子供の想像力を豊かにし、心を育てる、昔話の魅力とは
「子どもの頃にお話を聴く」という経験には実は、その後の人生を大きく方向づけるほどの影響力を持ち、人生を生きていく手がかりになるのだとか。子どもにお話をしてあげていますか?
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■昔話には、子どもたちの生や死への関心に応える作用がある私が子どもの頃、帰省するとよく祖母が仏壇の前でお話をしてくれました。物語というより、「人は死んだらどうなるのか」とか「どう生きるべきか」といった話でしたが、全身の神経を集中して聴き入っていた記憶があります。
お話の具体的な内容はおぼろげにしか覚えていませんが、方言によるやさしい祖母の言葉に、心に浸み込んでいくような心地よさがあったことは、今でも印象に残っています。
祖母のお話には、目に見えないものを信じたり、生や死に強い関心を寄せたりする、子どもならでは好奇心を刺激してくれるような、そんな感覚もありました。大人になって振り返ると、祖母のお話で聞いたことが、今でも心の核になっているように感じられることもあります。
自分の子どもにもそんな経験をさせてあげたいと思っていた時、大人向けのお話講座を見つけたので、通ってみることにしました。
■昔話の魅力は、言葉のリズムと隠れた悲哀講座では、昔話の魅力やお話を語る上で大切なことなどが解説されました。
それによると、お話を語ったり歌ったりする際にもっとも大切なことは、「言葉のリズムと響き」なのだそうです。言葉を覚えたての小さな子どもは、言葉を意味ではなく「リズムと響き」で受け止めます。
講座で教えてもらった創作話の1つに「ごきぶり五郎兵衛」(注)という、みんなから疎まれる「ごきぶり」という存在の哀しさを描いた、うた仕立てのお話があるのですが、このお話の中に登場する「ごきぶり五郎兵衛ゴロゴロベエ」という唱え言葉は、小さな子どもにとても人気です。
(注)「とらおおかみ 子どもらの心が生んだ物語」川手鷹彦 地湧社より