チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (85/342)
2006年に公開された映画『フラガール』を原作にした舞台『フラガール - dance for smile -』が10月から11月にかけて上演される。総合演出は河毛俊作、構成演出は岡村俊一が手掛ける本作で、主演を務める井上小百合(乃木坂46)に話を聞いた。【チケット情報はこちら】本作について井上は「母と一緒に映画館に観に行ったのを覚えています。当時も『おもしろかったね』と話した記憶があるのですが、今改めて観ると、あのときとは違う感想を持ちました」と語る。作品の舞台は昭和40 年の福島県いわき市。かつて栄えた炭鉱の町がエネルギーの石油化で滅んでいく中で、町おこしのために常磐ハワイアンセンターの設立が計画される。建設への反対や、当時は馴染みのないフラダンスへの偏見を浴びながらも、少女たちが必死にフラガールへと生まれ変わっていく物語だ。「すごく深い話だったんだと思いました。描かれているのは女性が社会進出する姿で、登場人物たちは女性ならではの強さや美しさや明るさで、いろいろな壁を突破していく。作品の舞台は昭和40年ですが、私は今もまだ女性の社会的な立場は男性と同じでないように思います。だからこそすごいエネルギーを届けられる作品になるはず。男女問わずいろんな人に観てほしいです」作品の肝と言えるのが、クライマックスのフラダンス。井上も「あのシーンがあってこその作品だと思う。本格的なフラダンスは初めてですが、舞台は全てが見えるしごまかしがきかないので、一生懸命頑張りたいです」と意気込む。自身が演じるフラガールのリーダー・谷川紀美子については「どこにでもいそうな素朴な子。そういう子が最後にすごいダンスを見せることがドラマチック」と印象を語り、役は「自分に合ってると思います。田舎育ちですし、素朴だねってよく言われるんですけど、やると決めたことは最後まで突き通すタイプなので」と話した。舞台での活躍も目覚ましく、演じることが好きだという井上。「私は自分を出すのも、自分のことを知られるのも得意じゃなくて。だから舞台上にいるときのほうがいろんなことを表現できるんです。もともとお芝居を観るのが大好きで、元気や勇気やいろんなエネルギーをもらっていました。その舞台に立つ側になったとき、自分も誰かに何かを与えられていると思う。そこが原動力にもなっています」。井上が「この令和の時代に生きる人たちがこの作品を観て、どんなことを考えるのかが私は楽しみ」という舞台『フラガール - dance for smile -』は、10月18日(金)から27日(日)まで東京・日本青年館ホール、11月2日(土)から4日(月・祝)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。チケットぴあでは9月19日より先行先着を実施。一般発売は9月21日(土)より。取材・文:中川實穗
2019年09月19日11月9日(土) 10日(日)東京国際フォーラム・ホールCにて、11月11日(月) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて開催される「舞台フラメンコ~私の地アンダルシア」。同公演の見どころを伝える特別番組の放送が決定した。【チケット情報はこちら】16歳でその才能を認められフラメンコ界のカリスマとして活躍し続けるファン・デ・ファンと、経験もなくスペイン語も喋れず、情熱だけで20歳の時にスペインに渡り、2017年に日本人男性として初めて世界一の称号を手に入れたシロコ。ふたりの魂と情熱がどのように共鳴し、ぶつかり合うのか。番組ではフラメンコの発祥の地アンダルシアに思いを馳せ、ファン・デ・ファンが作曲、作詞した「私の地アンダルシア」という曲を軸に構成される舞台への溢れる思いが、スペインで行われたリハーサルとインタビュー映像にて丁寧に、そして魅力たっぷりに綴られている。「世界の頂点に輝く日本人フラメンコダンサー ~新たなる挑戦」はBS-TBSにて9月22日(日) 午前10時より放送。公演のチケットはチケットぴあにて好評発売中。■SIROCO X JUAN DE JUAN:舞台フラメンコ~私の地アンダルシア(スペイン語名:SIROCO X JUAN DE JUAN:MI TIERRA ANDALUCIA)11月9日(土)東京国際フォーラム・ホールC(東京都)11月10日(日)東京国際フォーラム・ホールC(東京都)11月11日(月)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪府)構成:JUAN DE JUAN、SIROCO出演:メインバイレ(踊り) JUAN DE JUAN (ファン・デ・ファン)、SIROCO(シロコ)スペシャルゲスト/カンテ(歌):JOSE VALENCIA (ホセ・バレンシア)、SIMON ROMAN(シモン・ロマン)、MARA RAY(マラ・レイ)スペシャルゲスト/ギター:EL PERLA(エル・ペルラ)ギター:徳永健太郎バイオリン&ピアノ:森川拓哉パーカッション:JOSE CARRASCO(ホセ・カラスコ)バイレ(群舞):影山奈緒子、奥野裕貴子、松彩果、平山奈穂、大塚歩※当初出演予定でしたMOISES HEREDIA(モイセス・エレディア)がJOSE CARRASCO(ホセ・カラスコ)に変更になりました。変更に伴うチケットの払い戻しは行いませんのでご了承ください。
2019年09月19日<ダンス×演劇×J-POP>という組み合わせで、台詞を使わずに身体表現と音楽で物語をみせるダンスエンタテインメント集団「梅棒(うめぼう)」による舞台『ウチの親父が最強』が現在上演中。大好評の東京公演のレポートをお届けする。梅棒 Extra シリーズ『ウチの親父が最強』チケット情報“梅棒 EXTRA シリーズ”と題した本作は、2014年に上演された第2回公演の5年ぶりの再演。梅棒のメンバー8名(伊藤今人、梅澤裕介、遠山晶司、遠藤誠、塩野拓矢、櫻井竜彦、天野一輝、野田裕貴)に加え、ゲストには、ミュージカルからストレートプレイまで幅広い作品で活躍中の多和田任益、ダンスパフォーマンスに定評がある横山結衣(AKB48)、そして梅棒公演ではお馴染みで本作の初演にも出演したパイレーツオブマチョビアン、鉄棒ダンスで注目を集める上西隆史(AIRFOOTWORKS)、子役の永洞奏瑠美が名を連ねる。初演は、梅棒が初めて長編を披露した作品(第1回公演はオムニバス形式)であり、第2回公演にしてPARCO劇場に進出し、多くの人が彼らの名を知るきっかけとなった大切な作品。ある男女が出会い、結婚し、子供が生まれ、成長し……という家族の物語で、梅棒らしいコメディテイストもしっかりと盛り込まれつつ、全体的に温かでホロリとくる作品だ。梅棒初出演の多和田はその豊かな演技力に加え、長い手足を存分に生かしたダンス、アクションで、登場人物の中でも複雑な役どころを鮮やかに演じていた。ヒロイン役で同じく梅棒初登場の横山は、愛らしくコロコロ変わる感情表現とキレのあるダンスパフォーマンスとのギャップが印象的。さらに、永洞の小さな身体がのびのびと広がるダンスや芝居には心を惹きつけられ、パイレーツオブマチョビアンや上西が繰り出す目を疑うようなパフォーマンスは痛快だ。そして、ときに引き締め、ときにとっちらかし、作品を賑やかに仕上げるのは、やはり梅棒メンバーのパフォーマンス。この絶妙なバランスは、ぜひ劇場で確認してほしい。ここ数年の本公演と比べると、劇場のサイズ感やストーリー展開、選曲(再演版の選曲もあり)に新鮮味を感じ、逆に“今の梅棒”の良さも改めて見えるようにも感じた『ウチの親父が最強』は銀座 博品館劇場での上演を終え、9月20日(金)から23日(月・祝)まで東京・新国立劇場 小劇場、その後、10月19日(土)に福岡・西鉄ホール、10月22日(火・祝)に三重・四日市市文化会館 第2ホール、10月25日(金)から27日(日)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて上演。チケット発売中。取材・文:中川實穗
2019年09月19日熊川哲也率いるKバレエカンパニーが、新作『マダム・バタフライ』を初演する。原作は、ジョン・ルーサー・ロングの小説に基づくプッチーニのオペラ。長崎の元芸者バタフライ(蝶々さん)がアメリカ人海兵ピンカートンの現地妻となって一子を設けるが、アメリカに帰国し本妻ケイトを伴って再び現れたピンカートンに子供を渡し、自害するという物語だ。この題材を熊川は独自のバレエとして生まれ変わらせる。公演を前に、リハーサルのもようが公開された。【チケット情報はこちら】初めに報道陣に対し、熊川が作品への思いを説明。「『マダム・バタフライ』は、米兵と日本女性とのわずか1か月の出来事を描いたピエール・ロティの小説『お菊さん』に、ルーサー・ロングがロマンを加え、美しいストーリーに仕立てたものだと言われていますが、僕は長崎へ行き、これはフィクションではなくノンフィクションだと考えるようになりました。当時の芸者の女性が笑顔も作らずアメリカ人と写っている写真を見た時、“悲しい、ではなく、信念をもって生き抜いたんだと思わないといけないんだな”“日本女性は素晴らしい”と思ったのです」そしてまず公開されたのは、バタフライ(矢内千夏)とピンカートン(堀内將平)が初夜を迎えるパ・ド・ドゥ。直前には、バタフライの改宗に怒った伯父ボンゾウが乗り込んできて、結婚式を台無しにしたところだ。哀しみや不安を湛えて正座するバタフライを、ピンカートンはいたわるように後ろからそっと抱きしめる。その優しい求愛に、バタフライの表情も徐々にほぐれていく。ピンカートンにリフトされ、ひらひらと手を羽ばたかせるバタフライ。やがて愛の喜びの中、バタフライはピンカートンに肩を抱かれ、奥へと消えていく。15歳のバタフライの可憐さと心の繊細な移ろいを、余すところなく踊る矢内。堀内演じるピンカートンの紳士ぶりも印象的だ。続いて披露されたのは、花魁道中。熊川は、ピンカートンとバタフライの出会いの場として遊郭の場面を作った。色とりどりの扇を立体的にひらめかせる女性達。その中央に立つのが、山田蘭演じる花魁だ。笑顔を見せない彼女の表情は憂いを帯び、冒頭で熊川が語った写真を思い起こさせる。女性達の艶やかな色香にすっかり当てられてしまった様子のピンカートン。ダメ押しのように、花魁は彼に流し目をするのだった。日本的な所作を学ぶため、日本舞踊や歌舞伎の映像を参考にしたという矢内はパ・ド・ドゥについて「心の中では色々な感情が渦巻いているのですが、感情をぐっとこらえることで伝えられるものもあるのではないかと思って演じています」。プッチーニの音楽を聴いて今回、余計な振りは要らないのではないかと感じたという熊川は「愛国心とはなかなか言いづらい時代ですが、この作品を観て、同じ日本人として、心を豊かにする清い水のような感覚を味わってほしいと思います」と語った。公演は、9月27日(金)~29日(日)までBunkamuraオーチャードホールにて、10月10日(木)~14日(月・祝)まで東京文化会館大ホールにて上演。チケット発売中。取材・文:高橋彩子
2019年09月19日ヴァイオリ二ストの諏訪内晶子が芸術監督を務め、来年で6回目を迎える「国際音楽祭NIPPON 2020」の記者会見が9月13日に都内で行われ、来年、生誕250周年を迎えるベートーヴェンにちなんだプログラムや室内楽プロジェクト、さらに後進の育成として諏訪内が力を入れてきたマスタークラスなどの概要が発表された。【チケット情報はこちら】来年の音楽祭は2月から3月にかけて東京、名古屋、そして東日本大震災の被災地である岩手県釜石市で開催され、7つのプログラムが行われる。オーケストラとの共演ではジャナンドレア・ノセダの指揮により、ワシントン・ナショナル交響楽団を招いてチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲 ニ長調、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」などが演奏される。デュオ・リサイタルでは、10年来の付き合いがあり、レコーディングも一緒に行なったこともあるピアニスト、ニコラ・アンゲリッシュとの共演で【オール・ベートーヴェン・プログラム】と銘打ち、ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」、第7番、第9番「クロイツェル」 が演奏される。アンゲリッシュとの共演について諏訪内は「昨年、久しぶりに共演して、お互いに『また共演してみよう』という気持ちになり、ぜひ来てもらえないかとお願いしました。10年前とはまた違う表現ができるのではと今から楽しみです」と期待を口にする。さらに今回、過去にない新たな試みとして行われるのが室内楽プロジェクト。3名のプログラミング・アドバイザーを交えて「室内楽の中でも普通のプログラム、それとは相反するプログラムをどう見せ、聴かせ、表現していくか? 相談しながら決めていきました」と明かした。このほか釜石市民ホールでは、東日本大震災復興応援コンサートを開催。これまでも被災地を巡ってコンサートを開いてきた諏訪内は「音楽は、いろんな意味でエネルギーが言葉ではなく伝わる素晴らしい芸術だと思っています。エネルギーを届けることができればと思って活動を続けています」と震災復興支援への思いを語った。来年は、1990年に諏訪内が当時19歳、史上最年少でチャイコフスキー国際コンクール1位を獲得してから節目の30年目の年となる。「当時はまだソビエト連邦で、高校を卒業したばかりで留学経験もない私が、なぜか国際コンクールで優勝し世界が一変してしまう経験をしました」と当時を振り返りつつ「長く活動して来て、どこかの時点で恩返しをしたいと思って始めたのがこの音楽祭。30年は短いようで非常に長かったです。いま40代の後半ですが、いろんなことを経験させていただき非常に充実しています。こうした企画を続けることができていることに感謝しています」と音楽祭へ強い思いと感謝の念を口にした。「国際音楽祭NIPPON 2020」は2020年2月14日(金)より3月15日(日)まで開催。チケットは9月21日(土)より一般発売。取材・文:黒豆直樹
2019年09月19日ホイットニー・ヒューストンとケビン・コスナー主演の大ヒット映画を舞台化したミュージカル『ボディガード』来日公演が東京・東急シアターオーブにて初日を迎えた。公演を前に主要キャストと来春開幕の『ボディガード』日本版キャストらが劇場のレッドカーペットに登場。華やかなドレス姿で来場客を沸かせた。【チケット情報はこちら】まず来日版の主役3名、レイチェル役(Wキャスト)のアレクサンドラ・バークとジェンリー・シャロー、フランク(ボディガード)役ブノワ・マレシャルに加え、オフィシャルサポーターのLiLiCoがボディガードに守られながら登場。レイチェル役のふたりは「お客様が一緒に立ち上がって楽しんでくださるのを楽しみにしています」(アレクサンドラ)、「ホイットニーというレジェンドの音楽を披露できることに感謝しています」(ジェンリー)と喜びを抑えきれない様子。ブノワは「1年ほど一緒にやってきたカンパニーなので、最高のものをお見せしたい」とダンディーな笑顔を見せ、「ハジメマシテ」と覚えたての日本語を披露。LiLiCoは「映画はみなさんよくご存知だと思いますが、あのシーンをこう見せるんだ、というのが一番の驚き。そしてホイットニーの歌を誰が歌えるのか?と思ったけれど、この素晴らしいキャストは映画を超えてます!」と興奮気味に絶賛。続いて来年3月に開幕する日本版キャストの柚希礼音、新妻聖子(Wキャスト)、大谷亮平の3名が登場すると、歓声があがった。英国での公演を観たという柚希は「私がボディガード役だと思う方もいたんじゃないかと思いますが(笑)、守られる役をしっかりと演じたい。歌が多いので、稽古して自分なりのレイチェルに挑む」と意気込みを語った。新妻は「日本版は歌詞も日本語になるので、ポップスシーンの歌がより演劇的になるのでは?」と推測。フランク役の大谷は今回が初舞台。「おふたりを役としてしっかり守れるように、舞台期間中は気持ちだけでも守っていけたら」と抱負を述べた。その後、初日が開幕。人気絶頂の歌手レイチェルのきらびやかなコンサートから始まり、ストーカーへの恐怖、フランクとのラブストーリーがスピーディーに展開するが、妹の影にいる姉ニッキーの葛藤、息子への思いも丁寧に描かれ、映画とは違った印象を残す。大ヒット曲『I Will Always Love You』はもちろん、ホイットニーの名曲が数多く使われ、カーテンコールは『I Wanna Dance with Somebody』で客席も総スタンディング。大迫力のパフォーマンスと芝居を楽しめるので、ミュージカルになじみがない人にこそおすすめしたい。公演は、10月6日(日)まで東急シアターオーブ・東京にて。10月11日(金)~20日(日)まで梅田芸術劇場メインホール・大阪にて上演。日本キャスト版は、大阪公演は2020年3月19日(木)~29日(日)、東京公演は4月3日(金)~19日(日)。取材・文:郡司真紀
2019年09月18日日本初演50周年となるミュージカル『ラ・マンチャの男』が9月7日より大阪のフェスティバルホールで開幕している。初演からセルバンテス/ドン・キホーテ役を演じ続け、本作品を自身のライフワークと位置づける松本白鸚は、今年8月19日に喜寿を迎え、帝国劇場で上演される10月19日17時の部で通算上演回数1300回を突破する予定だ。初日を前に東京都内で公開された、通し稽古の様子を取材した。【チケット情報はこちら】スペインの小説『ドン・キホーテ』を原作とした『ラ・マンチャの男』がブロードウェイで初演されたのは1965年。日本初演は69年4~5月で、市川染五郎(現・二代目松本白鸚)は26歳だった。70年には、日本人として初めてブロードウェイから招待を受け、名門マーチンベック劇場にて計60ステージに立った。以降これまでの上演回数は1265回にも上る。舞台は、16世紀末、スペインのセビリアの牢獄。投獄された『ドン・キホーテ』の作者であるセルバンテスは、牢名主からの追求を逃れるために、他の囚人たちを巻き込んで、『ドン・キホーテ』の劇を演じ始める…。この日の通し稽古は、オーケストラと衣裳がついた、本番に近い稽古だった。主演の松本白鸚は、とても77歳には見えない、力強く、熱のこもった芝居。6月に行われた製作発表では「真新しいラ・マンチャでございます。何しろ主演の俳優の名前が変わりましたから!」と挨拶し、笑いを誘っていたが、改めて白鸚のすごさは、この年になっても、何度も立った舞台であっても、常に自身の限界に挑んで、変化を楽しんで、観客の心を動かせることなのだと知る。白鸚演じるドン・キホーテが想い姫と慕うアルドンザ役は、本作初出演の瀬奈じゅん。元宝塚歌劇団のトップスターらしく、激しいダンスをこなし、伸びやかな歌声を披露していた。また、セルバンテスの従僕であるサンチョ役は駒田一。駒田自身、サンチョ役10年目ということで、主人への愛がより溢れ出ていたように思う。公演のキャッチコピーは「遍歴の旅はクライマックスへ」。ミュージカル史に残る“遍歴の旅”を、ぜひ心に焼きつけてほしい。上演時間は約2時間5分(予定)。大阪公演は12日(木)まで。宮城公演は9月21日(土)~23日(月)東京エレクトロンホール宮城。愛知公演は9月27日(金)~29日(日)愛知県芸術劇場大ホール。東京公演は10月4日(金)~27日(日)帝国劇場。チケット発売中。チケットぴあでは東京公演のOVER50向けの企画チケットを発売中。取材・文:五月女菜穂
2019年09月17日新作ミュージカル『怪人と探偵』が、9月14日に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 ホールにて開幕した。江戸川乱歩の推理小説を原案に、森雪之丞が作・作詞・楽曲プロデュースを、同劇場の芸術監督である白井晃が演出を手がける本作。キャストには中川晃教、加藤和樹、大原櫻子らが名を連ね、“世界で一番綺麗な宝石”をめぐる大怪盗・怪人二十面相(中川)と名探偵・明智小五郎(加藤)の対決が繰り広げられる。取材日にまず報道陣へ公開されたのは、オープニング20分。二十面相と明智による最初の対決は、東京スカパラダイスオーケストラのテーマ音楽「憂愁モダン」で彩られ、ジャズテイストのアップテンポな楽曲に乗せたダンスやアクション満載のステージングで華やかに幕を開けた。続く第6場の冒頭では、慈しむべき大切な“愛”の存在に気づいた二十面相が「世界で一番綺麗な宝石」を高らかに歌い上げる。中川は、盗めず・奪えず・探せない愛の尊さをのびやかな歌声で情感たっぷりに表現。ネコ夫人(高橋由美子)らも加勢する壮大なバラードへ発展した。抜粋シーンの上演後に行われた初日会見で、森は日本発のオリジナルミュージカル完成にいたった感慨を口にする。目指したのは「日本語の美しい歌」。森とタッグを組み、構想5年をともに駆け抜けた白井は「永遠のライバルである二十面相と明智が奪い合うのは、世界の財宝を超えたもの──という人間ドラマが本作のおもしろさ」と見どころを紹介した。「音楽・脚本が次第にできあがり、白井さんと対話を重ねて作品のピースがひとつずつ揃っていく過程に立ち会えたことは貴重な経験」と実感を込めて語るのは中川。対する加藤は、ミュージカル『フランケンシュタイン』(2017年)以来の2度目の共演となる中川について「アッキーさんと向き合う度に気持ちが高揚する」と刺激を受けた舞台裏を覗かせる。ヒロイン役の大原は初日を迎えた嬉しさを噛みしめつつ、本作を「千秋楽に向けて変化する作品」と分析。「何度もご覧いただきたいです!」と観客に呼びかけた。昭和モダンの世界を背景に、乱歩作品の登場人物が躍動する170分(休憩含む2幕)。東京公演は9月29日(日)まで。その後、10月3日(木)~6日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールに巡演する。チケット発売中。取材・文:岡山朋代
2019年09月17日田代万里生と平方元基が出演するふたりミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』が10月4日(金)の大阪・新歌舞伎座からスタート。その通し稽古に潜入した。【チケット情報はこちら】本作は、作詞・作曲をニール・バートラム、脚本をブライアン・ヒルが手掛け、2006年の初演以降、世界各地で上演されているミュージカル。日本では初上演となり、演出を高橋正徳(文学座)が手掛ける。また、田代と平方が公演によって役を入れ替える2バージョンでの上演となる。この物語は、ベストセラー作家のトーマス・ウィーヴァーが、幼馴染のアルヴィン・ケルビーの弔辞を書くシーンから始まる。その弔辞を書くために、二人の思い出を振り返る“温かな感動もの”をイメージして稽古場に訪れたが、実際はそのイメージとも違う展開が待っていた。最初にトーマスが歌う楽曲では「何を見落としているんだ?」「いつ壊れてしまった?」「俺のせい?」「どうしろと?」と自らに問う。幼馴染の死というショッキングな出来事を前に、緊張感のある始まりだ。この日、田代が演じたトーマスは「書くにはプロセスが大事なんだ」と言うような、どちらかというと常識的なイメージの人。平方が演じたアルヴィンは「君の頭の中には何千という物語があるはずだよ」と言うような、ユニークで自由だけど繊細な人。それぞれの役柄も、田代・平方二人の役者も魅力的だからこそ、両バージョンを観たくなる。劇中では、ふたりの数十年のうちのいくつかの場面が、断片的に描かれていく。ひとつひとつは取りとめもない思い出に見えるが、それを並べていくと、少しずつ見えてくるものがあった。田代と平方は、役のうえで幼少期から成人期までを演じる。年齢だけでなく、その時どきのふたりの関係性もふまえながら、丁寧に演じていく。また、ふたりの関係性の変化は音楽にも表れていた。そうやって辿った記憶から浮かび上がるものはなんなのか。ふたりミュージカルならではの熱演に、最後は思わず胸を押さえてしまう本作は、10月4日(金)から5日(土)まで大阪・新歌舞伎座、10月9日(水)から16日(水)まで東京・よみうり大手町ホールにて上演。その後、水戸、名古屋でも上演する。事前に映画『素晴らしき哉、人生!(It’s a Wonderful Life)』(1946)を観ておくとより楽しめる作品だということもお伝えしたい。チケットはぴあにて一般発売中。取材・文: 中川實穂
2019年09月17日木琴奏者、通崎睦美が10月11日(金)、銀座王子ホールでリサイタルを行う。現在はクラシック音楽の分野で世界唯一の木琴(シロフォン)奏者である彼女が、日本を代表する弦楽四重奏団クァルテット・エクセルシオとともに木琴の魅力を伝える数々の作品を演奏する。「通崎睦美(木琴)」チケット情報アフリカ由来でやわらかく甘い響きを持つのがマリンバ、ヨーロッパ起源で歯切れのいい華やかな音を持つのが木琴だ。同じ鍵盤打楽器ながら両者の出自は異なり、現在独奏楽器として用いられているのはマリンバである。マリンバ奏者として出発した通崎は2005年に戦前から戦後にかけて日本とアメリカで活躍した名演奏家、平岡養一(1907-1981)の愛器、1935年アメリカ製の木琴と出会い、平岡の遺族からこれを譲り受ける。以来、木琴奏者として多くの作品を演奏。また新作委嘱、著述などを通して広くこの楽器の紹介に取り組んでいる。クァルテット・エクセルシオとの顔合わせは2017年5月の京都に続く2度目のもの。さまざまな弦楽器との組み合わせによって木琴の響きが色とりどりに輝く様は、この共演ならではの味わいだ。もちろん通崎のソロ、クァルテット・エクセルシオの演奏などそれぞれの魅力もふんだんに。上記の楽器の他、樹齢1000年のホンジュラス・ローズウッドを使って1920年代のアメリカで作られたという、可愛らしい音色の木琴も登場する。エッセイストやアンティーク着物コレクターとしても知られる彼女のしなやかなトークをまじえながら、木琴という楽器の多彩な表情に出会える90分だ。チケットは発売中。[日時]10月11日(金) 14:00開演(13:30開場)/19:00開演(18:30開場)※各回休憩なし・90分公演[会場]王子ホール取材・文:逢坂聖也
2019年09月17日2000年(平成12年)の東京・浅草に始まり、大阪、名古屋、さらには日本を飛び出してニューヨークなどでも上演されてきた「平成中村座」。いよいよ11月、令和最初の公演として九州に初お目見えする。創設者である父・十八世中村勘三郎の思いを受け継ぐ中村勘九郎が、会場予定地に隣接する小倉城で意気込みを語った。【チケット情報はこちら】「父は常々、歌舞伎をまだ観たことがない多くの方々にも面白い芝居を見せたいと言っていました。特設劇場の平成中村座ならどこへでも行けるし、舞台と客席の距離も近い。浅草で初演した時の本当に嬉しそうな父の横顔を今でも覚えています。あれから19年、試行錯誤を重ねながら、父の夢をみんなで形にしてきました。今回、ようやく九州での公演が決まってとても楽しみですし、身の引き締まる思いです」昼の部は、歌舞伎の醍醐味が詰まった見取り狂言。『神霊矢口渡』では中村七之助が初役でお舟を勤める。「いつか七之助で観たいと思っていた情念溢れる作品」と勘九郎も期待を寄せる。続く『お祭り』は清元節による華やかな舞踊が楽しめる演目だ。「なかなか祖父のようにできないと言っていた父が、ようやく汗をかかずにできるようになったのが50歳を過ぎてから。僕はまだ37歳ですが、今できる僕の『お祭り』をお見せしたい」と表情を引き締める。そして三本目は『恋飛脚大和往来封印切』。「第2回平成中村座で、本興行とは別の若手の試演会で(中村)獅童さん、七之助と『義経千本桜』を演じました。大役を終えた時、またやりたいねって握手して。18年後にまたこの3人で本興行の舞台に立てるのは感慨深いですね」夜の部は、ご当地小倉のお家騒動を描いた通し狂言『小笠原騒動』。本水を使った大立ち回りや早替りがあるケレン味あふれる作品だ。「小倉でやると決まった時に、これしかないと思いました。おじの芝翫が演じるのを観てすごく感動したんです。水がかかるよう(笑)、最前列で観たこともあります。」勘九郎や七之助が二役を演じ分けるのも見どころで、「僕は大悪党・犬神兵部と、彼に翻弄される小悪党・岡田良助を演じます。良助一家の愁嘆場は皆で相談しながら作りあげたいです」“江戸の芝居小屋”にタイムトリップしたかのような気分が味わえる平成中村座。お客様を楽しませる仕掛けも満載で、十八世にちなんだ十八個の勘三郎の目が場内のあちこちに描かれた“隠れ勘三郎”もそのひとつ。また、小屋の周りには、平成中村座最多の店舗数となる「二十軒長屋」が設けられ、一般客にも開放される。「チケットがなくても江戸の文化に触れることができます。『お祭り』と『小笠原騒動』では、舞台の後ろを開けて外が見えるという演出があるので、中の方も外の方も(笑)どうぞお楽しみに!」「平成中村座小倉城公演」は11月1日(金)から26日(火)まで北九州市・小倉城勝山公園内特設劇場にて開催。チケットは9月21日より発売。
2019年09月17日9月16日に結成30周年を迎えたthe pillowsがアニバーサリーイヤープロジェクトの一環として制作した映画「王様になれ」が、9月13日から全国で順次公開されていく。9月14日にシネマート新宿で「公開記念舞台挨拶」が開催され、原案と音楽を担当したthe pillowsのリーダー 山中さわお、監督のオクイシュージ、主演を務めた岡山天音が登壇した。【チケット情報はこちら】舞台挨拶の冒頭で山中は「本当に実現したんだな...。2017年冬にアニバーサリーに何をしようかなといろいろ考えて、映画を作ってみたいとオクイ監督に相談に行ったんです。本当に実現して上映が始まって、そしてこんなに集まってくれてるじゃないか!嬉しいです」とライブMCを彷彿させる表現で感謝を伝えた。俳優として活躍し、今回が初メガホンとなるオクイは「(撮影にあたり)さわおくんのインタビューとか全部読んだんですけど、その中で“自分がボールを投げる相手が興味ない方はいくら投げても受け止めてくれない。でも地に足が着いてないとむやみに投げてしまう。そして勝手に傷ついてしまう”という言葉があったんですけど、この映画を誰に向けて作ればいいんだろうとずっと考えているときにすごくその言葉が残っていて。今日ご覧になってくれた皆さんの中で何かが響いた方はきっとその方に向けてこの映画を作ったんだと僕は思っています。その受け取ったボールを誰か身近に居る受け取ってくれる方に投げてもらって、少しずつでもこの映画が広がっていくといいなと思います」とコメント。そして岡山は「長編映画単独では初主演で、僕の人生にとっても一度しかない機会がthe pillowsさんの記念すべき作品であったことを本当に嬉しく思います。節目に作られた作品だからこれから皆さんの節目に観返したくなるような映画になってくれたら嬉しいなと思います」と語った。最後に山中は「自分の“あっ、これは強みだな”と思うのは、神経質なところもあるんだけど鈍感力もあって。映画を作りたいとか鈍感力があったから怖いもの知らずで、出来るはずだと決断した。若いときに“オレは絶対才能がある”と思って、今その頃の音楽を聴いたらひどい曲、ひどい歌唱力で才能なんか感じられないんだけど、その勘違い力、鈍感力がちょうどよくあった。今回も今思ったらすごい無謀なことだけど、キャスト、スタッフの方に助けていただいて、というよりその人の力が99%で出来たなという感じでした。その鈍感力をもってアニバーサリーライブの横浜アリーナに立ちたいなと思ってます」と締めた。映画「王様になれ」は全国の映画館で順次公開中。そして10月17日(木)には横浜アリーナで記念公演も控えている。the pillowsのとびきり素敵な30周年をじっくり味わって欲しい。取材・文:浅野保志(ぴあ)
2019年09月17日ケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン主演により、世界的大ヒットを記録した映画『ボディガード』。そのミュージカル版がついに来日、英国版がこの9月に、そして日本キャスト版が2020年春に上演される。そこで日本キャスト版に出演する大谷亮平に話を聞いた。【チケット情報はこちら】『逃げるは恥だが役に立つ』でブレークし、現在放送中の『ノーサイド・ゲーム』も好評な大谷。そんな大谷にとって本作は、初の舞台出演となる。「映像の仕事をメインにさせていただいてきたので、自分が舞台に出るということは、正直あまりイメージが出来ませんでした。というのも舞台は生なのでミスが許されませんし、覚悟を持って臨まなければいけないなと。今回のお話をいただいた時も、まずは挑戦だという気持ちが強くて。ただ同時に、みんなで時間をかけてつくっていく楽しさ、やりがいもすごく感じていますし、いい作品、いいご縁をいただいた喜びもとても大きいです」人気歌手レイチェル・マロンの身辺警護を依頼された、元シークレット・サービスのフランク・ファーマー。楽観的なレイチェルは当初フランクを邪険に扱うが、彼のボディガードとしての仕事ぶりを目の当たりにし、徐々に信頼し始める。そしていつしかふたりの間に恋心が芽生えるが…。極上のサスペンスとラブロマンスが融合した名作。大谷は作品としての魅力をどんな点に感じているのか。「常に追われている感はありますよね。その緊張感、スリルがある中での禁断の恋というか。ふたりの距離がだんだん縮まっていく、あの瞬間が僕は結構好きで。いいのか?いいのか!?みたいな(笑)。とても興味深い関係性なので、自分がそれを演じられるのはとても楽しみです」そのフランクを大谷が、レイチェルを柚希礼音と新妻聖子がWキャストで演じる。「フランクはとにかく無骨な男ですよね。自分の仕事をひたすら全うする。それ以外のことは排除してきたような生き方というか。まぁ男の僕から見てもカッコいいですし、共感も出来る。ただそれを超えていくのが、ちょっと言うのも恥ずかしいですが、“愛”だったりするわけで。駄目だと思っていても、どうしても自制心がきかなくなってしまう。そういう役を演じるってこともまた挑戦ですし、それが舞台というのがやはり一番の挑戦。やる前とやった後では全然違う、大きな財産になるだろうなと。新しい世界を見るような感覚なので、自分がその時にどうなっているのか、それもまた楽しみですね」公演は2020年3月19日(木)~29日(日)まで、梅田芸術劇場メインホール・大阪にて、4月3日(金)~4月19日(日)まで東急シアターオーブ・東京にて上演。ひと足早く、ぴあ貸切公演のいち早先行を、9月14日(土)11:00~受付開始!取材・文:野上瑠美子
2019年09月13日今年1月に日本初上陸を果たし、ディズニー名曲の数々をブロードウェイのステージさながら、圧倒的なパフォーマンスと歌唱力で披露するコンサート「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ」。同公演が2020年1月30日(木)・1月31日(金)に東京・国際フォーラム ホールAで再演される事が決定した。【チケット情報はこちら】今年1月の公演では、『美女と野獣』の「Be Our Guest」のナンバーで華やかなオープニングを迎え、『メリー・ポピンズ』メリー・ポピンズ役(オリジナルキャスト)、「『美女と野獣』ベル役のアシュリー・ブラウン、『ターザン』ターザン役(オリジナルキャスト)のジョシュ・ストリックランド、『ライオンキング』父親・ムファサ役を4300回以上を演じた記録を誇るアルトン・フィッツジェラルド・ホワイト、『ライオンキング』ナラ役を誰よりも長く演じたキシー・シモンズなど、海外キャストが舞台に勢揃いした。ブロードウェイで活躍する俳優たちが実際に演じた楽曲を熱唱する姿に、会場のボルテージも一気に高まった。そんなディズニー・ミュージカルが伝える夢、希望、そして愛が詰まったコンサートが、さらにパワーアップして2020年に開催。『ライオンキング』『ターザン』のアソシエイト・ディレクターを務め、日本でも『ライオンキング』『リトル・マーメイド』の幕開けに携わり、本公演のプロデューサーでもあるジェフ・リー(Jeff Lee)は、「東京で2年目のディズニー・ブロードウェイ・ヒッツを迎えられる事を光栄に思います」と再演への喜びと意気込みを語った。チケット一般発売に先駆けて、最速抽選先行を実施。受付は9月16日(月)午前11時から25日(水)午後11時59分まで。■「ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ」公演日程:2020年1月30日(木)・1月31日(金) 開場18:00/開演19:00会場:国際フォーラム ホールA(東京都)料金:VIP席 : 16,000円(お土産付、前方席保証) S席 : 11,000円 A席 : 8,800円 B席 : 6,000円※3歳以下の入場不可、4歳以上チケット必要※全席指定・税込
2019年09月13日『ジキル&ハイド』をはじめ数々のヒットミュージカルの音楽を手掛けるフランク・ワイルドホーン。世界の第一線で活躍する一方で、宝塚歌劇団での新作や『デスノート THE MUSICAL』など日本オリジナル作品にも意欲的、日本でも人気の高い作曲家だ。その彼が作った名曲たちを豪華スターが歌うミュージカルショー「FRANK WILDHORN&FRIENDS」が10月に開催される。メインアクトレスとして出演する元宝塚歌劇団星組トップスター柚希礼音に話を聞いた。チケット情報はこちら柚希はワイルドホーン作品には過去2作出演経験がある。最初は2008年の宝塚星組公演『スカーレット・ピンパーネル』。当時二番手男役だった彼女は主人公の敵役ショーヴランを演じた。「来日して歌稽古をしてくださったのですが、その時に初めてお会いしました。ショーヴランには『君はどこに』というナンバーがあるのですが、音取りをしている段階では「これ、一体どういう曲なんだろう…」と思っていたのに、ワイルドホーンさんが弾いてくださったら一気に切ない感情が入って「なんて素敵な曲なんだ!」となったのを覚えています。緩急やテンポのつけ方がドラマチックなんですよ。今回のコンサートはワイルドホーンさんが演奏してくださるので、あの感動がまた味わえるのかと楽しみにしているんです」と話す。そして宝塚退団後の2018年に『マタ・ハリ』のタイトルロールでふたたびワイルドホーン作品に出演。「今度は女性の役だということもあり、ショーヴランの時とはまったく違う音楽でした。ただ豊かな低音から力強さを保ったまま高音までいくのが素敵で、やっぱりワイルドホーンさんの曲は最高だなと思いました。難しさはあるのですが、好きだから歌いこなしたい、挑戦したいと思う曲ばかりなんです。『スカーレット・ピンパーネル』と『マタ・ハリ』は自分にとって思い入れのある作品。今回のコンサートでもここは重きを置いて欲しいな」とリクエスト。現時点で披露楽曲は未定だが、柚希が何を歌うのかも楽しみだ。なお今年芸能活動20周年を迎えている柚希だが、複数の出演者で贈る“ミュージカルコンサート”は初体験。「20年目の初挑戦ですね、あえて避けていたわけではないのですが(笑)。コンサートで“1曲だけ切り取って披露する”のはちょっとプレッシャーを感じますが、ワイルドホーンさんの曲は1曲の中に起承転結があって盛り上がるので、こういうコンサートに似合うと思います。でもマタ・ハリの歌だったらやはりマタ・ハリの意識にならないと歌えないところもありますので、特に演じたことのあるものは、その曲の背景や心境をリンクさせて歌いたいです。とはいえ役を通して歌うのとも違いますので「楽しんでやろう」という意識でいきたいですね、あまり緊張しすぎないように(笑)」。公演は東京・日本青年館ホールにて。柚希の出演は10月12日(土)・13日(日)。チケットは9月14日(土)に一般発売を開始する。(取材・文:平野祥恵)
2019年09月13日宮沢りえ、堤真一、段田安則が挑む三人芝居「死と乙女」が、本日9月13日(金)から東京・シアタートラムにて開幕する。チリの劇作家アリエル・ドーフマンが、実際に軍事独裁政権から受けた過酷な弾圧や、見聞きした悲惨な事実を基に執筆した傑作を、演出の小川絵梨子を含め日本の演劇界を牽引する実力派たちが集まり、稽古場で濃密なディスカッションを重ねて完成させた。【チケット情報はこちら】独裁政権が崩壊したばかりのある国では、旧政権の弾圧や人権侵害の罪を暴く調査委員会が発足。かつて反政府側で闘っていた弁護士ジェラルド(堤)は、その委員会の中心メンバーに指名される。その妻ポーリーナ(宮沢)も学生運動に身を投じていたが、過去に受けた拷問のトラウマに苦しんでいた。ある嵐の晩、車の故障で立ち往生したジェラルドは、偶然通りかかった医師ロベルト(段田)に助けられ、彼の車で送られてくる。ロベルトの声や笑い方、香りから、ポーリーナは、ロベルトがかつてシューベルトの「死と乙女」を流しながら、目隠しをした自分を繰り返し凌辱した男だと確信する。ポーリーナの激しい追及と復讐に対し、必死に潔白を訴えるロベルトと、妻の思い込みを疑い説得するジェラルド。 それぞれの心の中にあるのは、狂気なのか真実なのか…。開幕にあたり出演者がコメントを発表した。「ポーリーナには迷いが一切ありません。意志がハッキリしていて彼女の中ではすべてが真実なんです。お客様は、何が真実なのか、振り子が揺れる中でご覧になると思いますが、その振り子を揺らし続けるにはどうしたらいいかを考えながら稽古を重ねてきました。本番を通しても、膨大なセリフに囚われず言葉を吐き出せるように、感情のエッジを常に尖らせていきたいですね」(宮沢)。「段田さんにも、“この役、難しいよなあ”と言われたほど、最初は本当に頭を抱えていました。自分の正当性を主張し続ける能動的なポーリーナとロベルトに対し、ジェラルドは受動的な立場。彼が何を真実だと思い、その言動は何に突き動かされているのか。演出の小川さん、りえちゃん、段田さんという頼もしい人たちと一緒に探り続ける稽古でした。でも、こういう優れた戯曲は、悩みながら考えながら読み解いていくうちに、魂が揺さぶられる瞬間が絶対にくる。それが楽しいんですよね」(堤)。「この作品は、過酷で癒しがたい傷跡の物語であると同時に、スリリングな心理劇の側面をもっています。そんな演劇的な魅力ゆえに世界中で上演され、そのことで忘れてはならない悪政と犠牲者たちの記憶を私たちの中に刻んでいます。お客様にも、3人の登場人物が揺れながら変わっていく様子をリアルに感じ、ご自身を見つめ直す時間にしていただけたら」(段田)公演は10月14(月・祝)までの東京公演の後、10月18日(金)から21日(月)までサンケイホールブリーゼにて大阪公演を行う。
2019年09月13日シャンソン歌手のクミコが歌う『妻が願った最期の「七日間」』が話題を呼んでいる。新聞の投稿欄に掲載された「七日間」という一遍の詩から生まれた楽曲で、詩の作者は2018年1月にがんで他界した宮本容子さん。「もしも神様が元気な7日間をくれたら」という容子さんの願いが込められている。そこには、ごく普通の日常がいかに豊かで、尊いものであるかという思いも描かれており、容子さん亡きあと、夫の英司さんが投書したことで多くの共感を呼び、書籍化もされた。そんな中、クミコの元へ英司さんより「歌ってほしい」との手紙が届いた。そして数々のヒットを生み出したプロデューサー酒井政利の手により、純愛をテーマにした歌になってリリースされた。「クミコ」チケット情報「朝日新聞の投書をリアルタイムで読んでいて、世の中には映画のようなご夫婦がいらっしゃるのだなと感動していたんです。そして昨年12月に英司さんからご本とお手紙が届いて、やっぱりご縁があるのかなあと思いました」とクミコ。「七日間」を歌うことは、必然の出会いような気持ちでもあったという。「人が生きるということと、死ぬということは表裏一体。最期を考えるということは、今をどう生きるかということでもあるので、そういう歌を託されるには私自身、ちょうどいい年代に入っているのかなと思います。何か、歌の方から寄り添ってくれたような感じです」。「七日間」から伝わる英司さんと容子さんの「純愛」。「おふたりの往復書簡のようにご本を読んでいると、70代というご年齢にもかかわらず純度が高いことにびっくりして、うらやましいなと思いました。何十年も一緒にいると、大変なこともいろいろあったと思いますが、そういう中でもきちんと鮮度を保っていられたのは、お互いを名前で呼んでいることも大きかったと思います。人間として、男と女として、見つめ合い続けたからこそでは」。人の心を大きく揺さぶる楽曲だけに、歌う時は気持ちを入れ込み過ぎないようにしていると話す。「おふたりの宝石のようなお話を、泥にまみれたような世の中にそのまま出したいと思いました。歌い手が入れ込み過ぎると、しらけてしまうこともあるので、シャンソンもそうですが、どの歌も愛の歌はなるべく客観性を持った方が届きやすいのかなと思います」。9月23日(月・祝)には、作詞家・岩谷時子の楽曲をメインに歌うコンサートも控えている。「女性の作詞家の中で、一番好きな方です。岩谷さんの歌の世界もぜひお楽しみください」。取材・文:岩本和子
2019年09月13日鴻上尚史が作・演出を務める新作舞台『地球防衛軍 苦情処理係』が2019年11月2日(土)から紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演される。主演は、昨年8~9月に上演された舞台『ローリング・ソング』で鴻上と初タッグを組んだ、中山優馬。どんな舞台になるのか。鴻上と中山に話を聞いた。【チケット情報はこちら】物語の舞台は、タイトルの通り、人類を怪獣や異星人から守るために戦う“地球防衛軍”というエリート組織の中にある、“苦情処理係”。「私の家は、地球防衛軍のミサイルで壊された。弁償しろ」などと激しいクレームにさらされながら、日々“正義の戦い”とは何かを苦悩して…。現在、脚本を絶賛執筆中の鴻上。物語の着想を得たのは「SNSなんかで、みんなが正義の使者になっているというか、みんなが自分を主張するという時代になったなと感じたのが始まり」だという。鴻上は「僕の作品なので、どこか社会性があって、単なるファンタジーで終わる話ではない。2時間ひたすら苦情処理をする話ではないです」と笑う。すでにプロットを読んだ中山は「(脚本の設定の)目の付け所がすごい。地球防衛軍だけでもすごいのに、苦情処理だなんて。役者が動いて、どんな物語になっていくのか、楽しみ」と期待を寄せていた。ふたりは、前作『ローリング・ソング』で初タッグを組んだ。鴻上は、中山について「とても良かった。すごく熱心にやってくれたし、芝居に対する態度が真面目だった。今回は優馬がひとりで引っ張る面があるが、気負いすぎず、優馬のいろいろな多面性が出せれば面白いかな」。一方、中山は「スピード感があって、毎回スリリングな舞台で。本番はすごく緊張した」と前作を振り返りつつ、「鴻上さんの指示は分かりやすいし、毎回課題をくれる。目標ができるので、やっていて楽しい」とも語っていた。最後に本作への見どころを聞いた。中山は「いろいろな顔、いろいろな感情を出していきたいと思う。鴻上さんの書いた物語は、間違いなく面白いと思う。だって、地球防衛軍の苦情処理係ですから」。鴻上は「笑いがあって、ダンスも、もちろんファイティングもある。お芝居の楽しさや面白さを、ギュッと集めた作品。間違いなく面白いものにするので、見に来ていただければ」と話した。出演者は中山優馬、原嘉孝(宇宙 Six/ジャニーズ Jr.)、駒井蓮、矢柴俊博、大高洋夫ほか。東京公演は11月24日(日)まで。大阪公演は11月29日(金)~12月1日(日)、サンケイホールブリーゼにて。
2019年09月13日いまヨーロッパを席巻するドイツのバレエカンパニー、「バレエ・アム・ライン」が、代表作《白鳥の湖》を携え初来日を果たす。2009年、スイス出身のマーティン・シュレップァーが芸術監督及び首席振付家に就任すると、作品のクオリティが飛躍的に上昇。斬新な解釈と現代性を備えた振付はバレエファンの目を開かせ、カンパニーは“21世紀バレエ芸術のパイオニア”として人気と称賛を集めている。「バレエ・アム・ライン《白鳥の湖》」チケット情報《白鳥の湖》といえば、台本はプティパ=イワーノフの改訂版、音楽は削除や追加など、原典版から7割方変更が加えられたものが主流とされる。1877年初演のチャイコフスキー原典版で作品を観た人はほとんどいないのが現状だ。そんな中、振付家のマーティンは、小澤征爾が指揮するボストン交響楽団の原典版録音を聴き「これなら衣装やセットに頼らず振付ができる!」と強いシンパシーを抱く。作曲家、指揮者、振付家が、高次元で共鳴し合えた瞬間だった。2018年、初演台本と原典版を用いた新感覚の『白鳥の湖』が完成した。物語にはヒロインの祖父など、改訂版には出てこない人物が多数登場する。劇中には無音でダンサーが踊る場面があるなど、新たなストーリーと演劇的要素の強い振付は観客の想像力を刺激し、ヨーロッパを中心に話題沸騰となった。本作アンバサダーで元宝塚歌劇団花組トップスターの真飛聖は現地を取材し、マーティンにも話を聞いたという。「アム・ラインの魅力についてマーティンさんは『誰ひとり脇役がいない。ひとりひとりのキャラクターを唯一無二の存在として舞台に立たせている』と話してくれて、とても素敵だなと。所属ダンサーも彼に習いたいと集まって来た人がほとんど。マーティンへの尊敬と信頼の念が、多国籍で年齢層も幅広い彼らをひとつにまとめているのだと実感しました」。バレエ経験者の真飛は、彼の作品に固定概念を覆されたとも。「同じ音楽で想像とまったく違う《白鳥の湖》を表現されていて、こんなバレエもあるのかと衝撃でした。ダンサーは衣装や言葉に頼らず表現することの重みを感じているので、ちょっと涙が出そうになるくらい感動的な場面もあり、ひとりひとりの表情まで見逃せません。アスリートのような肉体美から放たれる演者の息吹が躍動感に繋がり、人数以上のパフォーマンスを見るような迫力でした」。尚、2020年、マーティン・シュレップァーは、マニュエル・ルグリの後任としてウィーン国立バレエ団の芸術監督に就任することが決まっている。そのため、彼が率いるバレエ・アム・ラインとしては、今回の初来日公演が最後の上演となる。公演は9月20日(金)・21日(土)東京・Bunkamuraオーチャードホール、9月28日(土)に兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールにて上演。チケット発売中。また、28日(土)15時公演の前(14:25~14:40)には、真飛聖がアナウンサーとともに公演の見どころを語るプレトークショーが決定。取材・文:石橋法子
2019年09月13日UNIDOTSが「UNIDOTS Live Tour 2019 覚醒 - adolescence -」と題した東名阪ツアーを11月より開催。11月4日(月・祝)のツアー初日である渋谷クラブクアトロ公演よりライブ会場限定でのCDを販売することが決定した。【チケット情報はこちら】CD音源リリースや配信を一切行わない中、ライブのみで動員を増やし続けてきたUNIDOTS。ついに初となるCDのリリース(会場限定)は4曲入りになる予定で、タイトル、収録曲目等、詳細は後日発表となる。チケットの一般発売に先駆けて、現在プレリザーブを実施中。受付は9月17日(火)23時まで。■UNIDOTS Live Tour 2019覚醒 - adolescence -11月4日(祝・月) 渋谷CLUB QUATTRO(東京都)11月16日(土) 伏見JAMMIN’(愛知県)11月17日(日) 梅田 Shangri-La(大阪府)
2019年09月12日荻田浩一が脚本・演出を手掛け、水夏希が主演する『カリソメノカタビラ~奇説デオン・ド・ボーモン~』が9月12日、東京・浅草九劇で開幕する。実在したスパイ、シュヴァリエ・デオンを主人公に、虚実織り交ぜ作り上げるミュージカル。11日、初日に先駆け行われた最終舞台稽古を取材した。チケット情報はこちらデオン・ド・ボーモン(シュヴァリエ・デオン)は、18世紀フランスに生きた実在の人物。フランス国王ルイ15世の私的スパイ機関で働き、マリー・アントワネットとも交流があったこの人物は、生涯の前半を男性として、後半を女性として生きたと言われている。女装してロシアへわたり女帝エリザベータの女官として働いたと思えば、今度は男性としてロンドン特命全権大使の任務に就く……史実自体がドラマチックだが、荻田浩一はここにさらにひとひねり加え、デオンを“女性の肉体をもって生まれた男性”として創作。豪華な歴史絵巻の中、“自分とは”という現代的テーマが貫く作品になった。出演者は5人のみ。デオンを演じる水は、元宝塚歌劇団トップスターならではの男装の凛々しさ、マントさばきや剣さばきの美しさでこの宮廷絵巻の豪華な世界を作り上げると同時に、デオンの持つ複雑な内面をぶれることなく丁寧に演じている。このミュージカル、あらすじから想像する以上にコミカルなシーンも多いのだが、水のデオンがぶれることなく存在することで、物語に一本の芯が通った。また、共演の4名は実力派揃い。ボーマルシェ役の坂元健児はストーリーテラーとして物語を支えるとともに、軽妙な存在感で作品にシニカルな味を加える。ロシア女帝エリザベータからルイ15世・16世など様々な役に扮する植本純米の怪演は圧倒的だし、植本とともに八面六臂の活躍をしつつ、デオンとは別の角度から女性の自立というテーマにもスポットをあてる笠松はるの柔軟さも見事。ジュゼッペ役の溝口琢矢は爽やかな風を吹かせながらも、ベテラン勢と対等にわたりあい頼もしい。何よりもこのキャストを、浅草九劇という客席100人超の緊密なスペースで観る贅沢さ。特に坂元、笠松らミュージカル界でも屈指の歌唱力を持つキャストの歌声がこの空間に響きわたる興奮は、なかなかほかでは味わえないだろう。ミュージカルの世界では様々な物語が生まれているフランス革命期だが、作演出の荻田が新たな主人公に光を当て、スリリングなミュージカルが誕生した。ゴージャスな世界観を持つ作品ではあるが、どこか浅草らしい雑多さもある。笑いながらも考えさせられ、知的好奇心もくすぐられるミュージカルだ。この不思議な感覚、ぜひ劇場で味わってほしい。公演は9月23日(月・祝)まで、同劇場にて。
2019年09月12日NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』に出演している中村勘九郎が来阪。弟・中村七之助とふたりが中心となり、中村屋一門で行う毎年恒例の全国巡業公演「錦秋特別公演2019」の会見に臨んだ。今回、関西では堺、京都、神戸で上演、全国14か所を巡演する。歌舞伎を観る機会の少ない地方に「自分たちが全国各地に足を運び、たくさんの方に歌舞伎を観てもらおう」とスタート、15周年を迎えた今年で47都道府県制覇となった。「中村勘九郎 中村七之助 錦秋特別公演 2019」チケット情報今回のプログラムは『芸談』から始まり3演目を上演。幕開きは、勘九郎と七之助がスーツ姿で登場し、素顔で語る人気のトークショー『芸談』だ。観客の質問コーナーもあり、芸談からプライベートな話まで楽しく盛り上がる。「初めて歌舞伎をご覧になる方の緊張を少しでも和らげ、リラックスした状態で後の演目をご覧いただきたい」。そして、まずは中村屋の門弟一同でにぎやかに踊る『艶紅曙接拙 紅翫(いろもみじつぎきのふつつか べにかん)』を上演。「江戸の風物詩を織り込み、物売りもたくさん出て来て、さまざまな役が登場する、ビジュアルで楽しんでいただける演目です」。次に『三ツ面子守(みつめんこもり)』。背負った子供をあやすため、子守の娘がおかめ・えびす・ひょっとこの3つのお面を素早くかけ替えて軽妙に踊る。「歌舞伎を代表する舞踊のひとつで、子守の役として踊り分けをするというテクニック的にも難しい踊りです」。この公演でおなじみの中村鶴松が修行を重ね、「うまくなってきました。大抜擢で踊ってもらいます」。最後は、羽衣伝説をもとにした『松廼羽衣(まつのはごろも)』。松の枝にかけられた天女(七之助)の羽衣を取った漁師の伯竜(勘九郎)が、羽衣を返す代わりに舞を所望し、天女は優美に舞いながら天へと帰って行く。「ファンタジーにあふれたお話を、常磐津でしっとり踊ります。常磐津舞踊の中でも本興行でかかることが少ない演目。この公演ではそういうものも大事にしていきたいと、チョイスしました。七之助とふたりでしっかり踊るのは約1年半ぶりなので、楽しみです」。錦秋特別公演をきっかけに、歌舞伎に興味を持ち、南座や大阪松竹座へ足を運ぶようになった人も増えている。「続けてきてよかった」と言いつつも「どの劇場でも、初めて生で歌舞伎を観る方が7割ぐらいいらっしゃるので、まだまだだな、と。今年、15周年を迎えましたけれど、やはり初心を忘れずにやってくことが一番ですね。マラソンランナーの役をやっていたので持久力がつき、体力的には結構上がったんじゃないかな。番組をきっかけに来てくださるお客様も多いと思いますので、いい意味で期待を裏切りたいと思っています」。公演は10月18日(金)大阪・フェニーチェ堺 大ホール、10月19日(土)京都・ロームシアター京都 メインホール、10月20日(日)兵庫・神戸国際会館 こくさいホールにて上演。その他、全国を巡演。取材・文:高橋晴代
2019年09月12日神奈川フィルハーモニー管弦楽団の首席ソロ・コンサートマスターを務める、石田泰尚氏がプロデュースした男性奏者のみの硬派弦楽アンサンブル「石田組」。その単独公演が10月14日(月・祝)、東京・赤坂にあるサントリーホール大ホールで行われる。今回の公演の見どころや石田組について、石田泰尚氏に話を伺った。【チケット情報はこちら】石田組の公演はクラシックのみならず、幅広いジャンルを楽しめることが特徴。今回の公演でも、E.バーンスタイン(近藤和明編曲)「荒野の七人」といった映画音楽や、クイーン(松岡あさひ編曲)「ボーン・トゥ・ラブ・ユー」のようなロックの名曲を演奏予定だ。特に聴いてほしい曲は、松岡あさひ氏が編曲したプログラム後半の4曲で、それらはすべて初披露となるもの。石田氏が太鼓判を押すだけあって、その仕上がりに期待したい。「チラシを見ただけではどんな集団なのか分からないと思う。実際に見に来ていただいてギャップをお伝えしたい」と、耳だけでなく目で見て楽しめることも、石田組の見どころのひとつだ。総勢13名の弦楽合奏団である石田組。そのコンセプトを尋ねると、「メンバーが思い切り演奏を楽しめる場にしたい」と語る石田氏。オーケストラ奏者が100人近いオーケストラで演奏する際は、時には周りに気を遣って気疲れすることもあるという。「自分たちが演奏を楽しむことで、お客さんにも楽しんでいただきたい」というのが石田氏の想いだ。石田組としての今後の目標は、長く活動を続け、まだ訪れていない地域を含め日本全国で公演を行うこと。そのためにはメンバーが離れないように、自分自身も練習を積み成長することを大事しているという。最後に観客へ向けてのメッセージを聞くと、「石田組はひとりひとりが主役。素晴らしいメンバーが揃っているので、全員のことを見てほしい」と語った。現在、前売り券がチケットぴあにて発売中。取材・文:松崎 優美子
2019年09月12日作曲家・林晶彦がデビュー30周年記念コンサートを開く(11月13日(水)・東京オペラシティ・コンサートホール)。なかなかにたくましい、波乱の音楽人生を歩んできた人だ。【チケット情報はこちら】1989年に、京都・丹波高地の山村で行なわれた京北国際芸術祭というイベントで自作曲を弾いたのがデビュー。「世界的打楽器奏者のツトム・ヤマシタさんがプロデュースした音楽祭です。無名の僕にヤマシタさんは45分のステージを与えてくれました」その前年、面識もなかったヤマシタを突然訪ねて交流が生まれたのがきっかけだった。残念ながら詳述する余裕はないのだけれど、そのバイタリティや、まるで奇跡のような出会いのエピソードはちょっとドラマティックだ。林は1955年生まれだから、当時すでに34歳。かなり遅咲きのデビューだ。それまで何をしていたのか。「管弦楽組曲だったと思うんですよ」ロックバンドでベースを弾いていた林少年が、ある日突然クラシックに目覚めたのは、ラジオから聴こえてきたバッハだった。そこから2年間ピアノを猛練習。しかし日本の音楽大学を目指すことなく、いきなり高校を中退して17歳で単身パリへ。アカデミズムとは無縁で、往年の名ピアニスト・作曲家のミロシュ・マギンにプライベートで師事した。「黒板の前で勉強するのは僕の音楽ではないと思った。体験したことが音になるから。ただ、僕は体験したことがはちゃめちゃなんですけどね(笑)。ある音楽家の方に、どんなシステムで作曲しているのかと聞かれたことがあったのですが、システムはないんです。出会った人にインスパイアされて作るので。理論では作っていないんです」20歳のとき、今度は突然イスラエルへ。中東に一触即発の空気が漂っていた1970年代半ばだ。「パリで病気で入院して死にかけて、しんどくてどんな音楽も聴けなくなってしまったときに、ガールフレンドがくれた、イスラエルの歌の入ったテープだけは聴くことができたんです。それでどうしても行ってみたくなった。何のツテもなくテルアビブへ行きました」そこでも音楽は独学。イスラエル・フィルのリハーサルを覗き、楽旅で当地を訪れたピアノのウラディーミル・アシュケナージに飛び込みでレッスンを受けるなど、さまざまな武勇伝。1年後に帰国。芦屋のライヴハウスでピアノを弾いたり、新婚旅行で訪れたインドで2か月暮らしたり。「いろいろやってたけど、思い出せません」と笑う。10年以上フリーランスの音楽家として食いつないだのちに訪れたのが上述のデビューの機会だった。コンサートも、そんな彼の音楽人生の中で、さまざまな縁で出会った仲間たちが集う。ヴァイオリン、チェロ、オーボエ、ソプラノ、能管、打楽器、そしてジャズ・ベース。新曲も3曲。「やったことないようなことばかりで大変なんですけど、僕もワクワクしてます」彼の作品を初めて聴く人にも楽しい、多彩なコンサートになりそうだ。取材・文:宮本明
2019年09月11日1979年の初来日以来、これが6度目となる英国ロイヤル・オペラの日本公演がまもなく始まる。今回の演目は、2004年に新制作されたグノー《ファウスト》(デイヴィッド・マクヴィカー演出)と、2017年新制作のヴェルディ《オテロ》(キース・ウォーナー演出)。奇しくもゲーテとシェイクスピア、二人の文豪の作品を原作とするオペラでもある。9月6日に都内で開かれた開幕会見に、音楽監督・指揮者のアントニオ・パッパーノと主要キャストが出席した。「英国ロイヤル・オペラ日本公演」のチケット情報「日本公演はロイヤル・オペラ唯一の海外公演。素晴らしい場所で、素晴らしい2作品を観ていただけるのは幸せです」と、パッパーノ。「歌手が充実していないと実現できない演目」として、それぞれの作品に出演する歌手たちへの期待と信頼を語った。2002年からロイヤル・オペラの音楽監督を務めるパッパーノ。すでに昨年、契約を2023年まで延長することが発表されている。その長いパートナーシップの秘訣を「オペラを愛し、歌を愛し、言葉を愛し、劇場を愛すること」と語る。「歌い手を心から愛し、理解して、真摯に音楽作りをすれば、聴衆も信頼してついてきてくれます」今回、その「愛」で結ばれた歌手陣には実力派が揃った。本格的なオペラ出演としてはこれが日本デビューとなるヴィットリオ・グリゴーロは、ファウスト役を十八番とするスター・テノール。「パッパーノは、信頼してすべてをまかせることのできる指揮者。人々に喜びを与えるという喜びを私たちに教えてくれる。私たちは彼のマジックの駒のひとつでもまったく構わないのです。指揮者はF1でいえばタイヤのようなもの。どんなに優れたドライバーが良いエンジンを操っても、性能の高いタイヤがなければマシンは正しい方向に進みません」と、大好きだというF1になぞらえてパッパーノへの信頼を熱弁した。この絶妙なたとえに思わず「そのとおり!」と膝を叩いたグレゴリー・クンデは、今年だけでも5つの劇場でオテロを歌う予定があるという、現在最高のオテロ歌いだ。今回のキース・ウォーナーのプロダクションにも、2017年の初演時に出演している。「テノールにとってオテロは夢のような役。テノールの目指す頂点にある役のひとつだと思っています」と語る。会見には他に、《ファウスト》のメフィストフェレス役のイルデブランド・ダルカンジェロ、《オテロ》のヤーゴ役のジェラルド・フィンリーの2人の「悪役」、そして《オテロ》のデズデモナ役のフラチュヒ・バセンツも出席。パッパーノが「私自身が家長のようなものなので、自ら模範を示さなければなりません」と語ったのに呼応するように、みな口々に「家族同然」「素晴らしい仲間」と、チームとしての結束の強さをうかがわせた。世界トップレベルの実力に信頼という「鬼に金棒」。今回もまた充実の舞台を繰り広げてくれるはずだ。文:宮本明
2019年09月10日「“あのイ・ムジチ”という存在ですよね。光栄ですし楽しみです」キャリア十分のヴェテランがそう言って目を輝かせるのは素敵なことだ。天羽明惠は日本の声楽界を牽引するトップランナーのひとり。この秋、イタリアの老舗アンサンブル、イ・ムジチ合奏団と共演する(10月2日(水)・サントリーホール)。「イ・ムジチ合奏団 with 天羽明惠」の公演・チケット情報イ・ムジチといえば《四季》。誰もが知る有名曲だが、実は、音楽史で忘れられていたこの作品が再発見されたのはなんと20世紀半ばのこと。そしてそれが世界的な人気を獲得するのに大きな役割を果たしたのが、1952年結成のイ・ムジチなのだ。繰り返し録音した彼らの《四季》は、この曲の定番中の定番。《四季》といえばイ・ムジチ。両者はもはやほとんど同義語といっても過言ではない。「もちろんメンバーが変わっているとはいえ、60年以上もずっと弾き続けている作品なのに、まるでたったいま生まれてきた音楽であるかのように、いつも新鮮に演奏するのは素晴らしいことですよね」指揮者なしのアンサンブルとの共演。大事なのは息づかいだという。「彼らは絶対に私の息を聴いているはず。だから細かいテンポのニュアンスも、息でちょっと仕掛ければわかってくれるし、彼らの音で私の声も変わります。身体中にアンテナを張り巡らせてそのやり取りをするのは刺激的です」天羽が歌うのは、ヘンデルのオペラ《ジュリオ・チェーザレ》のクレオパトラのアリア〈この胸に息のある限り〉や、モーツァルトの《エクスルターテ・ユビラーテ》など3曲。「《ジュリオ・チェーザレ》のアリアは内面的で深い歌。それをイタリア語の音楽劇として、まずはイタリア人の彼らに伝えられるかどうか。丁寧に歌っていこうと思います。そしてモーツァルトは、彼らとの化学反応で、どんなきれいなレガートが生まれて、それをコロラトゥーラでどのように歌えるのか、とても楽しみにしています」ヘンデルやモーツァルトは、歌手にとって、声楽的にも必要不可欠なレパートリーなのだと教えてくれた。「たとえばヴェルディのオペラを歌ったあとでも、すぐに楽屋でモーツァルトを歌って、身体や筋肉がやわらかく使えているか、確認することが大事です。常にどちらも歌える状態、ニュートラルな状態に戻すということを考えながら歌手を続けています」来日を目前にコンサートマスターのアントニオ・アンセルミが急死したため、代役としてマッシモ・スパダーノが出演。公演後半の《四季》のソロも彼が弾く。「驚きました。残念ですが、彼らにとっても毎回が新しい演奏になるわけですから、そこは楽しみですね。私は東京と福井で歌うのですが、その間にもどんな変化が起こるか。彼らに負けずにフレッシュな演奏ができるように、私もしっかりと準備しなければ。なにより、彼らの音は絶対的に明るいでしょうから、その明るさと天羽明惠の明るさで、おおらかでのびやかに羽ばたきたいと思っています!」文・宮本明
2019年09月10日10月12日(土)・13日(日)・14日(月・祝)に千葉・幕張メッセ国際展示場9・10・11ホールで開催される「テレビ朝日開局60周年記念テレビ朝日ドリームフェスティバル2019」。10月12日(土)の出演アーティストが決定!【チケット情報はこちら】初日となる12日(土)は、番組「関ジャム 完全燃SHOW」とのコラボ企画となる関ジャムFES!!各アーティストと関ジャニ∞メンバーとのこの日しか見られないスペシャルパフォーマンスにも乞うご期待!!【出演】10月12日(土)関ジャニ∞、打首獄門同好会、清塚信也×NAOTO、ゴスペラーズ、東京スカパラダイスオーケストラ、Perfume。現在、オフィシャル先行を実施中。受付は9月16日(月)23:59まで。■「テレビ朝日開局60周年記念テレビ朝日ドリームフェスティバル2019」日程:10月12日(土)・13日(日)・14日(月・祝)会場:幕張メッセ国際展示場9・10・11ホール(千葉県)
2019年09月10日鈴木勝秀が脚本・演出を務め、浜中文一が主演、ラサール石井、江田剛(宇宙Six/ジャニーズJr.)、内藤大希らが出演する「THE BLANK!」。「曽根崎心中」「女殺油地獄」人形浄瑠璃や歌舞伎で今も上演される作品の戯作者である近松門左衛門。近松が頭角を現したのは30代になってからであり、近松の20代は歴史上より消されている。その「空白の期間」を描いた物語だ。【チケット情報はこちら】都内某所での稽古場に訪れると、ウォーミングアップや発声練習をそれぞれにする中、江田がアンサンブルらにダンスの動きを教えている姿が。鈴木の指示にあわせて、カウントをとりながら並んで動きのアドバイスをしてあげたりと、カンパニーの一員としてチームを引っ張っていた。この日は中盤までの通し稽を実施。物語はラサール石井演じる後水尾上皇に、近松門左衛門(浜中)が呼ばれるところから始まる。近松の物語を進行させていくのが、現代を生きる歴史学の学者・寺田(細見大輔)と日本文学の学者・長岡(小林且弥)。現代と過去を行き来しながら、要所で説明を加え、わかりやすく進んでいく。寺田の約10分に渡る歴史の説明では、コミカルな身振り手振りを加え、アドリブではおもわず笑いが起き、稽古場全体が盛り上がる。現代と過去で緩急を付けた舞台構成になっている。また後の大石内蔵助である大石良雄(江田)と、その父・大石良昭(香取新一)が「塩の道」についての構想を語る場面は、壮大な目標が掲げられるだけでなく、門左衛門と良雄の友情が確固たるものとなる重要なシーン。浜中、江田ともに真剣な表情で挑んでいるのが印象的だ。「塩の道塾」立ち上げ後は、塾生である平馬(内藤)、塾生らにポルトガル語を教えるセファルディー老子(陰山泰)も加わり、笑いの絶えないにぎやかなシーンが続く。中でも、門左衛門の未来へ繋がるような、ポルトガル語を学ぶ方法として演劇を取り入れる・・・という流れで劇中劇として浄瑠璃風芝居を披露するシーンでは、門左衛門、平馬をはじめとした塩の道塾生全員が真面目にやっているだけにおかしみが増していく。ここで出てくる演劇が、門左衛門の今後にどう繋がっていくのかも見所だ。約1時間を通した稽古場公開終了後は、演出の鈴木から「本番まであと3週間あるのでここから3倍面白くなります!」とのコメントが。「塩の道」から戯作者へ、近松門左衛門の知られざる10年を描く本作、初日を楽しみに待とう。公演は9月14日~25日まで東京・よみうり大手町ホールにて、9月27日~29日まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホールにて。チケットは現在発売中。
2019年09月10日誕生から40年を迎えた『機動戦士ガンダム』シリーズの軌跡を、テーマソングや挿入曲で振り返るイベント『GUNDAM 40TH FES. LIVE-BEYOND』が、9月7日と8日に千葉・幕張イベントホールにて開催された。初日の7日にはLUNA SEA、T.M.Revolution / 西川貴教、森口博子などが登場し、自身のガンダム楽曲を披露した他、ここでしか聴くことのできないレアなカバーやスペシャルゲストを迎えたコラボも展開。世代を越えて集まった6,000人と共に、ガンダムの40周年を祝った。『機動戦士ガンダム40周年プロジェクト』のテーマ曲「THE BEYOND」を手がけているLUNA SEAは、同曲の他に『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』OPテーマなどを披露。ボーカルの河村隆一は“ガンダム最高です!”とコメントし、ラストに自身のヒット曲「ROSIER」を歌って会場を赤く染め上げた。SKY-HIは、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のメインテーマに乗せて、オリジナルのラップを繰り広げて会場を沸かせた。DJシャアザー a.k.a. DJシーザーは、人気キャラクター=シャアのコスプレで登場。ガンダム楽曲によるDJプレイに、ダンサーやオタ芸を交えたパフォーマンスで沸かせた。またTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDは、ハセガワダイスケ、シークレットゲストの結城アイラ、森口博子をボーカルに迎えてガンダム楽曲をカバー。この日だけのレアなアレンジを聴かせてくれた。デビュー曲をはじめ多数のガンダム楽曲を歌ってきた森口博子は、“他人とは思えない一体感!”と、会場の盛り上がりに興奮気味。オリコン週間アルバムランキングで28年ぶりにトップ10入りを果たした、ガンダム楽曲のカバーアルバム『GUNDAM SONG COVERS』から、「水の星へ愛をこめて」などを歌ってガンダムへの感謝を表した。トリを務めたT.M.Revolution / 西川貴教は、自身が声優として出演した『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の楽曲「ignited-イグナイテッド-」をはじめ、澤野弘之/SawanoHiroyuki[nZk]とのコラボで「哀 戦士」などのカバーも披露。“感動もいいけど盛り上がるのが一番”と、ラストに自身のライブでも鉄板の「INVOKE」で、ひとつになったガンダムファンの大合唱が会場に鳴り響いた。『機動戦士ガンダム40周年プロジェクト』は、今後も記念イベントを開催。11月16日(土)に「『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』ピアノコンサート ~Soul of the Iron-Blooded Orphans~」を東京文化会館 大ホールにて開催する。同作の音楽を手がけた横山克による編曲と監修、ピアニストの阪田知樹が演奏する試みによって、ガンダム楽曲の新たな魅力が発見できそうだ。文:榑林 史章
2019年09月09日舞台を中心に、映画やテレビ、小説と活躍の場を広げている人気劇作家・演出家の前川知大と世田谷パブリックシアターがタッグを組む新作舞台『終わりのない』が今秋上演される。前川と世田谷パブリックシアターは、これまでも“日本”をモチーフとした「奇ッ怪」シリーズを立ち上げ3作を発表してきたが、今作はホメロス作『オデュッセイア』を原典としたSF作品になるという。「奇ッ怪」シリーズ全作品に出演し、今回も参加する仲村トオルに話を訊いた。『終わりのない』のチケット情報「小泉八雲作品も『遠野物語』もそれぞれに共通していたのは、『人々の口から口へ伝えられていった話』だったということ。でも今回は、ギリシャで神様とお話しをしていた人たちの物語。ちょっと古い話すぎて(笑)どうするのこれ!?と」古代と未来を往還するような日常と宇宙を繋げる旅を描いた『オデュッセイア』の壮大な物語をどう立ち上げるのか。数々の作品で重要な役どころを担ってきた仲村も、とまどいを見せる。「でも多分、“昔の人には見えたもの”があったんでしょうね。古代のギリシャにも、神様が見えたり、神様の声が聞こえてしまう人たちがいたというか、もっと神々の領域と人間の領域の境界線が曖昧だったんじゃないか、と思うんですよ。じゃあ現代の僕たちは何を失ったから、聞こえなくなり、見えなくなったんだろうかと……。そう考えると、これまでの『奇ッ怪』シリーズと通じるものがあるような気がします」共演には前川作品初参加となる山田裕貴、奈緒らが顔を揃える。前川作品のベテランとしては、稽古場でポジション的に負うところが大きいのでは?と尋ねると「まったく大丈夫だと思いますよ。特に山田君は前川さんの世界がとにかく好きみたいですし。あと『遠野物語・奇ッ怪 其ノ参』の時に出演してた瀬戸康史君もそうだったんですけど、前川さんは本当に、その物語に“最適な人”を連れてくる。これに関しては、何度も『凄いな』と思うことがありましたから」と、演出家・前川知大の采配に全幅の信頼をおいている様子。「前川作品に関わっている時は、なぜか“人の縁”みたいなものが急速に近づいてくると言うか、不思議なことがたくさん起こるんです。稽古場に行く途中で思わぬ人に会ったり、不思議なところで人の縁が繋がったり。今回もそうなんでしょうね」そう言って笑う仲村。舞台という“どこでもない空間”を通じて、この作品の彼方にある“失った何か”の片鱗を掴み取れるのかもしれない。『終わりのない』は、10月29日(火)から11月17日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターで上演。チケットは発売中。取材・文:川口有紀ヘア&メイク:宮本盛満スタイリスト:中川原寛(CaNN)撮影:山本祐之
2019年09月09日