子育てをしていると、つい周りの子どもと自分の子どもを比べてしまい、「うちの子周りの子と違うかも?」と感じるタイミングがありませんか? そんな多様な子どもたちの「何か違う」を大切な個性として、支援する方法について知っておくと、親子ともに、軽やかに生き抜いていけるヒントになるかもしれません。
書籍
『子どものよさを引き出し、個性を伸ばす「教室支援」』には、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)といった傾向にある多様な
子どもたちの個性をのばす方法について、具体的に書かれています。
書籍は学校での具体的な困りごとが4コマ漫画で紹介され、主に学校の先生の教育実践をサポートするために描かれています。しかし多様な子どもとの付き合いで悩む親御さんにも困りごとを解決する一助となります。
著者で日本の特別支援教育を牽引してきた高山恵子さんをはじめとして、教師や心理士、教授や医師など、多くの専門家が、支援策を提案してくれています。今回は書籍から、多様な子どもたちの支援方法について、ご紹介したいと思います。
高山恵子さん
NPO法人えじそんくらぶ代表。ハーティック研究所所長。
臨床心理士。薬剤師。
専門はAD/HD等高機能発達障害のある人のカウンセリングと、教育を中心にストレスマネジメント講座などにも力を入れている。
■やるべきことがなかなかできない子、どう声かけする?
事例のうち、まずは、「やるべきことをなかなかできない子」について、見ていきたいと思います。
▼注意力が足りず、他のことで頭がいっぱい?
子どもに対して、「
集中できていないのでは?」などと感じたことはありませんか? 授業や習い事の課題など、やるべきことがあっても、なかなか取り組むのが難しい場合もあるかもしれません。
子どもたちがやるべきことに手をつけられない理由はさまざまですが、なかにはADHDの3大特性の一つである、他のことに気が散る
「不注意」が原因の場合も。
その場合は、「いま、もっとも注目しなければいけないものに注意する力」すなわち
「選択的注意」が続かず、何かしていてもすぐに他のことに気がそれてしまっている可能性があります。だから、一見ボーッとしているように見える子も、
頭の中は多動の状態になっている場合もあるのです。
▼なぜ、注意できないのかを考えよう
支援の方法としては、まずは子どもをよく観察するところから。「何でボーッとしているんだろう? という
理由を探すところから始めましょう」(麻生先生)
注意できない理由の見立てができてから、子どもへの対応を考えてみることが大切だといいます。そのとき、子どもの様子をもとに、どういった声かけができるか考えることが重要です。
「集中できないのなら、
小まめに声かけをする。
心が別世界にいっているのなら、『3分後の図工室だよ』と
見通しを伝える。状態の原因を見つけ、使える方法を選ぶという視点がもてると良いですね」(井上先生)