教育、しつけはいつからすればいい? 子どもの成長に大きく関わるしつけや進路に関わる教育 方針、気になる英語を子どもにどう教えるかなどをお伝えします。 (1/68)
マイクロブタと聞いて、何を思い浮かべますか?愛らしい見ためのミニチュアペット?それとも、賢く清潔な小動物?じつは、このマイクロブタには「子どもの心を育てる教育者」としての側面があるのです。欧米では、すでに家庭や教育施設でその能力が高く評価され、子どもたちの情操教育に大きな役割を果たしています。なぜ、マイクロブタが子どもの教育に適しているのでしょうか?その秘密は、驚くべき知能の高さと、豊かな感情表現力にあります。犬に匹敵する学習能力をもち、悲しいとき、うれしいとき、甘えたいとき……と、その気持ちをはっきりと表現するマイクロブタは、子どもたちにとって最高の「心の教科書」となるのです。今回は、そんなマイクロブタの魅力と、実際に触れ合える人気スポット『mipig cafe』をご紹介します。わが家の3歳と5歳の娘たちも訪れ、予想以上の発見と感動を経験することができました。動物との触れ合いを通じて、子どもたちの心はどのように成長していくのか。マイクロブタが秘めた教育の可能性とは?ぜひ最後までご覧ください。マイクロブタとの触れ合いが育む、子どもの感性と思いやりの心動物との触れ合いは、子どもたちの心の成長に大きな影響を与えます。特にマイクロブタは、その賢さと感受性の高さから、子どもたちの情操教育に理想的な存在として注目されています。マイクロブタは非常に繊細で感情表現が豊か。悲しいときは小さな鳴き声を上げ、嬉しいときは尻尾を振り、甘えたいときはスリスリと体を寄せてきます。このようなわかりやすい感情表現を通じて、子どもたちは相手の気持ちを読み取ることを自然と学んでいきます。また、生き物の世話をすることで育まれる責任感も重要な教育効果のひとつです。決まった時間に食事を与え、清潔な環境を保つという日々の努力は、子どもたちの自主性と思いやりの心を育てます。写真提供◎mipig cafe意外と知らない?マイクロブタの魅力と驚きの能力マイクロブタは2000年代にイギリスで品種改良された、ミニブタよりもさらに小さなサイズのブタです。体重は生まれたときはわずか300〜500g程度ですが、成長すると20kg前後になります。これは中型犬程度の大きさで、一般的な家庭で飼育できるサイズです。寿命は10〜15年と、犬と同程度。人間の家族の一員として、子どもの成長とともに歩んでいける存在です。カラーバリエーションも豊富で、ピンク(白)、黒、ブチ柄、グレー、茶など、様々な色柄があります。写真提供◎mipig cafeマイクロブタの知能の高さは、多くの研究者を驚かせています。記憶力や学習能力は犬に匹敵するとも言われ、「お座り」「待て」などの基本的な芸はもちろん、「スピン(回転)」などの複雑な動作も習得できます。特筆すべきは、その清潔さです。マイクロブタは非常にきれい好きで、トイレのしつけも簡単です。決められた場所でトイレを済ませる習慣は、子どもたちの規則正しい生活習慣の形成にもよい影響を与えるでしょう。写真提供◎mipig cafe近年、マイクロブタの活躍の場は広がりを見せています。福祉施設でのアニマルセラピーや、幼稚園・小学校での動物学習など、教育や福祉の現場での需要が高まっているのです。その背景には、マイクロブタならではの特徴があります。温厚な性格で攻撃性が低く、アレルギー反応を引き起こしにくいため、多くの人が安心して触れ合えるのです。また、群れで生活する習性があるため、人間社会に適応しやすいという利点もあります。写真提供◎mipig cafe池袋の『mipig cafe』でマイクロブタと触れ合い体験愛らしいマイクロブタたちと触れ合える──そんな夢のような空間があります。マイクロブタカフェです。今回、東京・池袋にある『mipig cafe』に娘たち(3歳&5歳)を連れて行ってきました!受付を済ませて入店すると、かわいらしいブタさんたちが私たち家族をお出迎え。もう、この時点で、子どもたちの目はキラキラ。いえ、子どもたちだけでなく、大人の私もブタさんのかわいさにすっかり目がハートになってしまいました。ピンク色だけかと思っていたブタさんの模様は、黒、茶色、ウリ坊柄などさまざま。同じ空間にいるだけで癒されます。ちなみに、ブタさんたちは想像以上に機敏で活発でした。そして子どもたちは、ブタさんたちとなかよくなるのを楽しみにしていたので、早く触りたくてうずうずしています。子どもたちが興奮して荒っぽく接してしまわないか、少し不安に思っていたのですが、そんな心配は無用でした。スタッフの方が、子どもたちの目線に立って、ブタさんとの正しい触れ合い方を丁寧に説明してくれたのです。優しくなでる場所や、ブタさんが喜ぶ接し方など、子どもにもわかるように教えてくれたので、ブタさんが嫌がったり逃げたりすることはありませんでした。むしろ、子どもたちなりに生き物への思いやりの気持ちが芽生えているようで、2人とも落ち着いた様子でブタさんたちと優しく触れ合っていたのです。母としてとても誇らしかった……!また、臭いも気にならず、服にほとんど毛がつかないのも嬉しいポイント。子連れでも安心して楽しめる、癒しの空間。また家族で訪れたいと思うすてきなカフェでした。生命教育の場として注目される『mipig cafe』カフェには20匹ほどのマイクロブタが暮らしており、人との関わり方や協調性を身につける「ブタの保育園」としての役割もはたしています。スタッフは、マイクロブタ一匹一匹の個性を理解し、適切なトレーニングを行なっているのです。確かに、スタッフの方々からは、ブタさんたちへの深い愛情が伝わってきました。ペットとしてブタさんを迎える相談にも応じてくれるそうで、専門的なアドバイスが受けられる点も魅力です。ここは単なるカフェではなく、「人と動物の共生」をテーマにした教育の場としても機能しています。カフェの広報担当・北川史歩さんは「飼育放棄を起こさせたくないという強い思いから、飼育希望者には事前審査を行なっている」と話します。衝動的な購入を防ぎ、最後まで責任をもって飼育できる環境づくりを重視しているのです。このように、マイクロブタは単なるペットとしてだけでなく、子どもたちの心の成長を支える大切なパートナーとしての可能性を秘めています。その賢さと愛らしさは、私たちの生活をより豊かなものにしてくれることでしょう。まずはマイクロブタカフェで実際に触れ合ってみてはいかがでしょうか。きっと、お子さんの新たな一面を発見できるはずです。マイクロブタと人との絆を深める架け橋として活動を続ける『mipig cafe』。広報担当の北川さんより、特別なメッセージをいただきました。↓↓↓~STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ読者のみなさまへ~『mipig cafe』は、日本初のマイクロブタさんと触れ合えるカフェです。ブタさんが本来もっている、 “ペットとしての才能を知ってほしい” という想いから、オープンしました。ひとりでも多くの方に、『mipig cafe』を通じて、ブタさんの魅力を感じてもらえるよう、温かく、居心地よいひとときを提供いたします。『mipig cafe』では、マイクロブタさんを家族として迎え入れたいお客さまのために、大人のマイクロブタさんとふれあいながら、専門スタッフによる相談をお受けしています。ぜひ、マイクロブタさんの “お友だち” “家族” として、遊びにいらしてください。『mipig cafe』は、お子さまにマイクロブタさんとの時間をお楽しみいただけるよう年齢制限を設けていません。ブタさんとの触れ合いを通して、動物と人間がなかよく暮らしていくために必要なことを考えてもらうきっかけを創出できればと願っています。☆全国の『mipig cafe』店舗検索はこちらから☆
2025年01月20日「抱っこ、抱っこ」保育園へ行く朝の支度の真っ最中。3歳の息子が靴下を手に、目に涙をためて追いかけてきます。私は仕事に遅れそう。息子も靴下も自分で履けるはずなのに……。「甘やかしすぎ?でも突き放すのもかわいそう」。時間に追われる現代の子育て。そんななかで葛藤を抱えながら、毎朝イライラと焦りを感じている方も多いのではないでしょうか。発達心理学の最新研究によると、子どもの心の成長には「甘え」が重要な役割を果たしているといいます。甘えを上手に受け止めることで、子どもは安心して新しいことに挑戦できるようになることがわかっています。しかし、その受け止め方を間違え甘やかすと、かえって子どもの自立を妨げることも。では、子どもの健やかな成長を支える「甘えさせ」と、逆効果になりかねない「甘やかし」は、どう違うのでしょうか。また、限られた時間のなかで、どのように子どもの甘えに向き合えばよいのでしょうか。最新の研究と専門家の知見をもとに、子どもの健やかな成長を支える「甘えさせ」の具体的な方法を年齢別でご紹介します。「甘え」は子どもの心を育てる重要なサインカリスマ保育士として知られるてぃ先生は、子どもの「甘え」は基地確認行動だと指摘します。子どもにとって親は安全基地。その基地が安全であることを確認できれば、子どもは安心して新しいことに挑戦できるようになるのです。逆に、基地の安全が確認できないと、子どもは不安から新しい体験を避けるようになってしまいます。またてぃ先生は、保育現場での長年の観察から、子どもの「甘え」には3つの重要な役割があると指摘します。「甘え」が育む3つの力「心の安全確認」→子どもは甘えることで、親や保育者との関係が安全であることを確かめる「チャレンジ精神の土台」→安全な関係が確認できると、子どもは新しいことに挑戦する勇気を得られる「感情コントロールの学習」→甘えを通じて、自分の感情を表現し受け止めてもらう経験を積み重ねていく 実際の保育現場では、安心して甘えられる環境があることで、子どもたちの行動が大きく変化する様子が見られると言います。たとえば、新しい遊びに挑戦するとき、保育者に甘えることで安心感を得た子どもは、より積極的に取り組めるように。また、友だちとのトラブルの場面でも、保育者に気持ちを受け止めてもらえることで、徐々に自分で感情をコントロールできるようになるそうです。また、東京学芸大学名誉教授の岩立京子氏は、子どもの「甘え」がもつ重要な意味についてこう説明します。「子どもの「甘え」は、親への信頼感を確認する大切な行動です。十分に甘えることができた子どもは、その経験を基に他者への信頼感を育み、将来の良好な人間関係の土台を築いていきます」このように、子どもの「甘え」には成長を支える重要な要素です。しかし、ここで多くの親が「甘やかしすぎ」への不安に直面します。では、子どもの健全な成長を支える「甘えさせ」と、自立を妨げかねない「甘やかし」は、どのように区別すればよいのでしょうか。「甘やかし」はNG!「甘えさせ」との本質的な違い子育ての現場でもっとも多い悩みのひとつが「これは甘やかしすぎ?」という判断に関するものです。公認心理師の佐藤めぐみ氏は、この違いを明確に説明します。佐藤氏によると、「甘えさせ」とは子どもの心理的な要求に応える関わり方だと言います。子どもが不安を感じたときや、愛情確認をしたいときに示す甘えのサインに、温かく応えることを指します。この関わりを通じて、子どもは心の安全基地を得て、そこから少しずつ自立していく力を育んでいくそうです。「甘えさせ」には2つの重要な要素があると指摘します。「甘えさせ」の2つの重要な要素子どもが求めてくる愛着行動を温かく受け止めること(例:「抱っこして」「お膝にのせて」という要求に応える)子どもの「負の感情」に寄り添うこと(例:悔しい思いや悲しい思いをしたときに、その気持ちを受け止める) 一方の「甘やかし」とは、大人側の不安や都合が主導となる関わり方です。たとえば、子育ての不安から必要以上に手を出してしまったり、時間に追われて子どもの要求を物で解決しようとしたりすることを指します。この関わりは、子どもの自立心や我慢する力の発達を妨げかねません。「甘やかし」は、要注意な3つのパターンがあると言います。「甘やかし」の要注意な3つのパーターン物質的な要求を無条件に受け入れる(例:おもちゃをねだられるまま買い与える)年齢相応にできることまで親がやってしまう(例:じょうずに靴下が履ける年齢なのに親が履かせる)失敗を恐れて先回りする(例:高学年になっても持ち物の準備を親がする) 時間に追われる現代の子育てで、十分な甘えさせの時間が取れないと悩む声は少なくありません。しかし、佐藤氏は「大切なのは時間の長さではなく、関わりの質」と強調します。たとえば、子どもが話しかけてきたときは、たとえ短時間でも手を止めて目を合わせて聞いたり、朝の支度の前に、5分でも抱っこの時間をつくったり。そんな日常の小さな場面での質の高い関わりが、子どもの心を満たしていきます。甘えを受け止められないときは、その理由と見通しを具体的に伝えることも大切です。「いまは手が離せないけど、お風呂のあとにたっぷり甘えさせてあげるね」など、子どもが理解できる形で説明することで、待つ力も育っていきます。年齢で変化する「甘え」のサインと応え方前述のてぃ先生は、保育現場での観察から、子どもの「甘え」は、どの年齢においても安全基地としての大人の存在が重要だと説明します。またフジテレビ「ホンマでっか!?TV」でもお馴染みの脳科学者の澤口俊之氏は、「子どもが甘えるのは、不安や恐怖を感じていて、そのストレスを解消するため」と説明します。また澤口氏らの研究から、子どもの甘えと脳の発達には密接な関係があることがわかっています。そこで、子どもの健やかな成長のために脳の発達段階に合わせた「甘えさせ」の方法をまとめました。年齢はあくまでも目安ですので、それぞれの子どもの発達を見極めて対応してください。【0-2歳:愛着形成の重要期】この時期の「甘え」は、生きていくための本能的な要求です。泣く、後追いする、抱っこを求めるなど、直接的な形で表現されます。岩立氏は「特に0〜1歳では、頻繁な語りかけと笑いかけが大切」と説明します。「どうしたのかな」と語りかけたり、とにかく抱きしめてあげることで、子どもはお母さんの愛情を感じることができ、安心するでしょう。0-2歳の「甘え」への対応泣いたら抱っこで安心感を与え、そのあとでゆっくり理由を探る「いい子だね」「上手だね」など、肯定的な言葉を意識的にかけるお風呂や着替えの時間を活用し、たっぷりと触れ合う遊び場では少し離れた場所で見守り、子どもが確認できる位置にいる 【3-5歳:自我の成長期】自我が芽生えるこの時期、甘えは少し複雑に見えるかもしれません。しかし、「できるのに『やって』と言う」「赤ちゃん返り」といった行動も、じつは成長過程での自然な甘えのサインです。澤口氏は、「子どもの主張には、しっかりと耳を傾けることが大切」と指摘します。3-5歳の「甘え」への対応絵本の読み聞かせを通じた密着時間を大切にするまず受け止めてから「自分でできるよね」と促す「なぜ」「どうして」という理由を優しく聞くできたときは具体的にほめる 【6-9歳:自立と挑戦の時期】学童期に入ると、甘えは直接的な形では表現されにくくなります。「宿題を見て」「話を聞いて」など、「甘え」が間接的な形で現れることが多くなります。澤口氏は、「子どもが何かに熱中しているときは、本人の気が済むまでやらせてあげることが大切」と説明しています。この時期の甘えのサインを見逃さず受け止めることで、子どもは安心して学校生活や友人関係に向き合えるようになります。6-9歳の「甘え」への対応興味をもったことは極力挑戦させる本人が満足するまで見守る直接的な手助けより、励ましの言葉をおくる失敗しても「次はうまくいくよ」と支える 「甘えさせ」のポイントは、その時期の脳の発達に合わせること。特に重要なのは、子どもの気持ちに寄り添い、安心感を与えることです。これにより、子どもの脳は健やかに発達し、将来の学習意欲や社会性の土台が築かれていきます。***子どもたちにとって「たくさん甘えさせてもらった」という感覚は、自分に自信をもてるきっかけになります。それは、まわりの友達への優しさにもつながる大切な経験。それは、小学校に入ってからの学ぶ意欲や、友達づくりにもつながっていきます。子育ては、思い通りにいかないことばかりかもしれません。でも、基本はとてもシンプルです。「甘えたい」という子どものサインに、出来る範囲でこたえてあげること。ちょっとした時間でも、子どもに向き合って上げること。子どもたちの成長にあわせた「甘えさせ」は、きっと子ども達の未来につながります。※引用の太字は編集部が施した(参考)StudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもは「甘やかす」より「甘えさせる」!甘えさせてもらえない子は将来こうなるStudyHackerこどもまなび☆ラボ|子どもが甘えん坊すぎて困るなら、親はシンプルにコレをすればいい【てぃ先生インタビューpart2】nobico|【年齢別】脳科学的に正しい「甘えさせ方」
2025年01月16日「あたりまえのことをしているだけのつもりなのに、まわりから過保護だと言われた」「公園で遊ぶ子どもたちのケンカに、つい割って入ってしまう」宿題もつい手伝ってしまったり、子どものことを考えて友だち関係に口を出してしまったり。愛情表現のつもりだったのに、これって過保護な子育てなのだろうか?できるだけ過保護になりたくないけれど、まだまだ危なっかしくて手放せない。子どもの自主性を重視したいのに、どこまで見守ればいいのかわからない――。そこで本記事では、幼児期に見られがちな過保護のリスクや具体例、改善方法についてご紹介します。子どもをのびのび育てたい保護者の方は、ぜひ参考にしてみてください。「過保護」とは?その背景にあるもの近年、「ヘリコプターペアレント」という言葉を耳にする方も多いでしょう。「ヘリコプターペアレント」とは、子どもの周囲を常に旋回し、あらゆるサポートを過度に行なう親のこと。過保護もまた、子どもが自分の力で立ち向かう機会を奪ってしまう危険がある点で、同様の問題をはらんでいます。もちろん、子どもを守りたい・嫌な思いをさせたくないという気持ちは、親として自然な感情です。しかし、それが行き過ぎると子どもの自己肯定感やチャレンジ精神を損なうリスクが高まります。「愛情があるからこそ、頑張りすぎてしまう」というケースこそ、過保護になりやすい背景と言えるでしょう。*2過保護がもたらす幼児期のリスクリスク1:「自分の気持ちを伝えられない子」になる・気に入らないことがあると泣き叫ぶ・友だちに嫌なことをされても「やめて」と言えないこうした姿が見られる場合、親が先回りして子どもの行動や感情を代弁しすぎているかもしれません。小児科専門医の小枝達也氏は、「親が先回りばかりすると、子どもが『自己表現の方法』を知らないままになってしまう」と指摘しています。どんなに小さな場面でも、自分の気持ちを伝える経験を積まなければ、子どもは「言葉で伝える方法」を学べず、癇癪(かんしゃく)や無言の我慢でしか表現できない子になりかねないのです。*5リスク2:失敗経験がないため、自己肯定感が下がる「わが子を傷つけたくない」「苦労をさせるのはかわいそう」――こう考えるのは、ごく自然なことです。しっかり者の親御さんほど、子どもに起こりうる失敗やトラブルを先回りして排除しがち。しかし、わずかな失敗体験がないまま育った子は、いざ壁にぶつかったとき対応できず、自己肯定感が下がる場合もあるのです。公認心理師の佐藤めぐみ氏は「干渉し過ぎる親のもとで育った子は、のちのち社会に出てからもさまざまな問題を抱える傾向があります」と語ります。失敗や小さな困難こそが、子どもにとって大切な学びの機会である点を意識しておきたいですね。*2幼児期に気をつけたい「過保護」例と改善方法次に挙げるのは、幼児期にありがちな過保護の一例です。「これやっているかも……」と思ったら、ぜひ改善方法を参考にしてみてください。【過保護チェックリスト】子どもの身支度を毎回親が完璧に整えてしまう子ども同士のちょっとした衝突にも、すぐに口出しをする子どもが嫌がることを先回りして「代わりに」引き受けることが多いもし当てはまるなら、「過保護」になりやすい傾向があるかもしれません。以下で具体的な事例を見ながら、対処法をチェックしてみましょう。【例1】子どもの友だちを親が選んでしまう過保護例「もうあの子と遊ばないほうがいいよ」「この子は優しいから、この子と遊んだら?」改善方法友だちを選ぶのは子ども自身。親は一歩下がって見守る解説トラブルを避けたい気持ちはわかりますが、衝突もまた子どもの大切な学び。明治大学文学部教授の諸富祥彦氏は、「友だちを選ぶという行為は、絶対に子ども自身にさせるべき」と警鐘を鳴らします。多少のいざこざを経験することで、「自分で相手を見極める力」「相手の気持ちを考えながら行動する力」を育むのです。親はおおらかに構えながら、危険度の高いトラブルにだけ目を光らせる程度でOK。少しのケンカに心配しすぎず、子どもが自分で解決法を見つけられるよう見守ってみましょう。*1【例2】子どもの意見を聞かずに衣服や持ち物を決めてしまう過保護例「〇〇ちゃんは青が好きだから、このスカートにしようね!」改善方法「どうしたい?」と子どもに聞く。選択肢を2~3つ用意してサポートしても◎解説子どもが自分の好みや感性を言葉にするには、普段から「選ぶ」経験を積むことが大切です。佐藤氏は、「まずは子どもにどうしたいかを聞いてほしい」と述べています。たとえば、2~3着の服を出して「どれがいい?」と聞いたり、朝ごはんを選ばせたりするだけでも、子どもは「自分の考えをもって決める」トレーニングを積めます。こうした小さな習慣の積み重ねが、先々の自発性や決断力につながっていくのです。*2【例3】子どもの要求に100%応えすぎる過保護例忙しくても「ママ、だっこ~」と言われたら、そのつど手を止めて抱き上げる改善方法いまは手が離せない状況を伝え、代わりにできることを頼む解説小児科専門医の成田奈緒子氏は、「親は、いつでも100%子どもと向き合わなくていい」と強調します。たとえば料理中なら、「ごめんね、いまは手が離せないから、テーブルを拭いてくれる?」と提案すると、子どもは「お手伝い」という形で関わりをもてます。すると「やってみたら自分にもできた!」という達成感を味わい、「ありがとう」と感謝されることで自己肯定感も高まるのです。いつでも子どもの要求を優先させるのが愛情とは限りません。ほどよい距離感を保ち、子どもの「自分でできること」を増やす工夫を心がけましょう。*3「過保護」を防ぐために――安心して見守るための心のもち方子どもに失敗させたくないという強い思いから先回りしてしまうのは、決して珍しいことではありません。特に責任感が強い保護者の方は、「これで本当に大丈夫なのか」「子どもの将来はどうなるのか」と常に不安を抱えがちで、気づかないうちに過保護へ傾いてしまうことがあります。そんなときは、いったん自分の不安や悩みを整理する時間をつくり、「実際にどれくらい深刻な問題なのか」「子どもにはどのくらいの力があるのか」を客観的に見つめ直してみてください。たとえば、頭のなかを整理するために思いを書き留めたり、パートナーや信頼できる人に率直に話をしてみるだけでも、気持ちが軽くなる場合があります。こうして、「子どもの小さな失敗は成長につながる大切な学び」「乗り越えられる力は子ども自身が持っている」と思えるようになると、自然と先回りを控えて見守れる余裕が生まれます。親が安心して構える姿勢こそが、子どもにとっても大きな心の支えになるはずです。幼児期から学童期への移行もスムーズに!見守りを習慣にしよう幼児期は、子どもが「自分で考える」「自己表現をする」基礎を身につける大切な時期。ここで過保護になりすぎると、学童期や思春期に入ってからも自分で判断できない、何かあれば親を頼りにしてしまう子に育ちやすくなります。逆に言えば、幼児期から見守りの姿勢を大切にすることで、学童期の「自分づくり期」にもスムーズに入っていけるということ。子どもが自分の目標をもち、主体的に学ぶ力を伸ばすためにも、幼いころから「失敗や葛藤に向き合う体験」をさせておきましょう。将来を見据えるからこそ、今の過保護をちょっと変える勇気が必要なのです。*1幼児期は「見守り」の姿勢がカギ過保護は、子どもを大事に思う親心から生まれがち。ですが、小さな失敗や不自由を経験させることも、子どもの成長には欠かせません。親はいつでもサポートできる準備をしつつ、一歩引いて見守る――そのバランスが「ちょうどいい子育て」を生みます。「もしかして、ちょっと過保護ぎみかな?」と感じたら、まずは子どもの意見を聞いたり、手や口を出すタイミングを意識的に減らしてみましょう。親がどっしり構えるほど、子どもは安心して伸び伸びと成長していきます。ぜひ日々の育児のなかで、子どもの「自分でやってみたい」という気持ちを優先し、失敗する権利も尊重することを意識してください。それが結果的に、子どもを幸せに導く近道になるはずです。文/上川万葉(参考)*1STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「過干渉」育児が招く悲しい結果。“見守るだけでは物足りない”親が危険なワケ*2STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「過干渉、ヘリコプターペアレント予備軍」親の意外な特徴。もしかしてあなたも?*3たまひよ|親の過干渉が子どもをダメにする…!乳幼児期から控えていかないと大変なことに。小児脳科学者が警鐘*5ベビーカレンダー|お友達に「嫌!」と言えないわが子!自己表現が苦手な子どもへの対応とは
2025年01月15日「子ども向け英語教室」と聞いて、どんなイメージをもちますか?歌やダンスを交えながら、楽しく英単語を覚えていく……そんな光景を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かに、幼い子どもたちにとって、英語に親しむ入り口としては理想的かもしれません。しかし、本当にそれだけで十分なのでしょうか?今回、私はある衝撃的な体験をしました。「ベネッセの英語教室BE studio」の取材で聞いた話は、私たちが想像する「子ども英語」の概念を根本から覆すものだったのです。「子ども英語」のイメージを覆す本格的な学び講師・大和田絢先生への約1時間半のインタビューを通じて、私は驚きを隠せませんでした。なぜなら、そこで語られたのは、「歌って踊って楽しく学ぶ」という従来の子ども向け英語教室のイメージとはまったく異なる教育方針だったからです。ビースタジオでは子どもたちが真剣な表情で英語を学んでいますが、それは決して堅苦しい雰囲気ではありません。子どもたちの目は輝き、楽しそうに英語を操っています。ここに独自のアプローチがあるのです。ビースタジオの特徴は、単に「楽しく」学ぶだけでなく、「確実に」英語力を伸ばすことを目指している点にある――そう、大和田先生は話します。とはいえ、「確実に英語力を伸ばすなんてできるの?」と疑問に思った方もいるでしょう。なんと、「確実に英語力を伸ばす」ことは可能でした!そのために、ビースタジオは科学的な方法論を採用しているのです。大和田先生からこの方法論を聞いたとき、「歌って踊っている場合じゃない……!」と思いました。そして4年前にわが子を「楽しく学べる英会話教室」に無理やり入れたことを、猛烈に後悔しました。(子どもは1年後に退会。いまも英語は話せません)↑(写真左)小3から英語学習をスタートした大和田先生。英語について話すときは常に笑顔。「英語大好き!」があふれていました。(写真右)大学の卒業式にて。専攻は心理学! 英語で心理学を学んだとのこと。【講師プロフィール】大和田絢(おおわだ・あや)◆ 資格・経歴 ◆米国ケンタッキー州キャンベルズビル大学卒業 / 英検1級 / TOEIC L&R 945点英語っておもしろい! これって英語でなんて言うんだろう? 外国人の友だちと英語で話したい! という、楽しいから学びへとつながる英語を経験してきました。大学はアメリカの大学へ進学し、さまざまな国の方たちと出会い、多様な価値観に触れることができました。お子さまたちにも、英語を使ってたくさんの人と出会い、自分の可能性を広げていってほしいと思います。第二言語習得研究に基づいたカリキュラムここからは、大和田先生から聞いた、その科学的な方法について説明しましょう。ビースタジオの教材やカリキュラムは、第二言語習得研究に基づいてつくられています。第二言語習得研究とは、人間がどのように母語以外の言語(いわゆる外国語)を習得していくのか、そのプロセスやメカニズムを科学的に解明する学問分野です。この研究に基づくことで、子どもたちの言語習得プロセスに最適化された学習方法を提供しているのです。リスニングのスキルを高めるためのトレーニング方法、文法を学ぶためのアプローチや教材、語彙を増やすためのしくみ……そのすべてに根拠とこだわりがみてとれました。たとえばオーバーラッピング。これはネイティブスピーカーの発音に重ねて話す練習方法です。具体的には、英語の音声を聞きながら、同時に声を出して真似をするトレーニングです。音源と同時に話し始めて、音源とぴったり同じタイミングで発話を終えることになりますから、自然と英語独特のリズムや発音、イントネーションを身につけることができます。ビースタジオでは中学年コース頃から、このオーバーラッピングを毎日の宿題として出しています。子どもたちは完璧にできるまで家で練習し、教室に来た際にチェックを受けます。合格するまで何度も挑戦することで、英語学習の習慣化にも一役買っているそうです。↑外国人先生と英語でのやりとりを楽しみ、臆せずに話す姿勢を身につけながら、英語の4技能を学ぶプログラムも!無料体験レッスン参加者全員にプレゼントあり!&体験レッスン後、1週間以内の入会のご連絡で【入会金半額】、当日もしくは翌日までの入会のご連絡で【入会金0円】!!「脱・週一英語」という “本気” のコンセプト毎日の宿題――これは、ビースタジオの掲げる「脱・週一英語」というコンセプトにも深い関わりをもっています。多くの子ども向け英語教室のように「楽しく英語に親しむ」ということが目的であれば、教室に来たときにその場で楽しく英語に触れさえすればよいでしょう。しかし、本気で英語力を身につけようと思えば、週に一回英語に触れるだけでは全く足りないことは明白。ビースタジオは、宿題を通して毎日英語に触れる機会をつくります。これは、単に「学習量が足りないから増やそう」というだけのことではありません。科学的にも、少ない時間であっても「毎日英語に触れる」ことが英語力を高めるために重要だとされているから。英語の力は語彙や文法などの「言語知識」と、話したり聞いたりという「スキル」両方の習得によって伸びていくと、大和田先生は話します。知識はいわゆる「お勉強」によっても身につけられますが、スキルは「実践」によってのみ向上していくのです。英語に限らず、スキルというのは「実践」を何度も繰り返すことによって伸びるもの。「脱・週一英語」というコンセプトが英語のスキル獲得にとってとても大切なものであることも頷けます。私は自身の英語学習のなかで、初めてこのオーバーラッピングを知りました。ですから、この練習方法の絶大な効果を体感しています。こんなきちんとした英語学習に子どもの頃から触れられるなんて……と少しうらやましくもなりました。ビースタジオで学ぶ子どもたちが、楽しみながらも「確実に」英語力を伸ばしていける理由に、とても納得がいったのです。↑「脱・週一英語」&「成果の出る英語教室」なのは、ベネッセグループだからこそ!中学校に進学しても英語教室を続ける生徒が多数……!この教育メソッドの効果を感じさせる現象として、ビースタジオに通うお子さんの多くが、中学生や高校生になっても退会せずに英語学習を継続しているというのです……!これは決して当たり前のことではありません。「英語に親しむ」というコンセプトのスクールであれば、中学生になっても通い続けるということは考えにくいでしょう。しかし、ビースタジオの生徒たちは、綿密に練られた英語指導によって、確かな英語力を中学校入学時に身につけています。彼らにとっては、せっかく身につけた英語力を中学校のレベルに合わせてしまうことはもったいないと感じてしまうのは当然と言えるでしょう。自分の英語力が着実に伸びていることを実感し、それが更なる学習意欲につながっているのです。↑大和田先生は、米国の大学に在学中「英検1級」に合格!ビースタジオ各校でも英検合格者が続々と出ています。無料体験レッスン参加者全員にプレゼントあり!&体験レッスン後、1週間以内の入会のご連絡で【入会金半額】、当日もしくは翌日までの入会のご連絡で【入会金0円】!!BE studioの秘密:英語のプロフェッショナル集団この成功の裏には、英語教育のプロフェッショナルたちの存在がありました。ビースタジオでは、言語習得研究をフォローし、それを教育現場に反映させる努力が続けられているのです。また、使用される教材も多くがオリジナルで、この英語教育のプロフェッショナルたちの手によって開発されています。実際に、TOEIC945点、英検1級を保持する大和田先生が「日本一です」と言い切るほど、教材のクオリティが高い!その教材のクオリティは、こどもまなび☆ラボ運営元で全国に科学的知見を用いた超効率メソッドの英語学習サービスを提供している「ENGLISH COMPANY」代表も「こんなに作り込まれた子ども向けの教材は初めて見た」と唸るほど。↑英語教育のプロフェッショナルたちが開発している教材。文法指導には「Focus on Form」などの新しい手法も取り入れられています。わが子に「本気で英語を学ばせたい」親御さんへ今回のインタビューを通して、ビースタジオが一般的な「子どもむけ英語教室」とは異なるアプローチをとっているということがはっきりとわかりました。英語に親しむ、慣れる、好きになる。これは当然、英語を学ぶ子ども達にとって、とても重要なことです。それらは、ビースタジオも含め多くの子ども向けの英語教室でも重視されます。しかし、それを重視するばかりでは確かな英語力を身につけるには足りないこともまた事実。楽しく、でもきちんと英語が身に付くように――それを両立させることは決して簡単なことではありません。ビースタジオでは、そのバランスを第二言語習得研究を始めとした、高度な教育的な知見を用いることで達成しています。大和田先生からお話を伺って、そのことが強く印象に残りました。ビースタジオにあったのは、楽しさのなかにも本気で英語力を伸ばそうとする熱意、そして、そのための徹底的な研究と実践だったのです。お子さまに本気で英語を身につけさせたいと考えているのであれば、このようなアプローチは非常に興味深い選択肢となるでしょう。単に「英語に触れる」だけでなく、確実に「英語を使いこなせる」ようになる。それが、ビースタジオがめざす価値なのです。子どもたちの可能性を、科学的アプローチと情熱的な指導で最大限に引き出す。ビースタジオの挑戦は、まさに未来の「英語教育」のあり方を示しているのかもしれません。***「子ども向け」だからといって、楽しいだけで終わらせない。ビースタジオには、子どもたちが英語を使いこなして活躍する未来をしっかりと見据えた、本格派の英語教育の姿が確かにありました。無料体験レッスン参加者全員にプレゼントあり!&体験レッスン後、1週間以内の入会のご連絡で【入会金半額】、当日もしくは翌日までの入会のご連絡で【入会金0円】!! (参考)STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|第二言語習得研究に基づく「臨界期仮説」のウソ・ホント
2025年01月14日「小学校英語の授業って、実際どんなことをするの?」2020年度から本格的に始まった小学校英語。特に入学を控えた新1年生の保護者からは「ALTの先生との授業はどんな感じ?」「授業内容についていけるか心配」といった悩みの声がよく寄せられます。近年では、英語教育に力を入れている学校では1年生から授業を実施するケースも増えています。英語が苦手だった親世代にとって、子どもの英語学習に戸惑いを感じるのは自然なことかもしれません。しかしじつは、現在の小学校の英語教育カリキュラムは、初めての子どもでも無理なく取り組めるように工夫されています。3・4年生の「外国語活動」から始まり、5・6年生で教科としての「外国語科」へと段階的に進んでいく授業内容は、子どもの発達に合わせて丁寧に組み立てられているのです。本記事では、小学校教員として12年以上の経験を持ち、英語科専科教師としても現場で指導してきた筆者が、最新の小学校英語事情を徹底解説。授業の実態から育みたい力、具体的な学習内容まで、これからの小学校英語教育で保護者が知っておきたい情報を完全網羅します。小学校英語に対する不安を少しでも解消するヒントとなれば幸いです。なぜ小学生から英語?3つの大切な理由小学校英語教育が導入された背景には、主に3つの重要な理由があります。*11. グローバル化する社会で必要な力を身につけるため社会のグローバル化が進むなか、英語でのコミュニケーション能力の重要性が増しています。仕事や旅行だけでなく、さまざまな場面で英語を使用する機会が増えており、将来に向けた準備として、小学生の段階から英語を学ぶことが求められています。2. 子どもの柔軟な適応力を活かすため小学生の時期は、新しい言葉や文化を自然に受け入れられる柔軟性が高い時期です。この特性を活かして、英語を楽しみながら学ぶことで、より効果的な学習が期待できます。また、早い段階で英語に触れることで、異文化への理解も自然に深まっていきます。3. 音声面での習得に適した時期だから小学生の年齢は、英語の発音やリズムを自然に身につけやすい時期とされています。耳が敏感なこの時期に英語に触れることで、正確な発音やイントネーションを習得しやすいという利点があります。文部科学省が考える「小学校英語のゴール」とは?2020年度から小学校英語は、3・4年生では「外国語活動」として週に1回程度(年間約35時間)、5・6年生では「外国語科」という正式な教科として週に2回程度(年間約70時間)、必修科目として行なわれています。3・4年生では友だちと英語で話すことを楽しみながら、コミュニケーションの土台をつくります。5・6年生では、これに基礎的な英語力も加わり、中学校での本格的な英語学習につなげていきます。授業で育む「4つの力」小学校の英語教育では、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つの力を、段階的に育んでいきます。以下に、学年ごとの目標をご紹介します。*1【聞く力】音声や基本的な表現に慣れ親しむ中学年:ゆっくり話された簡単な単語や表現を聞き取る。高学年:日常生活に関する具体的な情報や短い話を理解する。【話す力】やり取りと発表中学年:基本的な挨拶、実物を見せながらの簡単な発表をする。高学年:自分の考えや気持ちを整理して伝える、その場でやり取りをする。指示や依頼。実践的なコミュニケーション場面での対応をする。【読む力】アルファベットや簡単な語句に親しむ中学年:文字の音を聞いて認識する程度。高学年:活字体の文字を識別して読む。音声で慣れ親しんだ表現の意味を理解する。【書く力】なぞり書きから始める中学年:文字は補助的な扱い。なぞり書きから始める。高学年:大文字・小文字を書く。語順を意識しながら書き写す。例文を参考に簡単な表現を書く。重視されるポイント小学校英語で最も重視しているのは、英語の知識や技能だけではありません。「英語を使ってコミュニケーションをとろうとする気持ち」や「異なる文化への興味・関心」を育てることを特に大切にしています。なかでも重視されているのが、「間違いを恐れずに英語を使ってみよう」という態度です。完璧な英語を目指すのではなく、相手に自分の思いを伝えようとする気持ちを育んでいきます。実際の英語授業ではこんなことをしています3・4年生:英語の音と会話を楽しく学ぶ時期3・4年生の外国語活動では、英語の音やリズムに親しみながら、簡単な挨拶や自己紹介などの基本的な会話を学びます。英語の歌やゲーム、友だちとの会話を通じて、楽しみながらコミュニケーションの基礎を身につけていきます。この時期は特に「聞く」「話す」活動を中心に、間違いを恐れずに英語を使う態度を育てることを重視しています。3年生の学習内容場面・目的学ぶ表現例あいさつHello. Hi. I’m (Hinata). Good bye. See you. など気分How are you? I’m (happy). など数How many (apples/balls/circles)? (Three) apples. Yes./No.That’s right. Sorry. など好きなものI like (blue/soccer/onions). Do you like (blue)?Yes, I do./No, I don’t. I don’t like (blue). など何が好き?What do you like? What (sport/food/fruit) do you like? など大文字アルファベットA to Z, The “A” card, please. Here you are.You’re welcome. などカードWhat do you want? (A pink star), please. This is for you.Thank you. You’re welcome. などこれなあに?What’s this? Hint, please. It’s a (fruit/green/big).That’s right. など絵本Are you a (dog)? Yes, I am./No, I’m not. Who are you?I’m (a dog). Who am I? など4年生の学習内容場面・目的学ぶ表現例世界のあいさつHello. Good morning/afternoon. Finland(Terve), China(你好).Good morning. など天気How’s the weather? It’s (sunny). Let’s (play cards).Yes, let’s. など曜日What day is it? It’s (Monday).I play (soccer) on (Sundays). など時間What time is it? It’s (6) o’clock. It’s (8:30).How about you? など文房具・もちものDo you have a pen? I have (three) (pencils).This is for you. など小文字アルファベットa to z, How many letters? Do you have (a ‘b’)?That’s right. などほしいものWhat do you want? I want (potatoes). How many?(Two), please. などお気に入りの場所Go straight. Turn right/left. This is my favorite place.I like (music). など一日の生活I wake up (at 6:00). I eat breakfast (at 7:00).I go to school. など 5・6年生:少しずつ読み書きも始まる時期5・6年生では、アルファベットの読み書きや600-700語程度の語彙を学びながら、身近な話題について英語で伝え合う力を育てます。自己紹介や日常会話、時刻や値段の読み取りなど、実践的な場面を想定した活動が増えていきます。「聞く」「話す」に加えて「読む」「書く」も少しずつ始まり、学校生活や地域に関することなど、より幅広い話題について自分の考えや気持ちを英語で表現できることを目指します。5年生の学習内容場面・目的学ぶ表現例自己紹介・好きなものMy name is (Hayashi Natsuki). Please call me (Natsu).I like (baseball). What (sport) do you like? など誕生日・欲しいものMy birthday is (January 1st).What do you want for your birthday? I want (shoes). など教科・時間割What do you have on (Mondays)? I have (Japanese).I want to be (a teacher). などできること・人物紹介[I/You/He/She] can/can’t (play soccer).Can you (run)(fast)? This is (Aya). など道案内・位置Where is (the station)? Go straight. Turn (right).It’s (in) (the park). などレストラン・注文What would you like? I’d like (pizza). How much is it?It’s (600) yen. など町紹介We have/don’t have (a restaurant).We can enjoy (watching games). I love my town. など憧れの人Who is your hero? My hero is (Otani Shohei).He/She is good at (playing baseball). など6年生の学習内容場面・目的学ぶ表現例自己紹介・宝物I’m (Chiba Haruhi). Where are you from?I live in (Tokyo). My treasure is (this bag). など日本文化紹介Welcome to my town. We have (hanami) in (Japan).What do you like about Japan? など日常生活・頻度What time do you (usually) (get up)?I (always) eat (apples) for (breakfast). など思い出・過去形What did you do (last weekend)?I went to (the beach). It was (fun). など行きたい国・場所Where do you want to go?I want to go to (Italy). You can see (the leaning tower). など世界とのつながり(New Zealand) is in Oceania.Where is it from? Can you guess? など動物・環境問題What do (pandas) eat? Let’s save the (sea turtles).We can (use eco-friendly bags). など将来の夢What do you want to be? I want to be (a vet).I want to study (English) hard. など 授業ではこんな工夫がいっぱい!実際に使える!コミュニケーション重視の学習スタイル小学校の英語授業では、単なる暗記や機械的な練習ではなく、実際のコミュニケーションの場面を想定した活動を重視しています。特に中学年では、音声を中心とした活動を行ない、高学年で徐々に文字を導入しながら、相手を意識して伝え合う活動を重視。ジェスチャーなども活用しながら、ペアワークやグループワークを通じて、実践的なコミュニケーション能力を育てていきます。ALTの先生と過ごす、生きた英語の時間小学校の外国語教育では、子どもたちをよく理解している学級担任または英語科専科教師が中心となって授業を進めることが基本となっています。そのうえで、子どもたちが生きた英語に触れる機会を確保するため、ALTなどのネイティブスピーカーや地域の英語人材との連携を図っています。学級担任や英語科専科教師は英語を第二言語として話すロールモデルとして、ALTなどのネイティブスピーカーは発音や表現技法の見本として、それぞれ役割を果たします。また、実際のコミュニケーション活動をデモンストレーションすることで、よりわかりやすく示すことが可能です。なお、ALTが来校する頻度は自治体により大きく差がある状況となっています。デジタル教材で、楽しく分かりやすく現在、小学校で使用されている6社の教科書には、すべて指導用・学習用デジタル教科書が付属しています。教師はこれらのデジタル教材を活用して授業を進めており、音声や映像を通じて英語圏の文化や英語の発音や表現を学びます。実際のコミュニケーション場面のモデル提示や、ネイティブスピーカーの音声教材としても活用し、より実践的な学習環境をつくっています。また、子ども自身もタブレットを操作しながら、発音の確認やクイズ形式の問題に取りんだり、また自身の発表のツールとして使ったりすることができます。子どもの成長を支える3つのポイントここまで見てきたように、小学校英語では「コミュニケーションをとろうとする気持ち」「異なる文化への興味・関心」、そして何より「間違いを恐れずチャレンジする態度」を大切にしています。では、保護者としてどのようにお子さんの学びを支えていけばよいのでしょうか。現場の教師たちの実践から見えてきた、効果的な3つのサポートポイントをご紹介します。1. 「伝えたい!」という気持ちを大切にもし子どもが「うまく言えないかも……」と躊躇していたら、「完璧な英語」は必要ないことを伝えてあげてください。大切なのは「伝えようとする気持ち」です。間違いを恐れずチャレンジする姿勢を、温かく見守ってあげましょう。2. 世界への好奇心を育む英語の学習を通じて、お子さんが「外国ってこんなふうなんだ!」「日本と同じところもあるんだね」など、新しい発見をする場面があるはずです。そんな気づきや感動に共感し、世界への興味を一緒に広げていってください。3. 「楽しい!」という体験を大切に小学生のうちに言葉を学ぶ楽しさを体験することで、中学校以降の本格的な学習への意欲が育ちます。これは英語だけでなく、新しいことを学ぶ際の大切な土台となります。子どもが感じる「楽しい!」という気持ちを、ぜひ一緒に喜んであげてください。***小学校英語は、子どもたちの発達段階に応じて丁寧に設計されています。歌やゲーム、友だちとの会話を通じて、自然に英語に親しみ、コミュニケーション力を育んでいきます。この時期の英語との出会いは、子どもの視野を広げ、新しい世界への扉を開くすばらしい機会となるはずです。英語を通じた学びが、グローバルな視野を育む楽しい経験となるよう、温かく見守っていきましょう。(参考)文部科学省|小学校学習指導要領外国語活動・外国語編【ライタープロフィール】未来先生(みらい・せんせい)教育学科で学び、小学校免許や中学校英語免許を取得。小学校にて担任や英語専科教員として約12年間勤務、子どもたちの学びを支えてきました。現在は、2人の男の子の育児に奮闘しながら、これまでの知識と経験を生かして、子どもの成長と学びに役立つ情報をお届けしています。
2025年01月12日自分のことは自分で決める――。いわゆる主体的に物事を決めることができる力を「自己決定力」と言います。「そんなこと、できて当たり前でしょ?」と思うかもしれませんが、親や友人の意見に流されてしまい、大事な決断を他人に委ねてしまう人は意外と多いのです。しかし、自己決定力の重要性があまり浸透していないことは、想像以上に深刻な問題だとして、多くの専門家が警鐘を鳴らしています。そこで今回は、「自己決定力を子どものうちから育むことの大切さ」と「子どもの自己決定力が育つ方法」について、詳しく解説していきます。人生の幸福度にも関係する「自己決定力」が身につけば、お子さんの将来はさらに希望に満ちたものになるでしょう。自己決定力とは何か、なぜ重要なのか「これからの時代を生きていく子どもたちにとって大切な力のひとつが『自己決定力』」と断言するのは、玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友氏です。その理由は、自分の考えを自分で決められないと、自分自身のことを大事に思えなくなるから。それは同時に、他者のことも大事に思えなくなることにつながります。*1たとえば社会問題について考えるとき、自分ごととしてとらえたうえで、「自分はこう思う。だからこうしたい」と、自分の意思や決断をしっかり述べられる人は、一方で「自分はこういう意見だけど、別の考えをもつ人もいる。違う考えのなかにもいいところがある」と、他者を認めて受容できます。【ポイント】自己決定力の重要性自己決定力がなければ、自分や他者を大事に思えなくなる。社会問題に対する主体的な意見と他者を認める態度が育まれる。自己決定力が幸福度に与える影響明治大学文学部教授の諸富祥彦氏は「自己決定力が欠けていると『いい子症候群』になる」と指摘しています。「いい子症候群」とは、「親の顔色をうかがい、親の期待に過剰に応えようとする子」のこと。これは、親との関係性によりいい子症候群になり、結果的に自主性が失われて、自己決定力が欠如するという意味にもとらえることができるでしょう。*2神戸大学社会システムイノベーションセンターが「生活環境と幸福感に関するインターネット調査」(2018年)を実施したところ、「健康、人間関係に次ぐ要因として、所得、学歴よりも『自己決定』が強い影響を与える」ことがわかりました。具体的な調査内容として、「自己決定度」を評価するにあたり、進学する高校や大学、就職する企業を “自分の意思で” 決めたか否かを尋ねたのだそう。それにより、「自己決定によって進路を決定した者は、自らの判断で努力することで目的を達成する可能性が高くなる」ことと、「成果に対しても責任と誇りを持ちやすくなることから、達成感が自尊心により幸福感が高まることにつながる」という結論を導き出しました。*3【ポイント】自己決定力と幸福度幸福度に影響を与える要因は、所得や学歴よりも自己決定力。自己決定力があると、自尊心や達成感が向上する。「いい子症候群」の防止にも繋がる。「自己決定力」が育つ、3つの時期子どもの成長は段階ごとに特徴があり、年齢に応じた心の発達の変化や、その時期だからこそぐんと伸びる要素などが見られます。そういった特徴を理解すると、子どもの自己決定力が育つタイミングも見えてくるでしょう。ここでは、2歳〜12歳までを大きく3つの時期に分類し、ピアジェの認知発達理論に基づいて解説していきます。【2〜7歳】前操作期子どもの好奇心と探索意欲が急激に発達する時期。新しい対象や経験に対する強い興味が湧くと同時に、自発的な探索行動をするようになるという特徴が見られます。つまり、「自分の好きなものを見つける時期」とも言えるでしょう。自己決定力のベースにあるのは「好き・嫌い」です。自分の「好き」なものに対しては、知識や経験が自ずと蓄積されていくものです。好きなものだからこそ、どうしたいか、何をすべきかの判断が容易になるので、自己決定力が鍛えられます。【7〜11歳】具体的操作期論理的思考が発達する時期。自分の選択の結果を徐々に理解し、複雑な意思決定ができるようになります。また、選択肢の比較や結果の予測も可能になるので、「自分で選択する楽しさを覚える時期」とも言えるでしょう。子どものうちから自分で選択する経験を積むことは、いずれ大きな決断を下すときに必ず役に立ちます。まずは身の回りの小さな事例に対して、「選択する→結果を出す」といった経験を重ねていきましょう。【11歳〜】形式的操作期抽象的思考能力が発達し始める時期。行動の結果をより論理的に予測できるようになります。また、因果関係の理解が深まり、自分の決定がもたらす長期的な影響を考えられるように。つまり、「責任をもって決めることができる時期」なのです。これまでとは違い、選択した結果どうなるのか予測し、自己決定によるプレッシャーを感じるようになります。こうしたことから、選択を躊躇したり、決断を見送ったりと、自らの言動による責任について深く考え始めるのです。まさに、大人のような思慮深さが育つ時期だと言えるでしょう。子どもの「自己決定力」が育つ親の関わり方子どもの自己決定力を育むには、家庭でどのうような工夫をすればよいのでしょうか?ここでは、いますぐ実践できる方法を提案しているので、ぜひ試してみてくださいね。■子どもの興味関心の対象を見つけよう!先述したように、小さな子どもでも、自分の好きなもの・ことなら自分で決めたがるものです。岡部氏によると、「子どもがどんなことに集中したり夢中になって取り組んでいるのかをよく観察する」ことが大事なのだそう。そして、子どもの興味関心がわかってきたら、「その分野から子どもの主体性を発揮できる環境を整えてあげることが、親の大切な役割」だと述べています。*4たとえば、星に興味がありそうだったらプラネタリウムや天体観測に連れて行ったり、星座にまつわる神話や伝説について一緒に調べたりするのもよいですね。もしそこで、あまり興味を示さず反応が薄くても、親が前のめりになるのはNGです。感情を表に出すのが苦手な子や、心のなかでじっくり好きなものを味わいたい子など、子どもの個性はそれぞれ違います。まずは子どもの様子をじっくり観察し、「最近これが好きそう」と感じたら、それにまつわるものや情報、場所など環境を提供してあげるだけでよいのです。ポイント:子どもの興味を観察し、それに関連する環境を整えましょう。■子どもの「どうして?」を一緒に考えよう!自己決定力は「自分で考える力」の延長線上にあり、どちらも同じくらい、これからの時代に求められる力です。「自分で決めようと思えば、自然と考えることになる。そのときに親が『どうして?』と声をかけることで、より深く考えさせることができる」とアドバイスするのは、筑波大学付属小学校元副校長の田中博史氏。子どもが親に「どうして?」と問いかけることはよくありますが、真剣に答えを求めているわけではないことがほとんどです。ですから、「親はただ、子どもに『どうして?』と聞かれたら、『そうだね、どうしてだろうね』とまずは受け止めて、『そんなこと、考えたこともなかったよ!』と切り返してあげるだけでよい」のです。*5質問のレベルが上がっても、決して逃げずに一緒に考えてあげましょう。そうすることで、考える力が鍛えられ、結果的に自己決定力を育むことにもつながりますよ。ポイント:子どもの問いを受け止め、一緒に考える時間をつくりましょう。■子どもの決断を待つために心に余裕をもとう!前出の諸富氏は、「外食の場面で、親の希望など関係なく子ども自身に自分が食べたいものを真っ先に選ばせる」ことを提案しています。親はつい、先回りして子どものメニューを決めてしまいがちですが、それが続くと、自分が食べたいものがわからない子になってしまいます。子どもが自分で決められるまで、親は辛抱強く待つことを心がけましょう。そうは言っても、子どもの気持ちをじっくり聞いたり、子どもの決定を見守ったりできないときもありますよね。その原因をたどっていくと、親自身の余裕のなさへとつながるのではないでしょうか。余裕がないなら、まずは1日のスケジュールを見直しませんか?仕事や家事で忙しくしていたら、心も体も余裕がなくなります。最も大事なのは、親自身が心と体を満たして整えておくこと。それを意識して実践できれば、ゆったりとした気持ちで子どもの選択と決断を見守ることができるでしょう。*6ポイント:心の余裕をもち、子どもの決断を見守る姿勢を大切にしましょう。***日常の小さなことでも子ども自身に選択させるようにすれば、自己決定力強化につながります。朝、着る服を選ぶときなど、親がつい口出してしまいがちな場面でも、心に余裕をもって子ども自身の判断に委ねてみませんか?文/野口燈(参考)(*1)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|親が先回りしたら「自己決定力」は育たない。幼くても決断力を伸ばせる声かけのコツ(*2)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|“手がかからない子”ほど要注意!「いい子症候群」が怖い理由と、その防止法(*3)参考・カギカッコ内引用元:国立大学法人 神戸大学(Kobe University)|所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる2万人を調査(*4)参考・カギカッコ内引用元:ベネッセ教育情報|子どもの主体性を引き出す3つのポイントとは【専門家解説&体験談】(*5)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|“考える力”を伸ばす、子どもの「どうして?」と親の「どうして?」(*6)参考:コクリコ|子どもの幸せ度は「自己決定」で決まる親に必要な余裕と大切な言葉がけとは?STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|ピアジェの心理学を知れば、子どもの発達がよくわかる!?有名な「4つの発達段階」をまとめてみた広島修道大学学術リポジトリ|ピアジェとヴィゴツキーの理論における認知発達の概念:言語習得研究への示唆
2025年01月09日「叱らないと、しつけにならない」いま子育て中の私の世代のみなさんのなかには、そうやって厳しく育てられてきた人も多いのではないでしょうか。でもいま、親として子どもと向き合うなかで、「この方法でいいのだろうか」「私のやり方は間違っていないかな」と不安になることもありますよね。そんな思いを誰かに話したくても、なかなか難しいのが現状です。核家族化が進み、親世代に相談することも簡単ではありません。また少子化の影響で、近所で子育てを学び合える機会も減ってきました。厚生労働省の調査でも、こうした状況のなかで多くの親が孤立感や不安を抱えていると指摘されています。1980年代、アメリカの研究者たちは「マルトリートメント(Child maltreatment、マルトリ)」という概念を提唱し、私たちが「しつけ」だと思っている行動のなかに、じつは子どもの成長に深刻な影響を及ぼすものが潜んでいる可能性を指摘しました。日本語では「不適切な養育」と訳され、徐々に知られるようになってきました。以来、研究が重ねられ、「マルトリートメント」が子どもの脳に与える悪影響が次々と明らかになってきています。この記事では、その研究から見えてきた新たな発見と、より自然な親子関係を築くためのヒントをご紹介します。マルトリ=不適切な養育知っておきたい子育ての落とし穴虐待などによる痛ましいニュースを目にするたび、多くの親が心を痛めているはずです。しかし、「自分は虐待とは無縁」と思っていても、何気ない日頃の関わり方が子どもの健全な発達を妨げているかもしれません。厚生労働省の「子ども虐待の援助に関する基本事項」では、マルトリートメントは身体的、性的、心理的虐待およびネグレクトを含む概念として位置づけられています。重要なのは、必ずしも虐待のような極端な行為だけを指すわけではないという点です。まずは下のチェック項目で、当てはまるものがないか見てみましょう【親のマルトリチェックリスト20】【言葉に関すること】□ 「お兄ちゃんはできるのに」などきょうだいや他の子と比較する□ 「どうせあなたは…」など否定的な言葉を繰り返す□ イライラして大声で怒鳴ってしまう□ 子どもの意見を最後まで聞かない□ 子どもの外見や体型について否定的なコメントをする【体に関すること】□ 「これくらいなら」と頭や尻を叩く□ 「言葉で言ってもわからないから」と体罰をする□ 「残すな」と言って、泣いても無理やり食べさせる□ 熱があっても「大丈夫でしょ」と通園・通学させる□ お風呂や着替えなど、清潔な環境を保てない【生活に関すること】□ 朝から晩まで仕事で、「おはよう」「おやすみ」も言えない□ 「ちょっとだけ」と言って、子どもを家に置いて出かける□ 「面倒だから」とインスタント食品ばかり食べさせる□ 子どものスケジュールや生活リズムを無視し、深夜まで起きさせる□ 子どもの私物や大切にしているものを勝手に捨てる【性に関すること】□ 嫌がっているのに、一緒にお風呂に入ることを強要する□ 子どもの体を必要以上に触ったり、からかったりする□ アダルトな内容の動画や雑誌を子どもの目につくところに置く□ プライバシーを尊重せず、子どもの部屋や手紙、日記を勝手に見る□ 「女の子だから家事手伝いしなさい」など、性別で制限するこれらの行動は、些細な出来事に思える方もいるかもしれません。しかし、知らず知らずのうちに子どもの心に刻まれていく小さな傷が、取り返しのつかない影響を及ぼすこともあるかもしれません。マルトリによる子どもの脳への影響前章のチェックリストに示したような親の不適切な発言や行動は、子どもの脳を傷つける危険性があることが、最新の研究でわかっています。福井大学子どものこころの発達研究センター発達支援研究部門の友田明美氏はこう指摘します。「マルトリ」が、発達段階にある子どもの脳に大きなストレスを与え、実際に変形させている。(中略)子どもの脳は、日々、子どもに何気なくかけている言葉、取っている行動が過度なストレスとなり、知らず知らずのうちに、子どもの心(脳)を傷つけてしまうことがある。(引用元:J-STAGE|マルトリートメント(マルトリ)が脳に与える影響と回復へのアプローチ)友田氏の研究によると、日常的な「不適切な養育」を受けた人の脳には、明確な変形が確認されているといいます。たとえば、叩くなどの体罰を受け続けると、考えることや感情をコントロールする前頭前野が萎縮してしまう可能性があります。また言葉の暴力は、音声を処理する聴覚野の形を変えてしまうことも。さらに、怒鳴られるなどの恐怖や不安といった強いストレスは、感情の記憶を担う扁桃体を変形させることが報告されています。さらに友田氏は「子どもの学習意欲の低下を招いたり、引きこもりになったり、大人になってからも精神疾患を引き起こしたりする可能性がある。」と指摘しています。私たち大人が「しつけのため」と思って行っている行為が、子どもの脳に大きな負担をかけ、子どもの将来にまで影響を及ぼしてしまうのです。気づきにくい変化、子どもの心のなかで起きていることこうした日々の不適切な大人の態度は、一見してわかるような大きな変化ではなく、静かに子どもの心を蝕んでいきます。そのため、周りの大人たちにはなかなか気づきにくいものです。マルトリの子どもへの主な影響を以下にまとめました。自尊心の低下「自分はダメな子なんだ」という思いが心の奥底に根付いていくと、新しいことに挑戦する勇気が削がれ、自分を信じる力が弱まっていきます。それは、子どもの可能性の芽を、知らず知らずのうちに摘んでしまうことにもなりかねません。不安とストレス子どもは常に大人の機嫌を伺うようになります。「また叱られるかもしれない」という不安が、本来もっている好奇心や冒険心を抑え込んでしまうのです。子どもらしい自由な発想や行動が減っていくことは、成長の機会を失うことにもつながります。感情表現の困難「言ったら怒られる」「言わない方が安全」と学習した子どもは、次第に自分の感情を抑え込むようになります。喜びも、悲しみも、怒りも、すべての感情を適切に表現し、受け止められる経験は、健全な心の発達に欠かせないものです。子どもの健やかな成長を支えるために、私たち大人には日々の小さな気づきが大切です。元気のなさや突然の反抗的な態度は、子どもからのメッセージかもしれません。子どもの様子に変化を感じたとき、それは普段の関わり方を見つめ直すきっかけとなります。子どもの心の声に耳を傾け、その思いを理解しようとする姿勢を大切にすることで、よりよい親子関係を築いていくことができるのです。マルトリを防ぐために、わたしたちができること子育てのなかで感じる不安やストレスは、誰もが経験するものです。完璧な親などいません。むしろ、子どもと一緒に成長していく過程こそが子育ての本質なのかもしれません。そこで、よりよい親子関係を築くためのポイントをご紹介します。1. 日頃から子どもへの言動を意識する日々の何気ない言葉が、子どもの心を育みます。「そうだね」「〜だったんだね」と子どもの言葉を受け止めたり、「お片付けができたね」と具体的な行動を認めたりすることで、子どもは自分の存在を肯定的に感じることができます。否定的な言葉や一方的な指示は控えめにし、子どもの思いに耳を傾ける時間を大切にしましょう。2. 感情的になったら、クールダウンイライラや怒りを感じたとき、まずは一呼吸置きましょう。子どもに危険がなければ、その場から少し離れて深呼吸をする、窓の外を眺める、お水を飲むなど、自分なりのリセット方法を見つけることが大切です。気持ちが落ち着いてから向き合うことで、より穏やかな対応ができるようになります。3. 子育ての輪を広げる子どもの成長には、様々な発達段階があります。自己主張が強くなる時期も、甘えが強くなる時期も、反抗的になる時期も、すべては成長の過程です。それぞれの段階で、子どもは新しい力を身につけ、感情をコントロールする方法を学んでいきます。ひとりで抱え込まず、保育園や幼稚園の先生、地域の子育て支援センター、同じ年頃の子をもつ親同士など、周りの支えを借りることも大切です。時には一時保育を利用して自分時間をつくり、心にゆとりをもつことで、より豊かな親子関係を築くことができます。***温かな眼差しと、安心できる環境こそが、子どもの健やかな成長を支える土台となります。できることを少しずつ始めていきましょう。完璧な親など存在しません。でも、よりよい親子関係を築こうとする姿勢そのものが、子どもの成長を支える大切な要素となるのです。一日一日の小さな変化が、きっと明日への大きな一歩となります。穏やかで温かな子育ての道を、一緒に歩んでいきましょう。(参考)厚生労働省|子育て世代にかかる家庭への支援に関する調査研究 報告書J-STAGE|マルトリートメント(マルトリ)が脳に与える影響と回復へのアプローチたまひよ|子どもの成長を妨げる「マルトリートメント(不適切な養育)」とは?
2025年01月06日「えっ、小学校で英語の授業があるの? しかもタブレットで宿題を提出するってどういうこと……?」自分が子どものころにはなかった学びが、いまの小学生のスタンダードになりつつあります。とくに英語やプログラミングの必修化、そしてタブレット端末の活用に戸惑う保護者は少なくありません。でも、焦りすぎる必要はありません。なぜこんなに学びが変わってきたのか、その背景を知り、家庭では必要最低限の基礎をしっかり押さえながら、子どものつまずきや興味を上手にサポートすれば大丈夫。この記事では、「親世代にはなかった小学生の学び」をまとめ、その“理由”と“家庭での関わり方”を具体的にお伝えします。1. 親の頃とはこんなに違う? 小学生の教育に進む「新しい学び」1-1. 英語は低学年から。“コミュニケーション重視”の英語教育親世代が小学生だったころ、英語の授業があったという方はほぼいないでしょう。いまでは小学3・4年生から「英語活動」が始まり、5・6年生では正式に「教科」として成績に反映されます。単語の暗記や文法指導ではなく、「英語でのやりとり」が重視されているのが大きな特徴です。親世代との違い・親世代:中学校で英語を初めて学ぶ。筆記と文法中心。・いまの子ども:小学校中学年から英語に触れ、コミュニケーションや異文化理解を重視1-2. プログラミング教育で論理的思考力を養う小学生の“プログラミング必修化”と聞くと驚くかもしれませんが、プログラムを使って図形を描いたり、アプリ上でキャラクターの動きを組み立てたりする学びが、全国的に広がっています。答えがひとつではない問題を試行錯誤する過程で、論理的思考力を身につけるのが狙いです。親世代との違い・親世代:プログラミングは自力で学んだり、専門学校や大学で学ぶイメージ。小学校では無縁。・いまの子ども:算数や理科など他教科と関連づけながら、試行錯誤する機会が日常的にある1-3. タブレットやAIドリルを使う「GIGAスクール構想」全国の公立小学校で、一人一台のタブレット端末が導入されつつあります。紙の教科書やノートだけでなく、AIドリルやオンラインでの共同作業など、新しい学習スタイルが当たり前に。宿題をタブレット経由で提出するケースも出てきており、親世代からすると想像しにくい学び方が広がっています。親世代との違い・親世代:紙中心のドリル学習。ネットは学校で使うイメージがあまりなかった。・いまの子ども:タブレットを日常的に使い、個別最適化された学習やオンライン合作などを経験2. なぜこんなふうに変わったの? 背景にある世界的潮流(OECD指針)「英語・プログラミング・タブレット…なぜこんなにも学びの形が変わっているの?」と思う方も多いかもしれません。その背景には、OECD(経済協力開発機構)が提唱する「Learning Compass 2030」など、世界的な教育の流れがあります。OECDは、複雑で先行きが予測しづらい時代を生きる子どもたちに必要な力として、知識やスキルだけでなく「新たな価値を創造する力」「責任ある行動をとる力」「対立やジレンマに対処する力」などを強調しています。こうした潮流を踏まえ、日本でも「デジタルスキルを育てる」「英語でコミュニケーションする場を増やす」「AIドリルで個別最適化を図る」などの教育改革が進んでいるのです。ポイント・AIや多様な文化と共存する社会で、生きる力を育む必要性が高まっている。・英語やプログラミングは、そうした時代の要求を踏まえた“入口”として重視されている。3. 変わらない部分も大切! “昔ながらの基礎”が土台になる一方で、親世代が受けてきた学びすべてが時代遅れというわけではありません。読解力や計算力、漢字の書き取りといった「基礎部分」は今も変わらず重要な土台です。基礎学習が欠けると、応用が理解しにくいプログラミングで正しい命令を組み立てたり、英語で書かれた文章を読むときも、国語的・数学的な読解力や論理的思考力が必要。焦らず、足元の理解を確認する安心感新しい学びに目を奪われがちですが、子どもの学力を支える読み書き・計算を積み重ねるのは大切なベースです。4. どうサポートすればいい? 新学習と家庭でのポイント4-1. 英語への向き合い方“楽しさ”がスタートライン英語=文法暗記ではなく、歌やアニメなどで「英語って面白い」という感覚を育てると意欲が上がりやすい。日常に少しだけ英語を混ぜる「Good morning!」「Let’s go!」など、短いフレーズを日常会話に織り交ぜると耳が慣れてくる。4-2. プログラミングとの付き合い方“エラーは当たり前”と伝える思い通りに動かないのが普通。親が「どうして動かないんだろう?」と一緒に考えるだけで、論理的思考を育む。親が詳しくなくてもOK子どもがつまずいたとき「どんな動きを期待してるの?」と問いかけるだけで、問題解決の糸口をサポートできる。4-3. タブレット学習を上手に使う時間管理と休憩ルールを決める長時間の使用は目に負担がかかりやすい。20~30分ごとに休憩をとるなど、話し合ってルールを作る。学習記録を一緒に振り返るAIドリルなどは履歴が残るので、週1回「どこが難しかった?」と聞いてみると理解度を把握しやすい。5. なぜ変わったのかを理解し、親子で“未来の学び”を楽しむ英語の授業やプログラミング、タブレット端末の活用……親世代からすると「こんな学び、私たちの時代にはなかった!」と驚くことが増えています。しかし、その背後にはOECDが示す「これからの社会を生きる力」を育むための世界的な流れがあり、日本の教育改革もその波を受けながら進化しているのです。一方で、基礎的な読み書き・計算など“変わらない部分”も依然として大切。新しい学びに注目しつつも、慌てすぎず、家庭での声かけやコミュニケーションを通じて子どもをサポートしていきましょう。ポイント・「完璧に教える」のではなく「一緒に考える」スタンスでOK。・分からないところを共有するだけで、子どもは安心して挑戦できる。・基礎学習を支えつつ、英語やプログラミングなど“未来の学び”もポジティブに受けとめよう。 ***子どもたちが大人になる頃は、さらに未知のテクノロジーや新しい学びが増えているかもしれません。不安があるのは当然ですが、「なぜ変わったのか」を理解し、家庭でできるサポートを少しずつ続けることで、子どもたちは未来に向けた力をしっかり育んでいけるはずです。ぜひ親子で、一歩ずつ前向きに取り組んでみてくださいね。(参考)OECD|The OECD Learning Compass 2030
2025年01月03日「宿題は大丈夫かな」と持ち物を確認し、「転んだら危ないから」と手を引き、「できないかも」と先回りする……。子育てのなかで、子どもに手を出しすぎてしまう親は少なくありません。でも、子どもに手を出すタイミングはいつがいい? 子どもの見守り方は? 手伝いはどこまでするべき? 特に、受験や習い事など、早期教育の選択に向き合う現代の親たちにとって、この悩みは切実です。しかし、教育の専門家たちは異口同音に警鐘を鳴らします。子どもの成長に本当に必要なのは、むしろ「失敗する機会」だと。では、子どもが自分でやりたがるとき、どう見守ればいいのか。過保護になりすぎず、かといって放任にならない関わり方を、具体的な場面に即して考えていきます。1. 手を出しすぎないことで育つ、子どもの成功の土台「自責の力」少子化が進んだいま、子どもに手を出しすぎてしまう親が増えていると、教育ジャーナリストの中曽根陽子氏は指摘します。それは、必要以上の手助けによって、子どもが自分で考え、責任をとる力を奪ってしまうことへの警鐘です。大人の世界で成功する人に共通するのは、失敗や困難に直面したとき「自分に何ができたか」を考える「自責」の姿勢です。この大切な力は、じつは幼い頃からの積み重ねで育まれていきます。たとえば、子どもの持ち物の準備。どこまで手伝うべきか、多くの親が悩むポイントです。すべて親が用意していると、忘れ物をしたとき「ママが準備してくれなかったから……」と他人のせいにする「他責」の習慣が身についてしまいます。反対に、自分で準備する機会があると、失敗したときに「次は忘れないように、自分でちゃんとチェックしよう」と、自分の責任として考えられるようになります。子どもに手を出すタイミングと子どもの見守り方を工夫することは、単なる「自立」だけでなく、将来の成功にも関わる重要な土台づくりなのです。過保護になりすぎず、かといって放任せず。そのバランスは簡単ではありません。でも、少しずつ手を放していくことで、子どもは失敗を自分の経験として受け止め、次に活かせるようになります。【ポイント】失敗は学びのチャンス。つい手を出したくなる気持ちをグッと抑え、まずは見守る。失敗したら叱るのではなく、「次からどうすればいいかな?」と一緒に考える。持ち物の準備など、身近なことから少しずつ任せる。 2. 挑戦への見守りが育む、子どもの「非認知能力」非認知能力とは、テストの点数では測れない回復力、やり抜く力、自信、自己肯定感などの総称です。この重要な力を育むには、子どもに手を出すタイミングが重要だと、ライフコーチのボーク重子氏は指摘します。しかし近年、「子どもに手を出しすぎて、挑戦できない子どもが増えている」とボーク氏は警鐘を鳴らします。自身も中学時代、数学の成績が急落した際に完全に勉強を放棄してしまった経験があり、その原因を「それまで必要以上に手伝ってもらい、非認知能力が育っていなかったから」と分析しているからです。子どもが自分でやりたがるとき、親はどこまで手伝うべきか。ボーク氏は、過保護になりすぎず、子どもの挑戦を見守ることが重要だと指摘します。実際にボーク氏は、アートギャラリー立ち上げの際の試行錯誤を娘さんに積極的に話したとそうです。どこで悩み、どこまで人に手伝いを求めたのか、そのプロセスを子どもと共有することで、失敗は成長のステップだという理解が、娘さんのなかで自然と育まれていきました。子どもの見守り方に悩む親は多いものです。「危ないから」「できないから」と先回りするのではなく、「どうしてそうしたいの?」と子どもの考えを聞いてみましょう。そして、子どもが自分でやりたがることに、どこまで手を出すべきか、一緒に考えていきます。【ポイント】子どもの「やりたい」という気持ちを大切にする。すぐに否定せず、まずは子どもの考えを聞く。親自身の失敗体験を隠さない。むしろ積極的に共有し、失敗から学ぶ姿を見せる。完璧な結果より、挑戦するプロセスを評価する。たとえ失敗しても「よく考えたね」「おもしろい発想だね」と、子どもの工夫を認める。 3. トラブル時を見守ることで「感情理解力」を身につけさせる子どもが自分でやりたがることを支えるには、親との信頼関係が土台となります。東京都市大学人間科学部教授の井戸ゆかり氏は、親が子どもの「安全基地」となることの重要性を説きます。子どもの見守り方を知る親がいるからこそ、子どもは新しいことに挑戦できるのです。子ども同士のトラブルを例に考えてみましょう。近年、親同士の関係が緊張しているためか、ちょっとした衝突でも親が必要以上に手を出してしまう傾向があります。しかし井戸氏は、こうした経験も子どもの成長に必要だと指摘します。トラブルを通じて、相手の気持ちを理解したり、自分の感情をコントロールしたりする力が育つからです。ただし、これは親が適切な距離感で見守る環境があってこそ。過保護になりすぎず、かといって放任にならず、子どもが困ったときに「大丈夫、一緒に考えよう」と声をかけられる存在でいることが大切です。井戸氏は、子どもが料理に挑戦する場面も例に挙げています。目玉焼きを作ろうとしてうまくいかないとき、まずは「自分でやろうとしたね、すごいね」と認めること。そのうえで、どこまで手伝うべきか考え、次の改善策を一緒に話し合います。必要以上に手を出さず、適切なサポートをすることで、子どもの「できた!」という達成感も大きくなります。【ポイント】トラブルや失敗をすぐに止めない。子どもの様子を見守りながら、必要なときだけ介入する。「大丈夫、一緒に考えよう」という姿勢をもつ。子どもが困ったときの心の拠り所となる。できなかったことを責めるのではなく、挑戦したことを認める。そこから具体的な改善策を一緒に考える。 4. 遊び場での見守りを通して「レジリエンス」を獲得させる子どもの遊びの専門家として知られるTOKYO PLAY代表理事の嶋村仁志氏は、子どもが自分でやりたがる遊びの価値を説きます。近年、公園では親が手を出しすぎる傾向にあり、子どもたちの自由な遊びが制限されがちです。しかし、子どもの遊びを見守ることこそが、大切な学びの機会を作るのです。たとえば、砂場で山をつくろうとして崩れてしまう。水遊びで友だちに水をかけすぎて嫌がられる。このとき、親はどこまで手を出すべきでしょうか。こうした経験は、物事の性質を理解したり、相手への配慮を学んだりするきっかけとなります。特に注目すべきは、遊びを通じて育まれる「レジリエンス(回復力)」です。子どもが自分でやりたいことに夢中になって、たとえうまくいかなくても、また挑戦する。この繰り返しが、折れない心を育てていきます。嶋村氏は、過保護な親の増加を懸念しています。遊び方が危険だからと必要以上に手を出すと、子どもたちは自分で考え、工夫する機会を失ってしまうからです。もちろん、大きな事故につながる危険は避ける必要がありますが、それ以外は子どもの様子を見守ることが大切です。家庭でできることは何でしょうか。まずは、子どもが自由に遊べる環境を整えること。公園では、つい「危ない」と手を出したくなる場面でも、子どもたちがどのように工夫して遊んでいるか、しばらく様子を見守ってみましょう。子どもたちは予想以上に、自分たちで安全な遊び方を考え出すものです。【ポイント】子どもの自由な遊びの時間を確保する。スケジュールを詰め込みすぎない。遊び方に対して過剰に制限を加えない。明らかな危険以外は、子どもたちの工夫を見守る。失敗や衝突を恐れず、子ども同士の関わり合いを大切にする。 5. 適度な距離感で見守れば、子どもの「挑戦力」が育つ子どもにどこまで手を出すべきか。筑波大学附属小学校元副校長の田中博史氏は、親子関係を磁石に例え、「くっつきそうでくっつかない絶妙な距離感」が重要だと言います。近すぎると子どもは親の顔色をうかがって自分でやりたがらなくなり、遠すぎると適切な手伝いが届きません。田中氏によれば、子どもを見ていて「うちの子、まんざらでもないな」と余裕をもって思えるとき、それが適切な見守り方のサインです。反対に、イライラを感じるときは、手を出しすぎるか関わりが少なすぎるかのどちらかです。特に現代の親は過保護になりがちで、必要以上に手を出して、子どもの挑戦を阻んでしまいがちです。重要なのは、親が適切な距離で見守れる環境で、子どもが自分でやりたがることに挑戦させること。ひとりで抱え込ませるのではなく、親がどこまで手伝うべきか判断できる場面で経験を重ねることで、次第に自力で困難を乗り越える力が育っていきます。具体的には、公園やショッピングモールのキッズスペースなど、子どもがほかの子どもと交流する場面で実践できます。つい手を出したくなる気持ちを抑え、少し離れた場所から見守ってみましょう。子ども同士のやりとりを、夫婦で「あ、ボールを取られちゃったね」「でも、自分で工夫して遊べているね」などと見守ることで、適切な距離感が自然と身についていきます。【ポイント】親の過度な心配や先回りは控えめにする。子どもの様子を余裕をもって見守る。子ども同士の関わりに必要以上に介入しない。問題解決の機会を奪わない。失敗したときは、その場にいて支援できる環境を整える。ただし、すぐには手を出さない。 6. 長期的な視点が、子どもの「多様な経験値」を上げる教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏は、受験期の子どもをもつ親に向けて、重要な指摘をします。学力向上を目指すこと自体は悪いことではありません。しかし、勉強だけに目を向けて、子どもが自分でやりたがることを制限してしまうことには警鐘を鳴らしています。学歴の価値は確かにありますが、その効果は以前より下がってきているとおおた氏は分析します。むしろ着目すべきは、勉強漬けにすることで失われている経験の価値です。親が必要以上に手を出さず、友人との交流や課外活動、時には恋愛も含めて子どもの見守り方を工夫すること。そうした経験が、人として大切な力を育むきっかけとなるでしょう。そして興味深いことに、自分で考え、挑戦する力をもった子どもは、結果的に受験でもよい成果を残すことが多いと、おおた氏は指摘します。なぜなら、困難に直面しても諦めない精神力が身についているからです。では、受験期の子どもに対して、どこまで手を出すべきでしょうか。おおた氏は、夜10時には就寝できるような余裕のある受験勉強を推奨します。親は過保護にならず、日中の時間に友人と交流する機会をもち、幅広い経験ができる環境を整えること。少し成績が下がっても、長期的な視点で見守る姿勢が大切です【ポイント】受験勉強と生活体験のバランスを重視する。夜更かしをしてまで勉強させない。友人関係や課外活動での失敗を過度に心配しない。むしろ成長の機会として捉える。偏差値だけでなく、困難に立ち向かう力を育てる視点をもつ。 ***子どもの失敗を見守るのは、親として勇気のいることかもしれません。どこまで手を出すべきか、いつ手伝うべきか、迷うことも多いでしょう。でも、失敗こそが子どもたちの大切な「学びの種」です。日常の小さな場面で、つい手を出したくなる気持ちを少し抑えてみると、子どもたちは失敗を重ねながらも、意外なほどたくましく成長していくはず。今日から、子どもの「できた!」の瞬間を、少し離れた場所から見守ってみませんか?その過程での小さな失敗も、きっと大切な糧となりますよ。(参考)STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|任せて、失敗させて、考えさせる。「困難を乗り越える力」を伸ばすには、放っておくのが◎STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|子どもが親の失敗から学ぶもの。「やり抜く力」を育むなら”格好悪い親”であれSTUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「失敗を恐れない力」の育て方。子どもに「挑戦したい!」と思わせる、効果抜群な言葉かけSTUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|やりたいことを目いっぱいやって失敗した。その経験が「折れない心」を育てるSTUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|子どもを大きく成長させる、人間関係における失敗。親が知るべき「子どもとの距離感」STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|失敗経験から学ぶ、学力とは異なる力がものをいう時代。受験勉強で「失うもの」とは?
2024年12月31日「お年玉、全部使っちゃダメなの?」「でも、友だちの方がもらってる額多いよ…」2025年のお正月、またこんな会話が始まるのではないでしょうか。毎年この時期になると、保護者の多くが「お年玉の使い方」で頭を悩ませます。特に小学生の子どもを持つ親御さんなら、「2025年のお年玉相場はいくらくらい?」「貯金だけじゃなく、少しは自由に使わせてもいいの?」といった疑問が次々と浮かんでくるはず。じつは、お正月は子どもへの金銭教育を始めるベストなタイミング。お年玉という「実物のお金」を通して、子どもと一緒にお金との付き合い方を考えることができるのです。アメリカをはじめとする金融教育先進国では、子どもの成長に合わせた「お金の4つの使い方」を実践しているといいます。今回は、2025年のお年玉事情を踏まえながら、日本の家庭でも取り入れやすい具体的な管理方法をご紹介します。「全額貯金か、一部を使わせるか」といった迷いや、「友だちと金額を比べてしまう」といった悩みへの対処法もお伝えしていきましょう。小学生のお年玉相場2025年はどのくらい?お年玉の金額で一番気になるのは、やはり相場ではないでしょうか。2024年の調査を参考に、2025年の予想相場をご紹介します。学年別の相場目安小学校低学年(1-3年生):2,000円前後小学校高学年(4-6年生):3,000円前後最近では、わかりやすい計算方法を取り入れる家庭も増えています:「学年×1,000円方式」(例:2年生なら2,000円)「年齢×1,000円方式」(例:8歳なら8,000円)お年玉の総額平均と活用方法小学生の場合、一人あたりの総額平均は20,225円となっています。これは、普段のお小遣いと比べるとかなり大きな金額です。お年玉の貯金を始める絶好の機会ともいえるでしょう。ただし、この金額はあくまで平均値。地域性や各家庭の事情によって、実際の金額は大きく異なります。金額以上に大切なこと実は、お年玉は小学生への金銭教育を始めるのに最適な機会です。大切なのは金額の多い少ないではありません。子どもたちがお年玉をきっかけに、お金の管理方法や使い方を学べることです。この経験は、金融教育の第一歩として、将来の金銭感覚を育む大切な機会となります。お年玉で始める、お金の教育のベストタイミング2022年度から高校での「資産形成」教育が必修化され、日本でも金融教育の重要性が見直されています。特に現代は、電子マネーやスマホ決済が普及し、子どもにとってお金が「見えない」存在になりつつあります。だからこそ今、現金である「お年玉」は、子どもの金融教育のスタートに最適な教材といえます。実際にお金を手に取り、数えて、管理することは、お金の教育を始める絶好の機会となるのです。「4つの使い方」で実践する、お金の教育アメリカの金融教育では、「お金を管理し、健全な経済生活を送るために必要な力」を育てることを重視しています。以下の4つの使い方(Spend, Save, Invest, Give)は、小学生の金銭教育にも取り入れやすい基本的な考え方です。1. 【Spend】計画的に「使う力」を育てる「全部使って好きなもの買いたい!」という子どもの声は、お年玉の使い方を教えるベストタイミングです。子どもと話し合いながら「自由に使えるお金」の金額を決めましょう。具体的な予算を設定することで、子どもは自然と「これを買ったら他のは買えないな」「本当に欲しいのはどっちかな」と考え始めます。この優先順位を選択する経験が、お金の価値を理解するきっかけとなります。2. 【Save】目的を持って「貯める力」を育てるお年玉の貯金は多くの家庭で実践されていますが、大切なのは「何のために貯めるのか」という目的を子どもと一緒に考えることです。例えば「夏休みの家族旅行でおみやげを買うため」「新作の本を自分で買うため」など、半年以内に実現できる具体的な目標から始めるのがおすすめです。高学年になれば、「中学入学時の文具代」「部活で使う道具代」など、より長期的な目標も視野に入れることができます。3. 【Invest】将来に向けて「育てる力」を育てる金融教育の基本として、まずは「貯金が増える」という概念から始めましょう。お年玉を銀行に預けて利息が付く仕組みを、通帳で実際に確認してみましょう。高学年であれば、株式や債券といった基本的な金融商品についても、一緒に学んでみるのもよいでしょう。こうした経験の積み重ねが、長期的な目でお金と付き合う力の土台となります。4. 【Give】感謝の気持ちを込めて「与える力」を育てるお年玉の一部を誰かのために使う経験は、お金を通じて人や社会とのつながりを学ぶ機会となります。例えば、お年玉をくれた祖父母へのお礼の品を選んだり、家族旅行でおみやげを自分のお金で買ったり、興味のある社会活動に寄付をしたり。金額の大小ではなく、子どもの気持ちを大切にすることがポイントです。これら4つの力は、子どもの成長に合わせて段階的に学びを深めていきます。バランスよく習得することで、将来の健全な経済生活の基礎を築くことができるでしょう。こんな時どうする?お年玉の使い方Q&AQ1. 「お年玉、全額使いたい!」という子どもへの対応これは多くの家庭で直面する悩みです。まずは、子どもの率直な気持ちを否定せず、「使いたい」という思いを受け止めることが大切です。その上で「具体的に何に使いたいの?」と話を聞いてみましょう。欲しいものが明確な場合は、先ほどの「4つの使い方」を参考に、バランスの取れたお金の管理方法を一緒に考えていけます。Q2. 「友だちの方がお年玉の金額が多い…」と比較する子どもへの対応お年玉の相場は家庭によって様々です。このような時は、金額の多さではなく、自分が持っているお金の価値と、その使い方の工夫に目を向けるきっかけにしましょう。子どもの金銭教育において大切なのは、限られた予算の中で考える力や、お金をくれた人への感謝の気持ちです。そうした前向きな視点に気付けるよう、声かけをしていきましょう。2025年のお年玉を、子どもの金融教育のチャンスにお年玉は、子どもたちにとって大切なお金との出会いの機会です。金銭教育に正解は一つではありません。子どもの性格や発達段階に合わせて、無理のない範囲で始めてみましょう。今回ご紹介した「お金の4つの使い方」を参考に、2025年のお年玉を「お金の教育」のスタートラインにしてみてはいかがでしょうか。子どもと一緒にお年玉の使い方を考え、話し合うことで、親子それぞれに新しい発見があるかもしれません。(参考)(*1)インテージ|2024年お年玉調査ポストコロナで人流戻るも財布の紐緩まず(*2)株式会社学研ホールディングス|お正月にもらったお年玉小学生では平均20,225円、中学生では平均27,499円、高校生では平均27,963円小学生と高校生は前回調査から減少、中学生は前回調査から増加
2024年12月30日「英語が苦手な私に何ができるんだろう…」「英語ドリルを始めた方がいいのかな」「塾に通わせた方がいいのかしら」2020年度から本格的に始まった小学校英語。英語が苦手という保護者のみなさんから「おうちでのサポートはどうすればいいの?」といった声が、たくさん寄せられます。特に、入学前の子どもをもつ親は、小学校での様子が見えずに不安になっている方も多いようです。私は10年以上の教員経験の中で、英語を楽しく話す子どもたちと出会ってきました。もちろん、そのなかには家庭や園にネイティブスピーカーがおり、日常的に英語で話す環境で育った子どももいます。しかし、多くの子どもたちの親御さんからお話を伺うと、そういった環境がなくても、日常生活の中で自然と英語に触れる機会があった子どもは、小学校の英語授業でも積極的に英語を話す姿が見られました。そこで今回は、そうした家庭での工夫や、担任や英語専科教師の経験から見えてきた、入学前も入学後もできる英語学習の効果的なサポート方法を、保護者の不安にお答えする形でお伝えしていきたいと思います。小学校英語の概要2020年度に小学校英語が本格的に導入されました。3・4年生では「外国語活動」として週に1回程度(年間約35時間)、5・6年生では「外国語科」という正式な教科として週に2回程度(年間約70時間)、必修科目として行なわれています。また英語に力を入れている自治体の中には、1年生から英語の授業を始める学校も増えています。一般的には、3・4年生では友だちと英語で話すことを楽しみながら、「聞く」「話す」などのコミュニケーションの土台を作り、5・6年生では、これに「書き」や「読み」の学習も加わります。小学校英語教育で特に重視しているのは、「コミュニケーションをとろうとする積極的な態度」、「異なる文化への興味・関心」、そして「間違いを恐れずチャレンジする姿勢」です。英語の授業では、デジタル教材などを使いながら、英語の歌やゲーム、またはお友だちとの会話を通じて、楽しみながらコミュニケーションの基礎を身につけていけるよう工夫されています。初めての子どもでも無理なく取り組めるように工夫されているので、大きく心配する必要はありません。ただ、この新しい教育制度のもとで「入学前から何か準備をしておいた方がよいのか」「家庭では何をしてあげられるのかな」と悩まれる親も多いと思います。そこで、家庭でできる効果的な英語学習のサポート方法についてご紹介していきたいと思います。【入学前〜低学年】家庭でできる!効果的な英語学習サポート方法「英語を始めるタイミングは?」小さな子どもをもつ保護者からもよく寄せられるお悩みです。結論からお伝えすると、小学校の英語の授業に備えるためのドリルや英語教室といった準備は必要ありません。まずは、身の回りの英語を一緒に見つける、そんな小さな発見から始めてみましょう。私たちの日常生活には、たくさんの英語が隠れています。スーパーマーケットでの買い物中に「ここに英語が書いてあるね」「何て書いてあるのかな?」と子どもと一緒に英語を探してみたり、洋服やお菓子のパッケージの英語を読んでみたり。また、家の中にさりげなくアルファベットポスターを貼っておくのも効果的です。このような何気ない会話や英語との出会いが、子どもの英語への興味を掻き立てます。「英会話はどうやって始めるの?」「Good morning」や「Thank you」から始めてみましょう。親が何気なく使っているうちに、子どももまねして英語を話してみたくなるタイミングがきっと来るはずです。特別な時間をつくる必要はなく、普段の生活の中でふとした瞬間に英語を使ってみる。それだけで、子どもたちの英語への興味は少しずつ育っていきます。「どんな教材を使えばいいの?」前述したように、小学校の英語の授業に向けた特別な教材は必要ありません。しかし、子どもと英語を楽しむなかで、英語の歌や絵本を取り入れていくことをおすすめします。歌は体を動かしながら楽しく英語の耳を育て、また絵本は繰り返しの表現で英語に親しむことができます。「おすすめの歌は?」英語の歌は、子どもが自然に英語を楽しめる素晴らしい教材です。英語のリズムを体で感じることができるため、英語を聞く耳も自然と育っていきます。たとえば、“Head, Shoulders, Knees and Toes” は、体の部位を指さしながら歌う簡単な歌で、動作と言葉が結びついているため、単語も自然と覚えられます。”If You’re Happy and You Know It” も、手拍子や足踏みをしながら楽しく歌えます。朝の支度をしながら英語の歌を流したり、お風呂で手遊びをしたり、そんな日常のちょっとした時間を使って気軽に始められます。親が英語で上手に歌えなくても心配いりません。歌を聴きながら一緒に体を動かすだけでもOKです。YouTubeにも子ども向けの英語の歌がたくさんあります。「どんな絵本がおすすめ?」簡単なフレーズが繰り返し出てくる絵本が子どもたちは大好きです。おすすめは『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』。色とりどりの動物が、覚えやすいリズムで次々と登場します。『No, David!』も特に低学年に大人気の絵本です。いたずら好きな男の子がお母さんに「No!」と繰り返し怒られるストーリーですが、簡単なフレーズなので、子どもたちはすぐにまねして読みたがっていました。英語に自信がない方は、音声付きの絵本も増えていますのでぜひ活用してください。このように、入学前は「楽しく学ぶ」ことがポイントです。特別な時間をつくる必要はなく、日常生活の中で少しずつ英語に親しんでいくことが、小学校での学びへ準備となっていきます。【中学年〜高学年】家庭での英語学習サポートは?「英語が苦手、小学校で習う内容を子どもに教えられるか心配……」教科書に載っている英語を見て「この発音、合ってるかな?」と迷う場面が出てくるかもしれません。でも、心配いりません。ほとんどの教科書にはQRコードが付いているので、正しい発音や表現をいつでも確認できます。むしろ「こんなふうに言うんだね」と、子どもと一緒に学んでいく姿勢が、学習意欲を高めることにつながります。「宿題は見てあげられるかな」宿題のサポートも、難しく考える必要はありません。学校からの宿題は、授業で習った表現を使う簡単なものが中心です。子どもに「今日は何を習ったの?」と聞いてみることから始めましょう。時には子どもが先生役になって教えてくれることもあるかもしれません。それだけでも立派な復習になります。実際「お父さんに『What color do you like?』と聞いたら『Green』と教えてくれたよ」と嬉しそうに報告してくれた子もいました。おうちでも実践的に英語を使うことは、必ずその子の力になります。「中学校の英語についていけるかな…」この不安は、多くの保護者が感じているものです。しかし、前述したように小学校英語は中学校への橋渡しとなる土台作りを目的としています。「聞く」「話す」力を育てることで、中学校での「読む」「書く」学習にスムーズに移行できるよう設計されているのです。また、学校では友だちと英語を使ってコミュニケーションをとる活動を重視しており、この経験が、中学校での学習への自信につながります。以前は中学校の先生から「中学生になると英語を話すことを急に恥ずかしがる子がいる」という声をよく聞きましたが、最近は「小学校でのコミュニケーション重視の授業のおかげで、中学校でも英語を楽しく使っています」という嬉しい報告が届いています。「英語塾や習い事は必要?」必ずしも必要ではありません。学校での英語学習で基礎は身につきます。ただし、学校の授業では習う英語も限定的なため、より実践的な英語力を目指したい場合は、英語教材やオンライン英会話や英語イベントへの参加など、学校外でネイティブスピーカーと交流する機会をつくるのもよい方法です。実際、日常生活の中で英語に触れている子どもたちは、英語を臆せず話し、ALTの先生との会話も積極的に楽しむ姿が見られます。大切なのは、子どもの興味と家庭の状況に合わせて、無理なく続けられる方法を選ぶことです。そして、一緒に楽しむ気持ちで、小さな進歩を温かく見守っていくことで、子どもの英語学習への意欲を育んでいくのです。子どもの成長を支えるために大切なこと英語学習の初期段階では、完璧な発音や文法の正確さよりも、コミュニケーションを図ろうとする意欲や態度を育てることが重要です。子どもが英語で挨拶ができるようになった、簡単な質問に答えられるようになったなど、小さな進歩を見逃さず、たくさんほめて自信につなげていきましょう。日々の些細な変化に目を向け、子どもの努力を認めることで、学習意欲は大きく高まっていきます。「うまく言えなくても大丈夫」「まずは言ってみよう」という気持ちを大切にすることで、子どもは徐々に英語に対する自信をつけていきます。こんなことには気をつけて!やりがちなNG行動1. 結果を急ぎすぎない小学校英語の一番の目的は、英語でコミュニケーションを取ることの楽しさを知ること。無理な学習や詰め込みは、かえって英語嫌いの原因になってしまいます。子どもの興味や関心に合わせて、自然に英語に触れる機会をつくることを心がけましょう。2. 発音にこだわりすぎない「発音が違う」と細かく指摘されると、子どもは間違いを恐れて、英語を話すことに消極的になってしまいます。小学生の時期は、完璧な発音を求めるのではなく、「伝えようとする気持ち」を大切にしましょう。3. 中学校の内容を先取りしすぎない小学校では、音声を中心とした活動を通じて英語に親しむことが大切です。中学校で学ぶ文法を早めに教え込もうとすると、かえって混乱を招き、学習意欲を低下させる可能性があります。***私は10年以上の教育現場で、子どもたちが新しい言葉や文化と出会い、目を輝かせながら成長していく姿を見てきました。大切なのは、完璧を目指すことではなく、子どもと一緒に楽しみながら、少しずつ英語の世界を広げていくこと。そして、その小さな一歩一歩を、温かく見守っていくことなのです。そして、その学びを支える家庭でのサポートは、特別なことは必要ありません。ここでご紹介したような小さな取り組みの中から、子どもと一緒に楽しみながらできることを少しずつ取り入れてみてくださいね。(参考)(*1)文部科学省|小学校学習指導要領外国語活動・外国語編(*2)ベネッセ教育情報サイト |保護者ができる家庭での英語学習サポート【ライタープロフィール】未来先生(みらい・せんせい)教育学科で学び、小学校免許や中学校英語免許を取得。小学校にて担任や英語専科教員として約10年間勤務、子どもたちの学びを支えてきました。現在は、2人の男の子の育児に奮闘しながら、これまでの知識と経験を生かして、子どもの成長と学びに役立つ情報をお届けしています。
2024年12月26日「うちの子、私立も考えたほうがいいのかな……」「塾や習い事もさせたいけど、全部合わせていくらくらいかかるんだろう……」子育て中のパパ・ママなら、誰もが一度は悩むのが教育費の問題。わが子にはよい教育を受けさせたい。でも実際の費用がイメージできず、将来への不安を抱えていませんか?教育費の総額は、選ぶ進路によって大きく変わってきます。保育園か幼稚園か、公立か私立か、さらに習い事の組み合わせによっても、必要な金額は数百万単位で変動するのです。そこで今回は、お子さまの教育にどのくらいの費用が必要になるのか、具体的な金額をシミュレーターで確認できるようにしました。さらに、その膨大な教育費をどのように準備していけばいいのか、プロのファイナンシャルプランナーのアドバイスもふまえて詳しくご紹介します。まずは下のシミュレーターで、ご家庭の希望する進路パターンでいくらかかるのか、確認してみましょう。教育費シミュレーター幼児教育保育園私立幼稚園小学校公立私立中学校公立私立高校公立私立大学国公立私立文系理系習い事(小学生期)学習塾(月額15,000円) 英会話(月額9,000円) 水泳(月額6,500円) ピアノ(月額7,200円) 体操(月額5,000円)総額0万円内訳項目費用割合進学先で大きく変わる教育費:最大1,500万円もの差がシミュレーターでご確認いただいたように、子どもの教育費は進学先の選択によって大きく変わってきます。文部科学省の調査によると、保育園・幼稚園から大学までの費用総額は、選択によって家計に大きな影響を与える金額の差が生じます。実際の金額を見ていくと、その差の大きさに驚かれるかもしれません。まずは基本の学費を確認しよう教育段階別の費用比較教育段階種別費用幼児教育期(0-6歳)保育園(認可・6年間)約150万円私立幼稚園(3年間)約92万円義務教育~高校小学校公立:約210万円私立:約1,000万円中学校公立:約160万円私立:約430万円高校公立:約150万円私立:約320万円大学国公立約390万円私立(文系)約600万円私立(理系)約680万円「えっ、私立小学校だけで1,000万円!?」と驚かれた方も多いのではないでしょうか。この差額は、たとえばファミリーカーを複数台購入できる金額、あるいは住宅ローンの頭金と諸費用をまかなえる金額に相当します。教育費の差額、具体的にはどのくらい?実際の進路選択パターンに沿って、16年間の教育費総額を見てみましょう。たとえば、保育園からスタートした場合:進学パターン別の教育費総額すべて公立で進学約1,060万円―公立→私立大(文系)約1,270万円+210万円公立→私立高校から約1,440万円+380万円公立→私立中学から約1,710万円+650万円すべて私立(理系)約2,580万円+1,520万円「子どもの可能性を広げてあげたい」「進学校に通わせたい」という願いは誰しも同じ。でも、現実的な費用と向き合うことも大切です。学費だけでも大きな金額ですが、じつは、ここからさらに「習い事」という大きな教育費が加わってきます。※ 金額は文部科学省「子供の学習費調査」(令和3年度)等による参考値です※ 保育園の費用は、令和元年10月からの「幼児教育・保育の無償化」の影響を除いた金額です【Point】公立と私立では最大で1,500万円以上の差が中学や高校からの私立進学でも数百万円の追加費用が必要大学の学部選択(文系・理系)でも80万円の差が次は、この基本の学費に加えて必要になる「習い事」の費用を詳しく見ていきましょう。習い事の費用も侮れない!月謝だけで年間50万円も「学校の費用はわかったけど、うちの子、習い事もしているし……」はい、教育費を考えるうえで見落としがちなのが「習い事」の存在です。特に、スポーツや芸術、学習面でさまざまなことにチャレンジさせたい小学生の時期。じつは、この習い事にかかる費用が、家計の大きな部分を占めているケースも少なくありません。人気の習い事、実際にいくらかかる?まずは、代表的な習い事の費用を見てみましょう。主な習い事の年間費用(月謝ベース)習い事月額年間費用学習塾15,000円18万円英会話教室9,000円10万8,000円水泳教室6,500円7万8,000円ピアノ教室7,200円8万6,000円体操教室5,000円6万円※ 上記は月謝のみの金額です。別途以下の費用が必要になることがあります:入会金・入学金教材費・テキスト代発表会・競技会の参加費検定料・試験料制服・道具代複数の習い事を組み合わせるとどうなる?小学生の時期は、複数の習い事を掛け持ちするケースも多いもの。実際に組み合わせるとどのくらいの費用になるのか、具体例で見てみましょう。習い事の組み合わせパターンと年間費用習い事の組み合わせパターンと年間費用【パターン1】基本的な3教科の場合学習塾 + 水泳教室 + ピアノ教室年間費用:34万4,000円【パターン2】フル活動の場合学習塾 + 水泳教室 + ピアノ教室 + 英会話教室 + 体操教室年間費用:51万2,000円【Point】月謝だけでも年間34万〜51万円程度6年間継続すると200万〜300万円以上に学年が上がると月謝も上がるケースが多い進学塾の場合、中学受験時期は費用が倍増も「えっ、習い事だけでマイカー1台分!?」と驚かれた方もいるかもしれません。じつは、こうした習い事費用は、世帯年収の5〜10%を占めることも珍しくないのです。わが子の習い事、実際のところどのくらいかかっているのでしょうか?いまの月謝に、教材費や行事費用なども加えて計算してみましょう。前述の学費と合わせると、思った以上の金額になるかもしれません。教育費2,000万円の準備、どうする?専門家おすすめの方法を紹介「シミュレーターで確認したら2,000万円近く……こんな大きな金額、どうやって準備すればいいの?」教育費の準備に悩むのは当然です。ただ、いくつかの方法を賢く組み合わせることで、より確実な資金準備が可能になります。ここでは、それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介します。教育費の準備方法を比較学資保険仕組み親が契約者、子どもが被保険者となる生命保険。毎月定額を積み立てる形で教育資金を準備します。メリット強制的に積み立てられるため、貯蓄が苦手な人でも継続しやすい親が万一の場合、以降の保険料支払いが免除される満期時期を子どもの入学時期に合わせやすいデメリット途中解約時の解約返戻金は払込保険料を下回る資金の運用利回りは一般的に低め定期預金仕組み一定期間、銀行に資金を預け入れる最もオーソドックスな方法です。メリット元本が保証されているため安全必要に応じて解約も可能預金保険制度の対象デメリット金利が極めて低く、ほとんど増えないインフレに対する備えがない一般財形貯蓄仕組み給与から天引きで積み立てる従業員向けの制度です。メリット給与天引きで確実に貯められる預金金利より有利な金利が適用されることもデメリット会社員以外は利用できない一般財形は非課税にならない積立投資(新NISAつみたて投資枠)仕組み毎月一定額を投資信託などで運用。年間120万円まで非課税で投資可能です。メリット運用益が非課税長期的には預金より高いリターンが期待できる少額から始められるデメリット元本割れリスクがある運用成果は市場環境に左右されるファンドラップ仕組み投資運用のプロに資産運用を一任する形のサービスです。メリットプロによる運用で手間が省ける分散投資が基本で、リスク管理も専門家が行なうデメリット運用手数料がかかる元本保証はない初期投資額が高い(100万〜500万円程度)専門家からのアドバイス「資金目的と使用時期が決まっている教育資金では、預貯金など堅実な方法をベースとし、被保険者に万が一のことがあった時の金銭的リスクに備えられる保険を組み合わせるとより安全です。」ファイナンシャルプランナー 久保田正広氏教育資金準備のポイント単一の方法に頼らず、複数の方法を組み合わせる家計の状況に合わせて無理のない金額から始める子どもの年齢や教育プランに応じて見直しを行なう万が一の場合のリスクも考慮に入れるこれらの方法は、それぞれの家庭の状況や目標に応じて組み合わせることが重要です。一度に完璧な計画を立てる必要はありません。まずは可能な方法から始めて、徐々に見直していくことをおすすめします。教育費の準備、早めが肝心!専門家が教える「貯めどき」とサポート制度「準備の方法はわかったけど、いつから始めればいいの?」という声も多いはず。じつは、教育費の準備は、できるだけ早く始めることが重要なポイントです。その理由と、知っておくべき支援制度についてご説明します。専門家に聞く!教育費の「貯めどき」「特に、小学生までが貯めどきです。この時期を逃すと、その後の教育費負担で貯蓄が難しくなってしまいます」1級ファイナンシャル・プランニング技能士 山内真由美氏早めの準備が重要な3つの理由複利効果:貯蓄・投資・保険とも、期間が長いほど運用効果が高まる児童手当の活用:子育て支援として支給される手当を積立に回せる支出増への備え:子どもの成長とともに教育費は増加傾向に教育費が特に増える時期教育費が特に増える時期進路追加費用の発生時期と内容中学受験コース小学4年生以降から受験対策の塾代模試・検定費用教材費の増加高校受験コース中学生以降から進学塾の費用受験対策講座模試・教材費活用できる支援制度高等学校等就学支援金制度(国の制度)学校種別支援上限額(年間)条件国公立高校11万8,800円世帯年収910万円未満で実質無償化私立高校39万6,000円世帯年収590万円未満。差額は家庭負担都道府県独自の支援制度(例:東京都の場合)制度の特徴2024年度より所得制限撤廃都内在住者が対象(都外の学校も可)毎年の申請が必要授業料への直接充当方式学校種別支援上限額(年間)備考都立高校11万8,800円国の制度対象外でも東京都が負担私立高校48万4,000円国の制度との差額を東京都が負担その他の支援制度教育ローン(日本政策金融公庫等)各種奨学金制度学校独自の支援制度今すぐできるアクションお住まいの地域の教育支援制度を確認する世帯の収入状況に応じた支援対象となるか確認する学校の募集要項で学費支援制度をチェックする申請時期と必要書類を確認する※ 支援制度の内容は毎年改定される可能性があります。最新情報は各自治体のウェブサイトでご確認ください。***子どもの教育は、小学校から大学までに学費や習い事でおよそ1,000万〜2,000万前後必要です。教育費の準備は貯蓄や投資を賢く活用して、できるだけ子どもが幼いうちからスタートしましょう。文/上川万葉(参考)*1ほっとFP お金の相談室|FPが解説!教育資金の7つの貯め方*2ソニー生命|6年間でかかる小学校の学費|公立と私立の違いや、想定外の出費も解説*3サライ|「ファンドラップ」と投資信託の違いとは?|ファンドラップのメリットとデメリットを解説【お金の学校】*4R&Cマガジン ファイナンス|小学生の習い事費用の平均額は?月謝の目安と家計負担の軽減方法*5Gakken|子どもの「習い事」月々平均いくらぐらい?習い事別の費用についても紹介します*6ここしん|高校授業料実質無償化はどんな制度?東京都は所得要件を撤廃。対象者や条件、申込の流れなどを解説*7価格.com|子どもの教育費っていくらかかるの?
2024年12月25日「自分のお名前だけ書ければ大丈夫です」――入学説明会でよく聞くこの言葉。年長さんをもつ保護者の方なら、「本当にそうなの?」となんとなく不安を感じていることでしょう。特に気になるのが、入学後のスタートダッシュ。4月から始まる小学校での学習について、「うちの子、ついていけるかしら」と心配されている方も少なくないはずです。約10年間小学校教師として勤務してきた経験から言えば、この「自分のお名前だけ書ければ大丈夫です」の言葉は、建前と本音が入り混じった微妙な言葉だと感じています。しかし、決して焦る必要はありません。入学後の学習をスムーズに始めるために、家庭でできる準備があるのも事実です。この記事では、実際の小学校での文字指導の進め方や、入学までに無理なく楽しく取り組める文字学習の方法をご紹介します。お子さんの発達段階に合わせた効果的な入学前のひらがな準備のヒントが見つかるはずです。小学校での文字学習はどう進む?就学前の文字習得の現状文字教育への取り組み方は、幼稚園や保育園によって様々です。遊びを通じて積極的に文字に触れる機会を設ける園もあれば、あえて文字指導を控えめにする園もあります。また、家庭での関わり方によっても、お子さんの文字への興味や習得状況は大きく異なってきます。文部科学省の研究「幼児教育、幼小接続に関する現状」によれば、年中児(3、4歳児)での文字の読みの習得率は、男の子81.9%、女の子89.7%、という高い数値を示しているそうです。さらに、年長児(5歳6歳)では男の子92.1%、女の子97.7%にまで上昇します。じつは、入学前に「ひらがなをほぼ読める」子がほとんどなのです。*1入学後の文字学習はこんなふうに進みます入学したばかりの4月、1年生の子どもたちにとっての最初の課題は学校生活に慣れることです。この時期、先生からの指示や教室の掲示物は、ほとんどがイラスト付き。文字だけに頼らない工夫をしながら、子どもたちの学校生活をサポートしています。4月は基礎作りの大切な月。毎日2時間ほどある国語や書写の授業では、まずは正しい座り方、鉛筆の持ち方から始め、直線や曲線といった運筆の練習をします。子どもたちは先生のお手本を見ながら、自分の名前を書く練習をすることで、文字を書く楽しさを知っていきます。5月になると、いよいよマス目を使った本格的な文字練習が始まります。文字はやさしい文字から順番に学んでいきます。まずは「つ」「く」「し」といった一画で書ける文字から。次に「とめ」や「はらい」、「はね」のある文字、そして「の」のような「曲がり」のある文字を練習します。そして、最後に「ま」「す」のような「結び」のある文字や、2文字以上の言葉を並べて練習していきます。毎回の授業では、先生がお手本を見せ、みんなで空に指で書きながら書き順を声に出し、その後にドリルでなぞり書きをしてから、実際に自分で書く練習をします。1日に学ぶ文字の数は2、3文字程度。その日学んだ文字は宿題で復習することで、しっかりと身につけていきます。その後もひらがなの学習は続きますが、一般的には6、7月には50音の学習が終わります。*24月5月6月7月・机上整理・正しい姿勢・鉛筆の持ち方・基本的な線・自分の名前 など・止め「く」・はらい「つ」・はね「か」など・正しい筆順「こ」「い」・曲がり「の」・折れ「そ」・結び「ま」「す」・形の違い など・文字の形・言葉の書き方・ます目・罫線・横書きなど→段階に合わせてひらがな50音の指導→(参考)光村図書|年間年間指導計画・評価計画資料1年生文字学習の個人差文字の習得には、やはり個人差があります。しっかりとした筆圧で、一度できれいな文字を書ける子もいます。しかし一部には、鏡文字になってしまったり、文字の大きさがうまくコントロールできなかったりし、何度も何度も消して書き直してを繰り返しているうちに紙に穴が開いてしまう子もいます。クラスのなかに、多いところでは35人もの子どもがいるので、先生はひとりひとりに丁寧に教えたいと思っていても、授業時間内での個別指導には限界があります。そのため、その日学んだ文字は必ず宿題として出し、家庭でも練習を重ねてもらうようにしています。このように学校と家庭で協力しながら段階的に学習を進めていくことで、多くの子どもたちは6月から7月頃には、ひらがな50音を書けるようになります。そして夏休み頃には文章が書けるようになり、宿題として絵日記を出す先生も多いと思います。入学からわずか4、5か月でここまで進み、2学期からはさらにカタカナや漢字の学習も始まります。1年生の学習は、私たち大人が想像する以上にペースの速いものなのです。だからこそ、ひとりひとりの子どもの成長に合わせた支援が大切になってきます。「焦らなくていい」けれど、できることはある1. 遊びが文字学習の土台にでは、入学を控えるお子さんに、親はどんなサポートをしてあげられるでしょうか。じつは、毎日の遊びのなかに、文字を学ぶための大切な準備が詰まっています。たとえば、もしおうちや園でお絵かきや線つなぎ、迷路といった遊びをしているならば、それがすでに運筆の練習となっています。お子さんの自由な表現活動が、やがて文字を書く力へと育っていくのです。大切なのは、これらの遊びを「勉強」にしないこと。「もっときれいに」「はみ出さないように」という声かけは控えめにして、子どもが楽しく夢中になれる環境をつくってあげてください。遊びのなかで自然と育まれる力を信じて、温かく見守っていただければと思います。2. 絵本は文字との出会いのきっかけに絵本は子どもにとって、文字を学ぶ素晴らしい入り口となります。子どもは大好きな絵本を何度も読んでもらううちに、自然と文字に興味をもち始め、少しずつひらがなを覚えていきます。絵本は、楽しみながら文字を学べる最高の教材なのです。また、ひらがなを少し読めるようになると、書くことへの意欲も自然と湧いてきます。専門家たちもこの、「自然な興味の芽生え」を重視しています。全国小学校生活科・総合的な学習教育研究協議会 元会長の和田信行氏はこう指摘しています。読めるようになったら「次は書けるようになりたい!」と思うのが自然の欲求。子どもがやる気になったとき、すぐに取り組めるよう、鉛筆と紙は常に子どもスペースに用意しておきましょう。この時期は、書く意欲があるだけで十分。「書き順が違うでしょ」「そうじゃないでしょ」といった間違い探しはしないこと。子どもがやる気をなくしてしまいます。(引用元:ベネッセ教育情報|小学校入学準備「文字と数の学習。本当に必要なこと」)※太字による強調は編集部が施した大切なのは、強制的な学習ではなく、子どもの興味に寄り添うこと。絵本を通じた楽しい文字との出会いが、読み書きへの意欲を育んでいきます。*33. デジタルの良さを活かして文字学習において、手書きとデジタルのバランスよく活用をすることがおすすめです。鉛筆で文字を書くことは、脳の発達によい影響を与えることが脳科学研究でもわかっています。ただし、最初から鉛筆で文字を書く学習から始める必要はありません。タブレットでの学習にも、大きな魅力があります。音声ガイド付きの学習なら、文字と発音を同時に楽しく学べます。目と耳を使って学べるので、家庭学習にぴったりです。お子さんの成長に合わせて、時には手書き、時にはデジタルと、柔軟に学習方法を選んでみてください。大切なのは、学ぶ楽しさを感じられること。子どもの好奇心を大切にしながら、さまざまなツールを活用し、お子さんのペースで文字の世界を広げていってください。***入学準備で最も大切なことは、子どもの自然な成長を温かく見守ることです。焦らず、でも意識的に文字とのよい出会いを演出することが重要なポイントとなります。便利な時代だからこそ、デジタル教材や書き込み式ワークブックなど、多様な学習ツールから子どもに合った方法を選べます。これらを柔軟に活用することで、子どもの興味を大切にしながら、楽しく無理のない入学準備を進めてくださいね。(参考)(*1)文部科学省|「幼児教育、幼小接続に関する現状」(*2)光村図書|年間年間指導計画・評価計画資料1年生(*3)ベネッセ教育情報|小学校入学準備「文字と数の学習。本当に必要なこと」【ライタープロフィール】未来先生(みらい・せんせい)教育学科で学び、小学校免許や中学校英語免許を取得。小学校にて担任や英語専科教員として約10年間勤務、子どもたちの学びを支えてきました。現在は、2人の男の子の育児に奮闘しながら、これまでの知識と経験を生かして、子どもの成長と学びに役立つ情報をお届けしています。
2024年12月25日「お医者さんになりたい!」そう言い出したわが子に、どう応援したらいいのか迷っていませんか?子どもが医者を目指すことに期待を感じる一方で、「本当に向いているのかな」「医学部に行けるほど勉強ができるのかな」と不安になるのは自然なことです。じつは、医師という職業、私たち親の想像とはちょっと違う一面をもっているようです。最新の調査で、とても興味深い事実がわかりました。川野小児医学奨学財団が全国435人の医師・研究者に聞いた生の声によると、医師に必要なのは「勉強ができること」だけではないようです。むしろ、子どもの意外な特徴が、将来の医師としての強みになるかもしれません。今回は、現役医師が明かした「医師の本当のやりがい」と「必要とされる力」をお伝えします。「子どもが医者になりたいと言い出したら」そのときのために、いまから知っておきたい医師という仕事の実態と可能性。きっと、お子さんの将来を考えるヒントが見つかるはずです。「お金のため?」その先にある医師の志「医師になる理由は収入の高さ?」そう考える人もいるかもしれません。確かに、医師は安定した収入が得られる職業のひとつです。では、実際に医師として働いている人たちは、どんな理由でこの道を選んだのでしょうか。全国の医師435人に「なぜ医師になったのか」を尋ねた結果、最も多かった回答は「世の中の役に立ちたい」(48.3%)でした。次いで「患者さんの病気を治したい」(38.4%)が続き、「高い収入が得られると思った」(20.5%)は3位にとどまりました。医師を志す動機の上位は、社会貢献や患者への思いなど、収入以外の部分が大きな比重を占めていたのです。引用元:(公財)川野小児医学奨学財団調べ「崇高な脳のことを知りたかったため」そんな探究心から脳神経外科医の道を選んだ医師がいます。また、「切らないがん治療に興味があったから」と放射線科医を目指した医師も。そして小児科医からは「子供が好きだから」という素直な思いも聞かれました。ほかにも、「広く様々な疾患を診られる力をつけたかった」と内科を選んだ医師、「人の命を救いたかった」という強い使命感から救急科を志した医師もいます。それぞれの医師がもつ、その人らしい志望理由。専門分野を選ぶときも、純粋な興味や情熱が原動力になっているようです。医師に必要な力は「勉強だけ」じゃない「医師には勉強ができる子が向いている」。子どもの将来を考えるとき、多くの親がそう思いがちです。でも、実際の医療現場では、勉強だけではないものが求められているようです。今回の調査では、医師に必要な資質について興味深い結果が出ています。確かに「医学の知識と技術」は74.9%と最も高い数字を示しましたが、それに迫る高さで「コミュニケーション能力」(62.3%)が求められていることがわかりました。この結果には、現代の医療現場を映す重要な意味が隠されています。なぜなら、医師が感じる最大のストレスは「患者やその家族からのクレーム」(49.2%)だからです。いくら医学の知識が豊富でも、患者さんやご家族との信頼関係が築けなければ、質の高い医療は実現できません。医師たちのちょっとした日常医師たちの日常生活では、思わず笑ってしまうような出来事も。友人との何気ない会話で「お大事に」と言ってしまったり、休日でも救急車のサイレンを聞くとつい反応してしまったり。「医療ドラマを見ながらツッコミが止まらない」という声も。真剣に向き合う仕事だからこそ生まれる、そんな “職業病” エピソードもまた、医師ならではかもしれません。 医師たちが感じる「本当のやりがい」医師のやりがいは、具体的にどんなものなのでしょうか?全国の医師435人に聞いた調査結果が、その答えを教えてくれます。最も多かった回答は「患者やその家族から感謝されたとき」(63.7%)。次いで「人の命を救えたとき」(40.7%)、「手術や治療が成功したとき」(35.4%)、「患者やその家族の笑顔を見たとき」(31.7%)と続きました。これらの数字が示すのは、人々の命と幸せに直接関わる医師の仕事の本質といえるでしょう。また、医師の仕事は診療科によって大きく異なります。内科、小児科、外科、産婦人科、救急科、精神科など、その専門分野はじつに多彩。それぞれの診療科で求められる適性もさまざまです。たとえば、精神科医は「人の心理を理解したい」という思いから、整形外科医は「スポーツ医学への興味」から、産婦人科医は「出産の神秘的な体験に関わりたい」という理由からその道を選んでいます。つまり、医師という職業には、子どもたちの様々な興味や才能を活かせる可能性が広がっているのです。お子さんの「得意」や「好き」が、将来の専門分野を選ぶヒントになるかもしれません。引用元:(公財)川野小児医学奨学財団調べ知っておきたい医療現場の現実そしていま、医師の働き方が大きく変わろうとしています。2024年4月、「医師の働き方改革」がスタートしました。この改革は、医師の長時間労働を適切な範囲に抑え、より健康的な環境で医療を提供できるようにすることを目指しています。具体的には残業時間の上限を設定し、持続可能な医療体制の構築を進めているのです。しかし改革開始から約半年が経った現在でも、7割近く(69.2%)の医師が「変わらない」と回答。また、「研究に割ける時間が少ない」(51.0%)という課題も浮かび上がってきました。ですが、ここで注目したいのは、明るい未来への手がかりです。調査によると、日本の医学研究レベルを「普通以上」と評価する医師が7割を超えていることがわかっています。世界でも高く評価される日本の医療技術と研究力は、着実に次世代へとつながっていくはずです。20年後、30年後に日本の医療技術を引っ張って行くのは、あなたのお子さんかもしれません。【日本の医学研究のレベルを「高い」または「普通」と回答した理由】引用元:(公財)川野小児医学奨学財団調べ川野小児医学奨学財団の調査によって、医師という職業の本質が見えてきました――。必要とされるのは、「医学の知識と技術」(74.9%)、「コミュニケーション能力」(62.3%)、そして「体力」(35.2%)。これら3つの要素がバランスよく備わっていることが大切です。しかし、さらに重要なのは「世の中の役に立ちたい」(48.3%)という志。そして、その志に応える患者さんからの「ありがとう」(63.7%)という言葉が、医師たちを支えているのです。小児科、外科、内科、産婦人科など、それぞれの診療科に特徴があり、必要とされる資質も違います。だからこそ、子どもたちの個性や興味を活かせる可能性が広がっていると言えるでしょう。***「将来、お医者さんになりたい!」そんな言葉を聞いたとき、親としてどう答えますか?まずは「どんなお医者さんになりたいの?」と、子どもの思いを聞いてあげてください。この記事で紹介した医師たちの生の声が、子どもたちの「夢を考えるきっかけ」になれば幸いです。「お医者さんになりたい!」という子どもの夢は、きっとその子らしい形で育っていくでしょう。(参考)公益財団法人川野小児医学奨学財団公益財団法人川野小児医学奨学財団|財団設立 35 周年記念【医師・研究者 435 名へのアンケート調査】PR TIMES|失われた息子の命をきっかけに設立した「川野小児医学奨学財団」ー小児医療をめぐる課題に取り組む中で感じた、子どもたちの心と体を守るために必要なこと
2024年12月24日クリスマスが近づくと、子どもたちへのプレゼントで悩む方も少なくないでしょう。特に未就学児・小学生には知的好奇心を刺激する贈り物がおすすめです。この記事では、理科実験キットと図鑑を軸に、子どもたちが楽しみながら学べるプレゼントを提案します。理科離れが懸念される現代だからこそ、科学への興味を育むことが重要です。しかし、放っておいても子どもの科学への興味はなかなか芽生えないもの。そんななかで注目したいのが、理科の実験キットや図鑑の活用です。これらを通じた体験的な学びは、科学的思考力を育み、中学受験はもちろん、大学受験やその後の社会人としての成功にも結びつきます。本格実験キットで科学のおもしろさを体験!「学研の科学」シリーズ理科実験キットは、子どもたちの好奇心を刺激し、科学への興味関心を育むのに最適なアイテムです。2024年のクリスマスには、子どもたちが夢中になれる実験キットをプレゼントして、科学の世界への扉を開いてあげましょう。子どもたちが夢中になる本物の科学体験を提供する「学研の科学」シリーズには、自宅で本格的な科学実験ができるキットが付いています。キットを組立て、実験・観察をしたり、自分で問いを見つけて答えを探す楽しさを感じたりと、一歩先をゆく科学体験ができますよ。大人も思わず夢中になるほど本格派のキットは、家族のコミュニケーションにも一役買ってくれそうです。≪実験キットの選び方≫理科実験キットは、対象年齢やテーマ、難易度などを考慮したさまざまな種類のものがあります。子どもたちの興味関心や年齢に合わせたキットを選ぶことで、より一層実験を楽しめるでしょう。たとえば、低学年以下の子どもには、簡単な操作で楽しく実験できるキットがおすすめ。生き物や鉱物などの身近なテーマを取り扱った実験キットは、子どもたちの好奇心を刺激し、科学への興味関心を育むのに最適です。高学年の子ども向けには、より高度な実験に挑戦できるキットを!宇宙をより身近にする天体望遠鏡など、より専門的なテーマを取り扱った実験キットは、子どもたちの知的好奇心を満たし、科学的な思考力を育むのに役立ちます。【注目商品1】『学研の科学 天体望遠鏡』(2024年12月発売)プロも認める高性能な天体望遠鏡が付いた宇宙観測体験キット。2種類の倍率(15倍・45倍)の接眼レンズ付きで、土星の環や月のクレーターまでくっきり観察できます。家族で星空観察や理科の自由研究など、楽しみ方は無限大!推奨年齢:小学校中学年~特に向いているお子様:夜空や宇宙に興味がある親子で楽しめる度:★★★★★(星空観察は家族の思い出に)【注目商品2】『学研の科学 万能顕微鏡と標本作成キット』組み立て10分、約10cmのコンパクトサイズの手軽さで、本格的な機能が搭載されている万能顕微鏡キット。顕微鏡を変形させることで透過・反射・投影の3種類の観察ができます。最大100倍のミクロの世界を探検することで、子どもの好奇心がどんどん刺激されていきますよ。推奨年齢:小学校低学年~特に向いているお子様:生き物や自然観察が好き親子で楽しめる度:★★★★(標本作りは親子で協力)【注目商品3】『学研の科学 実験鉱物と岩石標本キット』12種類の本物の鉱物と岩石が付いたキットです。へき開、複屈折、研磨、硬度、磁性など、鉱物のユニークな性質を実験を通して学ぶことができます。実験が楽しくなる10倍観察ルーペや、専用ケースでコレクションできる本物の標本付き。推奨年齢:小学校低学年~特に向いているお子様:石集めや実験が好き親子で楽しめる度:★★★★(実験は大人の監督推奨)科学の世界をより深く知る!おすすめ図鑑シリーズ科学への興味を引き出す第一歩として、小さな子どもでも楽しめる図鑑は最適です。動物や恐竜、乗り物、からだのしくみや、宇宙など、まずは興味があるジャンルから始めましょう。「好き」をきっかけに好奇心が刺激されることで、「もっと知りたい」という知的欲求が高まり、深い思考力や考察力にもつながります。特に、しかけがあったり動画と連動していたりと、五感を刺激しながら学べる図鑑がおすすめです。理科実験キットと合わせて図鑑をプレゼントすることで、実験を通して得た知識をさらに広げることができます。図鑑の種類と選び方対象年齢:子どもの年齢に合わせた内容と難易度が適切なものを意識。低学年の子どもには、写真やイラストが多く、わかりやすい説明が書かれた図鑑がおすすめです。高学年の子どもには、より詳細な情報が載っている図鑑が好奇心をさらに育みます。興味関心:子どもの興味関心に合わせたテーマの図鑑を選ぶのはマスト。好きな動物や植物、宇宙など、子ども自身が興味をもっているテーマの図鑑であれば、自然と読み進めることができます。内容の充実度: 写真やイラストの質、説明文のわかりやすさ、情報量の豊富さなどを確認。子どもたちが興味をもち、理解しやすい内容の図鑑を選びましょう。デザイン:子どもの目を引くようなデザインであるか。カラフルな表紙やイラスト、工夫を凝らしたレイアウトなど、子どもたちが楽しく読めるような図鑑を選びましょう。 【学研の図鑑LIVEシリーズ(小学生向け)】最新の研究成果と迫力の写真で、科学的な観察力を育みます。推奨年齢:3歳~特に向いているお子様:生き物の観察や研究が好き親子で楽しめる度:★★★★(一緒に読みながら発見できる)1.『学研の図鑑LIVE 動物 新版』子どもから大人まで大満足できる動物図鑑の決定版!迫力の写真と詳細な解説で生物の進化を学べるだけでなく、動物の生態から体のつくりまで科学的に解説しています。ARアプリを使えば、迫力満点の姿を360度体感できますよ。近年では、従来の紙媒体の図鑑に加えて、インタラクティブな図鑑も人気を集めています。インタラクティブ図鑑は、音声や動画、AR(拡張現実)などの機能を搭載しており、子どもたちの五感を刺激し、より深い学びを促進します。人気の動物は見開きで詳しく解説。収録種類はなんと約840種と圧倒的なボリュームを誇ります2.『学研の図鑑LIVE 恐竜 新版』最新の研究成果を反映した古生物学の知識が満載の本格図鑑です。化石の発掘から復元までの科学的プロセスを詳しく解説、専門性の高いコラムも読み応えがあります。時代ごとの環境変化と進化の関係も学べて、大人も夢中になるおもしろさです。ほかの図鑑には載っていない最新種含む420種を掲載。超高精細イラストで絶滅した恐竜を再現しています3.『学研の図鑑LIVE イヌ・ネコ・ペット』人気のイヌ・ネコ・ペットを約460種収録。身近な動物から学ぶ生命科学の入門編とも言える図鑑です。実践的なペットの飼育知識を網羅しているだけでなく、品種改良の歴史から遺伝の仕組みまで理解できる内容になっています。大好きなペットとなかよくなるコツがわかる情報ページも充実しているので、家族で一緒に見て楽しめますよ【めくって学べるシリーズ(幼児向け)】しくみを知って理系脳を育てよう。推奨年齢:3歳〜特に向いているお子様:身のまわりのしくみや不思議に興味がある親子で楽しめる度:★★★★(しかけを一緒に楽しめる)4.『めくって学べるからだのしくみ図鑑』大人気「めくって学べる」シリーズより、めくりしかけで立体的に人体の構造が理解できて、知的欲求を高めてくれる図鑑です。人体の複雑な構造をわかりやすく図解で示すことで、医学的な正確さと子ども向けのわかりやすさを両立しています。しかけをめくると、骨や筋肉、血管や心臓、消化器、神経などからだのなかのようすがよくわかります。からだのしくみがわかれば、きっと誰かに話したくなりますよ【はっけんずかんシリーズ(幼児向け)】写真とイラストで楽しく科学の入り口へ。推奨年齢:3歳~特に向いているお子様:写真や図鑑が好きな幼児親子で楽しめる度:★★★★★(一緒に発見する喜びを共有)5.『はっけんずかん うみ 改訂版』海で暮らす生き物たちの魅力がたっぷり詰まった楽しいしかけ絵本の図鑑です。生態系の基礎が自然に学べる構成になっているので、理科への興味のきっかけづくりに最適。しかけをめくると、あっと驚くワクワク感を味わえます。海の生き物の不思議な生態に触れて、知的好奇心が育まれる一冊。図鑑ページは、小さな子どもでも理解しやすいやさしい文章で特徴を解説しています6.『はっけんずかん しょくぶつ』自然観察の第一歩として、たくさんのしかけから身近な植物の成長に興味を持つきっかけづくりに最適な図鑑です。緻密な絵と美しい写真がふんだんに使われ、季節の変化と植物の関係を学びながら絵本としても活用できる一冊です。「とびら」を開くと土のなかを覗けたり、花の咲き方を解説してくれたりと、植物の秘密を知ることができます7.『はっけんずかん たべもの』窓あけしかけの楽しい絵本図鑑です。身近な料理や食材を題材に、日常生活と科学の結びつきを実感させてくれる内容になっています。生きるために欠かせない「食」への関心を高めてくれるしかけがもりだくさん。食育にもおすすめです。イラストのしかけページと、写真で紹介する標本ページが交互に構成されており、飽きずに楽しく知識を深められます【「世界的こども百科」待望の日本語版!(小さな冒険者向け)】8.『宇宙の誕生から現代まで 138億年のこども大百科』「小さな冒険者に」ワクワクの知的体験を!科学と歴史、世界のすべてがこの1冊に融合し、「知りたい」と「考える」を育てます。カラフルな写真やイラスト、インフォグラフィックが興味を掻き立てる、最先端知識の集大成。興味をもったら関連ページに飛んで知識が広がる工夫も。読み進めるうちに「知ることの楽しさ」をどんどん実感できる構成になっています推奨年齢:小学校低学年~特に向いているお子様:好奇心旺盛な小さな冒険者たち親子で楽しめる度:★★★★★(家族の対話が増えるでしょう)***実験キットで「体験」し、図鑑で「知識」を深める――この組み合わせが、お子様の科学的思考力を育みます。年齢に合わせて選べる図鑑と、本格的な実験キットで、充実した科学の学びの時間を過ごしてみませんか? 冬休みは、ご家族で科学の不思議を探求する絶好の機会です。文/野口燈
2024年12月10日親が子どもの将来に望むのは、幸せであること――。その「幸せ」の基準や捉え方は人それぞれですが、どんな夢を実現するにも、安定した基盤があってこそ可能になります。そこで今回は、子どもが将来、社会で活躍できる力を育むために、子育ての段階で意識したいポイントをご紹介します。世帯年収1,000万円以上の親が望む、子どもの職業とは?「親ガチャ」という言葉をご存じでしょうか。経済的に恵まれた家庭に生まれることを「親ガチャ成功」と呼ぶこともありますが、実際には親の経済力が子どもの幸せを保証するわけではありません。むしろ重要なのは、子ども自身が「自分で稼げる力」を身につけることです。そのために富裕層の親たちは、子どもの可能性を広げる経験を重視します。不動産メディア「幸せおうち計画」の調査によれば、世帯年収1,000万円以上の親が望む職業の第1位は「経営者」。年収1,000万円未満の家庭では上位にもランクインしないこの結果は、富裕層の特徴的な教育観を表しています。*1では、実際に富裕層の家庭では、どのような教育を実践しているのでしょうか?富裕層が子どもの教育において実践している4つのこと富裕層が子どもの教育において意識していることは、一般家庭でも真似できそうな方法ばかりです。ここでは、具体的なポイントを4つにまとめました。できることから取り入れてみましょう。■積極的に「野外活動」や「外遊び」をさせる「どんな時代になろうとも、どんな環境でもたくましく生き抜くには『強い意志力』と『行動力』が何よりも重要」「メシが食える大人を育てる」ことを教育理念に掲げる学習塾「花まる学習会」代表の高濱正伸氏は、そう語ります。そこでおすすめしたいのが、外遊びや野外活動です。高濱氏は、「野外活動を通じて、人の指示を待つのではなく、自分から問題・課題を見つけ、自分の持てる力を最大限に発揮して解決する力を培う」と述べています。また、遊びのなかで想像力や創造性を膨らませながらミッションをやりきることで、主体性が伸びて自己肯定感もアップするという相乗効果も。野外活動によって、日常では味わえない外部からの刺激を受けることは、子どもの意欲と思考力をぐんと伸ばしてくれるでしょう。*2野外活動で育つ3つの力自然のなかでの予期せぬ出来事への対応を通じて問題解決力を育む遊びを通じて想像力や創造性を伸ばす仲間との協力で主体性と自己肯定感を高める■とにかく「さまざまな経験」をさせる「生きていくために最も必要なのは、”自分で稼ぐ力”を身につけること」元開成中学校・高等学校校長の柳沢幸雄氏もまた、そう断言しています。ただし、やりたくもない仕事でお金を稼ぐのは苦しさをともない、人生に不満を抱くようになるため、できれば好きなジャンルに関連する仕事で稼げるようにサポートしてあげましょう。親としてできることは、子どもの将来にさまざまな方向性を示し、情報を与えて「好き」と「仕事」を結びつけてあげることです。*3そのためには、わが子がどんなことに興味があるのかしっかり理解してあげる必要があります。いまいちよくわからない、という場合は「撒き餌」が有効。とにかくいろいろな経験をさせて、どんなときに子どもの目が輝くのか観察するのです。ポイントは、たとえゲームばかりしていても、頭ごなしに否定しないこと。「どうせなら自分でゲームをつくってみたら?」と視点を変えてヒントを出せば、好きなことで稼ぐ手段を考えるきっかけになります。*3「好き」を活かす3つのステップさまざまな体験を通じて子どもの興味を見つける興味をもったことを深められる機会をつくる趣味や好きなことを仕事につなげる視点を示す■「自分で判断し、決める経験」をたくさんさせる「稼ぐために必要なのは『人生を切り拓く力』である」『1億稼ぐ子どもの育て方』(主婦の友社)の著者で起業家兼個人投資家の午堂登紀雄氏は、そう指摘します。AIやロボットが台頭する現代社会では、人間にしかできない新しい価値を創造することが求められます。そこで重要になるのが、課題を自ら発見し、未知のことに挑戦する「知的好奇心」です。正解のない未知の状況に直面したとき、解決に向けて行動できる力の源にもなる知的好奇心を育むためには、知識や経験を応用して自分で判断し、決める経験が必要です。たとえば家族旅行を計画する際、日程と予算のみ提示したうえで、交通手段や宿泊先の選定、旅先でのスケジュールなどすべてを子どもに任せるのもおすすめ。このように家庭でイニシアチブをとる経験を積ませることが、自立心や責任感を育みます。*4自分で決める力を育てる3つの機会家族旅行の計画立案で予算管理を経験する複数の選択肢から最適な方法を考え判断する決めたことに責任をもつ経験を重ねる■日常会話に「お金の話題」を取り入れる未来で活躍できる大人になるには、お金との正しい付き合い方を小さいうちから学ぶ必要があります。特に現代では、キャッシュレス決済の普及により現金に触れる機会が激減し、子どもは「お金は使えば減るもの」ということが理解しづらくなっています。大人になってトラブルに巻き込まれないように、お金が理解できるようになる3~4歳から金銭感覚の土台を築くのも、決して早すぎることはありません。ファイナンシャルプランナーの八木陽子氏が推奨するのは、日常会話にお金の話題を取り入れること。たとえばインターネットで注文するときに「送料はいくらかかるのか見てみよう」「ほかのサイトと見比べて、お得なほうを選んでみよう」など、お金を使う場面でのちょっとした声かけでも十分です。*5さらに、ファイナンシャルプランナーの住谷一幸氏が提案する「予算やりくり大作戦」も効果的です。買い物をする際に、子どもに「1000円以内でカレーをつくりたいから、材料を選んでくれる?」と伝え、予算内で材料を揃えさせます。量の違いや産地、賞味期限などさまざまな要因によって値段が異なることに気づいたり、欲しいものと必要なものが区別できるようになったりするので、子どものマネー教育も兼ねたお手伝いとして親子のコミュニケーションにも役立ちますよ。*6お金の感覚を育む3つの習慣買い物時の価格比較を一緒に行なう予算内でやりくりする体験を提供する日常的な金銭の話題で感覚を養う***社会で活躍できる力を養うには、小さいうちから知的好奇心を育んであげることが大切です。また、語学やスポーツと同じように、生活に必要な基礎知識も幼少期から自然に身につけていくほうが、大人になってから苦手意識をもつことも少なくなります。子どものうちからさまざまな経験を重ね、必要な知識や考え方を学んでおくことで、将来的により多くの選択肢をもつことができ、生活の安定や安心にもつながります。富裕層の家庭で実践されているこれらの教育方法を、ぜひ家庭でも取り入れてみてください。文/野口燈(参考)(*1)参考:AZWAY|【子どもに就いて欲しい仕事ランキング】回答者490人アンケート調査(*2)参考・カギカッコ内引用元:@DIME|偏差値よりも大事!わが子を“メシが食える大人”にする方法。花まる学習会代表・高濱正伸さんに聞いた【PR】(*3)参考・カギカッコ内引用元:ダイヤモンドオンライン|子どもに“稼ぐ力”を身につけさせるには(*4)参考・カギカッコ内引用元:日経BizGate|ひらめきブックレビュー『1億稼ぐ子どもの育て方』(*5)参考・カギカッコ内引用元:三菱地所のレジデンスクラブ|お金に強い子どもに!家庭でできるマネー教育(*6)参考・カギカッコ内引用元:NHK 広島放送局|いま大注目!子どものマネー教育(*7)参考:りそなグループ|お金の教育は子どものうちからはじめよう!金融教育の重要性と教育方法
2024年12月03日■思春期に入った!?■性教育を始めたキッカケ■自分の身体のことを全然知らなかった!?ゆるっと性教育、始めてみよう! というわけで、我が家の性教育のお話です。私が性教育を始めようと思ったのは、自分の病気がわかったことがキッカケ。9年前、私は初めて生理前の不調に病名(月経前不快気分障害)があることを知りました。そのときに思ったのは、「こういうことって義務教育の性教育で教えてもいいんじゃない?」ってこと。いろいろ調べてみると、性教育は命の教育だなと考えさせられたし、海外に比べて日本の性教育はかなり遅れていると思いました。そこで、自分でできる範囲で性教育をやっていこうと決意したのです。次回に続く「ゆるっと性教育」(全16話)は12時更新!
2024年11月25日「この子、賢いねえ」約10年間の教員生活のなかで、私がそう感じる子どもたち。意外かもしれませんが、それは必ずしも、「テストが得意な子」でもなく、先生の言うことをよく聞くいわゆる「いい子」でもありませんでした。じつは、先生たちが「賢いな」と感じる子どもには共通点があるのです。今回は、教室での何気ないエピソードを通して、私たち教師が感じている「本当の賢さ」についてお話ししたいと思います。きっと、お子さまの新たな魅力に気づくヒントが見つかるはずです。先生たちが「賢い」と感じる子どもの5つの特徴約10年間の教員生活で出会った数多くの子どもたち。そのなかで「この子は賢いな」と感じる瞬間は、意外にも思いがけない日常の場面で訪れることが多いのです。5つの特徴を見ていくと、それがテストの点数とは違う部分にあることがわかると思います。特徴1:独自の視点をもっている「春の学校探検はどうでしたか?何か見つけましたか?」2年生生活科での学習の場面です。この問いかけに対して、多くの子は「虫がいたよ」「チューリップがきれいでした」という無難な答えを返します。でも、ときどき、こんな答えが返ってくることがあります。「チューリップ、この前はまだつぼみだったのにね」「あったかくなってきたんだね」「虫も嬉しそうにお花にたくさん集まっていたよ」これは暗記した知識や、大人の期待に応えようとする発言ではありません。自分の目で見て、自分なりに考えた素直な感想です。こんなふうに、誰も指摘していない些細な変化に気づき、自分なりの言葉で表現できる視点をもっている子はとても少数ですが、そういう子こそ「賢い」と感じます。特徴2:「空気を読む」のではなく「状況を理解している」「給食のとき、同じ班のAさんが元気なかったから、声をかけました。でも、今日はひとりで静かに食べたいって言うから、そっとしておきました」3年生を担任していたとき、お昼休みにクラスの子がそう教えてくれました。一見、何気ない出来事の報告に聞こえます。でも、この発言には重要な要素が含まれています。「友だちを気づかう優しさ」と「その子の気持ちを受け入れる判断力」です。「みんなで仲良く」が大切なのもわかる、そして、ときにはひとりの時間も必要だと理解できる。これは、単なる「いい子」の行動とは違う、深い思いやりの表れです。場の空気を読んで同調するのではなく、相手の気持ちを理解したうえで適切な判断ができる子は非常に珍しく、じつは彼らこそが本当の意味で「賢い」子どもたちなのです。特徴3:「考える力」が育っている算数の文章題を解くとき、多くの子は答えを見つけたらそこで満足してしまいます。一方で、「もっと別の解き方はないかな」「どうしてこうなるんだろう」と考え続けたり、それを友だちに説明したりする子がいるのです。「先生、この問題の別の解き方を見つけました」「Bさんの説明を聞いて、もっと簡単な方法を思いつきました」問題をよく理解している子は、すばやく正解にたどり着きます。でも、その後もさまざまな角度から考え続け、より深い理解を目指そうとするのです。そういう子は、限られた授業時間を最後まで有効に使って学び続けています。答えを見つけてからも、そこから更に「なぜ?」を追求し、友だちと一緒に考えを深められる――そんな「熟考型」の子どもたちこそ、本物の「賢さ」をもっているのだと実感します。特徴4:知識の「つなぎ合わせ」ができる「先生、前に習った漢字と似てるね」「この計算、前の問題と似てる気がする」教科書の内容を上手に暗記できる子はたくさんいます。でも、習ったことを自分の言葉で説明したり、以前の学習と結びつけたりできる子は、より深い理解に近づいていると言えます。学びとの出会いのなかで、過去の知識と新しい知識をつなぎ合わせられる子は、じつは多くありません。しかし、こうした子どもたちのなかに、確かな「賢さ」を感じるのです。特徴5:「なぜ?」を大切にしている「先生、雨のあとにどうして虹が出るの?」「どうして言葉は国によって違うの?」4年生との休み時間の会話のなかで不意に出てきたこの何気ない質問。授業内容からは少しずれた質問かもしれません。でも、こうした素朴な疑問こそ、学びの原点です。与えられた日常を当たり前に受け入れるのではなく、自分で考える習慣は、とても価値があると思いませんか。目の前のことをただ受け入れるのではなく、純粋な好奇心から「なぜ?」を発する子どもは意外と少なく、そんな素直な問いかけができる子こそが、確実に「賢く」育っていくのです。要注意!親が勘違いしがちな「賢さ」のサイン「ごみの分別は大切だと思います。私も家でしっかり気をつけています」「温暖化防止のために、エアコンの設定温度に気をつけたいです」「食べ物は残しません。食品ロス問題のことを学んだからです」特に高学年になると、こうした模範的な発言をする子どもを、大人は「賢い」と高く評価しがちです。確かに、学んだことをきちんと理解して実践しようとする子は「いい子」かもしれません。また、社会問題について関心をもっているように見えることから、意識が高いと感心する保護者も少なくありません。しかし、こうした発言の多くは、授業や教科書で学んだ内容、または大人から聞いた言葉をそのまま覚えているだけかもしれないのです。テレビで見聞きした内容を、うまく引用しているだけの可能性もあります。本当に大切なのは、その子なりの考えや気づきではないでしょうか。「なんでプラスチックでも燃えるごみに入れるものがあるか調べてみよう」「教室のエアコン、冬と夏で設定温度が違うよね」「給食の野菜ってどこから届くのかな」前出の意見と比べると、ときとして稚拙に聞こえるかもしれない、でも子どもらしい純粋な疑問や考察のほうが、その子の知的な成長を物語っています。なぜなら、これらの問いかけは、実際に目にしたことや体験したことから生まれた「自分ごと」としての思考だからです。教室で出会う子どもたちを見ていると、立派な意見を言える子より、素朴な「なぜ?」を発する子のほうが、着実に考える力を育んでいると感じることが多いのです。知識をそのまま覚えるのではなく、自分の頭で考えようとする姿勢のほうが、はるかに価値があるのかもしれません。本当の知性を育むために親ができること子どもの「賢さ」は、大人が意図的に育てようとするほど、むしろ伸びにくくなってしまうものです。大切なのは、子どもの小さな気づきに寄り添い、のびのびと考えられる環境をつくること。そのために親ができる3つのポイントをご紹介します。【親ができること1】子どもの「違和感」を大切にする「おかしいな」「なんでだろう」――子どもが感じる小さな違和感。それは新しい発見の種です!でも、つい私たち大人は「そうじゃなくて、こうだよ」と正解を急いで教えてしまいがち。そんなとき、こんな言葉をかけてみてはどうでしょうか。「どうしてそう思ったの?」「〇〇ちゃんなりの考え方があるんだね」「そうやって考えるのは、おもしろいね」「その考え方は、お母さん(お父さん)も思いつかなかったよ!」子どもの「違和感」に寄り添うことで、考える力は着実に育っていきます。大切なのは、子どもなりの「なぜ?」を否定せず、むしろその気づきを認めてほめること。たとえ、大人から見ると筋違いな疑問でも、子どもの思考の芽を育てるチャンスだと考えてみましょう。その小さな「違和感」こそが、やがて創造性や探究心につながっていくのです。【親ができること2】「正解」を求めすぎない学校のテストには確かに正解があります。でも、生活のなかのさまざまな場面では、必ずしもひとつの正解があるわけではありません。むしろ、答えが複数あることのほうが多いのです。そんなときは、こんな言葉をかけてみましょう。「そうかもしれないね」「違う考え方もできそうだね」「その方法でうまくいったね。ほかのやり方も試してみる?」「正解じゃなくても、よく考えたね」大切なのは、子どもが自分で考えるプロセス。必ずしも「正解」にたどり着かなくても、考える過程で気づきや学びがあれば、それは十分価値のあることです。子どもの柔軟な発想を認めることで、思考の幅は着実に広がっていくのです。【親ができること3】「考える時間」を確保する習い事や学習で忙しい毎日。「少しでも多くの経験を」と、つい予定を詰め込んでいませんか。じつは、ソファーでぼんやりしたり、ただ積み木を並べたりといった「何もしていないように見える時間」も、子どもの知性を育む大切な栄養になります。そんな時間を大切にするために、こんな声かけを意識してみましょう。「今日は何して遊びたい?」「急がなくていいよ。ゆっくり考えてみよう」「自分の好きなようにつくってみたら?」「つまらなそうにしているけど、何か考えごと?」スケジュールに追われるのではなく、「ただボーッとする時間」「じっくり考える時間」「夢中になれる時間」を確保することが、子どもの思考力を育てる重要な土台となるのです。***これからの時代に必要な「賢さ」とは?知識を詰め込み、テストで高得点をとることは、確かにひとつの力です。でも、これからの時代に本当に必要なのは、自分で考え、気づき、新しいものを生み出していく力ではないでしょうか。その意味で、子どもの素直な疑問や、ときには大人の予想を超えた発想にこそ、未来につながる「賢さ」の芽が隠れているのかもしれません。私たち大人にできることは、その芽を見つけ、そっと育んでいくこと。そして、子どもたちが自分らしい「賢さ」を伸ばしていけるよう、温かく見守っていくことなのだと思います。【ライタープロフィール】未来先生(みらい・せんせい)教育学科で学び、小学校免許や中学校英語免許を取得。小学校にて担任や英語専科教員として約10年間勤務、子どもたちの学びを支えてきました。現在は、2人の男の子の育児に奮闘しながら、これまでの知識と経験を生かして、子どもの成長と学びに役立つ情報をお届けしています。
2024年11月21日「もっと上手に描けるようになってほしい」「友だちと比べて絵が稚拙なのが心配」子どもの絵をめぐって、親たちの悩みは尽きません。でも、AIの進化が加速する時代だからこそ、子どもの自由な発想を大切にしたい。むしろ「変な色」や「へんてこな形」こそが、将来を生き抜く力になるかもしれないのです。アート教育の専門家たちは、子どもの創造性を伸ばすために「親がすべきこと」「してはいけないこと」について、さまざまな提言をしています。その知見をもとに、子どもの個性を伸ばすヒントを探ってみましょう。「発想力の豊かな子」は将来AIに負けない人材になる私たちの子どもたちが生きていく未来では、すでに確立された知識や手法をもっているだけでは通用しない時代になっています。なぜなら、純粋な知識量では、私たち人間はもはやAIに太刀打ちできないからです。これからの時代を生き抜くために必要なのは、AIにはない「人間らしい発想力」です。そして、その土台となるのが子どもの頃から育む「好奇心」なのです。たとえば、砂場で遊ぶ子どもが、ただの石ころを見つけたとき、発想力豊かな子どもは「これは恐竜の化石かもしれない!」と想像をふくらませます。また、公園で拾った落ち葉は、大人には単なるゴミかもしれませんが、子どもの自由な発想力があれば、色の違いを楽しんだり、穴を開けてお面をつくったりと、すばらしいおもちゃに変身するのです。このように、「なにものでもないもの」から新しい価値を生み出す力は、将来的なイノベーション能力の基礎となります。それは単に知識を詰め込むだけでは得られない、創造的な経験の積み重ねによって培われるのです。教育評論家の本山勝寛氏は「子どもの『好き』を大切にすることが、イノベーション能力を伸ばすためにもっとも重要」と断言しています。たとえば、ハムスターが大好きな子どもは自らハムスターを主人公にした絵本をつくり、ザリガニに夢中な子どもは「ザリガニオリンピック」という独創的な自由研究を行なう――。このように、子どもの興味から始まる自由な発想と創造的な活動が、将来のイノベーション人材を育てる礎となるのです。*1子どもの自由な発想に蓋をしないことが大切子どもの自由な発想を育むために、私たち大人が気をつけるべきことがあります。それは、子どもの発想に「これはダメ」という否定的な言葉をかけないこと。子どものアート教室を主宰するデザイナーの當原容一郎氏は「否定したらアイデアが出なくなってしまう」と指摘します。たとえば、粘土遊びをしているとき、子どもが予想外の形を作り出したとしても、それを否定する必要はありません。「失敗したら一度壊して、またつくればいい」というように、むしろチャレンジを後押しすることが大切なのです。*2また、美術教育の専門家である後藤和人氏は、アートのおもしろさについて、料理にたとえて説明します。「カレーのルーがなければカレーはつくれませんが、アート的な観点で考えると、ルーがなかったら味噌を入れて豚汁にしてしまえばいい」と言うのです。つまり、アートには正解がないからこそ、むしろ材料が足りないような状況でこそ、子どもたちの創造性が育まれるチャンス。「これがない」「あれが足りない」という状況を、私たち大人はつい否定的に捉えがちです。しかし、そんなときこそ「これを代わりに使ってみよう!」という発想の転換が生まれます。そして、この「ある物をうまく利用する」という経験は、単にアートの創造性を育むだけでなく、将来的な「生きる力」にもつながっていくのです。*3私たち大人に求められているのは、子どもの予想外の発想や行動を否定せず、むしろその自由な発想を受け止め、伸ばしていくこと。そうすることで、子どもたちは自分の創造性に自信をもち、新しいアイデアを生み出す喜びを知っていくでしょう。4つのNGワードと、創造力を伸ばす “声かけの魔法”子どもの絵を見たとき、私たち親は「上手だね」「これは何を描いたの?」と、つい同じ言葉を繰り返してしまいます。でも、そんな何気ない一言が、子どもの創造力の芽を摘んでしまうことも……。そこで、アート教育の現場から、子どもの感性を解き放つ “新しい声かけ” のヒントを探ってみました。NGワード1:「上手だね」「上手だね」とほめられ続けると、子どもは「ほめられるために絵を描く」ようになってしまいます。その結果、「これ、上手?」と常に承認を求めるようになり、絵を描く本来の楽しさを見失ってしまうかもしれません。(アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室主宰・今泉真樹氏)こう言い換えてみよう!「個性があるね」「楽しい気持ちになるよ」「この色、きれい。どうやってつくったの?」工夫した点を具体的にほめるほかの子と比較せず、作品への感想を丁寧に伝えるNGワード2:「これは何を描いたの?」子どもは必ずしも何かを描こうと思って描いているわけではありません。また、色の選び方に正解もありません。たとえば、あるコンクールでは、夏を赤色で表現し、青い水と対比させた大胆な配色の作品が受賞しています。空や海にだって、さまざまな表情があり、見る人によって感じ方は違います。子どもが選んだ色を「大正解」として受け止める姿勢が大切なのです。(海外で美術教室を主宰・YUKA氏)こう言い換えてみよう!「どんな色が『ワクワク』した気持ちに似合うかな?」「この色の組み合わせ、おもしろいね!」子どもの選んだ色を否定せず、その選択を尊重するNGワード3:「まずはね……」「こうやって描くんだよ」一から手順を説明しながらの制作は、おすすめできません。親の手が入った絵は、どんなに上手に描けても「親の言う通りに描かされた」「僕(私)の絵はダメだったんだ」という気持ちにさせてしまうからです。(海外で美術教室を主宰・YUKA氏)優しさから手を貸しすぎてしまう親御さんを見かけますが、もう少し子どもの力を信用して見守ってあげてほしい。完成したもののクオリティよりも過程が楽しめることが大切です。きっと自分の力でつくったものには愛着が生まれ、ものを大切に思う気持ちも育めるでしょう。(イラストレーター・サタケシュンスケ氏)こう言い換えてみよう!子どもの感性を信じて、好きなように描かせる色の選び方は子どもに任せる「失敗しても大丈夫!」その方が学びが大きいと伝えるNGワード4:「汚しちゃダメ」子どもたちは常に好奇心でいっぱい。でも「汚してはダメ」と制約されがち。たまには、ブルーシートを広げて「今日は汚してもいいよ」と、好奇心の赴くままに楽しませてあげましょう。(アトリエ・ピウ 知育こどもアート教室主宰・今泉真樹氏)ただし、完全な自由ではなく、「使っていい場所」「使っていい道具」は最初に決めておくことが大切。ルールを途中で変更するのは避けましょう。そうすることで、子どもは安心して創作に没頭でき、親も笑顔で見守れます。(美術教育専門家・後藤和人氏)こう言い換えてみよう!「今日は汚してもいいよ!」「この場所で描いてもいいよ」「この道具を使ってね。こっちは使えないよ」「正解」を求めない時間から生まれた、娘の自由な発想「今日は好きな色を使って、自由に描いてみようか」そう声をかけて、5歳の娘に新しい画材を渡してみました。これまでは「空は青、おひさまはオレンジ」と、つい色の指定をしてしまっていた筆者。でも今日は、専門家の先生方のアドバイスを思い出しながら、娘の好きなように描いてもらうことにしました。すると驚いたことに、キャラクターの白目の部分を青で塗り始めたのです。「え!?」と思わず声が出そうになりましたが、ぐっと我慢。すると娘は楽しそうに、次々と自分の好きな色を重ねていきます。紫と赤とピンクの歯の熊、ピンクと赤を組み合わせた猫……。私の想像をはるかに超える色使いに、娘はとても満足そう。「ママ、できたよ!」という声に、いつもなら「上手だね」と言っていたところを、「ピンクと赤の猫さん、かわいいね。熊さんの歯の色もすてき!」と、具体的に感想を伝えてみました。すると娘は「次は違う色で描いてみる!」と、さらに意欲的に。これまで「正しい色」を教えようとしていた私でしたが、子どもの自由な発想を信じることで、こんなに楽しそうに描けるんだと、新しい発見がありました。たしかに、前出の今泉氏が言うように、「写真のように正確に描くこと」が正解ではありません。むしろ、子どもならではの自由な発想こそが、将来のイノベーション能力につながっていくのですね。今日の経験を活かして、これからも娘の創造性を伸ばしていきたいと思います!***今回使用したのは、コピックから新登場した水性の不透明カラーマーカー「コピック アクレア」です。裏うつりの心配がなく、乾くと耐水性になるため、子どもでも安心して使えました。重ね描きができ、紙以外の素材への着彩も可能。印刷されたイラストや写真の上にもきれいに発色するので、絵や模様、文字を描き足すこともできます。なお、現在「あつまれ!アクレアフレンズ」キャンペーンを実施中。絵本作家のtupera tuperaさんがデザインした個性豊かなキャラクターたちのワークシートがもらえ、自由に描き込んでオリジナルキャラクターをつくれます。(参考)*1 参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「ただの石でも化石に見える」?自分で新たに生み出す経験が育むイノベーション能力*2 参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|“発想力”と“プレゼン力”を重視する『こどもデザイン教室りねあ』、アイデア無限の「陶芸レッスン」*3 参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|材料たったの2つ!想像力がぐんぐん育つ「X’masデコレーションアート」STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|つい言ってしまう「上手だね」。もっとお絵かきが純粋に楽しくなる大人の言葉STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「汚してもいいよ」で子どもの好奇心を発揮させる!未就学児から楽しめるアート活動STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|創作意欲と感性が溢れ出す!夏休みポスターの描き方テクニック【小学生向け】STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|【プラス クリエイティブな生き方】 多様化のすすむ世の中で自分らしさを感じる大切さとはコピックコピック アクレア
2024年11月14日厳しい寒さのなかにこそ、子どもの成長のチャンスが隠れています。雪の結晶に触れ、凍てつく空気を感じ、仲間と協力して冬の自然を楽しむ――そんな体験が、子どもたちの「生きる力」を育てます。北国では「雪育」という言葉があるほど、冬の自然体験には子どもの成長を促す豊かな可能性が秘められているのです。今回は、冬ならではの自然体験がもたらす、すばらしい効果と厳選した15の体験プログラムをご紹介します。この冬、お子さまの新しい冒険を応援してみませんか?自然体験がもたらす教育効果が多すぎる!自然のなかでのびのびと遊ぶことは、子どもにとって何物にも変え難い体験です。嬉しいことに、自然と触れ合う時間は楽しいだけではなく、教育効果も抜群なようです。専門家も認めるその効果を見てみましょう。【教育効果1】「たくましく生きていく力」が育つ国立青少年教育振興機構元理事で子ども教育のスペシャリストである鈴木みゆき氏は、自然体験は子どもたちの「たくましく生きていく力」を育てると断言しています。その力を具体的に説明しましょう。「たくましく生きていく力」とは「感じる力」:複雑な自然音(木々の葉のこすれる音、せせらぎ、虫や鳥の声)や光、闇などを通じて、子どもの感性が確実に高められます。「やり抜く力」:山登りやカヌーなどの体験活動を通して、困難に立ち向かう力が育まれます。「関わる力」:野外炊事などの集団活動を通じて、仲間との協力が必要となり、話し合いや励まし合いによる問題解決能力が培われます。 これらの力は相互に関連し合い、「耐える力」や「乗り越える力」の獲得にもつながるのです。また、自然のなかでの活動は、室内での同様の活動よりも子どもの興味を引き出し、より効果的な学びの機会となるでしょう。*1鈴木みゆき氏|自然体験についてのインタビューはこちら『「体験」が、子どもたちのやり抜く力や感じる力を育んでいく――子どもに自然体験をさせることの教育効果』【教育効果2】「新しいことに挑戦する力」が育つ佐藤初雄氏が理事長を務めるNPO法人国際自然大学校では、夏のキャンプ、冬のスキーだけでなく、川遊び、地図を見ながらの探検、アウトドアクッキング、10kmのチャレンジハイクなどの活動を提供しています。これらの自然体験を通して子どもたちは、「自分に自信をもつこと」「『やればできる』という気もち」「新しいことに挑戦する力」「人との関わり方」を育んでいくのです。注意すべきは、欲張りすぎないこと!大人はせっかくだからといろいろやらせようとしがちですが、子どもたちが過ごしたいように過ごさせてあげる――それだけで十分に教育効果があります。家族で行くキャンプなら、ただテントを張ってご飯を食べるといったことでもいいし、その近くを散策する程度でも十分。自主的で自由な体験こそが、最高の学びにつながるのです。頭で考える前の「感性で動く」子どものうちに、なるべく多くの体験をさせてあげてください。*2佐藤初雄氏|自然体験についてのインタビューはこちら『キャンプに「せっかくだから」は不要!子どもが自ら学ぶ、自然のなかでの“シンプルな”過ごし方』『“日常的に”自然で遊ぶメリット。「感性で動く」幼少期に多くの自然体験をすべき理由』次項では、教育効果抜群のおすすめ冬プログラムをご紹介します。冬のおすすめ自然体験1:人気のスキーキャンプ!冬のアクティビティの筆頭がスキー。「雪育」*を勧める長野県はスキーなどの雪体験に次のような効果があると紹介しています。(*)「雪のある自然環境を活用しながら、子どもの発達を促す教育的関わり「雪育」の教育効果4つ■「非日常的な感覚運動体験」雪に触れる冷たさや滑走の爽快感は、普段の生活では体験できない特別な感覚です。ときとして厳しさを感じる雪との出会いも、日常では得られない体験として、子どもの成長に大きな価値をもたらします。■「『自律性』の発達」スキーやボードでは、周囲の状況を見ながら、自分で「止まる」「曲がる」「速さを変える」などの判断が必要です。うまく動けないときも、さまざまな方法を試して乗り越えなければいけません。自ら考え工夫する過程と、できたときの達成感は、子どもの自律性を大きく育てるでしょう。■「親との豊かな体験の共有」雪上スポーツや雪遊びを家族で楽しむと、子どもは親との絆を感じ、共通の話題が生まれます。親も一緒に遊ぶことで自然と会話が増え、子どもへの理解が深まるでしょう。親子一緒の雪遊び体験が、よりよい親子関係を築くきっかけとなります。■「友達とのふれあいや切磋琢磨」スキー教室や子ども向けキャンプへの参加は、友だちとの交流だけでなく、互いに高め合う機会となります。この経験は、子どもの心の成長において、かけがえのない要素となっていくのです。このような仲間との時間が、子どもの豊かな人間性を育みます。*3【2024年冬】スキーキャンプ10ツアーでは、この冬のスキーキャンプ10ツアーをご紹介します!未就学児も参加可能なプログラムもありますので、チェックしてくださいね。【菅平エンジョイスキー】(NPO法人 国際自然大学校)日程:2024/12/26~29(3泊4日)対象:小1〜中3※スキー経験者(初級〜中級)詳細は→【スキーキャンプ|薮原プラン】(アルプス子ども会)日程:2024/12/22~26(4泊5日)対象:小2〜中3※一定経験のある小1は参加可能詳細は→【公式ライセンスが取得できるスキースクール】(プラスワン教育)日程:2025/1/3~1/5(2泊3日)対象:小1〜中3詳細は→【雪の教室】(ハイジキッズアカデミー)日程:2024/12/24~26(2泊3日)対象:小2〜高3詳細は→【スキーキャンプ(冬休み) エンジョイスキー】(ヤックス自然学校)日程:2024/12/28~12/30(2泊3日)対象:小1〜中3 ※初心者参加可能詳細は→【関西出発 そらまめ冬のスキーキャンプ 5days≪マンツーマンコース≫】(そらまめキッズアドベンチャー)日程:2024/12/26~12/30(4泊5日)対象:小1〜中3詳細は→【スキッズ・キャンプ】(八幡平リゾートスノーアカデミー)日程:2024/12/21~2025/3/23(スキー場営業期間中)のデイキャンプ※半日(2時間)、1日(4時間)レッスン/6段階のステップアップ方式対象:3歳〜小6詳細は→【WC2 フレッシュスキーキャンプ(初心者)】(東京YMCA)日程:2025/1/4~1/7(3泊4日)対象:年長〜小学4年生詳細は→【年末/年始プラン―志賀高原中央エリアスキー場】(キャンプシップアカデミー)日程:2024/26~29(3泊4日)/2024/12/28~30(2泊3日)/2025/1/3~1/6(3泊4日)対象:キッズコース/年長〜小3 ※前後年齢相談可能ジュニアコース/小4〜中3詳細は→【富士山1DAYスノーツアー】(TSS KIDS)日程:[1]2024/12/22~12/23 [2]2025/1/25~1/26(1泊2日)対象:雪遊びコース/年中〜小6スキーコース/小1〜小6詳細は→冬のおすすめ自然体験2:スキー “じゃない” 雪プログラム冬遊びはスキーだけではありません。雪に触れるだけで教育効果が期待できます。国土交通省のガイドブックでは、雪を体感する自然体験について、「子どもたちの自主性や想像力、協調生、好奇心を引き出すなどの教育効果もあり、雪は豊富な教育的素材」と明記しています。*4さあ次は、スキー “じゃない” 雪プログラムをご紹介しましょう!【夜空に輝くスカイランタン&スノーラフティング・冬のキラキラキャンプ2days】(そらまめキッズアドベンチャー)日程:2025/2/1~2/2(1泊2日)対象:年長〜中3詳細は→【WC1 冬のふじさんぽ】(東京YMCA)日程:2024/12/26~2024/12/28(2泊3日)対象:年中〜小6詳細は→【あそびのかんづめ】(アルプス子ども会)日程:[A] 2024/12/22~12/26 [B] 2024/12/26~30 [C] 2025/1/3~1/7(4泊5日)対象:[A] 年中〜小4 [B] 年長〜小4 [C] 年長〜小2詳細は→【南魚沼とことん雪遊びキャンプ】(NPO法人 国際自然大学校)日程:[1] 2025/1/5~7 [2] 2025/2/22~2/24 (2泊3日)対象:年長〜小3詳細は→【赤城山スノーエンジョイキャンプ】(プラスワン教育)日程:2025/2/8~2/9 (1泊2日)対象:小1〜小6詳細は→気になるプログラムやツアーがあったら、ぜひ参加を検討してみてください。***「頭で考える前に『感性で動く』子どものうちに、なるべく多くの体験をさせてほしい」と前出の佐藤氏は強調しています。吸収力のある子どものうちに、充実した冬の自然体験をさせてあげたいものです。「すごく楽しかったから、また来年も行きたい!」と、毎年スキーツアーに通う子どもも一定数います。今年の冬は、お子さまに最高の自然体験をプレゼントしましょう!(参考)*1 参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|「体験」が、子どもたちのやり抜く力や感じる力を育んでいく――子どもに自然体験をさせることの教育効果*2 参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|キャンプに「せっかくだから」は不要!子どもが自ら学ぶ、自然のなかでの“シンプルな”過ごし方STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|“日常的に”自然で遊ぶメリット。「感性で動く」幼少期に多くの自然体験をすべき理由*3 参考・カギカッコ内引用元:GoNAGANO長野県公式観光サイト|雪と教育*4 参考・カギカッコ内引用元:環境に優しい雪国づくり研究会(発行:国土交通省)|雪に学び雪を楽しむ
2024年11月13日ボーディングスクールが日本で増えつつあるのをご存じですか? ボーディングスクールは、グローバル化が進む現代社会に相応しい人材育成の場として、いま注目を集めています。ボーディングスクールといえば、イギリス王室のウィリアム皇太子が通ったイートン・カレッジなどが有名ですが、子どもたちがそこで何を学び、どんな生活を送っているのかを知る人は、意外と少ないのではないでしょうか。今回は、ボーディングスクールの特徴と日本国内にあるボーディングスクールについてご紹介します!ボーディングスクールとは?ボーディングスクールは、生徒が寄宿しながら学ぶ全寮制の教育機関です。ほとんどのスクールが「全人教育」をめざす方針を掲げています。*1全人教育とは、学校法人玉川学園創立者の小原國芳氏によって唱えられた教育理念で、知識・技能教育だけに偏ることなく、感性・徳性なども重視して、人間性を調和的、全面的に発達させることを目的とする教育のこと。まさにいまの時代にマッチしている教育と言えるでしょう。*2そして世界には約600校の国際的に認定されたボーディングスクールがあります。その多くが英語を公用語とし、IB(国際バカロレア)などの国際的なカリキュラムを採用。また、ボーディングスクールには、全寮制(フルボーディング)、選択制(ハーフボーディング)、通学制(デイスクール)など、さまざまな形態があります。今回はおもに、全寮制のフルボーディングスクールについて詳しく見ていきましょう。*3ボーディングスクールのメリット3つ最近は日本でも認知されてきたボーディングスクール。そのメリットは大きく3つあります。メリット1:自立心と社会性が育まれるフルボーディングスクールの最大の特徴は、24時間の教育環境です。全寮制の生活で、常に「自分のことは自分でする」「人と関わる」ことにより、子どもたちの自立心や社会性はしっかりと育まれていきます。ボーディングスクールは、授業だけでなく、生活全般を通じて次世代のリーダーを育成することを目指しているのです。メリット2:グローバル感覚が身につく多様な背景をもつインターナショナルな生徒や教職員との交流を通じて、グローバルな視野と人脈を養うことができるのも、ボーディングスクールの魅力のひとつ。ボーディングスクールは、生涯にわたる貴重なネットワークを構築できる場所でもあるのです。メリット3:国際的に通用する学びが得られるボーディングスクールは、多彩な教育プログラムを提供しています。英国式、国際バカロレア、STEM教育など、各校独自のカリキュラムがあり、子どもの適性や将来の目標に合わせて選択可能。どの学校も国際的視野に立った教育を重視しているため、海外大学への進学率が高いのも特徴です。ボーディングスクールで子どもたちがどんな生活を送っているのか、保護者としては当然気になるでしょう。事項では、スクールでの暮らしについて詳しく解説していきます。*3ボーディングスクールでの生活ボーディングスクール入学で、初めて親元を離れて暮らす体験をする子は多いはず。落ち着いた生活ができるのか親御さんは不安ですよね。全寮制の学校では、前述したように生活全般を教育と捉えているため、子どもたちにとって安心できる環境が整えられています。たとえば、イギリスのボーディングスクールでは、世界中から集まった18歳までの子どもたちが「ハウス」と呼ばれる寮で、男女別に暮らします。寮には「ハウスペアレント」という大人が常駐し、子どもたちをサポート。年少の子どもは最大6人で部屋を共有し、年長になると1人か2人部屋になります。それぞれに自分の空間があり、プライバシーも確保できるようになるそうです。寮には、みんなで集まってくつろげる共用スペースもあり、なかにはおやつを作れる小さなキッチンがあるところも。勉強だけでなく、共同生活を通じて成長できる環境が提供されているのです。*4ボーディングスクールでの1日(平日・週末)子どもたちの1日のスケジュールも知りたいですよね。ボーディングスクールでは、子どもたちがわが家にいるような心地よさを感じられる環境づくりと、規則正しい生活リズムを確立するためのサポート体制が充実しています。さらに、子どもたちの多様な興味関心に応える機会も、豊富に用意されています。日本初の一条校全寮制小学校である神石インターナショナルスクール(JINIS)の1日のスケジュールを見てみましょう。(画像提供:神石インターナショナルスクール)上記のスケジュールを見てわかるとおり、ボーディングスクールの教育は、通常の授業に加え、自然体験や多様なスポーツ活動など、バランスの取れたプログラムが特徴です。週末には世界の文化体験やフィールドトリップなど、楽しみながら学べるイベントが充実。自然豊かな場所にある学校では、地域との繋がりも深いため、生徒たちは日常的に社会貢献やサステナビリティについて考える機会に恵まれます。ボーディングスクールでの生活は、環境、暮らし、教育、すべての面で、子どもたちの成長を後押しする条件が整っていると言えますね。*5親元を離れた子どもたちが過ごす、ボーディングスクール側が大切にしていることはどんなことなのでしょう?神石インターナショナルスクールに聞いてみました。こどもまなび☆ラボ読者のみなさまへ当校では、家庭のような安らぎのある環境を大切にしながら、基本的な生活習慣を身に付ける手助けをし、多分野への好奇心に応える場を提供しています。寮での規則正しい生活は、学力向上に直結するとともに、自己理解を深め、他者を認める広い心を育むことにもつながります。また、自然豊かな環境を活かし、農園や牧場を利用したアクティビティから、消費者教育やフィールドワーク、ゴルフ、スキー、サイクリングを含むさまざまなシーズンスポーツなど、全寮制の環境を生かしたプログラムを実施しています。さらに、スポーツや音楽などのプライベートレッスン(習い事)も可能です。第二の家庭として、プロフェッショナルが24時間体制で児童の成長を見守っています。(詳しい教育カリキュラムはコチラ)国内のボーディングスクールボーディングスクールといえばまだ海外が主流で、「ボーディングスクールには興味があるけど、海外はちょっと……」と不安に思う親御さんも少なくないでしょう。それは無理もありません。子どもにとっても家族にとっても人生の大きな決断になるのですから。そんな要望に応えるように、ここ数年で日本にいながら国際教育が受けられる学校が増えてきました!最後に、国内にあるボーディングスクールを10校ご紹介しますので、学校選びの参考にしてください。学校名所在地対象年齢/学年Webサイト備考北海道インターナショナルスクール〒062-0935北海道札幌市平岸5条19-1-553〜18歳公式サイト全寮制・通学制選択可ハロウインターナショナルスクール安比ジャパン〒028-7306岩手県八幡平市安比高原180-811〜18歳公式サイト–ラグビースクール〒277-0882千葉県柏市柏の葉6-2-511〜18歳公式サイト全寮制・通学制選択可UWC ISAK Japan〒389-0111長野県北佐久郡軽井沢町長倉5827-136高校生公式サイト–白馬インターナショナルスクール〒399−9201北安曇郡白馬村神城27425-125中・高公式サイト–国際高等学校〒470-0193愛知県日進市米野木町三ヶ峯高校生公式サイト–海陽学園〒443-8588愛知県蒲郡市海陽町三丁目12-1中・高公式サイト–神石インターナショナルスクール(JINIS)〒720-1603広島県神石郡神石高原町時安5020-77小学生公式サイト–広島叡智学園〒725-0303広島県豊田郡大崎上島町大串3137-2中・高公式サイト–インフィニティ国際学院中等部北海道キャンパス北海道上川郡上川町(住所非公開)中・高公式サイト高等部には固定キャンパスはなく、国内外を移動しながら学ぶスタイルインフィニティ国際学院中等部奄美大島キャンパス鹿児島県大島郡大和村(住所非公開)中・高公式サイト高等部には固定キャンパスはなく、国内外を移動しながら学ぶスタイル※募集要項なども変わる可能性がありますので、詳細や最新情報については各スクールに直接お問い合わせください。***世界のグローバル化が加速するいま、日本の教育体制も潮目を迎えつつあるのかもしれません。ボーディングスクールの増加はその流れを表しているともいえるでしょう。保護者としては、視野を広げて、子どもの未来のいろいろな可能性を探っておきたいものですね。(参考)(*1)参考・カッコ内引用元:海外教育研究所|ボーディングスクールとは(*2)参考:学校法人玉川学園|全人教育(*3)参考:国際高等学校|ボーディングスクールとは(*4)参考:BRITHISH COUNCIL|イギリスでのボーディング・スクール(寮制学校)での生活(*5)画像引用元:神石インターナショナルスクール|第二の家庭として
2024年11月11日子どもの笑顔を思い浮かべながら「充実した毎日を過ごしてほしいな」と願う気持ち。理想は、人間関係の悩みを極力抱えることなく、周りのお友だちから好かれる人間になってほしい――。親ならば誰もが願うことでしょう。わが子が友だちに囲まれて楽しそうに過ごす姿を想像しただけで、心が温かくなるはずです。また、親御さん自身も、友人が多いことで人生がより豊かになったと感じているかもしれません。今回は、そんな親御さんの気持ちに寄り添いながら、お子さんが自然と周りから好かれる存在になるように、私たちができることを一緒に見つけていきたいと思います。決して焦る必要はありません。ゆっくりと、でも確かな歩みを進めていきましょう。「なぜか人に好かれる子」の特徴「クラスの人気者」と聞いて、どのようなタイプの子をイメージしますか?みんなをまとめてくれるリーダータイプやスポーツ万能タイプ、いつもみんなを笑わせてくれるお調子者タイプなどに代表される、いわゆる “目立つタイプ” を思い起こす人が多いのではないでしょうか。実際に、学研教育総合研究所の「小学生の日常生活・学習に関する調査(2021年)」によると、小学生が考える「人気者の条件」第1位は、低学年から高学年まで一貫して「面白いこと」、次いで「運動神経が良いこと」という結果が出ています。*1ですが、目立つ活躍や個性がなくても、なぜかクラスの大半の子どもたちから好かれている子もいます。そういった子は、誰に対しても態度を変えることなく、友人同士のトラブルが極端に少ないという特徴がありますが、その根底にはどのような性質が備わっているのでしょうか。専門家の意見をもとに、具体的に見ていきましょう。特徴1:素直である獨協医科大学名誉教授などを務め、のべ4,000人もの学生たちを指導してきた永井伸一氏は、著書『「なぜか好かれる人」に育つお母さんの習慣』(青春出版社)で、クラスで誰からも好かれる子の特徴をいくつか提示しています。そのなかでも、「優しい」「一緒にいて楽しい」「前向き」など人に好かれる特徴の根底にある「素直さ」に注目すると、なぜ人に好かれるのかが見えてきます。「物事をあるがままに素直に受け入れ、人のアドバイスを聞き入れられる耳を持つ子どもは、人に好かれる力につながる性質を獲得していける素地がある」とのことからも、素直さゆえに優れた対応力を発揮できる柔軟性こそが、人に好かれるために必要な要素であると言えるでしょう。*2特徴2:思いやりがある「クラス中から好かれている子の多くは、いつも相手の気持ちを考えて話したり行動したりしている」と断言するのは、教育評論家の親野智可等氏です。ただし、そういった子はいつも大勢の友だちに囲まれているとは限りません。むしろ、一見地味で目立たないタイプのようにも見えるでしょう。このタイプは周りをよく見ているからこそ、クラスメイトが何かを失くしたら一緒に探してあげるなど、困っている子にさっと手を差し述べることができます。そうした言動の積み重ねによって、その子の存在はクラス全体によい影響を与えるのだそう。「このような子はめったにいないと思われがちだが、必ずクラスに数人はいる」と親野氏が指摘していることからも、家庭での接し方次第で、思いやりのある子どもに育てることは可能です。*3特徴3:一人ぼっちを恐れないまた親野氏は、「思いやりをもって相手に接すると同時に、ときには友だちから離れて『一人でいる力』を身につけるのも大事」と述べています。一人ぼっちになると不安になる子や、誰でもいいから友だちと一緒にいたいという欲求が強い子は、自分の意思よりも集団行動を優先するようになります。すると、意に反して集団的ないじめに加担することにもなりかねません。一人でいる力のある子は、人をいじめるようなグループから離れても不安を感じることはありません。一人でいても不安を感じず、自分らしくいるには、「熱中できるなにか」が必要です。周りの雰囲気に流されずに、夢中になれることをマイペースで楽しめる子は、クラスメイトからも一目置かれる存在になるでしょう。*3親は子どもにとって一番身近なお手本!ほとんどの親御さんは、わが子がクラスの人気者になってほしいと願いながらも、「うちの子はいい子なんだけど、そういうタイプじゃないのよね……」と思い込みがちです。もちろん、もともとの気質や、本人が人気者になることを望んでいるかにもよりますが、人に好かれる人間を目指すことは今後の人生において大きなプラスになるはず。それならば、いまからできることを始めましょう。ビジネス心理学の専門家である内藤誼人氏は、「親がどんな育て方をするかによって、子どもが学校で人気者になれるのか、なれないのかが決まってしまう」と指摘します。なぜなら、子どもはほかの人とどのように付き合えばよいのかを、親との付き合いによって学ぶから。子どもにとって、一番身近で最も長い時間接する親は、重要な「見本」なのだと言います。*4みなさんも、「いつの間にか自分の口癖が子どもに移ってる!」という経験があるのではないでしょうか。よくも悪くも、子どもは親の姿を見て影響を受けているものです。よい手本となるように、親としての振る舞いを見直してみましょう。次項では「人に好かれる子」の親の特徴について解説していきます。親としてどんなことを意識して習慣化しているのか、また心がけるべき言動など、すぐにでも取り入れられることをまとめているので、ぜひ参考にしてくださいね。「なぜか人に好かれる子」の親が習慣化していること「人に好かれる子の親」になるには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか。■親自身が「素直でいること」を忘れない素直であることが人に好かれる子の必須条件であるなら、「親自身が素直でいることを意識し、自分の言動によって素直な性質を伝えていくことが大事」と前出の永井氏は述べています。どんなに子どもに素直さを求めても、親自身がストレートに感情を表現しなければ、子どもは「それが正しいんだ」と認識してしまうでしょう。たとえば、親と子の軽い口約束であっても、もし忘れてしまったら素直に謝ることが大事です。また、普段は恥ずかしくて口にできない子どもへの愛情を素直に伝えるなど、どんなに照れくさくてもできる範囲で素直な親の姿を見せるように心がけましょう。*2■ポジティブな言葉がけを意識する親の子どもへの接し方が子どもの友だち関係にダイレクトに影響するのは、先述の通りです。たとえば、こんな場面はありませんか? 朝の準備で焦っているとき、つい子どもを急かして『早くしなさい!』と声を荒げてしまう。すると数日後、お友達が準備に手間取っているときに、同じように声を荒げる我が子の姿を目にして……。子どもは親の姿を映す鏡のようなもの。その子は親が自分にするのと同じようなやり方でクラスメイトと接するようになるため、キツイ言葉づかいで相手を責めてしまう危険性も。逆に、「親が子どもに対して絶えず笑顔を見せ、楽しいことを口にし、子どもが嬉しくなるような言葉がけをしていれば、学校でも他の子に同じことをしてあげるようになる」(内藤氏)ため、その結果、クラスでの人気も高くなるというわけです。優しくポジティブな言葉がけを意識すれば、子どもは自然と他人への正しい接し方を学んでくれるでしょう。*4■積極的にあいさつをする昨今では地域のつながりも減少傾向にあるため、自分から積極的にあいさつする機会も減りつつあります。しかし、あいさつは自分のことを印象付けて好感度をアップするのに役立つので、子どもの前でもしっかりとあいさつすることが大事です。子どもは親をよく観察しています。どんな場面であいさつするかなど親を手本にしながら覚えていくため、よいお手本になるように心がけましょう。なぜあいさつが重要かというと、マーケティング用語として有名な「ザイオンス(ザイアンス)効果」、いわゆる「単純接触効果」が期待できるから。つまり、「同じ人やモノにくりかえし接触すると、好感度や印象がアップする」法則に則っているため、何度も自分からあいさつすることに意味があるのです。*5■子どもが仲間はずれになることを過度に怖れない先述した通り「一人でいる力」がある子は、自分らしさが確立しているため周りからの人気を得やすい傾向があります。しかし、精神科医の和田秀樹氏によると、昨今の親は「子どもが仲間はずれにされることに対して過剰反応しがち」なのだそう。親の仲間はずれへの恐怖は必ず子どもに伝染するため、「仲間はずれにされたくらい問題ない」と腹をくくる覚悟が必要です。*6また親野氏も同様に、「『友だちと遊ぶだけではなく、自分ひとりで楽しむ時間も大切だよ』と語りかけ、その子が好きなことや熱中できることに取り組めるような環境を作ってあげてほしい」と述べています。何よりもまず、子ども自身の個性を認め、ほめてあげましょう。それが自信につながり、一人でいられる強さと、友だちに好かれる要素を育む素地となるはずです。*3みんなに好かれる子どもに育つ親が習慣にすべきこと✓ 素直な感情表現✓ ポジティブな言葉がけ✓ 積極的な挨拶✓ 個性の尊重✓ 自立心の育成✓ 思いやりの心をもつ1日の生活シーン別 実践ポイント ◆朝の時間「おはよう」の挨拶は、目を見て笑顔で。子どもの表情を見てから「よく眠れた?」と一言添えてみましょう。準備に手間取っているときも「あと何分でここまでやろうね」など、具体的な目標を示して励まします。「早くしなさい」ではなく「靴下が履けたね!」など、できていることに注目して声をかけましょう。◆学校から帰宅後まずは「お帰り」を笑顔で。「今日はどんなことがあった?」とゆっくり話を聞く時間を作りましょう。友だちの話が出たときは「〇〇くんと遊べて楽しかったんだね」など、関係性に着目した言葉をかけます。宿題や片付けの前に、軽い間食とおしゃべりの時間を確保。心が落ち着いてから次の行動に移れるようにしましょう。◆夜の時間お風呂では、その日にあった友だちとの出来事を聞いてみましょう。リラックスした場所だと本音も出やすいものです。就寝前の10分は、スキンシップをとりながら「明日は〇〇だね」と楽しみな予定を話すなど、ポジティブな会話を。「おやすみ」の挨拶とともに「今日も〇〇できたね!」など、その日の頑張りを具体的に認めます。 このように場面を区切って考えると、限られた時間のなかでも実践できるポイントが見えてきます。すべてを一度に始める必要はありません。まずは、あなたの生活リズムで「これなら続けられそう」と感じる場面から、少しずつ始めてみましょう。***最近では「人気者」といっても型通りのタイプではなく、それぞれの個性を認められた多様なタイプが増えてきています。お子さんの個性や好きなことを認め、活かしたうえで、周りから好かれる子になるために、親として精一杯のことをしてあげたいですね。文/野口燈(参考)(*1)参考:学研教育総合研究所 小学生白書Web版|「小学生の日常生活・学習に関する調査」(*2)参考・カギカッコ内引用元:ダ・ヴィンチWeb|「なぜか人に好かれる子」に備わっている“7つの気質”とは(*3)参考・カギカッコ内引用元:親力講座|子どもの友達力は親子関係から~その1~(*4)参考・カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「クラスの人気者」の親がやっている習慣とは?【最新研究を心理学者が解説】(*5)参考:AERA dot.|「みんなに好かれる子」の親がしている1つの習慣(*6)参考・カギカッコ内引用元:THE GOLD ONLINE|発覚!子どもの「仲間はずれ」…悩める親がとるべき対応とは
2024年11月08日(この記事はアフィリエイトを含みます)お子さんの学習意欲って、不思議なものですよね。「自分から勉強したい!」という気持ちが芽生えるまでには、やっぱり親御さんの優しい後押しが必要なんです。というのは、お家での学習時間が日課になっているお子さんと、そうでないお子さんとでは、テストの点数はもちろん、勉強に向かう時の気持ちにも差が出てきてしまうから。だから、小さい頃から、お家でちょっとずつ学習する時間をつくってあげられたらいいなって思います。専門家によると、本格的な反抗期を迎える前の10歳までが、学習習慣を身につけるチャンスなのだとか。そこで今回は、忙しい毎日を送っている親御さんに向けて、「子どもがひとりでも楽しく取り組める教材」をご紹介します。おなじみのドリルはもちろん、最近ではすっかり学習パートナーになったタブレットまで、お子さんが「ワクワク」しながら学べる教材を集めてみました。お子さんの興味と成長に合わせた教材選びのヒントになりますように!自立学習、学習の習慣化は小さいうちに!仕事や家事で毎日忙しくしていると、「子どもの勉強をちゃんと見てあげたいけど、時間がなくてつい後回しになってしまう……」と、日々後悔や反省を繰り返してしまいがちです。理想は「ひとりでも集中して学習する習慣」を身につけてくれることですが、現実ではなかなかうまくいきません。最近では、未就学児でも楽しく学べるドリルなどの学習教材も充実しており、遊びの延長として勉強に取り組めるアイテムも続々登場しています。便利で役立つアイテムを活用しながら、就学前から「楽しく学ぶ習慣」を身につけさせたいですね。子育て心理学協会代表理事の東ちひろ氏は、「学年が上がるにつれて、自分で学習する『自立学習』の力は欠かせなくなるが、高学年になってあわてて学習習慣を身につけさせるのは難しい」と指摘したうえで、「本格的な反抗期に突入する10歳までがチャンス」と、低学年から家庭学習の習慣を身につけることが重要だと述べています。*1では子どもの自立学習を習慣化させるにあたって、親はどのようなサポートをしてあげればいいのでしょうか?元開成中学校・高等学校校長の柳沢幸雄氏は、「好奇心こそ、自ら積極的に学ぶためにもっとも必要なもの」と述べています。だからこそ親は、「子どもの興味関心に目を向けて、その延長線上に勉強の要素につながるようなものがある経験をさせてあげること」を心がけ、子どもの好奇心や「やりたい」という気持ちにできる限り寄り添う必要があるのです。*2たとえば、電車好きの子なら一緒に電車を見に行くだけでなく、路線図を片手に電車に乗って各駅に着く度に駅名の漢字を確認するなど、学びにつながるきっかけは身近にあります。お子さんがいま一番興味をもっているのはなんなのか、じっくり観察しましょう。子どもが学習に興味をもってくれないことには学習習慣はつきません。そこで次項では、子どもがワクワクしながら学習を進めてくれるような自立学習教材を紹介しています。しかも、親の見守りは基本的には不要です。なかには「おうちの方は絶対に教えないでください」注意書きがあるドリルも……!ひとりでできるドリル7冊(2歳~小学校高学年)それでは、親がそばについていなくても子どもがひとりで取り組めるドリルを紹介します!2歳~小学校高学年を対象に、年齢・学年に応じたおすすめの7冊をピックアップしているので、お子さんの年齢に合った自宅学習に役立ててくださいね。【1】『2歳 まるごとこれ1冊 できるかな』(学研の幼児ワーク)初めてのドリル選びにおすすめ!年齢に合った難易度で、2歳でやっておきたい定番のおけいこができます。ひとりで楽しめるぬりえやめいろなどの遊びが満載です。1ページごとにごほうびの「がんばりシール」が貼れるので、やる気が続きますよ。【2】『2~4歳はじめてのおけいこ』(学研の幼児ワーク)2〜4歳のクレヨンや鉛筆にまだ慣れていないお子さん向けのドリルです。運筆(鉛筆で線などを引く練習)中心の内容で、早いうちから机に向かう習慣をつけるのにぴったりの1冊。幼児向けワークやドリルが初めてでも、ひとりで集中して進められます。【3】『おすしドリルシリーズ4歳』(学研プラス)おすしにまつわる問題だけを詰め込んだ、おすし好きのお子さんにはたまらないドリルです。イラストや写真がふんだんに使われているので、絵本感覚でひとりでも楽しめるでしょう。おすしを通して「もじ・かず・ちえ」をバランスよく学べます。【4】『ひとりでできる!かんがえるパズルめいろ・てんつなぎ・まちがいさがし〔5・6歳〕』(世界文化社)「子どもにつきっきり」から解放!わかりやすいヒントが満載で、ひとりで取り組める工夫が凝らされたドリルです。スタンプラリー付きで達成度がひと目でわかります。ひとりでできた経験が目に見えるので、お子さんの自信にもつながるでしょう。【5】『ドラゴンドリルけいさん小1』(学研プラス)こんなドリルが欲しかった!かっこいいもの好きの子どもたちにぴったりの、勉強をワクワクの冒険に変えるドリルです。解けば解くほどレベルの高いドラゴンがゲットできるので、どんどん進めたくなりますよ。公式のアプリもあり、ゲーム感覚でひとりでも楽しめると人気です。【6】『賢くなるパズル 入門シリーズ 数字・やさしい』(Gakken)卒業生の多くを難関中学に合格させてきた「宮本算数教室」の小学校全学年向けのパズル教材です。「最高の教材を渡して放っておくだけで子どもは伸びる」というメソッドに基づいているため、おうちの方は絶対に教えないでください。正解するまで自分で見直す習慣がつくので、粘り強さが育まれますよ。【7】『算数と国語の力がつく天才!!ヒマつぶしドリルちょいムズ』(Gakken)楽しく読んで遊んでいたら、いつの間にか算数と国語の力がついてしまう不思議なドリル。ヒマつぶしがてら遊び感覚で始めたところ、だんだんと夢中になって問題を解いてしまう子どもが続出!ほったらかしにしていても、子どもが自分から進んで楽しみながら勉強してくれます。ひとりでできるタブレット・オンライン学習最近ではタブレット学習もすっかり定着し、楽しみながら学習に取り組めると子どもたちからも人気です。ここでは編集部おすすめのタブレット学習教材を紹介します。各教材の特色について解説しているので、お子さんに合いそうな学習法を見つけてくださいね。◆ひとりで学べて考える力がつく【こどもちゃれんじタッチ】◆ベネッセコーポレーションが運営する幼児向け通信教育サービスの「こどもちゃれんじ」は、「スキマ時間にサクッと遊びながら学べる」「家事で手が離せないとき、自分から進んで映像を見てくれていた」「子どもがひとりで集中して取り組めるので助かる」など、忙しい保護者から絶大な人気と信頼を得ています。年中・年長さん向けのタブレット学習「こどもちゃれんじタッチ」は、タブレットの利点を活かしてお子さまのひとり学習をサポート!正解だけでなく考える過程を大切にした学びを中心に、これからの時代に必要な力を育む充実した学習内容となっています。◆どんどん算数が好きになるタブレット教材【RISU算数】◆「ゲーム感覚で楽しめるので子どもが自ら進んで学習するようになった」という利用者の声にあるように、自発的に取り組みたくなる仕組みが満載のオンライン学習サービス・RISU算数は、データ分析を活用して、個々の得意・苦手ポイントに応じた問題とレッスン動画を提供してくれます。つまずきを早期に感知したうえで、即座にフォローアップを行なうため、算数が苦手なお子さんも安心して学習に取り組めるでしょう。24時間365日の無料フォロー相談体制を整え、やる気や学習習慣づけまでサポートしてくれるので、ひとり学習にぴったりですね!RISU代表・今木智隆先生 インタビュー記事一覧はこちら第1回:子どもを「算数嫌い」にしない大原則。幼児期からできる“算数好きの基礎”の築き方第2回:子どもが勉強で成果を出せないのは、親の「勘違い」が原因かもしれない第3回:10億件のデータを調べてわかった、小学生が「ずば抜けて苦手」な算数の単元と例題第4回:「算数の文章題が苦手」な子どもが、ひねった応用問題でも解けるようになる教育法◆楽しすぎて毎日レッスンを入れたくなる! 【Kimini英会話】◆Kimini英会話は、学研が提供する子どものひとり学習に適したオンライン英語学習サービスです。月額1,210円から始められ、AIを活用したアダプティブラーニングにより、個々の理解度に応じた最適なレッスンを提供。年齢別のコースや英検対策などが用意されており、子どもでも自分のペースで学習を進められます。さらに、24時間利用可能なスキル別トレーニングや予習・復習コンテンツにより、子どもが自主的に学習を進められる環境が整っています。受講生保護者の声どの講師も明るくフレンドリー。とにかく子どもをほめるほめるほめる!子どもも、レッスンが楽しすぎて英語の勉強という意識がまったくないため、毎日自分でレッスンを入れています。受講して半年ですが、リスニングだけでなく、使える単語や熟語が急に増えたことにも驚いています。「今日は先生に〇〇について話すんだ!」とレッスン前に和英辞典で単語を調べることもしばしば。まさに「英語にハマっている」という状態です。(こどもまなび☆ラボ編集 T)***「親がしっかり見ていないと、勉強をサボってしまうのでは?」と大人は心配しがちですが、楽しく学習できる環境と正しい目標設定があれば、多くの子どもは熱心に取り組んでくれます。ぜひお子さんに合う学習教材を見つけてあげてくださいね。文/野口燈(参考)(*1)参考・カギカッコ内引用元:ベネッセ教育情報|元小学校教員が語る!低学年のご家庭でやっておきたい3つのことって?(*2)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|子どもの話をしっかり聞くと「あとが楽」。勉強に必要な集中力の育て方こどもちゃれんじこどもちゃれんじタッチRISU算数Kimini英語
2024年11月07日朝の慌ただしい時間。保育園の玄関で「イヤだよ」「行きたくない」と泣くわが子を前に、胸が締め付けられる思いをしているママやパパ。そんなあなたの気持ち、よくわかります。小さな子どもにとって、大好きなママやパパと離れて過ごすのは、とても勇気のいることです。入園したばかりの慣れない時期はもちろん、成長の過程で誰もが通るイヤイヤ期など、さまざまなタイミングで登園を嫌がることは自然なこと。それは、お子さまが健やかに成長している証でもあるのです。でも、急がなければいけない朝に限って、こんな状況になってしまいますよね。「このままでは仕事に遅刻してしまう」「ほかの子は泣かないのに」と焦る気持ちもわかります。ただ、今日はちょっと立ち止まって、お子さまの気持ちに寄り添ってみませんか?今回は、登園しぶりの理由や対応方法について、一緒に考えていきましょう。完璧な解決策はないかもしれません。でも、あなたとお子さまに合った、無理のない方法が必ず見つかるはずです。「ママがいいー!」泣き叫ぶ、子どもの登園しぶり登園しぶりとは、通っている保育園や幼稚園に子どもが行きたがらない様子のことです。行きたくない気持ちからママにしがみついて離れなかったり、泣き叫びながら家に帰りたがったり……。また、気持ちをうまく伝えられず、保育士やパパを叩いて暴れる子どもも少なくありません。登園しぶりは、新しい環境に戸惑いがちな入園当初や、登園が久しぶりとなる長期休み明けに多く見られます。そのほか、イヤイヤ期などのタイミングで感情が爆発してしまい、登園しぶりになってしまう子も……。0歳児はただ泣くばかりですが、1歳児は逃げだそうと体全体で嫌がり、2歳児にもなれば言葉で行きたくない気持ちを表現するようになります。そして子どもの年齢が上がるほど、体も大きくなり力も強くなるので、パパやママは本当に大変なのです。なお、登園しぶりは特別なことではありません。大人が不意に「今日は仕事行きたくないな……」と思う気持ちと同じだと考えれば共感できるのではないでしょうか?登園しぶり、なぜ起こる?原因は〇〇だった登園しぶりの原因は、子どもによって違いがあります。ここからは、よくある登園しぶりの原因をご紹介していきます。原因1:ママやパパといっしょにいたい最も多いのが「ママやパパと離れたくない」という寂しさからくるものです。必ずお迎えにきてくれることや、保育園でも楽しく過ごせることがわかれば、徐々に解決してくるでしょう。幼児期になっても寂しさから登園を嫌がる場合は、母子分離不安の可能性も。家庭だけでなく、保育園と連携した対応が求められます。原因2:入園したばかりで環境に慣れていない入園したばかりは、慣れない場所で不安がいっぱいです。そのため「ここにいるのが怖い」などの恐怖心から、登園しぶりが起こります。ある意味、想像力が豊かであるとも言えるでしょう。なお、入園当初に自分の置かれた状況を把握できず、数週間経ってから泣く子どもも少なくありません。保育士と信頼関係ができれば、少しずつ改善すると考えられます。原因3:家庭環境に変化があった家庭環境になにか変化があったときは、情緒が不安定となり登園しぶりが見られる可能性があります。しかもこの場合、子ども本人も「なぜ登園したくないのか?」が理解できていません。ですから、引っ越しやきょうだいの誕生など、なにか思い当たることがないか思い起こしてみましょう。心が安定するまで見守る必要があるため、登園しぶりが長引いてしまう可能性があるといえるでしょう。原因4:保育園で過ごす時間が楽しくない単純に、以下のような理由から保育園での生活に嫌悪感を抱き、登園を嫌がることも多くあります。参加したくない苦手な活動がある大きな行事が近づきプレッシャーを感じている自分の好きな遊びを楽しむ時間がないお友だちに叩かれたり噛まれたりする厳しく叱る保育士のことを苦手と感じている保育園で起きたイヤな出来事が、登園しぶりのきっかけになることも。このような理由で起こる登園しぶりは、原因がハッキリしているため対応しやすいとも言えるでしょう。原因5:体調がすぐれない体調がいつもと違うと感じ、登園をしぶるケースもあります。子どもは自分の症状をうまく言葉で伝えられないため、発熱などがないかぎり、親が子どもの体調の変化に気づかないことも。緊張や疲れで体に異変を感じていたり、長期休み明けに生活リズムが崩れていたりと、病気と言うほどではないけれど、「なんとなく体調が悪い……」という場合があるのです。登園しぶりへの対処法は?じつはNGだった「あの行動」仕事に遅刻しそうなとき、登園しぶりがあると本当に大変ですよね。子どもの不安や葛藤に寄り添ってあげたいと思っても、朝の忙しさで余裕がなくなってしまう人も多いはず。そこでここからは、すぐに取り入れられる対処法を解説していきます。■登園しぶりがある子どもの送り出し登園しぶりの理由や子どもの性格によって対応は異なりますが、基本はイライラせず時間が許す限り子どもの気持ちに寄り添うことが大切です。なるべくスムーズに登園できるよう、家庭から登園までの子どもとの接し方をまとめてみました。以下の流れのなかで、できることがあれば取り入れてみてくださいね。登園しぶり「送り出しのコツ」子どもに疲れや緊張、病気などがないか確認するぎゅ~っと抱きしめて安心感を与える好きなキャラクターの服や靴を身につけるお気に入りのおもちゃやタオルケットなどを持参する登園カードを自分でタッチするなど特別感を与える行きたくない気持ちに共感する公園に行くなどお迎え後の予定を約束する別れの儀式を決めて切り替えられるよう促す諦めがつくよう笑顔で潔く離れる保育園での楽しかった出来事を思い出せるように関わる 子どもは親の表情をよく観察しています。そのため「保育園に預けるなんてかわいそう」「こんなに泣いているし休ませようかな」などと親が考えてしまうと、子どもはその気持ちを察知してしまいます。保育園は安心できる場所であると伝えるためにも、登園しぶりにはあっけらかんと笑顔で対応することが大切です。また、家を出る前にイヤイヤのスイッチが入ってしまうと、そのまま流れるように登園を拒否されることがあります。そのため、もしものときは「パジャマで行きたい」「長靴を履きたい」などの子どもの要望に応える姿勢も必要です。服や運動靴など、必要なものはすべて持参して保育士へ預けましょう!■これだけは避けたい……登園しぶりのNG対応逆に、親御さんにしてほしくないNG対応は「嘘をつくこと」です。以下のような嘘をついて保育園に連れて行くようなことがあると、登園しぶりが長引いたり、親子の信頼関係が崩れてしまったりする恐れがあります。登園しぶり「NG対応」今日は保育園じゃなくて買い物に行くよ保育園に行かないなら注射に連れて行くよ今日は保育園をちょっと見に行くだけだから今日は給食より前に、早くお迎えに行くね登園カードを自分でタッチするなど特別感を与えるお迎えのあとにおもちゃ買ってあげるから 休めるものなら休ませてあげたいと思うのが親心。しかし、仕事は仕事。「無理に登園させるのはよくない」とわかっていても、簡単に休ませてあげられないのが現実です。とはいえ、焦りから嘘をつくことはおすすめできません。仕事に遅刻しそうでどうしようもないときは「保育園に行くよ」と事実だけ伝え、とりあえず玄関まで連れて行って保育士に任せてしまうのが得策です。そのためには、保育士との連携が欠かせません。■保育士と連携して登園しぶりを見守ろう登園しぶりを家庭だけで対応するのは、とても大変です。保育園での過ごし方が原因になっていることもあるため、なるべく連携して見守れるようにしましょう。とはいえ、すべての責任を保育園に押しつけるのはNG。あくまでも相談ベースで、家庭から送り出しまでで困っている状況を伝えましょう。なかには、登園しぶりは一瞬だけでママやパパが見えなくなった瞬間に「せんせ~!」「あそぶ~!」と、切り替えている子どもも……!一種の儀式のようにとりあえず泣いて別れるという子どももいます。保育士と連携することで知ることができる姿もあるため、ぜひ保育士に「わが子の本当の姿」を確認してみてくださいね。***いつ落ち着くか、そしていつ始まるかわからない登園しぶり。理由はそれぞれ異なるため、まずはその原因を知り、共感することが大切です。また、保育園での活動内容やお迎えの目安を伝えると、見通しが立って不安が減少するかもしれません。さまざまな対応を試し、子どもが安心して楽しく保育園生活を送れるようにしたいですね。【ライタープロフィール】山本あやか(やまもと・あやか)児童学科で4年間学び、保育士資格や幼稚園教諭一種免許を取得。保育士として約10年勤務。現在、小学生2人を育てながら「働きながら子育てする大変さ」と対峙中。ワーキングマザーが安心して子どもを預けられるよう、さまざまな情報を発信します。
2024年10月30日「お母さん、見て見て!」遊び終わったおもちゃを片付けながら、わが子が誇らしげに振り返ります。そんなとき、あなたならなんと声をかけますか?「えらいね!」 「すごーい!」 「賢いね!」私たち親は、わが子の成長を喜び、その気持ちを言葉にして伝えたいと思うもの。「子どもをほめて伸ばそう」という考え方は、いまや子育ての基本とされています。子育て書やネットの記事でも、「子どもの自己肯定感を高めるためにほめましょう」「たくさんほめて、やる気を引き出しましょう」といったアドバイスがあふれています。でも時々、こんな不安がよぎることはありませんか?「これって、ほめすぎかな……」 「いつも同じ言葉になってしまう」 「本当にこれでいいのかな」じつは最近、教育現場から気になる報告が上がってきています。それは「ほめられることに依存的な子どもが増えている」という声です。教師たちの間では「ほめられ中毒」という言葉さえ聞かれるようになってきました。今回は、子どもの心理に詳しい専門家たちの知見をもとに、「効果的なほめ方」について一緒に考えていきましょう。記事の最後に、「正しいほめ方」をまとめました。ぜひ参考になさってください。「ほめられ中毒」の子どもが増えている!?ノンフィクション作家の石井光太氏による著書『ルポ スマホ育児が子どもを壊す』(新潮社)では、「ホメてホメて症候群」とも呼べる子どもたちの増加が教師たちを悩ませている現実に警鐘を鳴らしています。具体的には、休み時間のたびに教員のところへやってきては、「こんなことできるんだよ」など繰り返し言ってきて、「すごいね」「えらいね」とほめてもらわなければ気がすまない子どもが増えたのだと言います。もちろんこの程度なら、誰もがもっている承認欲求の一例とも言えるでしょう。より深刻なのは、「この類の子どもたちは、極端に甘えたがりな一方で、何もしないでほめてもらおうとする傾向がある」ということ。つまり、ほめられること自体が目的になっており、なかにはクラスメイトを貶めることでほめてもらおうとする子もいるのだと言います。友だちのミスを告げ口するだけにとどまらず、その先の「友だちの悪いところに気づいた自分を認めてほしい。ほめてほしい」という気持ちが高まり、際限なくほめてもらいたがるのです。*1これは決して極端な例ではありません。現状において、このような子どもが増えている背景には、どのような原因が潜んでいるのでしょうか。理由のひとつとして、物心がついたときから周りの大人から過剰にほめられ続けていることが挙げられます。みなさんも本やネットの記事などで、「ほめて子どもを伸ばそう!」「子どもの自己肯定感を高めるためにたくさんほめよう!」といった言説を頻繁に見たり聞いたりしていると思います。もちろん、ほめることによるメリットは多く、実際に効果を実感した経験もあるでしょう。問題は「ほめる」を通り越して、わが子を過剰におだてたり、わざわざ成功体験を用意してあげたりと、不自然なかたちでの「極端なほめ」が日常化してしまうこと。*1このような環境で育っていれば、学校でも教師やお友だちから称賛されなくては気がすまない「ほめられ中毒」に陥ってしまうことは、容易に想像できるはずです。「ほめられ中毒」に陥るメカニズム「ほめられ中毒」に陥るメカニズムについて、『子どもを否定しない習慣』(フォレスト出版)の著者で「否定しない専門家」である林健太郎氏は次のように説明しています。ほめられることは、ポジティブで強い刺激となり常習性があります。そのため、ほめられると嬉しい→もっとほめられたい→ほめられることを率先してやろう、というパターンが生まれやすいのです。これは、脳内にドーパミンやセロトニンが駆け巡って快感を得るため起こる現象です。適度ならよい刺激になりますが、快楽中毒になると、家の外でも常にほめてもらわなければ気がすまなくなる危険性もはらんでいるのが難しいところ。つまり、結果的に「ほめられればやるけど、ほめられなければやらない」というマインドが醸成される可能性があるのです。*2ですが、親としてはポジティブな言葉がけによって子どもを伸ばしてあげたい気持ちもあります。子どもをほめ続けることは、学力を伸ばしたり社会性を育んだりするうえで、どの程度影響を与えているのでしょうか?過度な「ほめ」は逆効果教育経済学者の中室牧子氏は、「ほめて自尊心を高めるという主張があるが、科学的には証明されていない。それどころか、大人による子どもの自尊心を高めるような介入は、もともと学力の低い学生にとっては大きな負の効果をもたらすという研究結果がある」と、ほめて伸ばす教育や子育てに懐疑的な見解を示しています。その研究とは、1980~90年代にかけて、アメリカの学校で子どもの非行防止や学力を伸ばすことを目的に、「とにかくほめる」という大規模な研究プロジェクトが発足したことを指します。「子どもたちの自尊心を高めれば学力や意欲が高まり、反社会的行為を未然に防止することができるのではないか」と期待して指導した研究ですが、思いもよらぬ結果になりました。ひとつは、ほめられ過ぎた結果、自尊心が高まるどころか「ほめられ中毒」になったこと。そしてもうひとつ、実力がともなわないのに「自分はすごい、えらい人間なんだ」という「カラの自己肯定感」が高くなるという意外な結果が出たのです。中室氏は、「『あなたはやればできるのよ』などと言って、むやみやたらに子どもをほめると、実力のともなわないナルシストを育てることになりかねない」と苦言を呈しています。特に、悪い成績をとった学生に対して、自尊心を高めるような「過剰なほめ言葉」を与え続けると、悪い成績をとってもなお根拠のない自信に満ちた人間になる恐れがあるので、注意が必要です。*3次に「ほめられ中毒」の子どもの未来を考えてみます。「ほめられ中毒」の子どもが大人になったとき、どのようなデメリットが表れるのでしょうか。教育心理学者の遠藤利彦氏によると、「ほめられ中毒になると、『常にいい自分でいたい』と思い、親ががっかりするような自分は見せたくないと考えるようになる」のだそう。その結果、難しい課題に挑戦するのに臆病になってしまうと言います。*4さらに前出の林氏によると、「ほめられ中毒になると、より強い言葉でないと反応しないようになる」ことから、このような環境で成長した子どもが社会に出ると、「上司から言われたことしかやらない大人」や「ほめられないと不安になる大人」へと成長してしまう可能性が高いと指摘しています。*2ここまでの事例をふまえて、中室氏は「ほめてはいけないのではなく、重要なのはその『ほめ方』である」と結論づけています。次項では、子どもを「ほめられ中毒」にしないほめ方について、詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。*3子どもをほめられ中毒にしない「正しいほめ方」中室氏が指摘するように、重要なのは「ほめ方」です。では具体的に、どのようなほめ方をすればよいのでしょうか。 お子さんをほめるとき、何も考えずに、何も考えずに「すごいじゃん!」「えらいね!」などと言っていませんか?もちろんそれだけでも本人は喜び、「もっとがんばろう」とやる気になってくれるはず。ですが、お子さんが「ほめられ中毒」にならないように気をつけたいなら、ちょっとだけ言い回しや伝え方を変えてみましょう。▼ 重要ポイント1:「ほめる」より「承認」を子どもをほめるのではなく「承認」してあげることが何よりも重要です。できたことに対して「えらいね」「すごいね」とほめてばかりだと、できた・できないが評価の対象になってしまうので注意が必要です。具体例:「おもちゃを片づけられてえらいね」「おもちゃを片づけてくれたんだね」「〇〇したからえらいね」という主観の入った言葉ではなく、やってくれた事実を承認するだけでOKです。▼ 重要ポイント2:承認+気持ちの表現「ちょっと物足りない」「冷たいように感じてしまうのでは?」と不安なら、まずは事実である出来事や行動を承認してから、プラスアルファで自分の思いを伝えるとよいでしょう。具体例:「おもちゃを片づけてくれたんだね」「おもちゃを片づけてくれたんだね。うれしいよ」ポイントは、ありのままの子どもの言動を承認したあとに、自分の素直な気持ちを添えてほめてあげること。「毎日一生懸命課題をこなしているよね。感心するよ」など、日常の些細なことでも、プロセスをきちんと認めてほめてあげましょう。*2▼ 重要ポイント3:適切なタイミングでほめる回数よりも、ほめるタイミングのほうが大切です。子どもが好奇心をもって取り組み、がんばって成し遂げ、喜んでいるタイミングなどがチャンス。その「根拠とともに」しっかりほめましょう。具体例:「毎日自主練がんばってるの見ていたよ。ついにレギュラーに選ばれたね!」親が子どもの自発性を認めてほめてあげることで、子どもは「自分がやりたいこと・がんばりたいことを、お母さん(お父さん)は認めてくれた!」と感じ、自己肯定感が育まれていきます。▼ 重要ポイント4:比較は絶対NGほめる時に周りと比較しないことも大切です。具体例:「△△くんにはいつも勝てないのに、今回は速く走れてすごいね」「先週よりもタイムが速くなったんだね。よかったね」このように、誰かと比べてほめるのはNG。遠藤氏によると、「小さな変化を認めてあげるような親のほめ方は、子どもの個性を伸ばすと同時に、社会に順応していける力を育む」とのことなので、日頃から子どもの様子をよく観察して、小さな変化に気づいてあげたいですね。*4▼ ポイントまとめ評価」ではなく「承認」を基本に事実の承認+気持ちの表現で温かみをタイミングを重視し、根拠を添えて比較は避け、個々の成長に注目***子どもをほめることは大事です。しかし、ただ闇雲にほめているだけでは「ほめられ中毒」になってしまう可能性もあるため、ほめ方や「ほめること」への向き合い方を見直す必要があるでしょう。子どもの成長のチャンスをつぶさないためにも、ほめ過ぎには十分注意してくださいね。文/野口燈(参考)(*1)参考・カギカッコ内引用元:Yahoo!ニュース|ホメてもらうため先生に級友の告げ口をし…ルポ学級崩壊「子どもたちが秘密警察化する」快楽中毒の現実(FRIDAY)(*2)参考・カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|「偉いね」「いい子だね」の声かけが子供をダメにする…「褒められ中毒」になった子が大人になって直面する困難(*3)参考・カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|「あなたはやればできるのよ」が呪いの言葉に…「ほめる子育て」が子どもにもたらす意外な影響(*4)参考・カギカッコ内引用元:Z会おうち学習ナビ |「根拠あるほめ方」で子どもの成長のチャンスを逃さない!参考:コクリコ|子どもを「褒められ中毒」にしない 根拠ある「褒め方」「なぐさめ方」
2024年10月29日子育ては予想外の連続です。特に、小学校入学前の時期は、親として様々な選択を迫られます。ここでは、2019年生まれの娘をもつ一般的な母親の体験をお伝えします。「こどもちゃれんじ」との出会いと再会、そこで得た気づきの数々です。迷いのなかでの再会「ママ、これ、またやりたい!」娘の目が輝いていました。画面に映るしまじろう。5年前、新米ママだった私は初めて「こどもちゃれんじ」と出会いました。娘はしまじろうに夢中で、私も「こどもちゃれんじ」を楽しんでいました。でも、ある日「もういいや」と思ってしまったのです。当時の私には、それなりの理由がありました。育児書やまわりの意見に振り回され、「これをしなくちゃ」「あれをやらなくちゃ」という思いに駆られていたのかもしれません。結果として、子どもの興味や成長のペースよりも、親の焦りが先行していたように思います。そして訪れたコロナ禍――。私たちの日常は一変しました。コロナ禍による影響は、子育て中の家庭に特に大きな変化をもたらしました。保育園の休園、児童館のイベントや幼児向け習い事もすべて休止。学びの場がほとんどなくなり、焦りの気持ちが生まれました。終わりが見えない日々に、家でしっかり教育をしなければと思い、知育玩具や、いま思えば「早期教育すぎる」別教材を選択。「こどもちゃれんじ」は、やめてしまいました。この時期、多くのパパママたちが同じような不安を抱えていたのではないでしょうか。家での時間が増えたことで、子どもの教育に対する責任を強く感じる一方で、何をどうすればいいのかわからない……そんなジレンマに陥っていました。↑娘のお気に入りだった、しまじろうのソフトトイ。どこに行くにも必ず一緒でした。5年後、変わる教育観。進化した学びの形との出会いと驚き娘は今年5歳になりました。5年前、余裕のなかった私が、知育玩具や早期教育教材を選んだことは、いまでも正しかったのかわかりません。「こどもちゃれんじ」=おもちゃ寄りだと当時は思っていたけれど、あのとき、もう少し月齢・発達に合ったことをしていたほうがよかったのかもしれないと頭をよぎることもあります。子育ては、特に新米ママにとっては、試行錯誤の道のりでした。5年という時間は、私自身の価値観や教育に対する考え方も少しずつ、でも確実に変化をもたらしていました。以前の私は「教育は紙の教材でするべき」という強い信念をもっていました。子どもの集中力を育てるには、じっくりと紙に向かい合うことが大切だと信じていたのです。自分自身が慣れ親しんできた方法に知らず知らずのうちにこだわっていたのかもしれません。また、いろいろなことが小さい頃からできるほかのお子さんの情報を目にすることもあり、「早ければ早いほどよい」と考えていた部分もありました。しかしいまは、子どもの興味や発達段階に合わせることの大切さを実感しています。――あれから5年経ち、私はここ「こどもまなび☆ラボ」で編集の仕事をしています。5歳の子どもがいるということで、体験記事担当になった私(と長女)。5年ぶりのしまじろうとの再会は、タブレット学習の体験でした。驚いたのは、今回体験した「こどもちゃれんじ」(年中さん向けのすてっぷ教材)では、入会する人の約9割がタブレット学習を選んでいるという事実。想像していたより多くの人が、子どもの学びにタブレット学習を取り入れていたのです。そして、実際に学習を始めてみると、タブレットだけでなく、毎月届く紙の教材やエデュトイも一緒に楽しめることがわかりました。タブレット学習でインタラクティブに学び、紙の教材にじっくり取り組み、かわいいおもちゃで体験的に理解を深める――。デジタルとアナログ、それぞれのよさを上手に組み合わせながら、子どもの成長に寄り添う学びが広がっていました。デジタル技術の進歩とともに、教育のあり方も豊かに進化していることを実感しました。↑「ママ、見て!書けたよ!」と嬉しそうな顔。ひらがなが大好きになったみたいです♪でも、タブレット学習への不安も……でも、タブレット学習には、やはりまだ抵抗がありました。理由は2つ。1つめは、現在、紙のドリルやワークに喜んで取り組んでいる娘が「タブレットしかやりたくない!」と変わってしまうのではないか、という不安。2つめは、5歳という年齢にタブレット学習が本当に必要なのか、それこそ早すぎるのではないか、という疑問。この不安や疑問に共感してくださる同世代のパパママも多いのではないでしょうか。デジタルネイティブと呼ばれる世代の子どもたちと、アナログ時代を経験してきた私たち親世代とのギャップ。それが、こういった不安を生み出す要因のひとつかもしれません。ところが、実際に使ってみると、「あれっ。すごくいいじゃん」と思いました。生活から教育まで、バランスよく「いま」教えたかった内容がまとまっています。教育系コンテンツには、カブトムシの成長動画などの動物の生態、なぞり書きアプリでのひらがな練習、生活のマナーなどがありました。ややもすれば単調になりがちな内容も楽しみながら学べるような工夫が凝らされていたのです。また紙のワークと違い、親がついていなくても、タブレットのなかのキャラクターがはげましてくれて、子どもがひとりで学習を進められるようにデザインされていました。子どもの成長には、知識の習得だけでなく、生活習慣の確立や社会性の発達など、さまざまな要素が必要です。「こどもちゃれんじ」は、そういった総合的な発達を促す工夫が凝らされているようでした。娘が「自分で考える」ようにそして、何より嬉しかったのは娘の変化です。以前は「どうしてだと思う?」と問いかけても、考えもせず「わかんなーい」と言っていた娘が、しまじろうの上手な問いかけなら自分で考えて答えを出せるようになりました。「きみはどう思うかな?」「ほかにはどんなものがあるかな?」など、しまじろうの問いかけ方は、親の私にも「こうやって聞けばいいのか」と大きな学びがありました。ただ「この答えは?」「これは何?」ではなく、考えることを促すような質問が織り込まれ、その促しによって娘は自分で考えるということそのものを身につけていったのです。これが、「こどもちゃれんじ」の「問いかけ型メソッド」なのでしょう。この変化は、単に知識を詰め込むだけの学習ではなく、思考力や表現力を育む重要性を示しているのだと思います。子どもの「なぜ?」「どうして?」という好奇心を大切にし、それを育てていくことの大切さを改めて感じました。↑花丸がもらえて満足気な娘の表情に、親である私もとても嬉しかった……!タブレット学習についての「予想外の発見」タブレット学習については、いくつかの予想外の発見がありました。子どもは楽しそうにタブレットを使って学びを深めていましたが、同時に紙の教材を避けるようになることはありませんでした。子どものほうが、タブレットと従来の紙の教材、それぞれのよさを知っているのかもしれません。結果として、私の不安は杞憂だったのです。子どもが飽きないような進め方、上手な問いかけ、動きや音によるわかりやすさ……タブレット学習だからこそできることは本当にたくさんありました。さらに、30分ごとに休憩の画面が出て、このあとは大人しか操作できないようになっているのも驚きでした。紙の教材は、親がついて見てあげる必要もありますが、それもまた、必要なコミュニケーションであることも確かですし、まったく見てあげないのは、子どもには(私にとっても)物足りない部分もあるでしょう。「こどもちゃれんじ」にはタブレット学習だけでなく、紙の教材もきちんと付属しているので、とても行き届いている印象です。タブレットでの学習効果、紙の教材を通したコミュニケーション。どちらもそれぞれによさがあり、どちらも大切で、紙だけでなくてはならないということはなかったのですね。子どもの適応力の高さに驚かされると同時に、大人の方が固定観念に縛られていたことに気づかされました。↑30分ごとに、しまじろうから「きゅうけいしよう! めをやすめてね」とメッセージが届きます。専門家の言葉から学ぶこの経験を通じて、私の教育観も変化しました。以前、編集者として専門家のインタビューを読み込む際に、こんな言葉に出会いました。「IT技術の進歩により、スマホやタブレット端末用のアプリなどメディアが生まれている時代です。つまり、文字だけに頼らずとも、情報をインプットできる機会が増えているのです。子どもに合ったメディアをチョイスしてあげることも、ひとつの方法です。」 この言葉を目にしたときには、「そうだよね……。学習方法も時代に合わせてアップデートしていこう」と思いました。でも、いざ自分の子どものことになると、紙のワークのみが正!と無意識に思っていたのでしょう。固定観念でガチガチだったのかもしれません。この気づきは、単に教育方法の選択にとどまらず、子育て全般に対する私の姿勢を変えるきっかけとなりました。子どもの可能性や成長を信じ、新しいことにもオープンな態度で接することの大切さを学んだように思います。子どもって、思ったより成長していて、私が思っているよりもっといろいろなことができるんです。「こどもちゃれんじ」のタブレット学習は、継続予定なので、またリアルな体験記事をお届けしていきます!私は専門家でもなんでもなく、ただの子育て中の母ですが、育児を頑張るお仲間のママたちの参考になれば、嬉しいです。↑娘が夢中になっていたプログラム。「問いかけ型メソッド」で考える力が確実についている!***この「こどもちゃれんじ」との再会は、私たち親子に新しい視点をもたらしました。「教育」や「育児」というと堅苦しく感じがちですが、自然に、嬉しそうに学べる環境の大切さを実感しています。子育てはさまざまな選択の連続です。その過程では、喜びも不安も、多くの感情が伴います。新しい方法や考え方に出会ったとき、それを試してみる勇気をもつことも大切かもしれません。「こどもちゃれんじ」は、親子の成長を優しく見守り、サポートしてくれる心強い味方になってくれそうです。みなさんの子育ても、きっとすばらしい発見と学びの連続になりますように。一緒に、子どもたちの輝く未来をつくっていきましょう!
2024年10月28日子どもがひとり寝を始めるタイミングは、家庭の方針や住宅事情によりさまざまです。とはいえ、お友だちのママから「うちの子はもうひとりで寝てるよ」と聞くと、「うちもそろそろ……」と焦る気持ちが出てくる親御さんも多いのではないでしょうか?そこで今回は、「子どもと一緒に寝るのはいつまで?」という疑問について、専門家の意見を交えながら考えていきます。生後すぐから親子別室。欧米と日本はこんなに違う親子の寝室事情について、日本と欧米ではかなり異なるということがよく指摘されます。2017年にオランダの研究チームが世界の母子のベッドシェア(添い寝)に関する論文を出していますが、それによると日本では、乳幼児期の54.4%がベッドシェアであると報告されています。一方欧米では、アメリカ(23.0%)、ドイツ(8.9%)、イギリス(7.1%)、イタリア(6.4%)とベッドシェア率は低いようです。この結果からも、実際に欧米では親子別室で就寝する傾向が強いことがわかります。*1教育研究家の征矢里沙氏は、日本と欧米における親子の就寝環境について、「欧米は歴史的に『自立』や『個人』を重視する文化。一方日本は、親子、特に母子が密接に関わって育児をするという伝統的な習慣があることが大きい」と、文化や価値観の違いが影響していると指摘しています。*2もちろんそれ以外にも、各国の住環境の違いや夫婦のあり方などさまざまな要因が複雑に絡み合っているため、一概にどちらが正しいとは断言できないでしょう。また、部屋数やきょうだいの人数など、各家庭の事情はそれぞれ異なるので、添い寝の習慣とひとり寝への移行時期に正解はありません。添い寝は授乳など夜のお世話がスムーズにできる点や、子どもの異変に気づきやすい点からも親が安心できる反面、頻繁に目がさめることで眠りが浅くなり、慢性的な睡眠不足につながる可能性も。一方ひとり寝は、大人の時間がとれてぐっすり眠れるものの、別室まで子どもの様子を見に行ったりお世話をしに行ったりするのが大変だと感じることもあり、どちらも一長一短であるでしょう。次項では、専門家の意見をもとに「子どもと一緒に寝る時期とひとり寝のタイミング」についていくつか提案しています。子どものタイプや親の意向をふまえつつ、家族みんなが快適に就寝できる方法を見つけてください。専門家の意見1:親子別室にトライするには「2歳まで」がカギ眠りとお風呂の専門家で公認心理師の小林麻利子氏は、「2歳までは比較的簡単に親子別室にトライできる」と提案したうえで、「それ以降だと『寝る時は隣にいて』という意思が強く出て難しくなる」と指摘しています。小林氏によると、「子どもが寝る部屋を早い段階で作り、『お風呂に入ったらひとりで眠る』ということを習慣づけていく」のが効果的とのこと。習慣になれば、お互いの物音も気にならず、不必要に起こされることもなくなっていくのだと言います。また、2歳前後には「自分の部屋」という認識をもつようになるため、朝目が覚めても親を待つことができるように。幼児期特有の、早朝に親を起こすこともなくなり、親の睡眠時間も確保できますね。*3専門家の意見2:添い寝は3~4歳までOK!先述の研究結果にもあるように、欧米では早い段階で親子別室での就寝がスタンダードになっていますが、そもそもスキンシップの仕方や愛情表現において、日本と欧米ではまるで違います。1984年から5,000件以上も日本の家族がどう寝ているかを調査してきた教育学博士の篠田有子氏は、「欧米の場合、いくつになってもハグやキスなど愛情表現する習慣がある。一方、年齢が上がるにつれてスキンシップが減っていく日本では、愛情伝達が不足しがち」と指摘したうえで、幼少期の添い寝は親子の信頼関係を築くためによい方法なので、「3~4歳くらいまでは添い寝がおすすめ」だと述べています。*4乳幼児期にスキンシップが足りないと、精神的な落ち着きが育たず、反抗的になったりなかなか自立できなかったりする心配も……。しかし、添い寝をすることで皮膚接触をはじめ、寝息を聞いたり匂いを嗅いだりと、全身で親の愛情を感じ取ることができるため、子どもは安心感を得られます。このように、親に対する安心と信頼が育つ添い寝は、スキンシップが苦手な日本人に向いていると言えるでしょう。専門家の意見3:3歳までは添い寝をし、4歳ごろからひとり寝をさせる兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科と鳴門教育大学大学院教育学研究科による「子どもの自尊感情を高めるには、添い寝がいつまで、どのように行なわれるのが望ましいかを探る研究(添い寝が子どもの愛着および自尊感情へ及ぼす影響)」では、「3歳までは添い寝をし、4歳ごろからひとり寝をさせるのが最も好ましい」という結論に至っています。この研究によると、「4~5歳は子どもの自立心が活発になる時期」であるものの、この時期にひとり寝を始められる状態であったのに添い寝を続けてしまうと、子どものなかで添い寝が当たり前という認識になってしまうことがわかっています。そしてその後、子ども部屋ができるなどして、ひとり寝を始めざるを得ない状況になると、今後も添い寝が続くと期待していた子どもは突然親に拒絶されたと感じてしまうのです。*5可能であれば、3歳頃までは親が応答的に添い寝をし、子どもに自立の準備ができたら少しずつ心理的距離をとるようにしましょう。徐々にタイミングを見計らって、スムーズにひとり寝へと導いていくことが大切です。専門家の意見4:6歳までの添い寝で認知的スキルが上がる東北大学大学院情報科学研究科准教授の細田千尋氏は、以下の2つの研究結果をふまえて、「6歳までの添い寝」を推奨しています。*16歳まで添い寝をしていた場合、していない人たちに比べて認知的スキル(知能など)が高かった幼児期まで親と一緒に寝て夜間の安心感が強くなることで、日中の行動がより自立的になる つまり、子どもの情緒の安定や自立心を育むには、早くから親子別室で就寝するよりも、幼児期まで添い寝を続けていてもOKだということ。もちろん親のメンタルヘルスの観点から、添い寝が負担になったり、睡眠不足で日中のパフォーマンスが落ちたりする懸念があれば、その限りではありません。大事なのは、親も添い寝によって安心感を得られること。そのうえで、子どもの情緒面や精神的・肉体的成長を考慮して、添い寝を続けるかひとり寝に移行するかを判断すればよいのです。結論:添い寝→ひとり寝の時期は「その親子次第」!子どもと一緒に寝られる時期には限りがあり、親にとっても幸せを感じられる大事な時期でもあります。「お友だちはひとりで寝ていると言っていて焦る」「もうすぐ小学生になるし、そろそろ添い寝は卒業かな……」「まだ一緒に寝たいけど、自立できなくなりそうで心配」など、ご家庭によって悩みは千差万別です。「どういう形態が最適なあり方なのかよく考えたうえで、『子どもの成長に合わせる』だけでなく、『自分たち親子に合った』選択をしよう」と細田氏が述べるように、周りの意見に流されずに、自分たちにとって何が最適かを優先して決断することが大切です。*1最後に、「そろそろ添い寝からひとり寝に移行しようかな」と考えている方に向けて、前出の小林氏によるアドバイスを紹介します。ポイントは「就寝フォーメーション」です。父・母・子どもの3〜4人家族の場合、寝室を分ける際に「母親・子ども」と「父親」に分かれるケースが多いのではないでしょうか?授乳やおむつ替えなどのお世話を頻繁にする必要がある時期は、母親が一緒に寝ている方がスムーズにケアできることもあります。しかし親子別室への移行を考えるなら、まずは「父親と子どもが添い寝、母親が別室」の組み合わせを試すのがおすすめ。小林氏は、「父親は母親ほど敏感に子どもの物音で起きることが少なく、子どもも母親を求めて起きてしまうことが軽減されるため、母子ともにゆっくり眠れるようになるはず」と述べています。ストレスなくひとり寝へと移行できるように、親と子が徐々に距離をとりながら睡眠環境を変えていくのが理想です。それぞれの家族に合う方法とタイミングで、親子の睡眠環境を見直していきましょう。*3***ここまでさまざまな専門家の意見を紹介してきましたが、「自分たち家族には当てはまらないな」という言説もあれば、「なるほど、そういう考え方もあるのか」と新たな発見もあったかと思います。いずれにせよ、子どもも親も毎晩心地よい眠りにつくために、各家庭によってさまざまな工夫をしているはず。「こうでなければならない」という思い込みは捨てて、お子さんのタイプをしっかり見極めたうえで、最善策を見つけていきたいですね。文/野口燈(参考)(*1)参考・カギカッコ内引用元:プレジデントウーマン|最新の研究が明かす「子どもは何歳から一人で寝るのがいいのか」(*2)参考・カギカッコ内引用元:ウチコト|【教育研究家に聞く】赤ちゃんの「添い寝と一人寝」、メリット・デメリットは?(*3)参考・カギカッコ内引用元:nishikawa|添い寝?それとも親子別室?ぐっすり眠れる就寝フォーメーション(*4)参考・カギカッコ内引用元:ベネッセ教育情報|いつまで川の字で寝る?【前編】幼少期の寝かたが心の育ちに影響する(*5)参考・カギカッコ内引用元:応用教育心理学研究第30巻第2号|添い寝が子どもの愛着および自尊感情へ及ぼす影響
2024年10月25日「宿題しなさい!」「さっさと終わらせなさい!」そんな声かけが効果がないどころか、逆効果になっているかもしれません。子どもが自分から宿題に取り組まない状況に、イライラを感じている親御さんは多いのではないでしょうか。本記事では、ついつい言ってしまいがちな言葉や、知らず知らずやってしまっている行動の中から、特に避けるべき4つのNGポイントをご紹介します。専門家の見解と著者の実体験をもとに、なぜその行動が逆効果なのか、どう改善すればよいのかまで、具体的に解説していきます。子どもが宿題をやらないのは仕方ない!?あとで苦労するとわかっているのに、なぜ宿題をさっさと終わらせないのか?親からすれば不思議ですが、子どもにとって自分から宿題に取り組むのは難しいこと。ベネッセ教育総合研究所主席研究員の木村治生氏も、「宿題に進んで取り組まない子どもがいるのは、ある意味当たり前」だとして、その理由を次のように挙げています。*1なぜやらなければいけないのかわからない「やったほうが次の授業が理解しやすい」など先の予測をするのが難しく、宿題をする必然性を感じにくい つまり、子どもにとって宿題は必要性を感じられないものなのです。だから、自分のやりたいことを我慢してまでやらなくてはならない意味がわからない。「なんで宿題やらなきゃいけないの?」という嘆きは、子どもの本心から出ている言葉です。それゆえ、子どもが「宿題は自分からできて当然」と思わず、「宿題を自分からやりたがらないのはある程度しかたない」という認識をもつことを木村氏は推奨しています。*1宿題をしない子どもへの「NG行為」4つ次に、そもそも「宿題をやる意味がわからない」と思っている子どもが、ますます宿題から遠ざかる親のNG行為をシーンごとに紹介します。NG行為1:「宿題しなさい!」と口うるさく言う「宿題、ちゃんとやったの?」「動画ばっかり見てないで、宿題しなさい!」など、子どもの姿が視界に入るたび、こんな声をかけていませんか?子どもからすれば、「あと5分休んだら宿題しよう」と計画していたのに、その直前に「宿題しろ」と言われてしまい「親に命じられたからやる」状態に。これでは、やる気を出せと言うほうが無理というものでしょう。『子どもの頭のよさを引き出す親の言い換え辞典』(青春出版社, 2023)の著者で教育家の小川大介氏は、親が口うるさいことで子どもが被ってしまうデメリットを、次のように指摘しています。*2「ちゃんとやったの?」「○○しなさい!」という命令口調は子どものやる気を奪うだけでなく、親からの指示がないと動けない子にしてしまう心配もありますすなわち、子どもは余計なストレスを回避するため「親の考えと違うことをすれば、いちいちうるさく言われるだけ。指示されたことだけやっとけばいいや」となってしまう。いわゆる「指示待ち人間」のできあがりです。子どもが主体性に欠けた人間にならないよう、子どもが自主的に動く隙を与えないほど口を出し続けていないか、一度振り返ってみませんか?NG行為2:子どもと誰かを比較する「みんなやってるんだから」「ちゃんと宿題やらないと、○○ちゃんに抜かされちゃうよ」――これらも、つい言ってしまいがちなセリフではないでしょうか。親に悪気はないのですが、言われた子どもは「みんな」「○○ちゃん」よりも自分が低く見られていると感じ、劣等感をもってしまいます。誰かと比較する言葉は、子どもの自尊心を傷つけ、やる気を削いでしまうのです。教育評論家の親野智可等氏は、「否定的な言葉で比較するのは、絶対NG」であり、「自己肯定感が下がると、比較された相手を恨むようになったりする」と話します。子どもを励まそうとかけた言葉で子どもが自信を喪失したうえ、ほかの子を恨んで嫌がらせでもするようになったら最悪です。*3宿題を自らやるような理想的な子と、わが子とのギャップに不安や焦りを感じたときは要注意。「誰かと比べる言葉は、大切なわが子を傷つけるだけだ」と心に刻み、ポロリと言ってしまわないように気をつけましょう。NG行為3:親のイライラを子どもにぶつける親も感情をもった人間です。ストレスまみれで心身ともにくたびれ切っていることだってあるでしょう。だからといって、そのイライラを子どもにぶつけるのはNGです。もう夜なのに、とっくに片づいているはずの宿題が終わっていない。親は疲れすぎて心の余裕が1ミリもない――。そんなときなどは「宿題が終わってないのになぜのんびりしているの!?」と、心配と苛立ちと怒りの感情が噴き出し、子どもに対して感情的に怒鳴ってしまうこともあるでしょう。そして言い返してくる子どもとの泥沼のバトルで、時間だけがムダに過ぎていく……。前出の小川氏は、「イライラの感情をぶつけてしまえば親子バトルに発展する」のは目に見えているため、「強く言いたい気持ちをいったん横に置いて、子どもの気持ちに寄り添うことが解決の近道」だと語ります。*2親だって自分の心のコントロールは難しいもの。ですが、自分のイライラとは無関係なわが子を自分の負の感情のはけ口にしてしまうことは、なんとか避けねばなりません。NG行為4:集中しにくい環境を親がつくっている子どもが集中しにくい環境をつくっていないか、気を配る必要もあります。たとえば、子どもがリビングで勉強しているときに、親がテレビを見ているといったことはありませんか?前出の親野氏も、テレビのせいで宿題がはかどらないという話は本当によく聞くとし、「子どもに自制を要求する以上は親も同程度の自制を約束する」ことが必要だと述べています。*4もうひとつ注意したいのは、子どもが勉強に集中しているときに話しかける行為です。心当たりがある方も多いのではないでしょうか?『3万人を教えてわかった 頭のいい子は「習慣」で育つ』(ダイヤモンド社, 2018)の著者である河端真一氏も、以下のように指摘しています。*5子どもがせっかく勉強や読書に取り組んでいるところに、「ご飯できたから冷めないうちに早く食べなさい」「お風呂に入っちゃって!」などと言って水を差します。これでは集中力は途切れます。せっかくの集中力を親が乱しているなんて、残念極まりないことです。子どもの自主性を育む効果的なアプローチここからは前章で挙げた親のNG行為を改善し、子どもが自主的に宿題を進められるようになる方法を提案していきます。効果的なアプローチ1:宿題ルーティンをつくる宿題を「いつ」「どこで」するか、子ども自身に決めてもらいましょう。もし、お子さんが「どうやって決めたらいいのかわからない……」と戸惑っていたら、親が「朝・学校から帰ってすぐ・夕食前、いつがいい?」と、いくつかの選択肢を提案してみてください。宿題のルーティンを子ども自身がつくることは、子どもが自主性を発揮するトレーニングに最適。また「自分が決めたことだから」とやるべき理由も生まれ、親に命じられてやるよりもずっと宿題に取り組みやすいはずです。前出の木村氏も、宿題をする時間・場所・方法などを決めることは、子どもの自発性につながり、また「自分が決めたことは、守らなければならないという心理」が働くと語っています。*1下記は筆者が小学生時代の子どもと実践した例ですが、効果てきめんでした。宿題ルーティンをつくったら紙に書き出して、子ども用デスクや冷蔵庫、カレンダーなど、よく見える場所に貼り付けておくのがオススメです。☆ 通常授業の日16:00~17:00学校の宿題(音読・その他)17:00~17:15休憩17:15~18:00習い事の宿題☆ 長期休み中8:15~ 9:00夏休み(冬休み)のドリル17:00~ 18:00自由研究・習い事の宿題20:00~ 20:30漢字ドリル(1ページ)自分から勉強計画を立ててみせれば「うるさい親の口を封じることができる!」と学んだのか、子どもはいまでも勉強のルーティンを自分で決めて紙に書き出す習慣を続けています。いちいち考えなくても宿題をどう進めるかひと目でわかるので、子どもも動きやすいですし、親も子どもの行動が予測できるので安心して構えていられるようになりますよ。効果的なアプローチ2:努力を具体的にほめる子どもがいま取り組んでいることに意識を向けてみましょう。そして、次のように子どもなりの工夫や努力を認める声かけをしてあげてください。言葉選びでおさえるべきポイントは、次のとおり。頑張っているな、向上しているなと思った点を具体的な言葉で表現する→「計算のスピードが前よりもアップしているね!」(計算ミスはまだまだ多いけれど……)できないことではなく、できたことを取り上げる→「最近、文字をていねいに書けるようになったね!」(きれいな文字とは言えないけれど……)結果ではなくプロセスを重視する→「漢字を繰り返し書いて覚える作業は、手が疲れて大変だよね。よく頑張ってる!」(漢字はなかなか覚えられないけれど……) 心のこもった説得力のある親の言葉なら子どもの耳にスッと入り、励みになるのではないでしょうか。木村氏は、「取り組みを正当に評価してあげること」で、子どもの頑張りが変わってくると述べています。*1また、自分の子どもだけに注意を向けていると、不思議なことにすばらしいところがフワッと見えてきます。そんなポジティブな面をどんどん発掘して、ぜひお子さんに教えてあげてください。親の言葉パワーは子どもに絶大な影響及ぼすもの。「自分は親に認められている」と確信できた子は、見違えるようにキラキラ輝き出すはずです。効果的なアプローチ3:親自身の怒りを静める「つい感情的に叱ってしまうため、子どもとバトルになり宿題どころではなくなる」とお悩みの方は、まず自分の怒りに対処してみませんか?イライラした状態でいることが、感情的な言葉を放ってしまう諸悪の根源だからです。幸福学の第一人者で慶応義塾大学教授の前野隆司氏の提案する「怒りをコントロールする方法」を試してみてください。【イライラを認める】「子育てにはイライラすることもあって当然なのですから、自分を責めるのではなく、『イライラしたなあ』と、イライラした自分をただ認めることが大切です」と前野氏。さらに、「イライラは完全に悪いものだと言い切れるものではない」とし、親のイライラが子どもに伝わることで、ある程度の教育効果が期待できると指摘しています。【6秒ルールを実践する】イライラしたら、6秒間深呼吸をして、イライラを子どもにぶつけたくなるのをぐっと我慢しましょう。これは、アンガーマネジメントの研究成果に基づく方法です。怒りは6秒間我慢すれば消えるという研究結果が示されています。筆者が実際にやってみたところ、怒りが完全に消えるわけではありませんが、最高にイライラした状態からは解放されました。【自分を客観視する】「イライラしている自分を俯瞰するイメージで客観視してみてください」という助言のとおり、この視点をもつことで冷静な対処が可能になります。こちらも試してみましたが、確実に効果がありました。ふと「そういえば、自分も宿題のことでしょっちゅう親に怒られて嫌だったな……」と過去の自分を思い出し、怒りの感情がスーッと消え去ったのです。この3つを続けることで、イライラに対して適切に対応できるため、「幸せ体質な親」に近づきます。「サポートできることがあれば言ってね」と優しく声掛けしてあげれば、お子さんも素直に「宿題、やらなきゃ」と思えるのではないでしょうか。効果的なアプローチ4:勉強に集中するためのルールを決める「子どもが宿題をやらないのは、勉強に集中できる環境が整っていないせいかもしれない」と思った方は、ルールづくりを徹底してみてください。たとえば、テレビが気になって子どもが勉強に集中できない場合は、親子でテレビに関する下記のようなルールを考えてみましょう。見たい番組は録画する宿題が終わってから見る1日1時間まで使っていないときはテレビに布などをかけておくルールが守れたらカレンダーに自分のサインを書く ルールづくりを成功させるための大事なポイントは、次のとおり。親が一方的につくったルールを子どもに押し付けないこと親も同じルールを守ること実行可能な内容にすること 親野氏は、親子で十分話し合って「お互いが納得できるルールをつくる」こと、そして「子どもに自制を要求する以上は親も同程度の自制を約束することも必要」だと述べています。*4また、子どもの都合を無視して話しかけてしまうクセがある親御さんにオススメしたいのは、声をかける前にお子さんの様子を一度確認すること。もし勉強に集中しているようであれば、あとで子どもが休憩しているタイミングで声をかけましょう。まずは、子どもの集中力を乱す悪習慣を親自ら断ち切ることが大事です。「でも、思いついたらすぐ言わないと忘れてしまう……」と心配なら、子どもに伝えたいことをフセンに書いて冷蔵庫など目につく場所に貼っておきましょう。***「子どもが宿題をやらない……」とお困りなら、本記事でご紹介した避けるべきNG行動をしていないかチェックしてみてください。NG行動を改善できれば、お子さんは自分から宿題をやりやすくなり、親子関係のストレスも激減するはずです。文/上川万葉(参考)(*1)参考・引用・カギカッコ内引用元:ベネッセ教育情報|宿題をやらないのはどうして?子どもの心理を理解して上手に対応する方法【体験談あり】(*2)参考・カギカッコ内引用元:プレジデントオンライン|「宿題はやったの?」は絶対にNG…本当は頭がいい子をみるみるダメにしてしまうNGフレーズ(*3)参考・引用・カギカッコ内引用元:めざましmedia|「他者と比較するのは絶対NG」新学期、宿題になかなかとりかからない子供にかける“魔法の言葉”とは?(*4)参考・カギカッコ内引用元:ベネッセ教育情報|テレビのせいで宿題がはかどりません[教えて!親野先生](*5)参考・引用・カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|母親のそのひと言が、子どもの集中力を奪っている!(*6)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|子育てでイライラした時どうすれば?幸福学の権威が教える「幸せ体質な親」の目指し方
2024年10月24日あなたのお子さんは、新しいことに挑戦するのを躊躇していませんか?多くの子どもたちが、慣れ親しんだ環境や日常の中で安心感を得ています。しかし、この「居心地の良さ」が、時として子どもの成長を妨げる壁となることがあるのです。専門家によると、子どもの潜在能力を引き出すには、この安心できる領域(コンフォートゾーン)から一歩踏み出すことが重要だといいます。では、親として私たちに何ができるでしょうか?この記事では、子どもの可能性を広げるために、コンフォートゾーンから抜け出すサポート方法を、勉強、スポーツ、人間関係の3つの観点から紹介します。あなたのお子さんの隠れた才能を開花させるヒントが、きっと見つかるはずです。「コンフォートゾーン」とは?私たちの日常生活には、快適で安心できる領域があります。みなさんのなかにも、長年勤めている職場や行きつけの飲食店、学生時代からの友人たちとの集まりなど、居心地がよい場所や人間関係を大切にしている人も多いのではないでしょうか。これを「コンフォートゾーン」と呼びます。コンフォートゾーンの外をぐるりと取り囲むのが、「ラーニングゾーン」と呼ばれるチャレンジ領域です。行ったことがないお店に行ったり、初めて会う人と話したりと、適度に負荷がかかる領域を意味します。不安やストレスを感じやすい人にとっては、その刺激を苦手だと感じます。さらにラーニングゾーンの外側に広がるのは「パニックゾーン」です。この領域では、自分の能力をはるかに超える水準を求められるため、肉体的にも精神的にも必要以上の負荷がかかって追い込まれることがあります。知り合いもいない、言葉も通じない外国で一人ぼっちになるイメージです。安心できる要素がなく、これまで積み上げてきた自信や実績が一切役に立たない状況では、どんな人でも過度なストレスやプレッシャーを感じてしまうでしょう。それが「パニックゾーン」です。*1続いて、子どもたちが「コンフォートゾーン」から「ラーニングゾーン」へ一歩踏み出すことの重要性について、詳しく解説していきます。コンフォートゾーンにいるだけでは成長できない!?子どもたちにとっても、慣れ親しんだ環境や状況、つまりコンフォートゾーンは心地よく、安全だと感じます。しかし、この「ぬるま湯状態」に長くいることは、子どもたちの成長を阻む恐れもあるのです。目標実現のスペシャリストであるメンタルコーチの大平信孝氏は「不安はないが成長や進歩もないコンフォートゾーンに比べて、適度な不安状態であるラーニングゾーンは学びや成長が得やすい」と述べています。適度に不安を感じている状態は、心のどこかで「今のままではよくない」と思っている証拠。いい意味での緊張感とパニックには陥らない冷静さ、そして前向きな意識があるラーニングゾーンは、学びや成長を得やすい領域なのです。*2(画像は編集部で作成:*2)たとえば勉強面において、教育評論家の石田勝紀氏は、5段階評価の通知表が「オール3」などの平均レベルにいる子について、「居心地のよさから危機感がなく上昇志向も生まれにくい」と指摘しています。逆に、「オール4」や「オール5」のレベルにいる子は、「勉強して上のゾーンを目指す傾向がある」のだと言います。ラーニングゾーンにいる子は、やはり成長しようとする意欲が強い傾向があります。*3スポーツでも同様に、「もうちょっと練習すればレギュラーになれそうだけど、いまのままでも楽しいし、激しい練習をして疲れるのも嫌だな……」と言い訳ばかりしていると、いつまでたっても技術やテクニックが上達することはないでしょう。成長には新しい挑戦が不可欠であり、コンフォートゾーンに留まり続けると、せっかくもっている潜在能力を十分に引き出せない可能性があるのです。人間関係においても、コンフォートゾーンの居心地のよさに甘んじてしまうことで、新しい出会いから世界が広がるチャンスを逃してしまうことも。そのままの自分を受け入れてくれる仲間の存在は大切ですが、ときには違う価値観の友人と話して刺激を受けることも、成長する過程で必要です。新しい経験や挑戦は、不安や恐れをともなうこともありますが、それを乗り越えることで子どもは大きく成長します。保護者の役割は、子どもが安全にコンフォートゾーンを出る機会を提供し、サポートすること。ただし、急激な変化は逆効果になる可能性があるため、段階的にアプローチしていきましょう。次項では、「勉強面」「スポーツ面」「人間関係」の3つのジャンル別に、コンフォートゾーンから抜け出す方法を解説していきます。コンフォートゾーンから抜け出す方法:勉強編「いつも平均点くらいだし、いまのままでも問題ないんじゃない?」と、子どもだけでなく親も心のどこかで思っているのなら、コンフォートゾーンから抜け出すことは難しいでしょう。本当はもっと上を目指せるのに、現状に甘んじているなんてもったいないと思いませんか?ここでは、学習面におけるラーニングゾーンへ進むためにできることをご紹介します。■通知表“オール4” や “オール5” の世界をイメージさせる!前出の石田氏によると、レベルの違う世界を知ることで「子どもの行動は見違えるように変わることもある」のだそう。たとえば、「通知表がオール4のゾーンに入ったらどんな世界になると思う?今より少しは気分よくない?さらに言うと、点の取り方がわかってくるからオール3のゾーンよりも勉強が楽になっていくよ。成績が上がれば嬉しいし、学校生活も楽しくなるかもね」など、いまより上のレベルの世界を具体的にイメージさせるとよいでしょう。*3■「ちょっと難しいけど達成可能」な目標を設定する一般社団法人日本手帳マネージメント協会代表理事の高田晃氏は、コンフォートゾーンから出るために大事なのは、「ちょっと難しいかもしれないが、本気で挑戦すれば達成できるかもしれない、というレベルの目標」を設定することだと言います。たとえば、算数の問題集の少し先のページの問題を解いてみるなど、現在の学習レベルよりも少し難しい問題に挑戦させましょう。これにより、子どもは適度な刺激を受けながら、自信をつけていくことができます。*4コンフォートゾーンから抜け出す方法:スポーツ編スポーツの世界において、「楽しいから」「慣れているから」だけの理由で現状に満足していては成長はありません。自分から上を目指して行動してもらうためには、親としてどのような後押しをすればいいのでしょうか。■小さな成功体験を積み上げる「スポーツひろば」代表の西薗一也氏は、足の速い子と遅い子を比べて、「成功体験の差がトレーニングの負荷の違いとなって、足の速さの差をさらに広げる」と指摘しています。つまり、「一番になって気持がよかった」という成功体験をまた味わいたいがために、全力で走るようになるのです。たしかに、成功体験がないと「自分なんてこんなものだろう」と力を抜くのは容易に想像できます。「昨日よりも速く走れたね」「前よりも高く飛べるようになったね」など、過去の本人と比較しながら成功体験を積み上げてあげましょう。きっとコンフォートゾーンを抜け出せるはずです。*5■目標設定と自己評価をおこなう国際コーチング連盟認定アソシエイトコーチである刈谷洋介氏は、「コンフォートゾーンを抜け出すのに重要なのは明確な目標設定」だと述べています。目標は短期的なものと長期的なものをバランスよく設定しましょう。5本シュートを決める、10回以上ボールを奪う、など数字を入れるとより具体的ですね。また、定期的に振り返って自己評価をおこなうことで、モチベーションにも左右されにくくなります。*6コンフォートゾーンから抜け出す方法:人間関係編最後に、人間関係のコンフォートゾーンを抜け出すためにできることを解説していきます。新しい人々と出会いや異なる価値観に触れることで、子どもの視野は広がり、社会性が育まれます。■積極的な異文化体験を前出の刈谷氏が勧めるのは、異文化交流です。外国人コミュニティのイベントに参加したり、海外の子どもたちとオンラインで交流したりすることで、多様性への理解を深めることができるでしょう。それにより、新たな視点や経験を得ることができて「知らないもの・こと」への抵抗感がぐんと下がります。するといつのまにか、コンフォートゾーンから抜け出してラーニングゾーンへ突入していることでしょう。■コミュニケーションスキルを磨くコンフォートゾーンを出るには、自分の気持ちや考えを適切に表現することも大切です。アルバ・エデュ代表の竹内明日香氏は、これからの時代はさまざまな場面で「自分のメッセージを相手に効果的に伝える力=プレゼン力」が求められる、と指摘します。そのためには、ロールプレイングゲームを通じてあらゆる状況でのコミュニケーションを練習したり、さまざまな本や映画などを通じて相手の気持ちを理解し、共感する能力を鍛えるのがおすすめ。うまくコミュニケーションが取れるようになると自信につながり、より幅広い人間関係を築きたくなります。*7***居心地のよいコンフォートゾーンから抜け出すことは、ときに不安や恐れをともないます。しかし、自分の力でそれを乗り越えた先には、目を見張るような成長が待っているでしょう。親としては、子どもの挑戦を応援し、サポートする体制を整えるのが唯一できることなのかもしれません。文/野口燈(参考)(*1)参考・カギカッコ内引用元:ダイヤモンドオンライン|コンフォートゾーンから抜け出して、人も組織も成長しよう(*2)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|最も成長できるのは適度に〇〇を感じるとき。学びを得やすい「ラーニングゾーン」への入り方(*3)参考・カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|何事も平均「オール3の人」が変わるための超発想(*4)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKER|確実に達成できて成長につながる「目標設定」のコツ。“〇〇ごとに書き出すのが効果的(*5)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|運動神経は成功体験で伸びる!運動が「得意な子」と「苦手な子」の違い(*6)参考・カギカッコ内引用元:COACHING-L|変化を恐れずに進む:コンフォートゾーンからの脱却ガイド(*7)参考・カギカッコ内引用元:STUDY HACKER こどもまなび☆ラボ|世界で通用する「話すちから」を鍛えよう!『アルバ・エデュ』竹内明日香さんインタビュー【第1回】
2024年10月08日(この記事はAmazonアフィリエイトを含みます)「子どもと美術鑑賞なんて難しそう……」そう思っていませんか?アートは子どもの想像力を育む宝庫。利用しない手はありません。有名な絵画には、子どもたちを虜にするおもしろいストーリーや秘密が隠されているのです。この記事を読めば、アート鑑賞がもっと楽しくなること間違いなし。さあ、親子一緒にアートの世界を覗いてみましょう。アート鑑賞のメリットがありすぎる!アート鑑賞は子どもにどんな影響を与えてくれるのでしょうか。まずは、アート鑑賞のメリットを考えてみます。【メリット1】子どもの想像力と創造性を向上させるアート鑑賞には正解がありません。受け取り方は人それぞれ。だからこそ、子どもたちは自由に想像をふくらませることができます。アートに触れることで、五感は磨かれ、創造性が高まるのです。作品にインスパイアされて粘土遊びをしたり、絵を描いたりする表現活動も、創造力を豊かにしてくれます。くわえて、「観察力」「思考力」「コミュニケーション力」など総合的な人間力を発達させる効果があるとされ、「対話型鑑賞(Visual Thinking Strategies)」など、新しい教育法としてアート鑑賞の活用は着実に進んでいます。*1【メリット2】文化や歴史への理解を深める機会になるアートには、必然的に時代背景や地理的情報が反映されます。たとえば、描かれる服装や建物、風景にその国や時代のヒントが潜んでいます。子どもたちは、興味をそそられれば、そのアートを糸口として知識を深めていくことが可能です。また、多様な作品からグローバル感覚を体験できるのも、大きな魅力のひとつ。歴史の知識や文化の多様性など、アート鑑賞は子どもたちの学びに新鮮な刺激を与えてくれます。*2【メリット3】親子間コミュニケーションの促進になるアート鑑賞を通してコミュニケーション能力を身につけることもできます。アメリカで注目されている「対話型鑑賞(Visual Thinking Strategies)」はその効果を利用した教育法です。繊細な子どもの心を理解するには、親子の会話がとても大切なのは言うまでもありません。そこで、日常会話のトピックにアートを活用してみるという方法です。家族で美術館に行ったり、絵本を読んだりするとき、「これは何に見える?」などと子どもに問いかけてみましょう。感想を伝え合うことで、子どもは「人それぞれ違う見方がある」と気づくことができ、コミュニケーション力とともに、共感力や表現力も育まれていくのです。*1リアル美術館だけじゃない!アート鑑賞の方法アート鑑賞が子どもの成長によいとわかっても、「美術館に行くのはやっぱり敷居が高い……」と感じる人は多いかもしれません。ましてや子ども一緒となると、なおさらでしょう。でも大丈夫。アート鑑賞には、美術館に行く以外にも方法があります。家庭で簡単にできる方法もご紹介しましょう。【アート鑑賞の方法1】美術館に行くアート鑑賞の王道は、やはり美術館に行くこと。「本物」がもつオーラに叶うものはありません。たくさんの「本物」に触れることで、子どもたちは未知のものに出会い、感性を刺激されます。さらに、アートにはいろいろな表現方法があることを知ります。自分がいる世界は想像以上に広いのだと気づけるでしょう。*3☆おすすめ美術館をチェック☆■『アートと子どもの距離が近い!生まれ変わった「東京都現代美術館」で遊ぼう』■『感性を解放しに行こう!横浜美術館「子どものアトリエ」で “みる・つくる・まなぶ” 体験を。』■『“呼吸する” 長崎県美術館は、公園遊びの延長で子どもがアートと出会う場所』【アート鑑賞の方法2】アート作品を本で楽しむ「近くに美術館がない」「忙しくて行く時間がない」―そんなときでも、家庭でアート鑑賞するという方法があります。家庭で名画を鑑賞するメリットは、好きな絵を好きなだけ眺められ、気になる部分を何度でもじっくり観察できることです。いろいろなスタイルの作品を一度に見比べられるため、自分の好みを発見しやすくなるでしょう。そして何より、周囲を気にせず自由なペースで鑑賞できるのが大きな魅力。家庭での名画鑑賞は美術館に負けないくらい、豊かで充実した体験を子どもたちにもたらしてくれます。まずいろいろなアート作品を本で観てみましょう。そのなかに子どもの興味をひくものがあれば、「本物」を観に美術館に行くきっかけにもなるはず。最近は、子ども向けのアート本も充実していて、名画をわかりやすく解説する良著もありますので、ぜひ手に取ってみてください。次項では、おすすめのアート本を詳しくご紹介します。名画を家で鑑賞!『意味がわかるとおもしろい!世界のスゴイ絵画』『意味がわかるとおもしろい!世界のスゴイ絵画』は、75点の世界と日本の名画を一度に鑑賞できる充実の一冊です。その魅力は、なんといっても、簡潔でありながら卓越した作品解説にあります。作品の注目点、作者の人物像、時代背景などについてのユーモアを交えたわかりやすい解説は秀逸。子どもにもわかりやすくアート史を俯瞰できる年表や、画家たちの「妄想対談」など、裏話的にアートのおもしろさを伝える工夫も満載です。実物の迫力を伝えるためにこだわったという高品質な図版や印刷のおかげで、絵の隅々、細かいところまでしっかりと観ることができるのもポイント。「本物」以上の鑑賞を可能にしているかもしれません。この本は、子どもたちが名画の魅力を深く理解し、アートの世界を楽しむためのすぐれたガイドとなるでしょう。『意味がわかるとおもしろい!世界のスゴイ絵画』(Gakken)これだけスゴイ本、中身が気になりますよね。少しだけお見せしましょう!P.14-15猫の形をよく見ると……歌川国芳《猫の当て字(かつを)》猫が好きすぎて猫の仏壇までつくった江戸時代の浮世絵師・歌川国芳が、 猫を組み合わせて「かつを」という文字を描いたシュールな作品です。P.32-33 フクザツな三角関係!? フラゴナール《ぶらんこ》映画『アナと雪の女王』にも出てくる、ぶらんこで遊ぶ男女を描いた名画で、 ロマンチックな情景に見えるのですが、じつはドロドロの男女関係がモチーフとなっています。P.38-39 よーく見ると全員同じ顔!?クノップフ《記憶》ベルギーの画家クノップフが7人の女性を描いた絵なのですが、女性は全員同じ顔。そのモデルは画家の妹マルグリット。 クノップフは妹への愛が強いあまり、妹ばかりをモデルにしていたという、ちょっとこわい?作品です。P.80-81 恐怖!自分にしか聞こえない!?ムンク《叫び》ムンク本人が叫んでいるように見えるこの絵ですが、 ムンクの後ろを歩く2人組は突然の叫び声に驚いた様子はありません。 ムンクは叫んでいるのではなく、幻聴に耳をふさいでいたのだと言われています。P.82-83 モフモフの子犬が推せる……!円山応挙《仔犬図》わんこ大好きの江戸時代の画家・円山応挙が、子犬を観察して描いた名作。 思わず触りたくなるようなかわいさがあります。P.154 モデルに受け取りを拒否された!ローランサン《マドモアゼル・シャネルの肖像》フランスの女性画家ローランサンが、あのココ・シャネルに依頼されて描いた肖像画。 シャネルに「なんか違う」と受け取りを拒否され、ローランサンがブチ切れたと言われています。著者・佐藤晃子さんからのメッセージダ・ヴィンチの《モナ・リザ》、ムンクの《叫び》、葛飾北斎の《冨嶽三十六景》――世界の名画が教養として注目される昨今、「なんだか難しそう」「見方がわからない」と感じる人もいるでしょう。先入観をもたず、感じるままに鑑賞することこそアートの本質といわれますが、一方で、ある程度の知識がないと、どう感じてよいのかわからない、という人もいるのではないでしょうか。そこでこの本では、教養として知っておきたい75の名画を厳選し、それぞれの作品や画家に関する知識を紹介しています。「ダリの時計はどうしてぐにゃりと曲がっているの?」「見返り美人図はなんで顔がよく見えないの?」このような作品に隠された謎から、「妹が好きすぎて妹ばかり描いた」「モデルに肖像画の受け取りを拒否された」などの個性豊かな画家のエピソードまで、名画を楽しむヒントが盛りだくさん。また、ほとんどの作品の図版を、見開きをまたいで大きく掲載しているので、実物さながらの迫力を味わうことや、細部をじっくり観察することができます。芸術の秋に、ぜひ親子で名画鑑賞へ出かけてみませんか?鑑賞のおともに、この1冊を役立てていただけましたら幸いです。***芸術の秋、アート本を手に取って、気が向いたら美術館に足を運んで、気軽に親子でアートの世界に一歩踏み出してみましょう。(参考)(*1)参考:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|人間の知の基本フレームは、小学生のときに形成される!?新たな美術鑑賞法「対話型鑑賞」が育む7つの力(*2)参考:佐藤晃子(2023),『意味がわかるとおもしろい!世界のスゴイ絵画』, Gakken.(*3)参考・カッコ内引用元:STUDY HACKERこどもまなび☆ラボ|子どもの表現力には限界がある。だからこそ「本物」のアートに触れてほしい
2024年10月07日ヲタママだっていーじゃない!
猫の手貸して~育児絵日記~
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々