ファイナンシャルプランナー。株式会社マイエフピー代表取締役。お金の使い方を改善する独自の家計再生プログラムで、これまで23,000万件以上の家計相談を受けてきた。書籍・雑誌への執筆、講演も多数。
真面目で頑張り屋の人ほど、お金が貯まらない 節約よりも確実にお金が貯まる方法 の続きです。 「貯蓄体質になるためには、これまでの家計管理の視点を変えなければなりません」と言うのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。苦しい家計を再生させていくことを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで約9,000人の家計を「再生」させてきた。そんな横山さんが考える、貯蓄体質になるためのコツとは? ■「自分の軸」を持つのが貯蓄の早道 同じくらいの収入であっても、堅実に貯めていく人と、いつもお金を使いきってしまい、カツカツな気分で暮らしている人がいるのはなぜなのだろうか? 「 その差は、自分の軸があるか、ないかなのです。貯蓄体質になるうえで、大切なのは、あなた自身の価値観です 」と、横山さんは言う。自分の軸を作り上げるためにも、ぜひとも知っておいて欲しいことがある。それは、「お金の使い方には3つのタイプがある」ということだ。 ■「消」「浪」「投」で使い方をイメージ 3つのタイプとは、以下の表の3つをいう。「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」と覚えると、覚えやすい。お金を使うときには、この3つのどれに当たるのかを考えながら使うようにしてみよう。 ●お金の使い方の3つのタイプ (1)消費 生活するのに必要なものの購入や、使用料としての支払い全般。生産性はさほど伴わない。 【例】食料や住居費、水道光熱費、教育費、被服費、交通費など (2)浪費 生活に必要でないもの、今をひたすら楽しむためなどの、無意味な使い方のこと。いわゆる無駄づかいで、もちろん生産性もない使い方。 【例】嗜好品(タバコやお酒、珈琲)、程度を超えた買い物など (3)投資 将来の自分にとって有効なお金の使い方。資産運用のことだけを指すのではなく、何かを学ぶ、本を読むなどもこれに当たる。 【例】習い事、本代など学ぶための費用、投資信託、貯蓄など (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) ■「いくら使ったか?」より、「何に使ったか?」が大切 まずは表を参考にして、家計の支出をあなたなりに「消費」「浪費」「投資」に3つに分けてみよう。 なかには同じ項目内であっても、内容が分かれることもあるだろう。たとえば、携帯電話代は、生活や仕事に使っている部分は「消費」だが、過度なゲームの課金や電子書籍の購入は「浪費」。食費も基本部分は「消費」だが、料理をするのが面倒だという気持ちでする外食は「浪費」。こんなふうに同じ項目でも、複数に分かれてもいい。 「 これだけでも十分、お金が貯められる体質作りへと繋がります。要するに、『いくら使ったか?』より、『何に使ったか?』が大事なのです 」(横山さん) ■新しいモノサシで、今までの自分を疑う 次に、「消費」「浪費」「投資」の割合を適切に把握するため、3種類の内訳が支出全体の中でどれだけの割合を占めているかを計算してみよう。その計算方法は以下の通りだ。 各項目(消費、浪費、投資)の金額 ÷ 支出合計 たとえば、手取り収入が21万円で、消費が16万5,000円だった場合、16万5,000円÷21万円=0.785…。つまり、毎月の支出のうち78.5%が消費となっている計算となる。 横山さんが現場で、「お金とのつき合い方が上手だなぁ」と感じる人の数値をもとに割り出した「消(ショウ)」「浪(ロウ)」「投(トウ)」の目安は以下の通り。 ●横山さんが考える消費・浪費・投資の理想の目安 消費 : 70% 浪費 : 5% 投資 : 25% (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) 「 3つの項目ごとの割合を知るという新しいモノサシ を手に入れることで、人は今までの自分の常識を疑い始めます。そして、お金の使い方の中身に意識を向けられるようになるのです」(横山さん) お金の使い方の中身に意識を向けられるようになったら、貯蓄力を始める準備をしよう。次回は横山メソッドの真髄「90日貯金プログラム」の【準備編】です。 ■今回取材にご協力いただいた横山さんの著書 年収200万円からの貯金生活宣言 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)
2016年04月16日真面目で頑張り屋の人ほど、お金が貯まらない の続きです。 お金を貯めるとなると、すぐに思いつくのが節約だ。けれども、家計再生コンサルタントの横山光昭さんは、こんなふうに言う。「実はケチケチ節約するよりも確実にお金が貯まる方法があります。それは、固定支出をカットすることです」 ■「固定支出」と「流動支出」 お金を貯めるには、出ていくお金(支出)を抑えなければならない。この時に、最初に覚えるべきことは、支出の内容は2種類あるということ。支出には、毎月決まった支出のある「固定支出」と、月に応じて支払い額が変わる「流動支出」があるのだ。 よく雑誌などに載っている節約や、やりくり術は、食費や光熱費など「流動支出」に目を向けたものが多い。でも、これらは節約の「出来」で結果が左右されるので、安定した効果は望めない。 一方で、固定支出は毎月決まった金額だけに、一度そぎ落とせば、その分は安定した結果が伴う 。見落としがちになるからこそ、固定支出を見直すことで得られるメリットは大きいのだ。 ●「固定支出」と「流動支出」の例 固定支出 : 家賃、生命保険料、新聞代、など 流動支出 : 食費、日用品費、光熱費 など (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) ■あなたの生活をむしばむ固定費ワースト3 今回の記事では、厳密な意味の会計用語としての「固定」や「流動」という支出分けではなく、毎月必ず払う必要があるものを「固定費」と考えてみる。横山さんに多くの人が抱えがちなムダな固定費をランキングしてもらった。 第1位 ムダな会話やメールのもととなる携帯電話代 第2位 意味のないおつき合いに費やされる交際費 第3位 保障内容も知らない高額の生命保険料 (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) 「ある、ある」「これって、私のことだ」と、心当たりのある人も多いのでは? 解決方法を横山さんに教えてもらった。 ■抑えたい固定費第1位、携帯電話代を抑えるには? 「 格安スマホがおすすめです 。ネット検索などで、大まかな格安スマホの棲み分けなど概要をつかんだら、電気量販店に行って相談してみましょう。 機種によっても違いがあるので、『携帯コンシェルジュ』のような存在の店員さんに、個別で自分に適したプランを教えてもらうのが近道 です」(横山さん) ■合計すると意外と多い!? 交際費を抑えるには? 「 交際費の回数と金額を書き出してみましょう 。たとえば、ママ友とのお茶会。1回1回の金額は小銭程度でも、あらためて書き出してみると結構な金額になっていることも多いものです。『このお金があれば、あれが買えたのに』というふうに、金額を自覚するとムダな交際費を減らすことに繋がります」(横山さん) ■保険は大事、でも払い過ぎはNG 生命保険料を抑えるには? 「 生命保険には、『死亡保障』『医療保障』『貯蓄』の3つの効果があります 。もちろん全部に入っていれば安心ですが、それで保険貧乏になってしまうのは問題です。 あなたは、3つのうち、どの効果を優先したいですか? つまり、何に対しての備えが欲しいですか? 保険の見直しは、そこを軸に考えてみると、わかりやすいですよ」(横山さん) このムダな固定費ランキング、実は10位まであるのだが、いずれも思い当たることばかり。書籍には詳しく書いてある。 次回は、貯蓄体質になるための方法を紹介します。 ■今回取材にご協力いただいた横山さんの著書 年収200万円からの貯金生活宣言 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)
2016年04月15日「真面目で頑張りすぎる人ほど、お金が貯まらないんですよ」と言うのは、家計再生コンサルタントの横山光昭さん。苦しい家計を再生させることを得意とするファイナンシャルプランナーで、これまで約9,000人の家計を「再生」させてきた。 ■「生活下手」と「お金」は密接にリンクする これといった不満はないが、どこかで気持ちが満たされず、不安や寂しさ、ストレスを感じて、その人らしく生きられない…。最近、このような人が増えていないだろうか? 「このような方々は、思いどおりの生活が実現できていないのと同時に、お金の面でも自由ではありません。 『生活下手』と『お金』は密接にリンクしてしまうのです 。充分な収入があっても、月末になるとお金がない人や貯金ができない人は、生活自体を見直す必要があるかもしれません」(横山さん)。 ■自分の「お金のステージ」を知ろう 生活自体を見直すためには、まず自分の「お金のステージ」を知ることが必要だ。 「私が家計相談で目にする現実を平たく言うと、家計をスリム化したり、キャッシングを減らさなければいけない人が、投資関連の本を読み漁り、実際に挑戦してのめり込み、成果に一喜一憂するケースが多いのです。でも、 人はそれぞれに合った『お金のステージ』をこなさないと、必ず失敗します 」 ●3つのお金のステージ 第1ステージ お金を管理する 実生活に関わるお金をマネジメントしていく段階。家計簿を使ってお金の流れを把握する、ムダな支出は抑える、貯金を少しずつするなど、お金と向き合ってコントロールができるようになるための大切な基礎の時期 第2ステージ お金を学ぶ 第1ステージでできたお金をどう活用するかを学ぶ段階。知識や情報が足りないと進歩はないので、本を読んだりセミナーに参加したりと時間をかけて「お金」をつかんでいく時期 第3ステージ お金を活かす 実際にお金を「活かす」段階。興味本位で楽しむ、学ぶためのアマチュア投資から、長期や分散投資による揺るがない組み立てを意識するものまで色々ある (出典:「年収200万円からの貯金生活宣言」より抜粋) 多くの人は、第1ステージにいる 。それなのに、憧れや夢、はたまた勘違いでレベルの違うステージへの向かってしまいがち。抜け道やマジックはない。そのことに気づいたことがいちばんの近道となる。 「これからの貯金生活を順調に進めるためは、常に自分は今どのステージだろうか? 何をすべきなのか? を意識してください」(横山さん) ■すべての始まりは、「貯める理由をハッキリさせる」こと 「自分は今、何をすべきなのか?」を考え始めたのなら、その第一歩は、「貯める理由をハッキリさせること」。「 『何となく』で貯められるほど、貯金はカンタンではないのです 」(横山さん) 多くの人は、限られた収入で家計をやりくりし、家族みんなで生活していかなければいけない。たっぷりと余裕がある人など、ほんの一握りだ。加えて、人間はお金があれば使いたいし楽しみたい、ラクをしたいと思う生き物。 要は、ほとんどの人が お金を使いたい気持ちをコントロールし、自分なりの考え方や価値観を持ち、それを家計に反映させる必要がある ということ。だからこそ、 「何のために貯めるのか?」 が、とても重要になってくる。 そうは言っても、貯める理由が今は特に見つからないという人もいるのでは? そんな人はどうしたら良いのだろうか? 「今はこれといった目的がない人も、貯金があることで、未来の可能性や選択肢が広がります。だから貯金はして欲しいですね」(横山さん) 「貯める目的」にフォーカスできたら、次回からは具体的な方法論について触れていこう。 ■今回取材にご協力いただいた横山さんの著書 年収200万円からの貯金生活宣言 (横山光昭著/ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)
2016年04月14日