チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (59/342)
shojiをリーダーに、kazuki、NOPPO、Oguriの男性4人で構成、2007年から活動を始めたダンスパフォーマンスグループs**t kingz(シットキングス)、通称“シッキン”。ダンスの技術はもとより、多彩な振付とアーティストとしての表現力に秀で、かっこいいダンスとおもしろ楽しい企画を織り交ぜた舞台を繰り広げ、人気が高い。そんな彼らが、1月27日(水)、初の“見るダンス映像アルバム”『FLYING FIRST PENGUIN』をリリースする。これまでダンス作品を作っても、他者の楽曲では著作権問題などでSNS公開や映像販売ができなかった。今回そこに着目し「ダンサーたちが表現したいものをちゃんと未来に残していけるように」(shoji)という思いで、音楽アーティストや映像クリエイターたちと一緒に作り上げたのが“見るバム”。昨年の初夏ごろから始動したシッキンの新たな挑戦、4人が意気込みを語った。アルバムタイトルにも思いを込めた。「“ファーストペンギン”は、群れの中から最初に海へ狩りに出る勇敢なペンギンで、新しい世界に飛び込んでいく者を例えた言葉として使われます。そしてさらに、飛べない鳥が飛んで行く。シットキングスが、これまでダンサーたちがやりたくてもできなかったことを、まず自分たちで始めていくんだという思いです」(shoji)。「音楽、振付、映像…本当に細部まで4人でこだわり抜いた映像作品集、渾身の作品です」(Oguri)。「映像作品にここまで力を注いだのは、シットキングスとして初めて。愛情のこもりまくった作品たちの、バラエティに富んだアルバムになっています」(kazuki)。「生で会えない時間を映像で楽しんでもらったり、ダンサーを目指す若い子たちの刺激になったり、ダンサーのいろいろな機会につながれば…そんな思いで作ったので多くの方に届いてほしい作品です」(NOPPO)。4人がやりたいことを詰め込んだ8作品には、大自然に溶け込んで踊るOguri、ドラマチックに魅せるkazuki、セクシーなNOPPO、shojiは日常をダンスで表現するなど、個性が光るソロも。クールな彼らの見ごたえあるダンスが満載の“見るバム”本編に加え、メイキングやおもしろコンテンツの特典映像、グッズも付いた予約限定版と通常版を提供。また、5月には、持田将史(shoji)と小栗基裕(Oguri)のふたりでダンス×朗読の舞台『My friend Jekyll(マイ フレンド ジキル)』の再演が大阪に初登場する。「新しいことに挑戦しながら、自分たちが今ベストだと思うことをやっていきたいと思います」。取材・文:高橋晴代
2021年01月25日同名小説を原作にした『朗読劇 #ある朝殺人犯になっていた』が1月29日(金)に開幕する。主演を務める須賀健太に話を聞いた。本作は、ネット化した現代の闇をユーモラスにミステリー仕立てに描いた藤井清美の小説を、藤井自身が戯曲化し演出する朗読劇。小説を読んだ須賀は「すごくスピード感のある作品で、一気に読みました。“SNS”という身近なものが題材なのもひとつの要因だと思いますが、共感できて、想像しやすくて、だからこそ引き込まれて。この感覚は舞台でも大切にできたらなと思っています」。ある朝目覚めてみると、自分が“ひき逃げ犯”だという噂がSNSに広がっていて――という事件に巻き込まれる主人公・浮気(うき)を演じる須賀は「他人事とは思えない。きっとどんな人でもどこかに共感できると思う」とこぼす。もし、浮気と同じ状況になったら「めちゃくちゃ怖いです。どうしようもないですよね。なにをしても火に油になりそうで……。僕はなにも言えなくなっちゃうと思います。そういう意味では浮気くんはすごい。状況を打破しようとしますから」。そんな、SNSで広まっていく噂と格闘する浮気の姿はひとつの見どころになりそうだが、本作は朗読劇なので、もちろんそれは主に声で表現される。全身を使った表現が印象的な須賀にとっては真逆のことにも思えるが、須賀自身も「僕は動きと感情をセットにして演じることが多いので、朗読劇には毎回“苦手なものに挑戦する”という感覚があります」と明かす。それでも挑み続けるのは、「そのぶん、新しい感覚をもらえるから。ページをめくりながら世界に入っていく感覚だったり、台本の文字と自分たちの声だけで世界と一体化していくような感覚は気持ちがいいんです。それと今作に関しては、映像を使ったり、動きのある演出もつくらしいので、そのあたりも面白くなりそうです」。楽しみにしているシーンのひとつは、芸人である浮気が相方と共に披露する「漫才」。「特に最初の『どうも~!〇〇です』のところは楽しみです!」と、すでに楽しそうに話してくれた。さらにもうひとつ語ったのは、「後半で気持ちを吐露するシーン」。「原作を読んでいて僕は、これを伝えたいがための作品なのではないかと思ったんです。その台詞は大切にしたいです」。公演は1月29日(金)から2月7日(日)まで東京・こくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロにて上演。視覚障害や聴覚障害のある方を対象とした“手話同時通訳”“生音声”を組み込んだ生配信(2月6日13:00/18:00)も行われる。文:中川實穗
2021年01月22日2021年1・2月に上演される「よみがえる明治座東京喜劇 -ニッポン放送『高田文夫のラジオビバリー昼ズ』全力応援!!-」。高田文夫の企画によって、舞台作品と寄席演芸(ゲスト日替わり)の2本立てで構成される本公演のうち、第一部の喜劇『こちとら大奥様だぜぃ!』の脚色・演出を手がけ出演する宅間孝行と、主演の田中美佐子が取材に応じた。高田の敬愛する三木のり平が打ち出した“笑い”を現代に蘇らせ、「東京喜劇」として観客に差し出そうと企画された本作。この東京喜劇を体現する者として高田が白羽の矢を立てたのが、笑って泣かせる人情喜劇を得意とする宅間だった。宅間は今回、のり平劇団の作家・小野田勇による『俺はお殿様』を大胆にアレンジ。主人公をとある藩主の“奥方様”に翻案し、放蕩三昧の夫(前川清)に愛想を尽かして城を飛び出した彼女の行く末をドタバタコメディーとして描き出す。落語から派生したストーリーには、のり平らしさが覗く。宅間は、本作のモチーフである「らくだ」や「松曳き」といった古典落語のおかしさを、どうやって現代人に伝えようか試行錯誤。その結果、「今の時代に江戸のエッセンスを乗せて爆笑をかっさらう噺家さんのスタンスを見習って、古典の中にあるオーソドックスな笑いをきちんと伝えたい」という境地にいたる。宅間作品のファンで長年彼の舞台を鑑賞してきた田中は、その魅力を「楽しく笑いながら観て、最後は泣ける」と捉え、宅間主宰のタクフェス『流れ星』(2019年)に主演した。演出家としての宅間は、笑いへの飽くなき探究心を覗かせる厳しい一面があるという。その姿勢は萩本欽一や志村けん、翻ってのり平にも通じるらしく「お笑いの師匠方ってしっかりとした“芝居”を求めるんです。その中で生まれる笑いはトレーニングを積み重ねた結晶なんですよ。だから奔放なアドリブのように見せることだってできるの。宅間さんの現場も同じでしたね」と振り返る。師匠方の近くで笑いの真髄を目の当たりにしてきた田中に宅間は絶大な信頼を寄せ、再び主演の座を託した。「美佐子さんは最初から全力で“アホ”に徹してくれるから、他のキャストも引っ張られてどんどんよくなるんですよ」「特に“顔”がね」と目配せすると、田中は「表情筋がどうなろうと構わないくらい必死ですから!」「でも実際はイヤよ?だって女優だもの」と即答し、報道陣の爆笑をさらった。公演は、2021年1月29日(金)〜2月14日(日)に東京・明治座にて。ぴあでは、座席指定できるチケットを販売中だ。取材・文:岡山朋代
2021年01月22日襲名披露公演以来約3年ぶり11回目の博多座公演。母親が博多出身ということで、博多を「第二の故郷」と呼ぶ松本幸四郎にとって、博多座は「常に、前より成長した自分を見せたい」と挑む特別な舞台だ。そんな彼に『二月花形歌舞伎』の公演に先立ち、舞台への思いと見どころを聞いた。博多座「二月花形歌舞伎」の公演情報はこちら昨年はコロナ禍のなか、歌舞伎史上初のオンライン生配信“図夢(ずーむ)歌舞伎”という新たな試みを行った幸四郎。「舞台が開かなければ役者は何もできないのか、そんなはずはない、とたどり着いたのが“図夢(ずーむ)歌舞伎”でした。今は、自分の生活スタイルに合わせてエンターテインメントを楽しめる時代。今回の配信は、映像としての歌舞伎の可能性を再確認すると同時に、お客様にわざわざ足を運んでもらうための舞台の魅力を改めて考えるいい機会になりました」。そんな経験を積み、今回は待ちに待った“リアル歌舞伎”での登場。松本幸四郎の他、中村歌昇、中村壱太郎、大谷廣太郎、中村米吉ら華と実力を備えた花形俳優たちを率いて魅せる。幸四郎は昼の部、夜の部の合計4演目のうち3演目に出演。「昼の部『正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)』は、『草摺引(くさずりびき)』と呼ばれる華やかな踊り。曾我五郎という歌舞伎の代表的な立役と、舞鶴という代表的な女形が出てきて、色彩的にも雰囲気的にも「これぞ歌舞伎」といえる作品です。同じく昼の部の『松浦の太鼓(まつうらのたいこ)』は、『秀山十種』と呼ばれる曽祖父が得意とした代表作の1つで、忠臣蔵外伝の名作。見どころは、人間味と愛嬌のある松浦公の繊細な感情の変化です。一生懸命演じるだけでは成り立たない役なので、私としてはどれだけ力を抜いて、感情を自由に表現できるかが重要だと思っています。夜の部『御浜御殿綱豊卿(おはまごてんつなとよきょう)』も忠臣蔵にまつわる人気作。台詞劇ではありますが、真山青果の新歌舞伎は、台詞回しが音楽的で美しいので、その魅力を表現できればと思っています。最後が『元禄花見踊(げんろくはなみおどり)』。今回の一座には、“面白い人”というか“おかしな人”が顔を揃えております(笑)。その演者総出演での踊りなので、おそらく相当面白いものになるのでは(笑)。昔からある長唄の踊りですが、今回は博多座の大きな舞台機構を生かした、とにかくにぎやかで派手な当一座ならではの花見踊を新たに制作中です」。この一座の武器は「歌舞伎が大好きな演者が集まっていること」だと笑顔で語る。リアルな心理劇から、派手な音楽と色彩で歌舞伎らしさを堪能できる演目まで様々なタイプの歌舞伎をコンパクトに堪能できるのも魅力だ。「ぜひ生の舞台を通して、歌舞伎の魅力と、一座の歌舞伎愛を感じてください!」公演は2月11日(木・祝)~24日(水) 福岡・博多座にて上演。チケットは1月23日(土)より発売開始
2021年01月22日2月6日(土)、大阪・SUNHALLにて田口淳之介ワンマンライブ『JUNNOSUKE TAGUCHI LIVE 2021 in Osaka』が開催される。田口淳之介 チケット情報3部制の開催となり、第1・2部は有観客ライブ、第3部は配信限定のパフォーマンスライブとなる。実に2年ぶりとなる大阪での公演!田口は「この度約2年ぶりとなる大阪でのワンマンライブを開催することになりました。ソーシャルディスタンスを保った約10曲のショートライブです。是非、至近距離で僕の歌とダンスをお楽しみください」と意気込む。第1・2部のチケットは、1月23日(土)12:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、1月22日(金)11:00まで先行抽選プレリザーブを受付中。第3部のチケットは、1月23日(土)10:00より一般発売開始。
2021年01月19日OSK日本歌劇団を率いるトップスター桐生麻耶が1月に大阪松竹座で「レビュー 春のおどり」に主演する。当初の予定より9か月遅れでの上演を前に会見が行われた。冒頭で桐生は「またチャンスが巡ってくるとは思わなかった。与えて頂いた機会に全身全霊で向き合い初日を迎えたい」と挨拶した。OSK日本歌劇団「レビュー春のおどり」チケット情報今回のレビューは和洋の2部構成。第1部『ツクヨミ ~the moon~』は尾上流四代目家元、尾上菊之丞の構成・演出・振付。月をテーマに日本の飛鳥、戦国、江戸の3つの時代でドラマを綴る。それぞれの時代で美しき悪役の蘇我入鹿、人気戦国武将の伊達政宗、決闘に挑む武士の堀部安兵衛の3役を演じ分ける桐生は「入鹿の宿命を背負う悲しみ、OSKらしい賑やかな総踊りで魅せる正宗の楽しさ、人のために動ける安兵衛の義理人情、この3つの思いを届けたい」と語る。第2部は宝塚歌劇団出身の荻田浩一作・演出による勝利の女神ヴィクトリアを題材にしたレビュー『Victoria!』。カジノでの決闘や初のボリウッド風群舞など見どころは多いが、桐生の一押しは96期の初舞台生も参加するラインダンス。「何度見ても飽きない素敵な振付です。できれば(自分も)出たいほど!」。自身はラインダンスの導入部分で踊る「応援団のような振付が一番楽しい」と笑顔。フィナーレ前には男役に囲まれながら手ごわい楽曲の歌唱に挑戦することも明かした。いわく「コミカルからシリアスまで盛りだくさんに詰め込まれたレビュー・ショー」に期待が高まる。コロナ禍で舞台に立てない日々が続き、エンタテインメントの存在意義を自問する中、ひとつの答えにたどり着いた。「大げさかもしれませんが、人間が幸せであるためには自分らしくなれるモノやこと、場所が必要だなと。自分を信じて待っていてくださる方がいる限りは存在し続けていいとポジティブに思えました」。あり余る時間を得て、いつも以上に楽譜を深く読み込むなど収穫もあった。「やはり『春のおどり』は年に一度しかできない貴重な公演なので、OSKを選んでよかったと思ってもらえるような舞台にしたいなと思います」。公演は1月28日(木)から31日(日)まで大阪松竹座にて上演。チケットは、大阪松竹座公式サイトにて発売中。取材・文:石橋法子
2021年01月18日昨年8月の公演が好評を博した舞台『知恵と希望と極悪キノコ』が2021年2月に再演される。出演する富田翔と十碧れいやに話を聞いた。『知恵と希望と極悪キノコ』は、人情喜劇を得意とする大浜直樹が主宰する劇団LIVESにて初演した作品で、売れない俳優が俳優生活最後に挑む映画の撮影現場を舞台にした人情喜劇。出演は、富田、十碧のほか、佐藤弘樹、山沖勇輝、古賀成美、末永みゆ、雑賀克郎、三浦ゆうすけら。主演の富田は「この作品で描かれる、夢とか希望とか挫折とかそういうものは、普段は少し気恥しいものですが、今の時代ならひねらずにまっすぐに届けられるのではないかと思いました。というのも、このコロナ禍で、どの業界もそうですが、エンターテインメントの世界も厳しくなって。諦める人や辞める人も多かった。そういう今だからこそ届けたいメッセージが、この作品にはあると思ったので。それをコメディでやれるのは最高です」と語る。富田は主人公の売れない俳優“戦闘員A”を演じることが決定しているが、それ以外の役は読み合わせをしてから決まるという。十碧は「いろんなキャラクターが登場しますし、どの役が演じられるんだろうなと楽しみにしつつも、それぞれキャラが濃いので、どの役でどうキャラを出していけるかなといろいろ想像しています」と楽しみにしているそう。気になる役は?と尋ねると「監督と大御所俳優さん(笑)。自分と全然違う役は、やっぱり惹かれますね」。富田はかつて『爆竜戦隊アバレンジャー』でアバレブルー/三条幸人役という“戦闘員A”とは真逆の役を演じた経験も。「この舞台で描かれている状況のリアルなところも知っているし、“戦闘員A”のような役で登場し、爪痕を残してやろうとしている人たちの気持ちもわかります。だからこそエネルギッシュに演じたいです」。富田も十碧も初共演のキャストだらけという座組。作・演出の大浜とも初めてだそうで、「身ひとつで臨める感じが楽しみ」(富田)「いい緊張感がありそう」(十碧)と新鮮な芝居になりそう。「今はコミュニケーションを取るのが難しい状況になっちゃいましたが、それでもできるだけコミュニケーションを大切にしたい作品だなとは思っています。それができれば本当の撮影現場を観ているような作品になるんじゃないかな」(富田)十碧が「温かい気持ちになる」と語る舞台『知恵と希望と極悪キノコ』は2021年2月23日(火・祝)から28日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて。文・中川實穂
2021年01月15日2021年2月13日(土)、14日(日)に開催される「オダイバ!!超次元音楽祭-ヨコハマからハッピーバレンタインフェス2021-」の最終追加出演者とタイムテーブルが発表された。最終追加出演者として、14日(日)の公演に「TRUE」の出演が決定。また、すでに出演発表がされている「ミュージカル『刀剣乱舞』 刀剣男士」(13日(土)出演)は、小狐丸・今剣・大和守安定・和泉守兼定・堀川国広・長曽祢虎徹・蜻蛉切・陸奥守吉行・巴形薙刀・明石国行・鶴丸国永・篭手切江という刀剣男士12振り特別編成での出演が決定した。そして、タイムテーブルをオフィシャルホームページにて発表。2日間にわたるフェスの幕開けはPoppin’Partyが飾り、トリはAqoursが40分間の見どころ満載なセットリストを用意している。各出演者のライブステージのほか、MCであるバナナマンとの「トークTime」もあり、ライブだけでなくトークでも各出演者の魅力をたっぷりお届けする内容だ。2次元も、2.5次元も、3次元も……垣根を取っ払い、次元を超えてひとつになろう!というコンセプトで誕生した新時代の音楽番組「オダイバ!!超次元音楽祭」の第3弾は、初のアリーナ公演。2日間に渡って、会場でのリアル観覧だけでなく、オンライン視聴も自宅から楽しめる。現在、13日(土)公演の入場券が発売中。また13日(土)・14日(日)公演ともにオンラインチケットを販売している。「オダイバ!!超次元音楽祭-ヨコハマからハッピーバレンタインフェス2021-」2021年2月13日(土)、14日(日)会場:ぴあアリーナMMMC:バナナマン出演:2月13日(土)藍井エイル/オーイシマサヨシ、OxT/GRANRODEO/ミュージカル『刀剣乱舞』 刀剣男士/仲村宗悟/Poppin’Party2月14日(日)Aqours/TRUE/早見沙織/ReoNa/Roselia※1月に再発令された新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく、緊急事態宣言の政府・自治体の発表を考慮し、開演時間が両日ともに15:30に変更
2021年01月15日『劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~』が1月10日、新劇場・JR東日本四季劇場[春]で開幕した。東京竹芝の「ウォーターズ竹芝」に生まれたこの劇場は、1998年に開場し、2017年まで同地で稼働していたJR東日本アートセンター四季劇場[春][秋]の後継となるもの。劇団四季の新たな拠点の幕開けは、舞台芸術への愛情と、四季の理念である「人生は素晴らしい。生きるに値する」というメッセージを詰め込んだ、希望に満ちた華やかなショウになった。劇団四季といえば『キャッツ』や『オペラ座の怪人』『ライオンキング』といった海外ミュージカルの日本版上演という印象を持つ人も多いかと思うが、実はショウ作品も人気が高い。これまでも劇団の節目ごとにオリジナルの名作ショウをいくつも作り上げてきた。本作『The Bridge』は本来は昨年7月、JR東日本四季劇場[秋]の開幕を飾る予定だったが、コロナ禍のスケジュール見直しにより変更、このたびの[春]のこけら落とし公演になった。劇場や上演時期の変更、また90分休憩なしという四季のショウとしては珍しいスタイルであることなど含め、開幕まで紆余曲折があったことは想像に難くない。だが、そうして誕生したステージは、斬新でありつつも、四季らしい、四季ならではのものになっている。内容は、『リトルマーメイド』『アラジン』といった人気ミュージカルのナンバーを本番とは違うアレンジ、ダンスで魅せ楽しませるのはもちろん、ファミリーミュージカルや“昭和三部作”といったオリジナル作品の名曲も丁寧に織り込まれる。さらには、劇団の出発点であるストレートプレイ、ジロドゥの『オンディーヌ』、アヌイの『ひばり』といったセリフ劇の要素も組み込み、改めて劇団四季が自分たちのアイデンティティを噛みしめているかのよう。そんな様々な要素をつなぎ、「劇場は夢を見るところ」という力強い思いが全編を貫く。選曲も、祈りや希望を謳うナンバーが揃い、コロナ禍という逆風の中に伝えるべきメッセージを丁寧に選んでいるのがわかる。ことに終盤で歌われる『美女と野獣』の「人間に戻りたい」 ――これは劇中、魔法によって“モノ”に姿を変えられてしまった野獣の城の召使いたちが「人間に戻ったらあれをしたい、これもしたい」と歌う楽曲である―― は、「世の中が落ち着いたら日常を楽しもう、それまで希望をなくさず頑張ろう」というエールに聞こえ、胸にしみた。公演は2月11日(木・祝)まで同劇場にて、チケットは発売中。東京公演の他、3月14日(日)~3月28日(日)までは福岡・キャナルシティ劇場で上演後、4月16日(金)より全国を巡演予定。なお最後に、客席は上演中はもちろん開幕前も私語はほとんどなく、観客も感染症対策にしっかりと協力していたことも特記したい。取材・文:平野祥恵
2021年01月13日マキノノゾミ作・演出の『東京原子核クラブ』が1月10日(日)に開幕、17日(日)まで東京・本多劇場にて上演中。その初日レポートをお届けする。’97年に初演され、今回は22年ぶりのマキノ自身による演出となる本作。物理学者・朝永振一郎博士ら実在の人物もモデルにしながら、昭和の戦前~戦後を生きる若者たちを描いた群像劇で、読売文学賞戯曲・シナリオ賞も受賞した。出演者は、主演の水田航生、大村わたる、加藤虎ノ介、平体まひろ、霧矢大夢、上川路啓志、小須田康人、石田佳央、荻野祐輔、久保田秀敏、浅野雅博、石川湖太朗 (登場順)。事前取材でもマキノが「こだわった」と明かしていたが、それぞれがハマり役だと感じる好演をみせた。舞台となるのは昭和7~21年、東京・本郷の下宿屋「平和館」。理化学研究所に勤務する物理学者・友田晋一郎が暮らすその下宿屋は、野球好きの彦次郎(小須田)と娘の桐子(平体)が切り盛りし、謎の女性・富佐子(霧矢)や新劇青年の谷川(石田)、ダンスホールのピアノ弾き・早坂(加藤)ら、どこか風変わりな住人が集っている。一幕では、彼らの暮らしが数多く描かれ、それは、友田とその同僚の武山(上川)や小森(荻野)が上司に振り回されながらも研究に打ち込む様や、富佐子の神出鬼没ぶり、桐子の独特な献立に一喜一憂する住人たちの姿、東大野球部員の橋場(大村)が住人をキャッチボールに誘う様子など、どれもささやかで、すっと流れていってしまいそうな日常だ。けれどそのどの場面でも彼らがいきいきと生きているため、鮮やかに胸に飛び込んでくる。しかし友田のモデルは物理学者・朝永振一郎博士で、昭和20年に日本に投下された原子爆弾は物理学によって生み出されたものである。そんな事実も少しずつ顔を見せながら物語は二幕へと進み、紛れ込む戦争の音が少しずつ増えていき、気付けば激動の時代に突入する。友田は原子爆弾の開発に携わり、早坂の職場であるダンスホールは国によって閉じられ、橋場には召集令状が届く。もはや市井の人々には動かせない大きな波が彼らを巻き込む。しかし、この作品で描かれるのはやはり彼らの日常で、そこではやはり、一人ひとりがいきいきと生きていた。その姿は、さまざまなどうにもならないことにまみれながら“生きる”ということに力を注がなければいけない今こそ、観てもらいたいものだと感じた。『東京原子核クラブ』は1月17日(日)まで東京・本多劇場にて上演中。ライブ配信は1月17日(日)13:00開演(アーカイブ配信は1月23日23:59まで)各チケットは発売中。文:中川實穂
2021年01月12日人気漫画を原作にした舞台「ナナマル サンバツ THE QUIZ STAGE O(オー)」が1月6日、東京・銀座 博品館劇場にて開幕した。それに先駆け公開ゲネプロと取材会が行われ、取材には主演の西井幸人、鈴木絢音(乃木坂46)、佐奈宏紀、弓木奈於(乃木坂46)と、作・演出の大歳倫弘(ヨーロッパ企画)が登壇した。本作は、競技クイズに打ち込む高校生たちの青春を描いた、杉基イクラによる人気漫画を舞台化したシリーズ第三弾。作・演出は「ヨーロッパ企画」の大歳が手掛け、毎回、脚本なしの“ガチクイズバトル”が行われるなど、ストーリーそのものの面白さに加え、競技クイズの魅力も実際に体感できる舞台となっている。今回は大歳が「今作では、原作における最終回のパートを描きます。ですが個人的には“クイズ×舞台”というエンターテインメントにはまだまだ可能性があるんじゃないかと思い、これが“終わり”ではなくむしろ“始まり”というイメージにしたくてオリジナルストーリーを加えました」と明かしたように、舞台版だけのオリジナルストーリーも交え描かれる。キャストには、初演から主人公・越山識を演じる西井幸人、同じくヒロインの深見真理を演じる鈴木絢音、小澤亮太、中村嘉惟人、横井翔二郎、「ヨーロッパ企画」の石田剛太、角田貴志、土佐和成、そして吉田尚記(ニッポン放送)らお馴染みの顔ぶれがズラリ。さらに新キャストとして佐奈宏紀、弓木奈於(乃木坂46)、加藤靖久、中西柚貴らが参加する。西井と鈴木は共に「3作に渡り同じ役を演じられて嬉しい」と喜びを語り、西井は「今作もガチクイズバトルがあります。僕は前作で優勝したので、2連覇したい!」と意気込んだ。また、鈴木が乃木坂46の後輩である弓木と「お芝居で絡めて嬉しい」と明かすと、弓木も「大大大尊敬する絢音さんと一緒に出演させていただけることが本当に嬉しい」と笑顔。オリジナルストーリーで軸となるアキトを演じる佐奈は「原作のストーリーにもいい影響が与えられたら」と語った。今作の舞台は、「全日本U-18クイズ選手権SQUARE」全国大会。越山が所属する文蔵高校クイズ研究会をはじめ、全国から勝ち上がってきた強豪チームによる熱戦は、今この瞬間に全力を注ぐ高校生たちの、眩しい文系スポ根の世界だ。そこに交わるオリジナルストーリーは意外なもので、けれどふたつのストーリーが交差した時、また違う視点でこの物語を観ることができるはず。それはとても温かなものなので、原作ファンにもぜひ楽しんでほしい。今回もガチクイズバトルが楽しい本作は、1月17日(日)まで東京・銀座 博品館劇場にて上演中。1月9日・17日のスペシャル公演に関してPIA LIVE STREAMにて配信も決定。チケットぴあにて発売中。文:中川實穂
2021年01月08日東京・明治座のミュージカルコンサート『NEW YEAR’S Dream』が、エンターテイナーの玉野和紀による構成・脚本・演出・振付・出演で2021年早々に幕を開ける。キャストの一人である平野綾、そして本作のすべてを司る玉野本人に、新春のステージをどのように彩るか尋ねた。歌・ダンス・芝居とあらゆる要素を次から次へと繰り出し、キャストの個性を存分に活かすエンターテイメントショー『CLUB SEVEN』シリーズで知られる玉野。明治座で2019年8月に上演されたミュージカルコンサート『Summer Night’s Dream』を手がけるなど、同劇場との縁を順調に育んでいる。「明治座エンタメショーの新たな“名物”にできたら」と玉野が掲げるのは、昭和歌謡や平成のJ-POPがふんだん散りばめられたスケッチ・コメディー(コント仕立ての芝居)と、オリジナルのショートミュージカルだ。取材日時点での楽曲リストを目にした平野は「最近若い子に昭和歌謡が浸透しているから、どんな年齢層の方でも一緒に盛り上がれそうですね!」と目を輝かせる。「歌詞のストーリー性が豊かで名曲揃い」と日本の歌謡曲に対する想いを語った玉野は「パートでつないで芝居をつければ一本の作品にできる」とヒットソングを前面に打ち出す構想への手応えを口にした。リストにはシブがき隊やキャンディーズといった昭和期のアイドルから山崎まさよしや西野カナら平成に活動したアーティストまで、多彩な顔ぶれが20組ほど並ぶ。今回、玉野のもとに集まったキャストは平野のほか、大野拓朗、新納慎也、吉野圭吾、渡辺大輔、咲妃みゆ、北翔海莉の7人。このうち、山口百恵の楽曲に挑戦する平野は「聴くだけで場面の情景が思い浮かぶミュージカルナンバーと日本の歌謡曲は似ており、歌い手としてすぐ楽曲の世界へ入り込めるんですよね」と相性のよさを強調した。百恵の別ソングを咲妃も披露する予定。昭和歌謡で魅せる芝居歌に注目したい。なお、日本の歌謡曲をふんだんに盛り込んだコーナーだけでなく、もちろん、著名なミュージカルナンバーが目白押し。セレクトの基準はキャストの出演作以外に、各人からの「これを歌ってみたい」というリクエストも盛り込んだという。タップダンスの第一人者である玉野は「これまで指導した中でいちばん上手」と北翔のステップに期待を寄せ、「みっちゃん(北翔の愛称)には本人が希望してきた『メリー・ポピンズ』の“あれ”で高速タップを踏んでもらおうかな」と不敵な笑みを浮かべた。キャストそれぞれに対して玉野が課した“挑戦”の行方を見届けがてら、正月は明治座から観劇初めをしてみては。コンサートは2021年1月5日(火)~11日(月・祝)まで。ぴあでは座席指定できるチケットを販売中だ。取材・文:岡山朋代
2020年12月28日2月に上演される『喜劇 お染与太郎珍道中』で“ワケあり夫婦”に扮する渡辺えり・八嶋智人。過去に共演経験はありながらも“喜劇初顔合わせ”となる二人に、稽古前の思いを語ってもらった。作家の小野田勇が喜劇俳優・三木のり平とタッグを組み、1979年に『与太郎めおと旅』として初演された本作。tsumazuki no ishiの寺十吾が演出を手がける今回は、恋人を追って京へ旅立つことになった米問屋の箱入り娘・お染(渡辺)と、その付き人となるドジで間抜けな手代・与太郎(八嶋)の珍道中が描かれる。表向きは“夫婦”として江戸を出発した旅路に、騒ぎが起こらぬわけもなく──。バラエティ番組での仲の良い姿が印象的な二人は、日ごろから出演作をチェックしあうなど役者として互いを尊敬しあっている。かつて、三木のり平とドラマで共演をしたことがあるという渡辺が「のり平さんは、ご自分が率先してバカやって周りを生かして笑わせる、とても面白い方でした。八嶋さんにとっては、かなりの挑戦となる役に巡り会えたのでは」と言うと、八嶋は「俳優として新たな何かを得られる予感にワクワクします」と述べた。お染を演じるにあたって、渡辺は『与太郎めおと旅』で同じ役を演じた故・京塚昌子について、「日舞など何をなさっても素晴らしい芸達者な女優さんでした。それらを全て封じて大らかな存在感で観客を魅了していらっしゃった」と思いを寄せる一方で、「私は体重を利用して人を踏み潰すようなシーンもあるので多分かなり動き回らなきゃ」といって八嶋と取材陣を笑わせた。江戸の香りが残る東京喜劇こと“のり平芝居”にどう向き合うか尋ねると、八嶋は「現代に生きる関西人の僕にとって、のり平さんが演じていらっしゃった当時の“粋”を体現することは大きなハードルになりそう」とコメント。「内包された怒りや悲しみまで昇華していく東京人の粋な笑いは一朝一夕に身につけられるものではない」と背筋を伸ばす。一方で「普段はツッコミ気質だから、与太郎みたいなおとぼけキャラを演じるのは難しいですが、とても楽しみ」とも。“コロナうつに笑いは良薬”とばかりに「とにかく笑わせたい」と語る渡辺。古代ギリシャの医師たちが演劇を医療として用いていたエピソードに触れながら「お客さまや私たち演劇人が受けた傷を喜劇の力で癒すことができれば」と意気込む。その話にうなずく八嶋も「コロナが流行し始めた頃は不謹慎だと思う方もいらっしゃったかもしれない“喜劇”も、今はお客さまに必要としていただいている」と続き、「スタッフの皆さんの努力で、万全な感染予防対策でお迎えする劇場で、安心して楽しい時間を過ごしてもらえたら」と語った。公演は、2021年2月1日(月)~17日(水)に東京・新橋演舞場で。その後、2月21日(日)~27日(土)に京都・南座と巡演する。12月26日(土)10:00からチケット発売。取材・文:岡山朋代
2020年12月25日国内外のトップスターとフルオーケストラの競演(共演)が人気のミュージカルコンサートシリーズ『ミュージカル・ミーツ・シンフォニー』。2021年3月19日(金)と20日(土)、東京芸術劇場コンサートホールでの開催が決定しました。今回は、1970年代を中心に活躍し、ミュージカル界にも多大な影響を与えている世界的グループのABBA(アバ)にスポットを当てた特別企画で、2019年に続いて2度目の開催となります。再演を望んだ多くの声に、さらにパワーアップしたステージで応えます。出演は舞台、テレビで活躍する新妻聖子、クリスタル・ケイ、サラ・オレインの3名に加え、ABBAメンバーが楽曲を手掛けたミュージカル『CHESS』のコンサート版に出演していたケリー・エリスがイギリスから来日予定。ミュージカル・ミーツ・シンフォニーでは初となるオール女性キャストでお送りします。公演では、「Mamma Mia」や「Dancing Queen」など、誰もが一度は聴いたことのある大ヒットナンバーはもちろん、ABBA好きにはたまらないあの曲まで…ミラーボールが光り輝くディスコ風の会場演出は前回からそのままに、約半数は前回披露できなかった楽曲による新たな構成で全員歌唱、ソロ、デュエット、盛りだくさんでお届けします。世界中で愛され続けるABBAソングの数々を、ワールドクラスのDIVAたちの歌声と読売日本交響楽団の演奏でご堪能ください。【公演概要】『ミュージカル・ミーツ・シンフォニー THE GREATEST HITS FROM ABBA 2』日時:2021年 3月19日(金)19:00、3月20日(土・祝)12:00と17:15出演者:ケリー・エリス / 新妻聖子 / クリスタル・ケイ / サラ・オレイン読売日本交響楽団(演奏)円光寺雅彦(指揮)吉川恭子、舩山智香子、増山航平、吉田純也(コーラス)会場:東京芸術劇場コンサートホール(東京・池袋)
2020年12月25日横山裕(関ジャニ∞)が主演し、大根仁が演出する『マシーン日記』。この話題作にキャスティングされた森川葵に、稽古前の思いを尋ねた。大人計画の松尾スズキが、岸田國士戯曲賞を獲得する前年(1996年)に外部プロデュース公演として書き下ろした本作。4度の松尾演出版がある中で、今回は松尾がクリエイターを指名し、自身の過去作を“新演出”で蘇らせるシリーズの一環として展開される。今回の演出は、映像ディレクターの大根仁。なお大根は、2003年に放送されたTVドラマ『演技者。』の中で本作の演出を手がけた経験が。今回は舞台を客席で取り囲む“センターステージ”での上演形式を予定している。小さな町工場を舞台に、男女4人のおかしくも切ない愛憎劇が繰り広げられる──とあって「濃密な四人芝居は初めてですし、今までやってきた仕事に比べて大きく分厚い壁になりそう」と戦々恐々の森川。だが「芸能生活10年を経て、見える景色を変えてみたかった」「この作品に挑戦することで自分を打破できるかも」と新たなステージへ飛び出す覚悟を口にする。森川が演じるのは、横山扮する主人公・ミチオの兄嫁・サチコ。町工場に隣接するプレハブ小屋に監禁されているミチオに強姦された過去があり、ミチオの兄で工場経営者の夫・アキトシ(大倉孝二)はその責任をとってサチコと結婚した。そこへサチコの中学時代の担任だったケイコ(秋山菜津子)がパート従業員としてやって来たことから、奇妙な日常はますますこじれていき──。このストーリーに「台本と映像で受ける印象が異なって驚いた」と話す森川。戯曲を紐解く限り、行動原理がわからないキャラクターやハードな設定に「気持ちが沈んだ」ものの、2013年の上演版や大根の演出したドラマ版の映像を観て「すごくおもしろい」と感じたそう。「間合いやセリフの発し方ひとつで、こんなに笑えるんですね!」と役者の持つ力を実感する。そんな劇世界の一員になるには、唯一の舞台経験である『ロミオとジュリエット』(2018年)の稽古場における「反省点を活かしたい」と考える。「芸達者な先輩に甘えていた前回は“いる”だけでジュリエット役が成立したけれど、今回は私からも積極的にコミュニケーションを図って作品に貢献できたら」とコメント。特に『カリギュラ』(2019年)を観ての存在感に圧倒された秋山の胸を借り「たくさん勉強させてもらいたい」と意欲を覗かせた。公演は、2021年2月3日(水)~27日(土)にて東京・Bunkamuraシアターコクーン、3月5日(金)~15日(月)に京都・ロームシアター京都 メインホールにて行われる。取材・文:岡山朋代ヘアメイク:牧田健史スタイリング:武久真理江衣装協力KEYCOROSE BUDSTACCATOAtelier elsumiiro
2020年12月25日複数の作家・演出家が、アクション、マイム、音楽劇など、さまざまなジャンルの作品を生み出し、上演するスタイルの劇団壱劇屋。新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期となった彼らの新作舞台『BLACK SMITH』の振替公演が、2月19日(金)より、大阪ビジネスパーク 円形ホールにて開催される。劇団壱劇屋 『BLACK SMITH』チケット情報『BLACK SMITH』は、竹村晋太朗が作・演出を手掛ける“殺陣シリーズ”の最新作。過去最大のスケールで挑む、四方囲み舞台でのアクション大作だ。物語の舞台はいつかの、どこかの国。人々が神という存在を視認できる場所。人あらざる酒呑童子が人々を襲い、暴虐の限りを尽くす頃。酒呑童子を討伐すべく集結した7人の鍛冶師たち…。神に選ばれし鍛冶師たちによる、天を衝き血を揺るがす世紀の大合戦が繰り広げられる。壱劇屋の殺陣シリーズは、主要となるキャラクターたちの他、“アクションモブ”と呼ばれるアンサンブルキャストが縦横無尽に舞台を駆け巡り、次々とスピード感あふれる怒涛の殺陣芝居を展開。今回は劇団員に加え、個性あふれるゲストが集結、総勢31人が四方囲みのステージを所せましと暴れまわる。めくるめくアクションの連続に目を奪われること間違いなしだ。公演延期から約10か月、彼らの中に溜めこまれたエネルギーが今回のステージで爆発するはず。彼らのほとばしる“熱”をぜひ劇場で感じてほしい。公演は2月19日(金)から21日(日)まで、大阪ビジネスパーク 円形ホールにて。チケットの再販は12月28日(月)より。
2020年12月25日新国立劇場で、新春に相応しい華やかな公演「ニューイヤー・バレエ」が催される。古典から現代振付家まで様々なスタイルの傑作が登場するが、今年は新国立劇場バレエ団の現役ダンサーによる作品も上演されると話題に。振付を手がけた貝川鐵夫、木下嘉人に話を聞いた。“晴れ舞台”で自身の作品が上演されることについて、貝川は開口一番「凄く嬉しい」と笑顔。『カンパネラ』はリストのピアノ曲に振付けたソロだ。2016年に自身で初演、他のダンサーによる再演の実績もある。「上演を重ねることで新しい発見があるはず。以前踊ってくれた福岡雄大と、新たに速水渉悟にも踊ってもらいます。ダンサーが自身を追い込んで、その先に何が見えるか──。きっとピアニストも煽ってくるはず」。気鋭のピアニスト、山中惇史の登場で、格闘技さながらの刺激的なパフォーマンスが実現する。「こんな時こそ、舞台で戦う姿を見て元気になっていただけたら」。木下の『Contact』は、2020年3月に木下自身と米沢唯で初演する予定が、コロナ禍で公演中止に。夏に京都などでの上演が実現したが、「オペラパレスで上演できるのは夢のよう」と目を輝かす。「創作のきっかけは、オーラヴル・アルナルズの楽曲『Happiness Does Not Wait』。弦楽器とピアノの二つの音色が交錯する音楽で、男女のダンサーをその音に見立てて振付けました。人と人との触れ合いがテーマです」。こちらは小野絢子と木下、また米沢と渡邊峻郁という新たな組み合わせでの日替わりキャスト。「作品に新たな“色”が加わるのでは。デュエットでは当然のようにお互い触れ合うが、この作品では、触れるだけでも神秘的と感じた」と木下。触れ合うことが避けられる今だからこそ気づいたことも。「触れること、話すことはとても大事なこと。僕にとって大切な作品になりました」。創作について「いつか、全幕作品を創りたい」(木下)、「全幕は本当に難しいと思うが、いいチームを組めるのなら」(貝川)と意欲的な二人。同時に上演されるプティパ、ビントレー、深川秀夫の作品について「作品のエネルギーがずっと持続し、後世まで残るのは凄いこと」(貝川)、「偉大な歴史。振付家それぞれの“色”がある」(木下)と敬意を表す。そこに彼らの作品が並ぶ、多彩な魅力に溢れた公演となる。公演は2021年1月9(土)~11日(月・祝)、新国立劇場オペラパレスにて。チケットは発売中。文:加藤智子
2020年12月25日『成井豊と梅棒のマリアージュ』の【plat d’ 梅棒】バージョンが12月22日に開幕、それに先駆け公開ゲネプロが行われた。演劇集団「キャラメルボックス」の成井豊が手掛ける【plat de 成井豊】と、ダンスエンタテインメント集団「梅棒」による【plat d’ 梅棒】という2バージョンが上演される本作。12月17日に開幕した【plat de 成井豊】に続き開幕した【plat d’ 梅棒】は4本のオムニバスとなっており、台詞を使わずダンスとヒットソングで物語を表現する梅棒お馴染みのスタイルの作品『BBW~ビッグ・ビューティフル・ウーマン~』『Y』『End ofF Story』、成井が作・演出を手掛けたストレートプレイ『CROSSROADS』が上演される。『CROSSROADS』以外の作品を演出するのは梅棒の遠山晶司。これまで梅棒作品は伊藤今人が総合演出を務めてきたため、一味違う「梅棒」が味わえる。なお、『Y』『End ofF Story』『CROSSROADS』は新作。1作目に上演される『BBW』は、恋をした女の子がきれいになりたくてダイエットに奮闘する物語。主人公の女の子をキャラメルボックスの筒井俊作が演じており、冒頭から、梅棒×キャラメルボックスの“マリアージュ”が楽しい。事前の稽古場取材では、普段はストレートプレイを行うキャラメルボックスの面々が「梅棒のダンスと格闘中」と明かしていたが、“梅棒節”とも言えるオーバー目な芝居と、キャラメルボックスならではの表現力が相まって、より豊かな世界が広がっているのを感じる。【plat de 成井豊】で主人公を演じた原田樹里が謎の役柄でちょこちょこと登場したり、同じくまっすぐな青年を演じた梅棒の野田裕貴が焼きそばを持って踊っているなど、2バージョン間のギャップも楽しい。2作目『Y』はなんと任侠もの。池田遼(「[少年王者舘/おしゃれ紳士」)が演じる女性と、梅棒の桜井竜彦が演じる男性を軸に、普段の梅棒のイメージとは一線を画す大人の世界が描かれる。3作目『CROSSROADS』は成井ならではのSFもの。普段は台詞を使わない梅棒メンバー(+正安寺悠㐀(DACTparty))が台詞を喋り合う姿は新鮮で、「こんな声だったのか」と感じるメンバーもいるほど。成井のストーリーは温かく、たった20分とは思えない時間が広がる。ラストの『End ofF Story』は、遠山が「生まれ変わっても会いたい人」というテーマで描いたという作品。キャラメルボックス阿部丈二が演じる老人の物語で、これまでの作品とも繋がっているようだ。その予感は、言葉を使わないからこそ広がる、梅棒ならではの表現となった。ぜひ両方堪能してほしい『成井豊と梅棒のマリアージュ』は12月27日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて上演。文:中川實穂
2020年12月25日梅田スカイビルの39-40階にある空中庭園展望台は、大晦日の営業時間を25時まで延長し、元旦も朝から通常営業を開始。地上173メートルからの美しい展望が、年末年始も楽しめる。梅田スカイビル 空中庭園展望台 入場引換券」チケット情報大阪・関西を代表するランドマーク、梅田スカイビルにある空中庭園展望台は、毎年同様、2020年も大晦日の延長営業が決定した。今年は「New Year’s Eve 2020」と題し、四方に広がる美しい夜景を楽しみながら、一年の終わりを迎える特別な夜を演出する。40Fにあるカフェ「cafe SKY 40」ではこだわりのブレンドで自家焙煎したオリジナルコーヒーをはじめ、チーズの盛り合わせなどのおつまみと共に、特別な夜に相応しいスパークリングワイン、世界各国のビールを50種類以上集めた「ワールドビールセレクション」といった豊富なラインナップを用意。記念すべきニューイヤーイブの乾杯に華を添える。また、翌日の1月1日も、毎年恒例の元旦営業を実施する。残念ながら200名限定の「初日の出営業」専用チケットはソールドアウトとなったが、9:30から22:30(最終入場時間は22:00)までは通常チケットで入場可能。自宅でのんびりと正月を迎えるのも良いが、空中庭園ならではのすがすがしく凛とした空気の中で、希望にあふれる新年のスタートを切ってみては。例年であれば、梅田スカイビルには国内・海外からの観光客が数多く訪れるが、コロナ禍に翻弄された激動の2020年は、緊急事態宣言を受けて臨時休業も経験した。しかし、営業再開後は感染拡大防止対策を徹底しながら、さまざまなイベントを開催。限られた条件の中で、多くの人々に特別な時間を提供してきた。今回のNew Year’s Eve2020 & 元旦営業は、その総決算であり、新たな一歩でもある。毎年訪れている人も、いつもと違う年末年始を過ごしたい人も、ぜひ梅田スカイビル空中庭園展望台訪れてみてほしい。「空中庭園 New Year’s Eve2020&元旦営業」【日時】12月31日(木) 9:30~25:00(最終入場24:30)、2021年1月1日(金) 9:30~22:30【場所】空中庭園展望台※混雑状況により人数制限へのご協力をお願いする場合がございます。
2020年12月24日大阪のランドマーク・梅田スカイビルの27階に位置する「絹谷幸二 天空美術館」。12月19日より新展示『天空(そら)をいろどる いのちのつながり』が開催。「絹谷幸二天空美術館」チケット情報初出品となる『生命(いのち)輝く』は、絹谷幸二と日本画家である二女・絹谷香菜子と親子で描き上げた合作。色彩鮮やかで躍動感あふれる幸二、動物の繊細な表情をとらえた香菜子、ふたりのタッチの融合が大きな見どころだ。さらに、対となる自画像シリーズ『自画像・夢』、『漆黒の自画像』も初出品。これらの作品には、生命の誕生、家族への愛・絆など、宝物のように輝く絹谷の記憶がちりばめられている。新たな日常に向かう今だからこそ、家族や親子、生命のつながりの大切さがより深く感じられるだろう。さらに、本展から最新の美術館の楽しみ方である“画家とつながるVR体験”がスタート。絹谷幸二自らが美術館を案内するほか、東京のアトリエで制作する様子も360度見渡して見学できるなど、ここでしか見ることのできない貴重な映像に注目だ。世界初の絵の中に飛び込む体験ができる3D映像も2本立てで公開中。大きな口を開けて観客に向かって来る龍神、はらはらと舞い散る桜など、絹谷の作品世界を3D映像と音楽で描いた圧巻の映像体験は、アトラクションのように楽しめると、大人だけでなく子どもにも好評だ。アート鑑賞のひと休みに立ち寄りたいのが、眺望抜群なミュージアムカフェ「天空カフェ」。高層階ならではの絶景とともに、ドリンクやスイーツを味わえるスポットとして人気を集めている。カラフルなイタリアンソーダやコーヒーのほか、ソムリエであるスタッフが厳選したスパークリングワインなど、アルコールメニューも充実。入館当日なら何回でも再入館できるので、午前中に美術館で作品を鑑賞し、大阪湾に沈む夕日を天空カフェで眺めるために再入館するのもオススメだ。あわただしい日々のリフレッシュに、美術館でゆったりと過ごしてみるのはいかがだろう?
2020年12月24日PARCO劇場オープニング・シリーズ『藪原検校(やぶはらけんぎょう)』が2021年2月10日(水)に開幕する。主演の市川猿之助に話を聞いた。井上ひさしの戯曲である本作は、『西武劇場(PARCO劇場のオープニング当時の名称)オープニング記念・井上ひさしシリーズ』として1973年に初演され、これまで木村光一、蜷川幸雄、栗山民也といった演劇界の巨匠たちが演出してきた傑作舞台。今回は演出・杉原邦生、主演・市川猿之助というタッグで上演されることになるが、スーパー歌舞伎Ⅱ『新版 オグリ』でも杉原とタッグを組んだ猿之助は「『新版 オグリ』は一緒に演出を手掛けたので、僕の色になりましたが、今回は杉原の色を出してほしいし、料理されてみようと思います」と語る。井上ひさし作品は『雨』(’11)に出演経験がある猿之助。「井上ひさしさんの作品は日本人の心を打ち、日本人でなければできない精神が描かれているように思います。日本のいい面も悪い面も見ておられて、それをお書きになって、さらに言葉の持つ怖さ、大事さ、重要さを大切にされている」と印象を語り、今作では稀代の悪党‘杉の市’を演じるが、「井上作品に出てくるほどの悪党はなかなかいませんから。だからこそ演じるのが面白いなと思います」と楽しみにしているそう。猿之助に加え、三宅健や松雪泰子、川平慈英ら豪華キャストが出演する本作。猿之助は「画面の向こうにいる人たちですからね。皆さんと、例えば食事はできるかもしれないけど、お芝居はなかなかできないわけで。でも、役者って“芝居での会話”ってあるんですよ。それができるのが嬉しいです」。三宅とは顔も合わせたそうだが「三宅さんは歌舞伎をお好きだと聞きましたし、何度か劇場でもお見かけしたことがあります。その時も熱心に観ていらっしゃった。そして第一線で活躍し続けるスターですからね。そういう方とのお芝居は、歌舞伎ではできないことですから。こういう機会をいただいたことは感謝です」。今作でこだわりたいことを問うと「上演時間」というこれまでにない答え。「お客様の安全が第一だし、僕らの安全も第一だから。この状況の中で公演を無事に続けるために考えたい。お客様も演者も安心して過ごせるように上演時間にはこだわりたいです」。公演は2021年2月10日(水)から3月7日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演後、名古屋、石川、京都を巡演。文:中川實穗
2020年12月23日2021年1月24日(日)にTSUTAYA O-WESTにて、DEAR KISS 7thワンマンライブ 「DEAREST DREAM」が開催されることが決定した。DEAR KISS チケット情報コロナ禍で活動が制限される中、約10か月振りの有観客ライブで、元ラストアイドルの山田まひろが加入して以来、初の有観客ライブともなる。また、当日には重大発表があり今後のDEAR KISSにとって記念すべき日になりそうだ。チケットは、1月9日(土)10:00より一般発売開始。一般発売に先駆け、12月22日(火)11:00より先行抽選(プレリザ―ブ)を受付開始。
2020年12月22日及川浩治と外山啓介による初のオンライン・コンサートの配信がいよいよ迫ってきた。チャイコフスキーの「花のワルツ」とベートーヴェンの交響曲第9番(第3・4楽章)を2台ピアノ版でお届けする。収録会場となったのは松尾ホール。ピアノの鍵盤数にちなんだ88名収容という親密な空間で、その響きが多くのアーティストに愛されてきた。2台ピアノによるコンサートの開催も多く、今回の収録にふさわしい会場だと言える。今回のオンライン・コンサートは、収録映像でありながら、LIVE感にこだわって製作された。「第九」の演奏収録はなんとワンテイク。ベートーヴェン後期の作品であり、大編成のオーケストラで演奏される「第九」を、2台のピアノで表現するリスト編曲版は、言うまでもなく難曲だ。より演奏の精度を求めるならば、何度か演奏収録を行い、繋ぎなどの編集を行うという方法もある。しかし2人は、「LIVEだからこその勢いや緊迫感」を映像に反映させることを優先した。第3楽章・第4楽章の間も続けて演奏され、完全無編集の「生のコンサートに限りなく近い音」が映像に収められることとなった。第3楽章での2人の親密な音の交歓は、オーケストラで聴く以上に繊細さを感じさせた。情熱溢れる力強い演奏のイメージが強い及川浩治だが、「及川の魅力は弱音にこそある」と改めて思わせるほど美しい音を聴かせた。外山啓介は、及川の音楽にしっかり寄り添いながら、重厚で堅牢な音を紡いだ。第4楽章に入る瞬間の緊張感は、2台ピアノならではのものだ。冒頭の不協和音は、オーケストラでは圧倒的な迫力で迫ってくるが、2台ピアノではよりスリリングで鋭利な印象が強かった。この瞬間の2人の呼吸をぜひとも感じてほしい。そして、歓喜の主題が流れたとき、これまでに味わったことのない感動があった。ピアノならではの細やかな表現、そして美音で紡がれる耳慣れたメロディが、今までになく新鮮に響き、「第九」の感動を新たにしてくれた。同時に収録された「花のワルツ」は、「第九」の緊張感とは異なり、この曲の愛らしさが感じられる温かみ溢れる演奏となった。また演奏の合間には、2人による特別対談も収録されている。普段は接することのないアーティストの素顔も垣間見られ、貴重な映像となっている。配信は2020年12月26日(土)19:00~開始。※アーカイブ配信もあり
2020年12月22日『成井豊と梅棒のマリアージュ』の【plat de 成井豊】バージョンが12月17日に開幕、それに先駆け公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には、作・演出を手掛ける成井、出演者の原田樹里、阿部丈二、野田裕貴、遠⼭晶司、天野⼀輝が出席した。演劇集団「キャラメルボックス」の成井豊が手掛ける【plat de 成井豊】と、ダンスエンタテインメント集団「梅棒」による【plat d’ 梅棒】という2バージョンが上演される本作。【plat de 成井豊】で上演される『彼女の空に雪が降るまで』は、約15分×7作の短編連作集で、キャラメルボックスの原田樹里が演じる主人公・雪の人生を軸に物語を描く。7作中6作が二人芝居となっている。自身にとって約2年ぶりのオリジナル新作の上演に際して成井は「かなりドキドキしています。自信はあるんですよ。リハーサルを見ても非常に面白くて、『いけるな』って自分では思ってるんです。でもこればっかりは蓋を開けてみないとわからないから。何歳になっても安心して初日は迎えられないですね。とにかく今は、お客様がすごく喜んでくれるんじゃないかっていう期待感と、若干の不安があります」とコメント。その全7作について、キャスト陣に1作だけオススメを選んで紹介してもらうと、それぞれ悩みつつも、阿部と原田は3作目『最後の春休み』。高校卒業後の春休みの出来事を描く本作を「今の(大人になった)自分では絶対味わうことのできない時間が流れているのが好きです」(阿部)「役者としても人としても愛嬌のあるおふたりが出ている。懐かしくて、切ないけどかわいい。ずっとニコニコしてお稽古を見ていました」(原田)。野田は6作目『花束』。「全作そうですが、この作品が特にキャラメルボックス感を感じます。呼応していくリズムや掛け合いに、ぐいぐい引き込まれます」。天野は最後の『最後の最後の1秒まで』。「それまでの一作一作が繋いできた力だったりとか、みんなの想いみたいなものをひとつにしてくれている感じがして、グッときます」。遠山は5作目『やっと君に追いついた』。「なんせ梅棒のメンバーがわちゃわちゃ出てくるので!キャラメルの皆さんと一緒につくっている感覚になれます」とそれぞれ語った。キャスト以外にも、オープニングダンスや、劇中のとあるシーンは梅棒が演出を手掛けるなど、新鮮な“マリアージュ”が堪能できる本作をぜひ劇場で楽しんで。【plat de 成井豊】バージョンは現在上演中。【plat d’ 梅棒】バージョンも12月22日(火)に開幕し、共に12月27日(日)まで、東京・サンシャイン劇場にて上演。文:中川實穂
2020年12月21日榊原郁恵、深田恭子、綾瀬はるか、石原さとみらを輩出したオーディション『ホリプロタレントスカウトキャラバン』(以下:TSC)。「ホリプロ60周年記念企画」と冠された第44回の決勝大会が12月12日に東京・新国立劇場 中劇場にて行われ、グランプリに愛媛県出身で千葉県在住の中学2年生・山﨑玲奈さん、17LIVE賞に京都府出身の高校3年生・佐竹桃華さん(以下:敬称略)が選ばれた。「未来のキング&クイーンを探せ!」をタイトルに、世界に羽ばたく次世代の“ミュージカルスター”を探す試みのもと開催されたTSC。今回は史上初となるプロダクション二部(マネジメント事業部)とファクトリー部(公演事業部)の共同主催となり、9月のエントリー期間には国内外から19,115通の応募が寄せられた。グランプリを選ぶ決勝大会のステージには、リモート審査・対面での地方予選・合宿選考などを通過した小学6年生〜大学2年生の男女10人が並ぶ。審査員には、鴻上尚史・宮本亞門ら7人が名を連ねた。参加者を見守るTSCスペシャルアンバサダーの市村正親は「審査員の皆さんは一人を選ぶと言っていますが、僕は全員にグランプリをあげたい」とコメント。緊張の面持ちだった10人を和ませる。最初のダンス審査で用いられたのは、映画『The Greatest Showman』のオープニングを飾る「The Greatest Show」。参加者は2人一組で、サビ前から曲調が変化するこのナンバーの特徴に合わせたパフォーマンスで客席を魅了する。ソロパートでは柔軟性をアピールする猛者も。続く演技審査では、戯曲化された辻仁成の青春小説『ピアニシモ』の一部をダンス審査と同じコンビで演じた。同一シーンが5回繰り返されたものの、解釈が千差万別で観客を飽きさせない。MCの登坂淳一と唯月ふうかによれば「それぞれ組んだ相手と話し合って演出した」という。見どころは、一人ずつ行われたラストの歌唱審査だった。課題曲として設けられたミュージカル『ヘアスプレー』の代表ナンバー「You can’t stop the beat」は、ブレスが難しいほどリズムが畳みかける楽曲。終盤は高音を響かせるパートも用意される中、参加者それぞれが持てる能力の最大限を出し切ったパフォーマンスに心が揺さぶられる。グランプリを獲得した山﨑はこのナンバーを難なく歌い上げ、審査員の宮本から「あなたスゴかったね!初めて聞いて全身鳥肌立ったよ」と絶賛されていた。すべての審査を終えたあと、栄冠に輝いた山﨑は記者会見で「すべての審査を思いっきり楽しんでグランプリが獲れたので心から嬉しい」と述べ、度胸を見せつけた。2019年のミュージカル『アニー』ではタイトルロールを務め、公演中止となったミュージカル『スクールオブロック』では優等生のサマー役にキャスティングされていた実力派。今後は「『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役や、映画やドラマでも活躍できる女優さんを目指したい」と抱負を語っていた。取材・文:岡山朋代
2020年12月21日福士誠治が演出を手がける『おっかちゃん劇場』の開幕が迫る。初日を約10日後に控えた稽古場を訪ねると、初の通し稽古に臨むキャストが濃密な劇世界を構築していた。2016年に上演された福士の演出デビュー作『幽霊でもよかけん、会いたかとよ』に続いて、“家族の物語”が展開される本作。脚本・金沢知樹とのタッグも続投され、若年性アルツハイマーを患う母とその娘たちを中心とする人間模様が繰り広げられる。出演者は、田中麗奈、 若月佑美、駿河太郎、おおたけこういち、清水優、いのさわようじ、向野章太郎、渡辺哲が 名を連ね、福士と金沢も参加している。取材日、福士は自身が演じる街の電気屋を代役に託して演出に専念していた。荒通しに望む前には、姉妹の長女・好香(このか)に扮する田中に演技指導するひと幕も。終盤のキーアイテムとなる“レコード”の取り扱いについて「発作的に生じた感情を動きに表して欲しい」といって緻密に実演してみせると、田中は大きく頷いていた。「さぁ、行きましょうか!」という福士のかけ声で荒通しはスタート。稽古場には長崎のとある田舎町にある食堂の美術セットが組まれ、父の亡きあと、店を切り盛りする母・菊枝が帰宅した小学生の好香を迎え入れるプロローグが展開される。親子による在りし日の微笑ましい記憶が丁寧に描かれるからこそ、母の発症後に変わってしまった家族の形がより一層浮かび上がる。将来の夢を諦め、高校卒業後に一家の大黒柱として店で働くようになった好香。田中は、母の介護に心身を張り詰めた諦念を落ち着いた声音に滲ませる。一方で、思うようにコミュニケーションを図れなくなった母がある日よどみなく喋り出したことをきっかけに「お母さんともう一度話したい」という切実な思いが溢れ出す。妹をはじめ、幼なじみや従兄弟らの協力で母に働きかけると不意に幕を開ける“おっかちゃん劇場”。母を演じる渡辺は、病の影響で乏しくなった表情から一転する厳しくも温かい肝っ玉母さん像を見事に体現する。若月は、好香と正反対の性格で素直になれない妹の屈託をリアルに立ち上げ、姉妹の成長物語に貢献した。好香に想いを寄せる幼なじみに扮する駿河のコメディリリーフぶりは本作の清涼剤となろう。公演は12月23日(水)~30日(水)に、東京・本多劇場にて。ぴあでは、座席選択できるチケットを販売中だ。またPIA LIVE STREAMでは、27日(日)13:30開演回のライブ配信を実施。31日(木)23:59までアーカイブ配信を視聴できる。取材・文:岡山朋代
2020年12月21日2020年。発表すらできなかったものも含めて招聘ライブ、企画ライブが全てキャンセル。FLAKE RECORDS主催のイベントはひとつも開催することができなかった。前を向いて、未来に向けて、2021年。いよいよライブイベント『TONE FLAKES Vol.140』が開催される。『TONE FLAKES Vol.140』チケット情報公演は、2021年1月31日(日)堺・FANDANGOにて。Predawn、Keishi Tanaka、Pictured Resort、cescoが出演!チケットは発売中!!
2020年12月21日“いま”の空気をキャッチし、時代の感情を鮮やかに表現する詩人・最果タヒの作品展示に注目が集まっている。展覧会の名は『最果タヒ展われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。』。東京・渋谷パルコ4階 パルコミュージアムトーキョーでの会期スタート前日に行われた報道内覧会の様子をレポートする。「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」チケット情報20代で現代詩手帖賞、中原中也賞を獲得して以来、ツイッターでの作品発表、詩集の映画化(石井裕也監督作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』)、作詞提供、ホテルとのコラボレーションなど幅広い活動で知られる最果。本展では、詩になる“直前”の言葉が集められた8つの展示空間を通じて、来場者が主体的に詩を体感できるインスタレーションが展開される。特に圧巻だったのは、会場で最大の展示面積を占める《詩になる直前の、渋谷パルコは。》だ。天井から吊るされた無数のモビール群にはそれぞれ脈絡のない断片的なワードが連なっており、来場者は揺らめくモビールを分け入りながら鑑賞する。まるで言葉のシャワーを浴びているような感覚に陥る一方で、展示内を歩き回ると自然と目につき琴線に触れてくる語は限られることに気づく。筆者は、離れた場所にあった「銭湯に行くと、誰もがすこし生まれ変わって」と「みんなあなたに恋をする。」を結びつけたところ、無性にサウナへ行きたくなった。偶然に身を委ねて詩を“自作”するもよし、「これ」という一編を目指してモビールを“厳選”するもよし、他者と一緒に見知らぬ言葉と“遭遇”して語らうもよし。いずれにせよ展示に積極的に関わることは、最果の「作品があなたに読まれ、初めて意味を持つものであってほしい」という願いに寄り添った鑑賞姿勢といえるだろう。このほか、スマートフォンで詩をつくる過程をキャプチャ録画した《詩っぴつ中》では、作品が誕生する瞬間を動画で追体験できる。円環状に綴られた《ループする詩》は、鑑賞者の視界に入った言葉から詩をスタートさせる試み。語順を気にすることなく、倒置法や体言止めで詩は成立するという自由度の高さを実感するだろう。本の背表紙に書かれた言葉を一行とし、棚ごとに一編の詩をなす《詩ょ棚》と同じ空間には《座れる詩》が。丸い椅子に腰かけると詩の朗読が聞こえてくる趣向だ。どの展示も感覚を研ぎ澄ませながら堪能したい。2021年2月13日(土)~28日(日)に愛知・名古屋パルコ西館6階 パルコギャラリー、3月5日(金)~21日(日)に大阪・心斎橋パルコ14階 パルコイベントホールを巡回する。チケット販売中。取材・文:岡山朋代
2020年12月21日2002年のチャイコフスキー・コンクール・ピアノ部門で、女性初の、そして日本人初の第1位獲得という快挙を成し遂げた上原彩子。2022年のデビュー20周年に向けた3年がかりのカウントダウン企画第2弾では、自身が名ピアニストでもあったショパンとラフマニノフを弾く(2021年1月13日・東京オペラシティコンサートホール)。「ラフマニノフは、ショパンから最も大きな影響を受けています。ピアノを愛した二人の作曲家を並べることで、ちょっと特別な感覚で聴いていただけると思います」プログラムのメインは、その二人の関係を象徴するような、ラフマニノフの《ショパンの主題による変奏曲》。ショパンの《24の前奏曲集》作品28の第20番ハ短調を主題に、22の変奏で構成された、いわばラフマニノフによるショパンへのオマージュのような作品だ。「演奏される機会の少ない作品も含めてラフマニノフの良さを知ってほしいという気持ちで選びました。今回は前半に、元になったショパンの作品28の全曲も弾くので、面白く聴いてください」ロシア音楽を軸に活躍する上原のショパンは案外レアだ。《24の前奏曲集》は、すべての長・短調である24の調性で書かれた作品集。胃腸薬のCMで使われた第7番や、第15番〈雨だれ〉がよく知られるが、ラフマニノフが主題に用いた第20番も有名で、〈葬送〉の呼び名がある。それぞれが独立した小曲の集まりだが、「24曲全部を聴いてこそわかる」と上原は言う。「わたしのなかでは、始めのほうは長調の曲の幸せな印象が強くて、その春の暖かさが、だんだん暗い影に覆われて、第20番のところでどん底に引きずり込まれます。全曲を通していろいろなドラマがあって、弾いていても聴いていても、それを感じるのが醍醐味です」そしてこの2つの作品のあいだを、さらに二人の前奏曲でつなぐ「前奏曲づくし」の構成。「ショパンの作品45の前奏曲嬰ハ短調からラフマニノフへ。たぶん、作曲家が変わったかどうかわからないぐらいの変化で、不思議な感じでつながります。時代も国も違うのに空気が似ているのです。そしてラフマニノフの前奏曲作品23から2曲。ラフマニノフは、小品のほうが彼の飾らない素の部分が表現されているように感じます。そのシンプルなメロディを弾いていくのは、難しいですがとても大事です」キャリアを重ねるなか、背中など身体全体の使い方を考えるようになり、手の負担が軽減され、音も太くなってきたと感じている。筋トレも欠かさないが、大事なのは音量や打鍵の強さではなく、太く、減衰せずに伸びる音で弾くこと。そのためには余分な力を抜くことが大切なのだと教えてくれた。ますます充実するピアニズム。「ピアノという楽器を、純粋にピアノの音として捉えた作品。ピアノの素晴らしさを感じてもらえるプログラム」と語る今回のリサイタルでも、それが十分に発揮されるにちがいない。(宮本明)
2020年12月21日先日、日本初演が発表された『テンダーシング-ロミオとジュリエット-より』の公演日が決定。2021年2月24日(水)~28(日)の期間、東京・下北沢の東演パラータにて全9公演が上演される。本作は『リーマン・トリロジー』のベン・パワーがシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の台詞を抜粋し、さらにソネット詩などの言葉を加えて大胆に再構築した2人芝居。年齢を重ねても変わらぬ愛を持ち共に生きる“ロミオとジュリエット”という名前の老夫婦が、原作とは異なる別れに対峙する切なく美しい物語を紡いでいる。2009年に名門ロイヤル・シェクスピア・カンパニーによって初演され、その後世界各地で上演されてきた本作。日本初演にあたり、シェイクスピア劇翻訳の第一人者で全訳の完結が間近の松岡和子を翻訳監修に迎え、演出家の荒井遼と共に既存訳の改変・調整を務めた。また、キャストは、圧倒的な歌唱力で数多くのミュージカル作品で存在感を放ってきた土居裕子と、映画・ドラマ・舞台と幅広いジャンルで確かな演技力を発揮する大森博史という最高の組み合わせが実現した。当初2020年9月の上演を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期。稽古だけを行っていた異例の公演がついに開幕する。チケットの一般発売は2021年1月17日(日)に開始。2月25日(木)13:00の上演後は映画監督・演出家の深作健太と荒井遼、2月26日(金)19:00の上演後は土居裕子と大森博史のアフタートークも開催される。『テンダーシング-ロミオとジュリエットより-』2021年2月24日(水)〜28(日)全9回公演作:ベン・パワー翻訳監修:松岡和子演出:荒井遼出演:土居裕子、大森博史劇場:東演パラータ
2020年12月18日