーに着目してお話をしていきます。 子どものアレルギー、なぜ発症するの? おなかの中にいる赤ちゃんは「無菌」です。お母さんが食べる食事のブドウ糖やアミノ酸、脂質やナトリウムなどの無機質などが胎盤を通過して栄養します。一部の菌(溶連菌、淋菌、クラミジア、梅毒など)、ウイルス(ヘルペス、肝炎、HIVなど)、原虫(トキソプラズマ)、真菌(カンジダ)以外は胎盤を通過しませんので、感染症をお持ちでなければやはり原則無菌というわけです。 アレルギーとは、あるもの(アレルゲン)に過剰に起こる免疫反応をいいます。簡単にいうと敵から体を守る防御機構のようなもの。しかし、それが過剰に働くと起こるのですが、どうやら遺伝子的にアレルギー体質というものがあるということもわかってきました。 しかしアレルギー体質だからといって全員がアレルギーになるわけではありません。アレルギー体質に「悪化させるような原因」が加わることで発症すると考えられているので、アレルギーは環境の変化が影響しているといわれています。 住宅環境によりダニやカビが増える、食品流通や食生活の変化で食事の欧米化や食品添加物の増加、皮膚に厳しい乾燥環境が増える、菌との接触が減って体の免疫反応がアレルギーの起こりやすい方向に傾くなどの可能性が示唆されています。 赤ちゃんは生まれてからはじめて菌に接触します。次第に皮膚や口などの消化器官、鼻などの呼吸器官へ菌が入り増殖を起こし始めます。この時点から多くの菌に触れることで、免疫力を養っていくのです。 腸内では生後3~4日で善玉菌であるビフィズス菌が大多数で、悪玉菌の大腸菌は微々たる数しかいません。 このビフィズス菌は、母乳中にある物質が増殖を促し、整腸作用を発揮します。また母乳には白血球やリンパ球、抗体、ホルモン、酵素なども多く含まれるので、赤ちゃんの免疫に一役買っているということは誰もがご存じでしょう。 こうして免疫を獲得し、腸内フローラは2歳~3歳ごろに完成するといわれています。 こんなデータがあります。アトピーの子どもと、そうでない子どもの生後1カ月の腸内細菌の数と種類を調べると、そうでない子どものほうが多かったと。やはりアレルギーと腸内フローラは切っても切り離せない関係であるといわざるを得ません。 アレルギーとの付き合い方 また未完成の腸内フローラの時期に牛乳、貝、お刺身、そばなどを食べさせると、分解できずに体内に入り、その食べ物に対する抗体が作られ、同じものが入ってきたとき、激しく攻撃してしまうアレルギー反応が起こると考えられていますので、離乳食が始まってからは気をつけなくてはいけません。 こうして考えてみると、赤ちゃんのアレルギーを含む免疫のすべてはお母さんに依存しているというのはお分かりでしょうか。 (1) 妊娠中のお母さんの腸内フローラが正しく活動していること (2) 出産方法(菌との接触) (3) 母乳育児(菌との接触と腸内フローラへの栄養) (4) 母乳の質を高める(腸内フローラへの栄養) (5) 育て方(アレルギー、免疫の獲得) 私が子どものころ、食物アレルギーやアトピー、花粉症はそこまで多かったイメージはありません。当時は今のように「殺菌・消毒」の概念はそこまで強くなかったと思います。もちろん怖い菌も存在するので、一概に悪いというわけではありません。 しかし何でも抗菌といい、菌に触れる機会を減らしてしまった結果がこのアレルギーの原因のひとつであれば、ある程度育て方で予防できるのではないかと考えます。 そしてやはり、赤ちゃんの栄養はお母さんからです。妊娠中、授乳中、離乳食もすべてお母さん。まずはお母さんの腸内フローラを正常化し、子どもの将来の体のことを考えてあげてください。 (鈴木元)
2015年08月16日