「自分の不幸せを家族のせいにしてしまう私」雨宮まみの“穴の底でお待ちしています” 第29回
ぽぽさんにとっては、ずっと考えずにはいられなかった、逃れられなかったことですが、他の人にとっては「そこまで考えたことはなかった」ことでしょう。
ぽぽさんの苦しみの半分は、ここだと思います。実際にお兄様をどうするか、自分が面倒を見なくてはならないのか、という現実の苦しみは、実は半分で、その苦しさを誰にも理解してもらえない、気持ちの上で、寄り添って話を聞いてくれる人がいない、ということがあとの半分なのではないでしょうか。ぽぽさんの文章のその部分には、とても多くの行数が割かれています。
ぽぽさんご自身も、お母様に対しては「それを相談してくる母親も重く感じるようになってきました」と書かれています。おそらく、ぽぽさんの中で、お友達がぽぽさんの話をなんとなく遠ざける理由は明らかなのでしょう。自分が母親の話を遠ざけるのと同じで、「重いし、関係ない立場で暮らせるならばそうしたい」という気持ちがあるのだ、とわかっているから、苛立つし、見下されているように感じたり、みんなは幸せそうでいいな、と思ったりするのではないでしょうか。そうすべきではない、という話をしても、ぽぽさんのお気持ちはどうにもならないでしょう。