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(Photo by madoka)「女性の皆さん、もうたくさんだ。返してくれないんだったら、もう俺たちのパーカーを取ることはできない。今年は俺たちが仕返しをする。#TakeHerHoodie」 こんなつぶやきとともに投稿されたのは、ピチピチのパーカーを身につけた男の子のセルフィー。 さて、これは何のための宣戦布告なのでしょう? 日本のミレニアルズたち、準備はできていますか? 皆さん、こんにちは! ハッシュタグ・アクティビズムを紹介する連載企画の第6回目です。 季節も変わってきて、パーカーを着ている若い人をよく見かけませんか? そんなパーカーは大きめのサイズのを選んでゆるく着るのが「可愛い」とされているようで、男の子から「メンズサイズ」のを借りて、そのまま使い続けちゃう女の子がたくさんいます。 今年は、それに我慢がならなくなった男の子たちが#TakeHerHoodie(彼女のパーカーを奪おう)のハッシュタグで反撃しているようですよ!(Photo by Huffington Post)(Photo by Huffington Post)さて、なんだか笑ってしまうような面白いハッシュタグ・アクティビズム#TakeHerHoodieですが、これは世の中の“とあるタブー”への挑戦でもあるのです! 「男らしさについて問題提起しようと思いました。多くの男性にとってこんな風に(女性の)服を着るのはちょっとタブーみたいになっているからです」(Photo by madoka)このハッシュタグ#TakeHerHoodieは、9月末の宣戦布告から数日の間に1万7千回近くリツイートされました。(Photo by Stephen Buckley)(Photo by Metro News)ジェンダーニュートラルやジェンダーレスのファッションが台頭してきた今、女の子が「メンズの服」を着るのは“アリ”で、男の子が「レディースの服」を着るのは“ナシ”というのはおかしいのではないでしょうか。 このハッシュタグ・アクティビズム以外にも、洋服に関するジェンダーのタブーに挑戦する取り組みは行なわれています。 皆さんはどう思うでしょうか? 次回の連載をお楽しみに! via. COSMOPOLITAN, Metro News, Huffington Post この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会⑤|#CureTheHate” 顔中にニキビができてしまっていたあなた。 メイクアップアーティストがきれいにメイクアップで隠してくれた。 だけど、その「ビフォーアフター写真」が一晩で何百万... ーBe inspired!
2016年10月22日(Photo by Sophie Charlotte)女性が「ボーイッシュ」な服装をすると、何だか強くなった気分になって、ビジネスの場でも舐められないで済む。 では、その逆はどうだろうか? 私たちが持っているファッションへの「イメージ」は、世界の長い歴史の中で作られた「固定観念」なのかもしれない。 そんな「ファッションの権力構造」は、今壊されつつある。 ファッションに植え付けられた性別のイメージ(Photo by Transas City)ファッション研究者によると、長い歴史の中で男女それぞれの服へのイメージが定着し、自分の性と異なる印象の服を着ると、本能的に不安や自信を感じることがあるという。 しかし、自信が湧くと感じるのはたいていは「男らしい服」を着た女性ばかりで、逆に男性が「女性らしい服」を着ても、本能的に不安を感じたり、好奇の目で見られていると感じてしまうようだ。 しかしこんな心理現象は、「女性らしい服」「男性らしい服」というように、服装と性別に関して私たちが固定観念を持ってしまっているから起こるのではないだろうか。 知らず知らず持ってしまっている、差別的なイメージなのではないだろうか。 ある老舗百貨店が始めた「モードの破壊」(Photo by Åhléns )そんなファッションへの固定観念を払しょくしようとスウェーデンの老舗百貨店「オーレンス」(Åhléns)が始めたキャンペーンがある。 その名も「服の権力構造を破壊しよう(Bryt klädmaktsordningen)」。 男女の枠を超えて様々なスタイリングを提案している今回のキャンペーン。 「ピンクのセーター」や「リボンの形に結んだショール」、スカートなどに身を包み、自信に満ちた表情でポージングする男性モデルからは、「性別にとらわれず自分を表現するべきだ」というメッセージが伝わってくる。 服を「売る」側であり、売るために男女それぞれのターゲットを絞った商品展開をしていかなければならない百貨店がこのようなキャンペーンを打ち出したのは、ジェンダーへの関心が強く、国民の消費への意識も高いスウェーデンならではなのかもしれない。 世界的なジェンダーレスブーム(Photo by ZARA)しかしファッションとジェンダーの関係は、世界的にも変化しつつある。 例えば、人気ファストファッションブランドのZARAは、「メンズ」「レディース」の他に新たに「アンジェンダード(ungendered)」というラインを発表し、ユニセックスなスタイルを提案している。 日本でも今年、中性的な服装や化粧、美容を楽しむ「ジェンダーレス男子」が話題となった。 その中でもタレント、読者モデルとして人気のこんどうようぢは、自らジェンダーレスブランド「DING」をプロデュース。 原宿を中心に中高生の間で人気を呼んでいる。 固定観念をぶっ壊す「ファッション新時代」(Photo by DING)今の時代、もはやジェンダーイメージをファッションと結び付けること自体古いのだろう。 「性別にとらわれず自分の好きな服、着たい服を堂々と着る」というのが、ファッションの新時代なのだ。 日本でも男子はスラックス、女子はスカートが当たり前の学生服が見直されたり、ビジネスや就職活動の現場で、「女性らしさ」をスカートやパンツでどうコントロールするかで悩む女性たちがいなくなる日も近いかもしれない。 「多様な性」の共存が当たり前の世界になるためには、ファッションのジェンダーレス化は不可欠だ。 ひとりの「人間」としてファッションを楽しみながら、これからもその流れを見守っていきたい。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!美男美女の原産国。スウェーデンの「ファッション哲学」 世界一、美男美女が多い国をご存知だろうか?ロシア?アメリカ?コロンビア?はたまた日本?正解は北欧の首都、スウェーデンだ。 IKEAやH&Mを生んだ国... ーBe inspired!
2016年10月20日(Photo by REFINERY29)突然ですが、クイズをひとつ。 “現在、アメリカ・テキサス州内にある大学構内において、所持品として禁止されているモノは、次のどちらでしょうか?” 1,拳銃 2,大人のオモチャ ※答えは、文末へ 大量のディルド、無料で配布します
2016年10月20日(Photo by Mitchell Riggs)所有品0。 あるのはアパートの部屋だけ。 1年間もの間そこに毎日1個しか新しい物を持ち帰れないとしたら…。 あなたなら、何を優先しますか? 『365日のシンプルライフ』(Photo by GUESTLIST)写真のこの男性。 彼はフィンランド、ヘルシンキ在住の若手フィルム・メーカー、ペトリ。 実はペトリはお国ではちょっとした有名人。 彼はある実験を1年に渡って続け、その経過を全てビデオに録画した。 それがフィンランドはもちろんのこと、世界中で公開され話題となったのだ。 その実験の内容とは…①自分のすべての持ち物を倉庫にあずける。 ②毎日1つずつ、必要なものを倉庫から部屋に持ち帰る。 ③1年間、食べ物以外の物を買わない。 彼女と別れ、傷心中のペトリは自分の部屋がたくさんの物で囲まれていることに嫌気がさし、現実逃避のように部屋にあった全ての物をロッカーにあずける。 文字通り全てなので、1日目はまさかの素っ裸。 そこから毎日、倉庫から1個だけ持ち帰れる物を頼りにペトリは通常の生活を続けようと試行錯誤する。※動画が見られない方はこちら果たして、1年が終わった時にペトリが気づいたこととは? 1番大切な物とはなんだったのか? この答えはネタばらししたくないので、ここでは書くのを避けておく。 ペトリの映画『365日のシンプルライフ』はとても個人的なことに焦点を当てていた。 しかし、「私たちが本当に必要な物は何か」という疑問はとても普遍的である。 Less is more(より少ないことは、より豊かなこと)(Photo by ROOMED)1970年代半ばから1990年初頭のバブル崩壊まで、高度成長期の中、日本の人々は派手に消費し、消費こそがステータスであり、幸せであると思っている人も少なくなかったのかもしれない。 しかし、ミレニアルズ(2000年代以降に成人もしくは社会人になる世代)はそれに比べ、消費の仕方に対して保守的であると指摘されている。 静岡産業大学の葉口教授によると、不景気が当たり前の世界で生まれ育ったミレニアルズは、車やブランド品などによってステータスを誇示するような消費の仕方には魅力を感じないそうだ。 ソーシャルネットワークの「シェア」にも現れているように、近年の若者の価値観は「シェア:共有、共感」へと移行しつつあるという説がある。 「個人」から「社会」へと人々の意識は移り、結果的にシェアハウスやコミュニケーションを伴うお金の使い方へと消費の在り方は変化していっているそうだ。 この現象は、非正規雇用や結婚する若者の減少問題にも加え、国の経済に衰退を招くと懸念される。 しかし、古市憲寿著の『絶望の国の幸福な若者たち』によると、高度成長期に若者だった人々の中で当時「人生に満足している」と答えたのは5割だったのに対し、現在の若者は7割が幸せなそうだ。 「幸せ」の価値観が変化してきている(Photo by Sabino Aguad Follow )私たちミレニアルズの親の世代から見ると私たちは向上心が少なく見えるのかもしれない。 彼らの世代と比べたら「マイホーム」にも「マイカー」にも「キャリア」にも消極的なのかもしれない。 しかし、それは悪いことなのだろうか? アメリカの科学者マット・キリングワースは幸福度追跡装置というものを開発した。 調査対象は、前代未聞の65万人もの人。 アプリを使って、世界中の人々の幸福度を数分単位で調べ、理由を探り出した。 結果、年齢、性別、収入、既婚/未婚かなどは関係なく、幸せの要因は「目の前に集中しているかどうか」だったそうだ。 「何をしているか」ではなく、「目の前のことに集中して取り組めているか」。 そこが大事だったのだ。 この結果を見ると、親の世代よりも今の世代の幸福度が高いのも理解ができる。 長い間働いて、お金を貯め、家や車を買うよりも、ある意味未来を諦め、その日その日を生きている人の方が長期的に見ても幸せだということだったのだ。 また、「物」よりも「経験」にお金を使う方が幸せだという説は定着してきていると思うが、現在の「ミレニアルズ」の「シェア思考」もそこにつながるのかもしれない。 人と共有する時間は物理的には手に入らない「経験」である。 そもそも私たちに選択肢はない(Photo by Steven Depolo)資源は限られていることは誰もが知っているが忘れがちだ。 ▶︎8月8日に私たちは今年分の資源を使い果たしていた。 消費社会に慣れきってしまったが、このままの速度で消費を続ければ私たちに未来はない。 望まなくとも、全人類が「生き方のシフト」を将来、迫られる。 それならばミレニアルズの生き方は一石二鳥だと思って今から受け入れ、順応していくべきではないだろうか。 ”トキやコトを楽しむ“をテーマにあたらしい消費や生活の形につながるイベントを開催!(Photo by The CAMPus)今週末の22日(土)、23日(日)の2日間でルミネ環境推進プロジェクト「choroko(チョロコ)」と学べる都市型マルシェ「The CAMPus(キャンパス)」による共同開催イベントが開催される。 テーマはまさに “トキやコトを楽しむ”ーていねいなくらし。 同じ関心を持った人々と楽しい時間をシェアすることで、お金には変えられない週末をぜひ過ごして欲しい。 記事の冒頭に紹介した『365日のシンプルライフ』もルーフトップシネマで上映される。 詳細はこちら。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!社会を良くするために「ベスト」を目指さない男、江良 慶介。 シンプルライフ、サードウェーブ、オーガニック、こんな言葉を見かけることが多くなった。ここ数年の間で、これらの言葉を「聞いた人」、「聞き慣れた人」、「聞き飽きた人」。... ーBe inspired!
2016年10月19日(Photo by gianlucavacchi)深夜でも煌々と光る蛍光灯のもとで、「一生懸命働く」姿がカッコいいとされていた、高度経済成長期。 そして現代。 上手に頑張らないことが人々の憧れとなっている。 社長があえて見せる、「OFFの姿」(Photo by gianlucavacchi)(Photo by gianlucavacchi) Tutto ruota intorno alle "chapa"Enjoy #sundaydance #gvlifestyle #meneatuchapa #dance @jogiorgiajoA video posted by Gianluca Vacchi (@gianlucavacchi) on Jul 17, 2016 at 7:55am PDT※動画が見られない方はこちら有名人の私生活を垣間見ることができる、Instagram。 そこで、今話題となっている一人の男性がいる。 それはとある企業の社長、イタリア出身のジャンルカ・ヴァッキである。 彼が毎日のようにInstagramにアップしているのは、見るからに華やかな私生活。 ウン千万はするであろう高級車にまたがったり、全身のタトゥーを見せびらかしながら美女たちと船の上で踊ったりしている様子である。 49歳になる彼であるが、若い奥様らとともに大いに人生を楽しむ様子は、多くの人々の注目を浴びる結果となった。 彼の会社は薬やお茶などのパッケージを包む機械をつくる会社。 ヨーロッパのみならず、近年ではアジアにも進出している大会社で、現在は3,000人を超える従業員を抱える。 しかし彼は、社長だからといって仕事ばかりをして「頑張っています」アピールはしない。 多くの人がしているようにONとOFFを使い分けているだけではなく、さらにそのOFFの姿も見せているのだ。 だが、それに対する社内の批判は少ない。 むしろ「楽しい暮らし」を見せる彼のことを憧れに思う社員が多いという。 プライベートのための早退「大歓迎」!(Photo by Robert Walters Japan)また、日本にもジャンルカを上回るような面白い社長がいる。 『ロバート・ウォルターズ・ジャパン』のデイビッド・スワン社長だ。 オフィスで仕事をしていると、なんとなく「部下がまだ仕事をしているから帰りづらい」だったり、「上司より先に帰るのは気が引ける」という気遣いをしてしまう人は多いはず。 しかし彼の会社ではそんなことはお構いなし。 むしろ、社長であるデイビット自らが「娘の友達が遊びにくるから」、「今日は娘と花火をする約束をしているから」という理由で、どんなに仕事が残っていようともサクッと帰ってしまうのだ。 『ロバート・ウォルターズ・ジャパン』には家庭を大切にする仕組みが備わっている。 例えば、子育てが大変な女性は社にいなくても仕事ができるシステムがあり、自宅で仕事をすることができる。 もちろんこの制度は「名ばかり」ではなく、2016年上半期のトップセールスが昨年4月に育休から復帰した女性社員が獲得したというほど機能している。 また、男性社員には、子どもが産まれてから1週間の休みをとれる「パタニティ休暇」を導入し、100パーセントの取得率を達成している。 デイビッドは「楽しく仕事をしている人たちが良い結果を生み出す」を信念とし、仕事のためにプライベートを我慢することを「悪」としている。 その意識が社員にも根付き、「罪悪感がなく、いつでも誰でも休める状態」が出来上がっているのだ。 「頑張ったアピール」もうやめない?(Photo by Diego Sevilla Ruiz)社長というとその企業のトップである。 他の社員の目も考えて、仕事をして頑張っている姿を見せることをする人が多いのではないだろうか。 社長に関わらず一社員も同じである。 無意識のうちに「仕事が忙しい」や「昨日は徹夜だった」という言葉を発し、楽をしていることより自分が仕事を頑張っているところを見せようとしてはいないだろうか。 しかし、本来ならば時間内に仕事を終わらせることのほうが素晴らしい。 余計な視点からの評価より「その仕事の目的はなにか」「そして自分はどう行動するか」をベースに置き、仕事を進めていくことが評価されるべきである。 そして、そのほうが無駄のない良い仕事ができるのではないだろうか。 「チャラい姿」に隠された「責任」(Photo by Alex Thompson)古くから、「背中で教える」という言葉があるように、一生懸命な姿を見せ、そしてその姿に憧れを抱かせることも一つのやり方かもしれない。 しかし今は、頑張っている姿を見せられるより、自分の時間も楽しめる人のほうが憧れの存在になり得るのかもしれない。 先日『ヤフー株式会社』でも週休3日を取り入れるという動きが報じられた。 もはや、休まずに働くことは、なんの評価の対象にもなり得ない時代が来ているのだ。 遊んでいる姿やチャラい姿を見せることができるのは、それだけ「自分の仕事に自信を持っている」ということだ。 そのことに多くの人が気づき始めている。仕事の充実がプライベートに活きてくるより、プライベートの充実が仕事に活きる生活が今後は求められてくるであろう。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「9時出勤」という制度が日本人の生産性を下げる。 「始業時間に遅れまい」と、人を押しのけ駅の階段を駆け上り、定員を裕に超えた満員電車に無理やり乗りこむ。赤信号になりそうでも、颯爽と横断歩道を渡り切る。そんな光景、日... ーBe inspired!
2016年10月18日(Photo by Jon Siegel)ヒューマンアカデミー株式会社が全国20~30代の働く男女332名を対象に「ビジネスパーソンの成長に関する意識調査」を実施した。 「子どもの頃と比べて、成長を実感できていないと感じますか?」という問いに対して、半数以上、約2人に1人が成長を実感できていない、という結果が出た。 失敗と成長のつながり(Photo by decoded conference)「失敗は成功のもと」という至言がある。 「失敗」から学び、「成長」し、「成功」するというプロセスは、古くから私たちの生活に馴染んでいることなのだろう。 しかし、どうだろう。 失敗が許されない社会だったら、私たちは「成長」できるのだろうか。 失敗ゼロ社会の先に(Photo by Antonio Tajuelo)約1年前に話題になった記事「世界一『チャレンジしない』日本の20代」においても指摘されたように、日本の20代のクリエイティブ・冒険志向は、アメリカの若者と比べて低くなっている。 逆にいえば、安定志向な日本の20代。 起業する際にも、「安定した職業や経験を積んでから起業」という場合が多いという。 これらは、失敗を回避させるための、知恵か。 それとも、不況下における人間の根源的な欲求か。 あるいは、日本が失敗を許さぬ社会であるがゆえの、結果か。 「既卒」や履歴書の空白を極度に気にする社会で、失敗は許されないと新卒一括採用特急に流されるように乗る。 しかし、他人によって敷かれたレールの果てで、私たちは「成長」し続けられるのか。 新卒一括採用の終焉(Photo by Dick Thomas Johnson)最近、新卒一括採用という「伝統」が見直されようとしている。 脳科学者の茂木健一郎氏は、世耕経済産業大臣による新卒一括採用の見直し表明に対して、以下のように述べた。 年齢(生年月日)や経歴(卒業見込み)で、企業への就業の機会を一律に制限する新卒一括採用のあり方は、そもそも、雇用の機会均等の精神から見て、違法、ないしは違法の疑いが濃厚だという当たり前の事実を、確認したい。 国際的に見れば、日本の新卒一括採用が合法的という理解は難しいだろう。 〔中略〕ネックになっているのは、日本独特の「履歴書に穴があく」という奇妙な強迫観念であろう。 あたかも、いつも「所属」という首輪をつけていないと安心できない飼い犬の群れのような集団心理は、もはや時代おくれ。 履歴書の空白、大いに結構。 そもそも、組織に所属することが人間の存在証明ではない。 新卒一括採用特急に乗れば、「失敗」しない可能性が高まることだろう。 無論、「失敗」ではないはずの「就活」の先にも、過酷な労働などによって人生を破壊され、最も大切な命を奪われる可能性も否定できない。 個人によって、成長の定義も様々だろう。 しかし、もしも、「新卒一括採用」という電車に乗った結果、成長意欲を持続できず、このことが、冒頭の「成長できていない」と感じる理由のひとつになっているとしたら、どうだろう。 ただ、アンケートの回答者が20~30代の働く男女332名という少人数のため、実際に2人に1人が「成長できていない」と確信を持って判断することは難しい。 それでもやはり、就活に「失敗」して、「新卒一括採用」という電車を降り、自分なりの成長も追い求められるような社会は、道半ば。 「失敗」のできる寛容な社会、成長を感じられる社会になっていくことを期待したい。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「ブラック面接」が生む、「ブラック日本」 「面接とはお見合いである」就職活動をしたことがある人なら、誰もがこの言葉を耳にしたことがあるのではないだろうか。しかし面接を「お見合い」だなんていっているう... ーBe inspired!
2016年10月17日(Photo by madoka)顔中にニキビができてしまっていたあなた。 メイクアップアーティストがきれいにメイクアップで隠してくれた。 だけど、その「ビフォーアフター写真」が一晩で何百万人にもシェアされてしまって…。 皆さん、こんにちは! ハッシュタグ・アクティビズムを紹介する連載企画の第5回目です! 最近、日本の若者の誰もが使うメッセージアプリのLINE。 残念なことに、それを使った“ネットいじめ”が問題となっています。 でもいじめというのは知り合いのなかで起きるものだけではないようです! 以下のツイートを見てください。(Photo by GOOD)<初デートで“ビッチ”を泳ぎに連れていったほうがいい理由> (Photo by The New Serg Beret)<「何でこんなのができるのか理解できない、私は自分の顔にあるニキビの1つの消し方さえわからないのに」と書かれた、写真付きツイートが拡散した> どう思うでしょうか? メイクアップアーティストがインスタグラムに載せた、ある学生にニキビを隠すメイクアップをしたときのビフォーアフター画像が、一晩で広がり、最終的には700万人に拡散されたり中傷のコメントを書かれたりしたのです。 彼女が傷付くような書き込みをした人には、彼女の知り合いも含まれていますが、その多くは見ず知らずの人たち。(Photo by madoka)彼女は、それまでもこのように誰かの画像がネット上で拡散されていることは何度も見てきたけど、あまり深く考えたり気にしたりしたことはなかったと言っています。 それから、彼女は自分のニキビのある素肌を見せて外に出かけることを嫌だと思っていなかったのです、この画像が拡散されてニキビを悪く言われるまでは。 ※動画が見られない方はこちら 彼女は、自分の画像が悪口とともに広められてしまった経験を伝えながら「ネットいじめ」だけでなく、「ニキビに対する恥」やその他の見た目に対する誹謗中傷をなくそうと、ハッシュタグ・アクティビズムを起こしています! #CureTheHateのウェブサイトを立ち上げ、#CureTheHate, #StopAcneShaming #Upstanderのハッシュタグを使ってネット上にポジティブな投稿で溢れさせることを目指しているのです。 (Photo by Cure The Hate)<歌手のケリー・オズボーンも#CureTheHateを応援している> インターネットが普及した今、気をつけなければいけないのは自分の画像がネットにあがっている限り拡散されてしまう可能性があることや、知らないうちに「いじめ」に加担してしまう可能性があるということです! 人に傷つけられるのも簡単で、その逆も簡単なのです。 ネット上に溢れかえっている“おもしろ画像”も誰かを傷つけてしまっているものかもしれないのですね。 次回の連載をお楽しみに! via. GOOD, prweb, Ashley Vanpevenage, Cure The Hate この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会④|#NoMakeup” 世界的に見てもノーメークで過ごす人が少ないと言われる日本。あなたは、「ノーメークでセルフィーを撮れ」と言われたらどう思いますか?... ーBe inspired!
2016年10月15日もう5回目となりました! 社会的にNGな言葉を集めた辞典を作るために始めた【Politically Incorrect Dictionary】。 今回は米大統領選として世界中で話題になっている共和党候補、ドナルド・トランプ氏に注目したいと思います。(Photo by VCU CNS)なぜなら彼は社会的にNGな発言をすることに限ってはピカイチ! いわば、Politically Incorrect王です。 次のアメリカの大統領が誰になるのか。 アメリカとの交流が深い日本も他人事ではありません。 一時はトランプ氏が支持率をどんどん上げ、絶望的な気持ちになった人も多かったと思いますが、支持率はここにきて下がっています。 きっかけはやっぱり彼の迷言。 非白人系の戦死した兵隊の遺族に対して人種差別的な批判をしたのが大きな要因です。 退役軍人に尊敬と感謝をするという文化が根強いアメリカでは政党関係なく、これまもう違うレベルでNGだったようです。 それではこのタイミングで、安心してこれまで彼がした迷言を振り返りたいと思います。 p.5 ①「すべてのイスラム教徒のアメリカ入国を拒否すべきだ」 ②「メキシコ人は麻薬や犯罪を持ち込む」 ③「メキシコは問題のある人間を米国に送り込んでいる。彼らは強姦犯だ」 ④「もしイバンカ(トランプ氏の娘)が俺の娘じゃなかったら多分付き合ってるね」 どうしてダメかは言うまでもないでしょうか…。 宗教や人種を一括りにしてひどい中傷をしています。 アメリカを白人化したいトランプ氏は国民が移民に対して批判的になるように煽っているというわけですね。 最後の娘への発言は社会的にNGを通り越してただただ気持ち悪いですね…。 こういった発言は言うまでもなく、許されません。 ましてや多民族国家の大統領候補となると、責任の重さは計り知れません。 トランプ氏はこうも発言しています。 「アメリカの悪いところは、(Politically Incorrectかどうか)気にしすぎるところだ」 どうりで、平気でひどい発言をできるわけですね。 「ポリティカリー・コレクト」すぎるのは「逆差別」だという批判はよく存在しています。 ケースによっては「逆差別」なことも否定できません。 誰の立場から見るのか、どの歴史的側面から話すのか、非常に難しい問題です。 でも、常に「相手の立場になって考える姿勢」というのは大切だとは思わないでしょうか。 ひとまず、トランプ氏が大統領になる可能性がだいぶ怪しくなったことに安心して今週は終わりたいと思います。 次回もお楽しみに! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!【Politically Incorrect Dictionary】p.4 「彼氏いる?」「彼女いる?」 今回4回目となりました、【Politically Incorrect Dictionary】。「その発言どうなの?」という言葉を集めて、まとめて... ーBe inspired!
2016年10月14日(Photo by PEXELS)アメリカは、セントルイス。 今し方到着した大型トラックの後方に、ホームレスの人たちが次から次へと集まってきては列を成す。 その数、ざっと50名はいるだろうか。 地元NPO団体によるご飯の炊き出しサービスか。 だが、待てども待てども炊きたてご飯の美味しそうな匂いがしてこない。 変わりに鼻を刺激したのは…優しい石鹸の香り? 移動式シャワー、はじまる(Photo by CITYLAB)大型トラックの正体は、移動式のシャワールーム。 毎週月曜日と木曜日に地元のホームレスの人たちに無償でシャワーの利用を提供している。 行政やNPOの福祉活動の一環ではない。 ジェイク・オースティンという一人の男性によって考案されたプロジェクトだ。 トラックの荷台には、石鹸を握りしめた拳の絵。 その周りには「Shower to the people!(人々にシャワーを!)」の文字が踊る。 中を覗けば、意外にも広々とした空間に居心地の良ささえ覚える。 内部のつくりは、2つのシャワールームにシンクが2つ。 歯を磨き、ヒゲを剃ることもできる。 入室前後で劇的に変化する人もいるのだとか。(Photo by CITYLAB)「ホームレスの人たちにとって必要な支援と聞けば、ご飯の炊き出しや衣類の配布、トイレの設置といったものがこれまでは主流だったと思います。意外にも、シャワールームの必要性は見落とされてきた部分でもあります」とジェイクは話す。 アメリカ国内では、ホームレス用のシェルターが設置されているものの、そこに入居できない人たちは、公共スペースの噴水や公園の水場、河の水を使ってなんとか衛生面をキープしている現実がある。 温かいシャワーこそが、暮らしの源泉(Photo by andrej)ボランティア・エリートといっても過言ではないジェイクは、これまで長きにわたって炊き出しなど地域の活動に精を出してきた。 そんな彼にとって移動式シャワーのアイデアとの出会いは、必然的なものだったと言える。 ある日、炊き出しの現場で売れ残りの石鹸やシャンプーを配布していたときのこと。 石鹸をもらったものの、それを使う場所がなく、途方に暮れていたホームレスの男性が目にとまった。 聞けば、2日後に就職の面接を控えていたという。 「温かいシャワーが、人としての尊厳を取り戻すうえで、なによりも必要なもの」 そう確信したジェイクは、移動式シャワーのコンセプトを立て、アイデアをスピーディーに具現化していった。 資金をSNS上で募り、車を購入。 水回りや配管などの改修工事は、彼の想いに賛同した地元の業者が無償で請け負った。 身の丈にあった規模感を大切に(Photo by CITYLAB)1回の滞在で50人弱が利用できる移動式シャワー。 もっと大きな車を使い、シャワーの数を増やせば、効率がアップするようにも思える。 だが、「待ち時間をしっかりと用意することは、人が集い、対話を持つための場をつくることに他ならない」とジェイクは考えている。 シャワーの利用を起点にして生まれる地域の人同士のつながり。 その中で培われていく自尊心。 一日でも早く、人としての尊厳を取り戻し、ストリートライフからの脱却を目指してほしい。 そう切に願い、ジェイクは地域の衛生問題に取り組んでいる。 明日への希望を紡ぎだすシャワー(Photo by Nicolas Colemonts)「シャワーがない生活の厳しさを想像することは、それほど難しいことではないと思います。シャワーがあるだけで、私たちは疲れた身体を癒すことができ、希望を見出すことだって出来るはず」とジェイク。 たかがシャワー、されどシャワー。 一日の終わりに、シャワーの噴射口から吹き出す水圧を全身に感じながら、明日への決意を新たにしてみるのもいいだろう。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!ホームレスの価値を伝えたくて、ホームレスになった男 東京都心部の緑豊かな公園。平日はサラリーマンの憩いの場、休日はカップルやファミリーで賑わうスポットに、不思議なカフェがある。緑の地を進むと、現れたのはブルー... ーBe inspired!
2016年10月14日(Photo by MisterSven)“物々交換”と聞いて何を思い浮かべるだろうか? まだ貨幣経済でなかった時代の「必要なもの」を得る手段だと思う人が多いのではないだろうか。 そんな物々交換のプロジェクトを行ないながら各地を旅してまわった男がいた。 「物々交換」で交換される価値観(Photo by ゆのきけいすけびじゅつじゅんびしつ)“物々交換”ってどうやったらできるものなのか? アーティスト・柚木恵介氏の物々交換の場合は自分が持っている「物」を相手の「物」と交換し、交換してくれた人の記念のポラロイド写真を撮るという、いたってわかりやすい仕組みだ。 もちろん、その「物」の持っているストーリーを聞くこともできる。 彼は手作りの屋台を引いて物々交換をしながら旅を続けてきた。 彼が「物」と引き換えに得るものは、新しい「物」だけではなく出会った人と交わす予測不可能なコミュニケーション。 このコミュニケーションでは、新しい「価値観」に触れられるという。 それは、持っていた人が語る「物」に対するストーリーや、その人に起こった出来事についてなどさまざまな会話から感じ取れるものなのだ。 “貨幣を一切介さない”コミュニケーション(Photo by ゆのきけいすけびじゅつじゅんびしつ)「貨幣」の物差しから離れ、コミュニケーションのなかから新しい価値を浮かび上がらせる本プロジェクト。 始めたのは、出会うことも話すきっかけのなかった人とコミュニケーションをとる手段としてだった。 2009年に始めてから7年間で、彼は数えきれないくらいの人々と交流してきているのだ。 これには一切の貨幣の交換が絡んでいない。 また、「物」も単なるコミュニケーションのきっかけにすぎず、彼の所有物になることはない。 そんな物々交換プロジェクトは、金銭の仲介がなくても人とつながることができることを証明してくれる。 近ごろ耳にする、“友達をレンタルする”システムは「金銭を払ってコミュニケーションをとってもらう」ものだが、同プロジェクトはそれとはまったく正反対なのだ。 インターネットでは調べられない「本当のストーリー」(Photo by KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭)「物々交換プロジェクト」は多くの人々との交流で成り立っている。 そのなかで聞いてきたストーリーとはどのようなものなのか? それが知りたければ、直接柚木氏のところで直に話を聞くか、アートイベントに展示されている彼が撮ったポラロイド写真から想像するしかない。 彼のブログを見ても、個々のストーリーについては書かれていないのだ。 インターネットを使えば多くのことはわかってしまう時代だが、そんな時代だからこそ、彼そして彼と関わった人にしか知り得ないエピソードの価値は高いものになる。 たわいのないことかもしれないが、そこでしか聞けない話だから。 「人との交流」でしか味わえない「温かさ」(Photo by ゆのきけいすけびじゅつじゅんびしつ)<タイでの物々交換プロジェクトの様子> 柚木氏のブログによると、「自ら人に関わりに行くこと」を信念に物々交換の活動している。 そこにはまた、「知らない人と話すなんて一番嫌なことだったのに、いつしか自分自身が変わろうとしている」と書き綴られている。 何百人、何千人と会話している人だからコミュニケーションが元から得意な人だと考えるかもしれないが、そうとも限らないのだ。 人と話すのが好きそうでも、実際のところはそうではない人もまわりにいないだろうか? コミュニケーションが苦手でも、お金では買えない「人との交流」ができているのなら、それを大切にしていって欲しい。 現在開催中の茨城県北芸術祭では、柚木氏が「物々交換プロジェクト」の一環として約2ヶ月県北の市町をめぐり、そこで関わった436人のストーリーを記録してきたものを見ることができる。 詳しくはこちら。 via. KOMOGOMO展のブログ, 茨城県北芸術祭情報サイト#KENPOKU, butsubutsukoukan, ゆのきけいすけびじゅつじゅんびしつ この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“お金じゃ売らないビジネス増加中。お代は一体なに?” どんなモノにでも、値段がついている現代。それはつまり、「お金があれば、モノは買える」ということ。しかし今、「お金で買えない売り物」をあつかうビジネスがあちこちで... ーBe inspired!
2016年10月13日(Photo by Reo Takahashi)この連載では、毎回、ユナイテッドピープルが届ける映画を少しずつ紹介しながら、世界で起きている問題に触れたり、そこから日本との繋がりを見つめたりするような記事をお届けしていきます。 中南米で直面した「発展」で失われかける世界昨年の今頃、私は1ヶ月休みをもらって、生まれて初めて、中南米の旅に出た。 訪れた国は、キューバ、ペルー、メキシコの3カ国。 3カ国共通して私が問いかけられたのが「豊かさとは?」だった。 特にペルー。 首都リマの中心部は、高層ビルが立ち並び、東京以上に発展の勢いを感じる街だった。 一方、そこから車で1時間ほど離れると、トタン屋根の簡単に崩れてしまいそうな家が並ぶ、いわゆる貧困街になる。 さらに、バスで地方を走っていた時には、家の前でお母さんが子供の頭をたらいですくった水で洗っている姿も目にした。(Photo by Ayah Ai)経済的な視点からみれば、前者の都市部のほうが”豊か”なことは明白だ。 でも、東京と変わらないような「発展」した街並みより、私が「ペルーらしさ」を感じたのは後者だった。 都市部ではスリなども多く、槍のような門に囲まれた家と、常に緊張した空気感に包まれる。 だが、田舎に行くほどにのびのびと駆け回る子供たちの姿や、人懐っこい笑顔に出会える機会は増えた。(Photo by Ayah Ai)映画『幸せの経済学』は、「グローバル化」が抱える問題点を指摘したドキュメンタリーだ。 ヒマラヤの辺境ラダックではかつては、自然との繋がりが強く自給自足的な生活を営み、人々がみな対等に助け合い、目を輝かせながら暮らしていたが、西欧の消費文化が押し寄せたことで貧富の差が生まれ、自然と人間、人間と人間同士の関係性も希薄になった。 そうして、海外からの支援に依存した態勢に変わっていってしまうこの地域の様子を主な事例に取り上げながら伝える。 行き過ぎたグローバル経済を脱却し、持続可能で幸せな暮らしをつくっていくために、「ローカリゼーション」の大切さを説く。※動画が見られない方はこちらヘレナ・ノーバーグ=ホッジ監督の思いとメッセージが全面に強く出ている作品ではあるものの、いわゆる「途上国」に行くたびに、この作品が伝える「グローバリゼーションと豊かさの関係性」に思いを馳せずにはいられない。 「豊か」でなくとも溢れ出る生命力と矜持(プライド)一方、キューバは「発展」からは取り残されたような国だった。 長らく鎖国状態にあり、日常に使われている車は古くて冷房も効かなかったり(観光客用に改良されているクラシックカーは除き…)、インターネットも1時間分のカードを購入せねばならず、使える場所もかなり限定的。 少し田舎に行けば、乗り物として馬が使われ、庭に貯めた雨水が常用水として利用されていた。(Photo by Ayah Ai)(Photo by Ayah Ai)決して”豊か”とは言い難いこの国では、家々の扉が開放されていて中まで丸見え。 扉の前でご近所さんたちが井戸端会議をし、夜になれば街のあちこちに音楽が溢れて、陽気に踊りながら夜を更かす。 目の前の時間、1日1日をただ目一杯生きているこの国の人たちは皆、目に輝きと強い生命力がみなぎっていた。 そこには、日本ではなかなか感じることがないような「矜持(プライド)」があるように思えた。 私が同じような感覚を映像越しに感じたのが『ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡』だ。 これは、ブラジル出身の世界的に有名な現代芸術家ヴィック・ムニーズが、当時世界最大のゴミ処理場だった「ジャウジン・グラマーショ」で分別の仕事をしている人たち(カタドール)と一緒に、そこのゴミを使ったアート作品を作っていく過程を追ったドキュメンタリーである。※動画が見られない方はこちらカタドールたちは皆、経済的に貧困であるがゆえに、危険で不衛生で体力的にもきついこの仕事をしている。 しかし資源のリサイクルに携わっていることへの誇りを持っていたり、娼婦として身売りするよりもずっと良い仕事だと胸を張る人たちも少なくない。 特に、グラマーショで数十年にわたって働き続けているおじいちゃんの姿は凛々しく、自信に満ち溢れている。 彼が発する言葉の奥深さは、ぜひ一度映画で味わってみてもらいたい。 世界を見つめ、自分の足元を見つめ直す日本で同じような日常を繰り返していると、衣食住に不自由しないような暮らしを「当たり前」に感じ、疑問をもつこともなく、逆に、経済的な指標に、無意識に振り回されてしまうことも少なくない。 映画を通じて違う世界と、違う世界で生きる人たちに触れることで、自分自身の人生にとっての「豊かさ」や「誇り」を見つめ直す時間を持ってみてはどうだろうか。▼『幸せの経済学』全国の上映会情報市民上映会(自主上映会)情報結城まちなかシネマ+α ▼『ヴィック・ムニーズ ごみアートの奇跡』上映会TRUNK CINEMA with UNITED PEOPLE この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!性的、人種的、宗教的マイノリティのために「映画」で戦うふわふわガール。 LGBTQアクティビスト。シリアへの留学経験者。自らの苗字の改名者。そして、若干26歳して企業の副社長。そんな彼女の名前はアーヤ藍(あー... ーBe inspired!
2016年10月11日(Photo by Alex Holton / Adapted.)少し前の話になるが、日本では7月に参院選が行われた。 7月の参院選では、選挙年齢が20歳から18歳に変わったものの、18歳の投票率は51.1%、19歳のにいたっては39.6%という投票率だった。 なぜか? やはり若者にとって政治は「タブー」? それとも「難しい」? あるいはあなたに「関係のない」こと? 実は、投票促進、差別是正、環境保護などのキャンペーンの際に、オンラインでもオフラインでも大活躍なポスター。 そんなポスターが社会に与える衝撃を「ポスター・インパクト」と名付け、これからテーマごとに紹介していきたい。 第一回目のテーマは「政治」。 政治に興味がある人もない人も、どちらでもない人も、世界で巻き起こる「ポスター・インパクト」を知ってほしい。 AIGA(2016)まずは、2000年から開始したAIGAによる「投票へ行こう(Get Out the Vote)」キャンペーンから、6枚のポスター(フリーダウンロードなどが可能)をご紹介。 AIGA(the American Institute of Graphic Arts)は1914年に創立された、アメリカのデザインのための専門職団体。 現在AIGAでは、2万5000人ものデザイナーがメンバーとなっている。 ■ブルーク・ネルソン(Brooke Nelson)(Photo by Brooke Nelson)「ただ投票に行け」は、ブルーク・ネルソン(Brooke Nelson)による作品。 上部に小さく「完璧な選択肢なんてない」というメッセージ。 「どちらの候補も選べない」「投票したところで未来は変わらない」と思うことは、残念ながらよくあることだろうが、何もせず、誰かに未来を任せることはできない。 「完璧」な候補がいればそれに越したことはないだろうが、そうでない場合は、「完璧」ではなく「最悪」を防ぐこと、まずはそこから始めることが大切なのではないだろうか。 ■ジョン・アリオラ(John Arriola)(Photo by John Arriola)「あなたの未来に投票を」は、ジョン・アリオラ(John Arriola)による作品。 遠目から見るとアメリカ国旗色に見えるこのポスターには、異なる手書きフォント(すべての市民がアメリカをつくっていることを象徴しているという)で書かれた白い文字がぎっしり。 これらの文字を、自分のこととして捉え、理解を深めてほしいという思いが込められているという。 ■デニス・セントン(Dennis Sengthong)(Photo by Dennis Sengthong)「投票ーあなたの声が重要だ」は、デニス・セントン(Dennis Sengthong)による作品。 立体的なアメリカ国旗柄の「VOTE」の文字が、シンプルながらも印象的。 ■ケヴィン・ガリソン(Kevin Garrison)(Photo by Kevin Garrison)「われわれ合衆国の民」は、ケヴィン・ガリソン(Kevin Garrison)による作品。 アメリカ合衆国憲法前文の「われわれ合衆国の民」にインスパイアを受けているという。 ■ニキ・ブレーカー(Niki Blaker)(Photo by Niki Blaker)「永遠の監視」は、ニキ・ブレーカー(Niki Blaker)による作品。 自由と経済的な繁栄を享受するためには、投票を通じて政府に声を届けなくてはならない。 ポスターにある「『羊』の国は、『オオカミ』の政府を生むだろう」という文言は、ジャーナリスト、エドワード・R・マローからの引用だ。 投票者が羊のように従順であれば、政府は全体主義の独裁者に奪われてしまうことだろう。 それを防ぐために、「永遠の監視」という不断の努力が必要だ。 ■アレックス・ホールトン(Alex Holton)(Photo by Alex Holton)「見ていることは、行動ではない」は、アレックス・ホールトン(Alex Holton)による作品。 「選挙の過程に参加することなく、成り行きをただ眺めるだけでは、選挙結果に怒りを覚える権利すらないだろう」とアレックスは考える。 デモシスト(2016)(Photo by Demosistō)(Photo by Demosistō)香港の民主化デモ「雨傘革命」のリーダーたちが新たに立ち上げた政党「デモシスト」のポスター。 力強さの中に爽やかさを感じさせる。 ポスターに写るネイサン・ロー(羅冠聡)氏は、最年少23歳で当選を果たした。 キット・ニール(2016)(Photo by Kit Neale)ロンドンのデザイナーであるキット・ニール(Kit Neale)が、EU離脱を問う投票の際に製作したポスター。 二つのカラフルなポスターの下には、EU残留を求めるメッセージが書かれている。 「平和と結束を愛する(LOVE PEACE AND UNITY)」ポスターの下には、「EUの役割を無視するのは馬鹿げている」と印字されている。 市民連合(2016)(Photo by 市民連合)「市民連合」が、2016年7月の参議院選挙の際に製作したポスター。 Tシャツには、「権利を尊重して」「平等」「戦争ではなく、平和を」「ノー・ヘイト」「憲法を守れ」といった文字がプリントされている。 ポスターで変わる政治、動くヒト第1回目は、政治に関係するポスターをご紹介した。 政治は私たちの暮らしとは不可分なもので、政治を考え、行動していく義務が私たちにはある。 ポスターを通して、より楽しく積極的に、政治を考えるキッカケを掴んでほしい。 「こんなポスターがあるんだよ」と、政治に興味のない人に教えるのもいいだろう。 それでは、次回もお楽しみに! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!【台湾発】若者を救う「ロン毛」で「タトゥー」のヘビメタ政治家。 世界の政治が変革期を迎えている昨今。日本でも、次回の選挙から18歳以上の国民が選挙権を得るなど、何かが少しずつ変わりつつある。それに比例するように、長年懸念... ーBe inspired!
2016年10月11日(Photo by Luciana Soldi Bullara)海外で、日本人はどのように思われているのだろうか。 人の考えは様々だ。 日本に対してプラスのイメージを持つ人もいればマイナスのイメージを持つ人もいる。 そのイメージに、ときには傷つくこともあるだろう。 しかし、「井の中の蛙」になってはならない。 その全てを知っておく必要があるのではないだろうか。 中止の原因は、「日本軽視」(Photo by Amber Ying)私たち日本人の中でも知らない人は多いだろう。 この度、アメリカ『ボストン美術館』で行われた和装イベントが「日本人差別」であるとして中止になったのだ。 この問題のイベントとは、フランスの画家、モネの作品『ラ・ジャポネーズ』の前で和服を羽織り、写真を撮ることができる体験型のイベント。 しかしこれが「アジア文化に対する誤解を生む」、「着物の起源や歴史を無視したイベントだ。これはアジア人に対する侮辱である」として批判を浴びる結果になってしまった。 そもそもこのモネの作品が発表されたのは、日本がアメリカから開国を迫られている真っ只中。 そのため、この作品は「欧米諸国の植民地政策を表しているものである」という人もいる。 そんな時代を表したこの作品で、着物を着て楽しそうに写真を撮ることは差別や欧米諸国の植民地政策に賛同していると考える人がいてもおかしくないのだ。 ただ不思議なのは、このイベントは日本の世田谷美術館や名古屋ボストン美術館でも開催され、その時は一切抗議は出なかった。 そして、アメリカで起きたこの出来事のことも日本ではほとんど報道されなかった。 あなたの知らない「日本人差別」(Photo by The Radio Academy)この出来事以外にも実は私たちが知らない差別は多々存在しているようだ。 例えば、アメリカ大統領選挙に立候補しているトランプ氏のSNS。 彼は、敵候補であるヒラリー氏を野次るために、日本の国旗を利用したという。 また、今年行われたアカデミー賞の授賞式でも、同様の差別が起こった。 式に登場したスーツ姿の日系米国人の子どもらに対し司会者が、「働きすぎ」と皮肉を含めたジョークを言ったのだ。 そしてこの出来事は、「アジア人を笑いものにしている」とアメリカ中から批判を浴びた。 日本ではこの時期、「アカデミー賞に白人ばかりがノミネートされている」という報道は耳にしたことがある人も多いだろう。 しかし、私たちに関係する差別があったという事実を知っている人はどれほどいるだろうか。 あなた自身が「どう思うか」(Photo by Loving Earth)日本は、自国のことに対して批判や抗議をすることは得意だが、他国のことに関して批判や抗議をすることは苦手ではないだろうか。 例えば、最近国内で最も注目をされた批判は「東京五輪のエンブレムがパクリではないか」という問題であろう。 デザインした側は否定していたものの、最終的には、違うものに差し替えられることとなった。 しかし、私たちがもっと抗議しなければならない問題は多々あるはずだ。 マスコミが流す情報ばかりを鵜呑みにし、大衆が批判することに便乗をするばかりではなく、得た情報を基に自分で調べ、考え、自分なりの考えを持つことも必要ではないだろうか。 その上で、間違っていると思うことに対しては「批判をする」という選択肢も持たなければならないだろう。で なければ、いつまでも自分の力で批判をすることはできない。 私たちは「差別される」(Photo by salendron)テレビやインターネットなどを通じて、私たちのもとには毎日多くの情報が入ってくる。 しかし、それを見るだけではなく、自分で「何が正しいか」を疑い、調べなければこういった差別があったという状況を私たちは知る由もない。 日本人は海外で活躍しにくいと言われることが多いが、その一つにこの「差別」への免疫がないことも挙げられるのではないだろうか。 実際、日本人に対する差別に対しても、差別と捉える人もいるし捉えない人もいる。 相手は悪気がなくジョークとして言っている場合も多く、すべてを真に受ける必要もないのかもしれない。 しかし、たとえジョークで言われたとしても、そこでショックを受けるのか、笑いとばすのか、それともそれは差別であるときちんと批判するのか、心構えをしておく必要がある。 すべてを「差別」であると声を高々に上げる必要はないかもしれないが、自分で情報を得て、「日本人が差別されることもある」という事実を知ることは大事だ。 そうでなければ、海外に出たときそのギャップに潰されてしまうだろう。 via.THE HUFFINGTON POST, Buzz Plus News, Record China, 会話アップ!, cakes, livedoor NEWS この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“全米の「アジア人女性」が無視できなかった「1本の自虐動画」” 「日本人は礼儀正しい」「日本人はノーって言えない」「日本人女性は簡単」「日本人男性はシャイ」これらは海外から見た日本のステレオタイプだ。... ーBe inspired!
2016年10月10日(Photo by madoka)世界的に見てもノーメークで過ごす人が少ないと言われる日本。 あなたは、「ノーメークでセルフィーを撮れ」と言われたらどう思いますか? 皆さま、こんにちは! ハッシュタグ・アクティビズムを紹介する連載企画の第4回です! 早速ですが、欧米の歌手やモデル、女優らが相次いでSNSにノーメークの姿をアップロードするムーブメントが起きているのを知っていますか? その名も#NoMakeup。(Photo by JOANNE)<レディー・ガガ/歌手>(Photo by Beyoncé)<ビヨンセ/歌手>(Photo by Gigi Hadid)<ジジ・ハディッド/モデル> これはアメリカのシンガー、アリシア・キーズが広めた「自分を包み隠すことをやめる」ムーブメントなのです! 彼女は5月に出したエッセイで「私はもう何も包み隠したくない」「顔、気持ち、心、考え、夢、苦しみ、感情の高ぶり、全てを偽ることを止める」と綴って以来、コンサートのときも撮影するときもノーメークでいます。(Photo by aliciakeys)ノーメークのまま撮影に挑んだ彼女の感想というと、「間違いなく、これまでで最も強く、力にあふれ、自由で、正直な美しさのある体験でした」。 アリシアが綴ったエッセイには、 聴衆の前でノーメークになることを決意するまでの過程が綴られています。 あえてノーメークを見せた彼女は、自分を偽っていない「ありのまま」を世界に公開するという勇気を見せたのです!(Photo by madoka)そして有名人だけでなく、あらゆる人が#NoMakeupのハッシュタグをつけてSNSに自分の素の顔を投稿しているのです! インスタグラムで#NoMakeupをつけた投稿を検索してみると、120万件以上がヒットします。(Photo by aliciakeys)「何も隠さない素顔のままの自分を見せること」を良しとしているこのハッシュタグ・アクティビズムですが、決して「化粧がいけない」と言っているのではありません! これは化粧をしていてもしていなくても、自分を包み隠さず見せることが「自分の強さ」を見せることなのだと教えてくれるムーブメントなのです。 皆さんもノーメークでセルフィーを撮りたくなりましたか? 次回の連載をお楽しみに! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会③|#ShoutYourAbortion” 皆さん、こんにちは!ハッシュタグ・アクティビズムを紹介する連載企画の第3回目です。 さて、突然ですが皆さんは“中絶”という言葉を聞いてどんなイメージを受けま... ーBe inspired!
2016年10月08日今回4回目となりました、【Politically Incorrect Dictionary】。 「その発言どうなの?」 という言葉を集めて、まとめて辞書にしちゃおう!と始めました。 「その発言どうなの?」といいますと、政治的、宗教的、歴史的、社会的、そして経済的な背景を考慮しないでしてしまう不適切な言葉たちです。 大抵は、悪意はないけど、向こうの状況を考えないで結果的に不愉快な思いさせちゃった、という類のことです。 “Politically Incorrect”の詳しい説明はこちら。 これは毎度書かせていただきますが… 毎週の提案が絶対的な事実で、正しいというわけではありません。 あくまでもひとつの見方です。 むしろ、「その考え方違うんじゃない?」「私はそう感じない」という意見大歓迎です。 なので、これをきっかけに今まで知らなかったことを知っていただいたり、考えてみなかったことを考えたり、周りと話し合って、それぞれの答えを見つけていただけたら幸いです。 それでは今週のピックアップ。 p.4 女の子に「彼氏いる〜?」と聞くこと。 男の子に「彼女いる〜?」と聞くこと。 これは質問した相手が異性愛者だと前提にしているからです。 LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人は20人に1人だと言われています。 実際は“LGBT”の4つでは到底カバーしれきれない程のセクシュアリティが存在しています。(詳しく知りたい方はこちらで。) そんな中、全ての人が異性愛者という前提で話をするのは横暴ではないでしょうか?欧米で定着してきているのは「パートナーはいるの?」という言い方です。 普通に「付き合っている人はいるの?」でもいいかもしれませんね。 欧米のミレニアルズ世代は親の世代に比べて多様な性に対してオープンだと言えるでしょう。 例えば、イギリスで活躍しているミレニアルズ世代のアーティスト。 19歳の若手音楽プロデューサーMura Masaという人がいます。 ビルボードの「2016年注目のアーティスト」にも選ばれました。 400万人近くが視聴した彼のヒット曲「What If I Go?」のミュージックビデオを見てみてください。※動画が見られない方はこちらごく自然に多様なカップルの形が映し出されます。何気ない自分の一言が、他人のセクシュアルアイデンティーの存在を無視してると思うと悲しいです。 今後もっともっと多様な愛の形が認められるように、小さいことから気をつけていけたらいいですね。 それでは今週はここまで。 来週もお楽しみに! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!【Politically Incorrect Dictionary】p.3 じょし-りょく(女子力) 社会的にNGな言葉ばかりを集めて「これ言っちゃダメでしょ」辞典を作ろう!と始めた【Politically Incorrect Dictionary】。3... ーBe inspired!
2016年10月08日(Photo by mark sebastian / Adapted.)「うつ病で朝起きれない」と友人から言われたとき、あなたはどのように感じるだろうか。 「甘えている」「弱い人」「気の持ちよう」など、うつ病を患う人に対して、ネガティブなイメージを抱いたことはないだろうか。 職業は、コメディアン、作家、メンタルヘルスアクティビスト(Photo by Kevin Breel)コメディアン、作家、そして「メンタルヘルスアクティビスト」である22歳のケビン・ブリール。 聞き慣れない職業「メンタルヘルスアクティビスト」とは、精神疾患に苦しむ人たちの権利、治療、そして、精神疾患に苦しむ人たちに対して、一般の人たちが持つ考え方を向上させようと闘う人たちのことだ。 高校時代、彼はバスケットボールチームのキャプテンを務め、演劇と国語の年間優秀生徒で、人付き合いもよかったという。 他人が抱くケビンの「イメージ」とは対極的に、実は彼はうつ病と闘うティーンエイジャーのひとりだった。 コメディアンがやや引っ込み思案傾向にあり、社交的に交際することを常には望まず、彼らのコメディ自体がセルフメディケーション的な役割を持つという指摘もあるが、一般的には、コメディアンといえば「明るい」「楽しい」といったイメージで、うつ病とは相反するような印象があるのではないだろうか。 ケビンは現在、うつ病、そしてうつ病に対する社会的不名誉、無関心、無知、不寛容と闘っている。 内なる闘い以上に恐ろしいこと※動画が見られない方はこちら 彼は以前、「うつ病をわずらうコメディアンの告白」というテーマで、テッド・トークス(TED talks)に登壇した。 トークの中で、ケビンが定義した本当のうつ病とは「人生のすべてがうまくいっているときに悲しくなること」。 うつ病は、なにかがうまくいかないことによって、一時的に悲しくなることとは違う。 彼が最も恐れることは、うつ病に対して自らが闘うこと(内なる闘い)ではなく、他人が抱くうつ病に対するネガティブなイメージ。 このスティグマによって、うつ病を患う人たちはSOSを出しづらくなってしまうという。 ケビンはトークの最後で訴えた。 “うつでも大丈夫。私たちは人間ですから、悶えたり、苦しんだりします。血が出て泣くこともあります。もし真の強さとは、決して弱さを見せないことと思われていたら、間違っていると伝えたい。間違っています。反対なんですから。私たちは人間です。問題を抱えています。完璧な人なんていないそれで良いんです。無知を克服しましょう。不寛容を止めて、不名誉も払拭しましょう。そして、沈黙を打ち破るんです。タブーを取り払いましょう。真実を見て話し合いを始めましょう。なぜなら1人で戦っている問題の唯一の解決方法とは、一緒になって戦うこと。皆で結束するんです” うつ病という話題は、ソーシャルメディアやニュースでは「暗い」と言って避けられる傾向にある。 また、「骨折」といった身体的症状と比べると、不寛容になりがちな話題でもある。 しかし、世界のどこかでは30秒にひとりがうつ病で命を絶っている。 うつ病という話題を真剣に議論するときが来ているのではないだろうか。 アナ雪の声優がうつ病に対してオープンになったとき(Photo by Disney | ABC Television Group)映画「アナと雪の女王」で、アナ役の声優も務めた女優のクリスティン・ベル。 彼女もまた、うつ病を経験したひとりだ。 コメディアンのケビンが「真実を見て話し合いを始めましょう」と話したように、彼女もまた「20%近くのアメリカの成人が、一生のうちに一度はなんらかの精神疾患を患います。私たちは、なぜそのことについて議論していないのでしょうか」と、うつ病について話し合うことの重要性を語る。 さらに、「精神疾患と闘うことは、『弱い』ことではない」とも言い切る。 風邪だと言えば「お医者さんに診てもらえば?」とアドバイスできる私たちは、精神疾患を患う人たちに対しては同じことが言えなくなりがちだ。 私たちは、うつ病に対してネガティブなレッテルを無意識に貼り付けている可能性がある。 ベルや、ケビンの言葉を重く受け止めなければならないだろう。 30秒にひとりがうつ病で自殺する世界で(Photo by Ben Seidelman)日本でうつ病を患う人は年々増加傾向にあり、2014年にはうつ病を含む気分障害患者数は約111.6万人となった。 しかし、2014年に製薬会社のルンドベック・ジャパン株式会社が行った調査によれば、日本では同僚がうつ病になっていることを知っても「何もしない」と答えた人が40%にものぼったという。 ケビンは「うつ病をわずらうコメディアンの告白」の中で、私たちがうつ病から逃げてしまう可能性を以下のように述べている。 “私たちの世の中では、腕の骨を骨折すれば、ギプスにメッセージをもらえますが、うつだと告白すれば皆が逃げていきます。これが悪いイメージです。私たちは身体の病気には非常に寛容ですが、精神となると違います。全くの無知です。純粋な無知こそが、うつや心の病気を受け入れない世界を作っています” ケビンやベルなどの話をきっかけに、うつ病に対する理解を深め、うつ病を含めた精神疾患に対する偏見を一人ひとりがなくしていかねばならないだろう。 via. TED.com, Motto この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「トイレ」。それは強い心を作る場所。 たっぷりと体を休めたのに、なんだかまだ疲れが残っている。そんな人に必要なのは「頭の休息」かもしれない。体は動いていなくとも、頭は無意識のうちに働いてしまって... ーBe inspired!
2016年10月07日(Photo by Marc Buehler)建物を埋め尽くす膨大な数の広告に、目もくらむほどの忙しいネオンの光。 歩行者に、怪しげな光を発しながら話しかける自動販売機たち。 「東京」や「大阪」といった日本の大都市に訪れたことがあれば、視覚や聴覚が休まらない光景に「ここまでする必要がある?」と、感じた人も少なくないだろう。 だが、もしあなたの好きな世界の都市が東京のような風景だったら? あなたには想像できるだろうか? 世界東京化計画!?見慣れたニューヨークのまちと思いきや、(Photo by Daigo Ishii+Future-scape Architects) 新宿!?(Photo by Daigo Ishii+Future-scape Architects) ヴェネツィア大聖堂が、(Photo by Daigo Ishii+Future-scape Architects) 両国国技館に…。(Photo by Daigo Ishii+Future-scape Architects) カラフルなブエノスアイレスが、(Photo by Daigo Ishii+Future-scape Architects) 原宿の竹下通り?(Photo by Daigo Ishii+Future-scape Architects) こちらは、現在イタリアで開催中の『ヴェネツィアビエンナーレ(5月28日〜11月27日)』で公開されている展示品の一つ、「世界東京化計画」。 日本の建築家・石井大五さんの作品だ。 ブエノスアイレス、コペンハーゲン、ラパス、ニューヨーク、パリ、ヴェネツィアといった独特な雰囲気をもった世界の6大都市に、東京のネオンや広告、道路標識から自動販売機、お花見の光景などを、巧みに重ねあわせたコラージュ写真。 なんとも奇妙な風景と化したハイブリッド都市。 本来の都市の面影も残しつつ、東京に見えなくもない。 感じ方はどうであれ、奇抜なアイデアと技巧に誘われ、思わず凝視してしまうものの、どこか違和感を拭いきれない感じもする。 無機質な東京(Photo by Nicolas Damiens)東京の風景をモチーフにした興味深い作品をもうひとつ。 フランス人デザイナーのニコラ・ダミアンが制作した「Tokyo No Ads(広告のない東京)」は、東京のまちから広告などの標識を一掃してしまった。 「世界でも類を見ないほど広告の多いまちとして有名な東京を、逆の視点から切り取ったらどのように見えるかということに興味があった」とダミアン。 もちろん空想上の世界だが、広告が一掃された東京の飲屋街には、白のキャンバスや無機質な看板が不気味に浮かび上がる。 改めて、多過ぎるほどの広告看板に囲まれた都会での生活を認識せずにはいられない。 しかし、スッキリした印象というよりも、変わり果てた全くの別世界に「世界東京化計画」のときと同様、どこかしっくりこない感がついてまわる。 むしろ、喪失感さえ覚えるという方もいるのでは…。 それでも「Tokyo No Ads」は、まちの景観を支配する広告看板を非難するための作品ではない。 「広告の多い東京もまた、魅力的で創造性が刺激される」とダミアン。 “東京に、広告あり!” そんなことを暗に提示してくれているのかもしれない。 “東京”が“東京”である理由(Photo by Richard Schneider)世界の都市に東京の風景を重ねあわせれば、違和感が残り、見慣れた東京のまちから広告を一掃すれば、それはそれでなんとなく寂しい。 大小問わず、世界の都市は、確固たるアイデンティティを確立しながら、そこに住む人々の暮らしに寄り添う。 「世界でも類を見ない広告の多いまち」 これが、“東京”が“東京”である所以なのかもしれない。 “広告”と聞けば、とにかく消費を煽るためのものと捉えられがちだが、それらはいつしか ”東京” のトレード・マークとなり、世界でも特異なまちの風景を創りあげた。 ときに、ノスタルジーを感じさせ、世の中の今を映し出し、来たる未来に思いを馳せるきっかけさえも与えてくれる、まちの広告。 クリエイティブな企みの祭典と捉え直してみれば、見慣れたまちの光景にも彩りが生まれてくるもの。 無料の広告展示場へ、ようこそ。 東京ならではの楽しみ方を知れば、これであなたも東京通! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!赤ちゃんを蝕む「広告」という「汚染物質」 googleコカコーラLEGOおなじみのメーカー名が体いっぱいに刻印された赤ちゃん。実はこれは、あなたの生まれた時の姿です。... ーBe inspired!Texted by Kenji Takeuchi
2016年10月06日(Photo by Dasha Buben)2003年、東京のある養護学校で衝撃の事件が起こった。 養護学校で行われていた「性教育」を不適切とし、都議3名が産経新聞記者を引き連れ、「視察」を行ったのだ。 産経新聞は授業で使用された教材を「まるでアダルトショップのよう」などと、「不適切」な報道を行った。 その後、教師らが創意工夫してつくり出した教材は都教委によって没収された。 それから13年、「日本の性教育」は変化したのか。 権力によって踏みにじられた性教育(Photo by Monoar)2003年、都立七生養護学校で起きた上述の事件は、教育への権力介入はもちろんのこと、日本における性教育へのタブー意識などが存分に表れている事件ではないだろうか。 七生養護学校では、子どもたちの間で起こる性的ないたずらに対応するため、性教育を本格的にスタートさせた。 教師たちは、視覚的教材や具体的な言葉などを使用することにより、知的障がいを持つ児童にもわかりやすく性知識を教えていた。 知識のみらならず、自己肯定や愛着形成を含む性教育、いわゆる「包括的性教育」を実施していた七生養護学校。 しかし、突如として七生養護学校での性教育は、発達段階を無視し、学習指導要領に違反するものとして「不適切」と判断されてしまう。 その後、教員や保護者らは都及び都議らに対して提訴し、2013年11月に勝訴した。 高裁判決では、七生養護学校の性教育は「望ましい取り組み方」とされた。 さらに、学習指導要領は「一言一句が拘束力すなわち法規としての効力を有するとすることは困難」などとも述べられ、教育実践者の裁量が広く認められる判決となった。 しかし、七生養護学校事件以降、日本の教育現場における性教育は未だに萎縮しているという。 衝撃的な学習指導要領(Photo by Victor Björkund)現行の中学保健体育の学習指導要領には、驚きの文言がある。 妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠までを取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする 注目すべきは「妊娠の経過は取り扱わない」としている点だろう。 望まぬ妊娠に効果的とされる性教育だが、「妊娠の経過」を取り除き、果たして正しい性知識は教えられるのか。 外部講師を招いた性教育を行う学校は存在するものの、まだまだ十分とは言えない日本の性教育。 私たちはどのようにして正しい性知識を得るべきか。 リベラルな国、アメリカ?(Photo by Celso FLORES)日本以外の国では、一体どのような性教育が行われているのだろうか。 アメリカを例に見てみよう。 実は、アメリカでは禁欲のみを求める性教育が大半とされる。 さらに、アメリカの3分の1のティーンエイジャーたちは、正しい避妊方法についての教育を受けないともいわれている。 Advocates for Youthの報告によれば、禁欲のみを求める性教育を受けても、長期的に見たときには、性行為の開始時期を遅れさせることはできないとされている。 日本では、2000年度から医師による性教育を開始した秋田県で人工妊娠中絶率が減少した。 望まぬ妊娠、そして近年、若年層に広がる性感染症などを防ぐためには、正しい性知識を教える性教育は必須だろう。 しかし、権力からの不当な圧力があるなどして、性教育を思うように行えない学校が多い場合、性知識はどのようにして得られるのだろうか。 情報社会に溢れるデマと、テクノロジーが生む期待(Photo by andronicusmax)ティーンエイジャーたちが気軽に性知識を得る場所としてまず挙げられるのは、インターネットだろう。 しかしインターネット上には、誤った情報も多数含まれる。 ネット上に溢れる、性をモノのように扱うポルノは、歪んだ性感覚を生み出しかねない。 そんな中、アメリカで「Juicebox(ジュースボックス)」というアプリが開発された。 (Photo by App Store)開発者はブリアナ・レーダー。 彼女は高校時代、テネシー州で1日の禁欲のみを求める性教育含む性教育を受けた。 大学入学後、十分に性教育を受けてこなかった友人たちが安全ではないセックスなどを行っていることを知った。 州や国が変わらないならばと、性知識とオープンな対話の場を提供する「ジュースボックス」を開発した。 現在、アプリの対応言語は英語のみで、17歳以上という年齢制限がある。 ユーザーは、匿名で性について質問ができたり、自らの性体験を他人とシェアしたりできる。 Yahoo!知恵袋やOKWAVEのように一般ユーザーが回答するのではなく、「ジュースボックス」ではトレーニングを受けた専門家が回答者だ。 次世代の性教育の可能性を感じさせるアプリといえるのではないか。 性教育にモザイクはいらない(Photo by Brad Flickinger)日本で2008年、5大学の大学1年生に対して行われた調査では、「性感染症」や「妊娠」についての性教育の充実を高校教育に求めていた学生が多かったことが明らかにされている。 権力者などにより「過激」だとか「偏った」とレッテル貼りされた性教育だが、望まぬ妊娠、性感染症、性被害、誤った情報の氾濫といった現状を踏まえてもなお、性教育はタブー視されたり、抑圧されたりしなければならないのか。 子どもたちが性教育を学校で学ぶ権利を奪ってはならないし、スマートフォンによる性教育が全員に適している、あるいは届けられるとも限らないが、上述したアメリカのアプリのように、デジタルネイティブ世代だからこそ、有効な性教育のあり方を今後探ってゆけるのではないだろうか。 今、新しい性教育を考え、生み出す時代が来ている。 via. Advocates for Youth, COSMOPOLITAN,PILCON, San Francisco Chronicle, 「こころとからだの学習」裁判支援サイト, 「こころとからだの学習」裁判支援サイト 「声明『こころとからだの学習』裁判最高裁決定を受けて」, 埼玉医科大学雑誌,信濃毎日新聞, 諏訪の森法律事務所, 中日新聞, 東京弁護士会, 七生養護「ここから」裁判刊行委員会, 日本性教育協会, “人間と性”教育研究協議会, ひみつ基地, 弁護士ドットコム, マイナビニュース, 文部科学省, ユニ・チャーム この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「ゆりかご」から始まる、世界で一番早い「性教育」 小学校高学年になると、保健体育の授業で性教育を扱い始める。デリケートな話題であるため、教師はいつも以上に慎重だ。「男子は校庭に出て遊んでいるように」と、女子... ーBe inspired!
2016年10月04日(Photo by Gabriel Cabral)まだ記憶に新しい、多くの人々に感動を与えたリオオリンピック。 しかし、そこで直面したことは「感動」だけではなく「疑問」だ。 私たちは「活躍」という意味をはき違えてはいないだろうか。 「スポーツ後進国」で輝く、「日本人」(Photo by Yahoo!JAPAN)彼がゴールした瞬間を見て、感動した人も多いだろう。 日本人でありながら、カンボジア国籍を取得し、カンボジア代表としてオリンピックに出場した猫ひろし。 彼は書類上は日本人ではないが、それにも関わらず多くの日本人が応援したのではないだろうか。 カンボジアは未だかつてオリンピックでメダルをとったことのないスポーツ後進国。 だが、そんな国を盛り上げているという意味で彼に称賛の声を送る人は多い。 彼がカンボジア国籍を取得したのは前回のロンドンオリンピックが開催される直前の2011年。 しかしその時は出場資格を満たしていないという理由で、オリンピックの舞台に立つという夢は断たれた。 そんな状況の中迎えた今回のリオオリンピック。 結果は140人中139位と奮わなかったかもしれないが、最後まで走りぬく彼の姿に日本中が感動した。 それは、ゴール後に、「カンボジアの人も日本の人も、ブラジルの人も応援してくれて、ありがとうと言いたい」とコメントをした彼の言葉からも読み取ることができるだろう。 日本を去らざるを得なかった「シンクロコーチ」(Photo by gooニュース)しかしそれとは対照的だったのが、今回のオリンピックのシンクロナイズドスイミングでデュエット、チームともに日本にメダルをもたらした井村雅代コーチである。 今回のリオオリンピックこそ日本代表コーチとして参加していたものの、それまでは中国代表コーチとなり中国でも結果を出していたのだ。 彼女に中国から「我々の国でコーチをしないか」と声が掛かったのは04年のアテネ五輪後。 これまで日本のコーチとして6大会連続でメダルを獲得していた彼女には、次の五輪への期待もかけられていた。 しかし、水泳連盟が出した答えは契約を更新しないということだった。 これからもシンクロ界に尽力したいと考えていた井村コーチは協会に詰め寄ったが、協会側の答えは「NO」。 「これからは若い選手とコーチで、日本を成長させます」と突き放された。 「売国奴」とまで言われる日々(Photo by 五味渕秀行)このような経歴もありフリーとなった井村コーチであるが、そんな彼女のもとには世界各国からコーチのオファーが殺到した。 そしてその中でもより熱心にオファーをし、また一番初めに声をかけてくれた中国に渡ることを決心したのだ。 結果的に中国にもシンクロ競技でオリンピック史上初のメダルをもたらしたわけであるが、中国に渡ると決まってからの彼女へのバッシングはひどかった。 多くのメディアは「売国奴、裏切り者」と批判をし、街を歩いていても、すれ違った人から陰でコソコソと悪口を言われたこともあったそうだ。 しかし彼女はそんなことではめげなかった。 そこには「どの国で」という意識はなく、「シンクロ」というフィールドで自らの力を試したいという信念があったからだそうだ。 日本にメダルをもたらした今でこそ、多くの人から称賛を浴びるが、当時のこの出来事は決して無視してはならないことであろう。 「どこの国か」は、大事なことか(Photo by MONUSCO Photos)この「技術の流出」という日本特有の批判はスポーツ界だけではなく、ビジネスの場でも見受けられる。 例えば、28歳という若さで、米国をベースに企業向け福利厚生サービスを提供する 『AnyPerk』を運営している福山太郎氏は、サンフランシスコで創業を決意した当時「まず日本で成功してからにしろ」と言われたそうだ。 また、08年にノーベル賞を受賞した理論物理学者の南部陽一郎氏に対しても批判が挙げられたことがある。 南部氏は、受賞時にアメリカ国籍を取得していたため、「彼は日本人としてノーベル賞を受賞していないのか」ということに対して議論が起こった。 ちなみにこれに対しノーベル財団は「国籍は考慮しない」として、受賞者を国別で数えることを拒否している。 期待するのは「場所」ではなく、「自分」(Photo by Mo Riza)スポーツやビジネスの場において、海外で活躍している日本人は多くいる。 しかし、それが発展途上国だと絶賛されるが、日本と同じように技術が高い国であると「技術の流出」や「日本人としての誇り」という部分で批判されやすい傾向にあるのではないだろうか。 今回のオリンピックでも、高須クリニックの高須社長が資金難に苦しむナイジェリア代表に支援をした。 高須社長はその理由を「諦めない彼らの姿に感動したから」だと言うが、同じ理由でそれがライバル国や先進国であったら、日本での反応はどうであっただろうか。 日本で輝くことも、日本では自分の才能が伸ばせないからと海外へ飛び出すことも大切なことだ。 しかし、こだわるべきは「場所」ではなく、世界のどこにいようが、自分の能力に対して正当な対価を得られる世界が理想なのだと思う。 via. YouTube, デイリー新潮, NAVERまとめ, withnews, WIRED.jp, My Life After MIT Sloan この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“リオ五輪選手のエネルギーの源は、生まれながらの「不平等」” 8月5日に開幕した、リオデジャネイロオリンピック。出場する選手たちは、世界中の人々から注目を浴び「トップアスリート!」と賞賛される華やかな存在だ。しかし、彼... ーBe inspired!
2016年10月03日(Photo by Daisuke Endo)先週日曜日、NEWoMan新宿「The CAMPus」にて「フードウェイスト(食料廃棄)」をテーマに、ゲリラシネマ2が開催された。 参加した約80名は「フードウェイスト(食料廃棄)」の実態に驚愕し、これから何ができるのかを考えた。 食料廃棄に切り込むイベントは新宿の屋上で(Photo by Daisuke Endo)今回で2回目となるゲリラシネマは、日本や世界で起こる社会問題を「知って、考えて、行動する」がコンセプトの映画を上映するイベントだ。 主催は、HEAPS.株式会社が運営する本メディア「Be inspired!」。 当日は、ゲストを招いたトークショー、食べると棄てるを考えるドキュメンタリー映画『TASTE THE WASTE(もったいない!)』の上映が行われた。 場所は、NEWoMan新宿6階ガーデン「The CAMPus」。 大都会新宿で、いま海外でも話題のルーフトップシネマが実現した。 また、来場者には先着順でTokyo Cork ProjectとHEAPSのコラボレーションによって生まれたイベント限定コースター、マルチクリエイターのaimi odawara氏による特別描き下ろしステッカー(全2種)が配布された。 環境問題の最先端をゆくゲストたちによるトークショー(Photo by Daisuke Endo)映画上映前に、日本の社会から「もったいない」をなくすべく活動するゲストによるトークショーが行われた。 ■ゲストスピーカー岡 清夏さん(株式会社 ルミネ)会場の新宿NEWoManを運営する株式会社 ルミネからは、岡さんがゲストスピーカーとしてお話をしてくれた。 ルミネでは、2011年から環境について考えて行動する「choroko(チョロコ)」プロジェクトが開始された。 スワヒリ語で「枝豆」の意味を持つ「choroko」プロジェクトには、環境問題に対する意識を芽生えさせ、育ててゆくという願いが込められている。 現在、ルミネでは細かなゴミ分別を行っているという。 ■ゲストスピーカー 北村 真吾さん(株式会社 GOOD DEAL COMPANY)今回ゲストスピーカーを務めてくれた株式会社 GOOD DEAL COMPANY代表の北村真吾さん。 株式会社 GOOD DEAL COMPANYでは、Tokyo Cork Projectという、ワインボトルに使われるコルクを収集し、資源として再び利用できるようにするプロジェクトを行っている。 東京で消費されるワインボトルは、年間約1億2000万本分にもなるという。 また、コルクの素材のコルク樫は日本で育つことができない。 Tokyo Cork Projectは、東京でコルクをつくりだすたったひとつの方法なのだそう。 現在、プロジェクトに賛同する店舗は650にも及ぶ。 ■モデレーター井本 喜久さん(COZ株式会社)モデレーターを務めてくれたCOZ株式会社代表取締役の井本さん。 COZ株式会社では、「次世代のPEACE」に繋がるような「オモシロイ」アクションを日々創り出している。 今回会場となったNEWoMan新宿「The CAMPus」のブランディング・プロデュース、クリエイティブデザイン・プロデュース、コミュニケーション・プロデュースも手がけている(詳細は、こちら)。 トークショーでは、「NEWoMan新宿でTokyo Cork Projectの取り組みを開始したい!」との会話も登場し、今回のイベントがきっかけでゲスト同士のコラボレーションが生まれたことは大きな成果と言えるだろう。 フード・ウェイストの裏側※動画が見られない方は
2016年10月03日(Photo by madoka)皆さん、こんにちは! ハッシュタグ・アクティビズムを紹介する連載企画の第3回目です。 さて、突然ですが皆さんは“中絶”という言葉を聞いてどんなイメージを受けますか? 人工妊娠中絶(以下中絶)といえば、ティーンエージャーが妊娠し「自分にはまだ育てる能力がない」と判断して選択するものだと考える人が多いのではないでしょうか? (Photo by Shout Your Abortion)意外なことだと思う人も多いかもしれませんが、日本では40歳以上で中絶する人の割合は若い世代より多く、46-49歳では妊娠した人の半数が中絶しているというデータがあります。 これは高齢出産には高いリスクがあるからでしょう。 イギリスにも同じような傾向があり、40代以上の半数以上が中絶を選んでいます。 それからアメリカで「映画の黄金時代」と呼ばれていた20世紀前半〜中頃の有名女優たちの多くも実は中絶手術を受けていました。 このように、実際には多くの人が中絶を選んできているのです。 それぞれの置かれていた状況はさまざまですが、中絶を「個人の選択」として選んでいる人は少なくありません!(Photo by madoka)そこで注目したいのがアメリカで広まった、とあるハッシュタグです。 #ShoutYourAbortionといい、直訳すれば「あなたの中絶を叫べ」となります。 これは負のイメージがつきまといタブーだと考えられている中絶について、自らの経験を語り「汚名返上」するために用いられたハッシュタグなのです! 始めたのは、2人のアメリカ人作家リンディー・ウェストとアミリア・バノー。(Photo by LA Times)<左からリンディー、アミリア> 彼女たちが立ち上がったきっかけは、プランド・ペアレントフッドという避妊のサポートや妊婦のヘルスチェックなどを行なう非営利団体に対して中絶に反対する人たち(主にキリスト教団体)が政府からの助成金を受けられないよう働きかけていたことです。 これを受けて「中絶の自由」を訴えるデモもアメリカをはじめ、イギリスでも起きています。(Photo by Bored Panda)<私が中絶したのは2010年・それから築いたキャリアに満足している・今いる子どもに対してもより良いケアができていると思う> 彼女たちの試みに賛同した人たちの#ShoutYourAbortion投稿もSNS上に溢れ、経験談の共有に対しての感謝の気持ちを綴る人もいました。(Photo by Bored Panda)<私は18歳のときに中絶した、そして2つの学位を取得して人生に満足している。私の状況では正しい判断だったと思う> (Photo by Bored Panda)<その子どもが歩むのに値する人生を送らせることはできなかっただろう。そして私も自分のなりたいような母親になることはできなかっただろう> (Photo by Bored Panda)<#ShoutYourAbortionはとてもとても重要。みんな、シェアしてくれてありがとう> アメリカでは、州によっては規制があって中絶が権利として認められていない場合があります。 ノースダコタ州では2013年に中絶禁止法が成立しました。 保守派とリベラル派の対立以上に宗教・道徳的な観念が絡んだ問題であるため、簡単には状況を変えられないというのが現状です。 そんななかで中絶の経験を公に話すということは、力強いアクティビズムなのです! 中絶に対する意見はさまざまだと思いますが、「自分の人生の選択」として子どもを産まず中絶することを選んでいる人々が多くいます。 皆さんはどう思うでしょうか? 次回の連載をお楽しみに! via. The New York Times, The Guardian, Broady. この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会②|#YouAintNoMuslimBruv” 皆さん、こんにちは!今日は前回とはずいぶん毛色の違うハッシュタグ・アクティビズムを紹介しますよ。アメリカのニュージャージー州やニューヨーク州で手製の爆弾を仕... ーBe inspired!
2016年10月01日社会的にNGな言葉ばかりを集めて「これ言っちゃダメでしょ」辞典を作ろう!と始めた【Politically Incorrect Dictionary】。 3ページ目です。 社会的にNGといいますと、政治的、宗教的、歴史的、そして経済的な背景を考慮しないで、他人に不適切な発言をしてしまったり、行動をしてしまったりすることを意味します。 “Politically Incorrect”の詳しい説明はこちら。 これは毎度書かせていただきますが… 毎週の提案が絶対的な事実で、正しいというわけではありません。 あくまでもひとつの見方です。 むしろ、「その考え方違うんじゃない?」という意見大歓迎です。 なので、これをきっかけに今まで知らなかったことを知っていただいたり、考えてみなかったことを考えたり、周りと話し合って、それぞれの答えを見つけていただけたら幸いです。 それでは今週の一言。 p.3 じょし-りょく【女子力】 1 居酒屋で1番にサラダを取り分ける女子。 2 ハンカチとバンドエイドをポーチの中に常備している女子。 いつもみんなにサラダを取り分けてくれる人、手が濡れてるところにハンカチを差し出してくれる人、怪我した時にバンドエイドをくれる人、ありがとうございます。 感謝しています。 もちろんそれ自体が悪いことなはずがありません。 問題は、なぜこれが“女子”の“力”と呼ばれているのか。 サラダを取り分ける=家事的仕事=女の仕事。 この式が存在しているとは思いませんか? (ハンカチ、バンドエイドに関してはわかりませんが…「ママ」っぽいから?) 日本の家父長制度の歴史は長く、男女の役割分担が社会の中で育まれてきたという事実は誰も否定できません。 しかし、26年度の内閣府が行った世論調査によると、「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方について,賛成派が44.6%、反対派が49.9%となりました。 接戦ですが、反対派が勝っています。 年齢別に見ると、賛成派は70歳以上が多く、反対派は20代+50代が多いそうです。 反対派はミレニアルズ+その親世代どいうことでしょうか。 これまで育んできた歴史も今の私たちがいる大事な要因ではありますが、男女で役割を分けるのはフェアではないと思いませんか。 人種もセクシュアリティもそうですが、人に自分のことを勝手に決めつけられるは人間いい気がしませんし、ましてやそれに合わせて行動を期待されるなんて心の重荷です。 男の子だって、本当は戦いごっこが好きじゃないのに「男の子だから」ってお絵描きの代わりに戦いごっこチームに入れられたら楽しくないと思います。もう「女子力が高い」という言葉を使うのはやめましょう。 私たち、ミレニアルズ世代。 もう「男」と「女」というくくりで他人に一定の役割を演じることを期待するのはやめませんか。 (そもそもジェンダーの二分化自体怪しいコンセプトです。それについてはまた今度。) ちなみに、過去にBe inspiredで「女子力」について詳しい記事が掲載されていますので、興味のある方はこちら。 みなさんはどう思いますか? 今まで通りがいいですか、それとも変革を求めますか? 今週はここまで。それでは、来週もお楽しみに! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!【Politically Incorrect Dictionary】p.2 「太った〜?」&「痩せた〜?」 みなさんは“Politically Incorrect”というコンセプトをご存知ですか?これは、「社会的にNG」な言動のことを指します。“Pol... ーBe inspired!
2016年09月30日(Photo by Miki Yamato Photography)ヘンタイの皆さん、ヘンタイに興味のあるノーマルの皆さん、ごきげんよう。ブランドリームス代表/コピーライターの菅原瑞穂です。(※彼女が何者なのか知りたい方はこちら) 前回は「まつ毛は本当に“多くて長くて太い”方が幸せなのでしょうか?」と題し、フサフサまつ毛を偏重する世の中に苦言を呈しました。今回は「毛の話 ~男性編~」として、頭皮に生える毛の多寡について、つまり「ハゲ」や「薄毛」や「AGA」とか呼ばれる状態にフォーカスし、「ハゲた殿方を“そんなことないですよ”等と慰める行為は優しさなのか?」という新たな問題提起をしたいと思います。 まずは千葉県でいちばん顔が大きな友人の話をお聞きください。(Photo by Miki Yamato Photography)わたくしの愛すべき友人である、千葉県でいちばん顔の大きな男の話をいたしましょう。 小さいながら工場を営む経営者でもあるN君。夫として父として妻や子を愛し、社員のことも家族同様に大切に扱い、勉強熱心で何ごとにも真摯に取り組む彼は、嫌うのが難しいほどの好人物です。 わたくしがとあるパーティでN君に会ったのは5年ほど前、東日本大震災から数ヶ月過ぎた夏の日のことでした。当時既にN君は、周囲の同業者から「顔が大きいひと」として広く認知されておりました。誰もが気軽にN君の顔面積の大きさについて話題にし、N君自身もそれをネタに笑いを取る。そこには気まずさも悲壮感もなく、幸せな笑いだけがありました。 初対面から程なく、N君の「顔の大きさ」がオープンになった経緯を聞く機会がありました。かつてはN君も周囲の人々も、N君の顔の大きさに言及するのは避けていたそうです。周囲はN君に対し終始気を遣い、N君は気遣いを感じ取って居心地の悪さを感じる。そんなよくある状況を一変したのが、同業の工場経営者A氏との出会いだったそうです。初対面の場で、A氏はN君に向かって「お前の顔めっちゃでかいな!」と言い放ったそうです。 「顔でかい」と面と向かって言われた瞬間、N君が感じたのは羞恥でも怒りでもなく、“開放感”だったそうです。「Aさんに思いっきり『顔でかい』って言われたときから、僕は楽になったんだ!」とN君は当時を振り返ります。A氏の「顔でかいな」発言が優しさゆえのものなのか、あるいは単に思ったことを口に出す性格ゆえか、わたくしには分かりません(後者である気はしますが)。A氏の意図はどうあれ、その一言はN君を何かから開放し、今日も彼はSNS上で清々しく顔の大きさをネタにしています。 本人の名誉のために書きますが、N君は決して“罵られて喜ぶ”タイプではありません(たぶん)。人並み外れて繊細な彼にとって、周囲の気遣いこそが小さな痛みの種だったのでしょう。小さい痛みでも、日常的に痛みを感じる生活は楽ではない。その痛みから、そして痛みを我慢し続ける自分自身からもN君を開放したのが、A氏の「顔でかいな!」発言でした。 善人ヅラした悪意のフレーズ「そんなことないですよ」言葉で生計を立てているわたくしは、いくつかの言葉を“死んでも使うまい”と心に決めています。その1つが「そんなことないですよ」。憎んでいると言ってもよく、このフレーズを多用する人間のことも大概は嫌いです。「嘘つき!」「偽善者!」と思ってしまうのです。 何故わたくしが「そんなことないですよ」を憎むのか。それはこのフレーズには愛がないからです。他人を傷つけまいとこの言葉を発する人は、往々にしてこの言葉で相手をチクチクと傷つけます。善人ヅラした悪意。それが「そんなことないですよ」の本質だとわたくしは思っています。 例えば、職場の隣の席に頭髪薄めの殿方が座ってらっしゃるとします。“薄いかどうか微妙”とか“雨に濡れた時だけ薄く見える”レベルではなく、誰がどの方向から見ても薄いレベル。その方からある日突然、「最近薄くなってきちゃって」と話しかけられたら、あなたはどうしますか?「そんなことないですよ」と否定してあげれば、その方は「そっか。俺そんなに薄くないのか!」とハッピーになると思われますか?「そんなことないですよ」などという薄っぺらいフォローのお陰で頭髪が増えたりするのでしょうか? 「そんなに薄くないですよ」と言われて「そうかな?」と思うハゲはこの世にいません。(Photo by WedlockPictures)わたくしが知る限り、殿方が自ら自身のコンプレックスについて語り出すときは、それを否定して欲しいときではなく、肯定して欲しい時です(女性に関しては否定して欲しいコンプレックスについて自ら語りだすめんどくさい方も多くいらっしゃいますが)。 殿方は、基本的にいくつになっても中学2年生。彼らは、褒めて欲しい時に自ら自分をけなすような回りくどいことは滅多にしません(褒めて欲しい時、彼らは分かりやすく“自慢”するので)。仕事の上での失敗など、クリティカルではない話題に関しては「大丈夫だよ」とか「そんなことないよ」等の軽い否定を求めていることも多いですが、こと身体的な特徴に関するコンプレックスについては、否定ではなく肯定して欲しい時にしかまず口に出しません。 ですから、例えば頭髪薄めの殿方が「僕ってハゲてるからさ」とか「最近薄くなってきちゃって」等と言いだしたとき、その事実を否定する気遣いは必要ありません。「そんなに薄くないですよ」「えっ!そうですか?」「全然気づかなかったです!」等。優しさや気遣いでできているはずのその言葉は、刃となって殿方のハート(と頭皮)に突き刺さります。残り少ない貴重な頭髪の100本や200本は消し去ることのできる威力をもって。 断言します。ハゲた殿方に対する「そんなに薄くないですよ」等の無意味な慰めほど愛のない残酷な行為をわたくしは知りません。言われた人をチクリと傷つけ、場の空気を凍らせ、毛根に回復し得ないダメージを与えるのです。 ドS以外の方も使える魔法の言葉「なにかあったの?」(Photo by martaposemuckel)頭髪薄めの殿方が「僕ってハゲてるからさ」等と言いだした場合の100点満点の返しは「なにかあったの?」です。くどいようですが「そんなことないよ」等はいけません。ダイレクトに「なにかあったの?」と返しづらい場合(大勢の飲み会でワイワイ盛り上がってる時に突然言われた等)は、「ハゲ…てないこともないし、否定はしないけど…なにかあった?」等、場の雰囲気に合わせたクッション言葉を適宜挟んだ上で「なにかあったの?」と聞いてあげましょう。 その後のコミュニケーションは、お互いの関係性(恋人、友人、上司、等)によって変わってくるはずですが、意識すべきことは共通しています。第一にハゲを否定しないこと。「そんなにハゲてないですよ!」という言葉自体が「ハゲ=かっこ悪い」という前提条件に基づくのだと心得ましょう。第二に聞き役に徹すること。あなたが男性の場合はなにかしらの解決策を提示したくなるでしょうが、それは話を聞き終えてからすれば良いこと。聞き役に慣れていない男性は「俺だっていつかハゲます。他人事ではないですよ」と伝えラ・ポールを築きましょう。 既にお気づきかもしれませんが、「なにかあったの?」はハゲ以外のコンプレックスにも効く万能のセリフです。「僕なんて太ってるし」「僕ってブサイクだし」「僕って背が低いし」等々。身体的特徴に関するネガティブな発言が殿方から発せられたら、すかさず「なにかあったんですか?」と返して差し上げましょう。 自分の、そして他人のコンプレックスを肯定せよ(Photo by Miki Yamato Photography)余談ですがわたくしが「僕ってハゲてるからさ」等と言われた場合、まずは「見ればわかるけど、なんなの?」と返します。「僕なんて太ってるし」「僕ってブサイクだし」に対しても同様に「見ればわかるけど、なんなの?」です。「僕って背が低いし」に対しては「わたくし背が低い人のほうが好き」と伝えるかもしれません(事実そうなので)。お相手がMっぽい場合は、「うん、知ってる。ハゲ(デブ、ブサイク、チビ)って罵ってあげようか?」と返して反応を見ます。 「罵ってあげようか?」に対し、肯定的な反応が返ってきた場合はいわゆる「言葉攻め」フェーズに移行します。「言葉攻め」は単に悪口を連ねる行為だと誤解されがちですが、わたくしは「言葉攻め」を、相手のコンプレックスを肯定した上で相手を罵る行為、だと考えています。コンプレックスの「否定」ではなく「肯定」に基づく点で、単なる悪口や罵詈雑言とは本質的に異なるのです。 誰もがコンプレックスを持っています。家柄、学歴、仕事、恋愛、結婚。すべてにおいて満たされた人生を歩んでいるように見える人にも、コンプレックスは必ずあります。誰もが持つコンプレックスを否定し続けるか、肯定した上で努力できるかで、人生の道筋は大きく変わるとわたくしは考えています。そして、コンプレックスを自分以外の他者に否定されるか肯定してもらえるかによっても、私たちの人生は大きく変わります。 「あなたハゲてきたからカツラかぶってよ!」という恋人と、「ハゲてきたけどやっぱりあなたが好き」という(あるいはハゲをネタにいじってくれる)恋人。あなたならどちらと一緒にいたいですか? 迂遠な話に聞こえるかもしれませんが、一人ひとりが自分のコンプレックスを認め、そして他人のコンプレックスをも受け入れられるような社会とは、すなわちどんな差別も存在しない社会なのではないでしょうか? 株式会社ブランドリームス 代表取締役/コピーライター菅原 瑞穂氏(Photo by Miki Yamato Photography)2010年に社会貢献ビジネス専門のブランディングエージェンシー「ブランドリームス」を設立。 2014年以降はエシカル、マイノリティ支援、動物愛護、地域活性化に特化して、ロックでセクシーなコンセプトを掲げた社会改革に従事している。 現在は、「SMにエシカルを。エシカルにSMを」コンセプトに『To the loveless.(愛を失くした人たちへ)』というREBELでCRAZYでSEXYな社会変革プロジェクト立ち上げ活動中。 過去のインタビュー記事はこちらから。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!まつ毛は本当に“多くて長くて太い”方が幸せなのでしょうか?|【連載2】ドSクリエーター菅原の「To the loveless.(愛を失くした人たちへ)」 ヘンタイの皆さん、ヘンタイに興味のあるノーマルの皆さん、ごきげんよう。ブランドリームス代表/コピーライターの菅原瑞穂です。(※彼女が何者なのか知りたい方はこちら) ... ーBe inspired!
2016年09月30日(Photo by Hwellrich / Adapted.)「レジ袋はご利用ですか?」 そう聞かれて無意識に頷いた経験はないだろうか。 当たり前となっているその光景、実は世界では「あり得ない」ことなのだ。 世界には、そんな「あり得ない」日本の日常に切り込む企業がある。 過剰包装大国「日本」(Photo by John Mahoney)2013年に行われた東京オリンピック招致の際、滝川クリステルのスピーチで話題になった「おもてなし」という言葉。 このような言葉からもわかるように、日本には相手を気遣う文化が根付いている。 しかし海外から日本にやってきた人々の多くが、とある気遣いに「やりすぎ」だと呆れてしまうことがあるのはご存知だろうか? それは「包む」気遣いだ。 例えば土産物のお菓子。 箱には綺麗な包装紙がかけられ、開けると板で仕切られた中に一つ一つ小分けに包まれたお菓子が入っている。 人に配る際には便利だが、肝心なお菓子そのものにありつくまでの開封作業が面倒だ。 テイクアウトの食べ物やコンビニでの買い物でも似たような現象がある。 ビニール袋に包んたパンをさらに手提げ袋に入れてもらったり、「ペットボトル1本」、「ガム1個」だけでもレジ袋に入れて渡されたりする。 日本で暮らしていると当たり前、むしろそうしてくれないことは不親切だと思ってしまうようなことが、実は海外では「あり得ない」のである。 パタゴニアが挑むデポジット制買い物袋とは(Photo by ROBERT ALEXANDE)アウトドア用のスポーツウェアなどを販売するパタゴニアでは、2009年からショップ袋のデポジット制を導入した。 これは、1枚100円でレジ袋を販売し、使用後にその袋を店頭に返却すれば、支払った100円が返金されるというシステム。 マイバック持参を基本としつつ、カスタマーがマイバックを持っていない場合への対処としてこの制度を取り入れている。 デポジット制に使用される袋は、流通段階で使われた梱包材などからできた100%再生原料で作られ、カスタマーからの返却後も再びリサイクルされるそう。 パタゴニアはこの制度を導入することで、必要なサービスを満たしつつ、レジ袋の使用量削減と資源の再生循環を実現させることに成功した。 LUSHにとってパッケージは「くだらないもの」?(Photo by Oscar Hanzely)化粧品の開発・製造段階で安全性チェックのために行われる動物実験に反対していることでも有名なコスメブランドLUSH。 創設者マーク・コンスタンティンの「パッケージはくだらないもの。これまで消費者はあまりにも長い間、過剰なパッケージに苦しんできた」という言葉のもと、パッケージレスでの販売に積極的に取り組んでいる。 パッケージレスでのプロダクト販売を可能にしているのは、シャンプーバー・バスボム・マッサージバーといった固形アイテムの開発だ。 これらの固形アイテムを採用・開発することによって、LUSHは液体の場合に必要なプラスチック容器の大幅な削減に成功した。 また、固形プロダクトを採用したことによって保存料の使用を避け、様々な優れた原料を用いて品質を高めることを可能としている。 「拒むこと」で世界は変わる(Photo by Samantha Evans Photography)4Rという有名な文言がある。リユース(Reuse)、リデュース(Reduce)、リサイクル(Recycle)、そしてリフューズ(Refuse)だ。4つ目のリフューズには「拒む、拒絶する」といった意味がある。 一時期これらの言葉が流布したことがあったが、どれほどの人が今もこれを実践できているだろうか。 日常で無意識に消費してしまっている「くだらない」パッケージ。 あまりにも生活に溶け込んでしまったこの問題をわれわれ消費者が切り崩すための第一歩は「袋、いりません」の一言なのかもしれない。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!【リサイクルは時代遅れ】トレンドワード、「ゼロ・ウェイスト」って何? ゼロ・ウェイスト。つまり、ゴミをださない。リサイクルをするのではなく、「そもそもゴミを出さない」というこの考え方。実は今、そんな「ゼロ・ウェイスト宣言」... ーBe inspired!Texted by Yuki Saegusa
2016年09月29日(Photo by Reo Takahashi)LGBTQアクティビスト。 シリアへの留学経験者。 自らの苗字の改名者。 そして、若干26歳して企業の副社長。 そんな彼女の名前はアーヤ藍(あーや あい)さん。 「自分らしくいること」を徹底的に追求する女性だ。 今回、Be inspired!ではアーヤさんの人生、信念、そして彼女が副社長を務める会社での「映画を通じた社会問題の解決」への挑戦についてお話を伺った。 「社会にいるのはいいけれど、身近にいたら困る」が日本のLGBTQへの態度。(Photo by Reo Takahashi)アーヤさんはLGBTQアクティビスト。 自身のセクシュアリティは「Questioning(クエスチョニング)」と呼ばれるものだと教えてくれた。 「Questioning(クエスチョニング)」とはLGBTQの「Q」の部分に一般的に値するQueer(クイア)に追加して、最近認識し始められたカテゴリー。 その名の通り、自分のセクシュアリティが「?」な人たちの事だ。 アーヤさんが自分のセクシュアリティに悩んだのは、はじめてお付き合いした男性のことが好きだったにも関わらず、セックスに気が進まなかったからだそうだ。 その人と相性が悪かったのか、男性が嫌なのか、セックスが嫌なのか…「?」だった。 セクシュアリティはその「?」の答えによって、ストレート(異性愛者)か、レズビアンか、ノンセクシュアルか…など、変わってくる。 そこで彼女は「選ばない」ことを選んだ。 セクシュアリティは、人のアイデンティティの一部でしかない。 もし魅力的だと思う人に出会えたのであれば、その人が男性なのか、女性なのか、トランスジェンダーの人なのか…は、そこまで重要なポイントではないし、自分自身のことも、「女性だから」好きなのではなく、一人の人間として、好きになってもらいたいとアーヤさんは考える。 「それに、自分のセクシュアリティと向き合うことは、自分と向き合うこと。悩み続けること(Questioning)は、自分と向き合いつづけることだから、それでいいかなって」 一生続くかもしれない自身との戦いの覚悟を、彼女はほんわかとした口調で何気なく言った。 先進国の中ではLGBTQへの理解が低いことで世界でも有名な日本。 LGBTQ当事者としてはそんな国で暮らす事をどう感じているのだろうか。 「別にすごく差別的なことをされたりとか、嫌な思いをしたことって、私自身はそんなにないんですけど、既成概念に縛られているなっていうのはすごく感じます。自分のセクシュアリティーをオープンにしていても『”彼氏”できた?』って聞かれたり、みんな悪気はないけれど、深く考えずに言っちゃう言葉ってあるかもしれませんね」 アーヤさんによると、昨年NHKが行った世論調査では同性婚を認めるべきかという質問に対して、過半数は賛成。 それにも関わらず身近にいたら「抵抗がある」と感じると答えた人も過半数いるそうだ。 「社会に存在しているのはいいけれど身近にいたら困る、が日本のスタイルなのかもしれません」 そうアーヤさんは冷静に語る。(Photo by Reo Takahashi) アラビア語で「奇跡」を意味する「アーヤ」。(Photo by Reo Takahashi)ところで「アーヤ」という苗字、珍しいと思った方もいるかもしれないが、実はこれは彼女が選んで改名したもの。 大学在学中にシリアに短期留学していた時につけてもらった名前だそうだ。 意味はアラビア語で「奇跡」。 大学入学までずっと家族中心の人生を送ってきた彼女にとって、入学して直後に両親が別居し、家族がバラバラになったことのショックは大きく、その後も続く家族関係の問題に、生き続けることをを悩むほど苦しんだ時期があったそうだ。 そこで彼女は、家族からの”独立”を決意する。 ずっと違和感を感じていた、家族への縛りでもあった苗字と別れを告げたのだ。 「自分自身になれたような気がするし、呼ばれて、本当に『あぁ自分が呼ばれてる』って感じがしました。新しい人生が始まったような気がしましたね」 改名後の心境を聞くと彼女は笑顔でこう答えた。(Photo by Ai Ayah)今「シリア」と聞くと、みなさんの頭には何が思い浮かぶだろうか? ニュースから流れてくるのは、紛争、テロ、負傷した一般人…と悲劇的なものばかり。 アーヤさんがシリアを訪れた時は内戦が始まる前だった。 「シリアって元々すごく世界遺産が多いところなので、実際に行ってみると、とても綺麗だし、歴史が感じられる国なんです。人がとっても暖かくて、市場のことを『スーク』っていうんですが、そのスークを歩いてるだけでもコーヒーを飲んでけって誘われたりとか。丁度行ってた時に、日本で東日本大震災が起きたので、全く知らないおじちゃんに道で『日本のために祈っているぞ』って言われたこともありました…。本当に暖かい街でしたね」 シリアで過ごした時間について尋ねると、アーヤさんは微笑みながらそう言った。 中東に対しては、日本や欧米では偏った報道が多く、「イスラム教」に対して世界中でネガティブなイメージが浸透しているように思われる今日。 アーヤさんのように実際に自分でその宗教に、そして文化に触れた人の意見は貴重である。 「宗教っていうのが生活に根ざしているのをとても感じました。日本における、『親を大事にしましょう』『人を殺してはいけません』とか、当たり前のように根付いている倫理観っていうのが、あくまでイスラム教徒の場合は本に書かれているだけで特別なことではないのかなって。逆に神様っていう存在があるから謙虚さをもっていたり内戦状態にあっても希望を持って生き続けられている人たちが多いような気がして。私の友達で難民状態になっちゃった子たちも、なんか本当に悲惨な思いをたくさんしてるんだろうなって思うんですけど、実際にメッセージとかでやりとりをすると、誰かのせいにしたりとか文句を言うってことを全然しない。ひたすら平和になって欲しいっていうことしか言わないんです。それって神様の存在は大きい気がしましたね」 この留学の経験やその中で育まれたシリアへの愛がアーヤさんを今の仕事へと導いた。 「シリアから戻ってきた時はまだ大学3年生ぐらいで、その後まもなく内戦状態になりました。自分が訪れていた思い出の場所が破壊されたり、つい最近まで一緒に笑いながらしゃべっていた友達が難民状態になったりっていうのを実際に経験して、何かしなきゃいけない、何かしたいって思いを持ちました」 そんな時、彼女が現在働いている会社UNITED PEOPLEが関わっている映画『ザ・デイ・アフター・ピース』に出会ったそうだ。 「映画はあくまで、議論をしたりとか、考えるきっかけになる材料になればいい」(Photo by India Wilds)『ザ・デイ・アフター・ピース』を見て、人生が変わったと言うアーヤさん。 この映画は365日の中から1日だけでも世界中が戦いをやめる日(ピースデー)を作ろうと試みた英国人俳優ジェレミー・ギリの約10年間の活動に迫るドキュメンタリーである。 彼女はこの映画を観た時にこれを広めることが、間接的ではあるものの、シリアのためになると強く思ったそうだ。 戦いが長引けば長引くほど、人々の関心は低下してしまう。 でも、世界中で平和を目指そうとするこの「ピースデー」の認知度が高まれば、この日に戦いが続いている場所に世界の注目と監視の目が強まる。 「家族の問題を引きずっていたこともあって、大学を卒業した頃からずっと、前に突き進もうってパワーが出てくるようなものがあんまりなくて、ひとまず目の前にある選択肢をやってるという感じだったのが、この映画を見終えた瞬間に『あぁ、これを伝えなくちゃ、広げなくちゃ』っていう思いにとても駆り立てられました。そしてこの映画の上映会を自分でやり始めたことで、自分が心から伝えたいと思うことを発信することの大切さや、自分がやりたいと思うことに挑んでいくことの楽しさにも気付けて…。この映画を通じて、素敵なご縁もたくさんもらえましたしね」 その後、UNITED PEOPLEが求人しているのを知り、転職。 現在副社長を務める。 そんなアーヤさんは「映画」という媒体の「共感を生む力」を信じているのだ。 「自分が実際に出会えて話を聞ける範囲や行ける国っていうのは限りがあるから、映画を通して旅に出られる、自分の知らない世界や人に出会える、っていうのはすごく意味があるなって。さらにドキュメンタリーは、これはリアルなんだ、実際に存在している人なんだって思うから、受けるインパクトはもっと強いと思うんです」 彼女の目標は映画を知ってもらうところに止まらない。 「願わくば、出会った人たちで一緒に課題解決のアクションをできればいいなって。特に今はあらゆるところで手軽に映画を見られるようになって、前に比べて”消費”が簡単にできるようになった。だからただただ消費するんじゃなくて、映画を使って発信する人が増えればいいなって」(Photo by Reo Takahashi)「自分らしくいる」を追求するアーヤさん。 そんな彼女の思いは自身にとどまらず、世界中の人に向けられている。 世界の「目を向けられていない人」にスポットライトを当てること。 そして、私たち一人ひとりが関心をもつこと。 それが最初の一歩であり、最も重要な一歩なのである。 アーヤ藍(あーやあい)ユナイテッドピープル株式会社 取締役副社長。大学在学中にアラブ・イスラムについて学び、研修でシリアに滞在。帰国直後に内戦状態となった同国のために何かしたいと思っていたなかで、ユナイテッドピープルに出会い、転職。映画を通じた社会問題の提起やメッセージ発信、また市民上映会による新しいコミュニティーづくりに取り組む。1万「いいね!」を誇る書評サイトHONZ.JPのレビュアーも務める。ウェブサイト: PEOPLE 「人と人をつないで世界の課題解決をする」をミッションに掲げる、映画買い付け・配給・宣伝事業会社。これまで『ザ・トゥルー・コスト』や『ジェンダー・マリアージュ』など、社会派の作品を数々配給。ウェブサイト:<取材・撮影場所> MiseLMA (住所:東京都新宿区新宿7-12-1 TEL:03-6273-8603)(Photo by Reo Takahashi) この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!【性別は無限大】「LGBTQ」の“Q”ってなに? 昨年、アメリカで同性婚が全州で合法化になり、日本では、東京都の渋谷区と世田谷区で、同性カップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ証明書」や「パートナーシップ宣誓... ーBe inspired!
2016年09月28日(Photo by GREAT BIG STORY)都会から田舎へ、田舎から限界集落へ、低地から中山間地域へ、そして国内から海外へ。 時代とともに、人々のライフスタイルは進化する。 ICTなどの情報革命や交通網のさらなる発達は、これまで以上に我々の生活圏を広げていくことだろう。 だが、次なる暮らしのスポットを「陸から沖合へ」という選択肢を持っている人は、まだまだ少数派ではないだろうか。 実はいま、世界の密かなトレンドとなりつつある、“水面の暮らし”。 人類は、ついに住み慣れた土地を手放し、沖へと生活の基盤を移すのか。 そんな近い将来に起こりうるムーブメントを、四半世紀も前から先取りし、自分たちのほしい未来を手に入れた人たちがいる。 浮遊する島!?現る(Photo by GREAT BIG STORY)試行錯誤を繰り返しながらも、今なお進化を遂げる、湖に浮かぶ人工アイランド。 彼らはそれを「Freedom Cove(自由の隠れ場所)」と呼ぶ。 “浮遊する住居島”として、にわかに注目を集めている。 今から遡ること25年前の1991年の夏。 二人のカナダ人夫婦によって、この取り組みはスタートした。 キャサリン・キングとウェイン・アダムスが自分たちの新しい生活の拠点として選んだ先は、カナダ・バンクーバー島の太平洋側に位置するクラークワットサウンドの人里離れた湖畔。 「アーティストとして活動していきつつも、ほしい暮らしを手に入れるには、必要最低限のものを自分たちの手でつくることが最善の方法だった」と当時のようすをウェインは語る。 生粋のアーティストとして、常識にとらわれない自由な居住空間で表現活動を続ける二人。 今につながる暮らしへのエンジンは、クリエイティブへの変わらぬ“情熱”と、「なければ、つくる」というアーティストならではのシンプルな“哲学”だった。 オフグリッドとオフショア(Photo by Michael Stolz)ターコイズブルーとマゼンタ色に彩られたその空間には、二人のクラフトマンシップと自然の恵みを最大限に活かすための、こだわりと工夫が凝縮されている。 敷地内には、二階建ての母屋をはじめ、野菜や果物を育てるビニールハウスが4棟とフラワーガーデンが数面、アートギャラリーやダンスフロアー、灯台からカヌーの船着き場までが規則的に配置されている。 電力会社の送電網に頼らないオフグリッド(ソーラーパネル設置による電力自給など)はもちろん、飲料水などは近くを流れる滝や雨水を利用している。 水面が穏やかな日にはカヌーで、天候の悪い日には床に設けられた小窓から釣りを楽しむのはウェイン。 野菜や果物の収穫は、キャサリンの日課。 湖で獲れる活きた魚や採れたて野菜が食卓を飾る、ほぼ自給自足の生活。 錨は降ろしていないため、常に浮遊するオフショア(沖合)物件。 陸地との接点はといえば、数本のロープのみ。 一番近くの町には、カヌーを漕いで45分ほど。 「交通渋滞などを気にしなくてよい水上は、最高のハイウェイ(高速道路)だよ」とウェインは興奮気味に話す。 「今では、ここ以外の暮らしは考えられない」と笑顔で話すのは、キャサリン。 常識に縛られない暮らしの選択肢を(Photo by Jim & Claire)日本でも、都市部における人口増加や不動産価格の高騰は、依然として続く。 地方に目を転じれば、空き家問題はなかなか解消されない。 所有によって細分化された土地は、相続者が見つからず、放棄されたまま…。 「住」の問題は、地方も都市も根深い。 そうこうしているあいだにも、一部の生活者のあいだでは、自給自足やDIY、パーマカルチャーといった、持続可能な暮らしへのシフトチェンジが活発になってきた。 「住まいの選択先が陸から沖へと移行していく条件は十分に整った」と、住宅業界の専門家は話す。 オフショア物件の特徴は、暮らしの変化に応じて素早くかつ容易にその姿かたちを変えられる、柔軟性と適応力にある。 なによりも、25年におよぶ彼らの取り組みは、サステイナブルそのもの。 なにも、住み慣れた土地を捨てて、沖合へと生活の拠点を移すことを勧めているわけではない。 価値観やライフスタイルは人それぞれ。 それでも、限られた資源や土地を手に入れることに労力を費やすよりも、自分たちの身の丈にあったサイズの暮らしをつくることに意識の矛先を向けてみる。 常識にとらわれず、視野を広げてみれば、選択肢の幅も広がっていくはずだ。 この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“都会の生活に疲れた人々が辿り着く「ある村」” 東京でのライフスタイルが好きか?満員電車に揺られながらの通勤、逃げても追いかけてくる時間や情報。朝から晩まで終わらないオフィスでの仕事。言葉を交わすこ... ーBe inspired!Texted by Kenji Takeuchi
2016年09月27日(Photo by Reo Takahashi)あらゆる生命がそうであるように、物事には始まりと終わりがあって、人間が作り出すものにも寿命というものがある。 多くのものは、生まれ落ちる時と同じくらい、死にゆく時にエネルギーを使う。 そこまでの過程の中で経験した、体験、思い入れ、後悔や反省を、喜びや、楽しさを詰め込んで。 でも、本当か嘘かはわからないけど、「ソニータイマー」と呼ばれた、設計された「死」もあるようだ。「トレンド」という言葉がある。 流行という名の下に、死へとプログラミングされ、その個体に詰め込まれたトレンド情報を消費しつくされて、人知れず「死」を迎えるものもある。 その後に残るものはただの情報が抜け落ちた、抜け殻であり、商品の形はしているが、商品価値の無いただの物体となって市場(あるいはクローゼットの中)を永遠と漂流する。 日本に流通する50億の洋服の行方(Photo by pixabay)どこかで誰かに聞いた話だけど、今現在、衣料品として一年間に流通している数量は「50億着」と言われているそうだ。 「50億!」 これを聞いて僕らは躊躇してしまった。 日本の総人口が約1億4000万人。 大体一人当たり36着購買しないと消費しきれない数字。 もしこれが義務ならば、老若男女、もしお子さんが生まれる予定がある方なら、お腹の子供にも36着を購入しなければ消費しきれない。 でも、幸い義務ではないので、それを消費する必要はない。 とすると、それらは一体どこに行っているのだろうか? ものを生産して販売している僕らは、この話が本当ならば、 「もう新しく生産する必要なんて無いじゃないか!」 心からそう思ったのです。 とてもじゃないが持続可能性がない。 そして、その葛藤から、非常にシンプルな答えに行き着きました。 僕らのやりたい事。 それは、「必要なモノ(LIFE—SPEC)を必要な人に届けたい」 そんな想いはDEEPER’S WEARと一緒で、 その想いはそのままに、ちょっと違ったアプローチとして、 ”SECOND LIFE”を立ち上げました。 今の”常識”でモノゴトを見ると、洋服を購入する行為って、トレンドという”情報”を消費する行為です。 その”情報”の賞味期限が切れると、その洋服自体が持っている耐久性よりも早く、寿命が来てしまいます。(そのモノが持っていた価値やイミが喪失する) 製品それ自体はまだ着れますよね?でも着れない。(ダサいですからね。ちょっと前の洋服は) そういうものです。洋服って。(ちょっと虚しいですが…) SECOND LIFEというコンセプトは、すでに流通している衣料品を「僕らの製品ソース」「原料」として考え、それを僕らのフィルターを通して新しい価値が創れないか? これにチャレンジしていくプロジェクトです。 どういうことか?というと。※動画が見られない方はこちら 「あたりまえを、あたりまえにしない」(Photo by Facebook)これは、「既存の服(古着)にONE SWING」という僕らのLIFE—SPECの考え方を付加したシリーズです。 軍もののコートやM−65ワーク系の帽子ストール これらのものは元来、「体を保護するモノ」として生まれました。 人々の「必要」から生まれたものたち。 それらを、現代の技術を使い、LIFE—SPECのコンセプトを注入して「リコンセプト」したものが「SECOND LIFE」です。 簡単にいうと、見慣れたいつもの商品が撥水透湿になっています。 例えば、コートって雨風や寒気から身を守る為のもの。 それに撥水加工が施されれば、また、本来の機能として使えるものになるはず。 そのほかにも、、、(Photo by ALL YOURS)(Photo by ALL YOURS)こんな古着が着ている時の汗の臭いを取ってくれるようになっています。 また、僕の経験上、洋服を整理しようと思って手をつけると、大体残るものは、10年くらい着ているものが多く残ってしまう。 残るものって大体、「あの時着てたなぁ。」とか昔の感情を思い出してノスタルジーに浸ってしまうモノが多い。 洋服って、不思議なもので、情報が空になってトレンドから忘れ去られるのに、それを「思い出」とか「体験」で空になったところを埋めてしまうものがごく稀に存在する。 そんなものをまた着てみるモチベーションになると思うのです。 エコやエシカルというよりも、ただただ、シンプルに「必要」だと思ったから始めます。 僕らの理念、「あたりまえを、あたりまえにしない」にもバッチリ適合するしね。 これから、うまーく「新しい消費」が作れればいいなーと。 そんなことを考えています。 今のところ、ALL YOURS STOREのみの取り扱いです。 是非店頭で体感していただければ幸いです。〜お知らせ〜 現在ALL YOURSは、「LIFE—SPEC MEETING TOUR」と題して全国都市をツアー中です。 9/28(水)-10/2(日) 京都:MAGASINN KYOTO〒602-8126 京都府京都市上京区中書町685−1TEL: 075-202-747712:00-19:00 site: 金)-10/10(月) 名古屋:Circles 〒460-0012 愛知県名古屋市中区 千代田4-14-20TEL:052-331-323212:00-19:00 site: 金)-10/16(月) 広島:GRUMPY〒733-0822 広島県広島市西区庚午中1丁目18−32TEL:082-208-253512:00-19:00 site: 現在のラインナップと、秋冬商品の最新作の販売、2017春夏商品の展示を行います。 お近くのかた、ぜひお越しください! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!「おしゃれは我慢」という真っ赤なウソ。| 【連載1】ALL YOURS木村のLIFE-SPECの作り方 ずっとずっと昔、ヒトは猿のある種類から派生して進化したらしい。今いる、チンパンジーやゴリラとかと、ヒトの一番の違いは、「直立二足歩行」する事だって、ググってみると出... ーBe inspired!
2016年09月26日(Photo by madoka)皆さん、こんにちは! 今日は前回とはずいぶん毛色の違うハッシュタグ・アクティビズムを紹介しますよ。 アメリカのニュージャージー州やニューヨーク州で手製の爆弾を仕掛けて爆発させた容疑者が捕まりましたね。 彼はアフガニスタン出身の米国人で、パキスタンとアフガニスタンへの渡航歴があると報道されています。 こういったことがあると、テロとの関連がないか、とニュースがすぐさま騒ぐと思いませんか? これが続いていくと、どうなってしまうのでしょう? (Photo by Hoss Gifford)イスラム過激派組織ISISが起こしたテロ事件が世界で相次いでいます。 この組織は、「イスラム教」の名目で残虐行為を繰り返しているのです。 彼らの犯行は多いし、大々的に報道されていて目立ちますが、「イスラム教徒の容疑者が捕まりました。ISISと関連はあるでしょうか〜?」という報道が多いと、聞いている人がイスラム教を信仰する人や中東系の顔立ちの人をみんな“テロリスト”だと思い込むようになってしまうような気がしませんか?(Photo by Mo Farooq)<#YouAintNoMuslimBruv と叫んだ目撃者へ、彼は何百万人いるイギリス人を代弁し、その一瞬で直接真意を伝えたのだ> #YouAintNoMuslimBruvというハッシュタグ・アクティビズムがあります。 これのもととなったのは、昨年12月にロンドン北東部の地下鉄で起きた刺傷テロ事件の現場に居合わせた通行人が発した言葉です。 文字通りに読むと「お前はムスリム(イスラム教徒)だ」という意味になってしまいますが、これは階級の低い人の言葉使いで、否定する言葉を2回使うことで“否定”を意味しています。 例えば、日本語なら“お前はムスリムじゃなくない?”のようなイメージ。 つまり、「お前なんてムスリムじゃない」という意味です! 階級の低い人の言葉使いを用いたこのハッシュタグは、多かれ少なかれ皮肉の意味も込められているのでしょう。(Photo by The Day)<無罪の人々を襲撃するの?君は不名誉だし、イスラムは君を認めないよ #YouAintNoMuslimBruv><“お前はムスリムなんかじゃない。恥なだけだ。”通行人が過去10年を一言で言い表した。#YouAintNoMuslimBruv><#YouAintNoMuslimBruv このハッシュタグは、私がロンドンが好きな理由の一つだ> これら3つが最もトレンドとなった#YouAintNoMuslimBruvのツイートたち!(Photo by madoka)イスラム教を代表しているかのように装っているISISに向かって、それは本来のイスラム教徒とは違うと言っているこのツイート。 「イスラム教徒はテロを起こす人々ではない」ということを、人々に改めて伝えたということで意味があったのです。 そして、イスラム教徒といえば中東系の人々を思い浮かべるかもしれませんが、イスラム教徒がみんな中東系ではないし、中東系の人々がみんなイスラム教徒ではありません!(Photo by The Citizen)<#YouAintNoMuslimBruvー言葉の力。一文だけで過激派を追いやり、他の皆を団結できる。これが私たちの今の姿勢だ。素晴らしい> 多様な人種や宗教の人々が暮らすことで知られるイギリスのロンドン。 そんな都市で拡散された偏見によるヘイトやテロのどちらも許さない姿勢を見せ、嘲笑しているこのツイート。 こんなに的確に人々の思いを代弁した言葉はないと評価され、すごく「ロンドンらしい」と言われてツイッターではこのハッシュタグのツイートが多くつぶやかれました。 さらには、キャメロン首相もスピーチで引用し賞賛しています! 気になる方は下の動画をご覧ください。 ※動画が見られない方はこちら。 皆さんは、「アフガニスタン系の男が起こした事件にテロとの関係性がないか調査しています〜」「イスラム教徒の容疑者が捕まりました。ISISと関連はあるでしょうか〜?」というような報道を見ても、「やっぱり中東系の人やイスラム教徒はテロと関係している可能性が高いんだ」とは思わず、このハッシュタグ・アクティビズム#YouAintNoMuslimBruvを思い出してくださいね! ISISの犯行は目に付きますが、多くの人はそのような組織には関連していません。 それでは、次回の連載をお楽しみに! via. The Guardian, BBCニュース, Telegraph, CNN.com, The Citizen この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会①” 皆さん、こんにちは。ハッシュタグ・アクティビズムを紹介していく連載が始まりました〜。ハッシュタグ・アクティビズムとは、前回書いたような、SNS上で「#(ハッ... ーBe inspired!
2016年09月24日みなさんは“Politically Incorrect”というコンセプトをご存知ですか? これは、「社会的にNG」な言動のことを指します。 “Politically Incorrect”の詳しい説明はこちら。 毎週“Politically Incorrect”なコンセプトを増やし貯めていって、いつか辞書みたいになるといいな、という想いを込めて名付けたこのPolitically Incorrect Dictionary。 先週は【外人】の問題点について提示させていただきました。 毎週の提案が絶対的な事実で、正しいというわけではありません。 あくまでもひとつの見方です。 なので、これをきっかけに今まで知らなかったことを知っていただいたり、考えてみなかったことを考えたり、周りと話し合って、それぞれの答えを見つけていただけたら幸いです。 さて、それでは今週のテーマです。 p.2 「太った〜?」&「痩せた〜?」 ➡︎ 家族や知人・友人などの体重の変化が外見に現れている時に確認のために聞く質問。 そもそも、確認して誰の利益になるのでしょう。 たまに、「気づいてないかと思って〜」とかいう人もいますが自分のことなので、あなたに言われなくても誰よりも痛いほど分かっています。 NHKの調べによると、日本国内には2万人以上摂食障害で苦しんでいる人がいます。 その中でも過食嘔吐を繰り返す人の死亡率はなんと16%。 欧米ではボディ・ダイバーシティ(体型の多様性)やボディ・ポジティビティ(全ての体型をポジティブに捉える)のキャンペーンが盛んに行われていますが、日本はまだまだ一定の体型だけが「美」とされてはいないでしょうか。 「太った〜?」も「痩せた〜?」も両方、その人の体重を他人が監視しているというような証でありますし、誰がどの程度自分の体型を気にしているのかなど分かりようがないので、言わないことが一番安全です。 あなたの何気ない一言が誰かの病気への最後の後押しになっているかもしれません。何も言わない。 誰かの体重の変化に気づいたのなら、その事実はその事実です。 でも、あなたの観察結果、感想を伝える必要はありません。 賛成ですか?反対ですか? コメントお待ちしております! 来週もお楽しみに! この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!【Politically Incorrect Dictionary】p.1 がい-じん(外人) みなさんは“Politically Incorrect”というコンセプトをご存知ですか?この言葉は政治的、宗教的、歴史的、社会的、そして経済的な背景を考... ーBe inspired!
2016年09月23日(Photo by cisc1970 / Adapted.)2016年8月に公開された映画「ペット」に出てくるタトゥーが彫られたブタ。 (Photo by Wikia)映画中で彼は「自分の身体にはタトゥーを入れる場所がもうなくなったから捨てられた」と告白する。 「タトゥー入りのブタなんてまた面白いことを考えたなあ」なんて優雅に思ってはいられない。 というのも作り上げたファンタジーの世界にとどまる話ではなく、現実世界でも行われていることだからだ。 「タトゥーブタ」はファンタジーか、リアルか(Photo by Lwp Kommunikáció)驚くべきことに、タトゥーブタは映画のみならず、実際に私たちが住む世界にも存在している。 ブタの皮膚は人間の皮膚に似ていることから、タトゥーの練習に使われることがあるのだ。 さらにはアートという名の下に、ディズニーや某ファッションブランドのロゴをタトゥーされたブタが高額で取引きされることもあるという。 このアーティストの場合は、動物福祉に関する法規制が厳しいアメリカでの活動を断念した後に、法規制がアメリカよりは緩いとされる中国で活動を続けているという。 かつて生類憐みの令があった日本は、今も動物天国?(Photo by Wikipedia)動物福祉に関する法律が厳しい国では、アートといってもタトゥーブタは生まれない。 法整備は動物愛護にかかせぬものだ。 しかし日本においては、法整備に課題が残る。 2014年度には約10万1千頭もの犬猫が殺処分されており、動物天国とは言い難い状況の日本。 300年以上も前に「生類憐みの令」が発布されていた国とは思えない。 最近では、小池百合子都知事が犬猫殺処分ゼロを実現するために「税金を投入する方法もあるが、人間教育から始めるのがいちばんだ。動物を慈しむ気持ちを、子どもの頃から育てることに力を置いた方がいい」と発言したそうだ。 そもそも、2010年の内閣府の調査によれば「ペット飼育が好き」と答えたのは全体の72.5%にものぼっているのだから、決して動物に対して心のない人が多いとも思えない。 さらには、震災や飼い主の高齢化などの理由でどうしても飼えなくなってしまったペットや、街に溢れるペットショップでペットを安易に手に入れられる現状を踏まえれば、犬猫の里親団体に資金を投入したり、法整備を進めたりして動物たちの権利を向上させようとするのが現実的な政策なのではないか。 心の教育をいちばんだと言い切る姿勢は、一見正しく聞こえそうだが果たして効果的な政策といえるのだろうか。 それはしかし、待機児童を解消するためには空家を再利用すればいいという、潜在的保育士を無視した発言にも見られる歯がゆさとも似ているのではないか。 古くて新しい考え?犬を飼ったら払う税「犬税」(Photo by star5112)イギリスは動物愛護政策が進んだ国の一つとされる。 その歴史は古く、1824年には「動物虐待防止協会(現在の通称:RSPCA)」が発足し、1951年にはペットショップの経営を認可制とする「ペット動物法」が制定されている。 また、イギリスに行けばよく目にすることだが、犬が平気で(とは言ってももちろん飼い主同伴)地下鉄に乗ってくる。 ケージなどには入れられていないことが多い。 しかも、公園にはリードなしの犬が多く見られる。 しかし、そんなイギリスでも年間最大約4万2千頭が殺処分されている。 結局、動物の命はどこの国でも軽視されているのだろうか。 そこに待ったをかけるのがドイツだ。 ドイツはペットの殺処分が基本的にはゼロ。 大半がボランティアの寄付などにより成り立つ民間団体が運営する動物保護施設「ティアハイム」では、重度な病気や怪我を患っているペットを安楽死させる以外の殺処分は行わないそうだ。 動物たちの滞在期間は無期限で仲介率は90%以上だという。 また、檻の広さからリードの長さまで、犬を「慈しむ」ための法整備がきめ細やかになされている。 さらに、犬を飼えば、日本円にして約1万円〜2万円(100〜200ユーロ)の「犬税」が課される。 1頭目は約1万1千円(100ユーロ)、2頭目からは約2万3千円(200ユーロ)となり、2頭目は1頭目よりも高い「犬税」となる。 この税の背景には、無責任な飼い主を減らそうという思いがあるそうだ。 実は「犬税」は日本でもかつて採用されていた。 生類憐みの令の時代にはもちろんのこと、50年ほど前まで「犬税」が存在していたが、後者の「犬税」は徴収コストの問題から廃止されたそうだ。 心の教育が「いちばん」なのか(Photo by Big Ben in Japan)映画「ペット」には、タトゥーブタ以外にも人間に捨てられたペットたちが多数出演する。 かわいそうだと思う気持ちは、映画を見れば生まれそうなものだが、その心が殺処分をゼロにしてくれるのだろうか。 イギリスやドイツなど動物愛護先進国の例を見れば、法整備を含めたルールを整えていくことが、今の日本に必要なことなのかもしれない。 via. Timeline, Daily Mail Online, 江戸ガイド, 日刊スポーツ, Japan In-depth, GORON, いぬログ, 環境省, 国立国会図書館, 内閣府政府広報室この記事を読んでいる人はこの記事も読んでいます!“見過ごせますか?毎日犠牲になっている“700匹”の命。” ペット大国、日本。しかしペットブームの裏で、人知れず犠牲となっているたくさんの命がある。その数、年間16万匹。命を見殺しにしない国になるために、今わ... ーBe inspired!
2016年09月23日