チケットぴあがお届けする新着記事一覧 (96/342)
ドミコが8月22日(木)に東京・渋谷 WWW Xにてライブを開催する事が決定した。【チケット情報はこちら】さかしたひかる(Vo/Gt)と長谷川啓太(Dr,Cho)のふたりからなる、独自性・独創性で他とは一線を画すバンド、ドミコ。音源のみならず、ステージ上2人だけで音を重ね原曲を変幻自在に進化させていくライブにも定評がある。全国15か所のツアーを5月に終え、更なる成長を遂げたドミコに注目が集まる。チケットの一般発売に先駆け、主催者先行を実施中。受付は6月17日(月)午後11時59分まで。■ドミコ8月22日(木)渋谷 WWW X(東京都)
2019年06月04日ジャニーズJr.の寺西拓人が初主演を務める舞台「マラソン」が、5月31日より東京・DDD青山クロスシアターにて上演中。開幕に先がけ、公開ゲネプロと囲み取材が行われ、取材には寺西の他、矢田悠祐と演出のTETSUHARUが出席した。【チケット情報はこちら】本作の特徴は、なんといってもふたりが舞台上で走りっぱなしであることと、寺西と矢田が公演回ごとにふた役を入れ替えて演じることだ。また、客席が対面式のセンターステージなので、彼らの表情や息遣いが間近で感じられる舞台となっている。「初主演、初ストレートプレイ、初ふたり芝居、初の役入れ替え」と初尽くしの寺西は、作品への出演が決まった時、「舞台のお仕事をさせてもらうようになって、ストレートプレイは憧れていたので、嬉しかった。しかも相手役が矢田ちゃんで、演出もTETSUHARUさん。関係性が割りと出来ている状態だったので有り難かった。その後主演という話を聞いて、このメンバーなら出来ると思い安心した」と胸の内を明かした。本作への出演が決まる前に、ニューヨークへ旅行するほどプライベートでも仲の良い寺西と矢田。「普段のノリみたいなものがいい意味で出てしまうが、それを(演出に)組んでくれる」と言う寺西に対し、演出のTETSUHARUは「手の内がわかっているので、演出はやりやすかった。ただ、これまで関わっていた時は(役柄的に)SFっぽいのが多かった。人間ドラマとして組むのは今回が初めてなので、違ったものが見れたらいいなと思って、そこを意識して作った」と意気込みを語った。本作は、1日の公演中に昼夜で役が入れ替わることもあり、それに対しての不安について聞かれると、「稽古の後半は、毎日そういう稽古ばかりしていたので…」と矢田。「ただ、本番前にはひと通り合わせないと怖いので、まるっと(台本)読み合わせような。とふたりで決めた」と語る寺西と矢田。最後に寺西は、「初めて尽くしの舞台なので、僕をずっと追いかけてくれているファンの皆さんも、こういう所にいる僕を観るのが初めてだと思うので、そういう部分も楽しんでもらいたいし、作品としても自分の人生とか、何かを考えるきっかけをあたえられるお芝居ができたらな」と抱負を述べた。矢田も「これまでも(出演作で)自分の役以外の役をやってみたいと思っていたので、今回どちらの役も出来るのは嬉しい。今まで培ったものを発揮できるよう頑張るので、ぜひ両方のヴァージョンで観てほしい」とアピールした。公演は6月17日(月)まで、東京・DDD青山クロスシアターにて上演。当日引換券販売中。
2019年06月04日AB6IX、デビュー後初の日本ファンミーティングが7月21日(日)に東京・豊洲PITにて開催されることが決定した。MXMとして活動したイム・ヨンミン&キム・ドンヒョン、Wanna One出身のパク・ウジン&イ・デフィという既に人気、実力を兼ね備えた高い人気を得ている4人に、日本語も堪能で、柔らかな歌声も魅力の新メンバー チョン・ウンが合流し、BRANDNEW MUSICから輩出された超話題の新人ボーイズグループAB6IX。韓国デビューショーケースチケットを、わずか30秒で完売させるなど、新人とは思えぬ規格外のパワーと人気で、早くも2019年最高のスーパールーキーとの呼び声が高い。デビューアルバム『B:COMPLETE』では、アルバム全曲をメンバー自らプロデュースして作詞・作曲したのはもちろん、パフォーマンスディレクティングなど、アルバム制作全般にわたってメンバーたちが積極的に参加し、アーティストとしての才能を発揮させ、“完成形アーティストドル”とも呼ばれている。 タイトル曲『BREATHE』は、メンバーのイ・デフィが直接プロデュースし、イム・ヨンミン、パク・ウジンと共に歌詞を書いて完成させた曲で、すべての抑圧と束縛から抜け出して、自由に息しながら夢をみたい若者を歌うと同時に、社会的な問題となっている微細粉塵に対する複合的なメッセージを音楽で表現している。指先の1本1本まで繊細に動く5人の息がぴったりとあったダンスパフォーマンス、力強いラップに合わせたパワフルダンス、手で口を覆いマスクのようにも見えるポイントダンスなど、清涼なセクシー美をみることができる『BREATHE』は、公開と同時に熱い称賛が寄せられた。AB6IXが日本の“ABNEW(ファンの名称)”に会いに来る初のファンミーティングをお見逃しなく。
2019年06月03日金管楽器、打楽器を中心とした60種類以上の楽器を演奏しながらミュージシャンがダイナミックに動き回り、ダンサーはカラフルな旗やバトンを操って演出。そんな空間で、独創的なアレンジにより生まれ変わったディズニーの名曲を魅せて聴かせる「ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニー」が今夏、33会場59公演を巡る全国ツアーを敢行する。石川直(パーカッション)、米所裕夢(トランペット)、リサ・チャペル(トロンボーン)が取材に応じてくれた。【チケット情報はこちら】2000年入団のベテラン、石川は「ブラスト!」の魅力を端的にこう話す。「例えるなら、お祭りに近い。お祭りの楽しさってトータルの雰囲気ですよね。多くの人が集まって夜店があってお囃子が聴こえて盆踊りして、みたいな。ピュアに音楽のみで聴かせるところもあれば、フォーメーションや統一美で魅せたり、いろんな良さが詰まっています」加えて、幕間のロビーパフォーマンスや終演後のキャストとのミート&グリートも名物のひとつ。上演中はもちろん、劇場に入ってから出るまで「楽しい!」がギッシリ詰まっているのが、長きに渡る人気の理由だ。前回(2017年)はなんと47都道府県ツアーを成功させ、日本での浸透度や人気の高さを物語る。ディズニーとのコラボレーションは今回で3回目。演奏曲には今年公開された『メリー・ポピンズ リターンズ』の楽曲も含まれ、様々なアップデートがなされた最新版だ。なお、日本での人気の立役者といえる“ミスター・ブラスト!”石川直は、今回で退団が決まっている。「すごい悲しい……。彼のドラムパフォーマンスは大きな一部だし、ステージ以外でも、国籍の違うキャストの間に入ってつないでくれたり、たくさんサポートしてもらいました」(チャペル)「最初に聞いたときはショックでした。中学生で「ブラスト!」を知って目標とする中で、直さんという存在がなければ絶対にここまでやってこれなかった」(米所)惜しむ声を受けて石川は、「『ブラスト!』は仲間たちから学べることがとても多くて、僕にとっていい勉強の場でした。でもパフォーマーとしての僕個人がやりたいこと、できることの中で、ここで出せているのはごく一部。自分に見えているほかの世界を、今後は本腰を入れて形にしていきたいという気持ちです」と、率直な思いを語った。そして、そんな石川が思う「ブラスト!」の“効用”とは。「『ブラスト!』はアメリカと日本が手を取り合った芸術作品。お客さんと触れ合うことで劇場にいいエネルギーが膨らんで、それをお客さんが持ち帰り、周囲に伝染して広がっていく……これ、社会の浄化作用だと思うんですけどね」東京公演は8月20日(火)~23日(金)・27日(火)~30日(金) 東急シアターオーブにて。チケットは発売中。取材・文:武田 吏都
2019年05月31日オペラ《サロメ》のリハーサルが、都内の稽古場で行われた。このプロダクションは、ハンブルク州立歌劇場と二期会の共同制作で、演出は世界的活躍をみせるヴィリー・デッカー。演奏はフランクフルト歌劇場総監督セバスティアン・ヴァイグレが指揮する読売日本交響楽団だ。ヴァイグレは今年、同楽団の常任指揮者に就任したばかりで、就任後初のオペラとなる。【チケット情報はこちら】まず目に飛び込んでくるのは、舞台全体に敷き詰められたむき出しの巨大な階段だ。無駄なものは一切置かれず、殺風景といえるほどシンプルなステージだが、その威容に圧倒される。この舞台に照明が入って、さらにいかなる変化が起こるのかに期待が膨らむ。また奥行きと高低差が十分にあるため、登場人物の動きが平面的にならず、よりダイナミックな演技が生まれ、目を引きつけた。この日は、6月6日(木)・9日(日)公演キャストによる通し稽古だったが、圧倒的存在感を放ったのが、サロメ役の田崎尚美だ。全編出ずっぱりの彼女は、ヨカナーンとの出会いで生まれた愛情から狂気に至る心情を見事に演じていた。激情が溢れ出す絶唱から一転、冷静にただ状況を見つめる表情、妖艶な〈7つのヴェールの踊り〉など、ひと時も目を離せない。クライマックスの凄唱は、ぜひとも劇場で体感してもらいたい。萩原潤、片寄純也、清水華澄らも好演。演出のデッカーは、次のように語る。「サロメは、非常に退廃的な環境にあって、純粋で悪のない女性。しかし、周りからは放置された存在であり、そのために野生的。高い地位にあり、自身の意志を通せる立場にいるが、愛情や恋というものを感じたことがない。そこに、自分とはまったく次元の違うヨカナーンが現れる。彼は人間を超越した存在を信じ、他の人とは違う神聖さを持っており、サロメが憧れている愛情がすべて彼に注がるようになっていく。彼女の期待を叶えられる唯一の存在であると。だからこそ、サロメをヨカナーンが拒絶したとき、彼女が選べる道は、自分と彼を殺すことしかなかった。それが彼女の希望と絶望をすべて満たす道だった。彼を殺し、首にキスをする。彼を殺すという現実的な次元を超え、精神的な次元での結びつきを達成した。この瞬間に、オペラのキーワードとなっている“愛”と“死”の結合が表される」公演は6月5日(水)~9日(日)まで東京文化会館大ホールにて上演。チケット好評発売中。
2019年05月31日長らくパリを拠点に活躍していた女優・作家の岸惠子が、今年も2部構成のトークショー『ひとり語り輝ける夕暮れ』を開催する。第1部の一人芝居『わりなき恋』は25万部以上を売り上げた自身の同名小説が原作。今年は2015年の初演から魅力を凝縮した、新演出版をお届けする。国際線の機内で偶然隣り合わせた男女の恋を描いた本作は、自身の体験をもとに創作したと明かす岸惠子。その時、隣席の男性から「パリを経由しプラハへ行く」と告げられた岸の脳裏には、ある光景が蘇っていた。岸惠子 ひとり語り「輝ける夕暮れ」チケット情報1968年、各地で学生紛争が頻発するなど世界は革命の時代にあった。30代だった岸はチェコの民主化運動を取材するためプラハへ飛んだ。「その男性も当時『プラハの春』と呼ばれたドプチェクの革命に胸を熱くした大学生で、プラハの春は僕にとっても青春の大事な1ページですと仰ったのです」。それまで小説の主人公像を掴みきれずにいた岸は、この偶然の出会いからインスピレーションを得て『わりなき恋』を上梓した。「認知症や健康についてのテレビ番組が多い中、赤ちゃん言葉で介護されている老人の映像を目にした時は、どんな人間にも尊厳はあると憤りを感じました。人生100年の時代にも、ぱぁっと虹が立つほど華やかな人生の夕暮れ時があっていい。この公演名には、黄金色の夕映えが見れたらいいなとの思いを込めました」。第2部は、初めて訳したおとなの絵本『パリのおばあさんの物語』の話から、世界で活躍する岸ならではの彩り豊かな人生観を、ユーモアたっぷりに語り尽くす。「先日は私の散歩道にあるノートルダム大聖堂が火災に見舞われ、スリランカでも大規模なテロがありました。世界は刻々と変化しているのに日本人は割合にのんびりしていて、そこが良くもあり腰砕けな部分でもある」。24歳でパリに渡って以降、岸は積極的に世界中で取材と冒険を重ねてきた。「私もぺしゃんこに失敗する時だってある。ただ、この冒険心と行動力がなかったら今ごろ退屈なだけの老後を送っていたと思います。男女問わず特に若い方には、世界情勢にもっと敏感になってほしい」。同時に、日本人はもっと“自分を思いやった方がいい”とも。「人が雑に考えた常識の枠にはまらず、自分で考えて行動する。自分の考える自分を生きた方がいいと思います」。年齢を感じさせない熱い語り口とスマートな身のこなし、気品溢れるオーラは健在だ。5月初旬には新作エッセー『孤独という道連れ』が発売された。「ひとりの生活は不便や寂しさもありますが、ひとりじゃないと味わえない自由や喜び、蜜のような甘さもある。そんな話もしてみたいなと思います」。大阪公演は6月11日(火)フェスティバルホールにて上演。チケット発売中。取材・文:石橋法子
2019年05月31日U2が12月4日(水)・5日(木)に埼玉・さいたまスーパーアリーナにて13年ぶりとなる来日公演「ヨシュア・トゥリー・ツアー2019」を開催することが決定した。【チケット情報はこちら】ヨシュア・トゥリー・ツアー2019は、U2の最重要アルバム『ヨシュア・トゥリー』の30周年を記念して2017年に開催され大きな成功を収めた同名ツアーに続くもので、オーストラリアとニュージーランドにおいては2010年の「360°ツアー」以来、日本においては2006年の「Vertigoツアー」以来13年ぶりの公演となります。また、シンガポールとソウルはU2にとって初公演となる。同ツアーの開催に際し、ボノ (vo/g)は「これらの楽曲の歌い方を学ぶのに30年もかかってしまったが、やっとバンドに追いつけた。このツアーを通してオーディエンスはヨシュア・トゥリーに新しい命を与えてくれた。ヨシュア・トゥリー・ツアーはU2にとって本当に特別で、感情的なものだ。暗い楽曲が未だにこの時代で意味を持つ哀しさから、純粋な嬉しさやステージングの楽しさまで、最高の体験をまた再演できるなんて。オークランド、ブリスベン、メルボルン、アデレード、パース、シドニー、東京、シンガポール、ソウル、待っていてくれ」とコメント。ジ・エッジ(g/piano/vo)は、「我々は本当にこのツアーをニュージーランド、オーストラリア、アジアに持っていきたかったが、遂に実現することができた。本当に楽しみにしてる」と付け加えた。ヨシュア・トゥリー・ツアー2019は11月8日のオークランド公演を皮切りに、ブリスベン、メルボルン、アデレード、シドニー、パースにて開催。その後、シンガポール、東京、韓国にて公演を行う予定。チケットぴあでは日本公演のプレイガイド最速先行(抽選先行)を実施。受付は6月14日(金)昼12時から23日(日)23時59分まで。■U2 THE JOSHUA TREE TOUR 201912月4日(水)・5日(木) さいたまスーパーアリーナ(埼玉県)開場 18:00 / 開演 19:30
2019年05月31日1991年結成、ワールドワイドな活動で注目を集めるガールズ・オルタナティブ・バンドnoodlesが、5月29日にアルバム『I’m not chic』をリリース。フロントマンの yoko(vo&g)に話を訊いた。【チケット情報はこちら】前作『Metaltic Nocturne』を2017年6月に出したあと、ドラムのayumiが脱退。yokoとikuno(b)のふたり組となったnoodles。本作『I’m not chic』は新体制となって初めての作品となる。「自然な流れでアルバムを作ることにはなったんですけど、頭の中ではエンジンがかからないというか、やる気が出ないところもあって、そんなことは初めてだったので、ふたりになることって淋しいことだったんだなって。だから今までの中で1番最高のアルバムをここで絶対作らなきゃって。構想を練っていく中で、今回はプロデューサーを立てたいって思ったんです」そこで前作で9年ぶりにプロデュースを依頼したSALON MUSICの吉田仁を今回も起用。さらに所属するDELICIOUS LABELのオーナーでもあるthe pillowsの山中さわおを約10年ぶりにプロデューサーに迎え、セルフ・プロデュースも含め、3プロデュース制となった本作。「ひとりでも多くの力を借りてでも良いアルバムを作りたいっていう気持ちだった。さわおくんも仁さんも凄い作品に仕上げてくれたなと思います」そしてドラムはライブでもサポートしている吉村由加が参加。「今回は私がエンジニアとデモを作って、レコーディング当日に由加ちゃんに曲を把握してもらって、細かいアレンジとかその場で伝えたものを叩いてもらったから、すごい頑張ってくれたと思います」タイトル『I’m not chic』の由来を訊くと「シド・ヴィシャスが残した言葉らしいんですけど、その言葉を知ったときに、noodlesは4人だった、それが3人になって今ふたりになってしまった。つぎはぎだらけ。自分の中でカッコよくない、その心境と合ってるなと思って。昔は華のあるうちに引退する方がカッコいいと思ってたけど、自分が永くバンドを続けていく中で、全然ダメになって引退していく方が私は素敵だと思うから」今回、ジャケットは美術作家の奈良美智が描き下ろした。「元々奈良さんを知ったのは、姉が“子供の頃のyokoちゃんに似てるよ”ってみせてくれたから。10年くらい前に知人から“奈良さんがnoodlesをラジオでかけてくれたらしいよ”って訊いて、びっくりした。いつか頼めたらって頭の片隅にはあったけど、世界が違い過ぎておこがましくて。でも今回、エンジンかけてるときの勢いで頼んじゃおって(笑)。6点下さって、“全部使っていいよ”って言って下さったから全部アルバムに入ってます」。まさにサウンドからアートワークまで、世界に誇れる名盤の誕生だ。取材・文:浅野保志(ぴあ)
2019年05月31日1961年に発表された有吉佐和子の同名小説を、1973年小幡欣治の脚色・演出で初舞台化された『三婆』。老人問題にいち早く目を向け、“老い”というテーマを、ユーモアたっぷりに描いた本作は、初演以降、各時代を彩るさまざまな大女優たちの配役で度々上演。そして、2016年11月、東京・新橋演舞場で、大竹しのぶ、渡辺えり、キムラ緑子という、現代を代表する3人の女優の競演が実現。より深化した現代的なテーマ性と、齋藤雅文演出によるスピーディな展開、さらに圧倒的なパワーで会場を笑いと涙の渦に巻き込んだ名喜劇が、20周年の節目を迎える福岡・博多座にやって来る。しかも、3人共に福岡・博多座での初舞台!3人がそろって来福し、公演への意気込みを語ってくれた。舞台は昭和30年代の終わり。金融業者・武市浩蔵の突然の死をきっかけに、ひとつ屋根の下で奇妙な同居生活をすることになってしまった浩蔵の妻・松子(大竹しのぶ)、浩蔵の妹(渡辺えり)、浩蔵の妾・駒代(キムラ緑子)の“三婆”が、浩蔵の元部下や、武市家の御用聞き、お手伝いまで巻き込みながら、熾烈なバトルを繰り広げる…という物語。【チケット情報はこちら】役との共通点について聞かれると「普段から役と自分を重ねて演じることはない」と前置きしながら「あえて言えば、3人のまとめ役なところ」と大竹。舞台でもプライベートでも、自由奔放な渡辺とキムラが脱線しないように、大竹がまとめているのだそう。また劇中では「顔を合わせれば喧嘩ばかり」という設定だが、実際に同居したら「3人とも芝居が大好きなので、ずっと芝居について話をしていそう」と大竹。「昔の歌を爆音で聴きながら、みんなで歌ったり踊ったりしたいね」という渡辺に「3日くらいならいいかもね」とキムラ。すると、間髪いれず「1日で十分です(笑)」と大竹が答えるなど、3人の息の合った様子がうかがえる一幕もあった。見どころについて、まずキムラが「3年前の舞台で演じた時、私自身が、お客さまの反応を見て、『三婆』という作品の力を実感しました。これまでも多くの女優が演じ、これからもいろんな女優が演じていくであろう作品。だからこそ、見どころはずばり“今の私たち”。今の私たちだから生まれる『三婆』をぜひ見に来てください」とコメント。続いて渡辺が「この作品には、古き良き昭和の人情が描かれています。日本人の心の根底にある、優しさや思いやりを、この舞台を通して、ぜひ老若男女に伝えられれば。そして、三度の飯より芝居が好きな私たち3人が、本気で見せるケンカシーンや、仲たがいも見モノです。ご期待ください!」。最後に大竹が「とにかく笑える舞台です。ただ笑えるだけでなく、その裏には人間の老いや、人生の悲哀がしっかりと描かれています。そんな作品が持つ本質を伝えられるように誠実に演じたいですね。スタッフ、キャストが力を合わせて、心から笑って泣ける芝居を作りますので、ぜひ劇場へお越しください」と語ってくれ、それぞれが笑顔で締めくくった。豪華女優の競演で魅せる『三婆』は5月31月(金)から6月27日(木)まで大阪松竹座、7月1日(月)から8日(月)まで博多座にて上演。
2019年05月30日世界中の“新しい音”を届ける1dayフェスティバル『Born CreativeFestival 2019(ボンクリ・フェス2019)』が、3年目となる今年も東京芸術劇場にて9月28日(土)に開催される。その記者懇親会が開かれ、本企画でアーティスティック・ディレクターを務める作曲家 藤倉大と、初回から藤倉と共に本企画を盛り上げた「アンサンブル・ノマド」の音楽監督 佐藤紀雄が出席した。「ボンクリ・フェス」は2017年にスタートした“東京芸術劇場が新しい音に満ち溢れる”音楽企画。赤ちゃんからシニアまで楽しめる内容で、音楽をより身近に感じ、音楽と戯れることのできるプログラムが毎年さまざまに用意されている。懇親会では藤倉が現時点で決定している今年の新プログラムを発表。今年は、坂本龍一とのコラボレーションなどでも知られるミュージシャン デヴィッド・シルヴィアンの、作曲家としての魅力にフィーチャーした「デヴィッド・シルヴィアンの部屋」が登場するという。藤倉は「デヴィッドにボンクリ・フェスで紹介したいと伝えたら、たくさんの未発表素材やボンクリ・フェスのための作品を送ってくれた」とファンにはたまらない内容になりそう。さらに引き続き登場する「ノマドの部屋」については佐藤が解説。「ボンクリはアットホームな感じがある。だからいっそのこと居間にしようと思って。ステージが居間のようになっていて、そこでメンバーが演奏する」と構想を語った。新登場の「トーンマイスター石丸の部屋」については、東京芸術劇場のトーンマイスター石丸が解説。子供たちと効果音づくりをし、即興で演奏を行うという。昨年までは夜に上演されていた「スペシャル・コンサート」は、今年は子供も参加しやすい14時公演に。コンサートでは「10月4日(金)公開の映画『蜜蜂と遠雷』で演奏される架空のコンクール課題曲を僕が作ったのですが、その曲を映画に先がけて発表します。ピアノは運のいいことに萩原麻未さんが弾いてくださることになりました!」と藤倉。他にもモートン・フェルドマンがある映画のために書いた曲を、ひょんなことから「ボンクリ・フェスだけなら演奏してもいい」と許可を得て演奏することになったり、大友良英が新曲を初披露したりと、ここでしか聴けない音が目白押しになりそう。そして夜は「大人ボンクリ」が新登場。演奏者はひとりもいない電子音楽コンサートで、さまざまなアーティストがキュレーションした録音作品を聴くというもの。出入りは自由で、ロビーではバーコーナーも営業し「打ち上げみたいな感じ」(藤倉)になるのだそう。他にも新プログラムが目白押しの『ボンクリ・フェス2019』の動向に今後も注目を!取材・文・撮影:中川實穗
2019年05月30日8月10日(土)に東京・明治神宮外苑で東日本大震災・熊本地震復興チャリティー 「2019神宮外苑花火大会」の開催が決定した。【チケット情報はこちら】今年で第40回を迎える神宮外苑花火大会。都内で唯一、山手線内で開催されるコンサート付きの都市型花火大会として長年親しまれ、有名アーティストのライブとともに花火を楽しめることから、会場周辺も含め毎年およそ100万人を動員。出演アーティストや内容は随時発表される。 チケットぴあでは現在、先行を実施中。受付は6月6日(木)午前11時まで。■東日本大震災・熊本地震復興チャリティー 「2019 神宮外苑花火大会(第40回大会)」日程:8月10日(土)会場:明治神宮外苑(神宮球場、秩父宮ラグビー場、神宮第二球場)(東京都)
2019年05月29日ビートルズの創成期を描いた舞台「BACKBEAT」が5月25日に開幕。それに先がけフォトコール(プレス向け撮影会)と囲み取材が行われ、取材には戸塚祥太(A.B.C-Z)、加藤和樹、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、JUON(FUZZY CONTROL)、上口耕平、夏子、鈴木壮麻、尾藤イサオ、翻訳・演出の石丸さち子が出席した。【チケット情報はこちら】本作は、1994年に公開された伝記映画『バック・ビート』をイアン・ソフトリー監督自身が舞台化した作品の日本初演。ビートルズ結成時のベーシストで、デビュー目前に21歳で夭折したスチュアート・サトクリフ(戸塚)を中心に、親友ジョン・レノン(加藤)、ポール・マッカートニー(JUON)、ジョージ・ハリスン(辰巳)、ピート・ベスト(上口)、そしてスチュアートの恋人となる写真家アストリッド・キルヒヘル(夏子)ら若者たちの揺れ動く心を繊細に描く。今回の見どころのひとつは約20曲にものぼる舞台上での生演奏。しかし演奏ははじめ、戸塚が「絶望からスタートしたといっても過言ではない」と明かすほどのレベルから始まったそう。しかしこの日、前半の2シーンが披露されたフォトコールでの演奏は抜群の仕上がり。音楽が楽しい!5人で演奏するのが嬉しい!という思いが真っ直ぐに伝わる姿そして音を届けた。そこに至るまでをJUONは「だけど初めて5人で音を出したとき、すぐグルーヴしたよね」、上口も「初めての会話が“音”だったのでそれがすごくよかった」と、このメンバーだからこそ生まれた音があったと振り返る。さらに辰巳も「稽古の間ずっと(5人が)近くにいた。ビートルズさんの当時の映像を観ても常に距離が近いけど、僕たちも近い距離感でワイワイ作品をつくっていった」と本作で描かれるビートルズの姿に自分たちを重ね、笑顔を交わした。そうやって生まれた5人の演奏を加藤は「ライブなので何が起きるかわからない。でもそのライブ感はこの作品でしか味わえないものなので、そこをぜひ体感してほしい」と語る。そんな5人を翻訳・演出の石丸は「ビートルズは目指すには大きすぎるのですが、私たちは観客にビートルズを伝える架け橋。その架け橋は立派にできあがっています」と絶賛。1966年にビートルズの初来日公演で前座を務めた尾藤も「皆さんの成長がすごくて驚きました。ビートルズに負けない!」と太鼓判を押した。石丸が「長いこと演劇をやっていますが、こんな作品は観たこともないし、つくったこともない。細かなみんなの努力やコミュニケーションがあって、こんな素敵な作品が生まれた。このメンバーを誇りに思います」と語る本作は、6月9日(日)まで東京・東京芸術劇場 プレイハウスにて上演後、兵庫、愛知、神奈川を巡演。取材・文:中川實穗
2019年05月28日9月21日(土)から11月17日(日)まで、東京・森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52 階)にて「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」が開催。同展覧会の記者発表が行われた。【チケット情報はこちら】1980年代のアートシーンに彗星のごとく現れ、衝撃を与えたジャン=ミシェル・バスキア。彼の作品はその短い人生を物語るかの如く、非常に強烈なエネルギーを持ち合わせており、わずか10年の間に、新たな具象表現的な要素を取り入れた2,000点を超すドローイングと1,000点以上の絵画作品を残した。同展ではそれら作品群より、絵画やドローイングなど約130点を世界各地から集め、バスキアの短い生涯と彼が生きた時代を辿りながら作品を紹介する。日本側監修を務める宮下規久朗(神戸大学教授/美術史家)は、「ウォーホルの本を書いたことがあり、バスキアをアカデミックに紹介をする機会ということで日本側監修のご指名を受けました。本物の作品の前に立つと凹凸がはっきりしていて、鮮烈な色が印象的です。アフリカの歴史や黒人の歴史も詰まっています。それ以前に作品の持っている力が圧倒的なので、ぜひ会場で本物を見ていただきたいです」と語った。同展で音声ガイドに初挑戦する女優・吉岡里帆は「美術館には月1、2回行くことがあります。 バスキアという素晴らしいアーティストの展覧会で音声ガイドのナレーションをさせていただくことを光栄に思います。自分が音声ガイドを使う時、作品の魅力や新しい発見を聞くとワクワクします。バスキアの内面的魅力や作品のエネルギッシュさが伝わるようなガイドにしたいです。東京会場だけでの展覧会なので、この機会を逃さずご来場いただきたいと思います」と音声ガイドに初挑戦する意気込みを語った。さらに本展の特別協賛社である株式会社ZOZO代表取締役社長、前澤友作から「私が愛するバスキアの、日本初の大規模展覧会が開催されることを大変嬉しく思います。作品の意味合いや創作技法などをアートに見出すことも楽しいですが、なんとなく気軽に観ていただくだけでも発見や感動があるのがバスキアの魅力でもあります。今回私が所有する作品も1点展示されます。ぜひ多くの方々に会場に足を運んでいただければと思います。生バスキア本当に凄いですから」という、メッセージが紹介された。チケットぴあでは、10月4日(金)まで入場可能で1,000円で入館できる「バスキア展サポーターチケット」、一般2名分の場合、800円もお得になる「早割ペアチケット」、図録(3,000円)と前売/一般券(1,900円)がセットになったお得な「図録付チケット」を販売中。
2019年05月28日青木豪の書き下ろした新作を河原雅彦が演出する、舞台『黒白珠』が6月、Bunkamuraシアターコクーンで開幕する。双子の兄弟とその家族が、逃れられない運命にもがきながら、愛と葛藤の中で描かれていく人間ドラマだ。5月中旬、都内で行われている稽古の様子を取材した。【チケット情報はこちら】物語の舞台は1994年の長崎。信谷大地(風間杜夫)は、真珠の加工・販売会社を経営していた。長男の勇(松下優也)は高校卒業後、職を転々とし、父を心配させていた。勇には花苗(清水くるみ)という恋人がいる。勇の双子の弟である光(平間壮一)は、東京の大学に進学し、そんな光に父は期待を寄せていた。勇は、周囲から叔父に似ていると度々言われることから、いつの頃からか、自分の出自に疑念を抱き始める。実際、勇と光は、母・純子(高橋惠子)のことをほとんど知らない。まだふたりが幼い頃、母は叔父と不倫の末、駆け落ちして家を出て行ったらしいが、消息は聞かされていなかった。出自への疑念をさらに深める勇。一方、光はある出来事から母と再会することになって…というあらすじ。『エデンの東』をモチーフにして、家族の愛憎を描く作品だ。この日は1幕が通しで稽古された。約1時間。ド派手な演出はなく、淡々と日常的な会話が繰り広げられるなかで、家族の“秘密”が徐々に解き明かされていくのだが、想像していたよりもくすりと笑えるシーンが多く、シリアスになりすぎない。観客を飽きさせないとてもテンポのよい演出で、俳優陣の自然体な演技にも好感を抱く。物語の軸となる双子を演じる、松下と平間。ともに1990年生まれで、どちらかというとミュージカルで歌って踊るイメージも強いふたりだが、今回は河原演出のもと、ストレートプレイで俳優としての魅力を発揮している。以前『THE ALUCARD SHOW』(2014年)で共演し、プライベートでも交流があるふたり。休憩中も脚本を一緒に見たり、役について話し込んだりと、互いを信頼し、切磋琢磨している様子が稽古中も見てとれた。その双子の父を風間杜夫、母を高橋惠子、そして信谷家の親戚でもある須崎を村井國夫が演じるという豪華な顔ぶれ。また、植本純米や平田敦子といった個性派俳優もしっかりと観客の注目を集める。20代から70代まで幅広い年齢差に関係なく、真摯に作品づくりに取り組んでいることがよく分かる稽古場だった。東京公演は6月7日(金)から23日(日)まで。その後、兵庫、愛知、長崎、久留米で公演が予定されている。チケット発売中。文・写真:五月女菜穂
2019年05月28日元宝塚星組トップスターであり、圧倒的なダンスの実力と太陽のように明るい存在感で、いまや日本ミュージカル界の一翼を担うまでとなった柚希礼音。宝塚で初舞台を踏んでから芸歴20年となるアニバーサリー・イヤーを記念して、1人ミュージカル『LEMONADE(レモネード)』に挑戦中だ。等身大のキャリアウーマンが心身ともに疲弊し、岬のサナトリウムで過ごす様子を描くストーリー。今までの彼女のイメージを覆す設定を楽しみに、5月23日、渋谷・CBGK シブゲキ!!で行われたゲネプロに足を運んだ。【チケット情報はこちら】物語は海を見下ろす高台に建つ、古い天文台を使ったサナトリウムの1室で展開する。ニューヨークで広告代理店を営むキャリアウーマンの「映(はゆる)」は、1年半前に突然倒れ、このサナトリウムで“心が止まってしまった”毎日を過ごしている。挫折感の中から生まれた別人格である男性「ブルー」と女性「リラ」に翻弄されていると感じる「映」は、無力感にさいなまれる。そんなある日、「映」は100年ほど前にこの天文台の管理人だった男の日記を見つけて……。舞台上には内側に半円形を描く、しっくい風の白い壁。その全面に、果てまで続く海や天文台が建つ岬がモノクロームで映し出され、物語は始まる。それはどこか遠い異国の風景のようで、白い薄物のガウンにタンクトップ、黒いパンツ、無造作な髪と裸足姿の柚希がピタリとはまり、海外の小説のような雰囲気が漂う。テレビ電話でドクターと会話を交わす「映」は、確かに頼りなさげだが、けして病的な様子ではない。自分の足で仕事を切り拓いてきた女性だけが放つ、洗いざらしのリネンのような、素材そのものの魅力。それを浮き彫りにできるのは、自身もそのように歩んできた柚希だからだろう。その意味でいえば、「ブルー」と「リラ」も柚希の一部としてとらえることができる。オールバックにネクタイ姿の「ブルー」は、さすがのダンディぶり。赤いドレスをまとった「リラ」も、くるくると変わる表情がなんともチャーミングだ。それぞれの“人格”を、歌もダンスも含めて1時間40分。しっかりと演じ切った柚希に拍手を贈りたい。囲み会見では、柚希と、作・演出を担当した小林香が登壇。柚希は「ひとりで芝居することも、お客様がこんなに近い(客席200名規模の)劇場も初めて。緊張していますが、頑張ります」と心境を吐露。もちろんひとりの稽古場というのも初。「芝居は相手がいることで覚えられるんだなと実感しました。覚えても覚えても、すぐ次の稽古がやってくるので、全然覚えられない!と落ち込んで(笑)」と振り返る柚希。それでも小林が「柚希さんの希望は全て入れ込んで作った舞台。今の柚希さんだからこそ演じられる、等身大の役の息遣いを間近に感じていただければ」と話すと、隣で大きくうなずくなど、意気込み充分。“役者・柚希礼音”に新たな1ページが刻まれる公演となりそうだ。東京公演は6月9日(日)まで、大阪公演は7月13日(土)から15日(日)まで、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて。取材・文/佐藤さくら
2019年05月27日豊原功補が、落語を原案に企画・脚本・演出を手がける『後家安とその妹』が、5月25日に東京・紀伊國屋ホールにて開幕した。【チケット情報はこちら】本作は2017年に上演された『名人長二』に続く、落語と演劇を融合させた“芝居噺”シリーズの第2弾。今回は三遊亭圓朝の「鶴殺疾刃庖刀(つるごろしねたばのほうちょう)」と、古今亭志ん生「後家安とその妹」を下敷きに、御家人崩れで放蕩の限りを尽くすならず者の兄・後家安(毎熊克哉)と、大名に見初められ側室となる妹・お藤(芋生悠)のふたりに翻弄される人々の運命が描かれる。“芝居噺”にふさわしく、舞台は前座の一席からスタート。後家安の昔なじみ・福蔵役の森岡龍が昨今の芸能ニュースを題材にした創作落語を披露し、客席を沸かせたのも束の間、次の高座には豊原の姿が。改元されたばかりの令和から年号を遡る“まくら”とともに志ん生の原案冒頭を演じてみせ、弘化・嘉永年間(1844~1850年)の上方に設定された作品世界へ観客をいざなう。憂いを帯びた目元でにらみを利かせる毎熊、艶っぽい流し目で背後を見返る芋生のふたりが映し出された公演フライヤーのように、御家人の身分を追われた恨みを抱いて成長した兄妹は劇中でも危険な色香を振りまきながら悪行を重ねる。とはいえ、時折チャーミングな表情を覗かせることがあり、心の底から憎めない。毎熊は、福蔵の妻・お染(広山詞葉)を手込めにした挙げ句、一緒に出奔するも吉原に売り飛ばす……といった鬼畜ぶりをてらいなくまっすぐに造形。終盤には切れ味鋭い殺陣も披露している。対する芋生は、嫁ぎ先の賢君・東城左近大夫氏勝(古山憲太郎)に讒言を繰り返して側室を放逐するなど数々の狼藉で城を傾かせるお藤を貫禄たっぷりに演じた。極悪非道な兄妹の振る舞いを受けて立つキャスト一同の、堂に入った存在感にも注目だ。このほか、豊原の奏でるギターをバックに後家安・お藤・福蔵・お染の4人が歌声を響かせるシーンや、上下する障子や色鮮やかな照明で大名屋敷や遊郭といった劇空間を実現する木製の美術も要チェック。圓朝&志ん生の噺から飛び出してきたような残忍な兄妹と、彼らに関わった人々の悲劇を立ち上げた豊原の演出手腕も見届けてほしい。公演は6月4日(火)まで。取材・文:岡山朋代
2019年05月27日ミッキーマウスやミニーマウスなどディズニーの人気キャラクターや、シンデレラ、ラプンツェルといったプリンセスたちが、優雅かつダイナミックに氷上を舞うアイスショー『ディズニー・オン・アイス2019』。大阪公演は7月20日(土)から9日間、大阪城ホールで開催される。「リブ・ユア・ドリームス」をテーマに、ディズニーのプリンセスたちが夢を追い求める姿を描く本公演。スペシャルサポーターの中川翔子がその魅力を語った。ディズニー・オン・アイス「LIVE YOUR DREAMS」大阪公演チケット情報「ディズニーのキャラクターやプリンセスが一堂に会するのは『ディズニー・オン・アイス』だけ。ここでしか見られない奇跡があると思います!」と声を弾ませる。2014年にもスペシャルサポーターを務め、その時は北欧まで取材に出かけたという。「アイスショーの生の衝撃はすごい!」と熱を込める。「リンクの上を滑る“ジャッ!”という音も、すぐ目の前から聞こえてきますし、客席とリンクがすごく近くて、目の前でプリンセスが生きているという衝撃を受けると思います。たくさんのキャラクターが登場する場面はスタンド席から見ると圧巻ですし、席によって見え方が違うので何度も観てほしい。体感型アトラクションのように一緒になって楽しめる場面もありますし、音楽もすばらしい。心の琴線に触れる音楽や名場面が一気に見られます!」と見どころは尽きない。2019年はさらに進化を遂げていると予想されるラプンツェルの「エアリアル」のほか、約30年ぶりに登場するキャラクターにも注目だという。「くまのプーさんがおよそ30年ぶりに登場します!これは激レアです!」。「こんなに素敵な世界があるということを、たくさんの方に知っていただきたい」と中川。「どこかの瞬間が、誰かの思い出になるかもしれないと思うと、身が引き締まります。皆さんが楽しいな、うれしいな、ディズニー最高だなって思ってもらえるように今年も挑みたいと思います」とスペシャルサポーターとしての意気込みも語った。『ディズニー・オン・アイス2019』大阪公演は7月20日(土)から28日(日)まで、大阪城ホールで開催。チケット発売中。ヘアメイク:柏瀬美智子(ROOSTER)スタイリスト:宮崎真純(likkle more)衣装:anatelier取材・文:岩本和子
2019年05月27日印象派・ポスト印象派の殿堂として知られる、イギリス・ロンドンのコートールド美術館の名品約60点を紹介する「コートールド美術館展魅惑の印象派」が東京都美術館で9月10日(火)から12月15日(日)まで開催。同美術展の報道発表会が行われた。【チケット情報はこちら】コートールド美術館は、イギリスの実業家サミュエル・コートールドが収集したコレクションを核に、ロンドン大学付属のコートールド美術研究所の展示施設として1932年に開館。通常めったに貸し出されることのない数々の名品たちが、同館の改修工事(2018年9月~2021年)に伴い、約20年ぶりとなる来日が実現。今回の展覧会では、コートールド美術研究所が美術史や保存修復の世界有数の研究機関であることにも注目。展示は「画家の言葉から読み解く」「映された時代から読み解く」「素材・技法から読み解く」の3章で構成される。注目すべき作品は、メイン・ヴィジュアルにも使用されているエドゥアール・マネ(1832-1883)最晩年の傑作《フォリー=ベルジェールのバー》(1882)。「フォリー=ベルジェール」は当時のパリで、歌や踊り、曲芸など多彩な出し物で人気を博したミュージックホールだ。喧騒に包まれた同ホールを描いた本作は、表情が読み取りにくいバーメイドや画面の大半を占める鏡、その鏡に映る不自然に右に大きくずれた後ろ姿など、発表以来様々な議論を呼んでいる。報道発表会には特別ゲストとして、作家・ドイツ文学者の中野京子氏が登場。「フォリー=ベルジェールはあらゆる階層の人が楽しめた歓楽施設。食事やお酒、おしゃべりも楽しめる、一種の社交場でもあった」と言い、同作の構図については「すべてがイリュージョン。鏡を使ったたくらみに満ちた画面」と語った。《フォリー=ベルジェールのバー》のほかにもルノワールの《桟敷席》(1874)、ゴーガンの《ネヴァーモア》(1897)、モディリアーニの《裸婦》(1916頃)、セザンヌの油彩10点など選りすぐりの作品が展示される。同展は東京都美術館のほか、2020年1月3日(金)~3月15日(日)に愛知県美術館、3月28日(土)~6月21日(日)に神戸市立博物館に巡回。チケットぴあでは、大ベストセラーシリーズ「怖い絵」の著者でもある作家・ドイツ文学者、中野京子氏の特別講演会と、同展の公式図録と音声ガイドがセットになったチケットを独占販売中。
2019年05月27日2年にわたり開催されてきた『ぴあアイドルフェスタ』は次のステップへ。『PIA LIVE IDOL MUSIC』と名前を変えて、6月1日(土)大阪・amHALLにて開催。「PIA LIVE IDOL MUSIC ~START~」チケット情報ライブアイドルとはライブハウス等を中心に音楽シーンで活動するアイドルの総称。メディア露出は少ないものの、名だたる会場でワンマンライブを開催し、チケットを完売させるほどのグループも多く存在する。今回出演する6組も実力者揃いだ。東京から3組が出演。「アイドルロック」をテーマに活動する5人組のガールズユニット、Q-pitch。可愛いだけのステージではなく、感情むき出しのパフォーマンスで、「人の心を揺さぶる」ライブが話題。会場全体で、一緒に歌い、一緒に踊る、そんな熱いライブを行う彼女たちの“急ピッチ”な展開に注目してほしい。続いてVeryVeryRedBerry、通称(ベリベリ)。2018年4月にデビューし“赤”をコンセプトカラーとして、情熱、興奮を皆さんに届けるグループ!結成からたった1年でキャパ600の渋谷O-WESTにてワンマンライブを実施した人気急上昇グループ。今回、関西初遠征となる。メンバー全員が野球に携わった経験を持つ野球振興をかかげたアイドルグループ、絶対直球女子!プレイボールズ。楽曲が全て野球に関係しているのが特徴。この度、日本女子ソフトボールリーグ公式アンバサダーに就任した。今回の公演は、『4周年記念全国ツアー【自分次第さ行こうぜ~必翔~】大阪編』とコラボ開催。関西からはカラフルスクリームとKissBeeWESTが出演する。両組とも関西屈指の実力派グループだ。カラフルスクリームは楽曲制作集団「North Sound」が手がけるカラフルサウンドが特徴なグループ。昨年OSAKA MUSEで開催したワンマンライブはソールドアウトした。KissBeeWESTはサマーソニック出演、なんばHatchでの2年連続ワンマンライブに加え、大阪城音楽堂で無料のチャリティーフェスを開催するなど話題に尽きないアイドルグループ。そして山口からはYamakatsuが出演。彼女たちの特徴は熱量高いパフォーマンス。東京ではキャパ1500弱のマイナビBLITZ赤坂、地元山口ではキャパ1800人の周南市文化会館でワンマンライブ開催の実績を持つ、限界突破を続けるローカルアイドルの雄。はじめて観る人たちでも十二分に楽しめる『PIA LIVE IDOL MUSIC』。個性溢れるライブアイドルサウンドを是非とも体感してほしい。チケットは好評発売中。
2019年05月24日第63回全国高等学校演劇大会で文部科学大臣賞(最優秀賞)に輝いた名作『アルプススタンドのはしの方』が6月5日(水)から16日(日)まで、東京・浅草九劇にて上演される。公演に先駆け稽古場を取材、演出の奥村徹也(劇団献身)にも話を聞いた。【チケット情報はこちら】物語は、4人の冴えない高校生が同級生の出場する甲子園を“アルプススタンドのはしの方”で見つめる1シチュエーションの会話劇。試合が進むにつれ、変化していく高校生たちの心情を描く。登場する高校生4人を演じるのは、この作品が初舞台となる小野莉奈と西本まりん、主演舞台を成功させたばかりの石原壮馬、アイドルグループ「ラストアイドル」の中村守里といった今後が楽しみな若手俳優たちだ。さらに劇団ゴジゲンの目次立樹が、今回の上演にあたってのオリジナルキャラクターとして出演する。稽古前のウォーミングアップでは、石原が積極的に声を出し、舞台に慣れないキャスト陣をひっぱる様子が見られる。その後、奥村も混じってゲームのようなウォーミングアップが行われ、お互いに和気藹々とした雰囲気になるが、芝居稽古が始まるとキャストの表情は一変。それぞれが役に向き合い、演出の奥村の言葉をひとつも逃さないと言ったような真剣な表情で稽古に取り組んでいる。舞台経験の少ないキャストが多いこともあり、奥村が「どんな気持ちで動いた?」「今の高校生ってどうなの?」とキャストたちの考えや、意見を聞きながら時間をかけて一緒にシーンを作っていくのが印象的だ。物語は甲子園の試合中に進んでいく高校生たちの会話劇のため、「ライトフライの時は…」、「ファウルの時は…」、「スコアボードを見る時は…」など、観戦する際の目線や体の向きなどの細かいところも丁寧に演出をつけていく。休憩に入っても、キャストたちは各々セリフや動きを確認したり芝居の話をしたりする姿が見られ、ひとりひとりの、芝居や役に対する誠実さや思いの強さを終始感じる稽古であった。演出の奥村はキャスト陣について「まだシャイな部分がある。このお芝居のように、熱いものを感じられるような役者になって欲しい」と期待。また、開幕までの残りの稽古期間について「諦めたくない。どのお芝居でも、絶対にできないことはあると思う。だけど自分はしつこいので、いつも通りに最後まで妥協せず、ひとつも諦めずにいきたい」と作品に対する熱い思いを語った。公演は6月5日(水)から16日(日)まで東京・浅草九劇にて上演。チケットは発売中。
2019年05月24日劇団「地点」の演出家・三浦基が、来年、ロシア・サンクトペテルブルクの国立劇場「ボリショイ・ドラマ劇場」の依頼を受け、ドストエフスキー作『罪と罰』を演出することが発表された。先駆けて今月5月より、ロシアの劇作家チェーホフの紀行文と短編小説をコラージュした『シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!』と、チェーホフの人気戯曲『三人姉妹』の2本をKAAT 神奈川芸術劇場で上演、その会見が行われた。【チケット情報はこちら】5月27日(月)に初日を控える『シベリアへ!~』は、KAATが2011年の開館当初より地点と共同制作を続けてきた最新作にあたる。1890年にチェーホフが旅した、流刑地だったサハリン島までの道のり。未開の地だったシベリアを横断し、命の危険が伴うなか9か月にも及ぶ長旅を断行した。家族や友人達も驚いたチェーホフの意欲的な旅路について、三浦は「他者と出会うバイタリティが現代の閉塞感を打ち破るエネルギーになれば」と語った。三浦はこれまでチェーホフ戯曲を継続的に上演。本作の舞台化にあたっては、複数名のロシア文学専門家が創作に携わっている。三浦は「やっぱりチェーホフは良い」と改めて言葉にした。会見にはKAAT神奈川芸術劇場の館長・眞野純も登壇、「『罪と罰』の成功のために『シベリアへ!~』が良い布石となることを願っております。ロシアとの交流がうまれる環境をつくっていきたい」と述べた。上演は5月27日(月)から6月2日(日)・7月13日(土)から16日(火)まで。また、7月4日(木)に初日をむかえる『三人姉妹』は、2015年に上演し好評を博した公演の再演となる。そして、新たに発表された『罪と罰』の制作。ロシアの国立劇場が日本人演出家によるレパートリー作品を創作・プログラムするのは、2004年以来だ。キャスティングは今年6月に現地へ行き、オーディションワークショップを実施する。「日本ではなかなか起用できない人数」とのことで、大規模な作品となりそうだ。「(ロシアの俳優は)日本人の身体感覚と全然違う。基本はストレートプレイのリアリズム。それをぶちこわさないと」。上演は2020年6月に同劇場で行うが、先駆けて2~3月に原型となる地点版の公演を、横浜・京都で上演する。これまでロシア作家の作品上演に力を注いできた三浦。「チェーホフとドフトエフスキーの関係において、ドフトエフスキーを読むこと、眺めることはライフワークとしてきた」と述べ、今回の両作家作品に挑む意欲を見せた。「シベリアへ!シベリアへ!シベリアへ!」「三人姉妹」、両公演ともにチケット発売中。取材・文・撮影:河野桃子
2019年05月24日9月28日(土)・29日(日)東京・新木場・若洲公園でぴあ主催の音楽フェス「PIA MUSIC COMPLEX 2019」の第3弾出演アーティストが発表された。【チケット情報はこちら】出演が決まったのは、28日(土)に、注目のニューカマーACECOLLECTION、ぴあフェス初出演のgo!go!vanillas、昨年に引き続きフレデリック、2年ぶりにTHEBAWDIES。29日(日)は、こちらもぴあフェス初出演となるUVERworld、HEY-SMITH、そして2012年のぴあ40周年記念イベントに登場したマキシマム ザ ホルモン。チケットの一般発売に先駆けて、セブン‐イレブンWEB先着先行を実施中。受付は6月25日(火)23時59分まで。■PIA MUSIC COMPLEX 2019日時:9月28日(土)・29日(日)会場:新木場・若洲公園(東京都)【9月28日(土)】ACE COLLECTION / 9mm Parabellum Bullet / クリープハイプ / ゲスの極み乙女。 / go!go!vanillas / Saucy Dog / SIX LOUNGE / Nothing’s Carved In Stone / BiSH/ フレデリック / THE BAWDIES / マカロニえんぴつ / レルエand more…【9月29日(日)】打首獄門同好会 / UVERworld / キュウソネコカミ / 10-FEET / ネクライトーキー / NOISEMAKER / Hump Back / BLUE ENCOUNT / HEY-SMITH / BOYS END SWING GIRL / マキシマム ザ ホルモン / ミオヤマザキ / 美波 / ヤバイTシャツ屋さん and more…※五十音順
2019年05月24日5月25日(土)・26日(日)に東京・東京国際フォーラム ホールAで開催される「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」 in コンサート。同公演限定のオリジナルグッズが発表された。【チケット情報はこちら】映画公開25周年を記念したコンサートのオリジナルグッズは、ジャックが指揮棒を持っているデザインのTシャツ、トートバック、マグカップなど。「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」inコンサートは、映画全編を巨大なスクリーンで上映し、映画に合わせて、歌部分もオーケストラ部分も全て生(ライブ)でお贈りするという超豪華シネマ・オーケストラ・コンサート(シネオケ(R))。指揮にはグラミー賞/トニー賞受賞のジョン・マウチェリを迎え、ナイトメアーの作曲家であり、映画で主人公ジャックの歌を担当しているダニー・エルフマン本人と5名のシンガーが出演。映像中のジャックやサリー、ウギー・ブギーなどの不気味で愛すべき登場人物たちにシンクロしてライブで歌い、舞台上いっぱいのフルオーケストラとコーラスが音楽部分を映画に合わせて生演奏される予定。チケットは各公演前日23:59までチケットぴあにて販売中。■「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」 in コンサート【日時/会場】5月25日(土)【1】17:30開演(16:30開場)5月26日 (日) 【2】12:00開演(11:00開場)【3】16:30開演(15:30開場)会場:東京国際フォーラム ホールA(有楽町)クレジット:Presentation made under license from Disney Concerts, a division of ABC Inc. (C)Disney All rights reserved.
2019年05月23日5月・6月に全国を巡る 岸惠子 ひとり語り『輝ける夕暮れ』が5月18日に開幕。それに先がけて囲み取材が行われた。第1部で一人芝居『わりなき恋』(朗読劇)の上演、第2部でフリートークを行う今回。第1部の『わりなき恋』は、岸が2013年に発表しベストセラーになった小説で、一人芝居は2015年に初演、2016年に再演。今回はそれを「要になる場面を編集し直して50分にまとめてやることにしました」(岸)と、新演出・凝縮版で上演する。「私がこの小説を完成させたのが80歳、今は86歳です。テレビで高齢者の惨めな様子ばかり映すことに憤りが湧いて、“人生の夕暮れ時に、偶然でも夢でもいいから、パーッと虹が立つような美しい景色がないかしら”と思って書きました」と執筆のきっかけを振り返る。描かれているのは、成熟した女の愛と矜持の冒険譚。生々しい描写もあるが「高齢者の恋にはさまざまな障害があるんですよ。男にも女にも身体の変化がありますからね。私はそういうものから逃げずとことん書くぞという覚悟で、パリでは産婦人科の先生数名に話を聞き、日本でもいろんな取材をしました。今日もそういう場面はあります」と明かす。そしてラストは「出会いがあれば必ず別れがある。私はその別れを、清々しく美しく、私流の美学で飾りたいと思いました。我ながら成功したように思っているので、それを汲み取っていただけたら嬉しいなと思います」そして第2部はフリートーク。話す内容については「今朝まで悩んでたんです」と笑顔をみせ、「私はこの5月2日に『孤独という道連れ』という本を出したのですが、出版社の方に“若いときや女盛りのときのあなたじゃなくて、今老いていく最晩年の日々を書いてほしい”と言われ、16編のエッセイを書きました。今回はその中の話をしようと思っています。でもどの話をするかは…まだ迷ってます(笑)」と話した。舞台について「その都度、ドキドキしてやっています。でも舞台っておもしろいですよ。お客さんが湧いてくださったりするとすごくしあわせです」と語る岸が、第1部、第2部でさまざまな表情を見せる 岸惠子 ひとり語り『輝ける夕暮れ』は、5月18日の東京・新宿文化センター 大ホールを皮切りに、愛知、埼玉、千葉、大阪、神奈川など全10会場を巡演。取材・文:中川實穗
2019年05月21日平田オリザが脚本を手がけた舞台『転校生』が、本広克行による演出で、8月に紀伊國屋ホールで上演される。本公演はパルコプロデュースの若手俳優発掘プロジェクトとして、キャストは全員オーディションによって選出される。18歳から25歳までの男女を対象としたオーディションで、2128人の応募の中から一次審査を通過したのは201人。そこから男子校版・女子校版各21人の出演者が決定する。5月上旬に東京都内で行われた、最終選考となる実技審査の様子を取材した。【チケットの詳細はこちら】本作品は1994年青山演劇フェスティバルで初演されて以来、高校演劇のバイブル的戯曲として知られている。ある高校生たちの1日が、平田戯曲特有の同時多発会話で繰り広げられる。他愛のない日々の会話の中に、彼/彼女らの日常と社会への好奇心、将来への不安などを垣間見る戯曲となっている。15年以来の再演で、今回初めて男子校版が上演されることになった。この日は、組に分けて行われたオーディションのうち、ある1組を見学。簡単に互いの自己紹介をした後は、いくつかの体を動かすゲームが行われた。例えば、自分以外の誰か1人を“爆弾”と見立て、気づかれないように、その人を避ける。そして、また別の誰か1人を自分を守ってくれる“シールド(盾)”として心の中で決め、“爆弾”と自分との間に常に“シールド”がいるような環境をつくるというゲームだ。最初はただ歩いていた参加者たちが、「まもなく爆発するから必死になって」という指示が出ると、ほとんどがなりふり構わず走り出した。戦略を立てて生き残った人もいれば、ルールを十分に理解できず脱落した人も。なかなかスリリングなゲームで、協調性と身体性、そして計画性が問われていると感じた。次は、9人ずつのグループに分かれて、ひとつのシチュエーションを静止画で表現するゲームだ。お題は“悪い知らせ”。話し合いの時間が5分ほどあり、各チームが発表する。発想力もさることながら、それをいかに分かりやすく表現するかが試される。合格発表を表現しているチームや、「部活のエースが怪我をして試合が出場できなくなった」という難しい設定を表すチームがあった。女子のオーディションの時も同様の課題が行われたが、男子オーディションの方がいい意味で盛り上がりがあり、部活動のような妙な“一体感”を感じた。ゲームを終えた後は、最後は自己PRタイム。ただし、1本の綱を渡るように歩きながら、話すという設定だった。各々声を震わせたり、足元を見たり、綱を渡るような工夫をしながら、自分の舞台経験や強みを思い思いにアピールしていた。初の男子校版に出演するのはどんな21人なのだろうか。開幕が待ち遠しい。文・写真:五月女菜穂
2019年05月21日平田オリザが脚本を手がけた舞台『転校生』が、本広克行による演出で、8月に紀伊國屋ホールで上演される。2015年以来の再演で、本公演はパルコプロデュースの若手俳優発掘プロジェクトとして、キャストは全員オーディションによって選出される。18歳から25歳までの男女を対象としたオーディションで、2128人の応募の中から一次審査を通過したのは男性73人、女性128人の計201人。そこから男子校版・女子校版各21人の出演者が決定する。5月上旬に東京都内で行われた、最終選考となる実技審査の様子を取材した。【チケットの詳細はこちら】本作品は94年青山演劇フェスティバルで初演されて以来、高校演劇のバイブル的戯曲として知られている。ある高校生たちの一日が、平田戯曲特有の同時多発会話で繰り広げられる。他愛のない日々の会話の中に、彼/彼女らの日常と社会への好奇心、将来への不安などを垣間見る戯曲となっている。この日は、組に分けて行われたオーディションのうち、ある1組を見学した。緊張を和らげるため、出来るだけ多くの人の名前と顔を覚え、相手にも覚えてもらうことからオーディションが始まる。互いに自己紹介をした後、2人組になって、それぞれの片手を重ねる。手が離れないように注意しながら、相手を無言で押したり、引いたりして、体と空気を動かすゲームだ。本広はこのゲームを通じて、参加者の身体性と協調性をみているようだった。次は、8~9人のグループに分かれて、ひとつのシチュエーションを静止画で表現するゲームだ。お題は“危機”。話し合いの時間が5分ほどあり、各チームが発表する。発想力もさることながら、それをいかに分かりやすく表現するかが問われている。交通事故の衝突の瞬間を表現しているチームや、パーティーゲームの“黒ひげ危機一発”を表すチームなどがあり、それぞれの個性がよく活かされていた。トータルで40分ほどのゲームを終え、最後はひとりひとりのアピールタイムと、演出の本広による質疑応答が行われた。参加者の中には、舞台経験が豊富にある人もいれば、今回が初舞台となる人もいた。ダンスやスポーツ経験をアピールする人もいれば、自分の性格を強調する人、緊張のせいか涙声になる人もいた。全体的に穏やかな雰囲気で、笑いに包まれる場面も多かったが、本広の眼差しは鋭かった。最終的にどんな21人がオーディションに合格し、どんな舞台を見せてくれるのか。期待したい。文・写真:五月女菜穂
2019年05月21日ステージいっぱいに敷かれた布を雪景色に見立て、子供達の雪合戦が始まった。そこで起きた事故をきっかけに、子供たちの関係が大きく動き出す――。【チケット情報はこちら】この物語は、フランスの作家ジャン・コクトー『恐るべき子供たち』の舞台化。白井晃演出、ノゾエ征爾脚本により6月2日(日)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉で上演中だ。外界を知らずに成長した不遜な姉弟を演じるのは、南沢奈央と柾木玲弥。姉エリザベートは、母を病気で亡くし、ケガをして引きこもる弟との“王国”を守ろうとし続ける美しくも残酷な少女。愛情か、依存か……南沢はポールへの執着を、生々しく感情を剥き出しにして振る舞い、登場人物も観客も巻き込んでいく。また弟・ポールは我がままで癇癪持ち。ポールの魅力がこの作品のキモでもあるが、まっすぐな感情を持て余す繊細さで周りの子供達を惹き付ける。演じる柾木は「稽古で皆と合わせていく中で役ができていきました」と振り返る。“物語の案内役”を担うのが、ポールの友人・ジェラール役の松岡広大。原作とは違う役どころとして、1歩離れた立ち位置で姉弟に関わっていく。松岡はストレートプレイ初出演だが、まっすぐで真面目な姿勢で丁寧に物語を語る。会見では「しっかりと言葉の意味を伝えることに、今まで以上にエネルギーを使いました」と真摯に述べた。絶妙なバランスの3人。その危うい均衡を脅かすふた役を、馬場ふみかが演じる。すべての始まりとなる雪合戦でポールにケガをさせる少年ダルジュロスと、彼に瓜ふたつの少女アガート。傲慢なダルジュロスと繊細なアガートを演じ分ける。「ふた役それぞれ違った目線で作品について考えることができるので面白い。同時に、(役の)スイッチングの難しさを感じています」。4人の子供たちの世界を白い布が表現する。1枚1枚剥いだり、布に溺れたり……自在に動く布が、彼らの関係性も表現する。強い風が吹いたら飛びそうな、もろい世界だ。「こんなにシンプルなセットは初めて。リングの上に立たされている気持ちで、逃げも隠れもできない状況での芝居です」(南沢)。4人以外の俳優たちが大人を演じ、子供だけの王国を際立たせる。大人になることを拒絶する子供たち――。演出の変更は日々重ねられており、より良い作品を模索する。白井晃の要求に柔軟に食らいつく俳優たち。2週間の上演期間のうちに、これからも大きく進化していくだろう。チケット発売中。取材・文・撮影:河野桃子
2019年05月20日2020年の東京オリンピックまであと406日と迫った6月14日(金)、東京国際フォーラムホールAにて「オリンピックコンサート2019」が開催される。1997年より毎年行われるこのコンサートは、オリンピックの公式映像とオーケストラの生演奏が一体となって、オリンピックの素晴らしさや感動を会場で体感するもの。今回は2012年よりコンサートのナビゲーターを務める俳優の藤本隆宏と、本公演へは3回目の出席となる宮下純一という元オリンピック選手2名に話を聞いた。【チケット情報はこちら】「オリンピックコンサート2019」は2部構成。1部は「1964 to 2016輝き続けた夏の夢」と題し、今井光也『オリンピック東京大会ファンファーレ』など4曲をバックに、1964年東京大会の秘蔵映像を交えながら、夏のオリンピックの系譜をたどる。2部は「2020へ、その先の未来へ、輝く夢に向かって!」と冠し、フィギュアスケートの紀平梨花選手、スキー・ジャンプの小林陵侑選手ら2018年に活躍したトップアスリートが登場。さらにゲストの藤巻亮太(レミオロメン)によるスペシャルステージのほか、チャイコフスキー『幻想序曲「ロメオとジュリエット」から』など3曲がオリンピック映像とともに披露される。藤本は、見どころを「フォーカスした選手や競技に焦点を当てて作り込んだ映像と、ピッタリ合ったフルオーケストラの融合」と語る。「映像が毎回素晴らしいです。試合で勝ったりメダルを取ったりするシーンだけでなく、破れた場面やトレーニングする姿、選手を支えた周りの人の映像もすべて流れます。映像シーンが高揚するとオーケストラも盛り上がり、感動が10倍、20倍と膨れ上がって、壇上にいる選手もお客さまも同じところで涙するのです」かつて2014年の公演にてフルオーケストラで自身の映像が流れた宮下は、舞台上で涙が溢れ出たという。「自分が北京オリンピックに出ている時に、日本で私を応援してくださる方々の映像が流れるんですね。この皆さんがいてくださったからこそ、私はメダルが取れたのだと。本当に贅沢な時間でした」と語る。また藤本は、オリンピアンやトップアスリートの声を直接聞けるまたとない機会だともいう。「以前、羽生結弦選手が出演した後、ソチオリンピックで金メダルを取った時は嬉しかったですね。どんな人でも、実際に選手に会うと感情移入します。来てくださった方は、選手の生の声を聞くことで、東京オリンピックの見方が変わると思いますよ」「オリンピックコンサート2019」は、6月14日(金)東京国際フォーラム ホールAで開催。チケットは発売中。取材・文:横山由希路
2019年05月20日キャラメルボックス初期の代表作『ナツヤスミ語辞典』が5月18日、六本木・俳優座劇場で幕を開けた。【チケット情報はこちら】小学校の産休代用教師だったクサナギ(多田直人)のもとに、カブト(石森美咲)、ヤンマ(金城あさみ)、アゲハ(石川彩織)の3人の教え子たちから手紙が届く。そこに書かれていたのは、3人が夏休みの中学校で体験した不思議な出来事だった……。30年前の1989年に初演された本作は、1991年に再演、2003年に再々演された。今回、演出の成井豊が上演を決めた理由は、劇団史上初の試みとして劇団員全員に再演したい作品についてアンケートをとったところ、この作品が一位となったからだという。それほど頻繁に上演されている作品ではないにもかかわらず、根強い人気を誇る本作。劇団員の気持ちと呼応するように、公演初日のカーテンコール、鳴り止まない拍手から、観客もいかにこの作品を待ち望んでいたかがよくわかる。初期作品ということで、近年のキャラメルボックスしか知らない観客は少し戸惑うかもしれない。俳優のエネルギッシュな台詞回しでスピーディーに展開し、物語はとてもファンタジックで、いかにも“演劇らしい”勢いに満ちた作品だ。しかし、逆にそんな部分が新鮮に感じられる。物語はカブトたち中学生と、学校に現れた不思議な男女、ウラシマ(鍛治本大樹)とナナコ(森めぐみ)の出会いにより、思いもかけない方向へと転がっていく。もう子どもではないから、いろいろと飲み込まなければいけないことがあるのはわかる。かといって、自分の心を封じ込めて、大人の言うことを飲み込むこともできない……中学生という不安定な年頃のリリカルさが、観る人の胸へダイレクトに響いてくる。本公演のホームグラウンドであるサンシャイン劇場に比べて距離感が近い劇場での上演ということも、作品の魅力を増幅しているのかもしれない。また、初演でカブトを演じた伊藤ひろみが今作ではヤンマの母親役を、クサナギを演じた西川浩幸がクサナギへ手紙を運んでくる「郵便屋」役として出演している。往年のファンにとってはたまらないキャスティングであると同時に、入団4年目で初主演の重責を担う石森美咲をベテラン勢がしっかりと支えていく構図は、劇団としての歴史と懐の深さをも感じさせる。思い返せば学生時代、夏休みに突入したというだけで、毎日が魔法をかけられたようにキラキラと輝いていなかっただろうか?そんな日々を思い出すような、特別な時間と空間に満ちた舞台。これもまた、演劇という魔法のなせる業なのかもしれない。公演は5月26日(日)まで、東京・俳優座劇場で上演される。前売りチケットは完売。5月23日(木)追加公演のみチケットぴあで当日引換券を発売中。当日券は開演の1時間前から劇場にて販売。取材・文:川口有紀
2019年05月20日熊川哲也のKバレエがおくる『シンデレラ』は2012年に初演された。誰もが知るシンデレラの物語を、美しさと上質なユーモア溢れる演出で見せる今舞台が5月24日(金)から上演される。その公開リハーサルでは、今シーズンにプリンシパル・ソリストとして入団し、初主演に抜擢されたふたりの稽古シーンがお披露目された。【チケット情報はこちら】シンデレラを演じる成田紗弥は、韓国のユニバーサル・バレエ団から移籍。芯の通った身体と儚げな表情の、健気なシンデレラだ。1幕より『シンデレラと継母たち』の場面では義姉妹(杉山桃子、高橋怜衣)と義母(ルーク・ヘイドン)にこき使われ、働かされる。布、ほうき、鞄、ドレスなど小道具の多いシーンで、段取りが難しい。指導の浅川紫織が「火を焚く時はオーバーに全身を使って小道具を見せて」と示すと、とたんに客席からも見やすくなる。自然な動きを心がけ、物語を繋いでいく浅川の指導を受け、成田は「振付を覚えるのと、表現力をつけるのが大変」とくらいついていく。働かされ耐え忍ぶシンデレラだが、ひとりになると亡き母親の形見を取り出し、幸せだった思い出に浸る。その時間だけは、愛された少女のように軽やかだ。成田の持つ儚さとあいまって、幸せと寂しさを同時に表現する。2幕より披露されたのは『シンデレラと王子のパ・ド・ドゥ』。矢内千夏の明るいシンデレラに対し、高橋裕哉の王子は少し控えめで初々しい。指導する遅沢佑介が高橋に「相手の体重が右肩に乗るまで待って」「ここはシンデレラの動きに自分の動きを重ねて」と、身体の状態を具体的に示していく。ハンガリー国立バレエ団から移籍したばかりの高橋は「的確にステップを押さえていかないと綺麗に見えない」と、演技よりもまずひとつひとつの振りを身体に落とし込んでいく。高橋の身体が安定感を増せば、矢内が輝いて見える。そのシンデレラを見つめて嬉しそうに笑う王子。ふたりの表現がなめらかに重なり合い、恋人たちのうっとりとした場面ができあがっていく。本番にはほかプリンシパルの宮尾俊太郎、中村祥子らが出演。4人のシンデレラと4人の王子によるKバレエ『シンデレラ』は、5月26日(日)まで東京・東京文化会館、5月31日(金)から6月2日(日)まで東京・Bunkamura オーチャードホール、6月4日(火)に静岡・アクトシティ浜松、6月6日(木)に大阪・フェスティバルホールにて上演。熊川独自のアイデアが光る夢のような『シンデレラ』の世界へ誘う。取材・文:河野桃子
2019年05月20日