インテリアの専門誌『室内』編集部に約9年勤務。2002年よりインテリア、デザイン、キッチン、暮らし関係のフリーエディター&ライターとして活 動を開始。「住まいの中のグッドデザイン」(2003年世界文化社)をはじめ、雑誌などでデザインと暮らしの関係を取材。
萩の陶芸家・濱中史朗氏は、無駄のないフォルム、吸い込まれるような素材感の作品で知られる。陶芸の伝統と、彼らしいモダンさが注目され、ミラノサローネでもボッデガベネタのイベントの参加クリエイターとして選ばれるなど、幅広い活躍をしている。 そんな彼の作品を、もっと暮らしに取り入れてほしいと、山口県で北欧雑貨などを扱うショップ「Bells Fleurs」と、濱中氏の共同開発で生まれたのが、この香炉「リュース]だ。灯りの意味のデンマーク語と、再生のリユースを組み合わせた名前だ。 北欧のヴィンテージ家具やシンプルな生活道具と相性のいいフォルム。が、美しいだけではなく、「空気清浄」という機能も持ち合わせている。 加熱皿の裏に「白金触媒」を仕込み、キャンドルの熱で間接的に熱することで、タバコやアンモニア、ホルムアルデヒドなどの臭いを取り除いてくれる。一方で加熱皿の上にはアロマオイルや茶葉、コーヒー豆など好みの香りを放つことができる。 香りを広げ、空気の臭いを取る。温かい空気と冷たい空気の動きを利用して、一見矛盾している2つのことが同時にできるのだ。空焚きも可能、また水を張ってプチ加湿もできる。 そしてもう一つが癒しの効果。夜の長い北欧では、間接照明など柔らかい光が好まれる。本体の開口部を壁に向け、光をバウンドさせれば、間接照明に。 直接向ければ、灯りそのものを幻想的に鑑賞することができる。そんな工夫もこらされている。 濱中氏による手づくりタイプが¥31,500。お値ごろタイプが¥12,600(白、青、ピンク/花柄は¥13,860)。この商品は経済産業省が主催する「ものづくり大賞」の優秀賞も受賞した。 同じ香炉の別バージョンとしてニューヨークのアーティスト、マイク・ペリー氏のイラストが入ったタイプも登場(¥14,700)。モノクロの線画が加わると、シックな香炉がまた違った雰囲気に見えて不思議な魅力がある。 お問い合わせ:北欧雑貨Belles Fleurs tel.083−972−4556 公式サイト
2012年02月24日11月に入ると街もクリスマスの飾り付けが始まる。世界のデザインが集まるインテリアショップ「ザ・コンランショップ」でも、すでにクリスマスの新アイテムが発売になっている。今年、クリスマス向けに集められたのは、洒脱でひねりの効いたユーモラスなアイテム。 従来に比べ、80%もの節電を実現したという世界初のデザイン電球がこちら。光源部がひねったようなフォルムで、光を効率よく拡散する上、見た目も個性的。 PLUMEN LIGHTS:電球 ¥3,150、コードセット ¥8,400 ガラスのボウルの内側にそびえる透明な山々。金魚鉢の中に、風景が生まれる。花を生けても面白そう。 FISH SCAPE¥18,900 こちらは電球型のフラワーベース。実際に使われた古い電球を再活用したプロダクトだ。節電の意識とともにプレゼントしたい、今年ならではのアイテムかも。 BULB VASE 大¥2,100、小¥1,050 この世界地図は、コインで削ると色が変わる仕組み。「今年はどこに行ったかな?」「将来はどんな国に行きたい?」一年を振り返りながら、そんな会話が弾むかも。 SCRATCH MAP ¥2,625 道化師の衣装のような、派手な模様のギターは、フランス製。インパクトあるインテリアデコレーションアイテムとしても活躍しそう。 ハーレクインギター ¥3,675 そしてパーティの時間を盛り上げるクラッカーも、ザ・コンランショップならこんなに洗練されている。ブルーだけの単色のデコレーションや、クラッカーのカラフルな写真を使ったにぎやかな柄など。 パーティクラッカー INDIGO SNOWFLAKE ¥5,775 PARTY PRINT ¥3,990 BARK NAME TAG ¥5,775 いずれもクリスマス向けアイテムなので、発売は11月18日~12月25日まで。新宿本店・丸の内店・名古屋店・大阪店(写真)・福岡店の5店で開催。売り切れることもあるので、急いで。クリスマスの足音は、もう迫っている。 ザ・コンランショップ tel.0120-04-1660 公式サイト 取材/本間美紀
2011年11月10日長崎の伝統的な焼き物「波佐見焼き」。最近注目の産地なのをご存じだろうか。 メーカーの1つ、マルヒロから早くもクリスマスやお正月にぴったりの新作が登場している。 箸置き小皿セット ¥3,780 そのマルヒロのブランドの1つが「馬場商店」。四季や贈り物をテーマにした繊細な陶器をそろえる。 お正月の食卓に添えたい新作が、日本の縁起物をモチーフにした箸置きと小皿のセット。「一富士二鷹三茄子」「月波兎」の2種類。写真のように重ねると、一つのグラフィックが完成する。 紅白だるま(2個セット箱入り) ¥1,050 同じ箸置きでは珍しいだるまもチーフも。 また「馬場商店」の違うテーマが地元長崎の文化や風土。 長崎びわ茶箱 ¥2,940 長崎名産のびわの葉を使ったお茶とのセットもある。スクエアな陶器のお茶入れのフタは、オランダの出島の商館で、壁紙に使われていた「松菱皮」をモチーフにしている。 長崎凧 角小鉢 ¥1,575 こちらは長崎に伝わる伝統的な「凧(はた)」の小皿と小鉢。 角小皿 ¥630 そして海外との交流がはやくからさかんだった長崎の文化を表現したのが、この小皿のシリーズ。 色釉手塩皿 ¥2,625 直径わずか6センチ弱。実用のお皿としては最も小さい「豆皿」の一種で、食前の不浄を避けるために塩を盛るのに使われることもあるという。 モチーフとなっているのは五弁花紋といい、梅の花を意匠化したもの。17世紀の伊万里焼きや有田焼、波佐見焼の器の見込みに描かれた紋様だ。 さて、モダンなイメージも持たれるようになった波佐見焼き。その火付け役となったのが現代の暮らしにあうようにアレンジした「HASAMI」ブランド。道具としての陶磁器をキーワードに、ユニセックスな陶器が人気だ。 波佐見焼き独自の、ニュアンスのある発色で、アメリカのダイナーで使われていそうなシンプルなシリーズやメキシコ風シリーズを発表し、一躍注目の的。 重ねてしまえる人気商品「ブロックマグ」のクリスマスパッケージが登場。 イラストレーターの竹内俊太郎さんがデザインした箱に入って、ギフトにぴったり。12月20日までの限定販売中。マグは¥1,575~各種あり、ボックス代はオープン価格。 取材/本間美紀 問い合わせ先 マルヒロ tel.0955-42-2777 公式サイト
2011年11月07日リチャード ジノリの定番的な食器「ベッキオホワイト」 「アンティコ」など、伝統的な器。この器を、ミナペルホネンの皆川明さん、イタリアのベテラン女性デザイナー、パオラ・ナヴォーネさんの2人でスペシャルな食器として発売する。パオラさんはベテランながら、女性的でパッショネイトなデザインで、ミラノサローネでも注目されている建築家、デザイナーの一人。リチャード ジノリのアートディレクターも務める。 秋のデザインイベントの一環で、伊勢丹新宿店で開かれる「LOVE COMMUNICATION」の中で、期間限定の発売だ。 これは2009年にミラノでパオラさんが発表したジノリの食器を使った展示会が発端。このイベントが昨年伊勢丹新宿店で行なわれ、それを見た皆川さんが感激。縁あって今年の3月にパリで2人は会うことができ、今年のコラボレーションが生まれた。 そのやりとりが面白い。皆川さんが「LOVE COMMUNICATION」をテーマにさまざまなパターンやモチーフ、イラストを描き、これを使ってパオラさんが、食器を彩った。その一部をご紹介しよう。 今回のテーマで一番最初にひらめいたモチーフだと言う。赤と黒が交差するハートの表情がユーモラス。パオラさんは転写シートにこの柄を写し取り、自由にちぎりながら、柄の表れるところ消えるところを無作為にまかせて、表現した。 Strappo~ちぎる~ まさに愛を表す真っ赤なシリーズ。情熱的なデザインからは、直球で愛が伝わる。 San valentino 和の静謐さも感じさせるのがこちら。minä perhonen が表現した<愛のはじまり>とは写真の ● が書いてあるデザインモチーフの名前で、 「 × 」、「 = 」はパオラさんデザインによる日本未発売の< blu print >というデザインをあわせて、 blu print というシリーズにしているということ。デザインをのせているベースとなるお皿が、ジノリの ヴェネツィアというシリーズ。 Blu print いかにもミナ ペルホネンらしい柄で構成されているのがこちら。手描きのぐるぐる線が描くハート形や、羽根がハートに見える蝶など、ミナ ペルホネンファンにはたまらないはず。 値段はプレート¥2,100~、大皿¥15,750~、マグカップ¥5,250~、カップ&ソーサー¥5,250~など。デザイナーの限定アイテムにしては、決して敷居の高いお値段ではない。この機会に、素敵なラブを手に入れてみては。 お問い合わせ:伊勢丹新宿店 tel.03-3352-1111 photo:Satoshi Yamaguchi Styling:Fumiko Sakuhara 取材/本間美紀
2011年10月31日「green gate」はデンマークの女性デザイナー、モナ・クリステンセンが立ち上げた生活用品のブランド。カップやキッチンリネン、ホームウェアなど、毎日の暮らしで使えるものがそろう。値段も手頃で日本にもファンが増えつつある。 花柄や水玉、レースの縁取りなど、女性なら一度は憧れた柄は、どこか切ないトーンでノスタルジック。もとはモナがパリのアンティーク市で競り落とした19世紀後半のテキスタイルブックから着想。フレンチデザインの黄金期のデザインを、北欧の洗練された完成でリ・デザインしてスタートした。 今年の秋冬の新作が、すでに店頭に並び始めている。 年2回発表する新作は毎回入れ替わり、一度完売すると同じデザインは手に入れることができない。コレクターアイテムとなっているものもあるほど。けれどもどの時期の製品を組み合わせてもまとまるのは、水色、赤、黄色、白の4色をベースにしているからだと言う。 この冬のテーマも物語を感じるものばかり。ロイヤルブルーと白の洗練に、ツイードや生成りの色を合わせたシリーズ。帰郷がテーマで、古いもの、懐かしいものに再会する安心感が漂う。木目やレザー、ヴィンテージ家具との相性がよさそう。 「ノルディックヘリテージ」をテーマにしたシリーズは、リラックス感ある白に赤の柄。さらに雪に反射する淡いブルー、大地や木々のブラウンから着想したトーンなど。北欧らしい清潔感と自然への感性を感じさせるデザイン。 プラム色の色調をベースに、ここ数年人気が続くフューシャピンクなどを加えた甘い色のシリーズも。深みを増した大人の秋の雰囲気。 メリー・ファニークリスマスは、遊び心いっぱいのシリーズ。少女の気持ちを表現したような楽しい柄は、真っ赤な星やハンドプリント風の花やレース模様。小さな女の子へのギフトにもよさそう。 伝統的な柄と色を使っているのに、そのテーマやストーリーには、どこか、心を引かれる。これからぐっと寒さを増し、お家にこもりがちな季節、グリーンゲートのアイテムで、可愛らしさを暮らしにプラスしたい。 いずれも値段は手頃。どのシリーズもエプロン¥4,515、ナプキン¥1,260、キルトクッションカバー¥5,250、トートバッグ¥2,100、マグカップ¥1,890、ラテカップ¥1,470、フレンチボウル¥1,365~、プレート¥1,890 T.C/タイムレスコンフォート渋谷店 tel.03-5459-1252 東京都渋谷区道玄坂1-12-5 渋谷マークシティウェスト1F 公式サイト 取材/本間美紀
2011年10月15日シルバー色塗装のアームチェア(ラタンカラー ¥21,000~) ラタン家具というと、夏のもの。そんなイメージはないだろうか。 編み目のテクスチュア、ざっくりとした雰囲気は、シーズン家具にしてしまうのは惜しい。特に最近はラタンといっても緻密に編まれた、品質の高いものが多く登場している。 ラタンのカラーサンプル 「a.flat」もそんな家具に強い家具ショップの一つ。和やアジアンの雰囲気をモダンに仕立てた家具を、手頃な値段で販売している。 ラタン家具を一年中に楽しむために、スタートしたのがラタンなど、従来ダークブラウンが多かった家具のカラーオーダーシステム「colors 」。 泊さんの空気感あふれる写真 ふんわりとインテリアや暮らしの空気感を映し出す。そんな作品で人気の写真家・泊昭雄さんをディレクターに向かえ、これが予想以上に美しく、楽しめそうだ。インテリアのスタイリングでも定評がある泊さん流のセンスが、光る。 「colors」の対象となるのはまずラタン。日本人の体型や暮らしにあわせて、座高を低くしたローソファやアームチェア、サイドテーブル、パーティション。背とアームのラタン部分を完全特注色で指定できる。ゴールドやシルバーなどの特別な色も対応し、完全受注制。値段は色によって異なるため、要問い合わせ。 ケイ・ロウ・ソファ(ラタンカラー ¥57,750~) ウールラグ 2色¥50,925/平方メートル~ 3色¥55,650/平方メートル~ ざっくりとしたラタンだからこそ、色を大胆に使っても圧迫感がない。どこか軽やか。意外性がある。座のファブリックも45色から選べるので、組み合わせは無限ともいえる。納期は3ヶ月だけれど、待つ甲斐はありそう。 緑がアクセントカラーのテーブル天板 カラーリングの楽しみ方は、籐家具だけではない。100色以上のカラーバリエーションがそろうウールラグをおそろいの色にしたり、伸張式テーブルの延長天板をレッドや緑に変えて、アクセントにするなど、暮らしの中でこんな色の楽しみ方があったと気づかされる。 お問い合わせ:a.flat目黒本店 tel.03-5731-5563 東京都目黒区中根1-14-15 a.flat公式サイト 取材/本間美紀
2011年10月14日北海道旭川市。観光地で有名な富良野に近く、旭山動物園などが有名だが、 ここが日本でも有数の家具の産地で、多くの家具ブランドやメーカーが集っているのをご存じだろうか。 そんな旭川では年に1度、産地の新作展を行ない、日本の暮らしに適った家具を発表する。輸入家具やデザインファニチャーとはまた違う、「北海道クオリティ」は、お部屋に置いてすぐにしっとりとなじむような、親しみやすさと美が感じられる。そこで大人の女性の目に適うアイテムを、新作を中心にピックアップしてみた。 「ウイング ラックス」(メーカー/カンディハウス)ソファ¥331,800~ センターテーブ¥79,800~、アームチェア¥122,200~ カンディハウスの「ウィング ラックス」シリーズは、ソファのレッグやフレームがぎりぎりまで薄い。重心が低く、マンションの部屋でも圧迫感がないけれど、座り心地はゆったり。 おなじくカンディハウスの同シリーズのデスク。ヴィンテージ風の雰囲気も感じられるデスク、奥行46㎝とコンパクトで寝室やリビングにもすっきりおさまる。お化粧やちょっとした書き物など、プライベートタイムのパートナーになってくれそう。最上段の引き出しの取っ手はレトロな鍵のよう。小さいポイントに心引かれる。 「グランデ」(メーカー/匠工芸)ソファ1p ¥241,500~/2p¥315,000~/3p ¥367,500~ 匠工芸の「グランデ」は、幾何学的なフォルムを持ち、グラフィカルな印象のソファセット。こちらも薄い見た目で部屋の中で圧迫感がないのに、座ると体を包みこむようなホールド感がある。 「マッシュルームスツール(メーカー/匠工芸)¥15,750 同じ匠工芸のヒット製品となるのが、アッシュコンセプトの開発協力を得て生まれた「マッシュルームスツール」。軽く、コンパクトでどこか愛嬌がある。値段の手頃さもあって、予想以上の人気だという。 パティオ(メーカー/インテリアナス)オープン価格 デザイナー、村澤一晃さんのソファは若い世代にも人気が出そうな、少し角丸のレトロモダンなデザイン。 「「soridome」(メーカー/ウッドワーク)テーブル ¥210,000~ キャビネット¥234,150~ チェア¥55,650~ 山田佳一郎さんがデザインした「soridome」シリーズ。無駄な装飾がなく、繊細なデザインのキャビネットやテーブルは、ごまかしがきかない分、メーカーの技術や材料の質が出るところだが、見事な仕上がりだ。 通常は扉の裏に付けられる「反り止め」を、あえて表につけてデザインと取っ手を兼ねさせたのが、シリーズ名の由来でもあるという。 「Kakudo Cutting Board ¥6,500/サイズS ¥9,000/サイズM(メーカー/高橋工芸) 木の小物も、いわゆるクラフトというより、プロダクトデザイン的な美しさを持つ。八角形のまな板は、東京のデザイナー大治将典さんのデザインだ。旭川の木工職人、高橋秀美さんとの恊働で生まれた。 また旭川は、インテリアをめぐる旅先としてもおすすめ。 家具メーカーの本社ショールームやクラフトショップが点在している。人気のスポットとしては、森の中のコテージのような家具ショップ「北の住まい設計社」。 オリジナル家具や雑貨やテキスタイルを扱うほか、おしゃれなカフェも併設。同じ雰囲気の住宅設計施工も請け負っている。 冷涼な気候と森に囲まれた環境のせいか、北欧とイメージも近い旭川。ドラマ「風のガーデン」の舞台となった「上野ファーム」では話題の北海道スタイルガーデンを堪能できる。 機会があれば、上質な暮らしのをヒントを得る旅を楽しんでほしい。 旭川家具工業組合 Webサイト 取材/本間美紀
2011年10月07日