プレミアリーグのタレント育成システムを作った人物が語る、「トッププレイヤーを育てるシステム」とは
この育成システムを客観的に評価する必要がありますが、これを外部の専門機関に委託しています。育成資料の検証とヒアリング、トレーニング内容や試合の分析を通じて育成組織を評価するシステムが欧州にはあります。チームの「フィロソフィー」や「カリキュラム」「メソッド」「選手評価」などのシステムが幅広く評価、査定されます。
これらのシステムが機能しはじめてから、ジェームズ・サンチョ、フィル・フォーデンなどのホームグロウンプレイヤーが出てくるようになりました。マンチェスターシティ、ユナイテッド、チェルシーなど世界のトッププレイヤーが集まる中でプレーできる選手を育成するためにはシステムを変える必要があったのです。
■選手育成においては、コーチが子どもたちにオーナーシップを持たせることが重要
――育成システムの構築と同時に、指導者のレベルアップも必要になると仰いました。日本の育成年代のコーチへアドバイスをいただけないでしょうか。
コーチはとても重要な存在です。
デモンストレーションできるスキルがないといけませんし、コーチングの知識も必要です。子どもたちのことを知ることも重要で、学習プロセスもそうですが、何を感じ、何をしようとしているのかもしっかりと把握しなければなりません。
そしてなにより、子どもたちが自分達で問題を解決する力を養うことがとても大切なことです。そのために子どもたちにオーナーシップ、権限を持たせてあげてほしいと思います。
育成システムが機能する上でコーチが担う役割はとても重要なのです。
■横浜FCでのビジョンとエリートプログラムについて
――横浜FCでのビジョン、エリートプログラムについてお聞かせください。
ビジョンとしてはまず、日本で最高のアカデミーにすることです。質の高いサッカーを体系的に学べる環境をつくりたいと思っています。
しかしながら、すべての選手がプロになれるわけではないので、サッカーをコーチングすると同時に、それ以外に一人ひとりの適正を踏まえて最適な道を提案できるようなアカデミーにしたいと思います。
エリートプログラム開設の狙いについてですが、世界で活躍するために必要な5つの要素を落とし込んでいきます。・効果的な仕事ができる
・高い技術をもっている
・理解度に優れている
・運動能力に優れている
・人間性に優れている
これらを養うために、エリートプログラムでは選手をスカウト、セレクトします。