全ての不倫が慰謝料請求の対象? 不法行為成立の要件とは
不法行為が成立するためには、これらを満たす必要があるわけですが、不倫(不貞)の場合には、どのような事実がこれにあたるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
不倫事案における「権利・利益」については、考え方がいくつかありますが今回は、「婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利」という考え方を念頭に置くことにします。
次に「侵害(行為)」ですが、前回ご説明したように、法律上、「不貞行為」の典型的な行為は、性行為・肉体関係であり、これが侵害行為になることは明らかです。
では、性行為・肉体関係がないと、「侵害行為」とはいえないのでしょうか。
何が侵害行為であるかは、“何が侵害されるのか”、すなわち、先ほどお話した「権利・利益」から考えることになります。
そうすると、婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利が「権利・利益」であるならば、「侵害行為」は婚姻共同生活の維持を妨げるような行為と考えるべきでしょう。少しわかりづらいですが、言い変えると、夫婦として(平穏に)生活を共にしていくことを妨げる行為のことです。
実際、裁判例も「第三者が相手配偶者と肉体関係を結んだことが違法性を認めるための絶対的要件とはいえない」