連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】子どもの身長が伸びない「遺伝? それとも…」低身長の原因は?<パパ小児科医の子ども健康事典 第15話>
イラスト:ぺぷり
春は、園や学校で身体測定がある季節です。だんだんとわが子の身長が低いことが気になってきた人もいらっしゃるのではないでしょうか。
小児科でも「うちの子はどうして低いのですか?」「伸ばす方法はありませんか?」と相談をうけることが増えます。
身長が低い場合は、どのように考えたらよいのでしょうか?
■低身長かどうか? 目安となる母子手帳の「身体発育曲線」
子どもの身長が低い時、小児科ではまず母子手帳の中にもある「身体発育曲線」
(※1)を確認します。6歳以上の場合は、
小児内分泌学会の「横断的標準身長・体重曲線(0-18歳)」
(※2)をご参照ください。
受診の時は乳児健診や幼稚園、小学校の身体測定の記録なども持っていくとわかりやすいでしょう。
この身体発育曲線に身長と体重に点をうっていくと、生まれてから現在までの身長や体重の伸びや変化を見ることができます。
グラフの「帯の部分からはずれると異常なのでは?」と不安になるかもしれませんが、必ずしも異常というわけではありません。
このグラフはあくまで「分布」を見ているものです。
身長体重には個人差があり、比較的多い成長パターンに入るお子さんがこの帯の範囲におさまります。具体的には100人中94人ほどがこの範囲におさまり、比較的小さい3人もしくは大きい3人が帯の範囲外になります。
帯からはずれても必ずしも異常というわけではありませんが、何か病気が原因で体が小さい場合もありますので見極めるために受診が必要になります。
■低身長の原因となる5つの病気
身長は遺伝の影響が大きいため、ほとんどの場合は病気等の特定の原因を持たず、「特発性低身長」といいます。
特発性低身長であれば、よく食べてよく寝てよく運動して気長に待ちましょう。特別な方法はなく、ある程度遺伝子で決まっているのです。
一方、低身長をきたす疾患が隠れていることもあり、例えば以下のようなものがあります。
・ホルモンの問題である甲状腺機能低下症や成長ホルモン分泌不全症
・出生週数に比べて小さく生まれた場合に身長が伸びにくいSGA(small for gestational age)性低身長
・女の子のみに発症するターナー症候群
・骨や軟骨の病気である軟骨異栄養症
・心臓や腎臓などの機能障害 など
※病気のくわしい説明は、前出の小児内分泌学会ホームページをご参照ください。
身長体重はどのように推移しているかも重要で、あるポイントから急に帯からはずれだしたり、伸びが悪くなったりした場合には、何か病気が隠れている可能性が高くなるので、早めに受診したほうがいいでしょう。