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先日、NHK
「あさイチ」で
「発達障害の子育て」についての特集が放送された。番組に出演した古山さん一家は、小6の長女と小3の長男が共に発達障害と診断されている。元気にあいさつしてリポーターを出迎える2人の姿は、障害があるとは思えないほどだが、3日間生活に密着しているうちに、「あれ?」と思うことが見えてくる。
古山家のお母さんは、子どもとのコミュニケーションに、言葉ではなく
筆談でそっと気持ちを伝えたり、
タイマーを使って時間をわかりやすく提示するなど、随所に工夫を凝らしていた。
また、お母さんは「長女の子育てに悩んだ末、4歳の時に1人で決めて1人で病院に行った」「旦那は診断を受け入れられず、障害者のレッテルを張ったのは私なのか? と悩んだ」とのこと。それから6年、今も整理できない気持ちを抱えながら、
夫婦で手探りの子育てが続いているという。
じつは筆者にも、8歳になる娘(定型発達)と4歳の息子(自閉症スペクトラム)がいる。決して感情的にならず、子どもの気持ちを受け止めて待つという古山家のお母さんの姿は、とても学ぶところが多かった。
■子どもが発達障害と診断。その時、夫は……?

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しかし、今回の番組を見ていて私が一番気になったのは、子どもでもお母さんでもない。それは、
お父さんの存在だ。
当事者として出てくるのはほとんどがお母さんで、お母さんの話を通してからも、お父さんの存在があまり見えてこなかったのが気にかかった。個人的には「
夫婦や家庭内の葛藤をもっと掘り下げて聞きたい!」と感じた。
今回は放送時間の都合上、残念ながら「お父さんの存在」にはあまりフォーカスされていなかったようだ。次回以降のNHK「あさイチ」特集を含む、
NHK「発達障害」プロジェクトで、このテーマが深堀りされることを期待したい。
「お父さんの存在」という問題。
じつはこれ、
療育ママの間では、よく聞く話である。
「夫が子どもの障害を認めてくれない」
「旦那が『就学先は絶対普通級』と言っている」
「旦那が、幼稚園での発表会の様子を見てショックを受けちゃった…」
などなど。
他に、義理両親や自分の両親から理解してもらえないという話も時々聞く。
「義理母に、あなたがちゃんと躾ければなおると言われた」
「母親に、『あなたは甘やかしすぎ。このままじゃわがままな子になる』と注意された」
などなど。
こういう発言にはイラッとくるけれど、百歩譲って、祖父母世代に発達障害の理解は難しいのかもしれない。自分たちが子育てしていた頃には、きっと聞いたことのない話だろう。でも、同居していたらちょっとキツイ問題だけど、別々に住んでいるならうまくわかすこともできるし、子育てにそれほど強い影響もないはずだ。
だが、夫の場合はそうはいかない。夫がきちんと向き合ってくれなければ、お母さんのストレスは2倍、いや数倍にも膨れ上がる。
日々の小さなことまでフォローする必要はないと思うが、「ここぞ!」という時には、真剣に向き合ってほしい。意見が衝突することもあるかもしれないが、いざという時に一緒に本気で問題に取り組んでくれる同士(夫)がいると感じられれば、それは、お母さんにとって何よりも大きな
心の支えになるはずだ。