連載記事:母が重たい娘たち

母との関係が苦しい。娘の気持ちを母はわかってくれるのか?【母が重たい娘たち 第2回】

母が重たい娘たち

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「母にされて嫌だったことを、自分もわが子にしてしまうかもしれない…」。そんなふうに感じたことはありませんか? 「いま、虐待の世代間連鎖を怖がるママが、とても多いのが気がかりです」と話すのは、信田さよ…

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「母との関係が苦しい」「母が自分にしてきたことを、自分もわが子にしてしまうのではないか?」。そんな苦しさや漠然とした不安を持つママは、案外と多いそう。「その苦しさから抜け出す第1歩は、知識を持つこと」と、原宿カウンセリングセンター所長の信田さよこ先生は言います。

■母は娘のことをわかってくれるのか?


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信田先生は、長年、母との関係に悩む娘たちのカウンセリングをしてきました。そのなかで、「はたして、母は娘のことをわかってくれるのか?」という命題を、ずっと考え続けてきたそうです。

結論から言えば、「シビアな現実感覚として、でもハッキリとお伝えしたいことは、母が娘のことをわかってくれるというのは幻想です」(信田先生)とのこと。

もちろん、最初から「それは幻想です」と、悩んでいる方に伝えてもすぐに理解されることはないそうです。なぜなら、どれほど強く母のことを拒絶していようと、娘たちの母への幻想は、とても根強いものがあるからです。

今回、「母との関係に苦しむ娘」であるウーマンエキサイト読者のA子さんも取材に同行し、先生とお話ししていただきました。お二人の会話の中に、「母への幻想」を諦めるヒントがあるのではないでしょうか?

■母に、「わかって欲しい」は無理

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―「『母にわかって欲しい』という気持ちを捨てなさい」と、信田先生はおっしゃいます

信田先生:母親にそれを言っても、通じません。どうしても訴えたいのであれば、「通じない」ということを前提に、「家の中にいるお地蔵さまなり、おひなさまに話しているような気持ちで、どうぞ」とは、お伝えしています。
でも、そこで、母親に対して「わかって欲しい」と思った途端にダメですからね。それは、無理な話です。

A子さん:長い間、母に対して「わかって欲しい」と、訴え続けてきました。何度も何度も訴えましたが、自分で壁に頭に打ち付けて、血を流している感じしかしなくて…。ボロボロになって、やっと、「この人に訴えても、ダメなんだ」と、思い至りました。

だから、先生にキッパリ、「母親にわかって欲しいと思っても、通じません」と言っていただいて、すごくホッとしました。「私が感じていたことは、間違えていなかったんだ。あっていたんだ」と。


■「コミュニケーション」を取るは欺瞞なのか?

―でも、母親は、「コミュニケーションをとろうよ」と言ってきますよね…。

信田先生:そこで娘側は、罪悪感を感じてしまうんです。「コミュニケーションをとりたいと母は言っているのに、それに向き合っていない私は、『悪い娘』なのではないか?」とね。でも、それは「コミュニケーション」という言葉の持つ欺瞞(ぎまん)性です。

「コミュニケーション」という言葉は、すごく強制的です。「コミュニケーションをとろうよ」と言った母は、自分が思ったとおりに娘に動いて欲しいと思っています。でも、言われた娘は、「母が思っているコミュニケーションと、私が思っているコミュニケーションは違う」と感じている訳でしょう? それでも、「母がコミュニケーションだと思っていること」に自分が合わせられないと、娘は「自分が、悪い」と、感じてしまうんです。

―そんなときは、どうすれば良いのでしょう?
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信田先生:母から「コミュニケーションをとろう」と言われたら、「あなたが考えるコミュニケーションと、私が考えるコミュニケーションは違うんです」と、言えばよいのです。
「家族のなかには、いろいろなコミュニケーションがあり、お母さんが考えるコミュニケーションだけが、コミュニケーションではありません」と答えるのが、正論です。

もっとも、娘がそう言ったところで、母は、「なんか、ごちゃごちゃ、言っちゃって。どうしたの? 親子じゃない。いつから、そんな冷たいこと言うようになったの?」などと言われるのが関の山ですけれどね(笑)

A子さん:そのセリフ、そのまま母が言いそうです。

信田先生:とにかく母の話にのってしまったら、ダメなんです。母は、「話せば、わかる」と思っていますからね。そんな母とのコミュニケーションは、新幹線のようなもの。途中では降りられないんです。
だから、のってしまったら、絶対にダメなのです(笑)。

A子さん:小さい頃から、「必ず母の話にはのらなければいけない」という思いで、やってきました。母の言うことを聞かないと、とにかく面倒くさいことになるんです。そうなると、「(母の言うことを)聞いちゃった方が、無難」という気持ちになるというか…。

信田先生:「無難」という感覚は、わかりますね。そうしてしまう自分を少しずつでも変えていくことが、じつは、最初の関門です。少し丁寧にお話ししましょうか。

まず、コミュニケーションというのは、「ひとつ」ではありません。
「コミュニケーション」という言葉を使ってしまうと、あたかも糸電話みたいに、一本の線がそこにあるにように感じられるでしょう? 母が「コミュニケーションをとりましょう!」と糸電話をしてきたら、「イヤよ」と言うと娘が悪いことになってしまう…。
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でも、それは、間違いです。母は、「コミュニケーション」という言葉を使ってはいるけれど、単に「自分の言いたいことを、言いたい。それに、相手をのせたい」というだけですから。それが、母にとっての「コミュニケーション」なんです。


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