チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (20/342)
WAHAHA(以下:ワハハ)本舗全体公演『シン・ワハハ』が、東京・なかのZERO 大ホールを皮切りに全国10会場を6〜8月にかけてツアーする。昨年末、構成・演出の喰始、キャストの柴田理恵、久本雅美、梅垣義明に構想中の想いを尋ねた。ワハハ本舗は2021年に、新型コロナウイルス感染症の影響で公演延期となった『王と花魁』のリベンジを果たした。彼らの持ち味といえば、客席に降りて「ろくでなし」を歌いながら鼻から豆を飛ばす梅垣の芸に代表される“過剰”な客席とのコミュニケーション。これを目当てに訪れる観客も多い中、コロナ禍では“濃厚接触”にあたる得意技を封じられた一同はどうやって笑いを届けたのだろうか──。答えはやはり“客席”にあった。応援団長に扮した久本と柴田が観客全員を立たせ、「独身者や現在のお相手と初婚の方は座って」と指示を出す。離婚歴のある人が目立つ方式だが、二人が「正直によく残った!」「それだけ真摯に向き合った証拠だ!」と褒め称えると、自然に拍手が生まれた。その調子で「尿漏れしてしまう人」「誕生日を誰からも祝ってもらえない人」を客席に立たせたまま残し、全力でエールを贈ることで笑いに変えていく。喰いわく「本人にとってはツラいことでも、他者に笑ってもらって救われることってあるじゃない?そう感じたお客さんの協力で成立したステージでしたね」。『王と花魁』の成功を受け、久本は「制限の中でも、まだやれることはある」と手応えを感じた。柴田も「コロナ前と同じように“参加できるじゃん!”と感じたお客さんの顔がどんどん明るくなってね」と喜び、梅垣も「袖から見ていると、お客さんの気持ちが解放されていることが伝わるの。だって俺、バツ3でエール受け取っていた方から記念写真を求められたよ?気分が上がっている証だよね」と続く。この勢いで生み出す『シン・ワハハ』で、梅垣は「シン・梅ちゃん」に昇華する喰のアイディアが明かされた。同時にオーディションで選ばれた新人3名を含む若手のパフォーマンスから「二代目・梅ちゃん」を観客の投票で決定する案も。加えて本作のコンセプトには「アート」が掲げられ、これまでの全体公演でも観客の評判がよいコンテンポラリーダンスに注力する考えが喰からもたらされた。「すぐ裸になってにぎやかな下ネタで盛り上げるイメージがワハハにはあるかもしれませんが、文学やオリンピックの種目を“踊り”で表現する演目もやっていて。この“バカバカしいのに、どこか知的”って側面も『シン・ワハハ』ではお見せして、何度いらしても楽しいテーマパークのような全体公演にできたら」と語り、インタビューを結んだ。取材・文:岡山朋代
2023年01月26日ROTH BART BARON 最新作『HOWL』の先行曲『月に吠える feat.中村佳穂』の新しいMusic Videoが完成。公式YouTubeチャンネルにて1月29日(日)21:00よりプレミア公開される。バンド初、アニメーションによる映像音楽作品は、代表作アニメ「とつくにの少女」のディレクター久保雄太郎と米谷聡美によるもの。楽曲の持つ切なく優しいファンタジックな世界を、登場キャラクターの細やかな表情や描きこまれた美しい背景によって表現。楽曲と親和性の高い作品に仕上がっている。ROTH BART BARON チケット情報現在"HOWL"全国ツアー真っ最中のROTH BART BARON。3月10日(金)に昭和女子大学 人見記念講堂で開催されるツアーファイナル公演は、ライブハウス公演<バンド編成>とクラブ公演<弦楽カルテット編成>が合流するフル編成にて開催される。本公演のゲストとして、中村佳穂の出演が発表された。「Music Magazine」年間ベストロック部門にて3位、「MUSICA」年間ベストにて2位と高評価を集める最新作『HOWL』、ツアーファイナル公演に要注目だ。チケットは発売中。
2023年01月26日大阪府堺市に拠点を置く堺シティオペラと大阪交響楽団が、3月19日(日)、フェニーチェ堺(堺市民芸術文化ホール)で、ヨハン・シュトラウス2世の喜歌劇『こうもり』(セミ・ステージ形式)を上演する。これは2019年に始まった「テアトロ・トリニタリオ(三位一体の劇場)」と題するシリーズの第3回。上記の2団体と劇場が連携して行う公演で、単独の団体では難しい規模の大きな作品を堺市から発信していこうというものだ。2021年12月に行われた第2回公演、プッチーニの歌劇『トゥーランドット』では、令和3年大阪文化祭賞を受賞するなど高い評価を受けた。「Teatro Trinitario 2023 “オペレッタ×オーケストラ”」チケット情報喜歌劇『こうもり』は1874年に書かれたオペレッタ史上の名作。とある仮面舞踏会の帰り、泥酔してこうもりの扮装のまま森の中に放置され街中の笑いものとなったファルケ博士が、次なるオルロフスキー邸の舞踏会で自分を置き去りにした銀行家のアイゼンシュタインへの仕返しを企てる、という物語だ。そこへアイゼンシュタインの妻、ロザリンデや小間使いのアデーレまでが絡んで来て、愛と欲望と化かし合いが渦巻く賑やかな騒動が繰り広げられてゆく。全編を笑いに包みながら、ウィーン情緒溢れる歌と音楽の美しさが深く心に残る作品でもある。今回指揮を務めるのは大阪交響楽団首席客演指揮者の高橋直史(※高ははしごだか)。バイエルン州立歌劇場で研鑽を積み、エルツゲビルゲ歌劇場音楽総監督、および同交響楽団首席指揮者ほかを歴任した本場仕込みのシェフ腕前で、音楽と舞台を深く、楽しく創り上げてゆく。公演に先立って行われた記者会見には、高橋直史ほか、アイゼンシュタイン役の桝貴志、ロザリンデ役の並河寿美、そして看守フロッシュを演じる大蔵流狂言師の茂山千三郎らが出席。それぞれに役柄の魅力や抱負を語った。特に物語の笑いを大きく担うフロッシュ役の茂山は「今回の舞台に立っていても、あれはやはり狂言やったな、と言う風な芝居を目指したい」と語り、練習を積み重ねて仕上げる西洋の歌劇の伝統に対し、一期一会を美学とする日本の能、狂言の芸風に言及。その言葉をきっかけに登壇者一同が1度きりの舞台に臨む思いを改めて語るなど会見の場を沸せ、公演への期待をかきたてた。文:逢坂聖也
2023年01月25日2007年に公開された映画『迷子の警察音楽隊』を原作に、2018年に米国トニー賞10部門を独占したミュージカル『バンズ・ヴィジット』が2月7日(火)から日生劇場ほかで上演される。ペタ・ティクヴァのアラブ文化センターで演奏するようにと招かれていた、エジプトのアレクサンドリア警察音楽隊。イスラエルの空港に到着するも、いくら待っても迎えが来ない。楽隊長のトゥフィーク(風間杜夫)は自力で目的地に行こうとするが、若い楽隊員のカーレド(新納慎也)が聞き間違えたのか、案内係が聞き間違えたのか、彼らの乗ったバスは、目的地と一字違いのベト・ハティクヴァという辺境の街に到着してしまう。一行は街の食堂を訪れるが、もうその日はバスがない。食堂の女主人ディナ(濱田めぐみ)は、街にはホテルもないので、自分の家と常連客イツィク(矢崎広)の家、従業員パピ(永田崇人)と店に分散して泊まるよう勧める。迷子になった警察音楽隊は、翌日の夕方に行われる予定の演奏会に間に合うのだろうか......というストーリー。今回、パピ役を務める永田は「自分が想像していたパピ役のイメージが尽く崩されていくので、僕自身が『迷子の警察音楽隊』になってしまっています」と稽古に苦戦している様子を明かす。演出を務める森新太郎からのオーダーは「いい意味で気まぐれ」という。「『昨日と言っていることが全然違うことじゃん!』と思うこともあるし、見えないゴールを追いかけている感じがするんですが、森さんが『今欲しい』と思うことに嘘はない。森さんに言われたことを骨組みにして、役を作り上げている最中です」と話し、「作っては壊し、作っては壊しの連続。その分、きっと作品の厚みや強度が増すんだと思います」とも。稽古場で、同じ福岡県出身で、絡みも多いディナ役の濱田めぐみとよく話すという永田。「濱田さんが出ている舞台は何度か拝見したことがあるのですが、舞台上では本当にすごいですよね。稽古場でお話すると、濱田さんは威圧感もなくて、優しくて。こんなに声を大にして『本当に素敵な方です』と言える人はなかなかいないです」と印象を語っていた。観客へのメッセージとして、永田は「ミュージカルのような、ストレートプレイのような、今までとは全然違うジャンルの作品に仕上がっている気がします。“ボーダレス”な感じが面白い。誰もキラキラした衣装を着ていないし、カラフルな照明があるわけではないですけど、きっと心に残る作品になると思います」。東京公演は2月23日(木・祝)まで。その後、大阪、愛知公演が予定されている。取材・文:五月女菜穂
2023年01月25日“降り止まない雨”をテーマに描かれたソングサイクル・ミュージカル「雨が止まない世界なら」in Concert。1月6日(金)に行われた昼公演・夜公演の模様を収めた配信アーカイブが2月17日(金)まで視聴可能だ。ある日降り始めた奇妙な雨がずっと降り止まなかったら、人は何を歌うだろう…。ソングサイクル・ミュージカル「雨が止まない世界なら」は、"雨が降り続ける世界"で、様々な場所から同じ雨を見ている人々のストーリーを描いていく。2021年、コロナ禍に誕生した本作は、ポエトリーリーディング、ワークショップ、コンセプトアルバムを経て、2023年1月に大手町三井ホールでコンサートの開催が実現した。出演は、小此木麻里、昆夏美、咲妃みゆ、清水彩花、清水美依紗、鈴木壮麻、染谷洸太、塚本直、西川大貴、畠中洋、山野靖博、吉沢梨絵、そして雨が止まない合唱団(内海湧真河本雪華小林謙真佐藤孔明二宮伶寧平賀晴)。豪華なミュージカル・スターが集結した本コンサート。『雨に唄えば』を彷彿とさせる晴れやかな楽曲「We’re Singin’ in the Rain」を昆夏美が軽やかに歌い上げたかと思えば、鈴木壮麻が「知ろうとしない」で会場を怪しげな雰囲気で包み込む。西川大貴が歌う「舟を漕ごう」は、雨が止まない世界に新たに出来た職業・水上タクシーの運転手が主人公。ソングサイクル・ミュージカルということで、同じ"雨が降り続ける世界"の中で生きる様々な主人公が登場するのが本作の特徴だ。病室の窓から変わっていく世界に希望を見出す少女の歌「海に潜ったクジラ」では、コンサートながら清水美依紗が演技力溢れる歌声で圧倒。一方、“もう進みたくも変わりたくもないの本音は変わってしまう事が多すぎて”と、急速な周囲の変化に追いつけない気持ちを吐露する楽曲「東京漂流」は、咲妃みゆが涙ながらに力強く歌唱した。コロナ禍での社会の変化はもちろんのこと、世界情勢の変化、SNS等で他人の変化を感じることも多い現代の私たちにとって、本作には他人事とは思えない歌詞が詰まっている。多様な楽曲の中から、自己投影できる一曲が見つかるはずだ。作詞・構成は、ミュージカル『ミス・サイゴン』トゥイ役など俳優としても活躍する西川大貴。作曲・音楽監督はジャズ・ピアニストの桑原あいが務める。また、夜公演では大手町三井ホールのガラス張りのステージを活かし、東京・大手町の夜景をバックに歌唱。景色という自然の演出が加わることで、新たな楽曲の印象が加わることも、本コンサートの興味深い点である。「雨が止まない世界なら」in Concert、配信アーカイブのチケットは2月17日(金)まで販売中。文:齋藤優里花(演劇メディアAudience)
2023年01月24日欠落や喪失をテーマとした作品を描き続けている作家・小川洋子によるミリオンセラー小説『博士の愛した数式』が舞台化される。交通事故による脳の損傷をきっかけに、記憶が80分しか持続しなくなってしまった元数学者の「博士」と、彼の新しい家政婦である「私」と、その息子のぎこちないながらも驚きと歓びに満ちた日々を、美しい数式と共に描いた悲しくも温かな奇跡の愛の物語。気鋭の演出家として注目を集める「劇団た組」の加藤拓也による脚本・演出のもと、「博士」役を80歳を迎えた串田和美、「私」役を演技力に定評のある個性派女優の安藤聖、「ルート」役は元乃木坂46で現在は女優として活躍している井上小百合が務める。実は、脚本と演出の加藤は2015年に本作を舞台化しているのだが、「はじめてこの作品をやったときは、今よりも目が届かなかった部分がたくさんあるし、今改めて取り組んだらもっといい作品になるんじゃないかと思ったんです」と話し、「原作者の小川洋子さんが書いた言葉のニュアンスは大事にしたいと思っています。空間に小説の匂いみたいなものが残るようにできれば」という。加藤とは2019年に『今日もわからないうちに』という作品でタッグを組んだ串田。当時のことを「新しい感覚や世代と、自分がどう関わるのか。転校生みたいな気分で、すごく緊張したんですよね。もちろん楽しかったんだけど」と振り返りつつ、今回の加藤からのオファーを受けたという。「串田さんが今までやっていないことを提案していきたいです」と話す加藤に対し、串田は「それがすごい楽しみですね。怖いけど、できないかもしれないけど。長くやっていると、なかなかそう言ってくれる人がいなくなってくるから」と期待を寄せた。加藤も串田も原作ファン。串田は「読み終わった後、いろいろ解釈したくないというか、色気が漂うというか、ミステリアスな感じがしてね。それは普遍的で、(原作が書かれて20年以上経つ)今も変わらずにあると思う」などとその魅力を話す。なお、本作の企画制作は、まつもと市民芸術館。その点、加藤は「松本は、いろいろな文化がさまざまな場所から集まってきて、東京とは空気が違う。あの空気の中で、このように空気を大切にしている作品を立ち上げるというのは非常にいいことなのではないかなと思います」とコメントした。松本公演は2023年2月11日(土・祝)〜16日(木)、まつもと市民芸術館。東京公演は2023年2月19日(日)〜26日(日)、東京芸術劇場シアターウエスト。取材・文:五月女菜穂
2023年01月24日昨年8月、大阪・CONPASSにて初開催された新進気鋭イベント『GOOD STUFF』の第3弾が、3月3日(金)に開催される。第3弾として発表された組み合わせは、昨年フジロックなどにも出演を果たしたオーディエンスを圧倒するライブパフォーマンスで今話題沸騰中のバンド・鋭児と、VJもメンバーとして在籍しており、ライブではVJの他、持ち込みの照明など視覚も含め派手なライブパフォーマンスで定評がある地元関西のバンド・the McFaddinによるツーマンイベント。『GOOD STUFF vol.3』チケット情報両者ともにライブの評価が高く、当日は各バンド60分という両バンドとも思う存分楽しめるツーマンとなっている。ネクストブレイク必至のライブバンド2組による正真正銘のタイマン企画は必見!チケットは発売中。
2023年01月24日2023年2月11日(土祝)、札幌文化芸術劇場 hitaruにて「第73回さっぽろ雪まつり15th K-POP FESTIVAL2023」が開催される。K-POP史上初の日本人リーダー カズタが率いる今、最も注目の超期待の新星7人組ボーイズグループn.SSign、日本人HARUが所属する癒しと元気を与えてくれる日韓中ガールズグループNATURE、アイドル音楽だけではない極上の歌声によるK音楽の魅力を届ける、歌う妖精リュ・ジヒョン、重低音ボイスが魅力のハ・ドンヨンの4組が、美しい“冬の札幌”にピッタリな歌声、寒さを吹き飛ばす情熱的なステージ、カズタ&ハルのドキドキ・ワクワクのスペシャルMC、出演者と間近で出会えるGFSC Special Meet&Greetと、見どころ、楽しさ倍増でお届けし、同じく3年ぶりにオフライン復活する「第73回さっぽろ雪まつり」を熱く盛り上げる。「さっぽろ雪まつりK-POP FESTIVAL」15周年記念で企画された《GFSCチャリティー抽選会》では、全出演者から直接サインがもらえる「15周年Anniversary Specialサイン会」や「全出演者参加のエアタッチ会」などが抽選で当たる「GFSC Special Meet&Greet」が行われる。チケット一般発日は2/4(土)。現在ぴあにて先行受付中。◎URL:詳細:
2023年01月20日2022年4月より本格始動したチケットぴあ主催の若手バンドを応援するライブハウス企画「Grasshopper supported by チケットぴあ」。3月27日(月)下北沢CLUB Queにて「Grasshopper vol.11」の開催が決定した。今回は「THEティバ」、「Apes」、「Khaki」の3組が出演する。チケットは現在、チケットぴあで販売中。昨年発表した1stフル・アルバム『On This Planet』が好評で各所から注目を集めているTHEティバ、リアルな歌詞が共感を呼び、リスナーの心の拠り所となるロックを鳴らしているApes、2021年本格始動にも関わらず、普遍性と独創性のバランスが秀逸な楽曲がすでに話題となっているKhaki。この先のロック・シーンでさらに大きな存在となっていくであろう3バンドの共演を、ぜひお見逃しなく。■「Grasshopper vol.11」チケット情報■「Grasshopper supported by チケットぴあ」イベントサイト
2023年01月20日トニー賞10冠のミュージカルの日本版公演となる「バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊」の稽古場の模様が報道陣に公開され、濱田めぐみが歌う「オマーシャリフ」をはじめ、合計3曲が披露された。カンヌをはじめ、各国の映画祭で話題を呼んだ映画『迷子の警察音楽隊』を原作にミュージカル化し、2018年のトニー賞では作品賞を含む10部門を受賞。イスラエルへの演奏旅行に招かれるも、別の街に到着してしまったエジプトの警察音楽隊が、街の人々と交流するさまを描いており、森新太郎が演出を担当。風間杜夫、新納慎也、濱田めぐみらが出演する。この日、最初に公開されたのは、第1場から第2場にかけてのシーン。空港からバスで目的地に向かうも、一字違いのベト・ハティクヴァという街に到着する楽団。街の住人たちが歌うのが「待ってる/Waiting」である。舞台中央の円形の舞台装置を回転させて、辺境の街で暮らす人々の姿を映し出し、変わらぬ日常を過ごしつつ、新しい何かが起こるのを待ち続けている人々の心情が歌い上げられる。そこへ、変化をもたらす存在として到着するのが楽隊長・トゥフィーク(風間)率いるアレクサンドリア警察音楽隊である。目的地の“アラブ文化センター”はどこかと尋ねるトゥフィークに対し、食堂の女主人ディナ(濱田)は「ここには文化なんてない」と答え、従業員のパピ(永田崇人)、常連客のイツィク(矢崎広)と共に「何もない町/Welcome to Nowhere」を歌う。歴史的な因縁を抱える異国の地での遭難に困惑する楽団員たち。そんな彼らにディナらは手を差し伸べるが…。続いて、披露されたのは、第7場の「オマーシャリフ」。街で一晩を過ごすことになり、トゥフィークはディナに連れられレストランを訪れる。彼女が好きだったエジプトの映画や音楽を介し、打ち解けていく2人。同曲は映画『アラビアのロレンス』『ドクトル・ジバゴ』などの名作で知られるエジプト出身のハリウッド俳優の名を冠し、ディナの西の隣国(エジプト)の文化への憧憬を歌った楽曲。濱田がどこか切なく異国情緒を感じさせるようなしっとりとした歌声を響かせる。その後、警察音楽隊による「Haj-Butrus」の生演奏が始まるが、バイオリンやチェロといった馴染みの楽器に加え、ウードやダルブッカといったアラブ音楽で使われる楽器による生演奏も本公演の大きな見どころである。また、この日は披露されなかったが、風間が濱田と歌うシーンもあるとのこと。“戦乱”がいまなお現実の世界を覆う中で、エジプトの楽団とイスラエルの辺境の街の人々の一夜の物語は我々にどんな希望を見せてくれるのか?完成を楽しみに待ちたい。「バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊」は日生劇場にて2月7日より開幕。取材・文:黒豆 直樹
2023年01月19日オフ・ブロードウェイミュージカル『Ordinary Days』が2023年2月8日(水)から東京・俳優座劇場、2月18日(土)に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演される。登場人物は、眠らない街・ニューヨークに住む男女4人。30代のカップルであるジェイソン(相葉裕樹)とクレア(夢咲ねね)は、互いを想いながらも、ここ最近衝突ばかりでお互いの心が掴めないでいる。一方、アーティストを目指す青年ウォーレン(小池竜暉/中本大賀)は、手書きのチラシを配布する活動をしているが、誰からも見向きもされない。ある日、大学の論文に追われるデイブ(斎藤瑠希/浜崎香帆)のパソコンを偶然拾ったことで2人は知り合い、少しずつ世界が色を変えていく。日々を懸命に生きる4人の人生が思わぬ形でつながっていくーー。今回、ジェイソン役を主演する相葉裕樹は「出演者4人とピアニスト1人で紡ぐミュージカルということで、かなり濃密な作品になると思います。人肌が恋しくなる2月に、恋の悩みやすれ違いといった男女の仲を描いた作品を上演するということで、自分自身もお客さまも“エモい”気持ちになって、きっと共感できる部分がたくさんあるのではないでしょうか」と作品について語る。ウォーレン役を演じる小池竜暉(GENIC)は、今回が初舞台。更には映像作品も含めて、初めて演技に挑戦するといい、「もともと演じることに興味を持っていたので、このお話をいただいたときはすごく嬉しかったです」と素直に出演を喜ぶ。そして「『Ordinary Days』というタイトルにもある通り、日常的な部分を飾ることなく表現している作品。観ているお客さんも『こんなことがあったな』などと自分の姿を投影させられる部分もあると思います」。「自身のかけがえのない大切な時間とは?」という公演のコピーにちなんで、それぞれの「かけがえのない時間」を尋ねると、相葉は「友人と過ごす時間ですね。特別何かをするわけではなくて、ごはんを一緒に食べに行ったり、銭湯に行ったりするだけなのですが、癒されるし、いろいろとリセットできるんです」と話す。一方の小池は「一番は実家に帰ったときです。玄関先で家族が出迎えてくれたり、飼い犬が尻尾をフリフリしている姿を見たりすると、帰ってきたなと思って」と話しつつ、「そのほかは、コーヒーを淹れたり、抹茶を点てたりする時間も。おいしいパスタができたときも」と次々と回答が浮かんだようで、多趣味な一面を覗かせた。東京公演は2月12日(日)まで。脚色・演出は田中麻衣子。音楽監督・ピアノ演奏は落合崇史。翻訳は藤倉梓。チケット発売中。取材・文:五月女菜穂
2023年01月19日ラジオDJ・マーキーの生誕70年を祝うライブイベント『MARK’E Rolling 70 -RADIO DAYS-』が、3月9日(木)・10日(金)の2日間、大阪・フェスティバルホールにて開催される。「MARK’E Rolling 70 -RADIO DAYS-」 チケット情報日本に初めて民放ラジオが誕生した翌年、1952年にこの世に生を受けたマーキー。ラジオの申し子として、開局間もない黎明期からFM802を牽引し、FM COCOLOに移籍後もエンタメシーンのみならず、さまざまなカルチャーシーンに絶大な影響を与えてきた。本公演は、永らく関西を代表する声であり続けている彼の生誕70年と、ほぼ同い年のラジオを祝福する前代未聞のバースデーショーだ。現在、9日(木)はカーリングシトーンズ(寺岡シトーン・奥田シトーン・斉藤シトーン・浜崎シトーン・キングシトーン・トータスシトーン)、地球三兄弟(YO-KING・桜井秀俊・奥田民生)、MANNISH BOYS(斉藤和義・中村達也)、木村充揮とスリーシトーンズ(木村充揮・浜崎貴司・トータス松本・寺岡呼人)、10日(金)はUA、宇崎竜童、夏木マリ、山下久美子、横山剣、Char、BEGINの出演が発表されている。チケットは、1月24日(火)11:00まで先行抽選プレリザーブを受付中。
2023年01月18日いずみシンフォニエッタ大阪(ISO)は2月11日(土)に住友生命いずみホールで行われる第49回定期演奏会に、バッハ・コレギウム・ジャパンほかで活躍中の鈴木優人を迎える。題して「時を超えるファンタジー」。バロックに始まり、古典派、ロマン派、現代音楽からジャズに至るまで、多方面にわたる才能を全開にする鈴木が指揮とチェンバロ、プリペアドピアノの演奏を務め、ヴィルトゥオーゾ揃いのISOメンバーとともに驚きと発見に満ちた音楽を創り上げる。「いずみシンフォニエッタ大阪」 チケット情報17世紀のビーバー『Battalia』、19世紀のメンデルスゾーン『真夏の夜の夢 序曲』(鈴木優人編曲版)、20世紀のケージ『プリペアドピアノ協奏曲』といった、まさに時空を超えた作品が並ぶ中、注目を集めそうなのが作曲家、川島素晴による『室内管弦楽のためのスタディ Jingle-Tree / Sweet Messenger』(委嘱新作)だ。ISOプログラム・アドバイザーでもある川島もまた、近年の現代音楽において八面六臂の活躍を見せる1人。「演じる音楽」を標榜し「笑いの構造」に基づく自由度の高い創作は各方面から注目を集めている。『室内管弦楽のためのスタディ』は鈴木優人をイメージして書かれ、英語による2つの楽章のタイトルは「Jingle-Tree=鈴木 / Sweet Messenger=優人」となる。公演に先駆けて行われた記者会見には鈴木優人と川島素晴が出席。会見当日、初めて新作のタイトルを知ったという鈴木が「優人という名前がSweet Messengerと訳されたことは初めて。驚きと感銘を受けました」と語ると、川島は「鈴木さんはまさに音楽の使徒(メッセンジャー)のような存在。その全体像を描きたい」と応じ、会見は2人のリスペクトと才気が溢れる刺激に満ちた時間となった。また川島が「第1楽章は直接的に鈴や木製のパーカッションを使って、第2楽章では鈴木さんを語る上で欠かせないJ.S.バッハを引用しながらコンサート全体が“鈴木優人のすべて”という風になるように表現したい」とアイデアを述べると、鈴木は「父の雅明が1990年にバッハ・コレギウム・ジャパンの最初の演奏会を行ったのがこのいずみホール。当時私は9歳で、出来立てのほやほやだったシャンデリアが強く記憶に残っています。それ以来の縁を感じる場所で精鋭オーケストラと共演できるのがとても楽しみ」と語り、本番への期待を盛り上げた。文:逢坂聖也
2023年01月18日岩井秀人が脚本・演出を手がける、PARCO劇場開場50周年記念シリーズ ミュージカル『おとこたち』。すでに歌稽古を始めている岩井とキャストのユースケ・サンタマリアが、現在進行形の想いを語った。岩井が主宰するハイバイによって2014年に初演、2016年に再演された本作が、今回は前野健太による音楽でミュージカルとして立ち上がる。岩井と前野は『世界は一人』(2019年)でタッグを組み、オリジナル音楽劇を創作した経緯が記憶に新しい。劇中で描かれる“おとこたち”4人のおかしくも壮絶な人生は、初演時にNHK総合『クローズアップ現代』で取り上げられ、求められる理想像と現実のギャップに苦しむ男性の生きづらさや幸せについて議論されるきっかけになった。ミュージカル化の経緯を問われた岩井は「音楽があると、観客に届くドラマの感動や衝撃のMAX値や飛距離みたいなものが圧倒的に思えて」とコメント。さらに「これまで『ミス・サイゴン』や『レ・ミゼラブル』のように社会的なテーマのある作品でないとミュージカルは成立しないと思っていましたが、今回のキャストでもある吉原(光夫)さんや(大原)櫻子ちゃんが出演していた『FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇』(2018年)を観て、話のスケールが小さければ小さいほどミュージカルにする必然性があると感じたんです」と続く。2011年に岩井が作・演出を手がけた「その族の名は『家族』」に出演しているユースケは「岩井くんの演出方法や舞台に込める熱、作品内容……すべて好印象で、またあの感じを味わいたいと思ってオファーを受けました」と信頼を寄せる。そのユースケに岩井が託したのは、人生との距離感がうまく取れない「山田」。共演の藤井隆、吉原、橋本さとしの演じる山田の友人たちが起伏に富んだ人生を送るのに比べて、ドラマ要素の少ないキャラクターだ。「傍観者に徹するしかない山田って、実はいちばん哀しい存在。マエケン(前野の愛称)のつくる楽曲にもメロディが無くてさ」と心なしか淋しそうなユースケ。すると岩井が「山田を除く登場人物には、大きな葛藤を抱え裏切りにも遭うような人生のドラマが盛りだくさん。だからおのずと旋律も豊かになるんです。一方でユースケさん扮する山田の“漂うしかない切実さ”はラップに込めようと思っていて」と構想を語る。これを受け、ユースケは「もうこうなったら“ラップのようなもの”を新しく創作するつもりでやります。僕に求められているのは歌のうまさではなく、きっと“僕にしか歌えない歌”でしょうから」と意気込んでみせた。公演は2023年3月12日(日)~4月2日(日)、東京・PARCO劇場にて。その後、大阪や福岡にも巡演する。ぴあでは東京公演のチケット購入時に座席指定できる。取材・文:岡山朋代
2023年01月16日毎年恒例の「万作萬斎新春狂言」が2023年も1月に開催。1998年にスタートし、連続26年目を数える。91歳の人間国宝・野村万作、2020年に世田谷パブリックシアターの芸術監督を卒業し多彩な活躍をみせる56歳の萬斎、そして昨秋に野村家が狂言修行の卒業論文と例える大曲『釣狐』を披いた23歳の裕基。そんな父・子・孫の狂言三代の舞台を新春に観るという、まさにおめでたさが極まった舞台といえる。お正月にふさわしい華やかな演目を並べて贈る本公演の見どころや意気込みを、萬斎が語った。「万作萬斎新春狂言2023」 チケット情報お正月らしく、しめ縄が飾られた舞台。プログラムは恒例、元旦の朝に祝言として野村家一門で行われる謡初(うたいぞめ)『雪山』から始まる。新春を寿ぎ、居住まいを正して謡われる清々しい5名の連吟。次にそこから裕基が出て、干支の卯歳にちなんだ小舞『兎』を舞う。短い曲ながら、うさぎのように跳びつつ舞う若々しい歳男・裕基の姿を初披露。シリーズ登場は裕基が生まれた1999年の卯歳以来だ。そして好評の萬斎トークへ。軽妙に笑わせつつ、2演目を解説する。そしてまずは『舟渡聟(ふなわたしむこ)』。新婚の聟が手土産に酒樽を持ち舅の家にあいさつへ向かう。その道中、琵琶湖の渡船で船頭に酒を飲み干され、やっとの思いで舅の家に着くと…。「親子で継承してきた野村家の当たり狂言です。私と父で海外公演もやり定番にしてきた曲を、今回はひとつ代を飛ばして父と息子で。聟の若者らしいストレートな演技と老練な船頭や舅のコンビネーション。大団円を迎える最後に、お日様や梅の実、毬など(縁起の良い)丸づくしの謡を謡う。洗練された見応えのある曲です」。休憩をはさみ2幕は『花折(はなおり)』。花盛りの寺で、住職が見習い僧に庭の花見禁制を言いつけ出かける。やってきた花見客たちは垣根越しに酒宴を開いて…。「みんなで謡いつ舞つ、にぎやかな曲で新春らしい華やかなものになっています。最後に狂言の中で最速と言える“道明寺”という素早い舞を舞うのがひとつの見どころ。少し先取りして花見気分を味わっていただきたいと思います」。酒を飲む役をやって25年の萬斎。「エアで酒を飲んでいるのに酔っぱらうようになりました(笑)。大いに盛り上げたいと思います」。そんな中で今回特に注目は万作の得意とする『舟渡聟』の船頭。「父も91歳。元気ですが、三代そろう期間はそう長くはないと。我々が目指す、ひとつの芸境に差し掛かっている父の姿は本当に希少だと思いますし貴重でもあるので、それをぜひご覧いただきたいと思っています」。公演は1月18日(水)・19日(木)、大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2023年01月16日2月11日(土・祝)、大阪・オリックス劇場で開催される『SOUND CONNECTION -Harvest Begins-』に、追加アーティストとしてKroiの出演が決定した。「SOUND CONNECTION -Harvest Begins-」 チケット情報Kroiは、R&B/ファンク/ソウル/ロック/ヒップホップなど、あらゆる音楽ジャンルからの影響を昇華したミクスチャーな音楽性を提示する5人組バンド。2018年2月に結成し、2021年6月には1stアルバム『LENS』でメジャーデビュー。『Balmy Life』が、全国のAM・FM35局以上でパワープレイ及びヘビーローテーションに採用されヒットし、今年1月にリリースした最新曲『Hard Pool』が注目を浴びている。音楽活動だけでなく、ファッションモデルやデザイン、楽曲プロデュースなど、メンバーそれぞれが多様な活動を展開し、カルチャーシーンへの発信を行う。今回出演するChilli Beans.、Kroi、Lucky Kilimanjaro、yamaの4組は、このイベントが初共演となっており、今大注目のライブイベントとなっている。チケットは、1月19日(木)11:00まで2次プレリザーブを受付中。
2023年01月13日アーティストの楽曲をもとにしたオリジナルストーリーを創り、それを豪華声優陣が朗読するという音読stage『Story of Songs』。その第1弾のアーティストとしてORANGE RANGEが選ばれた。あの『以心電信』や『上海ハニー』などの楽曲がどのように表現されるのか、そしてどんな思いを込めているのか。ORANGE RANGEのRYOと、演出を担当する元吉庸泰に話を聞いた。最初に本作の話を聞いたときの印象について、RYOは「僕らとしてはありがたいですし、嬉しい限りです。メンバーはみんな新しいことが好きなので、どうなるんだろうとワクワクしました」と語る。一方、元吉は「アーティスト楽曲を朗読劇にすることはままあるのですが、今回のORANGE RANGEという攻めたチョイスを聞いて、『マジで?』と返したことを覚えています」と笑う。元吉によれば、脚本を担当する3人(三浦香、谷碧仁、福田響志)に、ORANGE RANGEのメッセージ性が強くメジャーな曲で1つ、そしてそれぞれが好きな曲で1つ、計2つずつ脚本を書くように依頼したところ、「奇跡的なバランス」で楽曲と本が決まったという。元吉は「僕としては、『*~アスタリスク~』の楽曲を全体的なテーマとして掲げているのですが、作家が思い思いに書いてくれたことをストレートに空間に投げることができたら、それが正解に近いのではないかなと思っています」と構想を話し、「物語と声優の声と音楽と空間と。まるでプラネタリウムで星を見ているかのような、ラグジュアリーなものになれば」と語った。それに対してRYOは「『papa』や『雨』など、あまりフューチャーされない曲を(劇中曲として)拾ってくれたのが嬉しかったですし、クリエイターの方々が曲を聞いてきてくれたことが感じられて、それも嬉しかったです。続けていてよかったなと思いました」といい、「ORANGE RANGEの曲の可能性みたいなものも見てみたいし、どうなっていくのか純粋にワクワクしています。素晴らしい才能が集結していますから、あとはお客さんと一緒に楽しむだけですね」と期待を寄せていた。全9公演総勢63名の人気声優が登場することも見どころ。元吉は「日本の声優さんは世界に誇るべきものだと思っています。ものすごい量の物語に関わってきているので、それぞれにストックがある。細かい演出をつけるのではなく、思い思いに心を動かしてもらいたいと考えています。心を動かしてもらえれば、その方がたどってきた人生や物語のストックによって変化が生まれて、面白くなると思っています」。【-音読stage-Story of Songs Track1 ORANGE RANGE】は2023年2月8日(水)~12日(日)、ヒューリックホール東京で上演される。取材・文:五月女菜穂
2023年01月13日「ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン 青学(せいがく)vs氷帝」が、1月7日(土)に東京・TACHIKAWA STAGE GARDENで開幕した。2021年5月のお披露目会に始まり、これまで地区予選・都大会と2回の本公演を行ってきたテニミュ4thシーズン。関東大会緒戦の様子が描かれる今回は、青春学園中等部テニス部の主人公・越前リョーマ(今牧輝琉)や部長・手塚国光(山田健登)らの前に、「敗北した者は即レギュラー落ち」という徹底した実力主義の氷帝学園中等部が立ちはだかる。一幕は氷帝による華々しいプロローグで幕を開けた。テニスにすべてを捧げる決意を歌い上げる青学(せいがく)のナンバーで校内ランキング戦が繰り広げられる中で、前回リョーマに敗北して控えとなった乾による得意のデータテニスや、部活に来なくなってしまう桃城の葛藤などが綴られる。テニミュ4thシーズン初参加の氷帝キャストも個性を存分に発揮し、第1試合のダブルスでは向日(小辻 庵)が青学(せいがく)・菊丸(富本惣昭)と華やかなアクロバット対決を披露。宍戸(広井雄士)と鳳(明石 陸)による氷帝“最強”ペア、唯一無二のパワープレイヤー・樺地(栗原 樹)も、都大会を経てさらに力を高めた青学(せいがく)を迎え撃つ。二幕の見どころは、何と言っても両校の部長が激突する第4試合のシングルス1だろう。氷帝・跡部役の高橋は、安定した歌声と名ゼリフ「俺の美技に酔いな」を繰り出し、客席を魅了した。青学(せいがく)・手塚役の山田も魅惑の低音を轟かせる一方で、調子を崩してしまう様子を緩急のある息遣いで表現する。テニスでの死闘はボーカルで表現され、二人の熱い掛け合いが胸に迫った。出場の機会をうかがう控え選手のリョーマ、氷帝の次期部長候補・日吉(酒寄楓太)の動向も見逃せない。ラストのカーテンコールではキャストが客席を降りる演出もあり、駆け回る足音が劇場中に響いた。開幕に際して、青学(せいがく)・越前リョーマ役の今牧は「劇場内は“熱い冬”なので外との寒暖差で風邪をひかないで(笑)」とコメント。青学(せいがく)・手塚役の山田が「普段仲のよい跡部役の(高橋)怜也くんと真正面からぶつかり合う姿を背中で青学(せいがく)部員に見せていけたら」と意気込むと、名指しされた氷帝・跡部役の高橋も「僕たちがいちばん熱い試合を届けるつもりで稽古をしてきたので、その想いを初日にぶつけたい」と受けて立つ。氷帝・日吉役の酒寄は「リョーマに勝つ!という気持ちはもちろん、跡部さんに下剋上する!という気持ちも最後まで持ち続けたいです」と抱負を述べた。東京公演は1月15日(日)まで。大阪・福岡・岐阜と巡演したあと、2月25日(土)〜3月5日(日)に東京・TOKYO DOME CITY HALLで凱旋公演を行う。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2023年01月13日ソリストの個性と優れたテクニック、指揮者や奏者たちとの生きたコミュニケーション、そしてオーケストラの豊かなサウンドを楽しむことができる、協奏曲の世界。2月8日に東京オペラシティコンサートホールで行われる「明日を担う音楽家たち2023~新進芸術家海外研修制度の成果」では、異なる楽器を奏でる4人の若きソリストがステージに立つ。彼らはいずれも厳しい選考を突破してチャンスを掴み、文化庁の「新進芸術家海外研修制度」により海外で研鑽を積んだ、気鋭の奏者ばかり。それぞれが憧れのコンチェルトのレパートリーをもって、角田鋼亮指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団と共演する。レアな作品から有名曲まで、オーストリア、フランス、ブラジル、ロシアをめぐる、バラエティに富んだ4つの協奏曲が揃った。チェロの三井静は、オーストリアのザルツブルク・モーツァルテウムとウィーン市立音楽芸術大学で学び、現在は、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のチェロ奏者として活動する。彼が研鑽を積んだ地、オーストリアが誇る大作曲家、ハイドンのチェロ協奏曲第2番で、優美で気品あふれる音楽を披露してくれる。袴田美帆は、2022年にパリ国立高等音楽院修士課程を修了、現在も同音楽院の室内楽科と即興科でさらなる研鑽を積みながら活動するサクソフォーン奏者。演奏するのは、20世紀フランスの作曲家、アンリ・トマジの作品。彼女より約100年前にパリ国立音楽院で学んだいわば“先輩”の手によるサクソフォーン協奏曲で、楽曲への共感を示してくれることだろう。東京藝術大学卒業後、フランスのリヨン国立高等音楽院大学院を修了した長哲也は、現在、東京都交響楽団の首席ファゴット奏者として活動する。彼が選んだのは、ブラジルを代表する20世紀の作曲家、ヴィラ=ロボスの「7つの音のシランダ~ファゴットと弦楽合奏のための~」。演奏機会の少ない隠れた名曲を生演奏で聴くことができる、貴重なチャンスだ。大崎由貴は、東京芸術大学ののちザルツブルク・モーツァルテウムで学んだピアニスト。これまでにもソリストとして国内のオーケストラと共演してきた彼女は、今回、ロマンティックな音楽が広く愛されるマスターピース、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏する。壮大なスケールの音楽、華麗なピアノのテクニックを存分に味わうことができるだろう。フレッシュなソリストたちが、ヨーロッパの空気を吸い、文化を生き、音楽を学んできた成果を披露する、一夜限りの華やかなコンサートとなりそうだ。
2023年01月13日東京・明治座公演を皮切りに全国8箇所で上演される舞台『巌流島』。歴史に名を残す2人の剣豪・宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の戦い」を、新解釈で描く令和版アクション時代劇だ。昨年10月、巌流島(山口県下関市関門海峡/正式名称:船島)で行なわれたオンライン製作発表会見。武蔵・小次郎像をバックに、武蔵役の横浜流星、小次郎役の中村隼人、演出の堤幸彦が、公演への意気込みと見どころを語った。当初2020年7月~9月にかけて上演される予定だった本公演。「一度中止になり、悔しさを感じていましたが、改めて上演が決まってとても嬉しいです。あの時から積み重ねてきたものを全て注ぎ込み、深みのある武蔵を演じたいです」と、まず流星が力強く挨拶。続いて、歌舞伎以外では初の本格的な舞台出演となる隼人が「一度初日に向けて稽古をしていたカンパニーに途中から入っていくことに少しプレッシャーはありますが、自分が入ることで新しいエネルギーを吹き込めれば」と意気込む。演出を手掛けるのは映画監督としても活躍する堤。舞台では『真田十勇士』、『魔界転生』などの大型時代劇アクションの演出経験も豊富だ。「巨大なLEDの背景を駆使しながら、本来ある演劇の力強さと、現在のテクノロジーを融合させた舞台における最新形をお見せしたい」と演出構想を語り、「武蔵と小次郎はある意味、運命の相手。それは友情、あるいは恋愛にも近い感情かもしれない。史実では、決闘は一瞬にして雌雄(しゆう)を決したと言われているが、そうはさせません!侍が“命を懸ける”という意味を問いながら、お客さまの胸に迫ってくるような二人のドラマをしっかり描きたい」と本舞台ならではの見どころを語った。令和版『巌流島』の脚本は、マキノノゾミが新解釈と新設定で書き下ろしたもの。「結末は同じでも、そこに行きつくまでの過程が今までの映画やドラマとは違ったものになりそう。小次郎のキャラクターが濃ければ濃いほど、武蔵のキャラクターも際立ってくると思うので、脚本をより深く読み込んで役づくりしていきたい」と隼人。続けて流星は「脚本には武蔵の心の揺れが深く描かれています。史実を大切にしながらもその内面を大事に、舞台で自分にしか出せない新たな武蔵を生きることができれば」。それぞれの役に対する思いの後、「武蔵・小次郎の熱い関係性、それぞれの生き様など見どころはたくさん。必ず皆様の心に響く作品をお届けします!」と流星が締めくくった。会見前に、武蔵・小次郎ゆかりの地である小倉城や手向山(たむけやま)も訪れたという3人。各々が肌で感じたというパワーとエネルギーが舞台上でどのように結実するのか楽しみだ。公演は3月18日(土)~27日(月)福岡・博多座、ほか東京、石川、新潟、秋田、愛知、兵庫、香川公演もあり。福岡公演のチケットは1月13日(金)11時~20日(金)11時までプレリザーブ受付。1月28日(土)一般発売開始。
2023年01月13日2020年3月に東京で上演、コロナ禍で大阪公演が中止になったオフ・ブロードウェイ・ミュージカル『悪魔の毒毒モンスター』。この度“REBORN”と銘打ち、パワーアップして再演が決定、大阪に初登場する。この作品は伝説のカルト・ムービーを2009年に舞台化したスプラッタアクションホラーコメディミュージカル。舞台はアメリカ・ニュージャージー。いじめられっ子だった少年・メルビンが産業廃棄物で汚染された街を救おうと立ち上がる。しかし、汚染の黒幕の市長によって廃棄物のドラム缶に放り込まれ、突然変異で醜い緑色のモンスターに!怪力を得たメルビンは街の悪者を次々と倒すが…という物語。主演の福田悠太(ふぉ~ゆ~)と演出の池田テツヒロが、作品の魅力、大阪公演への意気込みを語った。「悪魔の毒毒モンスターREBORN」 チケット情報毒毒モンスターに変身する福田は、顔の3分の2をマスクで覆い、暑く、動きにくく、最後は背中の痛みに耐えながら…という苦行だが「初演のときは、コロナの規制がない自由を感じられて楽しかった。痛快でした」と笑顔で話す。出演者は5名で、盲目のヒロイン・サラに平野綾、林翔太は12役、宮原浩暢(LE VELVETS)は16役も演じ分け、ベテランの霧矢大夢まで市長など3役を兼ねる。「一流の方々がバカをやるという贅沢さです」と池田。また、生演奏の音楽も「名曲ぞろいでノリやすい」(池田)、「ロックライブという感じ。いい曲で、ずっと口ずさんでました」(福田)とお気に入りだ。池田が前回やりたくてもできなかったのが観客参加の演出。「今回はちゃんと皆様に参加していただける工夫をいっぱい作っています。どんな状況でも楽しめるように、できる範囲内で最大限のことをします」とペンライトも販売する。「冒頭からタブーで始まる芝居で、コンプラアウトなセリフもいっぱい。ヘンテコなマスクかぶって、お芝居もチグハグに進行していくミュージカルですが、最後にはかっこいいなと思えてくるから不思議。この時期にやる意味がある深いメッセージが込められているので、私はセリフも演出も変えず、その気持ちだけは勝手に乗っけようと思っています」。また福田は、大好きな作品を大阪で上演できることを素直に喜ぶ。「今、必要なものはこれかもしれません。僕にとってもお客様にとっても大事なものって。僕はかぶりものをすると、さらに本音が言えて、僕のすべてをさらけ出しているような気持ちになるんです。いじめられて引っ込み思案だった子が、身体が大きくなって気持ちも強くなる。メルビンはまさに僕のことです。ぜひ、何も背負わず、裸な気持ちで劇場に来てください。一緒に盛り上がりましょう!」。公演は1月14日(土)から22日(日)まで東京・EX THEATER ROPPONGI、1月27日(金)から29日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2023年01月12日「できるだけお能を身近に感じていただけるように」というコンセプトのもと、子供やお能初心者に向けて大阪市が開催する伝統芸能鑑賞会『みんなでお能を楽しもう』。1日目は「大槻能楽堂で館内ガイドツアー~能楽堂のオモテとウラをご案内」と「はじめての能楽の世界」、2日目は「こどもとたのしむ“お能”の世界」の3プログラムで構成される。この催しに取り組むのは、次代の能楽界を担う20代・30代の若手能楽師たち。その中から、観世流能楽師(シテ方)の上野朝彦、能楽囃子ユニット「ナニワノヲト」の貞光智宣(笛方)・成田奏(小鼓方)・中田一葉(太鼓方)の4人が取材会に参加、それぞれの思いを語った。「伝統芸能鑑賞会 みんなでお能をたのしもう」 チケット情報700年前に作られ、そのまま現在に継承されてきた伝統芸能の能楽。「娯楽多様化の中で、敷居が高くなってきた。能は変えてはいけないものですが、変えていくべきものがある」と話す上野。「能舞台の内側や装束一つ一つにある意味、どんな曲目か、すべて知ってお能を観てもらえれば、きっと感動していただけると思う」。レンタルされる足袋をはき、大槻能楽堂内を解説付きで見学する「ガイドツアー」は、能楽堂ならではの独特の設備や空気感が味わえる貴重な体験だ。「はじめての能楽~」では、能とお囃子の解説から、お囃子(はやし)演奏に質問コーナー、最後に半能『田村』を解説付きで上演する。「年齢層に合わせた解説が必要と思っています。小鼓のきれいな、かっこいい構え方を伝えたい」と成田。参加者は笛の音の聞こえ方を言葉にしたような“唱歌(しょうが)”を歌い、貞光は能管(能の笛)で合奏する。「和楽器の魅力を伝え、日本の音により親しみを持ってもらうために頑張ります」と意気込む。2日目の「こどもとたのしむ~」では、より丁寧な解説にお囃子演奏、能で斬組ミ(きりくみ)と呼ばれる迫力ある斬り合いのシーンも紹介し、最後に解説付きで半能『舎利(しゃり)』を上演。「太鼓の出番が少ない能ですが『舎利』では太鼓が活躍します。自分の国にある音を知らない人が多いので、大切な催しだと思っています」と中田。2プログラムともに舞台上に装束と能面が展示され、写真撮影もOKだ。清水寺で古代の武将・坂上田村麻呂の霊が僧に不思議な力で敵を退治した話をする『田村』、お寺から盗まれたお釈迦様の歯を俊足の神・韋駄天が取り返す『舎利』。「ともにすごく動きのある曲を選びました」(上野)。「お能の舞台には根底に大きな力がある」(貞光)という能の魅力。「これをきっかけにお能が少しでも身近になってもらえたら。みんなの思いが込もった催しです」。「ガイドツアー」と「はじめての能楽の世界」は1月13日(金)、「こどもとたのしむ“お能”の世界」は2月18日(土)、大槻能楽堂にて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2023年01月12日テレビ大阪で放送中の音楽バラエティー「音楽爆弾」から、"奇天烈!?芸人"野性爆弾くっきー!&ロッシーがプロデュースする音楽の祭典が爆誕!3月4日(土)・5日(日)の2日間、大阪城音楽堂にて『ONBAKU! FES.2023』が開催される。「ONBAKU! FES.2023」チケット情報4日(土)に、日本を代表するヒップホップグループ・梅田サイファー(※R-指定は出演致しません)、よしもと芸人グループ・ZiDol、5日(日)によしもと漫才劇場に所属するパーティーロックバンド・ジュースごくごく倶楽部の出演が決定した。また、吉本の超人気タレントたちの出演日も決定!4日(土)はとろサーモン・久保田かずのぶ、ゆりやんレトリィバァ、5日(日)はCOWCOW、見取り図が出演する。コロナなどで、まだまだ閉塞感をぬぐい切れないニッポン。早く自由になりたい。大切な人たちと笑い合いたい。音楽でこの鬱屈とした気持ちを爆発させたい!そんな空間を野性爆弾が創造する――。でも、きっと普通じゃない。ただで終わるはずがない。召喚されたアーティストや吉本芸人たちも、ただのネタを披露はしない。野性爆弾に操られながら、ココでしか観られない音楽ステージを奏でる。そして、気づけばオーディエンスも"野性爆弾の旋律"に合わせ、踊り出さずにはいられないはず。チケットは、2月11日(土・祝)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、1月22日(日)23:59までイベント二次抽選先行、ファミリーマート先行を受付中。
2023年01月12日最もチケットのとれない落語家・柳家喬太郎の独演会。2018年浪切ホール初登場から、毎年落語会を開催。今年11月に還暦を迎える喬太郎師匠にお話を伺いました。「柳家喬太郎 独演会」 チケット情報――独演会お疲れ様でした!大阪のお客様の反応はいかがでしたか?(※2022年12月終演後インタビュー)本日も楽しくやらせていただきました♪ありがたいことに関西に伺う機会も増えまして、以前は"東京の落語"は受け入れてもらえるのかな?と思っていましたが、今は東京も大阪も関係ないと思っています。"東京の落語"に興味があり、聴いてみようと思ってくださるお客様ばかりですので、非常にやり易いです!――2023年は喬太郎師匠もいよいよ還暦。2021年に浪切ホール出演の立川志らく師匠も還暦を迎えられるお一人ですね?もう~還暦なんてイヤになっちゃいますね(笑)。志らく兄(あに)さんとは、年齢は同じですが、芸歴は何年もあちらが先輩です。ただ、志らく兄さんも私も日大出身で、志らく兄さんは芸術学部で、私は商学部。さらに、お互い落研(=落語研究会)に所属していたので、学生時代から知ってるんですよ。当時は「新間(しんま)くん~、新間くん~」って呼んでました。あと、こちらも芸歴は先輩ですが三遊亭白鳥(さんゆうていはくちょう)兄さんも還暦で、昭和38年組なんです。なんとなく一緒に年を重ねられる仲間たちがいるのは、心強いですね。――還暦を迎えるにあたり抱負はございますか?最近時々聞かれるようになったのですが、本当に特にコレといった抱負もなく、"体に気をつける"ということだけです。芸歴ということであれば、2019年に芸歴30周年記念をやらせていただきましたが、60年生きてきたのは本名の自分のことです。落語家としてどうこうよりも、人として今まで以上に益々精進しなければなと思っています。物忘れが増えたり、体力的にもしんどくなると思いますので、その部分は今まで以上に気をつけながら、新作を作ったり、古典も新しいものを覚えたりと、自分を奮い立たせて頑張りたいですね。「柳家喬太郎 独演会」」は、5月20日(土)大阪・南海浪切ホール 大ホールにて開催。チケットは、2月26日(日)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、1月28日(土)から2月2日(木)までチケット先行抽選プレリザーブの受付を実施。
2023年01月12日韓国芸能ニュースメディア「Dispatch(ディスパッチ)」の創立10周年を記念したコレクション・エキジビションであるK-POPフェス『D’FESTA OSAKA』が、2月12日(日)まで大阪南港ATC特設会場で開かれている。ENHYPEN、TXT、STRAY KIDS、NCT DREAM、NCT 127、TWICE、SEVENTEEN、BTS、NU’ESTという9組69アーティストのオリジナルコンテンツを展示。「THE MOVIE」「THE EXHIBITION」「THE EXPERIENCE」「THE ARTIST PIC」「THE GACHA」、「THE CAFE」という6つの演出で構成されている。Dispatchがこのフェスの為だけに撮り下ろした特大パネルが並ぶアーティスト写真エリア「THE EXHIBITION」では、各アーティストの直筆サインも必見。続く直筆絵日記「PICTURE DIARY」と併せて、それぞれの個性やセンスを堪能できる。東京でも好評を博した「THE MOVIE」では、大型ビジョンに『DʼFESTA』オリジナルのパフォーマンス映像を公開。45分間というボリュームで、高精細のステージ映像と5.1チャンネルサウンドの音響は臨場感も抜群。場内には階段状の観覧スペースもあるので、座っての鑑賞も可能だ。「THE MOVIE」の映像と、砂漠や宇宙空間などのビジュアルをミックスしたメディアアートを体験できる「VIRTUAL STAGE」もお見逃しなく。四方を囲む大画面の映像が鏡張りの床に反映され、強烈な美の中を浮遊しているような感覚も楽しめる。なお、この空間は撮影可能となっている。9グループの成長の軌跡を知りたいなら「MEMORY ROOM」がおすすめだ。LEDライトの光で照らされた、Dispatchが10年間撮影し続けた9グループ・69アーティストの秘蔵写真が掲出。こちらも鏡を用い、非日常的な浮遊感を演出している。出口の手前には約50メートルにわたって9グループの等身大パネルが並ぶ「BE TOGETHER」があり、パネルの手前に設置されたベンチに座っての写真撮影を楽しめる。そのほか、有料コンテンツとして、推しグループのメンバーとランダムで写真撮影ができるフォトブース「THE ARTIST PIC」や「THE GACHA」、希望のグループのスリーブがランダムで提供される「THE CAFÉ」がある。このスリーブは『D’FESTA OSAKA』オリジナルのコンテンツだ。12月20日の初日にはオープン前に500名のファンが長蛇の列をなした。訪れたファンからは「何時間でも楽しめます。1日中、いられます」、「VIRTUAL STAGEが楽しかった」「今の韓国のトレンドがわかる」といった声が寄せられた。取材・文/岩本
2023年01月11日あの日、もし違う選択をしていたら……。もう少し勇気を出していたら……。青春時代の初恋と、あったかもしれない未来を、懐かしさとほろ苦さの中に描いていくミュージカル『once upon a time in海雲台』が1月10日(火)に東京・浅草九劇で開幕した。演出は渡邉さつき、出演は山田元、MARIA-E、中村翼、入絵加奈子。物語の舞台は今よりちょっと昔、1992年。東海で日の出の写真を撮ろうと清涼里駅を出発したラ・チョンは、電車に乗り間違え、まったく方向違いの釜山・海雲台へ行ってしまう。戻るにも終電はすでに出ており、電車でチョンと親しくなった女の子、ユン・ヨンドクは始発まで彼に付き合ってあげることに。次第に距離を縮めていく二人だったが、そんな彼らを遠巻きに見ているおばあちゃんと青年がいた。実は彼らは2050年の未来人で、おばあちゃんはこの時間を守る“タイムトレイン旅行ガイド”。青年はタイムトレインの旅行者だが、どうやら何か目的があるようで……。SF的設定と、ちょっぴりレトロな世界観が融合し、誰にでもある「戻りたいあの日」の記憶を揺り起こしていく。キャストはわずか4名ながら、見ごたえ充分。ラ・チョンを演じる山田は若さゆえの真っ直ぐさ、熱さを全面に出し爽やか。対するヨンドクは大人っぽい少女で、溌溂とした少女を演じることの多いMARIA-Eとしては珍しい役どころになったが、自分の夢や将来に悩む少女の繊細さをてらいなく表現していて魅力的だ。この二人が等身大の恋模様を描き出すところに、ファンタジー視点と波乱を持ち込んでくるのが中村演じる青年ビン。思いのままに突っ走り入絵扮するガイドをも振り回すが、そのピュアさが伝わってきて憎めない愛らしさ。そして入絵はコミカルに客席を沸かせながら、決して“お笑い要員”にならない存在感が絶妙だ。彼女の歌声が物語の深みを体現したと言っても過言ではない。作・音楽は、『SMOKE』『BLUE RAIN』『ルードヴィヒ』などで知られる韓国のヒットメイカー、チュ・ジョンファ(脚本)とホ・スヒョン(作曲)のコンビ。歴史上の偉人を題材にとることが多い彼らだが、今作はとても身近で日常的な情景を描いていて新鮮だ。音楽も90年代ポップスを想起させるような軽やかなナンバーが印象的。ゴールデンコンビの、いつもとはひと味違う魅力が堪能できる。過ぎ去った日を振り返り、想像する“あり得たかもしれない未来”は美しく、少し苦しい。しかし胸に残るのは悔恨の思いではない。思い出は切なさとともに心の小箱に大切にしまい、皆、それぞれの人生を生きる。ロマンチックな初恋を甘酸っぱく描きながら、どんな選択をも肯定しているかのような前向きなメッセージも伝わってくる、珠玉のミュージカルだ。公演は1月16日(月)まで同劇場にて。チケットは発売中。取材・文:平野祥恵
2023年01月11日2018年に結成20周年を迎えたthe band apartが周年記念として企画していた地元・板橋区での野外フェスが、5年の延期を経て、25周年記念フェスとして開催される。会場は当初より予定していた、メンバーの地元・板橋区荒川沖のバーベキュー場。日程は4月15日(土)・16日(日)の2日間開催となる。「ITABASHI × TANITA × asian gothic label presents ITa FES “the band apart 25th anniversary”」チケット情報1日目はゲストバンドを招いたフェス形式、2日目はthe band apartワンマンを予定している。本フェスは、板橋区および板橋区に本社を置く株式会社タニタと共同で開催。タニタとのコラボレーションにより、枚数限定でコラボ歩数計付きチケットが販売されるほか、通常の音楽フェスとは異なる「ヘルスケア」を打ち出した企画も予定されている。チケットは、1月29日(日)23:59までオフィシャル先行(抽選)を受付中。
2023年01月10日スケートボードに情熱を燃やす主人公たちの姿を描いたアニメ『SK∞ エスケーエイト』。好評を博した舞台版の第1部に続き、第2部が上演される。今回初めて主人公の暦を演じる武本悠佑、第1部に引き続き暦の相棒・ランガを演じる滝澤諒、ふたりはこの作品をどのように感じているのだろうか。――第1部を振り返って、どんなことを感じますか?滝澤みんなで0から創り上げたっていう思い出がありますね。“S”というレースをどう演出するかが大きな課題で、みんなで試行錯誤しながら、台車とアンサンブルの皆さんの力とで今までにない形でスケボーのレースを再現できました。武本今回は稽古2日目に、もう最終局面のレースの動きをつけたんですよ。最後に見る景色を見ることができて、目標地点がわかりました。これが仕上がったら観に来てくれたお客さん全員を感動させられるんじゃないかな。本当にすごく熱いストーリーで熱い演出になっていると思います。――第2部での、自分の演じるキャラクターの見せどころは?武本暦は、周りのみんなが自分よりずっと格上だって気づいてどんどん落ち込んでいきます。それをどう乗り越えるかが見どころ。でもスケボーが大好きで、愛される部分がたくさんあるからこそ、ランガたちが支えてくれる。「みんな暦が大好きなんだな」と思ってもらえるような暦を創りたいですね。滝澤暦とランガが仲直りをするシーンが大好きなんです。原作を知っている方にとっても好きなシーンじゃないかと思うし、その場面を演じられることが嬉しい。すごく良いシーンで、「青春だな」という感じがします。武本楽しみですよね。キャラクター同士、年は離れていてもずっと一緒にいたり絆が生まれたり、青春に年齢なんて関係ないと思います。滝澤原作を知っている方にはこの舞台を観て「改めてこの作品に出合えて良かった」って思ってほしいし、原作を知らずに観た方には「アニメも見てみたい」って思ってもらいたい。原作へのリスペクトを込めつつ、舞台にしかできない表現方法で皆さんの心を熱くしたい。びっくりするような表現をした場面もたくさんあるので、ぜひ劇場に観に来てほしいと思います。武本どんな悩みを抱えていても、観たら必ず「前向きに頑張ろう」っていうマインドになって、今日よりもっと良い明日に踏み出せる。そんな作品だと思いますし、そういうステージにします。お楽しみに!公演は1月11日(水)から15日(日)まで東京・THEATRE1010にて。1月14日(土)、15日(日)公演はライブ配信も実施。取材・文:金井まゆみ
2023年01月06日1865年に刊行された世界的な人気児童小説『不思議の国のアリス』。1871年には続編『鏡の国のアリス』が発刊され、実に約160年にわたり愛され続けてきたアリスの冒険譚を、貴重な挿絵や派生した作品群を通して紐解く「アリス-へんてこりん、へんてこりんな世界-」が、あべのハルカス美術館にて開催中だ。「アリス -へんてこりん、へんてこりんな世界-」チケット情報英国ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)が企画した世界巡回展に、日本オリジナルの内容をプラスした同展。5章に分かれた展示は、第1章『アリスの誕生』から始まる。英国の博識家/数学者であるチャールズ・ラトウィッジ・ドジソンが知人の娘・アリスに語った創作話を、ルイス・キャロルの筆名で発刊。当時の構想メモやジョン・テニエルが描いた挿絵、ドジソンが撮影したアリスのポートレートなどで物語が生まれた往時へ旅することができる。2章『映画になったアリス』では、サイレント映画やお馴染みのディズニー作品、本展で日本初公開となったティム・バートン監督の映画『アリス・イン・ワンダーランド』のキャラクターデザインなど、書籍を飛び出して広がるアリスの世界を集約。さらに、サルバドール・ダリや草間彌生らさまざまなアーティストの作品から、カウンターカルチャーやドラッグカルチャーをも飲み込んだ新たなアリス像を知る3章のほか、舞台衣装やヴィヴィアン・ウエストウッドによるアンサンブルと、約300点もの作品や映像演出が集結する。とりわけ目を引くのが、物語を象徴するシーンを具現化した独創的なインスタレーションだ。消えては浮かぶチェシャー猫、移りゆくマーブル模様が投影されたマッド・ハッターのお茶会。加えて、アリスの体が大きくなったり首が伸びたりする場面を立体的に体感できる造作も交え、脳内をアリス・ワールドに塗り替えられる不可思議なアート体験がもたらされる。開催に先立って行われた内覧会には、本国V&Aの展示部門責任者、ダニエル・スレーターが登場。「本展は、ただアリスと彼女にまつわる遺産を紹介するものではありません。長く引き継がれる創造性、世代を超えて広がる影響力。ある人物の創造性が他の人物の創造性をどのように刺激するのか、そのプロセスを視認できるものでもあります」と語る。さまざまな視点で描き出すアリスの物語は、鑑賞後に全く新しい創造の世界を開くことだろう。「アリス-へんてこりん、へんてこりんな世界-」は2023年3月5日(日)まで。取材・文・撮影:後藤愛
2023年01月06日佐々木蔵之介がほれ込んだ演出家、ルーマニアの巨匠シルヴィウ・プルカレーテと舞台で2度目のタッグを組む。2017年の『リチャード三世』に続き、今回は生誕400年を迎えたフランスを代表する劇作家モリエールの傑作喜劇『守銭奴』だ。蔵之介が演じる主人公のアルパゴンはハゲ頭の60歳、何よりも金が命の超ドケチ親父。身内や召使に過酷な節約を強要し、娘の結婚にも反対する中、突然アルパゴンが結婚を宣言する。その相手はなんと息子の恋人で…。この作品をプルカレーテがどう演出し、蔵之介がどう挑むのか。大阪公演の開幕直前、蔵之介に見どころを聞いた。『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』チケット情報東京公演を経て「まず、この舞台美術だけでも見てほしい。汚いものが圧倒的に美しく見える、美術も照明も素晴らしい」。部屋を仕切る壁は可動式で半透明のビニール。「見えないけど、なんとなく見える。同時進行で何かが行われているぞ、というような」。パリ在住のプルカレーテがモリエール作品を提案し、そこから蔵之介が『守銭奴』を選んだ。「1日だけの話だし、こんなハゲ頭のジジイ役もやったことがなかったから。映画でもドラマでも無理、ここまでやれるのは演劇の成せる技。想像力を媒介としてお客様が楽しめるのでは、と。ただ、かっこいいセリフがひとつもなくて、それは後悔しました(苦笑)」。アルパゴンの役作りは「猜疑心を大事にしました。ドケチで強欲で、人を疑い続けている男。そのドケチを1周回って、ちょっとチャーミングにできたらいいなと」。物語は前半から不穏な空気が流れる。「喜劇を観に来たのに、何これ? という。これはプルさん(プルカレーテ)の真骨頂なんです。日本人の笑いの感覚とは違うテイストの笑いや、乾いた笑いのようなものがある。お客様も最初とまどいながら、だんだん笑い出して」。そして最後は戯曲通り、いきなりのハッピーエンド。舞台は突然カーニバルに!?「何が出てくんねん、こいつらなんやねん! なんだかんだ言って一番大事なのは豚の丸焼きかい! みたいな(笑)。プルさんが『もう、ここまでやっちゃう』って演出したんです(笑)」。その鬼才ぶりをいかんなく発揮する、プルカレーテ演出の独創的世界。「こんな種類の演劇はなかなか日本で観られないので観てほしい。何よりも関西のお客様に観てほしいという思いがありました。翻訳劇の笑いって悲劇より明らかにハードルが高い。大阪のお客様は、絶対こういうものを受け入れる度量があると思うし、楽しんでいただけると思っています」。大阪公演は1月6日(金)から9日(月・祝)まで、森ノ宮ピロティホールにて。チケット発売中。取材・文:高橋晴代
2023年01月06日