連載記事:細川珠生の「ママは政治1年生」

子育てや親の介護にも関わる一億総活躍社会って何? 【第2回 細川珠生の「ママは政治1年生」】


実は待機児童問題よりも深刻な高齢者問題

まずは、待機児童対策。今、全国で4万人ほどいると言われているけれど、一番多いのが、東京都の8000人弱。一方、待機児童ゼロというのも、11県あるのです。

保育園の不足は、大都市部の問題でもあるわけです。同じように、介護施設も特に都市部を中心に不足していますが、高齢化問題は実は待機児童の問題より深刻なんです。

というのも、いま、65歳以上の高齢者は3500万人いると言われていますが、そのうち半数は高齢者のみの世帯。さらに、550万人は要介護者で、1割は認知症です。これが、2020年には、85歳以上の高齢者の約半数は認知症になると予測されています。


国が掲げた三世代同居の補助にも疑問点が

国は、介護政策の方針として在宅介護の充実を進めていて、保育士同様、介護士の確保のための待遇改善も急がなくてはなりませんが、これだけの高齢者、ことに認知症が増えていく中で、ヘルパーさんを中心に在宅介護で進めるのはかなり難しいこと。

かといって、このままの予算や方針では、特に都市部での施設の増加は期待できません。子育ても介護も、東京や都市部への人口集中がもたらした問題の一つでもあるのです。

そこで肝入りで打ち出されたのが、「三世代同居」の推進。ところがこれ、三世代同居を要件とはしておらず、玄関、キッチン、トイレ、お風呂のうち2つが2か所以上ある家を木造で新築した場合、補助がでるというものなんです。つまり、比較的広めの家を建てる場合には、誰でもこの補助が使えるので、子育てや介護を家族で支え合うということとは違うものが、あたかも一億総活躍社会実現に効果があるかのように予算計上されることは問題と言わざるを得ません。

これらを見てみると、必要とされるところに、きちんと予算が組まれることはとても大事だし、そのために、何を必要としているのかのニーズの吸い上げが、まだまだ足りないのも事実でしょう。

そして何より、「一人ひとりが生きがいを持って充実した生活を送ることができる」という一億総活躍社会のためには、国に頼るだけでなく、社会のあらゆる発想の転換が重要です。


要介護者にならない努力や働き方や生き方そのものを考え直す、都市部への様々な機能の集中を地方へ分散するなど、今までの発想の延長では解決できないということを、国全体でもう少し理解する必要がありそうです。

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