チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (46/342)
芸術の秋が到来。緊急事態宣言も解除され、足をのばして芸術鑑賞へ出かけるのも気軽になった。せっかくなら、名画を観賞するだけでなく、アートを体感できる仕掛けでいっぱいのミュージアムへ出かけるのはいかがだろう?「絹谷幸二 天空美術館」チケット情報大阪駅から徒歩約9分。大阪のランドマーク・梅田スカイビル27階に位置する絹谷幸二 天空美術館は、壁画の古典技法「アフレスコ」の第一人者・絹谷幸二の作品を展示するだけでなく、その世界観を余すところなく体験できる最新型ミュージアムだ。大注目は、世界初の絵の中に飛び込む3D映像体験。高さ約3メートル、幅約14メートルの大型ラウンドスクリーンに、空を駆ける風神雷神、口を開けて観客に迫りくる龍神など、絵画の世界を映像と音楽で表現。「手を出せば掴めるのではないか?」と思うような臨場感、アトラクションのようなスピード感のある展開で、大人だけでなく子どもたちからも人気を集めている。さらに、画家とつながるVR体験では、絹谷幸二本人が美術館の作品を解説するほか、東京のアトリエをバーチャル訪問。普段は見ることのできない制作風景を見学できるなど、画家の素顔に触れることもできる。もちろん、絵画作品も充実している。絹谷芸術の原点であり、今や代名詞でもある「アフレスコ」を豊富に揃えるほか、巨大な立体作品も展示。現在開催中の特別展示『ARS VITA ESTA 藝術は人生~色彩画家の軌跡~』では、ひとつのスタイルに甘んじることなく、常に新しく進化を続ける絹谷芸術の変遷をたどることができる。ミュージアムでたっぷりアートを楽しんだあとは、併設の「天空カフェ」へどうぞ。大きな窓から大阪の街が一望できるほか、大阪湾に日が沈み、刻々と空の色が変わっていく様子も眺められる。コーヒーやスイーツ、イタリアのワインやビールとともに、高層階ならではの絶景をぜひ味わってほしい。絵画を鑑賞する、3D映像やVR映像で作品世界を体験する、カフェでアートの余韻に浸る…いろんな楽しみ方ができる最新型ミュージアムで、芸術の秋を満喫してみては?
2021年10月18日NAPPOS PRODUCE 舞台『トリツカレ男』が、10月16日に開幕。前日に行われたゲネプロの模様をレポートする。いしいしんじの小説(新潮文庫)を演劇集団キャラメルボックスが舞台化し、好評を博した本作。2009年にはアトリエ・ダンカンプロデュースによる音楽劇も上演された。今回は過去のキャラメルボックス版と同じく、成井豊が脚本・演出を手がける。レストランでウェイターとして働くジュゼッペは、何かを好きになると寝食を忘れて没頭することから“トリツカレ男”と呼ばれている。三段跳びに熱中した結果、世界新記録まで出すほどの彼が次に取り憑かれたのは、外国から来た少女ペチカだった──。主人公ジュゼッペに扮するのは、『かがみの孤城』『成井豊と梅棒のマリアージュ』(ともに2020年)で成井作品に出演が続く梅棒の野田裕貴。奥行きのある舞台奥からツラまで実際に三段跳びしながら登場し、持ち前の高い身体能力をオープニングから発揮した。ペチカへの純粋な想いが募るあまり、終盤にかけてジュゼッペが覗かせる一種の“狂気”を、野田は全身で体現する。特にスローモーションを駆使したはしごのシーンは必見。映像や装置に頼らないアナログな場面ながら、大いに息を呑むだろう。彼の恋路を見守るハツカネズミのトトには、初演(2007年)・再演(2012年)とジュゼッペを演じた畑中智行がキャスティングされた。同じ作品内での役替わりに際して、成井から「主人公の幸せをいちばん願うバディ役は、これまでジュゼッペを演じて気持ちを掴んだ畑中こそ演じるにふさわしい」という言葉を贈られた通り、ナチュラルなたたずまいでジュゼッペに応援の手を差し伸べる。危なっかしい彼の言動に肝を冷やしツッコミを入れる場面も多く、畑中は緩急自在のタイミングで観客と劇世界を繋げる役割も果たした。ジュゼッペの想い人・ペチカもまた、故郷のとある人物に“トリツカレ”ている役どころ。演じる原田樹里は、可憐に立ち上げるペチカ像の中にジュゼッペと通じる狂気を忍ばせる。そんな二人が迎える恋路の行方は──。また過去のインタビューで原田が「ペチカを想って懸命にひた走るジュゼッペを、街のみんなが全力で支える姿を見たら『欠点含めて自然体に生きていい』と励まされるのではないでしょうか」と語った通り、にぎやかなパフォーマンスが特徴の圧倒的なハッピーエンドに背中を押してもらえるだろう。上演時間は約120分(休憩なし)。公演は10月24日(日)まで、東京・こくみん共済coopホール / スペース・ゼロにて。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年10月18日モノマネ界のレジェンド・コロッケと、退団後も様々なジャンルで活躍の場を広げる宝塚歌劇団の元男役スター・七海ひろきが出演する「令和千本桜~義経と弁慶/コロッケものまねオンステージ2021」が10月9日に開幕、明治座で上演中だ。公演は、第一部にコロッケが弁慶を、そして七海が義経を演じる芝居「令和千本桜~義経と弁慶」。そして第二部にコロッケ活動40周年を記念し「コロッケものまねオンステージ2021 ~40周年鉄板ネタ大放出!~」として、新ネタから鉄板ネタまで網羅し、さらに七海のスペシャルステージも加えた新作ショーを上演する。第一部の「義経と弁慶」は、歴史上有名な二人の京都・五条大橋での出会いからその最後までを辿る物語だ。互いに「ぴったり」と言い合うコロッケの弁慶、七海の義経。若手俳優として舞台を中心に活躍する、高橋健介、蒼木陣、日向野祥が演じる、同じく義経の家来らとのやり取りで笑いを取るのは、コロッケ演じる弁慶ならでは。七海の義経は、幕開きよりフライングにも挑戦。想像のままの麗しさ・カッコよさで舞台を彩っている。2.5次元風のカラフルな衣装や、思わずくすっと笑えるシーンがありつつも、矢島舞美演じる静御前と義経の叶わぬ愛や、上田堪大・川原一馬がWキャストで演じる源頼朝との確執も余すことなく描いた、骨太な芝居となっている。第二部は芸歴40周年となるコロッケのモノマネオンステージ。初日後の会見では、昨年はコロナ禍の影響もあり150本以上の公演が中止となったことで、「幕が開いたことがうれしい」と話したコロッケ。新作の「BTS」や「DA PUMP」、更には自身がスター誕生で話題を呼んだきっかけとなったモノマネを披露など、これまでの鉄板ネタも含めてノンストップでテンポよく披露され、客席からは絶えず笑い声があがっていた。また自身のスペシャルステージでは「シンデレラ・ガール」や尾崎豊の「I LOVE YOU」を披露した七海。初日公演では七海がYouTubeで話題となった「スタイリッシュ体操」を客席も巻き込んで行うシーンも。ジャンル違いながらエンターテイナーとして第一線を走るコロッケと七海、その化学反応で何が飛び出すかぜひ劇場、配信で確かめてほしい。公演は10月21日(木)まで東京・明治座にて。チケットぴあでは各公演前日17時まで当日引換券を販売中。また千秋楽はライブ配信も決定。配信の詳細は公演公式ホームページまで。撮影:岩村美佳
2021年10月18日“ODD”で“踊れる”摩訶不思議な夜、『ODDL PARTY』と銘打ってジャンルレスに集められたダンサブルで中毒性のある3組の競演が、10月27日(水)東京・渋谷 WWW Xで実現。「ODDL PARTY in TOKYO」 チケット情報従来の枠に囚われず、楽曲提供やアートワーク、映像制作などマルチに活躍する次世代のクリエイター・Mega Shinnosukeの出演解禁により最注目の3組が出揃った!その他、8月5日に大阪・心斎橋JANUSで開催された『ODDL PARTY』にて、メジャー初ライブながらソウルフルな演奏で観客を魅了したマハラージャンと、ソロアーティストとしてもそれぞれ高い人気を誇るZEN-LA-ROCK、G.RINA、鎮座DOPENESSによるユニット・FNCYが出演。そしてオープニングアクトとしてkim taehoonの参加が決定!ここでしか見られない特別な一夜になること間違いなし。チケットは発売中。
2021年10月18日「全国共同制作オペラ」の一環として新制作上演される日本オペラの名作、團伊玖磨《夕鶴》[10月30日(土)東京芸術劇場コンサートホールほか]。主役つうでロール・デビューを果たすのがソプラノ小林沙羅だ。いつかは演じたいと願っていた待望の初役。清楚な容姿と可憐な歌声は役のイメージにぴったりだけれど、今回はそのイメージ、つまり白い雪景色の中の美しいつう像自体を捉え直すことになりそう。「演出の岡田さんが目指しているのは、それを打ち崩すようなイメージ。白いつうではない。鶴でさえない。先入観を一度消さないと先に進めないなと思っています」演劇界の鬼才・岡田利規が初めてオペラ演出を手がける舞台。もともと演劇少女だった小林は、小学生ながらに坂東玉三郎主宰の大人向けの演劇塾に参加して直接指導も受けたという経歴の持ち主。演劇への関心はオペラ歌手の中でも人一倍だ。しかしその彼女をしても岡田の舞台作りには新鮮な驚きがいっぱいだという。「ドキッとしたのは、『そこは僕にとってはどうでもいい』という言葉です。たとえば、つうが本当に与ひょうを愛しているのかどうか。演じる私にとってはとても大事なのですが、岡田さんはどちらでもいいと。大事なのはお客さんに本質を伝えることであって、その本質を語るための周りの部分はどうでもいい。もちろん役を演じるうえでは大事なことだけれども、そこから出発するのではなく、お客さんに何かを届けるために最後に必要になる部分。役の心理を深く読み込んで、自分自身とリンクさせるやり方とはまったく逆の方向からの役作りを求められているんだなと強く感じました」そうやって取り組む中で、彼女自身の楽譜の捉え方や音楽の表現も少し変わったという。感情を無にして歌うことで新しいものが見えてきた。「私は表現イコール感情だと思っていたところがあったのですが、じつは表現はもう楽譜に書かれていて、楽譜をきちんと歌っていけば、そこに表現が生まれてくる。それが音楽の本質なんじゃないか。感情はあとから乗ってくればいい。これも今までのやり方とは逆の、私にとって新しいことであり、必要なことだと思っています」つう役は声楽技術的にはけっしてハードルが高くはないが、表現は難しく、師の高橋大海からも「歌い手として熟してから歌わないとダメ」と釘を刺されていたという。それがまさに今。岡田とともに、新しいつう像を生み出してくれそうだ。(文・宮本明)
2021年10月18日ヴァイオリニスト川井郁子が、デビュー20周年を記念して『川井郁子デビュー20周年音楽舞台&コンサート』を12月10日(金)~12日(日)に東京・新国立劇場 中劇場、28日(火)に大阪・梅田芸術劇場メインホールにて開催することが決定した。「川井郁子デビュー20周年音楽舞台&コンサート」のチケット情報はこちら本公演は、音楽家・川井郁子ならではの視点から、波乱万丈の人生を歩んだガラシャの心理に迫る音楽舞台と、20周年スペシャルコンサートという2部構成でお届けする。明智光秀の娘として、激動の時代を生きたガラシャ。歴史の転換期に誇り高く散った彼女の物語は、宣教師により17世紀ヨーロッパに伝えられ、オペラ化されたその作品は壮絶な最期を遂げたマリー・アントワネットも鑑賞し、ハフスブルク家の人々にも大きな影響を与えたという。時代の終焉を象徴するガラシャとアントワネットの生き様を、立体ホログラムやDCを駆使した最先端の映像技術でドラマチックな音楽劇として届ける。第2部では、日替わりで小西真奈美、咲妃みゆ、紫吹淳、中川晃教、秋川雅史といったそれぞれのジャンルで活躍するゲストを迎え、楽曲や歌、舞踊など多種多様なコンサートを行う。川井は、「歴史、文化、様々なジャンルを越境し、音楽との一体感と無限性を感じていただける音楽舞台を目指します。新しい可能性の扉を開く作品となりますように!」と力強いコメントを寄せている。チケットは東京・大阪公演ともに11月13日(土) 10:00より一般発売される。■公演情報■川井郁子デビュー20周年音楽舞台&コンサート第1部音楽舞台『月に抱かれた日・序章』~ガラシャとマリー・アントワネット~第2部川井郁子 with 5 STARs コンサート【日程・会場】<東京>2021年12月10日(金) ~ 12日(日) 新国立劇場中劇場<大阪>2021年12月28日(火) 梅田芸術劇場メインホール【出演】第1部:川井郁子、川井花音、三井高聡(Wキャスト)、小林玲雄(Wキャスト)、藤舎推峰、津村禮次郎、tea 他第2部:川井郁子 with【日替わりゲスト】5人の素敵なスターたちと毎回違ったプログラムによるドラマチックでUnframedなコンサートをお届けします!<各回ゲスト>東京1st:12/10 19時小西真奈美2nd:12/11 13時咲妃みゆ、3rd:12/11 17時 紫吹淳4th:12/12 13時中川晃教、5th:12/12 17時 秋川雅史大阪12/28 18時30分:秋川雅史、紫吹淳
2021年10月15日大河内直子が演出を務める三島由紀夫原作の舞台、unrato#8「薔薇と海賊」が2022年3月に東京芸術劇場シアターウエストにて上演されることが決定した。「薔薇と海賊」は虚実の夢と純愛が詰め込まれた異色のファンタジー。1958年に発表され、同年に文学座が初演した。三島由紀夫自身がこの舞台を、涙を流しつつ観ていたという逸話も残されている。舞台となるのは、童話作家の楓阿里子邸。そこに、阿里子の童話のファンで30歳の松山帝一が訪ねてくる。自分を童話の中の主人公・ユーカリ少年だと信じている知的障害の青年で、後見人の額間に付き添われてやってきた帝一。楓邸は童話の世界のように仕立てられ、阿里子は19歳の娘・千恵子にも登場人物のニッケル姫の扮装をさせていた。帝一はこの家にずっと住みたいと言い出し、阿里子と帝一の夢の世界のような純愛が始まる。一方、額間と出会い、押し込めてした本音があふれ出て来る千恵子。帝一の登場で、阿里子の夫の重政、その弟の重巳との館での生活にもひずみが生まれていく。三島由紀夫は本作について、「世界が虚妄だ、といふのは一つの観点であつて、世界は薔薇だ、と言ひ直すことだつてできる。しかしこんな言ひ直しはなかなか通じない。目に見える薔薇といふ花があり、それがどこの庭にも咲き、誰もよく見てゐるのに、それでも『世界は薔薇だ』といへば、キチガヒだと思はれ、『世界は虚妄だ』といへば、すらすら受け入れられて、あまつさへ哲学者としての尊敬すら受ける。こいつは全く不合理だ。虚妄なんて花はどこにも咲いてやしない。(略)」と記した。出演者には、霧矢大夢、多和田任益、田村芽実、須賀貴匡、鈴木裕樹、大石継太、飯田邦博、羽子田洋子、篠原初実、松平春香といった実力派俳優が集結。2022年3月4日(金)~13日(日)まで東京公演を行なった後、2022年3月25日(金)・26日(土)に茨木クリエイトセンターにて大阪公演が実施される。unrato#8『薔薇と海賊』作:三島由紀夫演出:大河内直子東京公演:東京芸術劇場シアターウエスト2022年3月4日(金)~13日(日)大阪公演:茨木クリエイトセンター2022年3月25日(金)・26日(土)
2021年10月15日新国立劇場にて12月に上演される『あーぶくたった、にいたった』の取材会が開催。演出の西沢栄治と新国立劇場演劇芸術監督の小川絵梨子が出席した。本公演は、1年をかけて創作していく企画「こつこつプロジェクト」から誕生。本企画の意義などについて語り合った。小川芸術監督たっての希望で始まったこの「こつこつプロジェクト」。現在の演劇界は1か月ほどの稽古期間を経て、上演という流れが主流だが、本企画では長い時間をかけて作品を育てていく。2019年3月にスタートし、リーディング公演と3度におよぶ試演を行なってきた。小川芸術監督は、イギリスのナショナルシアターでは、常時大小合わせて200ものプロジェクトが水面下で動いていることを紹介し、「矢継ぎ早に作品を作っていく良さもありますが、じっくりと、時が来たら舞台に上げるシステムが日本でもできないか?と思い企画しました。 時間をかけて作品の強度や豊かさを高めていく作業から、作品への理解度が圧倒的に変わっていきますし、“チームを作る”ことがどういうことか?など、いろんな経験ができると思います。」とその意義を強調。「表に出るか出ないかわからないものに、投資としてお金を払う難しさはあります。でもやはり、とても大事なことだと思っていて。時間をかけてちょっとずつ良さを証明し、改善しつつ、世代を超えて続いていってほしいです」と、本企画を継続する重要性を訴えた。西沢は実際に1年におよぶ取り組みを通じて、「芝居の強度が上がっていくし、発見があり、(複数の試演により)1回目の発表ではわからなかったところに到達した気がします」と手応えを口にし、「新国立劇場だけに還元されるのではなく、演劇界に幅広く貢献していくことになると思います」と語る。別役実が執筆した本作は、婚礼を控えた新郎新婦が、まだ見ぬ我が子の将来を想像していく物語。西沢は「かつて日本にいたであろう、絶滅危惧種の小市民、こつこつ日々の暮らしを生きてきた人たちのありようを振り返って捉えてみたいです。『風が出てきた』『運動会が終わったんだよ』というセリフがあるんですが、オリンピック・パラリンピックが終わって、我々は何を見るのか?何を置き去りにしてきたのか?僕なりの日本人論みたいなものにたどり着けたらと思っております」と意気込みを語った。
2021年10月15日2022年4月に日本青年館ホールにて、『銀河鉄道999 THE MUSICAL』の上演決定が発表された。今なお世界中で愛される松本零士原作の不朽の名作『銀河鉄道999』が、本格ミュージカル作品として蘇る。「ジャージー・ボーイズ」で第24回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞するなど数々の作品で主演をつとめる中川晃教が、2018年・2019年の舞台『銀河鉄道999』より星野鉄郎役を続投。ディズニー映画「アナと雪の女王」日本語吹替版でアナ役の声優を務め「キューティ・ブロンド」で第43回菊田一夫演劇賞を受賞した神田沙也加が、永遠のヒロイン・メーテルを演じる。ミュージカル界のトップスターといえる二人の共演は、2011年以来で実に11年ぶり。脚本・作詞は高橋亜子、演出には小山ゆうなを迎えるほか、今作のエンディング曲にも決定している名曲「銀河鉄道999」の編曲を担当したゴダイゴのミッキー吉野が音楽監督を務める。キャラクターの葛藤や成長を通して「限りある命だからこそ美しく尊い」というメッセージを伝え、ミュージカルオリジナルのエピソードも加えて、宇宙への旅立ちから別れまでを完全版として描く。「銀河鉄道999 THE MUSICAL」日程:2022年4月出演:中川晃教、神田沙也加その他キャスト・公演日程については後日発表。
2021年10月14日笑福亭鶴瓶を17年間追いかけたドキュメンタリー映画『バケモン』公開にあわせ、ほぼ同じ歳月をかけて鶴瓶を観察してきた写真家・大西二士男が、大阪・MBSちゃやまちプラザにて作品展を開催する。50歳を過ぎてから落語に本腰を入れ、日々「バケモン」のように進化する鶴瓶。本展は、落語の演目「らくだ」「ALWAYS~お母ちゃんの笑顔」「青木先生」で見せるオモテの顔、楽屋やツアー先で見せるウラの顔など、17年間の観察記から選び抜いて展示。約95点の写真と、噺や日常会話から飛び出した名言約30点は、どの写真も言葉も温かく、強く、距離を超えて胸に響くものがある。さまざまな“顔”を追いかけた本展で、笑福亭鶴瓶の魅力に触れてほしい。(作家コメント)笑いも涙も誘う落語を演じる鶴瓶さんは、究極のひとり芝居をしているよう。その姿をどうすれば、写真で伝えることができるのか。気付けば17年間、落語ツアーに同行し、観察記を綴るように、日々「バケモン」のように進化していく鶴瓶さんのさまざまな顔を撮影してきました。古典落語「らくだ」を鬼気迫る熱量で演じる落語家・笑福亭鶴瓶。かと思えば、日常のなかでなぜかおもしろいことが寄ってくるオモシロ磁石体質・笑福亭鶴瓶。写真を見て、鶴瓶さんの新たな魅力を見つけてください。(開催概要)映画『バケモン』公開記念・大西二士男写真展笑福亭鶴瓶 17年間の観察記「ウラとオモテと本当の顔」【会期】2021年10月13日(水)~26日(火)【時間】11:00~20:00(日曜は~19:00)【料金】入場無料【場所】MBSちゃやまちプラザ(大阪市北区茶屋町17-1 毎日放送1F)(映画公開情報)『バケモン』▼11月13日(土)より神戸アートビレッジセンター、11月19日(金)よりアップリンク京都、ほか順次公開
2021年10月13日2022年2月・3月に東京国際フォーラム ホールC、新歌舞伎座、愛知県芸術劇場 大ホールにて上演されるミュージカル「カーテンズ」の新ビジュアルが公開された。コメディミステリーの傑作ミュージカル「カーテンズ」は、2007年3月にブロードウェイで開幕。同年のトニー賞では、主演のデビッド・ハイド・ピアーズが主演男優賞を受賞したほか、作品賞、脚本賞、作詞作曲賞、演出賞、主演女優賞、助演女優賞の計8部門でノミネートされる快挙を達成し、日本でも2010年に東山紀之主演で上演された。今回は全くの新演出、新カンパニーでの上演となり、城田優が演出・主演を務める。共演には、ミュージカル初挑戦となる櫻坂46のキャプテン菅井友香、三浦翔平に加え、瀬奈じゅん、原田薫、岸祐二、宮川浩と日本のミュージカル界を代表する豪華な俳優陣が集結。バンビ役にはオーディションにより中嶋紗希が抜擢された。舞台は1959年の港町ボストン。ボストンはニューヨークの北東に位置するマサチューセッツ州の州都で、アメリカの中でも最も古い歴史都市の一つだ。今では芸術や教育が盛んな文化都市として有名だが、実は第二次世界大戦以降、工業力の低下とハイウェイの発達による街の郊外化が進み、旧市街は衰退を極めていた。そこで1950年代の末から未来を見据えての再開発が始まり、女性のファッションもレディライクでウエストを大きく絞った曲線的なスタイルから、フェミニンでスリム、直線的な現代のスタイルへと変化。今回公開されたビジュアルも、アメリカの古き良き薫りと、これから大きく躍動していこうとする革新へのエネルギーが感じられる仕上がりとなった。ミュージカル「カーテンズ」概要出演:城田優、菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平、原田薫、岸祐二、中嶋紗希、宮川浩、瀬奈じゅん/中西勝之 米本学仁 高橋卓士/井上花菜、小山侑紀、坂元宏旬、竹内真里、茶谷健太、常住富大、伯鞘麗名、福田えり、堀江慎也、横山達夫東京公演:2022年2月26日(土)~3月13日(日) 東京国際フォーラム ホールC 19回公演大阪公演:2022年3月18日(金)~3月22日(火) 新歌舞伎座 7回公演愛知公演:2022年3月26日(土)・27日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール 2回公演
2021年10月12日7月に幕を下ろした「ミュージカル『オープニングナイト』~桜咲高校ミュージカル部~」の再演が早くも決定。再会を喜ぶビジュアル撮影の現場で、初演からの続投キャストである星名美怜(私立恵比寿中学)、河村花、小泉遥香(超ときめき▽宣伝部)の3人に話を聞いた。脚本・演出・振付を岸本功喜、作曲・音楽監督を小島良太が手がける本作。エリート進学校を舞台に、ミュージカル部を新設しようとする熱血教師のテッペイ(横山だいすけ)と生徒たちの奮闘が描かれる。今回も初演と同じく、男性生徒による「team Blue」、女性生徒による「team Red」の2チームWキャスト制が敷かれた。星名が演じるのは“ミュージカル俳優”になることを夢見るマイ。入学したばかりの高校でその一歩を踏み出そうと、河村扮するしっかり者の親友ヒロミを巻き込んで部員集めに奔走する。しかし集まったのは、厳格な理事長(福井貴一)の娘であるがゆえに自分の夢を打ち明けられない小泉演じるレイコをはじめ、ひと癖あるメンバーばかりで──。初演の段階でミュージカル初挑戦だった3人。星名は「互いに鼓舞しあってカンパニーの絆が深まった数ヵ月でした」と振り返る。特に劇中で求心力となっていく星名のリーダーシップは稽古場でも発揮されていたようで、河村は「苦手だったダンスを形にできたのは美怜ちゃんが練習に付き合ってくれたから」と全幅の信頼を寄せる。小泉も「ホント最初からリーダーだったよね」と笑顔でうなずいた。再演にあたってパワーアップさせたい点を聞くと、星名は「チームワーク」と即答。「初演より“役を生きる”ためには、自分のことだけじゃなく向き合う相手のパーソナルな部分も深掘りしてケアしたい」と頼もしさを見せる。作品の魅力について、河村は「流れに身を任せるヒロミを通じて“ありのままの自分でいい”という前向きなメッセージを受け取れます」、小泉は「年齢問わず、やりたいことをしている瞬間が“青春”と感じてもらえる幸せなミュージカルです」とアピールし、インタビューを結んだ。彼女たちを見守る教師役として、テッペイが思いを寄せる保健室の先生ミオに三倉佳奈、校長に頭の上がらない教頭に野々村真、ミュージカル部の創部に反対する学問至上主義の校長に湖月わたるが名を連ねた。「team Red」には前田悠雅、浅井七海(AKB48)、杏ジュリア(超ときめき▽宣伝部)もキャスティングされている。公演は10月29日(金)~11月7日(日)、東京・新国立劇場 中劇場にて。チケットの一般発売は、10月16日(土)10時よりスタート。取材・文:岡山朋代※超ときめき▽宣伝部の「▽」は、ハートマークが正式表記
2021年10月12日書籍販売数・累計100万部突破の数学ミステリーシリーズ『浜村渚の計算ノート』が待望の舞台化!12月27日(月)の大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ公演を皮切りに、大阪と東京で上演される。ミュージカル「浜村渚の計算ノート」チケット情報ミュージカル『浜村渚の計算ノート』は、中学生の浜村渚(はまむらなぎさ)が、警視庁の数学オンチな刑事たちや同級生とともに、戦後最大の数学者であるドクター・ピタゴラスが率いる数学テロ組織【黒い三角定規】に立ち向かい大活躍する物語。主人公の浜村渚役は一般からのオーディションで選考中だが、脇を固めるのはトップミュージカル俳優・岸祐二をはじめ、『ライオンキング』元シンバ役の友石竜也、幅広いジャンルで活躍する上山竜治、『刀剣乱舞』など2.5次元ミュージカルで人気を博す三好大貴など、豪華実力派俳優陣。また、お笑い芸人のFUJIWARA原西孝幸や、元SUPER☆GiRLSの宮崎理奈、世界大会でも話題のブレイクダンスチーム・FOUND NATIONの出演も決定しており、圧倒的な演技、歌、ダンスを体感しながら、コミカルな要素に大笑いし、数学の謎解きにスカッとして、いつの間にか数学が好きになる…といった教育要素も詰まった、今までにない《新感覚ファミリーミュージカル》となっている。本作は、12月27日(月)から30日(木)まで大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、2022年1月6日(木)から8日(土)まで東京・光が丘IMAホールにて上演。チケットは、10月12日(火)11:00から17日(日)23:59までファミリーマート先行(抽選)を実施。
2021年10月12日今年7月、北海道・北東北の縄文遺跡群がユネスコの世界文化遺産への登録が決まり、改めて注目が集まる縄文時代。1万年以上にわたって続いた縄文時代の人びと、特に東京の縄文人の暮らしに焦点をあてた特別展「縄文2021―東京に生きた縄文人―」が江戸東京博物館(東京都墨田区)で開催されている。東京という地域の縄文時代を考える大規模な展覧会は1986年2月に銀座ソニービルで開幕した「第2回東京の遺跡展」(主催・東京都教育委員会)以来、35年ぶり。本展の入り口に入ると、「多摩ニュータウンのビーナス」と称される縄文時代中期の土偶がお出迎え。最新の調査成果から考える縄文人像の展示がプロローグとして紹介されている。東京の縄文時代の遺跡の発掘は、1877年、エドワード・S・モースによる大森貝塚の調査に始まり、都内で発見された縄文時代の遺跡は、集落のほか、土器片のみが出土するものも含めて3800箇所以上確認されている。本展示では、日本考古学史上において著名な大森貝塚と、東京の地形に基づき、島嶼(とうしょ)・沿岸部貝塚・台地・山地の代表的な遺跡をピックアップして紹介するところから始まる(第1章:東京の縄文遺跡発掘史)。続いて第2章では「縄文時代の東京を考える」と題して、集落、葬墓制、土器、石器などの動きをどのような時期的、地域的特性を遺跡の中に残したのかを読み解く。第3章「縄文人の暮らし」では、縄文人のムラを巨大模型で復元しているほか、都内で発見された縄文時代中期〜晩期に至る土偶などを展示。写真はもちろん、肖像画もなかった縄文時代に、土偶や土面として自身の姿を今に残している。その表情から縄文人の思いを感じたい。第4章「考古学の未来」では、国宝の土偶「縄文のビーナス」(茅野市所蔵尖石縄文考古館保管)を10月19日(火)〜11月14日(日)、同じく国宝の土偶「仮面の女神」(同)を11月16日(火)〜12月5日(日)の期間それぞれ展示する予定だ。こちらも必見だ。会期は12月5日(日)まで(休館日:毎週月曜日)。開館時間は午前9時半〜午後5時半(土曜は~午後7時半)(入館は閉館の30分前まで)。観覧料は、特別展専用券の場合、一般1300円、大学生・専門学生1040円。詳しくは江戸東京博物館のホームページ(を参照のこと。取材・文・撮影:五月女菜穂
2021年10月12日ピアニスト・作曲家・編曲家であり、執筆業なども行う園田涼が、7年ぶりとなるピアノソロアルバム『まるで風のように』を10月27日(水)にリリース。本作のリリースに伴い、東京・大阪でピアノソロコンサートを開催することが決定した。園田涼 チケット情報公演は、2022年1月8日(土)に東京・ヤマハホール、2022年1月10日(月)に大阪・あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホールにて。チケットは、10月18日(月)23:59までオフィシャル1次先着先行受付を実施中。
2021年10月11日相葉裕樹が「今までやったミュージカルのなかで一番難しい」と言うミュージカル『蜘蛛女のキス』。ベストセラー小説をミュージカル化し、1993年にはトニー賞などを多数受賞した。「楽曲はかっこいいけれど難解で、かなり歌いこまないといけない。半音での変化が多いし、フォルテでポンと歌うところもあればとても繊細にファルセットを使うところもあって、レンジ(音域)が広い。また、ほぼ2人で物語が進むので、歌や言葉で引っ張っていかないと濁る。新たな挑戦です。目の前に大きい壁がきたぞとかなり緊張しています」。刑務所の獄房で同室となった同性愛者のモリーナ(石丸幹二)と青年革命家バレンティン(相葉裕樹/村井良大)はお互いを理解できず激しく対立するが、その関係は少しずつ変化していく。映画版も見た相葉は「心を開いていくグラデーションが緩やかに進んでいく」ことに注目した。「感情をむき出しに喋るけれど、ただの怒りではなく鬱屈としたなにかがある。「殺されるんだろう」という覚悟もあると思うし、感情がぐちゃぐちゃな大変な役」。だからこそ稽古で動いてみないとわからない。「実際に動くと感覚が変わるので、肉体を動かして、言葉を口から発して、どう感じるかを大切にしたい」。モリーナ役の石丸とは、2016年ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』で共演した。「とても優しい方です。その時は、楽屋でコーヒーをいただいたりもしました。今回は迷惑をかけると思うのですが、できることはなんでもやります!体当たりすることでしか作れない作品だと思うので、たくさん苦しんでもがきます。」。Wキャストの村井良大とは10年前の『戦国鍋』以来だ。「このタイミングで、ミュージカルでWキャストなのは不思議な感覚。良大は飄々として、動じたところは見たことがない。僕とはまったく違うので、カラーが変わるでしょうね。信頼できる仲間だからこそ切磋琢磨したい」と信頼を寄せる。「観る方によって印象が変わる作品です。すっきりする人もいればしない人もいるはず。バレンティンに対して「最低」と思う人もいるでしょう。でも誰が悪いわけでもなくて、愛や信念が交錯している。みんな、責められる?と思います。でも僕自身、これからの稽古で感じ方も変化していくんでしょうね。歌もせりふもたっぷりありますので、丁寧にしっかり構築したい」上演は11月26日(金)~12月12日(日)、東京芸術劇場プレイハウスにて。取材・河野桃子
2021年10月11日株式会社文藝春秋が、11月3日(水・祝)に渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて「文春落語柳家喬太郎・林家二楽の落語のらりくらり」を開催する。今年春に開催された「文春落語」では、当代きっての人気落語家、柳家喬太郎のゲストにエッセイスト・阿川佐和子を招いて好評を博した。今回の秋バージョンでは、喬太郎と紙切りの林家二楽の名コンビが、若者の街・渋谷で賑やかに口演する。喬太郎は「いま最もチケットが取れない落語家」とも称され、コロナ禍においても全国からオファーが絶えない人気ぶり。マクラからオチまで面白すぎて一瞬たりとも聴き逃せないと、期待以上の高座で毎回ファンを魅了している。一方、ハサミの妙技もさることながら巧みな話術も魅力の二楽は、伝統の紙切り芸に加え、音楽に乗せて次から次へと紙切り作品を展開する「ストーリー紙切り」を披露する。技とセンスが光るオリジナル芸を、ぜひ生で楽しみたい。チケット初回販売分は、緊急事態宣言下の9月に一席ずつ空きで販売したがほぼ完売。10月10日(日)10:00から残りの半数分を追加販売する。配信は行わない。初回に購入できなかった人も、人気の高座を堪能できるチャンスだ。※チケット追加販売中■文春落語「柳家喬太郎・林家二楽の落語のらりくらり」出演:柳家喬太郎(落語)、林家二楽(紙切り)2021年11月3日(水・祝)19:00開演(開場18:30)会場:渋谷区文化総合センター大和田4階さくらホール〒150-0031東京都渋谷区桜丘町23-21全席指定 S席4,000円/A席3,500円文春落語公式ホームページ
2021年10月11日スラリとした美人。控えめな言葉の端々に、意志の強い武骨な真面目さも見える。表現者には大事な気質だ。ヴァイオリンの小林美樹がユニークな構成のコンサートを開く[10月29日(金)紀尾井ホール]。題して「八季~エイト・シーズンズ」。ヴィヴァルディの《四季》と、生誕100年のピアソラの《プエノスアイレスの四季》。2つの《四季》を彼女の独奏で一気に弾く。「四季+四季で八季。いつか絶対にやりたいと思っていました。コロナ禍もすでに8シーズン。次のシーズンが幸せに始まりますようにという気持ちも込めて。私は昨年、音楽をやる意味を考え込んで、1か月間ヴァイオリンを弾かない時期もありました。舞台に立ち、弾き終えて拍手をいただくこと。仲間と演奏すること。当たり前だったことがじつはとても幸せなことで、そのために頑張ることが自分の原動力になっていたのだと、あらためて確認できたのはよかったです」ピアソラ の《四季》を、ヴィヴァルディと同じヴァイオリン独奏と弦楽合奏版に編曲したのはロシアの作曲家デシャトニコフ。大胆にも曲中にヴィヴァルディを引用しているため、〝八季〟が有機的につながる。編曲の域を超えた独創的な作品だ。「ピアソラもすごいですが、このアレンジもすごいんです。同じモティーフを使っても、まったく違うイメージになるのは驚きです。たとえば〈冬〉の最後にヴィヴァルディの〈冬〉の第2楽章がちょっと出てくるだけで、こんなにも沁みるものかと。私のお気に入りポイントです。〈秋〉に、チェロの長いソロがあるのも聴きどころで、絶対に素敵に弾いてくれるであろう上村文乃さんにお願いしました」その上村は大学の同級生。もう一人、やはり同級生の会田莉凡(ヴァイオリン)ら、弦楽合奏の豪華メンバーはほぼ同世代の仲間たちだ。小林自身が一人ひとりに直接声をかけて集めた。「学生の頃から私を知ってくれている方ばかり。気兼ねなく、思ったことをストレートに言いあえる皆さんにお願いしました。だからリハーサルも楽しみですし、本番で私が瞬間的に感じたことを即興的に仕掛けても、それを受け止めてくれるはず。とても心強いです」ヴィヴァルディの《四季》は自然の美しさや恐ろしさを、ピアソラは人間の日々の小さな幸せや悲哀を訴えてくるという。「客席の皆さまに、私たちは生きているということを感じてもらえる一夜になると思います。ぜひ聴いてください」(文・宮本明)
2021年10月08日2021年4月に1年2カ月ぶりに再会したラザレフ[日本フィル桂冠指揮者兼芸術顧問]は、2週間の隔離の後ようやくステージに立ち、「皆さんのことをずっと想っていました。会いたかった!」とスピーチ。涙をふく間もなくいつもの厳しいリハーサルに突入し、みるみるうちにあの重厚でまばゆいラザレフサウンドがよみがえった。サントリーホールでの2公演は忘れられない名演となった―それから半年、“緻密なる猛将”ラザレフが再び帰ってくる!!10月16日(土)カルッツかわさきへ場所を移しての横浜定期演奏会、17日(日)相模原定期演奏会は、ラザレフが敬愛するブラームスと、その盟友ドヴォルジャークの作品を取り上げる。素朴で内省的な響きが共通する2人の作曲家の作品に、豪快な指揮で新たな息吹が注ぎ込まれるだろう。ソリストは、若き巨匠の風格をまとうチェリスト・宮田大。名演誕生の予感がしてならない。カルッツかわさきは2017年に誕生した川崎市の新しい複合施設。ホールは2000席あり、ダイレクトに届く良い音響を備えている。ラザレフとの相性も楽しみだ。10月22日(金)、23日(土)サントリーホールでの東京定期演奏会は、大好評の日本フィル&ラザレフによるショスタコーヴィチ。今回はお客様からの要望も多かった交響曲第10番を満を持して取り上げる。かのカラヤンがレパートリーとした唯一のショスタコーヴィチ作品であり、純粋なオーケストラ作品としての評価は非常に高く、20世紀が産んだ傑作中の傑作といってよいだろう。ラザレフ自身もこの10番を演奏できるなら、また苦難の来日となろうとも必ず来る、と約束するほど熱が入っている。前半にはショスタコーヴィチの師(グラズノフ)の師であるリムスキー=コルサコフの音楽を取り上げる。《金鶏》はオーケストレーションの大家ならではの極彩色の絢爛豪華な音楽が特徴で、15分あまりのピアノ協奏曲は、少し「和」のテイストすら感じられる独特な雰囲気を纏った佳作。卓越したテクニックと音色の豊かさが魅力のピアニスト福間洸太朗にまさにうってつけの秘曲だ。これを聴き逃すわけにはいかないだろう。
2021年10月08日ミュージカル『October Sky─遠い空の向こうに─』が、東京・Bunkamura シアターコクーンで開幕した。これに先立ち行われたゲネプロと初日前会見の様子をレポートする。元NASAの技術者ホーマー・H・ヒッカム・Jr.の自伝小説『ロケットボーイズ』を原作に、ジョー・ジョンストン監督がメガホンを握った青春映画(1999年公開)をミュージカル化した本作。劇中では、米ウェストバージニア州の炭鉱町コールウッドを舞台に、ロケットに夢を託す高校生の奮闘や彼らを取り巻く人間模様が展開される。周回する人工衛星スプートニクの目撃を機に「いつかロケットを打ち上げたい」と夢見る主人公ホーマーには、本作で初めてミュージカルのシングルキャストを務める甲斐翔真がキャスティング。閉塞感の漂う炭鉱町を抜け出し、ロケット制作を決心する「星を見上げて」のラストでは昂った気持ちを伸びやかな高音に乗せ、観客を圧倒した。ホーマーの前に次々と立ちはだかる現実のやるせなさ、行き場のない悲しみや葛藤を、甲斐は歌声だけでなく芝居の声色や表情にもにじませる。ホーマーの悪友で義父の暴力に苦しむロイには、阿部顕嵐。顔のアザを隠すことなく気丈に振る舞う様子に胸が痛む。ムードメーカーのオデルに扮する井澤巧麻は、底抜けの明るさで雰囲気をやわらげ、優れた科学の知識でホーマーの夢に貢献するクエンティン役の福崎那由他は、屈託だらけの序盤からチームの“頭脳”として必要とされ、次第に頼もしくなっていく様子を立ち上げた。彼ら“ロケットボーイズ”の奮闘を応援する科学の教師ミス・ライリー(夢咲ねね)と繰り広げるコミカルな「言われた通りに」に注目したい。ホーマーの父ジョンに扮する栗原英雄は、炭鉱夫を束ねる自分と異なる人生を歩もうとする息子を理解できず苦しむ。夢を諦めて炭鉱夫になった過去を語る「お前はおまえ」は必聴ナンバーだ。朴璐美は母エルシー役。1幕の「地に足つけて」で息子の背中を押す一方で、ミス・ライリーやホーマーの恋人ドロシー(中村麗乃)と歌う2幕冒頭の「最後のキス」で息子と離れがたい気持ちも覗かせ、時代を超えた普遍的な親心を届けた。ゲネプロ前に行われた初日前会見で、稽古を経てどういうカンパニーになったか問われた座長の甲斐は、演出を手がけた板垣の「僕の演出する舞台には主役・脇役・アンサンブルという隔たりはなく、全員が主役で見せ場を持っている」という言葉を紹介。その上で「まさにおっしゃる通り、主役の集まりみたいなカンパニーになりました」「誰に感情移入しても感動できるようになっています」と手応えを語った。上演時間は約160分(休憩含む2幕)。東京公演は10月24日(日)まで。その後、11月11日(木)~14日(日)に大阪・森ノ宮ピロティホールへ巡演する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2021年10月08日まもなく2021/2022シーズンが幕開けとなる新国立劇場。バレエの開幕公演では、吉田都舞踊芸術監督の陣頭指揮による新制作、ピーター・ライト版『白鳥の湖』の上演が、1年の延期を経てついに実現する。9月28日に催された制作発表で、芸術監督2期目を迎える吉田が、作品の魅力、意気込みを語った。「本当にいろいろなことがありましたが、とてもいい、実りあるシーズンでした」と初年度を振り返る吉田。新型コロナウイルス感染拡大による影響で、公演中止をはじめ様々な事態に直面した。『白鳥の湖』の新制作も海外からの指導者の招聘ができず準備半ばで断念、演目変更を余儀なくされただけに、再挑戦への思いは強い。「ダンサーたちには踊る喜び、演じる楽しさを味わってもらいたい」と吉田は言う。英国の振付家、ピーター・ライトによる『白鳥の湖』は、吉田自身が現役時代、初めて主役を踊った作品だ。「とてもロジカルで、ダンサーたちも演じやすいはず。舞台上の全員が、自分がどういう役柄で、なぜここにいるかということが明確になっています」と、英国ならではのドラマティックな作品であることを強調した。オリジナルを忠実に再現した衣裳も大きな魅力だ。「生地選びが大変でした。独特のゴシック調で、シェイクスピア劇を見るようなイメージ」と吉田。昨年2月には衣裳の打ち合わせのために渡英するも、その直後に感染状況が悪化、上演延期が決定的に。「ですが、逆によかった。ゆっくりと時間をかけてダンサーたちのことを知り、彼らに私が何を求めているか理解してもらえた。今回の上演は完璧なタイミングだと思います」。日替わりで主役を演じるダンサーたちも登場。オデット/オディール役の米沢唯、小野絢子、柴山紗帆、木村優里、ジークフリード王子役の福岡雄大、奥村康祐、井澤駿、渡邊峻郁、長野公演で同役を演じる速水渉悟が、舞台への意欲を言葉にした。その後、本作の魅力について改めて問われた吉田。「『白鳥の湖』にはいろいろな演出がありますが、初演から40年、ライト版『白鳥の湖』が上演され続けているのには理由がある。これは、『白鳥』本来の魅力を残しつつ、彼自身の解釈を入れて成功している作品。改めて、素敵な演出だなと感じています」と確信に満ちた笑顔を見せた。公演は10月23日(土)から11月3日(水・祝)、新国立劇場オペラパレスにて。チケットは発売中。
2021年10月05日10月12日に東京芸術劇場コンサートホールにて開催される「オリンピックコンサート 2021」に出演する日本代表選手が発表された。本公演は、日本オリンピック委員会(JOC)が、オリンピック・ムーブメントの推進を目的に、オリンピズムに掲げられたスポーツと文化の融合をかたちにした、オリンピック映像とフルオーケストラが競演するコンサート。今年は東京2020大会に出場した日本代表選手たちを迎えて開催する。来場メダリストは、柔道から同日金メダルを獲得した阿部一二三、阿部詩兄妹や髙藤直寿、陸上競技の競歩で銀メダルを獲得した池田向希、レスリングのフリースタイルで金メダルを獲得した向田真優や乙黒拓斗、フェンシング男子団体エペで日本初の金メダルを獲得した山田優、見延和靖、加納虹輝、宇山賢ら。さらに、パラリンピックで金メダルを獲得した陸上競技の佐藤友祈、水泳男子平泳ぎの山口尚秀らも参加する。今年のコンサートのテーマは、“勇気をありがとう、感動をありがとう”。来場メダリストを代表して、数名のメダリストたちが、ステージに登壇し、改めてオリンピック、パラリンピックへの想いを語り、日本中から寄せられた声援に、感謝の気持ちを伝える。またコンサートで演奏されるのは、クラシック音楽の名曲のみならず、東京2020大会の表彰式楽曲、オリンピック開会式選手入場に使用された人気ゲーム音楽といった東京2020大会ゆかりの曲や、ポップスの珠玉の名曲など、ジャンルを超えた多彩なプログラム。オリンピアンで俳優として活躍する藤本隆宏がナビゲーターとして、コンサートの案内役を務め、声楽の名門・二期会に所属するソリストたちや、NHK東京児童合唱団の歌声が華を添える。大スクリーンに鮮やかに蘇る東京2020大会迫力の映像と、オーケストラの壮大な響きのコラボレーション楽しめる、一夜限りの貴重なコンサートをお見逃しなく。「オリンピックコンサート 2021」日時:10月12日(火) 18:00開演会場:東京芸術劇場 コンサートホール
2021年10月04日FM802 DJ・中島ヒロトが自身の50歳を機に、自分の好きなモノ・コト・ヒトをオーガナイズし立ち上げたイベント『Happy and Fun Music Festival』。このHAPPYでFUNでMUSICに溢れるイベントの第3回が、11月13日(土)、大阪・BIGCATにて開催される。「第3回!Happy and Fun Music Festival supported by Orange」チケット情報すでに発表されているthe band apart、TOKYO No.1 SOUL SETに加え、Keishi Tanakaの出演が決定!ヒロトのパワフル痛快トークもお楽しみに!!チケットは、10月4日(月)17:00から7日(木)23:59までオフィシャル2次先行(先着)受付を実施。
2021年10月04日ピアニスト舘野泉が、恒例の秋のリサイタルを今年も10月22日(金)東京文化会館小ホールで開く。初演曲2曲を含む、彼のために作曲された左手ピアノの作品が並ぶ意欲的なプログラム。舘野に聞いた。2002年に脳溢血で右手の自由を失って以降、早い時期から舘野のために作品を書いてきた一人が吉松隆だ。今回はその代表作でもあるピアノ曲集《アイノラ抒情曲集》(2006)と《タピオラ幻景》(2004)から、舘野が独自に抜粋再構成した組曲を弾く。彼らの共通のキーワード「シベリウス」「フィンランド」が二人を結ぶ。「森と湖。澄んだ空気。静かに過ぎゆくものを慈しみながら。流れゆく時を大事にした曲です」フィンランドの作曲家カレヴィ・アホの《静寂の渦》は、本当は来年のコンサートのために委嘱した作品だった。「興が乗ったらしく、今年の3月に出来上がっちゃった(笑)。シンプルな主題が大きなエネルギーの渦となって広がって、最後はまた、ブラックホールに吸い込まれるように消えていきます」舘野が長く暮らすフィンランドでは多くの現代作曲家が活躍する。舘野は、彼らの国民気質が、孤独に自分と向き合う仕事に向いているのだと教えてくれた。林光の《花の図鑑・前奏曲集》(2005)は、花の名前のついた8楽章すべてに、古今の詩人たちのテキストが添えられている。「中野重治、すずきみちこ、与謝野晶子……。多くは反戦の詩です。左手の作品なのに、高音域(右手側)ばかり、身体をねじって弾かなければならなくて(笑)。難しいですが音楽のメッセージがはっきりしていて興味深いです」京都出身の平野一郎の《鬼の生活》も委嘱初演。「すごくアイディアがある面白い作曲家。全国の伝承文学にも詳しい人です。鬼の〝生活〟って変わってますよね。鬼が大暴れしたり恋をしたり。弾くほうも七転八倒する、でもとても綿密にできている作品です。彼も予定よりずっと早く書いてくれて、鬼シリーズの続編の構想まで出来上がった。次作はシューベルト《ます》の編成の五重奏。来年弾く予定です」11月で85歳。「若い頃に比べたら長時間はできない」というものの、毎日、ときには4時間も集中したままピアノに向かう。「一年一年、自分を見つめながら、できることだけを一生懸命。進んでいくと、またその先が見えてくる。音楽をすることは生きていることの証ですから」音楽への愛と情熱はいささかも衰えることはない。(文・宮本明)
2021年10月04日奈良出身のシンガーソングライター・やましたりなが、来年、自身にとって初となるバンド編成での東名阪ツアー「東名阪ワンマン、やりましたな!-バンド編-」を開催することが決定した。やましたりな チケット情報公演は、2022年1月22日(土)に東京・SHIBUYA TAKE OFF 7、23日(日)に愛知・BL cafe、2月12日(土)に大阪・BIGCATにて。チケットは、10月1日(金)18:00から17日(日)23:59までオフィシャルHP先行(抽選)を実施。★やましたりな TOPICS★<やましたりなの新しいYouTube企画「メキワン!!」がスタート!>毎回、同世代(?)のゲストを迎え、「恋愛」にテーマを絞ってトークを展開。そこでの話を元に、やましたりなは、1時間で楽曲を制作できるのか?!というチャレンジ企画!!やましたりな が、「一人のために」、「1時間」で、「渾身の1曲」を完成させる企画、題してMAKE FOR ONE=メキワン!第一回のゲストは、現役 大学生。ミス関西大学ファイナリストの野村梨々華さん。すでにVol.1は、配信中。ぜひ、チェックしてみよう!<やましたりな ライブ映像を公開中!>今年1月に大阪 BIGCATにて行われたワンマンライブ「煌々と輝いてやるワンマン」のライブダイジェスト映像をYouTubeにて公開中!実際にライブに足を運びたくなる、ライブでの彼女の魅力を一部ご覧いただけます。
2021年10月01日複数の作家・演出家が、アクション、マイム、音楽劇、ワードレス殺陣芝居など、さまざまなジャンルの作品を生み出し、上演するスタイルの劇団壱劇屋。8月に東京での開催を断念した「wordless × 殺陣芝居」シリーズの『二ツ巴-Futatsudomoe-』が、12月22日(水)から26日(日)まで、東京・池袋シアターグリーンBIG TREE THEATERで開催されることが決定した。物語は、水が枯渇したとある都に住む2組の父と娘の話。その地では、神に祈り水を乞うための儀式として、人柱を捧げる因習があった。農夫である父と共に暮らす娘・ともえと、都を治める王を父に持つ娘・トモヱ。過酷な運命に身を置く少女達の物語。本作には台詞が一切無く、2018年に大阪で開催された際は、1500名を動員した。農夫である父と共に暮らす娘・ともえ役には須藤茉麻、都を治める王を父に持つ娘・トモヱ役には2018年に同役を演じた谷川愛梨を迎える。チケットは11月中旬より、各ファンクラブサイトから受付開始予定。
2021年10月01日2022年4月から沼尻竜典が第4代音楽監督に就任する神奈川フィルハーモニー管弦楽団。9月30日、横浜市内で就任会見があり、併せて2022-23シーズンのプログラムを発表した。2022年3月まで川瀬賢太郎が常任指揮者として率いる神奈川フィルだが、50年超の歴史の中で山田一雄、外山雄三、ハンス=マルティン・シュナイトだけしか務めていない「音楽監督」の座を用意したのは、日本の指揮者界を牽引する沼尻への期待と信頼、そして誠意の証だろう。「重い名前のポストをいただいた。自分としてはまだ若手で、自転車で坂道を必死に上っているようなつもりだったが、いつのまにかそういう年齢になったと改めて認識した。今まで栄養として貯めたことを少しずつ還元するような立場になってきたのだという思いでいる」(沼尻=以下発言はすべて)就任までの神奈川フィルとの関係を振り返って、とくに絆を深めたのはオペラの仕事だったと話す。「びわ湖ホールの芸術監督を務めて15年。そのうち9年間を神奈川と共同でオペラを制作した。オペラは稽古期間が長いので、互いをさらけ出して付き合うしかない。喧嘩をしたり飲みに行ったり、交流を深めて、いつのまにか絆ができた。神奈川フィルを振る時は、自分の場所に帰ってきたような感覚がある」「地域に密着した音楽文化の創造」という神奈川フィルの理念にもしっかり寄り添う。「オーケストラが地域のものであるということが明快。人口1,400万人を複数のオーケストラが分け合う東京に対して、人口900万人の神奈川県で唯一のプロ・オーケストラ。やりようによってはものすごいことになる。県内巡回コンサートを開催する各市も人口10数万人以上の自治体ばかり。ヨーロッパならそれぞれにオーケストラがあってもおかしくない。あちこちに宝が埋まっているように思う」そしてもちろん音楽性にも期待を寄せた。「ベテラン・メンバーが多く、その経験を生かすのはもちろん、それを伝えながら世代交代が進めば、さらに化けていく可能性があるオーケストラだと思う」2022年4月からの新シーズン・プログラムは、定期演奏会9回、神奈川県立音楽堂での「音楽堂シリーズ」3回、「県民名曲シリーズ」3回。沼尻新音楽監督は4月定期の就任披露公演を皮切りに定期3公演、音楽堂シリーズ1公演、特別演奏会2公演を指揮する。新たなシェフがどんなケミストリーをもたらすか注目だ。(文:宮本明)
2021年10月01日甲斐翔真が主演するミュージカル『October Sky -遠い空の向こうに-』が10月より上演される。1999年公開映画『遠い空の向こうに』をミュージカル化、アメリカでのトライアウト版からいち早く日本で初演される注目の作品だ。9月中旬、本作の稽古場を取材した。この日は初めて1幕全体を通すという稽古内容。開始前に演出の板垣恭一が「今日はとりあえず(シーンを)繋げてみましょう。あれ?という謎があれば、整えていきましょう」と稽古意図を説明する。すかさず栗原英雄が「謎だらけだよ!」と返し、現場は明るい笑いに包まれた。“初めての通し”にあたるキャスト陣からは、一種独特の連帯感、高揚感が伝わってくる。舞台は1957年、アメリカの小さな炭鉱町。物語は炭鉱の情景から始まり、この話が単なる青春譚ではないことがすぐにわかる。男たちは命の危険と隣り合わせの炭鉱で働いており、その町で育った高校生ホーマーは違う世界へ飛び出していきたいと思っている。そんな中、人類初の人工衛星スプートニクが彼らの住む町の空を横切った――。その日からホーマーと仲間たちはロケット作りに熱中していく。希望に燃える若者と、行き詰っていく現実に苦悩する大人たちの対比は、『ビリー・エリオット』なども髣髴とするが、本作は主人公たちが高校生というある種将来の選択のリミットが見えつつある年齢であることや、大きな夢の中にも「サイエンスフェアで優勝し、奨学金を得て大学に行く」と現実的な目標設定があることなどで、リアリティがあり、とても共感できるものになっている。ホーマーを演じる甲斐翔真は、夢に向かう一途さの中にも、様々なことに気を遣い悩む心優しさが見える役作り。そんなホーマーだからこそ味方が増えていくのがよくわかる。また、特に星を見上げ夢を歌いあげるナンバーからは、まばゆいほどの“憧れ”が伝わってきて、感動的。おそらく本番での大きな見せ場になるのだろうと楽しみになった。ホーマーの親友であり一緒にロケットを作るロイ・リーは、阿部顕嵐。1幕ではホーマーと周りの人々との間を上手く行き来する、器用なバランス人間という印象だが、どうやら彼には彼の事情がありそうだ。オデル役の井澤巧麻の調子の良さ、いかにも科学オタク青年といった風のクエンティン役・福崎那由他と、ボーイズたちの魅力も四者四様。一方で栗原英雄、朴路美らが扮するホーマーの家族は、家父長制の色が濃い時代感と、その中でもそれぞれが葛藤していく姿をしっかり描き出す。1幕終盤、ロケットを飛ばす実験は成功するが、彼らはこのあと夢に手が届くのかは、本番舞台を楽しみにしよう。夢を見て、悩み、迷った青春時代を過ごした人には必ず響くものがあるであろうミュージカルの誕生はもうすぐだ。東京公演は10月6日(水)から24日(日)まで東京・シアターコクーンにて。チケットは発売中。その後大阪公演もあり。取材・文:平野祥恵
2021年09月30日日本オペラの金字塔、團伊玖磨《夕鶴》を劇作家・岡田利規が演出、主役つうにソプラノの小林沙羅が初挑戦する話題の舞台の上演まで1か月。「全国共同制作オペラ」の記者会見が開かれた(9月28日・東京芸術劇場)。岡田利規は海外でも評価の高い、現代の日本を代表する演劇人。これがオペラ初演出だ。岡田「オペラの演出とは何をすることなのかを見つけたいと思っている。音楽は抽象的な表現形式と思っていたが、じつはオペラは、物語や意味、登場人物の心理など、ほぼすべてを音楽が寄り添って描写していて、そこに演出が関わる必要がない。僕はそこに関わるのが演出だと思っていたので、では代わりに何をするのか。それを見つけられたら楽しい。片鱗は見つけつつある」《夕鶴》は1952年の初演以来、800回以上(2011年の集計)という破格の上演回数を誇る国民的オペラだ。「鶴の恩返し」や「鶴女房」として親しまれている民話をもとにした物語。岡田はそれを現代の私たちの物語として描く。岡田「資本主義に絡め取られてずぶずぶになっていく人間たちに問いかける。そういう物語」そのために、つうの亭主である〝普通の人間〟の与ひょうをキーパーソンとして、われわれ観客を彼に投影する。これは音楽的にも理にかなっているはず。オペラは管弦楽の前奏に出る「与ひょうの主題」で始まり、最後も同じ主題で幕を閉じる。《夕鶴》は与ひょうの物語でもあるのだ。舞台装置も衣裳も現代的。台本にはないダンサーも出演して表現の幅を広げる。つう役の小林沙羅は、中学生の頃からいつか演じたいと憧れていた念願の役だと語る。しかし、ずっとふくらませてきたこの役のイメージを、岡田との稽古のなかでいったんリセットして、ゼロから作り上げているのだそう。小林「今まで感情で歌ってきたのを、感情を一度無にして、そこからどう作っていこうかと歌い出すと、歌も変わってくるし、今まで見えなかった《夕鶴》の面白さがたくさん見えてきている」与ひょう役には美声のテノール与儀巧。与ひょうをそそのかす運ず役と惣ど役に寺田功治(バリトン)と三戸大久(バス・バリトン)。ダンスに岡本優と工藤響子。《夕鶴》は、10月30日(土)の東京芸術劇場コンサートホールを皮切りに、愛知県刈谷市(2022年1月)、熊本市(同2月)と全国3都市を巡演する。指揮は辻博之(東京)と鈴木優人(刈谷、熊本)。(文:宮本明)
2021年09月29日ドキュメンタリー映画『バケモン』で、裏の裏までさらけ出した笑福亭鶴瓶。同作の重要な縦軸として描かれていた古典落語「らくだ」には、現代にも通じるエッセンスが隠されている。たとえば〝幸せってなんだっけ?〟という問いかけ。笑福亭鶴瓶に今年の落語会の見どころと幸福論について聞いた。「『らくだ』の主人公は、幸せだったかもしれないと思うんです。長屋の連中みんなから嫌われていたけど、そんなの関係なく人生をやり切った幸せというか。そもそも、幸せの形なんて人それぞれですけど、僕の場合なら17年間も追いかけてくれる人がいてくれたのが幸せでした。その人の映画のおかげで〝舞台での生の『らくだ』が観たい〟という声が届くんですけど、今年の落語会では『死神』をやろうかなぁと考えています。いろんな落語家がそれぞれのサゲ(※オチ)で演じてる噺なんですけど、米津玄師さんの曲が話題にもなってるでしょ?『アジャラカモクレン、テケレッツのパー』という呪文までもが歌詞になっててめっちゃおもろい。僕の『死神』はサゲはもちろん設定にも独自の解釈があるから、いま『死神』をやるのはおもしろそうやなぁと。そのうえで、昨年のツアーで行けなかったところでは、映画で届いた声にこたえるじゃないですけど、『らくだ』をやる予定です」次回公演への全方位的なサービス精神を、自身が感じた幸せエピソードを交えて語ってくれた鶴瓶だが、より大上段に構えての〝幸福論〟ならばどうか。「もうすぐ70歳なんですけど〝次、なにしよう?〟と思える幸せってあるんやなぁって。毎年の落語会にしても、あれやろう、これやりたいと思える幸せ。10代の人のなかには〝やりたいことがわからない〟という子もいるんでしょうけど、いろんなことをやってみればいいのにと思うんです。〝これも違う、あれも違う、違う違う違う〟となってもいいから、とにかくスタートしてみる。そしたらね、自分で決めるのか人が決めてくれるのかはわからないけど〝これだ!〟というものに巡り会えるはずですから。そういう意味では、僕にとっての幸せを遠ざけるものって動かないことかもしれない。僕は死ぬのは怖くない。それよりも、動かず、なにもしないことのほうが怖いんです」映画『バケモン』での鶴瓶は言った。「なにもしなければ道に迷わないけれど、なにもしなければ石になってしまう」。こんな時代だからこそ、笑福亭鶴瓶は止まらない。取材・文:唐澤和也
2021年09月29日