どんな制度? 高齢化社会に欠かせない“市民後見人”の役割とルール
こんにちは、金融コンシェルジュの齋藤惠です。
今回は、『市民後見人 』について、その仕組みやルールをご説明します。
今はまだ聞き慣れない言葉かもしれませんが、高齢化などが社会問題となっている現代で、これからのためにぜひ多くの人が知ってほしい制度です。
●市民後見人とは?
認知症や知的障害、精神障害などによって法律に関わる行為などが一人でできない人は、通常は親族の中から選ばれた後見人が本人に代わって財産管理や介護利用契約などをしてくれるものです。
しかし、病気や障害を持った人の近くに必ずしも後見人になり得る人がいるとは限りません。
そんなときに求められるのが、“親族以外の市民による後見人 ”です。これを『市民後見人』と呼びます。
●市民後見人のサポートを受けるには?
こちらも自治体によって細かなルールが異なるようですが、主に担当職員が希望者と面談をして状況を確認したり、医療や介護に携わる専門機関に相談をしたりして、希望者が市民後見人制度を受ける必要があるかを判断するようです。
そのときの判断材料として、自治体は希望者の資産、住居や生活環境の状態、家族関係、現在の支援体制などを正しく把握する必要があります。
家族以外の第三者が関わる制度なので、より慎重な調査となるでしょう。
●市民後見人になるには?
市民後見人は自治体が主催している研修 を受けた後、家庭裁判所からの選任 によって活動を開始できます。
たとえば名古屋市の場合は、『市民後見人候補者養成研修』を受講→『市民後見人候補者バンク』に登録→家庭裁判所からの選任を受ける→市民後見人としての活動がスタート、という流れのようです。
しかし活動前の研修内容や実際の活動の幅が自治体によってさまざまなので、「どうすれば市民後見人になれるのか?」「どんな人がなれるのか?」「具体的に何をするのか?」が一般市民にほとんど認知されていないのが現状です。
●市民後見人になった後の支援体制は?
市民後見人となった人は、その活動が始まってからも自治体によって支援と監督を受けることになります。
たとえば、監督行為として定期的な活動内容のチェックや財産目録作成の立ち合い、支援行為として24時間のサポート体制や保険加入などがあります。トラブルや双方のストレスを避けるため自治体側も手を尽くしてくれているようです。
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まだまだ課題が多いといえる市民後見人制度ですが、私たち一人ひとりが正しく理解と関心を深めることで、今後ますます安心して参加・利用ができる制度になるでしょう。