最終回と二つの見守る星:【彼氏の顔が覚えられません 第45話】
東京の夜がふけていく。周りの人々は、私たちのことなんて見てないだろう。見てくれてなくていい。「バカップル」とか思うなら、すぐに目を逸らしてほしい。
ただ、恥ずかしながら、私とカズヤは出会ってしまった。ここ東京で。これから二人、カズヤが言うように一生いっしょかなんてわからない。まだまだ、幼いカップルだけど、必死に生きている。
ダメ女なりに。バカ男なりに。
「カズヤ、ところで終電は?」
「あ…」
0時近く。もう今から鎌倉なんて帰れない。
「しょうがないな、じゃあ――」
私の家に。そう言い掛けて、詰まる。部屋、散らかし放題だ。
「ネカフェ、行こうか」
「お、おぅ…」
やっぱり、ロマンチックじゃない。
でも、それが私たちらしいんだろう。
外の雨はいつの間にか止んでいた。一部雨雲が退いた隙間から、星が見えている。強く、明るい二つの星が、まるで私たちを見守るように光っていた。
(おわり)
【恋愛小説『彼氏の顔が覚えられません』】
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