医学博士、昭和大学医学部・講師。専門は神経生理学、脳機能マッピング。香りと呼吸の脳内メカニズム‐生きる呼吸、香る呼吸、思う呼吸を研究している。香りの研究の中でも有名な「プルースト現象」について科学的データを基に深い考察を続けている。またアロマテラピー効果の科学的立証にも力を注いでいる。キッズ向けに、香りと味覚の料理教室イベントも展開しているほか、香りと呼吸と音楽の関係性をわかりやすく体感してもらうため、一般向けのワークショップイベントなども開催。
週末になったら素敵なテーブルセッティングをして、ずっと作ってみたかった料理を作り、親しい友人を招いてまったりと時間をすごしたい! と思っていても、実際は家族との時間、溜まってしまった洗濯物、掃除・片付けなどに時間を取られて、気がつけば今週もサザエさんの歌を呆然と聞いている…。そんなあなたに提案です。 金曜日 に、自宅に人を招いてみませんか? 金曜日は一週間の中でも、最大に疲れている日。でも月曜日から金曜日にむけて気持ちを集中させれば、その後2日間も休みがあるのです! 金曜日に人を招き疲れたとしても心の余裕があるということがありがたい。金曜日の夜から活動するだけで、週末がなんと長く感じることでしょう。 今回は、 金曜日に人を招くメリットとコツ をご紹介します。 「準備に疲れない」ための心構え 人を家に招くということは、まず 1.部屋を片付け、お掃除から始める 2.家族やパートナーとの折り合いをつける 3.料理はどうする …と、課題は山積み。考えただけで疲れてしまいます。仕事をしながら、家事や子育てをしながらどうやって準備したらよいのか、ちょっとした 計画性 が大切かもしれません。 人間の頭は気になることや不安な事を 何度も考えてしまう もの。それは 防衛反応 として備わっているからです。金曜日どうしよう、と思うと月曜からそわそわしてしまいます。でもしっかり計画を立ててそれを実行したら 後は何も考えないこと が大切です。だってせっかく楽しい計画なのですから、自分自身も楽しまなければ時間がもったいないですよね。 私が研究している専門分野は 「嗅覚」 と 「呼吸」 なので、今回はその観点からも “ちょっとしたコツ” をご提案します。 1. 「家の中の香り」を演出 まず人を招く時、もっとも大切なのは 家の中の香り です。人間の嗅覚は 慣れ の現象があり、いつもいる家の香りには以外と自分では気づかないもの。毎日、空気の入れ替えをし、クッションや膝掛け、スリッパなどは週末に日にあてて殺菌しておきましょう。家に入った時の印象は大切ですから、 玄関には好きな香り でお迎えしたいものです。 玄関にコートかけがあると、帰りにジャンパーにその香りがほのかに香って、楽しい思い出と香りをリンクさせながら帰路に向かっていただけます。これは 印象に残るおもてなし のヒントとなります。 2. 「金曜日」に向けての計画を立てる さて、金曜日の為の計画をたてましょう。 月曜日:普通にのんびりと。 火曜日:普通にのんびりとメニューを考える (前の晩から作れる前菜を考えてみましょう。例えばマリネ2種) 水曜日:金曜日用のお買い物。 木曜日:お掃除(特に玄関とお手洗い)(マリネの仕込み) 金曜日:夕方、帰宅後にテーブルセッティング。 お肉のローストをオーブンに入れる。 オーブンに入れている間に暖かい前菜1種を作成。 玄関からリビングに入るとお肉のローストの香りがフワっと漂い、お客様のメインディッシュへの期待が高まります。素敵な音楽に、おいしいチーズとワインの力も借りれば、疲れも忘れスイッチオン。 準備の途中でお客さんがいらしても大丈夫。ワイングラスを片手にキッチンでスタンディングでお話をするのもいいですね。あと金曜日に人を招く利点は、シンプルで簡単なお料理でも「金曜日だからね」という逃げ道もあるのです! 3. 香りを使って、“気持ちをひとつ” に 美味しい香りを囲んで楽しく語らい、そして笑う。その時、その場にいる人の「呼吸」はみんな同じようになっているはずです。心をひとつにしたい時、例えば歌を歌ったり、お経を唱えたり、ラジオ体操をしたり… そうやって 呼吸のリズム を合わせることによって、みんなの気持ちを 一致団結 させることができると考えられています。 また逆に 不安感 や ネガティブ な感情の時、呼吸は 早く浅く なりますが、その呼吸のリズムは相手の呼吸を同調させてしまいます。良い状況でも悪い状況でも 「息が合う」 (※)という現象がおこるのです。 テーブルを囲むひととき、同じ香り、同じ味、同じ笑い。「ちょっと最近息が合わないな」と感じていた人ともスムーズな関係をもたらしてくれます。 実は誰も意識しない 呼吸 の奥の深さ。呼吸の神髄を知れば、あなた自身も、また人の心も変化させることができると思います。人の呼吸を変えるのは、まさに 香り 。あなたも金曜日の夜は、 “香りの魔術” をつかってみては。 ※Kutoda and Masaoka, Respiration Physiology & Nuerobiology, 2012
2016年03月14日「人生は短い」いつもそう思いながら日々暮らしてきたけれど、ある出会いをきっかけに 「人生は長い」 というポジティブな考えが浮かび、長いからどうしようかと真剣に考えるようになりました。 先日自分の研究ワークの一部で健康な高齢者の方と多くコミュニケーションを取るチャンスがあり、これをきっかけに私の人生観やこれからの計画を考えなおすことになったのです。 今回お会いしたのは60代~80代の健康な高齢者の方々。どの方も地域のため人のために働いておられる方々です。私の人生設計では60歳でリタイアしその後は仕事のことはあまり考えていなかったのが本音でした。しかし今、医学の進歩や予防医学が進み、平均寿命は世界一を誇る日本! 60代からの人生が 20年以上 もあるのです。さて60歳からどうする…? お会いした70代、80代の方がなんとお元気なこと。健康面だけではなく、ちゃんと自分の能力を発揮できるところに身をおき、 自分らしく生きるアイデンティティ を保っているのです。そして服装や身なりがとてもおしゃれで清潔感に溢れています。私は自分の仕事の内容を忘れ、話を聞くことに夢中になりました。落ち着いた貫禄と相手を優しく包む包容力。そんなに慌てなくて大丈夫ですよ、と声をかけられ、「そうですよね」と思わず涙ぐんでしまいました。 長い人生を “元気に楽しんで” 過ごすためには? ITに翻弄される毎日、スピードが命の現在。研究職もスピードがものをいいます。そんな中でふと穏やかでアナログな時の流れを感じた瞬間でした。戦後の日本を立て直し、日本の高度成長を支えてきたこの世代。乗り越え、経験してきたからこそ持つこの余裕感。今の私、現代の人たちに彼らの意見や空気感は必要であると感じました。 話も自らの経験をもとに話をしてくださいました。どう感じたか、どう見てきたか、話の興味はつきません。そして最も興味を持ったのは、 「どうしてこんなにお元気なのか、どうして楽しそうなのか」 ということ。 今も活発に活動されているが、それは今に始まったことではなく、 若い頃から活動的 であるということ。習慣というのは年齢を重ねてから変えるのは難しい。今でさえ、自分の生活の傾向をなんとか変えようとしてもかなりの努力が必要になります。 今回お会いした高齢の方がたは、日常的に 運動 をすること、 人 とたくさんコンタクトを取り、 趣味 を楽しみ、 おしゃれ をして外へでかけることを億劫に思わず、それらは日常的なことであるようでした。 シンプルな食事で人を家に招き、残りの布でさっとお裁縫をしブラウスを作る、自転車に乗り風を感じる。楽しくて仕方がないという。ゆるやかな時間を感じるけれど、次の予定を聞くと、ポケットからスマホを取り出しスケジュール表をチェックする。ちゃんと時代の波にも乗っているのです。 認知症予防にも? 日々の生活で大切なこと 認知症である人と健常者の脳内を比較したこんな論文 (※) があります。認知症の原因としてamyloidβ(Aβ)やTau (タウ)という異常なタンパク質が脳内に沈着し、それが神経細胞を脱落させることが考えられています。その凝集は特に記憶や情動に関連した脳部位に起こるのです。 しかし高齢者の中には健康で、記憶力や認知機能の低下がみられず元気に楽しく暮らしている方も多くいます。健康で認知機能を維持したまま亡くなった方の脳を剖検したところ、Aβが著しく沈着しており病理学的にはアルツハイマーと診断される状態であったといいます。アルツハイマーと診断されて亡くなった方とどこに差があったかというと 海馬の体積 であることがわかったのです。 つまり病理学的、組織学的には差はないけれど、アルツハイマー病では海馬の体積の減少が認められたのです。海馬の体積を維持することで、予防も可能であるということを示した研究の1つです。そして海馬は唯一、 神経を再生させる 能力があり、それは 運動 や 食事 、 日々の生活 で大きく変化をします。ライフスタイルが大きく関与していることは間違いありません。 人生は長い。だから 健康=楽しく=一生現役 でなくてはいけません。考えさせられる40代、今から準備が必要だと感じた出会いとなりました。 ※ 参考論文:Erten-Lyons et al., Neurology, 2009
2016年03月01日仕事をしていれば避けては通れない 「プレゼンテーション」 。人の前で話すのが苦手、気が重い、と思う方も多いのではないでしょうか。 けれど良く考えてみると、聞いている人はあなたを見ているわけではなく、あなたの持っている情報、考え、アイデアを聞きにくるということ。もしお金を払ってジャズやピアノのコンサートに行って、奏者がすごく緊張をしていてうまく演奏できなかったら、あなたは何と思うでしょう。 そうです、プレゼンでは 緊張 はするけれど、絶対にそれを ほかの人に分らせてはいけない のです。今回は、 呼吸と感情の関係 と、プレゼンに使える 呼吸のコツ をご紹介しましょう。 心を掴む、呼吸の「間」とは 私は「呼吸」と「感情」についての長年研究をしてきましたが、不安感が高くなると呼吸数が 早く なり、その呼吸の速さは人の 特性 に依存していることがわかりました。つまり、 不安傾向が高い人は呼吸の数も多い ということです。 呼吸数が早くなるとどうなるか、というと 早口 になってしまいます。そう、言葉と言葉の 「間」 の時間が短くなってしまうのです。それは、自分の言葉を自分の耳で聞く、という時間が少なくなるということ。それは聞いている人にも当てはまります。聞いている人も話についていけなくなってしまうのです。 優れた弁論者や政治家の話し方には リズム があり、 間 の取り方がうまい、といいます。話し上手の人の言葉のリズムは、聞き手を引き込み感動を呼びます。言葉が人の耳に届く時に間を与えることで、そこに聞き手の理解と感情が入り込んでくる。そして次の言葉への期待感を湧かせるのです。 話し手と聞き手の呼吸のパターンが一致し、多くの人の心がまとまっていく瞬間。大勢の人で歌を歌ったり、唱えたりということは言葉やリズムを介して「呼吸が合う」ということにより 「心が合う」 ことへつながるといえます。 大切なのは、常に “自分のリズム” で呼吸をすること ではどうすれば呼吸をコントロールできるのでしょうか。まずプレゼンの前に自分の呼吸に意識を向けてみましょう。浅く、早くなっているはずです。手は冷たくなり、不快な汗を感じているかもしれません。でも 呼吸に集中 します。 大きく息を吸い、ゆっくりと吐ききり、そこで呼吸を一旦止めてみます。そして目を閉じ、目と目の間に気持ちを集中させます。そしてゆっくりと呼吸を再開します。 プレゼンで一番恐れていることは、何でしょう? 途中で頭が真っ白になるんじゃないか、質問に答えられないのではないか、ということです。 でもこの発表内容を一番勉強して、調べてきたのはあなたですからもし質問がわからなければ、逆にあなたはどう思われますか、と質問すれば良いことです。また頭が真っ白になることはありません。 あなたのリズムで呼吸 をしていれば大丈夫。 元来呼吸をする目的は酸素(O2)を取り入れ、二酸化炭素(CO2)を吐き出し、体内のCO2を一定にすることが目的です。過呼吸になるとこのCO2が排出しすぎてしまい、手がしびれたり、頭が真っ白になってしまったりします。そして逆にCO2が体内に溜まりすぎると息苦しく感じてしまいます。 プレゼン中の「呼吸」のコツとは? 体内のCO2を一定にする為に意識せずに呼吸を調節するのは脳の下部の 延髄 という部分です。面白いことに話をしている時は上位の脳が優位に働いて下部の呼吸を押さえています。 話をしている間 は息を 止めている か、もしくは息を 吐き ながら話をしています。息を吸いながら話すことはできませんね。試してみると分ります。 ですから、話を終えてから、大きく息を吸ったり、吐いたりするのは話している間にできなかった呼吸の仕事を一気に代償しているのです。O2を取り入れ、溜まったCO2を吐き出し、普通の状態へ戻すためです。 プレゼンの途中、話の流れが途切れるところで ひと呼吸 おいて、自分の 呼吸を整えて みましょう。息を止めていたり、吐ききった状態で話を続けていると 息苦しく なってきます。息苦しさから早く言い切りたいと思い 早口 になったり、 語尾が小さく なってしまいます。そのような話し方は相手にも息苦しさを感じさせてしまいます。 “伝える” ということは、「言葉」と、 あなたの心を示す「呼吸」 という2つの要素がとても大切です。もしかしたら「言葉」よりも「呼吸」をうまく使うことで、人の心を掴むことができるかもしれません。
2016年01月13日今年もあとわずかとなってきました。今年、あなたがもっとも楽しかった記憶、もっとも嫌だった記憶は何でしょうか。 記憶は、脳の海馬というところで記憶に刻む作業を行いますが、1つの細胞だけがその仕事を担うのではなくいくつかの細胞が活動し、連動してその記憶を刻みこみます。それを記憶の 「エングラム(痕跡)」 といいます。 苦しい記憶は楽しい記憶で塗り替えられる?! 例えば楽しい思いをした部屋へ行くと、その楽しさを再体験することができますが、それはその当時と同じ脳内のエングラムが活動しているからです。反対に嫌な思いをした場所へ行くだけで、その時の身体反応や不快な感覚を味わうこともありますね。その記憶を塗り替えることはできるのでしょうか? こんな興味深い研究があります。マウスをある部屋に入れて足に電気刺激を与えます。そうするとマウスはその部屋に入っただけで竦んだり、震えたりします。これはその部屋は怖いところだ、という連結が脳内で起こっているからです。 逆にその部屋にかわいいメスのマウスがいたとします。オスのマウスはIt’s a small worldを歌って楽しくてしかたありません(筆者の例えです。実際には歌っていませんが)。その部屋はオスのマウスにとっては楽しい部屋、というエングラムが組まれます。 そこで今度は、電気刺激により、怖い思いを体験したマウスの脳内の細胞群~エングラムに光をあてて活動をさせながら、メスのマウスを部屋に入れて遊ばせました。すると、恐怖で反応した同じエングラムでありながら、その部屋は楽しいという記憶が作られました。なんと、 苦しい記憶が楽しい記憶に塗り替えられる可能性 があるではありませんか。 引用文献 Roger L Redondo, et al., Nature, 2014 記憶を塗り替えるには、記憶に連結した「感情」が大事 記憶にはその記憶に連動した 情動、感情 があります。記憶を脳に刻むのは海馬ですが、不快か、心地よいかは海馬の下流である 扁桃体 という部位が担当しています。その扁桃体にも嫌な出来事や楽しい出来事のエングラムがありますが、その扁桃体のエングラムに先ほどのような塗り替え作業を試みても、 塗り替えることはできません 。嫌な記憶は嫌なまま、楽しい記憶は楽しいままというのです。これはどういうことでしょうか。 こんなことがあった、あんなことをした、という記憶は自分の 情動や感情に強くリンク して脳内に保存してありますが、その時に感じた情緒面はかなり根強く心に残っています。逆にいえば、その時に体験する出来事に対してどのように感じ、思うか、がとても大事であるということではないでしょうか。電気ショックで嫌な思いをしたけれど、その部屋で楽しい出来事を体験して、心から楽しくできたという連携が大切なのです。 記憶に連結した感情を切り離して、感情を変えようとしても変えられない ということのようです。 香りの力を借りて、前向きな「快」のエングラムを作る 私は嗅覚が専門なので、すぐに香りと記憶に結びつけ考えてしまいますが、香りによって思い出す記憶は、良い思い出も嫌な思い出もあります。 でもなぜか、 香り で思い出す記憶は 心地よい出来事 が多いのが特徴です。そしてその良い記憶をまた再現したい、その場所へ言ってみたい、と思うことも人間の心の不思議です。 例えば、金木犀は人の心に残る香りの1つで、それに綴られるエピソードも美しい思い出が多いですが、なぜかそんな人が皆自分の庭に金木犀を植えたがります。夏に香取線香に火を付けるのも、なぜか懐かしい子供の頃を思い出すから、と言います。過去の美しい記憶が現在、そして未来に結びつく瞬間です。その香りで、また楽しく、新しい記憶が塗り替えられていく。世代を超えて、その香りが子供たちの楽しい記憶に刷り込まれていく。 日々、いろいろな出来事に遭遇するけれど、そのエピソードをなるべく嫌だ、不快だと捉えるエングラムを作らず、前向きに楽しいことへ向かうエングラムへと変えられたら、と思いませんか。香りにはそのお手伝いをする力があります。心地よい香り、素敵な香りを漂わせて、前向きに 快 のエングラムへと結びつけていきましょう。
2015年12月09日リフレッシュしたいけど、遠くに行く時間がない。友人と会いたいけれど、予定と合わせようとすると1ヶ月先になってしまう。忙しい私たちの世代がどうやって身体の 疲れ を取り、 精神をリセット するか? これは1つの大きなテーマです。 ただ家で眠るだけ、夜に美味しいワインを飲むだけ、またはショッピングしたとしても、気分が良くなるのはその時だけということも。次のステップへのチャージ、明日からやるぞ! という エネルギー を得るために、秋の プチトリップ に出かけることをおすすめします。 運動もしたいけれど、 文化 にも触れたい、 自然 にも触れたい、 美味しいもの を食べたい、そしてちょっと ショッピング もしたいという欲張りな人! 葉山 を1日旅してみてはいかがでしょう。おすすめの過ごし方をご紹介しましょう。 さあ、早起きしてスニーカーを履き、タオルを持って出発! 葉山は東京都心から約1時間電車に乗り、逗子駅からバスで20分くらいの所に位置する海に面した旧別荘地です。そうです、天皇皇后両陛下がご静養にこられる 御用邸 を囲むエリアです。 逗子駅から12番のバスに乗り、終点で下車。まずは海まで降りて小さな 半島 の先端まで行き、芝生の上で大きく伸びをして ストレッチ をしましょう。天気が良ければ 富士山 も見えます。少し座ってしばし波の音と風に集中すると、もう疲れは50%取れます。 そこから裸足で、潮の香りと水と砂地の感触をたっぷりと感じながら、海岸をゆっくりと散歩。まずはこれまでの疲れ、マイナス部分を0に戻します。疲れている脳にいろいろな情報を入れても、見た、聞いただけで終わってしまいます。 何かを感じる(FEEL) ことが、精神的な疲れを取る秘訣のようです。 美術館やパワ―スポットで、パワーをチャージ 脳の中にスペースができたところで 山口蓬春美術館 へ。古い日本家屋をアトリエにしていた庭園が素晴らしい美術館です。心静かに 鳥の声、虫の音、木々の揺れる音 を感いていると、内なるエネルギーが湧いてきます。 次に 神奈川県立近代美術館<葉山館> へ。海を一望できるカフェでコーヒーも飲めますし、近場には古民家のカフェもあるので、ここでひと息つきましょう。 その後は葉山の 小道 を探索。葉山には車が入ることができない素敵な小道がたくさんあります。歩いているとなぜか懐かしい気持ちになるのが不思議です。 小道を歩いていくと、たどり着くのは パワースポット と呼ばれる 森山神社 。参拝してエネルギーをチャージです。 海の色、音、絵画の静寂さ、木々の中にひっそり佇む神社からエネルギーをもらった後は、今度は能動的に外へ内面を向けてみるのがよいです。 「SUNSHINE + CLOUD」でイメージを膨らませる 自分のいる環境を美しくしたい、と感じたら 「SUNSHINE+CLOUD」 でインスピレーションを取り入れてみては。 色の美しい服を合わせてみたり、お花のディスプレーを参考にしたり、置いてある本を手に取ったり。自分の家のテーブルに花を飾ろう、このエプロンでキッシュを焼いてみよう、この籠を持ってマーケットに行こうか、と イメージ が膨らみます。今日一日感じたことを、どうやって生活の中に取り入れていくか、カフェであれこれ考えながら少し休憩しましょう。 そして、もしもまだ元気があったら、 山道 を探索してみましょう。 「はやま三ヶ岡山緑地」 つつじコース入り口から大峰山の尾根を歩き、真名瀬へ向かうコースです。 山頂からは美しい 富士山 を見ることができ、そして葉山の海を一望しながらひと息。ほんのり汗もかき、心地よい疲れを感じながら山を下り、真名瀬からの 夕暮れの富士 にまた感動。 そしてバスで逗子駅へ向かいます。これでチャージ、満タン! 明日からまた頑張りましょう。 ▼山口蓬春美術館 ▼神奈川県立近代美術館(葉山館) ▼森山神社 ▼SUNSHINE + CLOUD ▼はやま三ヶ岡山緑地
2015年10月30日香りを嗅いで過去の記憶を呼び起こしたことはありませんか? 風景が表れ、その時感じた感情が再現されるような、なぜか胸がチクッと痛む香り。あなたにはそのような香りがあるでしょうか。 嗅覚 は 感情 と 記憶 を司る脳内の部分と 連結 が強く、音楽や言葉と違い ダイレクト に脳に情報が伝わり、とてもリアルに思い出が溢れでてきます。それとともに呼吸は深くゆっくりと。脳の奥の方へ旅するように、引き戻されていく感覚です。 不思議な事に、多くの人が香りによって思い出す記憶は 10歳以下 の出来事です。子供の時に遊んだ広場、母親と料理を作っていた台所、父親と手をつないで歩いた公園。優しく、楽しかった記憶は香りとともに脳の奥の引き出しに大切に保存されているのです。 忘れていたのに香りによってフッと現れる思い出。とてもリアルに感じるのに、そこにはもう存在しないという寂しさがチクッという胸の傷みとして感じるのかもしれません。 脳内でも、過去は後ろ、未来は前へ 記憶を呼び起こす香りによって強く活動するのは 海馬 と呼ばれる 記憶を司る 部分。通常、記憶を呼び起こさない香りを嗅ぐと、海馬の活動と同時に脳の前の方、前頭葉へ情報が送られ、その香りが何の匂いか? 好きか嫌いか? を意識に上らせます。その香りに 意味 を与えていくのです。ですから新しい香りを嗅ぐと 前頭葉 の活動が強くなります。 逆に懐かしい香りは海馬とともに、もっと 脳の後方 へ活動の広がりをみせます。嗅覚だけではなく、例えば、今まで歩いてきた道順を思い出す時も脳の後部が活躍しています。 過去は後ろ、未来は前へ 、ということが脳の中でも起こっているから不思議です。前頭葉の機能は、意思を決定したり、意欲的になったり、計画を立てたり、まさに 未来 のために働いている、 前向きな脳 なのです。そして記憶はひっそりと 脳の後ろの奥深く にしまい 大切に保管 されています。 懐かしく心地よい記憶を呼ぶ香りは、 心の状態を安定 させ、 守られているような空気 に包まれます。それは子供の頃の環境、親、学校が自分を守っていてくれたからかもしれません。 アロマテラピーで使用されるラベンダーやイランイランも素敵な香りですが、自分だけの、自分を安定させてくれる香りがあったら素敵ですよね。「そんな、香りはない」という場合は、10年後、20年後の為に今から 楽しい記憶 と 香り を マッチング させればよいのです。その香りを嗅ぐ何年か後に、きっとあなたの気分を良くしてくれるはずです。 香りを脳の健康のバロメーターに 年齢を重ねると嗅覚は衰えていきます。特に パーキンソン病 などの脳の病気では、匂いはするけれど何の匂いか分からない、名前を言い当てることができない (香りの認知が不可能) 、また香りによって何の感情ももたなくなることが分かっています(図1)。 香りの情報は脳の中でキャッチされていながら、記憶や感情の脳部分の働きが低く、前頭葉へつなぐ経路が遮断されてしまうことが原因です。同時に前頭葉の機能、すなわち計画をたてたり、意欲的になったりすることもなくなってしまうのです。また アルツハイマー病 では匂いを検知することもできなくなってしまいます。記憶や感情を司る脳の部分自体が異変を起こし、機能しなくなってしまうのです。 スマホやパソコンで視覚や聴覚ばかり使っていないで、たまには電源オフ!いつもと違う道を歩き、旅をして知らない町を歩き、様々な 香り を嗅ぎ 感じて 欲しいと思います。何かを感じることができるのは、人間にとって本当に素晴らしいこと。 Not know but feel! (ただ知っているのではなく、感じるのだ!) でいきましょう。過去を思いながら、未来へとつながる香りを探してみませんか。
2015年09月09日生活の中には やるべきこと の 優先順位 があります。仕事の中で、または家庭の中でやるべきことに順位をつけて日々こなしていく。その中で、 「運動」 はあなたの優先順位のどの位置にあるでしょうか? ランニングやウォーキングをしようと思いながら、日々の忙しさや疲れ、面倒くささに負けてしまい、運動の優先順位を下げている方が多いかもしれません。そう、アラフォー世代の女性たちが継続できないのが、ジム通いやランニングなどの運動、いわゆる 「有酸素運動」 です。 実はこの有酸素運動こそが、あなたが将来、 認知症 になることを食い止めてくれる、とても重要なテーマであることをご存じでしょうか。 脳機能を専門とする研究者として、声を大にして伝えたい! 「運動は、人生において “必須科目” である」 と。自由にしたいことを選ぶ「選択科目」ではありません。今、始めなければ、今、習慣にしなくてはいけない 「理由」 があるのです。では、わかりやすくご紹介していきましょう。 「運動」と「認知症」との関係性 運動といってもここでお伝えするのは 有酸素的 な運動です。有酸素運動とは、“運動能力を評価する「最大酸素摂取量」の60%~75%の運動を 30分以上 行う運動” のこと。年齢によって多少異なりますが、アラフォーの場合は心拍数が 130前後 となる程度の運動、となります。 この有酸素運動を日常的に行うことによって、脳に 2つの効果 があるとされています。 まず、記憶に関わる脳の部分 「海馬」の萎縮が防止 されること。もうひとつは、有酸素運動によって「脳由来神経栄養因子(BDNF)」という、 脳の神経の再生を促す タンパク質が 増加 するということです。 そしてこの2つの効果が 認知機能の低下を防ぎ、記憶力の向上 が期待できるのです。わたしはこの話を尊敬する恩師、 半場道子 先生(現在 福島県立医科大学医学部)に伺い、そのまま走って家に帰ったほど刺激を受けました。 ストレッチやヨガではだめなの? さて、すぐにでも運動を始めたくなるこんな研究結果があります。認知症ではない健康で高齢な男女を2群に分け、1つのグループには、 「週3回のストレッチを中心としたヨガ」 を継続し、もう1グループには 「週3回の有酸素運動(歩行40分)」 を継続。 1年後に海馬の体積、BDNFの量を測定したところ、有酸素運動を続けていたグループが、ストレッチ・ヨガグループと比較して 海馬が増加 しており、 BDNFの量も増加 していたのです。 左右の海馬の体積とBDNF量は正の相関を示しており、これは海馬体積が大きければBDNF量も多いということを意味しています。 海馬体積、BDNF量の上昇 とともに、 記憶力 テストの結果も 増加 した、という結果となりました。 近年の脳科学では、 「脳は思ったよりも再生し、新しい細胞が増える」 ということがわかってきました。もちろん ストレッチやヨガ は心身を リラックス させ、継続して行うことで様々な利点を得られます。しかし、 活性物質 を全身に送り届けるためには、ある程度の運動強度を 30分以上継続して行う ことが重要なようです。 将来、あなたが「認知症」にならないために… 年齢とともに 海馬体積 が 減少 し、そして 記憶が衰える ということは自然の現象です。有酸素運動を継続することによってそれを少しでもくい止め、生活の質を維持することができるなら、 有酸素運動運動は人生における必須科目 とするしかありません。 毎日、歯を磨くことや洗顔後に化粧水をつけることは習慣になっています。それと同じように、意気込む必要もなく、ただ淡々と運動をしていきましょう。運動を日々の習慣にしてしまえばよいだけなのです。 「もう帰るのですか?」「この仕事、終わらせてよ」と言う人が、将来あなたの認知症の介護をしてくれるでしょうか。また、少しだけ掃除や洗濯を怠ったとしても大丈夫。 運動による脳神経の再生 にはかえられません。大切な家族のためにも、自分が心身ともに元気な姿でいられること。これがとても重要です。 人生の必須科目「有酸素運動」の単位を落としてはいけません。有酸素運動をして気分もリフレッシュしてから、終わらせるべき仕事に着手する。疲れたまま仕事を続けるよりも、断然はかどることでしょう。 さあ今日は “歩きやすくてかっこ良い、心踊るスニーカー” を買いに出かけてみませんか?
2015年08月18日