なぜ、私たちは旅をするのか? 旅に出たことで本当に見えてくるものとは…【石井ゆかりの幸福論】
ある集団の中で「自分だけ違う」ことを痛烈に恐れるのは、大人になってからも続く傾向ではないかと思います。一方で「自分探し」をするために、あえてハデな格好をしてみたり、際立った行動を取ってみたりする人もいます。帰属意識と、差異を見いだして独立しようとする気持ち。その両者が複雑に絡み合って、「自分はこういう存在だ」という思いが形成されます。
「自分がなんなのか」を知るためには、私たちは常に外部にコンタクトを取らねばなりません。よその家に遊びに行って初めて「自分の家とは違う文化」に出会います。自分が住む地域を離れて少し離れた場所に出かけたとき、新しい方言に出会い、自分の話し言葉の特殊性に驚かされます。さらに遠く海外に出ると、自分が日本人であるということを発見します。
人類が宇宙旅行を夢見、宇宙人を探しに出かけたいと考えているのは、自分がどんな宇宙人と同じで、どんな宇宙人と違うかを知りたいからではないかと思います。つまり、「人間とは何か」が知りたいのです。今は地球上の動物との比較でしかわかりませんが、「他の星」の知的生命体と人間を比べたら、「人間ってこうなのか!」と、その時初めてわかることがあるはずです。